*【天麩羅】
(キャラクターのプロフィールを記入し、避難所に投下した後、
まとめサイトにて、自分のキャラクターの紹介ページを作成してください)
名前:
二つ名:
ttp://pha22.net/name2/ ←で↑のキャラ名を入力
年齢:
身長:
体重:
種族:
職業:
性別:
能力:(一応二つ名にこじつけた能力設定を)
容姿:
趣味:
好きなもの:
嫌いなもの:
キャラ解説:
S→別格 A→人外 B→逸脱 C→得意 D→普通 E→不得意 F→皆無
U→変動 N→機能未保有 ……の九段階まで。
・本体
筋 力:
耐久力:
俊敏性:
技 術:
知 力:
精神力:
成長性:
・能力
範 囲:
破壊力:
操作性:
応用性:
持続性:
成長性:
リスク :
*【機関の説明】
・機関(組織)は総合商社や慈善団体、暗殺集団などいろいろな側面を持つ
・機関には異能力者以外もいる
・機関の異能力者は番号(NO.)で序列があらわされる
・一桁番号(ファーストナンバー)は特別な幹部
・世襲幹部が五人いる
・機関は人工異能力者を増産している
前スレ
>>282 病院のソファーで待つこと十数分。
統時が部屋から出てきて、こちらに歩いてきた。
「終わったぜ。これからどうするんだ?」
私もちょうどそれを考えていたところだ、人が大量に倒れたという駅に行って見ても良いかもしれない。
あれは多分『機関』の仕業だ、何か手がかりが見つかる可能性がある。
それか統時の学校に行って桐北を探すのもありだな。
「そうだな・・・・・・とりあえずこの病院から出」
「ってうわあぁぁぁ!」
私の言葉を遮って私の横に寝ていた青年がソファーから転げ落ちる。
悪い夢でも見てうなされたのか?
「ごめんなさい・・・ちょっと手を貸してもらえますか? 腰が抜けちゃったみたいで・・・」
その青年は統時に助けを求める、女に助けられるのは少し恥ずかしかったか。
「大丈夫か?腰を強く打ったようだが、幸いにここは病院。
念のため医者に診て貰うと良いだ」
「どうもです。落としましたよっと…」
また私の言葉を遮って、少年が文庫本を青年に渡す。
よく見るとその少年の顔には見覚えがあった。
待てよ?この少年は桐北じゃないのか?
「君、君は桐北修貴だな?また逢ったな、覚えていると思うが私は瑞穂、籐堂院瑞穂だ。
君は廃校に居ると思っていたがどうしてここに?
大方何者かに襲われたのだろう
やはりあの時私の厚意を素直に受け取っておけばよかったのだ・・・・・・」
そう言って話しかけると桐北は私の方を見る。
近くに腰を打ちつけた青年が居るのに『襲われた』などと言うのは少し不用心かと思ったが、もし青年が敵だとしてもこちらは二人、負ける可能性は低い。
もしかしたら桐北も戦ってくれるかもしれない。
などと考えていると、桐北の顔は徐々に強ばり、何か恐ろしい者に会ったような怯えた顔になった。
私は驚き、私の口から出る言葉は次第に弱くなる。
何故そのような顔になる?
この前会ったときは廃校という人気のないところで異能力者会ったのだ、警戒されて当然だった。
しかし、今は病院という人気のある場所で、しかもこの前の事で私が危険ではない事は分かったはずだ。
私が何か不味いことでも言ってしまったのか?
まさか・・・・・・・・・。
私は強ばっていた顔に笑顔を作り、声音を優しくして再度桐北に話しかける。
「そういえば、このバッグは君のかな?
色々私物が入っていたのでもしかしたらと思ったのだ」
私は肩にかけたバッグを桐北に見せる。
もし桐北の物だったとしてもこのバッグを返す訳にはいかないが、中に入っているお金だけは返そう。
【籐堂院瑞穂:桐北修貴にバッグを見せる】
前スレ
>>268 >「クスクス、何処にいる…か、さぁ何処だろう普通教えるわけないだろ」
目の前のリンと瓜二つな少女は依然として意地悪い笑みを浮かべ、戦場ヶ原を煙に巻いている。
安い挑発に戦場ヶ原はカッと頭にきて拳を振り上げる。
しかし、その左手は振り下ろされることはなかった。
いくら偽物(と彼自身が思っている)といっても、その容姿はリンそのもの。
(…クソがッ!!殴れるわけがねぇだろう!!)
彼の中に渦巻く小さな情が、その拳を抑えつけていたのだ。
振り上げた拳を下ろし、戦場ヶ原は少女に背を向けて歩きだす。
「おい、どこへいく?」
少女が興を殺がれたように訊いてくる。
「…貴様が答えねぇならそれでいい。俺はリンを探しに行く。」
もし入浴中に攫われたとしたのなら、まだ時間はそれほどたっていない。ここからそう遠くへは行っていないはずだ。
動揺する少女を尻目に、戦場ヶ原はさっさと歩いて銭湯をあとにしようとしていた。
【戦場ヶ原:現在位置:銭湯。時刻:午前9:00ごろ。封印解除まであと2時間。】
前スレ
>>285 「…ごめんなさい。それは出来ないわ」
不敵な笑みを浮かべながら、香澄は答えた。
カウントは止まったものの、背中に感じる殺気はますます鋭さを増す。
「ストップストップ!」 香澄は慌てて両腕を上げ敵意が無いことをアピールした。腕を上げるのもかなりきつかったが、とにかく背後にいる男を怒らせてならない。なにしろ「撃つ」と言っている以上、銃か何かを持っているのは間違いないのだから。
「だって私がやってるんじゃないもの。私が解けるわけないじゃない」
先程ふざけて思わせぶりなことを後悔しながら、香澄の弁明は続く。
「そもそも、私がこの状況を生み出した元凶だとしたら、こんな所に突っ立ってると思う?」
この状況に驚かないと言うことは、背後に立っている男は間違いなく異能者であろう。ならば、広範囲型の異能者の弱点も知っているはずだ。
「考えてみなさい。もしあなたが、この騒ぎを起こせるような広範囲型の能力持ちなら、こんな開けた目立つ場所には立たないでしょう?」
先程よりも殺気が和らいだのを感じて、香澄は安心した。
「…それでも、私を疑う気かしら?」
香澄は顔だけでゆっくりと後ろに振り向いた。
【天宮香澄、説得の後、池上 燐介の方へと振り向く】
前スレ
>>281 小村を待っていると、徐にハーケンが話を振ってきた。
>「しかし、お互い手ひどくやられたものですね。
> あれの能力を強化したのが機関なら、何か対策などはないのですか?」
「簡単だ。能力の射程外から狙撃して頭を撃ち抜けばいい。
奴の能力は『中和系能力』簡単に言うと敵の異能を無力化できる。
異能者に対して絶対の能力を持つが、通常の人間には然程効果は期待できない」
『中和系』は数ある異能の中でも稀有な能力だ。しかし非能力者には殆ど効果が無く、
肉体的に鍛えていなければ太刀打ちできない場合が多い。
その点を踏まえて強化を施したのだが……。残念ながら仇となったらしい。
「最も、今の籐堂院は剣に身をやつしている身、
この方法は意味が無い。何せ頭が無いのだからね。
……無様だな」
昨晩の事を思い出す。奴は何故私が迷宮化について話をしている間に攻撃して来なかった?
瑞穂自身の意識が覚醒していなければ憑依できない? いや、瑞穂が目覚めたという可能性は薄い。
迷宮の中で何かしらの技を使用したのだ。それが発動条件だ。
「昨晩の事を思い出して欲しい。籐堂院はわざわざ車を追ってきた。
私が瑞穂たちに迷宮化についての説明を行っている間、何故攻撃しなかった?
恐らく奴が瑞穂の体を操作できるのには条件が必要な筈だ。
例えばスイッチとなる技を"瑞穂が"使用するか、特定の状況で発動するかだろう」
―――腕を組み、空を見上げる。澄んだ青空が広がっていた。
「ならば話は簡単だ。二人を引き離せばいい。
それでも操作できるというのであれば、お手上げだがね……」
口元を微かに緩め、ハーケンを見つめた。
「他に聞いて置きたい事は在るか?」
【レオーネ:現在地 アルトのテント前】
>>5 >「…ごめんなさい。それは出来ないわ」
カウントが10に達する前に、女はこちらの要求に拒絶の意を表した。
俺はすかさず拳銃の撃鉄をカチリと鳴らして引き起こす。
女は次の瞬間にでも撃たれることを予見してか、咄嗟に両腕を高く上げ
抵抗の意思は無いことをアピールし始めた。
同時に、自分が能力を展開している張本人でないということも。
>「…それでも、私を疑う気かしら?」
この女が事態の元凶であろうがそうでなかろうが、
少なくともこの女の方から譲る気はどうやら全く無いらしい。
一瞬、引き金に置いた指を緩めると、
女はこちらの敵意が無くなったと感じ取り安心したのか、顔をこちらに向けようとした。
だが俺は再び指に力を入れ、女がこちらに視線を合わせる前に顔に拳銃を突きつけた。
「……おっと、動くなと言ったはずだ」
女が振り向きかけた顔を元の位置に戻すのを確認してから、
俺は再び口を開いた。
「……俺はたまたまここに立ち寄って巻き込まれた身だ。お前も俺と同様の通りすがりと
考えないでもなかったが、こちらもこれ以上四の五の言っている場合じゃないんでね。
異能力を解かないのであれば、このまま始末するだけだ」
理屈からすればこの女の弁明にも一理あることは事実だが、
そもそもこの女が元凶であるのかどうかなど、
俺が引き金を一度引けばすぐにでも確かめられる話でもあるのだ。
「まぁ……もしお前がこの異能力を使う張本人を知っているのであれば、見逃してやってもいい。
……そういえば、先程あの白い軽自動車に向かって殺気を放っていたな?
もしかするとあの車のドライバーがそうなのかな?」
ほとんど期待感を込めていないような、棒読みとも取れる声で俺は訊ねた。
【池上 燐介:相変わらず銃を向けたまま】
>>278>>283 「……いいえ、何でもないわ。戻りましょう」
軽く頭を振って思考を切り替えると、救急車と二人を見送って薬局へ戻る。
湧き出した不安を振り払うように、現実的な未来を考える。
さあ、これからどうするか。
ぼんやりと思考をまとめながら居間へ戻り、冷えた味噌汁をすする。
>「……で、お前さん達はこれからどうするんだ?
どうもヤバイ臭いがしやがるし、俺は、今日は店を午前中開店だけにして
午後は、適当に過ごすつもりなんだが」
ふとかけられた言葉。答えはもう決まっている。
私はただ──それなりに幸せに生きたいだけ。
痛いのも苦しいのもできるだけ避けたい。
「少なくとも今日は貴方と行動させてもらいたいわね。『機関』がうろついているようじゃ、危なくて外を歩けない──」
>「こちら宗方総合調査事務所の宗方というものだ。
>法人向けの大口の注文を頼みたい。
>救急箱10箱分に入るだけの包帯、消毒液その他諸々。すぐ必要だ、今から行くのでその旨頼む」
>「それから…今もし薬局にけが人が来てないか?来てたら気を付けろ、奴らは…」
「……呪われてるかもね。貴方のお店」
思わずこぼれる小さな溜息。
空になった茶碗を持って国崎の横を通る。
「まあ、私も避けたり逃げたりはできるから意識して守ってくれなくて良いわ。それに貴方にできなくて私にできることだってある」
流し台へ食器を入れず、そのまま水ですすぎ、スポンジでこする。
「貴方が本当に守りたい人は別にいるんでしょ?獰猛な貴方ではなく、優しい貴方を必要としてくれる人が」
>「さきほど電話した宗方だ…無事か?無事なら返事をしてくれ」
「行きましょう。国崎」
食器を仕舞い、彼を促すように薬局へと向かう。
>>259>>5>>7 せつなの天敵とは、すなわち『賢者』と『魔人』である。
『魔人』は異能力など使わずとも、素手で鎧を砕く。
『賢者』は異能力など使わずとも、知略で彼女を陥れる。
だが、『魔人』は血を流して倒れ、『賢者』と思われた少女もまだまだ及ばない。
そうしているうちに時間は体力を奪い、誤解を生む。
美青年が拳銃を少女に突きつけているのは決して偶然ではない。
皆が倒れている中で立っている人間が居れば、誰でもそれを犯人と疑う。
せつなはただのドライバー。無事かどうかすらも外からはわからない。
故に、ただ静かに待っているだけで決着はつく。
千人以上の命を奪うという形で、彼女の任務は完了する。
だが──彼女は人間だ。
人間は優越感が好きだ。
「私が異能者。貴方たちを嘲笑う、異能者」
自動車につけられた小さな外部スピーカから流れる掠れた女の声。
少なくとも目の前の二人には聞こえただろう。
だからどうした。
異能力では紙一枚はぶれない。
拳銃ごときでこの強化ガラスと車体は撃ち抜けない。
せいぜい絶望するが良い。
【善養寺:車中】
>>6 私の質問に対する答えは、こうだ。
「簡単だ。能力の射程外から狙撃して頭を撃ち抜けばいい。
奴の能力は『中和系能力』簡単に言うと敵の異能を無力化できる。
異能者に対して絶対の能力を持つが、通常の人間には然程効果は期待できない」
確かに、その手段は有効だろう。銃弾一発で仕留められれば、の話だが。
あれに対して一撃で仕留められなければ、警戒されて二発目が撃ち込めなくなるかもしれない。
それに、今の奴は、
「最も、今の籐堂院は剣に身をやつしている身、
この方法は意味が無い。何せ頭が無いのだからね。
……無様だな」
そう、剣になっているのだ。あるいは遠距離からあれを破壊できる威力の攻撃を行うか?
しかし、それでは足りない。あれを倒すということは、つまり、
「昨晩の事を思い出して欲しい。籐堂院はわざわざ車を追ってきた。
私が瑞穂たちに迷宮化についての説明を行っている間、何故攻撃しなかった?
恐らく奴が瑞穂の体を操作できるのには条件が必要な筈だ。
例えばスイッチとなる技を"瑞穂が"使用するか、特定の状況で発動するかだろう」
彼は腕を組み、空を見上げて言葉を続けた。
「ならば話は簡単だ。二人を引き離せばいい。
それでも操作できるというのであれば、お手上げだがね……」
そして、彼はこちらを見て、
「他に聞いて置きたい事は在るか?」
>>9 「…これで分かったでしょ?この騒ぎの元凶は、あの車の中で私達を嘲笑ってるのよ」
真実が明らかになった以上、男の機嫌を伺う必要はない。敵意を見せなければ十分だ。香澄の声は乾いていた。
「私を撃ちたければ撃てばいいわ。でも、ピストルに頼るような攻撃力じゃ、一人で奴を倒すのは無理よ」
ピストルを持った相手にあの自信。敵の乗る軽自動車は間違いなく防弾仕様だろう。ピストルが最高の攻撃力では、手詰まりになるのは明らかだ。
「でも、私達は確実に奴を追い詰めてるわ。車の中にいるのは厄介だけど、それさえ壊せば……勝ちよ」
次の言葉を言うべきか、香澄は躊躇した。
ついさっき、安易に協力を要請した結果、相手に重傷を負わせてしまったではないか。
「…難しいことは抜きよ。協力してちょうだい」
結局、香澄は協力を要請することを選んだ。
先程とは違い敵を追い詰めており、後は単純に攻撃力があればいいだけだ。大惨事になるようなことはあるまい。
問題があるとすれば、男の性格だ。
説得に耳を傾ける頭がありながら、最終的には引き金を引こうとした男だ。素直に頷いてくれるとは限らない。
それでも香澄は男を疑いはしなかった。しないように努めた。
こちらが相手を信じなければ、相手がこちらを信じるわけがないのだから。
【天宮香澄。スピーカーの声を聞き、池上燐介に協力を要請する】
>>10 ……さて、他に質問か。まあ、今はいい。優先して考えるべきことはまだある。
こちらの答えにどう反応するかにも興味があるのだし。
「いえ、質問は他にもありますが、今は貴方の答えに関してです。
まず、あれの能力は私たちの行動を許可しませんでした。
あの男は私に、防御を許可しない、と言い、結果私は防御を行えなかった」
そう。あの男の能力の真髄は中和などではない。
異能者に対するカウンターではなく、あの男の支配下にある空間では、
「無意識の行動。突き詰めればそれしかできなくなる。
奇襲、狙撃。それは奴を一撃で仕留められなければ意味がなくなります。
そして、籐堂院瑞穂の操作条件ですけれど」
……これは、言ってしまってもいいだろう。ある程度の割り切りはできている相手だと思える。
もしも大きな反応があったとしても、どういうことか尋問するぐらいの理性は残るだろうし。
機関に知られたとても、即刻死刑だ、となるレベルでもない。
「…私は随分と昔、あの男の作った組織に所属していた時期があります。
その頃の私は自分の強さに自身が持てなくて、ともかくある程度の力をもった組織の加護を必要としていました。
あの組織に入ったのは偶然で、そこまで深い考えがあったわけではありませんが」
反応を見る。……そして、話を続ける。
「そして、下部組織の構成員だった私は、そのことについて聞いたことがあります。
機械仕掛けの神―――――――籐堂院瑞穂について、ね。
詳しい計画内容を聞いたわけではありません。ですが、そういった計画があるという噂はありました。
彼女は神の娘であり、救世主であり、機械仕掛けの神であり、神の器だ、という話です。
――――そして現実に、籐堂院神は籐堂院瑞穂の体を使いこなしていた。
現在の状況も、元々の計画のうちだった可能性もありますね」
もっとも、流石にそこまでのことはないだろうが。
しかし、相手がどこまで考えていたか分からない以上、それも考慮する必要がある。
「あの男が出張ってくる前に、籐堂院瑞穂を確実に殺す。
そうすれば器もなくなり、ただの剣となることでしょう。
新たな能力に目覚めて、籐堂院瑞穂以外を操ることができるようになっていなければ、ですがね」
【アルト:過去を暴露】
【小村のことを上野恭平だと思っている】
>>9>>11 >「私が異能者。貴方たちを嘲笑う、異能者」
軽自動車からの突然の声。
音の性質からしてスピーカーで音量が増幅されたものだと分かる。
>「…これで分かったでしょ?この騒ぎの元凶は、あの車の中で私達を嘲笑ってるのよ」
目の前の女がそう答えた。
まさかとは思っていたが、本当にあの車のドライバーが事件の元凶だったとは。
しかしこれは幸いだ。狙っていた獲物が、わざわざ目の前に現れたのだから。
だが狩るにあたっての問題は……奴の車。
女も言っていたが、車の中というのは厄介だ。
奴の異能力から推察すれば、身体的な能力は然程脅威ではないはずだが、
鎧で身を固めた生身の身体を貫くには、この拳銃では力不足だろう。
もっとも、ただの車であれば、この拳銃でも話はまた別であったはずだ。
しかし身体的能力が低い故に、防御は万全を喫しているだろうことは容易に想像できる。
──周囲に、軽い火薬音が二度鳴り響く。
同時に短い銃身から撃ち出された小さい鉛球が、軽自動車のフロントガラスと車体の外板に着弾した。
が、ガラスは小さな亀裂を作っただけで、車体に至っては少々ヘコみがついた程度である。
やはり強化ガラスに強化装甲で固めていたようだ。
着弾した弾の後ろをピンポイントで当てて貫くことができれば、
この拳銃だけでも勝機はあったかもしれないが、残念な事に俺にそこまでの技術はない。
あの車には他にも何かしらの仕掛けがあると思っていいだろう。
拳銃一丁でこちらから近付くのは得策ではないと踏んだ方が賢明だ。
かといって、こちらが動かなければそれだけ時間が過ぎ、それこそ奴の思う壺になる。
今の俺に異能力がほとんど使えない以上、あの重装甲を物理的に潰すには、
あれより質量のある物体を高速でぶつけなければ不可能だ。
しかしそんなものが都合よくこの近くにあるだろうか……?
(……待てよ、異能力……か)
>「…難しいことは抜きよ。協力してちょうだい」
そういえば、この女の異能力は何なのだろうか。
異能力によっては装甲に関係なく破壊することは可能だが……
いや、それは俺の勝手な希望的観測に過ぎない。
そもそもそんな能力があれば、俺が来る前に勝負は決していたはずだろう。
とはいっても、こちらに策が無い以上、この女を頼る他はない……。
「身体の状態から考えれば、多分俺に残された時間は後、二、三分程しかない。
お前とて身体は似たような状態であるはずだ。
……協力するのはいいが、何をするつもりだ?」
【池上 燐介:平然としているものの、実は極度に体力を消耗している。歩くのがやっとという状態】
>>4 リンの気配に着くとそこはスーパー銭湯と呼ばれるものだった。
銭湯の中に入るとしばらくあたりを見回す。
するとすぐにリンは見つかった。
赤髪の大男と何かを言い合っているようだ。
赤髪の大男が拳を振り上げるだがしかしすぐにその拳を収めてしまった。
あの大男確かどこかで…あぁそうだ、まだ小さい頃機関で見たんだった。
つまりあいつも異能者か?、第一なんであいつは異能者の気配がほとんどしないんだ?
異能者の気配がしない、つまり能力が使えない。
……もう無駄に考えるのはやめよう、考えが纏まらない。
赤髪の大男の横を通り抜けてリンのところに行く。
「久し振りだな…リン」
できるだけ声を低くしてリンに言う、だがやっぱり顔はにやついてしまう。
「ッ!…ツバサ=ライマース!」
「おや…リンではないな…だとしたら裏か?」
裏だとしても能力の影響を受けているはずだから問題は無い。
「リンをだしてくれるか?久し振りに会話をしたいんだ…」
相手は少し動揺しつつ頷く。
「……お兄ちゃん…なの?」
「あぁ…」
>>14 リンは意識が覚醒してすぐに見た者が兄だと断定した。
そういえば天さんはどうなったのだろう、そんなことを考えながら前の男に問い掛ける。
兄なのか?と、
いままで探してきた兄はあぁの一言で自分が兄であることを肯定した。
兄が肯定した瞬間自分の意識がはっきりと覚醒したのをリンは感じていた。
「何で…なんで今まで何処に行ってたの!?」
銭湯の外まで聞こえるかと思われるような大声で叫ぶ。
それに対して兄は静かに対応する。
「今はまだ言えないそれよりも…」
しばしの間を開け決心したように言う。
「リン…お前は俺と一緒に機関に来い」
機関…今まで幾度となくリンを襲ってきた敵
何故今その機関にいかなければならないのか。
でも…そこに行くなら兄と一緒にいられる。
「…それは……」
リンは悩んでいた。
【煌神:表に変わり葛藤中、戦場ヶ原の事はほぼ意識外】
【ツバサ:リンをまず説得しようとする】
>>13 協力の了承を聞き、香澄は嬉しそうに男の方へ振り向いた。
その身の運びは、先程よりも元気があるようにも見える。
「ありがとう。別に難しいことをやるつもりはないの」
いかに防弾を施そうが、限界はある。戦車でさえ上部の装甲は薄く設計されている。そうしなければ、自重が嵩み身動きが取れなくなりかねない。
目の前にいるのは軽自動車。あの小さなエンジンでは、まさか完全重装甲とはいくまい。
そんなことをすれば、確実にまともに走らなくなる。
「車か何かをぶつけて、給油口を破壊しちゃえばいいのよ」
稼動部分である給油口が、強度的に劣る部分なのは自明であり、破壊出来る可能性は高い。
「んでもって給油口を壊したら、後はガソリンに火をつけておしまいよ」
ガソリンタンクに着火して搭乗している人間を焼き殺すなど、正気の発想ではない。
それをどこか上機嫌に話すのは、香澄が半分妖怪だからだろうか。
「というワケで、火を点けるためのライターか何か持ってないかしら?」
【天宮香澄、池上燐介着火用アイテムを持ってないか尋ねる】
>>16 >「車か何かをぶつけて、給油口を破壊しちゃえばいいのよ」
ここは駅だ。停車している車の一台、二台はある。
実はそれを使ってぶつけるということを俺も考えないでもなかったのだが……。
「……相手も同じ車だ。いくら自身が『守』に徹するタイプの異能者とはいえ、
迫り来る自動車に潔く体当たりされてくれると思うか? ……当たる前に、避けるだろう」
あの車は状況から考えて、この女と闘って事故ったことは間違いない。
ただ、そのままの状態で先程から動きを見せないのは、『守』に徹している
故に動かないだけか、それともエンジントラブルで動けないでいるのか……
双方とも決め手に欠ける不確かさが俺に決断を渋らせていたと言える。
もっとも、後者の可能性も捨てきれない以上、確かに試す価値はある。
しかし俺の残った体力も後僅か。つまり俺にとってチャンスは一度きりなのだ。
一か八かの局面と対峙して、俺は思わず天を仰ぎ見た。
自分の命に危険が迫り、当然ながら俺の心は黒く淀み始めているというのに、
たまたま視線を向けた方角は、これまで天を遮っていたビルの解体が始まっており、
そこは見ているだけで心の淀みすら消えていくような青く澄すんだ広がりを見せていた。
ただ、ビルの高層部が無い代わりに解体用のクレーン車の一部がせり出し、
それが微妙に障害物となっているのが景色としては残念であるが────。
(………………)
「……あった、あれが」
俺は咄嗟に呟き、銃を向けた。だがそれは先程と同じく車に向かってではなく、
天の方向だった。そして再び二発の銃声が周囲に轟いた。
──瞬間、けたたましい重低音と共に、敵の乗る自動車が強化ガラスの破片を
飛び散らせながらグシャリと潰れた。
特に後部フロントガラスは大穴を開け、トランク部分は見るも無残に潰れている。
衝撃で車輪の軸が折れたのか、後部タイヤはあらぬ方向に曲がっている。
自動車を破壊したのは巨大な『鉄球』──。
ビル解体用に使用するクレーン車が太いロープでぶら下げていたものだ。
俺が銃で狙ったのは、そのロープ。
ビル四階に相等する位置から落とされた重量600kgはあるだろう巨大な鉄球に押し潰され、
地面に押し付ける形なった後部車体からは、見慣れぬ液体が地面を濡らしていた。
俺はすかさずそこに向けて銃弾を撃ち込んだ──。
──地面とそれに接する車体は見る見る内に炎に包まれ、
数秒と待たずして轟音と共に『爆発』を起こした。
「車を燃やすか……中々恐ろしいことを考えるものだ。
だが、火を点けるぐらいなら、マッチもライターも必要ないのさ」
先程までの青い空は、次々と立ち上る黒い煙に覆われていった──。
【池上 燐介:車を鉄球で押しつぶし、漏れたガソリンに引火させ爆発させる】
前スレ
>>283 >>8 >「……呪われてるかもね。貴方のお店」
自分の予感をピタリと言い当てられ、思わずがくりと肩を落とす。
なんで自分の思考はこう、どうでも良い時だけ他人とシンクロするのだろうか?
>「貴方が本当に守りたい人は別にいるんでしょ?獰猛な貴方ではなく、優しい貴方を必要としてくれる人が」
そうしておどけた空気の中に出来た仮面の隙間。そこに、葦川の言葉は入り込んできた。
思い出したのは、恐らく死ぬまで、いや、例え死んでも忘れられないであろう人。
そして、多分俺が唯一……やめよう。
全く、女は怖い。電話の方を向いたままだったのは幸いだった。
「……さあな。もしそんな奴に出会えたら、俺はそいつの為に死んでもいいんだが」
けれど、それは不可能。だから俺はこれからも……
やれやれというポーズを作り振り返った俺は、葦川に促されつつシャッターを開けた。
開いたシャッターの先に居たのは、二人の男だった。
そしてそのどちらも――――恐らく、異能者。
「いらっしゃい。生憎まだ開店前なんだがな」
俺は、訝しげに、だが違和感はもたれないように声をかけた。
前スレ
>>279>>3 >「ってうわあぁぁぁ!」
なんだなんだ、いきなり大声をあげてなんなんだ!
見れば、大声をあげたのは瑞穂の横に居た一人の男性。俺より年上だ。
いきなり大声をあげて地面に倒れるなんて…一体どうしたんだ?
>「ごめんなさい・・・ちょっと手を貸してもらえますか? 腰が抜けちゃったみたいで・・・」
「え…あ、あぁ。わかった」
どうやら自分が倒れたせいで、腰に異常が起きて立てなくなってしまったらしい。
情けないなとは思いながらも、俺は手を差し伸べ男を立ち上がらせる。
「ほらよ。気をつけろよ、まったく」
俺が男を立ち上がらせていると、瑞穂が奥からやってきた男と喋っている。
年齢は…俺と大して変わらないかな。同じ高校生って所か?
この辺には高校は多くないから、俺と同じ高校の生徒って可能性もあるな。
瑞穂に対している男…外見年齢から判断して、恐らく俺の学校の先輩はみるみる顔が強張っていく。
瑞穂との間に、何かあったのか?
>「そういえば、このバッグは君のかな?
色々私物が入っていたのでもしかしたらと思ったのだ」
…おいおいおいおい、ちょっと待て。
人のバックかも知れないと思ってて、使ってたって事か?しかも、中身が入ってた状態で?
なんなんだ、この女…ズレてるとかそういうレベルじゃないような…
まあ、悪いヤツじゃあないしまだそんなに深い仲じゃないからそんなに強くいえないが。
とにかく、この先輩(仮)のことは瑞穂に任せるか。
【廻間:恋島を立ち上がらせる。桐北の対応は瑞穂に一任】
前スレ
>>282>>3>>19 あいてて・・・普段の運動不足が祟ったのか、腰がジンジンする。だがどうにか立ちあがらなけねば
>「ほらよ。気をつけろよ、まったく」
青年が呆れたような口調で俺に手を伸ばしてくれる
これでも二十代なんですがね・・・俺は青年の手を握りよっこらしょと体勢を立て直した
>「大丈夫か?腰を強く打ったようだが、幸いにここは病院。
念のため医者に診て貰うと良いだ」
「どうもです。落としましたよっと…」
一時的なものだから医者に見てもらうほどじゃないです・・・と外国人の女性に返答しかけた際、後ろから声を掛けられた
そういや手元にあった罪と罰がどっかにいってしまった。おそらく後ろの人が拾ってくれたのかも
そう思い振り向くと、患者用の衣服を着たあの生傷青年が、笑みを浮かべて罪と罰を持っていた
・・・って君、歩いて大丈夫なのか!? 包帯や点滴やらで見るも痛々しい。一応罪と罰を受け取る
思わず口が出そうになった瞬間、女性が俺の前にすっと出て、青年に話しかけた
会話の内容は良く分からんが、二人はどうやら顔見知りらしい。俺は二人の会話を妨げないよう口を閉じる
・・・と言っても黙ってるだけでは印象に悪いな・・・生傷青年と女性の事は置いといて
俺は助けてくれた青年・・・いや、学生君にフレンドリーに話しかけた
「いやぁ〜すまない。運動不足のせいかカルシウムの不足か・・・」
・・・待て、これはチャンスではないか? 梓川君とは親しく慣れなかったが・・・
見るからに目の前の青年は姿からして学生だろう。正直この時間帯にフラフラしてるから真面目な学生とは思わないが
っと失礼。それは偏見だ。まぁ何はともあれ、この機を逃す手はない
俺はバックを取り出して中を探り、身分証明である忌まわしい名刺と、疑われない様、出版社の雑誌を青年に渡した
「所で・・・僕はこうゆう出版社でちょっとしたライターを務めていてね。
都市伝説や色々な怪談について調査してるんだ。もしよければ・・・君の知ってる話を聞かせてもらいたいな
無論場所を変えても構わない」
案外口回るな、俺
【現在地:病院】
【廻間に取材を申し込む】
呼びかけの後にシャッターが開いた。
出てきたのは白衣を着た好青年風の男。国崎だった。
しかし今は、片目に付けた眼帯がその風貌に凄惨な印象を与えていた。
たまにこの薬局に立ち寄った事があったから、宗方はこの男を少し知っていた。
もっとも知人という程でもない。
国崎の傍らには、見慣れない女性が立っていた。
バイトには見えない。どうみてもどこかの商社のOLだった。
「いらっしゃい。生憎まだ開店前なんだがな」
国崎は訝しげ言う。まぁ当然だろう。
宗方は考える。
外にあった血痕、傷一つ無い店構え、国崎の眼帯。
おそらく、国崎は異能者だ。でなければこの店がこんなに無事であるはずがない。
そして、あの見慣れない女性も同じく異能者だろう。
宗方は神重を見て、目で合図を送る。手応えありと。
彼らを味方にするには、こちらから能力者であることを明かさねばならないだろう。
「国崎さん・・・だったか。すまないな、こんな早い時間に。
だがこちらも危急の用件を抱えていてね・・・ちなみに隣の彼は仕事仲間の神重だ。」
「ちなみに用件とは、これだ」
そう言うと宗方は、手のひらを拳に握って開く。
宗方の掌から幻影の蝶が羽ばたき、国崎と女性の周囲を飛び回る。
「私は光を操る能力者。二つ名は”明滅<Xペクター、あなた達に敵意を加える気はない。
ちなみにその蝶は無害だ、異能者としての挨拶だとでも思ってくれ」
宗方は手を拳に握ると、蝶は消える。
宗方の映像投射能力”マインドビジョン≠セ。
「・・・伝言は聞いてもらったと思うが、あなたにどうしても伝えたい情報がある。
すまないが中に入れてほしい、立ち話できる内容ではないのでね」
【宗方零 能力者であることを明かし 国崎薬局への立ち入り許可を求める】
>>12 >「…私は随分と昔、あの男の作った組織に所属していた時期があります。
> その頃の私は自分の強さに自身が持てなくて、ともかくある程度の力をもった組織の加護を必要としていました。
> あの組織に入ったのは偶然で、そこまで深い考えがあったわけではありませんが」
ハーケンの独白を私は黙って聞いた。……なるほど、そういう事か。
籐堂院の組織に居たというのであれば、合点がいく。勿論、完全に信用したわけではない。
今の所は現状維持だな。
それにしても、機関による残党狩りを生き延びてこれたものだ。
>「あの男が出張ってくる前に、籐堂院瑞穂を確実に殺す。
> そうすれば器もなくなり、ただの剣となることでしょう。
> 新たな能力に目覚めて、籐堂院瑞穂以外を操ることができるようになっていなければ、ですがね」
瑞穂を殺す気か。いや……瑞穂を食らう気だな。
ハーケンの能力は異能を食うという大変珍しい能力だ。
恐らく彼女が籐堂院の組織に居た時から目を付けていたに違いない。
―――しかし、籐堂院め。
剣になっても機関に固執し、他人を争いに巻き込もうとするとはな。
つくづく罪深い男だよ、お前は……。
ハーケンの過去を聞き終えた私は、右腕を擦った。
この有り様では次の任務に支障をきたすな……。
もし香坂織重がこの街へ来ているのであれば頼んでみるか。
『切断再帰』の二つを名持つ彼女であれば、骨折くらい容易に治せる。
「自ら言ってくれて良かった。こちらの情報を与える代わりに、聞き出そうと思っていた。
……君が何故籐堂院を知っているのか、をね」
さもなくば記憶を探ってでも探りを入れていた筈だ。手間が省けてよかった。
「有益な情報をありがとう。非常に助かったよ。
……もう直ぐ上野君が車を持ってくる。来たら彼と行動を共にすると良い。
―――残念ながら途中まで嫌いなタイプが一緒だがね」
【レオーネ:ハーケンの話を聞く】
【信じた訳ではないが、これ以上疑わない】
閉じたシャッターの前で宗方は答える
「店が開いていないのは見ての通りだ。だが…
こういう個人商店はチェーン店よりもやりやすいんだ
特殊な事情を抱えた人間が立ち寄る場合は特にな。
襲うにしろ、暴力をちらつかせて無理矢理協力を強制するにしろ・・
>>18 >>21 異能者が立ち寄るにはうってつけだ」
「なるほどな。潜伏するにはもってこいってことか」
凶悪な異能者が中に潜伏しているなら 朝から激しくやるとしようか
そんなことを考えながらいると…
「どうやら当たりらしい。見ろ、血だ。ぱっと見そう古い血でもない。ついさっきまで負傷者がここにいたという事さ。
あんたなら血の新鮮さまでかぎ分けられるかもしれん」
シャッターの周囲の血痕、それは誰かが傷を負った証拠。
体の中に取り込めばどれくらい新鮮かは分かるだろう。
そして宗方が薬局のシャッターをノックすると―――
白衣を着…眼帯をつけた男がシャッターを開けて答える
「いらっしゃい。生憎まだ開店前なんだがな」
隣には…女性が一人…。この男の女か何かか?
訝しげに言う男を見て…宗方は俺に合図を送ってくる。
――彼は異能者だ――
正確には、彼らかもしれないが宗方の合図はそれであっているはずだ。
「国崎さん・・・だったか。すまないな、こんな早い時間に。
だがこちらも危急の用件を抱えていてね・・・ちなみに隣の彼は仕事仲間の神重だ。」
どうやら、この男が薬局の店長らしい。
(いくら主導権がお前にあるからといって異能者かも分からん人に非礼はだめだ)
智がそう言うので仕方がなく
「よろしく」
敬ができる精一杯の笑顔で挨拶をした。その顔は引き攣っていたかもしれないが。
宗方が自分を異能者だと確信させるために、能力を使った。
勿論それは攻撃系能力ではない。宗方はその能力を見せた後…
「・・・伝言は聞いてもらったと思うが、あなたにどうしても伝えたい情報がある。
すまないが中に入れてほしい、立ち話できる内容ではないのでね」
そう言って薬局への立ち入りを求めた。これをこの男が認めるかは分からない
下手をすると異能者の確信をして攻撃してくるかもしれない。
宗方は不死身ではない、守る必要がある。
俺は左腕を後ろに隠し、さきほどついていた血痕を左手に集める
襲い掛かってきたときの保険だ。これくらいは準備しておいてもいいだろう。
血液球体形成中…
【神重:国崎の反応を待つ、攻撃された場合は球体が武器に変わる】
>>22 「自ら言ってくれて良かった。こちらの情報を与える代わりに、聞き出そうと思っていた。
……君が何故籐堂院を知っているのか、をね」
どうやら、私の説明に対しては冷静に判断しているようだ。
しかし、あちらの情報を与えるつもりだったというのは怪しい話だ。
精神操作系の異能者が、わざわざ会話で情報を手に入れようとするとは思えない。
特にこの男の場合、その辺に嫌悪感を抱く異能者とは違うだろうし。
「有益な情報をありがとう。非常に助かったよ。
……もう直ぐ上野君が車を持ってくる。来たら彼と行動を共にすると良い。
―――残念ながら途中まで嫌いなタイプが一緒だがね」
確かに、それは残念だ。からかいというのは一対一が一番楽しいのに。
―――しかしまあ、彼に関してはいくつか疑問がある。帰ってくる前に尋ねるのもいいだろう。
「その上野さんのことで質問があるのですが。
貴方、彼とは親しい知り合いだったりするんですか?
それとも、番号つきの幹部に軽口が叩ける程度の地位にいるのでしょうか」
【アルト:質問中】
【小村のことを上野恭平だと思っている】
>>18>>21 >「……さあな。もしそんな奴に出会えたら、俺はそいつの為に死んでもいいんだが」
「お人好しなのは別に良いけどね、貴方は自分が死んで喜ぶ人を護りたいの?」
軽く口を吊り上げてからかう様に言う。
で、言った後にちょっと後悔。
出会って間もない人間が、あんまり意味深なことを言うと怪しまれるかもねえ。。
「ま、別に深い意味は無いから忘れてくれると助かるわ。行きましょう」
なんとか取り繕った微笑みは、しっかりと彼に向けることができなかった。
外にいたのは二人の男。
このタイミングで接触を図ってきたということは、二人とも異能者と見てほぼ間違いは無い。
>「私は光を操る能力者。二つ名は”明滅<Xペクター、あなた達に敵意を加える気はない。
ちなみにその蝶は無害だ、異能者としての挨拶だとでも思ってくれ」
>「・・・伝言は聞いてもらったと思うが、あなたにどうしても伝えたい情報がある。
すまないが中に入れてほしい、立ち話できる内容ではないのでね」
「・・・…どうするの?」
小声で国崎に問う。
国崎の少し後ろで話を聞いていたが、二人にはどうにも危険な香りがする。
その自信に溢れた態度と、どこか脅迫じみた言動から察するに相当な戦闘能力を持っていることが予想される。
だが、今回の事件に首を突っ込む気満々だ。できればあまり関わりたくないんだけど……
>>16>>17 ガソリンが引火し、爆発を起こす軽自動車。
与えられた衝撃も車体を歪め、もはや原形をとどめてはいない。
運転席も例には漏れず、炎と衝撃で完全に大破していた。
「……」
敗因は彼らを一般の物差しで計っていたことだろうか。
認識を改めよう。彼らは十分に狂人だ。
異能を持った人間は、皆狂う。
何かを良いわけにして容易に人を殺せる。
「甘かったのは…私…」
運転席で抱えていたパソコンが大爆発を起こし、彼女の身体を消滅させた。
【善養寺せつな:離脱。敗北ペナルティ】
【能力解除】
>>3 何故?
しばらくこの言葉が頭から離れなかった
いや、それ以上の思考を頭が拒否したのだ
帽子を被っていたから気がつかなかった。注意して見てなかったから気がつかなかった
「君、君は桐北修貴だな?また逢ったな、覚えているとは思うが私は瑞穂、藤堂院瑞穂だ。」
忘れるものか、喋る剣を使う外国人異能者
>「すぐに殺しに行くからさ。」
そして自分に明確な殺意を抱いてる人物。
二度と会いたくないと思った相手がまだ一日も経っていないというのに目の前にいる
恐怖で顔が強ばっても仕方ない話だ
瑞穂本人や先程の付き添いさんや同年代の人が何か喋っているのが目で解るが耳には入ってこない
ただひたすらに考えた
何故彼女がここにいる? 自分を追って?
違う、こんな人いっぱいの所で襲うはずがないし、自分の力の源がヤハウェだとはまだ気づかれてないはず
なら何故?
あの同年代の人(多分協力者だろ)か本人の怪我の治療だろう。そういやさっき看護婦さんが「輸血は今日二人目」って言っていた
ならどうする?
簡単、逃げる
考えに没頭しすぎてたのか、藤堂院さんの顔が何か戸惑った顔をしてるのを気付くのに少し遅れた
自分と目が合うと彼女は何かを思い出したような顔をして
「そういえば、このバックは君のかな?
いろいろ私物が入ってたのでもしかしたらと思ったのだ」
肩に掛けてたバックを見せてきた
…ってホントに自分のじゃん!
なんで躊躇なく使えたんだろう…
バック一つと命の危機を天秤に掛けてバックを取る奴はいないだろう
ならそれに大金をプラスしたらどうなるか…?
少なくとも、自分は迷う人間だった
「あ…、ぅ……」
バックはいいから財布と金を返せ!
と、言いたいのが本音だがここでこの人と仲悪くなりたくないし だが諦めるにはあまりにも……
【桐北修貴:藤堂院瑞穂に動揺
バックを唸ってる】
>>3>>27 >「ってうわあぁぁぁ!」
いきなり叫び声
何事かと思い其方を見やる
>「そういえば、このバッグは君のかな?
色々私物が入っていたのでもしかしたらと思ったのだ」
>「あ…、ぅ……」
見なければ良かった
なんと常識はずれな事をするやつだ…
この様なことを行うのは大概異能者である(偏見
まぁ見てしまったからには何とかしてやろう
そう思いなにやら迷っている方の運命を見る
…此処に来た元凶は私と同じか。
可能な限り気配を殺し異能者(偏見の背後に立ち、
そして肩に手をかける
「まあ返してあげても良いのでは?他人のものを勝手に奪うのは犯罪ですから」
無論笑顔は崩さない
…プレッシャーが非道い止めて置けばよかったか?
【五徳 静慎:藤堂院瑞穂に話しかける】
>>26 不意に、これまで身体に伸し掛かっていた妙な気だるさが消えた。
どうやら敵の異能力が解除されたらしい。
俺は「ふぅ」と一つ溜息をつくと、拳銃を持つ右手の人差し指で
素早くクルクルと拳銃を回転させ始めた。
異能力は解除されたが、単に敵が気を失っているだけかもしれない。
しかし車はもはや全体に火が回っている。
脱出した様子もないし、これでは中の敵が余程の化け物でない限り、息絶えることだろう。
俺は回転させていた拳銃を止め、再び拳銃を手に握った。
その時視線は既に燃え盛る車にではなく、先程共闘したと言っていい女に向けられていた。
女は視線を未だ車に向けており、こちらの視線には気付いていないようだ。
敵は倒したが、この女も生かしておけば後々俺にとって障害になるやもしれん。
(この場で始末するか……)
握られた銃が静かにその銃口を女の背に向けた。
しかし、何の迷いもなく指が引き金を引こうとした矢先に、俺は銃を下ろすのだった。
車のフロントガラスと車体に二発。鉄球クレーン車の鉄球を落とすのに二発。
そしてガソリンに引火させるのに一発。
そう、ニューナンブと呼ばれる銃は"五連発"のピストルだということを、思い出したのだ。
俺は苦笑するように鼻で息を漏らすと、手にしていた銃を地面に落とし、
何も言わず女に背を向けてどこへともなく去っていくのだった。
──ところが振り返りはしなかったものの、俺はすぐに足を止めて女にある事を訊ねた。
「……俺は池上という。お前の名は?」
【池上 燐介:天宮香澄に名を訊ねた】
>>27 「あ…、ぅ……」
桐北はすごく驚いているようでうまく喋れないみたいだ。
やはり、これは桐北がヤハウェ又はヤハウェに関する何かを持っていると言うことだろう。
少しかまをかけてみるか、その前に財布とお金を返しておこう。
この反応は多分返して欲しいけど強く言えないみたいな感じだと思う。
「まあ返してあげても良いのでは?他人のものを勝手に奪うのは犯罪ですから」
いきなり私の肩に手が置かれ、見知らぬ男性がそう言う、気配を殺して近づいたつもりだろうが私には分かっていた。
ただの私の背後を歩いている一般人かと思っていたがそうでもないみたいだ。
「今は私とこの少年が話しているのだ、貴様に口出しをされる筋合いはない
今すぐ失せろ、人の話を立ち聞きするのは趣味が良いとは言えないぞ」
私は肩に置かれた手を払いのけ再度桐北に話しかける。
「廃校に落ちていたから誰かが起きっぱなしにした物かと思ったがそうでもなかったみたいだな。
このバッグは私の下着等が入っているから返せないが中の財布と封筒は返そう。
あとバッグ代として3000円くらいでいいかな?」
そう言って桐北の財布に3000円を入れて封筒と一緒に返す。
すると桐北は少しお辞儀らしきことをして踵を返そうとする、よほど私と話していたくないらしい。
「待ってくれ、せっかくまた逢ったのだ、少し話をしていこう。
そんなに警戒しないでくれ、君がヤハウェだということは既に分かっている
大丈夫だ、殺したりはしない
君の中のヤハウェを消し去る方法を見つけたので殺す必要が無くなったのだ」
桐北の肩を掴み、耳元でそう言うと桐北の強ばった顔は少し和らいだ。
多分当たりだとは思うが確証は持てない、もう一押し言っておくか。
「あそこに居るのがヤハウェを消し去るために協力してくれる人物、『機関』に捕らえられていたところを私が助けたのだ
その際に君がヤハウェだという事も知ったのだ
少し怪我をしていたから病院に来たのだが、まさか君に会えるとは実に運が良い
因みに具体的な方法はまず彼の能力で君の精神とヤハウェを分離して、私の能力でヤハウェを君の体から出し、破壊する
君も私の刀を見たから知っているとは思うが、私の能力は精神を物体に憑依させる能力だ
どうだ、悪い話ではないだろう?」
私は統時を指さしそう言った、統時には後で少し話を合わせて貰おう。
話は全てでっち上げた物だが、桐北が何も知らなければ十分信じられる事だと思う。
「断ったら、無理矢理殺すまでだがな」
と、また師匠が小さく脅すようなことを言う。
当然桐北の表情はまた強ばる。
桐北はここでとぼけられるほど大物ではないはず、嘘はつかないだろう。
ついたとしても桐北は顔に出るタイプだ、一瞬で見抜いてみせる。
【籐堂院瑞穂:桐北修貴にかまをかける】
>>29 「私は香澄。天宮香澄よ」
燃え盛る車から視線を外して香澄は自分の名を名乗った。
その表情からは池上と名乗った男に対する警戒心は感じられず、むしろ「お疲れ様」とでも言わんばかりに微笑んでいる。
「ありがとう。ホントに助かったわ」
先程背中に拳銃を向けられたことに気付いていないのか、香澄は気さくに池上に話しかける。
「それにしても、よくピストルなんて見つけたわね。あっ、もしかして……」
香澄はそこで一端言葉を区切り、池上の顔を見た。
「……普段から、持ち歩いてるとか?」
他人に聞かれたくない話をするような小さな声で、香澄は池上に尋ねる。
「……なんてね!そんなワケないかー!私ったら、何言ってんだろ」
会話のキャッチボールなどどこ吹く風。黙っている池上相手に突っ走る香澄。
初対面の人間が相手であっても、彼女には関係ない。これが彼女なりのコミュニケーションだった。
これを受け入れられるかられないかで、彼女に対する印象は大きく変わるだろう。
「さってと!それじゃ、確認しましょうか」
炎上した車の何を確認しようと言うのか。
「中の人間がどうなったか、一応見ておかないとね」
まともな人間なら、炎上した車の乗員が生きているとはまず考えない。
しかし、彼女は敢えてそれを確認しようとしていた。
【天宮香澄、池上に車内を確認しようと提案する】
>>20 雑誌のライター?つまり編集者のことか?
俺としては、別に構わないんだけど…瑞穂が何ていうか。
今はなんだか知り合いと話しているみたいだし…
それに、瑞穂と一緒にいるところを桜にみられたら不味い気がする。
まだカップルじゃあないのに、そんな気がする。何でだ?
まあ、今は平日の日中なので心配はないと思うが…万が一ってこともあるからな。
とにかく、ここは瑞穂の意見を聞かないと。
「俺は別に構わないけど…えーと…
そうだ、俺の知り合いが何ていうか分からないからな」
瑞穂をチラっとみながら、俺は答える。
瑞穂は知り合いという事にしておいた。
知り合いと言うのは、存在を知っている仲という事なので
あながち間違ってもいない。瑞穂も怒りはしないだろう。
「瑞穂、どうする?この人が俺に聞きたいことがあるらしいんだが。
俺はいいんだけど、お前が嫌だと言うなら断るぞ」
瑞穂へと向きかえり、俺は言う。
別に予定もないし、大丈夫だとは思うんだが。
【廻間:瑞穂に取材を受けるべきか問う】
小村は車をとりに瓦礫の山の切れ目、切れ目を歩いていた
・・そういえば、ラーメンを食べているときにアルトが何か言っていたような・・・・
食べるのと考えるのに夢中で気づかなかったな、後で聞いてみるか・・
そんなことを考えながらのたのたと歩いていた
車に着きドアを開けようとした瞬間、
唐突に横から何かが小村に向けて襲い掛かかる―――!!!
小村はそれをゴッドバルトで受け止め、跳ね除ける
ゴッドバルトの腕で粉砕されたそれは透明な力の塊だった
「誰ですか、こんな事をするのは」
その呼びかけに応え、瓦礫の上に仁王立ちするのは――――
『ブァッハハーー、この俺様だ』
ゴッドバルトよりは小さいが小村はより大きい背の・・・・・・・・・・熊だった
「・・・・熊?」
小村は唖然とした――――――がすぐ理解した
・・・・異能獣か
異能獣、それはその名の通り異能をもった獣などを表す
いわば異能者の動物版だ
機関でも異能獣に関しては研究しており、人工的に異能獣を造っている
・・・・異能獣だとすると人間の言葉を話せるのは異能の力か・・
あまり異能獣の気に触れたことはないから私やレオーネ達も気づかなかったのだろう・・
「熊がなんの用ですか?」
『・・・・・・』
急に熊が黙りだす
「どうしました?」
『・・・お前さ、もうちょっと驚かないわけ?だって熊がしゃべるんだぜ?』
「んなことはどうでもいいですから 用件は?」
『・・・まあいい、俺の目的はただ一つ!!人間への復讐だ!!
動物園の奴らめ、俺が原因不明の病にかかったからってこんなところに
まだ小熊だった俺を捨てやがった
ま、俺はその病のおかげでこの力を手に入れたんだが――――な!!!!』
熊の口から先ほどと同じ透明な塊が飛び出した
ゴッドバルトが前に立ち、塊を空へ受け流す
「それがあなたの能力ですか・・」
『ああその通りだ。これがこの俺、熊田(くまだ)様の【咆哮本能(プレジャーハウリング)】!!!!
音を変幻自在に操ることができる力だ。だからてめーら人間が理解できる周波数で話をしたり、
今みたいに音圧を固めて飛ばすことだってできるんだぜ』
そんな胸を張って意気揚々と話す熊田に対して小村は
・・・・・ネーミングセンスが酷すぎる
あいつはあれで気に入っているのだろうか・・・
こんなことを考えていた
『ま、ともかくお前はこの俺様が殺して、哀れ!!瓦礫の山で熊に襲われ死亡!!、
っていう新聞の見出しを飾る運命なんだよ』
「・・・分かりました」
『お、なんだ。諦めたか?ブァッハハーー、そりゃそうだな、
いくらお前が異能者だかr―――』
「あなた相当センスがありませんね。そんな今時『哀れ』で始まる見出しなんてありませんよ
そのあなたのダサイ名前も気に入っているのでしょう」
『きききききききききさささささままままああああ!!!!!!
許さん!!こうなったらいたぶって、いたぶって、いたぶりぬいてごめんなさいと言わせてやる!!!
【音域停止(サウンドシャットアウト)】!!!』
熊田がそう叫んだ瞬間、小村の周りの音という音が静まり返る
熊田の声、小鳥のさえずり、瓦礫の山をすり抜ける風全てが静まり返る
また鳥は音波を出して方向を決めて進むため、方向が分からなくなり
次々と瓦礫にぶつかり地面に落ちていく
『ブアッハハーー、俺様から半径10m以内の音は俺以外の誰にも聞こえん!!!
外の音、中の音も聞こえないから仲間に期待するなよ!』
そう勝ち誇った声で唸る熊田の声は熊田以外の誰にも聞こえない
・・・・・何も聞こえなくなったな、奴の能力か。これは私だけなのか、
それとも他の生物にも効果があるのか・・・
いつも通りまず分析を始める小村
『さて、アンちゃんいくぜ、この空間で俺が繰り出す音圧の塊をいくつ受けられるかな?
・・・・狩りの時間だ!!!』
そう言い、即座に瓦礫の山に身を隠し、小村を中心に瓦礫の影を走り出す
『くくく、見たところ奴の異能は近距離パワー型、遠くから攻撃すりゃ俺の勝ちだな』
が、いきなり何かにぶつかり、熊田はバランスを崩し尻餅をつく
『んな!?なんだいきなり壁・・・が・・・』
見上げるとその姿は魔神を沸騰させる大男、ゴッドバルトだった
『んな!?お前はあいつの異能!?』
「・・・見つけましたよ」
ゴッドバルトの後ろから小村が前に出てくる
『な・・・てめ・・・どうして分かった』
その声は小村に届いてないが
「どうして分かった、って顔してますね、簡単です。まず音が聞こえなくなったのは空間的に、
それは鳥が方向を見失って落ちるのを見ればガキでも分かります。次に範囲、少し遠くの鳥は
自由に飛んでいるため範囲はせいぜい10mぐらいでしょう。」
『でもなんで俺様が近くにいると分かっ――――――』
熊田の声を遮り、
「最後になぜあなたがそばに居るのか分かったかそれは・・・・あなた少々大きすぎます
この瓦礫で音を立てず走るなど不可能、かといっても歩いたら技の出所で場所が分かるし、あなたの技は何十mも跳びそうな技じゃない。だからこうやってゴッドバルトを分裂させ、
周りを探させれば必ず見つかる」
『・・・・分裂だと・・?』
気がつくと周りにはゴッドバルトがずらりと熊田を囲んでいた
『な、、、なんじゃこりゃ!!・・・この!!』
熊田が音圧弾を放つが小村はひょいっと避け、ゴッドバルトの腹を通過していく
「この通り、ゴッドバルトは変幻自在、体を増やすぐらいどうって事ありません」
『な・・・なにをするk・・・・・・ぎゃばああああああああああ』
小村が悪魔の笑みを浮かべ、熊田の叫びが木霊するが、それは外には聞こえなかった
「ようやく、終わりましたね」
「ソウダナ、ニシテモアレハヤリスギジャナイカ?」
「最近負けっぱなしなのでね、ちょっと憂さ晴らしです」
・・・にしてもだいぶ遅れてしまった、アルトとレオーネをだいぶ待てせてしまったな
車のところに戻ってくると
「な・・・・・」
そこには先ほどの音圧弾でスクラップになった鉄くずが置いてあった――――
戻ってくるとレオーネとアルトはなにやら話し込んでいたようだった
「その上野さんのことで質問があるのですが。
貴方、彼とは親しい知り合いだったりするんですか?
それとも、番号つきの幹部に軽口が叩ける程度の地位にいるのでしょうか」
「それは言えませんね。私の地位については機密項目なので」
レオーネが答えるより早くレオーネ達の後ろから小村が返答した
「で、車なんですが・・・・・実は大破してしまいまして」
アルト、レオーネとも驚愕の表情を浮かべている
「・・・・・どうしましょうか?」
【熊田と戦闘・・・勝利】
【車が大破、しかたなく手ぶらでレオーネたちのもとに戻る】
>>31 『天宮香澄』と名乗った女は、立て続けに言葉を捲し立ててきた。
それもこちらの返事を待たぬ内に勝手に自己解決してしまうという、
典型的なおしゃべりの人間であると直ぐに分かる程に。
俺は相変わらず喜怒哀楽のどれにも属さない表情を保ったままだが、
勘のいい人間であれば、こちらの雰囲気を読み取って直ぐにでも口を噤んでいただろう。
今の俺は極度に体力を消耗しており、長々と会話するほどの余裕はほとんどないのだ。
>「中の人間がどうなったか、一応見ておかないとね」
だが女はこちらの事情などおかまいなしに、遺体の確認をしようと提案した。
既に死んでいるとほぼ断定できる程の惨状が広がっているにも関わらずだ。
俺はたまらず拒絶の意を表した。
「……好きにしな。だが、俺は失礼するよ。
もし車内の人間が生きていても、どちらにしろもう俺に出来ることはない」
そう言い、俺の視線の端で倒れている人間達に何気なく目を向けた。
そいつらは初めに女を発見した時にたまたま視界に入っていた連中だった。
顔は見てないが、体つきからして恐らく若い男だろうが、
あの時と変わらず、そいつらは相変わらず地面に伏したままである。
近くには俺が燃やした車の物と思われるタイヤの跡に、
何故か千切れた人間の物と思われる手首が投げ捨てられているかのように転がっていた。
それらを見て何かを感じ取ったかのように、俺は再び女に向かって口を開いた。
「……俺は病院に行く。
この周辺で倒れている人間の中にもしお前の仲間が居たなら、
そいつも早いところ病院に連れて行ってやることだな」
それだけ言うと、俺は歩き出し、今度こそ立ち止まることはしなかった。
(……喫茶店にでも入って時間を潰すつもりだったが、この有様では閉まっているだろう。
時間を体力回復で潰すことも兼ねて、病院で点滴でも打ってもらうとしよう)
【池上 燐介:駅前→病院へ】
>>21,,23,,25
「変質者は家に入れないのが普通だろ……とでも言いたい所なんだが、
確実の確信無し人に能力晒す様な奴等だからな。追い返すよりも、店の中に入れた方がいいだろ」
宗方と神重、訪れ名乗った二人の男達。
端的に言えば、俺には彼等の言葉を信じる理由が無かった。
見知らぬ人間からのいきなりの電話に、急転な来訪、その上、異能をチラつかせ
話したい事があるから店に入れろとくれば、はっきりいって彼等の言葉を信用出来る筈が無い。
あまりに材料が不足しすぎている。むしろ危険人物と捉えた方が適切だろう。
だからこそ、下手に暴れられるより、一旦店に入れてしまい、
罠なら罠ごと喰らえる形に持ち込んだほうがいい、そう考えたのだ
俺は、葦川に更に小声で返した後、二人に対し
「さて。まあ、お前さんが手品上手なのは判ったが、そんなガキの自分設定はどうでもいいんだ。
救急箱だったか? とにかく、とっとと買い物済まして帰ってくれ。俺は開店準備で忙しいんだよ」
鬱陶しそうな表情を作って指差したのは店の玄関。
一般人の偽装の裏側は、そこまでならば入ってもいいと言う意思表示。
そうして俺は葦川を促しつつ店内に戻っていく。
「ああ……ところで、神重っていったか? お前さん、何で腕を後ろに隠した?
何か見られちゃマズイ物でも持ってるなら捨てていけ。 警察呼ぶぞ」
店に入る直前に、その一言を残して。
【国崎:警戒故に、仕方なく二人が店部分に入ることを許可。一般人の演技はしたまま】
>>30>>32 些か強引だったかな・・・青年は雑誌と名刺を受け取ると悩む仕草を見せる
やっぱここでの交渉は少しまずかったかな。彼自身もココに用があったかもしれんし
ふと生傷青年と外国人姉さんに目を向ける
なにやら生傷青年の様子はちょいとおかしい
どうも会いたくない相手と出くわしてしまったかのようだ。にしてもあのキョどり方
色恋沙汰では無さそうだな。若いのに苦労が多いな・・・頑張れ生傷青年
っとあちらの方に気を逸らしていると
>「俺は別に構わないけど…えーと…
そうだ、俺の知り合いが何ていうか分からないからな」
青年が悩んだ末、承諾してくれた。・・・ふぅ、安心した
もしも突っ撥ねられたりでもしたら俺はもう気力がグーンと下がって立ち直れなくなってたよ
だが同伴者・・・もとい、外国人の姉ちゃんの同意が必要か。まぁ当然だろうな
二人の関係を察する事はしないけどね
すると青年が会話中の生傷青年と外国人姉さんの方に体を向ける
・・・ん? なんか見慣れない人が居るが、この際置いておく
>「瑞穂、どうする?この人が俺に聞きたいことがあるらしいんだが。
俺はいいんだけど、お前が嫌だと言うなら断るぞ」
気軽な口調で青年が外国人姉さんに話しかけた瞬間、外国人姉さんが青年を指差した
青年がぽかんとして外国人姉さんを見つめ、外国人姉さんがこれまた青年の顔を見つめキョトンとした
「・・・っぷっ」
何か分からないけどその光景が妙にシュールで、俺は噴出してしまった
・・・うむ、失礼だな。俺はすぐにイケメン、もとい真面目な顔を作り、外国人姉さんの返答を待つ
・・・どうでも良いけど外国人姉さんって言いにくいな
【廻間と同じく籐堂院の返事を待つ】
>>37 >> 「さて。まあ、お前さんが手品上手なのは判ったが、そんなガキの自分設定はどうでもいいんだ。
>>救急箱だったか? とにかく、とっとと買い物済まして帰ってくれ。俺は開店準備で忙しいんだよ」
国崎は鬱陶しそうな表情で宗方達の進入を許可した。
まずは成功。警官時代に学んだ”強引な捜査法≠ェ役に立った。
逆効果になるかもしれないあの”手品≠烽ネんとか功を奏したようだった。
指さしたのは玄関。なるほど、「それ以上は足を踏み入れるな」という事か。
しかし…彼は今までで出会ったどの異能者とも違っていた。
>>「ああ……ところで、神重っていったか? お前さん、何で腕を後ろに隠した?
>>何か見られちゃマズイ物でも持ってるなら捨てていけ。 警察呼ぶぞ」
神重を見る、片腕を後ろに回して注意無くこちらを伺っていた。
彼なりのフォローなのだろうが、宗方の”手品≠見せた今となっては危険すぎた。
「神重・・・手品ならもう私が見せた、二度やる必要はないさ。彼もそういうのは見飽きているだろうしな。
今は手品の種をしまってくれ、私の事なら心配無用だ」
宗方は国崎が今までの能力者と違っている理由に気づいた。
それは彼は能力者であることを隠したがっていたからだ。
その判断は賢明だ。
一般人に紛れて異能者が能力を隠すのは当たり前の事だ。
そして、異能者とは全く関係ない真っ当な商売人として日々を送っている。
宗方などよりもよほど真っ当だった。
その見知らぬ過去には、想像も及ばぬ苦渋の過去があったのだろう。
国崎にとっては、宗方ごときは日常を脅かす侵略者でしかない。
しかし宗方はその感傷を心の中で断ち切り、決意する。
この男をどうあっても”こちら側≠ノ引きずり出す。
国崎は、宗方の話を聞く気は全くないようだが、どうあっても聞いて貰う。
そしてその方法は余りにも簡単だった。
人として言うならば唾棄すべき方法。
宗方の稼業ではそれが当たり前の方法で。
「済まないな、では入らせてもらおう。」
宗方は玄関で足を止めると、ポケットから封筒を取り出す。
「10万ほどある、釣りは要らないから取ってくれ。
本当ならレジで会計を済ませたいところだが、あなたの意志を尊重しここで会計をしよう」
宗方は腰を屈めて封筒を床に置く。
「取ってくれ」
そう言って封筒を国崎の足下に滑らせる。
国崎の視線が一瞬封筒に向いた瞬間、宗方は”ルクスドライブ≠発動。
国崎の鼻先まで光の速度で移動し、光速で手を閃かせると玄関先へ瞬時に戻る。
宗方は、国崎を真っ向から見据える。
片手に国崎から掠めとった眼帯を持って。
眼帯を奪い、負傷の跡を見ることによって国崎を問いつめる材料にしようとしたのだ。
だが、露わになった国崎の”眼≠ヘ人のものではなく異形そのものだった。
これを暴くことは、国崎にとっては想像以上の苦痛だろう。
宗方は感情を完全に殺し、淡々と語り始める。
警官時代に培った感覚がまた役に立った。
「その眼は”ものもらい≠セなんて言うわけでもあるまい。
国崎さん、あんたは異能者だ。
隠しても分かるさ。もう隠しようがないんだからな。
開店前なのに店先にあった血痕、眼帯、この非常時に不自然に無事な店舗。
バレバレだ。猿芝居もほどほどにしてくれ。
あんたが自分の日常を大事にしたい気持ちは分かる。
見ての通り今までうまくやりおおせてきた。
”普通の人生≠送る事に。それは尊い事だ。誰にもできることではない。
本当に立派な事さ、あんたに比べれば私などはちんぴらに等しい。
だが今この街は、普通の法と普通の感覚と普通の人生が通用しない街になっているんだ。
それも、何も関係のない少数の人間たちの意志でそうされてしまったんだ。
だから情報を携えてここに来た。
このくだらないゲームの主催者共の思惑、そしてその居場所を知らせるためにだ。
だがあまり時間はない。このまま手をこまねいていてはな。
おそらく奴らはこの街を消す事すら辞さないだろう。
そうなれば人生全てが水の泡だ。あんたの人生も私の人生もだ。
そうなってもいいのか?私はまっぴらごめんだ。それでもこの期に及んでまだ猿芝居を続ける気か?
それはあんたの勝手だがそれでは何も救えんぞ、あんたの人生”さえも≠セ。」
宗方は一息でそこまで言うと。ジャケットを脱ぎ捨てて全ての武器を投げ捨てる。
懐中電灯、光線銃の入ったホルスター、ベルトの下の光ファイバケーブルが床に落ちて乾いた音を立てる。
「繰り返し言うがあんたに危害を加える気はない、話をしにきただけだ。
私はあんたになにをされてもやり返さない。誓うよ。
あんたが手の内を見せないからこうした。非礼は承知だ。
憎むなら憎んでもらって構わん。だが私を殺すのは話を聞いてからにしろ。
あんたにその気がないというなら・・・勝手にしろ」
宗方は神重を横目で見て「絶対に手を出すな」とだけ言うと
国崎と対峙した。
【宗方零 国崎から眼帯を奪い能力者であることを暴く】
>>35 私の質問にロンバルディーニが答える前に、上野さんが現れた。
「それは言えませんね。私の地位については機密項目なので」
つまり、やはり前線隊長というのは嘘だということか。
機密項目だとか言い出す時点で、幹部クラスの地位はあると考えられるだろう。
まあ、まさか全ての黒幕だ、ということはないだろうが。
…しかし、突然声をかけるのはやめてもらいたいものだ。
「で、車なんですが・・・・・実は大破してしまいまして」
「―――――――馬鹿ですか、貴方は。
どうやったらこんな短時間で車を壊せるというのです。
……機関に敵対する者の破壊工作だとしても、子供じみていますし」
しかし、車が壊れたとなると…これは、少し面倒だ。
まさかタクシーを借りるというわけにもいかないでしょうし。
「・・・・・どうしましょうか?」
…それならば、歩きしかないか。半裸男を連れ歩くのは嫌なのだけれど。
まあ、問題はないか。近場の店で衣服でも買えばいいだけだ。
しかし、私とロンバルディーニは持ち合わせがない。だから、
「それなら、まずは上野さん。ロンバルディーニさんの服を買ってきてもらえませんか?
流石に半裸の変質者を連れ歩くのは気が引けますからね」
ついでに毛布も買い換えたいところだが、流石にそこまで甘えることはできないだろう。
【アルト:毛布を買い換えようか考え中】
【小村のことを上野恭平だと思っている】
>>24 >>35 >>41 >「その上野さんのことで質問があるのですが。
> 貴方、彼とは親しい知り合いだったりするんですか?
> それとも、番号つきの幹部に軽口が叩ける程度の地位にいるのでしょうか」
小村の現在の立ち位置は前線基地の隊長だったな。
ならば、何度か顔を会わせた程度に留めておくか。
大体、偽情報を教えるからこんな面倒な事になるのだ。素直に自分の身分くらい明かせば良いものを……。
―――いや。愚痴を言っても始まらないな、過ぎた事だ。
今はその設定に合わせていくしか―――
>「それは言えませんね。私の地位については機密項目なので」
返答の台本を書いていると小村が"歩いて"戻ってきた。
やれやれ……。手間が省けた。
―――待て。"歩いて"…だと?
車はどうしたのだ? ここまで入って来れないのだろうか?
……途轍もなく嫌な予感がする。気のせいであって欲しい。
>「で、車なんですが・・・・・実は大破してしまいまして」
小村の言葉に耳を疑った。車が…大破した……だと!?
何という事だ! このままでは変質者に間違えられてしまう!
最悪の想像が頭を過る。不味い…非常に不味い……!
―――というのは冗談だ。何もそこまで焦る必要は無い。
小村の車が使えないのであれば、代わりの物を用意すればいい。
>「それなら、まずは上野さん。ロンバルディーニさんの服を買ってきてもらえませんか?
> 流石に半裸の変質者を連れ歩くのは気が引けますからね」
この女、どうしても小村の情報を聴き出したいようだな。
「まぁ待て。上野君、何が遭ったか敢えて聞かないが、
車が壊れたのなら機連送で本部から迎えを頼めば良いのではないか?」
実にシンプルかつ確実な方法だ。私の腕の治療も行えるだろうし、
ハーケンにも連絡手段を与える事が出来る。『マンデリン』のコーヒーも在る。
「ハーケン君、どうせ君は上野君を買い物に行かせている間、彼の事に探りを入れるつもりなのだろう?
それに上野君も、機密事項…という事は、それだけの地位に居るという事を露呈させたも同然だ。
……もう話しても良いのではないのか?」
【レオーネ:小村に機連送で迎えを寄こせばどうかと提案】
【情報開示の決定権は小村に渡す模様】
>>36 「ふぅ…行っちゃったか」
少しだけ残念といったふうに、香澄は呟いた。
しかし、彼女は立ち去る池上の背中を最後まで見送ることなく、早々と車に駆け寄る。
怪我人がいる以上、あまりゆっくりとしているワケにはいかない。早々に車内の確認を済ませなければ。
燃え盛る車に対して、何の躊躇いもなく香澄の腕が伸びていく。
炎が彼女の手を包んでも、彼女の表情は少しも変わることはない。
香澄はおもむろに車のドアを開けようとするが、それは叶わなかった。
ロックが掛かっているのか、それとも事故の衝撃で歪んだのか。真相を確かめる術は、彼女にはない。
「…仕方ないわね」
ガキンッという音と共に、香澄は車のドアを強引にこじ開けてしまった。 どう見ても、人間の腕力ではない。
更に彼女は火葬場のような様相を呈している車内を覗き込んだ。
「う〜ん…流石に跡形もないって言うのは、ちょっと不自然な気もするわね」
確かに死体が跡形もなく消滅しているのは不自然ではあるが、炎の中で平然としている香澄自身の方がよっぽど不自然である。
「…もしかしたら、逃げられたかしら?」
そんな疑問が沸き上がるが、それを確認することは出来そうになかった。
それよりも、あの車を止めてくれた男の安否の方が香澄には気掛かりだった。
香澄は車から離れると、脇目も振らず倒れている男に駆け寄る。やはり彼女は人ならぬ身なのか、その身体のどこにも火傷を負ってはいない。
「大丈夫ですか…?敵は倒しましたよ」
自分に全てを託してくれた男に対して、香澄は自分の勝利を告げた。
その声には、もし男が死んでいたらどうしようという不安がにじみ出ていた。
【天宮香澄、倒れている七重に話し掛ける】
>43
意識を取り戻す者もいれば、
しじまに取り残されている者もいた
幸いにも、七重は前者の方に含まれたようで、倒れたまま薄らと瞼を開いた
次いで、右手を動かし、後頭部をガシガシと掻く
髪は徐々に赤く染まる。どうやら傷まで引っ掻いているらしい
余り痛みを感じさせない表情は、神経が半ば麻痺している証だろうか
>「大丈夫ですか…?敵は倒しましたよ」
と七重に話しかけるのは、先ほど彼に共闘を申し込んだ女性であった
端正な顔立ち。風に揺らぐ黒髪
彼女の容姿を改めて観察した七重は、何らかと唇を開きかけたが、
そこから零れたのは言葉ではなく、鮮血である。口内が裂けているのだ
仕方無しに、首を縦に振って返答とした
その女性の彼方に、そっと人影が揺らめいてはいたが、
すでに明瞭さは失われており、七重の気を惹くには至らない
七重は視線をずらす。車体が巨大な鉄球に潰され、炎上しているのが見えた
異能者が乗っていたであろう、赤い化粧を施した、白い軽自動車である
黒煙と、鼻を侵食するようなどぎつい臭いが撒き散らされている
単に油や金属の焼ける臭いではなさそうであるが、
そこから先を、一体誰が推察し得るであろうか
七重はもう、状況の把握をすっかり放棄していた
過程はどうあれ、異能力から解放されたのは確かである
七重は立ち上がり際、赤色を吐き出す
「倒しまし、た」
女性の言葉を復唱する七重から少し離れて、
ひしゃげた自動車が、炎を煽り喝采するかの如く、
小さな爆発音を立て続けに放っていた
「あれは何の用だったんだ」
しばしの沈黙を破って、七重は質問を提出した
あれ、というのは、異能力に見舞われる前に交わした駅での会話を指す
一度死に掛けておいて、些細なやり取りを覚えているというのも、
妙なところばかり気にかける男である
「用無しになったんなら、俺は自分の面倒を見る」
と言いつつ、七重は地面に転がっていた、自分の携帯電話を取り上げる
車との衝突に備え、咄嗟にポケットから放り出していたのであった
傷だらけの機体を弄り、さりげなく、どこかに着信を入れ、
簡潔にボソボソと喋ると、五秒と経たずに通話を打ち切った
凄惨な光景もどこ吹く風
近づくサイレンの音と、緩やかな雨粒が、空気を漂白し始めた
>>44 すぐに通話を打ち切ったところを見るに、男はなかなかさっぱりした性格らしい。
しかも呼び止めたことをきちんと覚えていた。香澄は最初に声を掛けたのが、この男で良かったと実感した。
「すみません。異能者でしたら、大きな剣を振り回す男と、風を操る少女のことを知りませんか?私の仲間なんです」
見ず知らずの相手に自分の仲間のことを話すのが、どれだけ危険かは言うまでもない。それでも、香澄は目の前の男に自分の仲間のことを話した。
「その二人と合流するために、私はここへ来ました。それに…」
ここから先は本当に話す相手を選ぶ必要があった。もし今から話す内容が敵に知られでもすれば、見知らぬ街で活動する自分達にとっての生命線を断たれかねないからだ。
「…もう一人、すでに二人と合流しているであろう人物がいるのですが」 ここまで話して勿体ぶる香澄ではない。彼女はそのまま男に向かって言葉を続ける。
「その人がいれば、あなたのケガを治すことができます」
言ってしまった。だが香澄は後悔してはいなかった。
目の前の男は少なくとも敵ではないだろうし、先程の携帯での通話を見る限り口を滑らせそうにもない。
香澄が懸念していたのは、目の前の男が文月や如月について知っているかどうか、ただそれだけであった。
【天宮香澄、七重に文月達について尋ねる】
「返してあげても良いのでは?人の物を勝手に使うのは犯罪ですから」
藤堂院さんからの質問(精神的には既に拷問)に迫られた自分に差し出された知らないおじさんの助け船は
「今私とこの少年が話しているのだ、貴様に口出しされる筋合いはない
今すぐ失せろ、人の話を立ち聞きするのはあまりいい趣味とは言えないぞ」
あまりにも、冷たく突き放した言い分に一蹴された。
自分に対する喋り方との天と地の差に、驚きと疑問を感じていたら彼女は何事も無かったように自分にバックを出した
外見のみの確認だが間違いなく自分のだろう
既に重宝していて返さないかわりと称して三千円をプラスされて財布と封筒が帰ってきた
本当の値段はセール品で3,580円だったのだが流石に今は空気を読んで黙っていた
それよりも封筒である。部屋で中身の安否を確認せねば…
「待ってくれ、せっかくまた逢ったんだ。
少し話をしていこう」
自分なりの誠意を込めて彼女に感謝し、そそくさと病室に行こうとしたが失敗した。
ちょっと待ってくれ…、見て解るでしょ?自分怪我人、休ませて下さいよ…
「そんなに警戒しないでくれ、君がヤハウェだとは既に分かっている
大丈夫だ、殺したりはしない
君の中のヤハウェを消し去る方法が見つかったので殺す方法が無くなったのだ」
(なっ…!?)
その言葉に全身に衝撃が走った。
話の内容も勿論なのだが、今すぐ飛びつきたい話なのだが…
この人、何故『ここ』で言うんだ?
という焦りと疑問が出た
その後彼女は具体的な方法説明をし始めた。 無論『ここ』で
「どうだ、悪い話ではないだろう。」
「断ったら、無理矢理殺すまでだがな」
最後の剣の一言が引き金だった
プチッと自分の何かが弾けた気がして
「ちょっ、ちょっと来て下さい!」
自分でも驚くくらいの力で藤堂院さんを待合室の隅に引っ張った
その能力者の人が藤堂院さんに何か話しかけていたが無視した。
「なに考えてんですか藤堂院さん!」
自分の第一声(当然向こう三人には聞こえない程度)
に相手は本当にわからないといった顔で首を傾げた
>>46 「あ〜、もう! わからないんですか!?
ヤハウェとか機関とかそういうコッチ関連の話を『普通の人』の前でしちゃだめじゃないですか!
もしその人が好奇心で不用意に首突っ込んで、他の異能者にいきなり殺されたりもしたらどうするんです!?
それに、殺す必要がなくなったとか言っておきながら、断ったら殺す?
なんですかソレ! 自分の命貴女の気分次第ですか!?
つか、鞄に入ったままの剣が喋るな! しかも人前で、心臓に悪いですから…」
自分勝手
何となくこの人にはこの言葉が合ってる気がする
そんな失礼な考えをしながらエレベーターに振り向いた
とっくにエレベーターは別階に移動しており
二度手間になることに小さく溜め息を吐きヒートした反動か無意識に自己防衛の嘘と話題変更をした
「ヤハウェだがなんだが知りませんけど…
結局、異能者の力なんてみんな『誰か』の都合じゃないですか。
知ってるとは思いますけど、自分この前偶然聞いたんですよ。 異能力って……」
【桐北修貴:藤堂院瑞穂に長束誠一郎から聞いた話(異能者は全て機関が作ってる事)を話すつもり
あまりこの話は本人も嫌なので誰かに止められれば話すのをやめる】
>>46-47 静かに彼女の返答を待っていた俺達だったが、意外な展開となった
何故かは分からないが、生傷青年が外国人姉さんの腕を掴んで待合室の隅へと引っ張っていった
彼女が生傷青年にどんな事を言ったかは推測できないが、よっぽど気に障ったんだろうな
けど、あの調子だとけっこう長くなりそうだ
それにあんな調子だと外国人姉さんも多分取材に対して乗り気にはならないだろうな
外国人姉さんが連れてかれて、目の前の青年は目をぱちくりさせている
やっぱ失敗だなぁ。こんな調子じゃ俺もモチベーションが下がる
けどそれなりに情報網は掴んだ。俺は生傷青年と外国人姉さんに向けていた顔を青年に向きなおした
「なんか長くなりそうだねぇ・・・悪いけど、この話は持ち越した方がいいな
その名刺に僕の携帯電話の番号が書いてあるから、気が向いたら電話しておくれ」
俺は青年にそう告げて、名刺を見るよう促す。それなりの個人情報は書いてある
けど正直こういったケースで電話をくれる人は殆ど居ない。わざわざ時間を割くほど暇な人は居ないということだ
ぶっちゃけこの時点で取材は100%失敗だな。あまりに駄目っぷりにため息も出ない
「それじゃまた。助けてくれて有難う。感謝するよ」
青年に会釈をして俺はその場を後に・・・いや、一応礼はしておこう
俺はバックを漁り、謝礼金代わりのそれを取り出した。全国共通のとあるファーストフード店の割引券だ
これぐらいなら何とか条例にも引っかからないだろう。青年にその割引券を数枚手渡す
「あと一週間くらいで期限が切れるからお早めに。だれか親しい人でも誘ってね。じゃ、これで」
青年にそう言い残し、俺は待合室を後にした。しかし青年にしても生傷青年にしても、あの外国人姉さんの何なんだろう
若いって良いなぁ…若干の恨めしさを残しながら玄関前まで
っと、下を向いて考え込んでいたら誰かと肩がぶつかった。バックの中身が地面にバラける
「あ、す、すいません!」」
ぶつかった人に謝罪して地面にバラけた諸々を拾う・・・と
『達哉、気をつけて』
久々に耳鳴りが俺に囁いた。・・・つーかぶつかってからじゃ遅いっつーの
ぶつかる前に何か言ってくれりゃいいのによ。耳鳴りに対しブツブツと嫌味を呟く
けど耳鳴りの感覚も分からなくも無い。何だか凄く痛い目線を上から感じる
俺は恐る恐る立ち上がりながらぶつかった人に目線を合わせる
灰色の髪の毛に正に切れ長の目の男が、俺にキッツイ目線を向けている
その迫力に気圧され、俺はそそくさと逃げるように病院から出て行った
いや俺が悪いんだし、逃げたって言うか気まずいというか・・・
けど妙な感じがしたな、今の人。なんというか・・・駄目だ、上手く言えん
取りあえず病院には用は無いし、駅方面に行ってホテルに向かおう。つうかそれが最初の目的だ
取りあえず所持金を確認しておこう。バックを漁り財布を・・・
財布・・・アレェ!?財布が何処を探っても見当たらない。おかしい、おかしいぞ
まさかさっきバックの中身をぶちまけた時に落としたか?どれだけついてないんだよ、俺!
よし、方向転換だ。俺はダッシュで病院に舞い戻る事にした
【病院にUターン】
【病院に財布を落とす】
>>47 「ちょっ、ちょっと来て下さい!」
桐北はそう言うと、見かけによらない強い力で私の腕を掴んで待合室の隅っこへ引っ張る。
どうしたのだろうか、師匠の言葉がそれほど気に障ったのか?
「なに考えてんですか藤堂院さん!」
私が何を言っているのだというふうに首をかしげると桐北は少しいらついた顔になる。
「ヤハウェだがなんだが知りませんけど…
結局、異能者の力なんてみんな『誰か』の都合じゃないですか。
知ってるとは思いますけど、自分この前偶然聞いたんですよ。 異能力って……」
さりげなく否定はしているが桐北はやはりヤハウェだろう。
『機関』もヤハウェも知っているとなると、多分『機関』に何度か接触した事があってその時聞いたのであろう。
「私がここでこの話をしたのは少し不用心だった。
しかし、特に気にすることではなかったのだよ、私達にとっては『機関』などの言葉は危険なものだ。
例えば一般人が『機関』やヤハウェという単語を聞き取ったとする、どう思うだろうか?
大方ゲームや漫画の話だと思うだろう、一般人は『機関』なんて知らない。
100%までとはいかないが99%は気にもとめないだろう。
今君がとった行動のせいで逆に怪しまれた可能性だってあるのだ、あくまで可能性の話だがな」
私は一度言葉を止め、向こうの方で呆気にとられている統時に手で少し待ってくれと合図を出す。
「確かに殺さず済む方法は見つけたがな、まだ一度も試したことのないから確実性もない、俺ははっきり言ってこの方法には賛同出来ない。
それと、一般人が戦いに巻き込まれて死ぬことが嫌ならまずお前が死ね。
お前のせいだけではないだろうが『機関』のファーストナンバー達がついに動き出した。
ファーストナンバーってのは『機関』の上位の幹部の事だ。
これはお前というかヤハウェを捜すためなんだ、お前が死ねば帰ってくれるかもしれない。
帰ってくれなかったとしても『機関』の計画が潰れて一般人の被害が減ることは確かだろうな」
師匠が桐北にそう言う、少し言い過ぎじゃないだろうか?
師匠の言った事は事実だが、高校生の少年に言うには少し酷な事だっただろう。
「すまないな、師匠が失礼な事を言って。
『機関』はヤハウェを狙ってはいるがそのためだけにここまで大掛かりな事はしない。
多分他に何か大きな事をするついでだろう。
でも『機関』は無駄な事はしない、ヤハウェにも何かしら意味があるはず、私はそれを阻止したいのだ。
そして、出来れば君を殺したくないと思っている、だからこの方法を試したいのだが、どうだろうか?
それと、君がヤハウェについて聞いた『機関』の人物についても教えてくれると嬉しい」
私は桐北の嘘を完全に無視して話を進める、少しフォローも入れてみたのだがあまり意味がないだろうな。
出来る事なら桐北を殺したくはない、しかし師匠の願いは私の使命、やらないわけにはいかない。
【籐堂院瑞穂:桐北と交渉中】
>>48 あの駅での一件から二十数分は経っているだろうか。
俺は目的地である病院に辿り着くと直ぐに受付を済ませ、
今は既に多くの人間でごった返している待合室のソファに腰をかけ、順番を待ち続けていた。
朝でも、大病院となると来訪する人間の数はかなり多い。
急患でもない限り、一時間くらいは平気で待たされるものだ。
この効率の悪さには辟易していたものだが、今の俺にとってはこの上ない時間潰しとなってくれる。
とは言うものの、診察までただソファに座っているだけというのは退屈なものだ。
俺は待合室に置かれている雑誌でも読もうと席を立ち、ふと玄関に目を向けた。
中年親父が何かを手にして何やらキョロキョロと辺りを窺っている。
見れば、手にしている物はどうやら財布であるらしい。
中年親父が挙動不審な行動を取っている場所は、先程ひょろっとした眼鏡青年が
俺とぶつかった場所だ。あの時、俺とぶつかった拍子に彼が自分の私物をぶちまけていたが、
もしかするとあれは彼の財布ではないのだろうか。そういえば微かだが見覚えがある。
中年からは、放って置けば黙って持っていくと断定できるくらい不審な雰囲気が漂っている。
俺には関係のないことだと見て見ぬフリを決め込んでもよかったのだが、
目の前で堂々と盗みを働かれるのは、俺にとってあまり良い気分がしない。
俺は雑誌が並ぶ本棚に向けていた体を玄関に向けなおし、
その中年のもとへと歩み寄った。
「ありがとうございます、拾っていただいて。それ、僕のなんですよ」
まさか落とし主と名乗る者が現れるとは思ってもみなかったのだろう。
中年は一瞬驚いたような顔を見せると、少しどもついた声で財布を渡してきた。
俺は財布を受け取ると、中年を背にして先程まで座っていたソファに戻り、腰をかけた。
「つくづくお人好しだね……俺も」
思わずそう呟いてしまう。
隣に座っていた高齢の女性は、今頃俺を変な目で見ていることだろう。
俺はそれを気にすることもなく、今度こそ本棚に向かうべく再び席を立った。
と、その時である。
「三十番の番号札をお持ちの方ー、四番の診察室へどうぞー」
俺に順番が回ってきたと、看護婦が告げたのだ。
意外や意外、受付を済ませてからものの数分で順が巡ってくるとは。
そういえばここに入院している人間だろうか、辺りにはパジャマ姿の人間が目立つ。
検査か何かの際にたまたまここに立ち寄り、本を読んで暇でも潰しているのかもしれない。
であれば、外来で順番を待つ人間の数は俺の予想に反してそう多くは無かったということか。
まぁどうあれ、呼ばれたのだから行かなくてはなるまい。
俺はまたも本棚に向けた体を向けなおし、四番の文字が書かれたプレートが貼り付けて
ある部屋へと足を進めた。
(そうだ、受付に財布を届けておこうと思ったが……後でいいか)
【池上 燐介:恋島達哉の財布を拾い、そのまま診察室へと向かう】
>>40 「……いいや、ただのものもらいさ」
俺は常人が持ちうる最大限の速度で彼に肉薄し、片手を伸ばしその首を掴んで
宗方を壁に押し付けた。
感情も理性もトんでいた。
例え武装を解こうとも、容赦する気は無い。
この男は、越えてはいけない一線を越え、
出してはいけない所に手を出した。
そして、まだその先に進もうとしている。
ならば、俺が俺であるのを邪魔するのならば、約束を奪う気ならば、
ならば――――消す。
俺は残った片手で片手で眼帯のあった所を押さえながら、
機械の様に宗方という男に告げる。
「……なあ、仮にお前さんの言う通り、俺が異能者とやらだったとしよう。
そんで、俺の力を借りて機関とやらを倒して目的を果たしたとする。
ああ、そうなったら、お前さんは達成感やら正義の味方気分やらに浸れて
嬉しいだろうな。町の人間も助けられて万々歳だ。
……で、俺はどうなる?」
ギリリ、首を絞める力を強める。
「バケモノとして街中を這い回った奴が悠々と受け入れられるほど
この世の中はアホだと思うのか?
血まみれになった手で、もう一度普通に戻れるほど世界は優しいと思うか?」
一般人として生きられなくなること、それこそが国崎シロウの人生の終わり……死だ。
そして機関を倒すためだけに動くという事は、その死を覚悟するという事である。
それは、俺にとって街と一緒に死ぬことよりも、それこそ救えない結末だ。
ならば、そこに引きずり込もうとする人間は……敵ではないか。
殺意でも敵意でもない単なる意思と共に、指はどんどんと肉に食い込み――
(……っ)
けれど、俺はどうしてもそこから先、この男の首をへし折る事は出来なかった。
何故なら、それもまた国崎にとっての約束であったから……。
【国崎:宗方の台詞の直後、話を聞く前に無抵抗の宗方の首を絞める。
だが、殺せないままその体勢を保っている】
>>15 「何で……今までどこに行っていたの!?」
戦場ヶ原の背後から高く響くソプラノ。
突然聞こえたリンの声に、戦場ヶ原は反射的に身を翻した。
そこには、戸惑った表情をしたリンと、小柄な男が一人。
やはりリンは何者かに操られていたか、若しくは憑かれていたのだろう。
その憑き物が落ちたように、リンの表情はかつてのやさしい少女のそれに戻っていた。
それは何故解除されたのかは解らないが、次に戦場ヶ原の意識は隣の男に移っていた。
(なんだ……あの男は。)
戦場ヶ原の頭に疑問符が浮かぶ。
リンを操っていた異能者か、もしくは先程のリンの言葉から察するに、リンの彼氏か何かか?
そう感じると同時に、彼の中にふつふつと得体の知れない苛立ちが湧いて出て来る。
それが嫉妬だと言う感情だとは彼自身解ってはいなかった。
なんだかわからねぇが気に入らねぇ―――……
そんな理不尽な怒りが男に向けられる。
「おい、貴様誰だ。」
男のすぐ背後からドスの効いた声を響かせる。
男が振り返るより早く、戦場ヶ原は男の手を握ると同時に疾風のごとき敏捷さで男を背負い投げでぶん投げた!
突然の手荒な挨拶に、リンは面食らったような顔をしていた。
これではまるでチンピラだ。
それに相手がもし異能者だったら、能力の使えない戦場ヶ原に万に一つも勝ち目はない。
だがそんなことも戦場ヶ原の脳裏になかった。
なんだか分からないがこいつは『敵』だ。
彼の本能が、それを行動に移させた結果だった。
>>52 「・・・なっ!?」
いきなり後ろから声をかけられたかと思ったら投げられた。
一体何処のどいつだ?
「いってぇ…」
とりあえず立ち上がって相手を見る。
さっきの男だった…
「お前こそ誰だよ…」
自然に俺はそう呟いていた。
「天さん!?」
リンがそう叫ぶ、リンと行動共にしていたやつか…だがいきなり投げられる覚えはないな。
「俺は機関No.2…ツバサ=ライマースだ。そしてこの話はお前に関係ない」
少し激昂しかけた男をリンが止める。
「俺が用があるのはそこにいる…妹だけだ」
そういった瞬間着物男の体を蹴りとばす。
しかし相手も臨戦体制だったのかすぐに体勢を立て直す。
あれ?これやばくね?て言うか俺の利で蹴りいれちまったけど体術とか退避以外練習サボってたよ…
【ツバサ:戦場ヶ原を蹴り飛ばす体術に自信なさげ】
>>40 >>51 「神重・・・手品ならもう私が見せた、二度やる必要はないさ。彼もそういうのは見飽きているだろうしな。
今は手品の種をしまってくれ、私の事なら心配無用だ」
「…わかった」
国崎という男の警告、そして宗方の警告によって敬は作り出した球体を破棄せざるを得なかった。
宗方が国崎という男に金を渡し注意を…その時に宗方は高速で国崎が着けていた眼帯を奪い取っていた。
(――――!!!)
(あれが…彼の能力のようだな。肉体を変化させる能力者…とでもいったところか?)
驚いている敬に対して智はいたって冷静に分析する。
宗方が国崎に協力を求めて説明を始める…。
国崎の目は明らかに常人の物ではない。異能者というのは明確だ。
元凶を潰すため…国崎という一人の一般人を消し去って協力を求めろという。
果たして…これを向こうが受け入れるかどうかだが…。
説明が終わると宗方は己の武器という武器をすべて投げ出して
国崎と対峙する
そのときにチラリとこちらを見て…
「絶対に手を出すな」とこちらに言った
「……いいや、ただのものもらいさ」
そう国崎が呟いたかと思うとかなりの速度で…
とはいっても常人が出すことができる最高速度で宗方を掴み壁に押し付けた。
異能者とはいえ、武装を解き攻撃する意志を見せない者を攻撃するとは
余程我々の行動に頭がきたのだろう。
「バケモノとして街中を這い回った奴が悠々と受け入れられるほど
この世の中はアホだと思うのか?
血まみれになった手で、もう一度普通に戻れるほど世界は優しいと思うか?」
その通りだ。例え元凶を潰したとしても…全てが終わったとしても
我々異能者全てが"バケモノ"であることに変わりは無い。
それでも我々は潰そうとしているのだが…この男には余程大事な"何か"があるのだろう。
「……」
感情に流されて国崎に攻撃を加えようと敬はするが…
(待て、今攻撃してはだめだ)と智は言う
(なぜだ!?今宗方が…殺されそうになってるんだぞ?)敬は怒りを込めた口調で言う
(宗方が…それを望んでいない。宗方の言葉を思い出せ)
手をだすな という言葉は確かに敬に言われたものだ
(だが…このままじゃ宗方は殺されてしまうぞ?)
(落ち着いて…国崎を見ろ)そう智に言われて敬は改めて国崎を見直す
興奮はしているものの…何かに迷っている…そんな表情だった。
(あいつには大切な"何か"がある。それがある限り宗方を殺せはしない)
(それで宗方が死んだらどうする!?)
(分かっている…もし国崎に首をへし折る力が入る瞬間――お前はあいつの腕を切り落とせ
我々に必要なのは…国崎より宗方だ)
(…わかった…)
敬は智の分析力と冷静さに…少し驚きを感じていた
【神重:宗方を尊重し現在動く気はなし。
国崎が止めを刺そうとすれば腕を切り落とす】
>>41-42 突然現れた小村にアルトは後ろを向き、
「―――――――馬鹿ですか、貴方は。
どうやったらこんな短時間で車を壊せるというのです。
……機関に敵対する者の破壊工作だとしても、子供じみていますし」
と言い放った
馬鹿か・・・まあ実際私のミスだ
自分の非は素直に認める、それが小村だった
「一応言っておきますが車を破壊したのは機関の敵対者ではありませんのでご安心を」
熊田はただの野生の熊・・・なはずだ
しかし奴の異能が目覚めるきっかけとなった原因不明の高熱は・・・
「それなら、まずは上野さん。ロンバルディーニさんの服を買ってきてもらえませんか?
流石に半裸の変質者を連れ歩くのは気が引けますからね」
・・・私に命令で、レオーネを変質者扱いか
出会ったときから思っていたが機関に対する恐怖心とかは本当にないな、こいつは。
「まぁ待て。上野君、何が遭ったか敢えて聞かないが、
車が壊れたのなら機連送で本部から迎えを頼めば良いのではないか?」
さっきまで青ざめていたレオーネが話しかけてきた
・・・ま、それが一番いいだろう。近くにはシナゴーグもイエシヴァもある
10分か、そこらで来てくれるだろう
「ハーケン君、どうせ君は上野君を買い物に行かせている間、彼の事に探りを入れるつもりなのだろう?
それに上野君も、機密事項…という事は、それだけの地位に居るという事を露呈させたも同然だ。
……もう話しても良いのではないのか?」
確かに先ほどの言葉はまずかったか・・
まあ私自体が正体を隠すのに飽きているという事か
でもどうするか・・・レオーネがこう言うなら、アルトは信用していいのか・・・
小村はすこし悩むような顔をしたが
「・・・いいでしょう。レオーネさんがそう言うなら朝食の礼も兼ねてお話しましょう。
けどその前に迎えの車を呼んでおきますよ
服は迎えに来る機関の構成員にでも買わせましょう」
特に感情のこもっていない話し方で
そう言って機連送を取り出した
・・・ここからだとシナゴーグの方が近いか
小村はシナゴーグの方の番号を押す
「・・・・もしもし・・・ええ、そうです
・・・大至急この機連送の発信元に車をまわしていただけますか?・・・・・
ええ、すぐにです・・・・・ああ、それとスーツも買ってきてください・・・・・
私ではなくN.o6用に・・・・・では」
用件だけ伝えさっさと通話を終えた
二人の方を向き
「それではお話ししましょう。まず本名ですが上野恭平ではなく、小村禅夜といいます。
階級は言えませんが、まあ幹部と同じぐらいだと思ってください。
・・・あとは何か聞きたいことはありますか」
淡々とまるで病院の受付のように話した
【アルトに名前を明かす(まだ警戒している)】
【シナゴーグの構成員に服と車を持ってくるよう命令】
>>30 「ん?」
瑞穂が俺を指差し、先輩(仮)に何か喋っている。
…しかし、こうやって他人に指を指されてみるとあまりいい気分じゃあないな。
これからは出来るだけ他人を指差す事は控えることにするか。
それにしても、何を喋っているんだ?
俺を指差しているという事は、間違いなく俺のことについて何かを言っているのだろう。
もしかして、ある事ない事適当に言ってるんじゃないだろうな。
あの男は私の友人だとか、知り合いとかだったら…まだいいんだが。
まさか彼氏だ…なんて言ってる訳はないよな。うん、無いな。
自らの答えに、俺は心の中で頷いた。
>>46 俺がそんな事を思っていると、瑞穂が先輩(仮)に引っ張られて待合室の隅っこに移動した。
そんなに話の内容を聞かれたくないのだろうか。
俺としては、聞こえようが聞こえまいがどうでもいいんだけど…
…暇だなー。随分と暇だ。蚊帳の外というのは、こんなにも暇なモンなんだな。
ここが病院じゃなかったら友人にメールでも送るんだが、ここは病院だ。
心臓にペースメーカーを植え込んだ人間がいてもおかしくない。
だから、携帯をいじるのはやめておこう。もちろん携帯ゲーム機も駄目だな。
と、なれば寝るしかないんだが…俺は起きたばかりだ。
今寝たら、二度寝になってしまう。いや、それは二度寝自体はどうでもいいんだけど…
俺、二度寝したら大抵12時まで寝てしまうんだよな。
今は人と行動している。そんな時間まで寝られるわけは無い。
さて、どうやって暇を潰したもんかな…
>>48 >「なんか長くなりそうだねぇ・・・悪いけど、この話は持ち越した方がいいな」
確かに。なんだか先輩(仮)の表情は穏やかとは言いがたい表情をしている。
ライターと名乗る人物の言うとおり長引きそうだ。
>「その名刺に僕の携帯電話の番号が書いてあるから、気が向いたら電話しておくれ」
名刺に携帯電話の番号が?
名刺って名前と会社とかの住所を書いてるもんじゃないんだな。
とりあえず、俺は名刺を見てみた。
…確かに携帯電話の番号が書いてあった。とりあえず、アドレス帳にでも登録するか。
暇が見つかったら電話でもするか。いや、暇なのは今なんだが…
本人を目の前にして、電話をかけるのは…ないな。うん、ない。
俺がマジマジと名刺を眺めていると、ライターが割引券を渡してきた。
全国的に展開しているチェーン店の割引券だ。
あって困る物でもないし、もらっておくか。もらった割引券をポケットに押し込める。
そして、ライターは俺にさよならをいい、病院を後にした。
うーん、これで本当に暇になったぞ。瑞穂たちを見れば、まだ会話をしている。
と、いう事は今度は俺が待つ番か。椅子に座ってボケッとするか。
【廻間:待合室の椅子に座って瑞穂を待つ】
>>50 はぁ・・・はぁ・・・これだけ走ったのは何年ぶりだろう
酸素が、酸素が足りない・・・肩を小さく上げ下げして息を整える
ここだよな・・・確かバックの中身をぶちまけた場所は。俺は例の財布を捜すため、その場に屈む
だが・・・探しても探しても見つからない。次第に自分自身が情けなくなってきた
何が哀しくて病院の玄関をうろちょろしているのだろう。こんな時に人の無関心が嬉しい
つーか時間の無駄だよな・・・俺は立ち上がり、受付の看護婦さんに聞いてみる事にした
「すみません、玄関に財布を落としてしまって・・・これぐらいの大きさの黒い財布なんですけど」
ジェスチャーを交えて看護婦さんに落とした財布を説明する
・・・のだが、やはりというか残念と言うか看護婦さんは首をかしげた
「こちらに落し物の連絡は入っていませんね・・・そちらの落し物ボックスに入っていませんか?」
看護婦さんがそう言いながら視線を受付のデスク左端にポツンと置かれた白い箱に向けた
探ってみるが・・・駄目だ、やっぱり財布は無い。俺は看護婦さんに礼を言ってその場から離れた
取りあえずまだ慌てる時間じゃない。ソファーに座って今後を考えよう
・・・つーか財布の中身に全部入ってるじゃねえか。大事な物が
預金通帳も健康保険証もパスポートも名・・・名刺はまぁ良いか。いや、良くは無いな、うん
やばい、日頃のめんどくさいから財布に全部突っ込んじゃえ精神が完全に裏目に出た
やっぱ大事な物は家とか金庫とかに入れとかないとね。ずぼらっつーかめんどくさがりはいかんよ
そういやここ出る前にあの目つきの鋭い男とぶつかったな・・・ま さ か
流石にそれはあの男に失礼だよな。でも財布だけスッポリ無くなってるのもおかしいぜ
・・・駄目だ駄目だ駄目だ、疑心暗鬼は一番人として陥っちゃいけない事だ
誰彼構わず疑うなんて品位が無いにも程があるぜ。・・・でも陥りそうな絶体絶命状態
こうゆう四面楚歌?というか踏んだり蹴ったりな時は・・・そうだな
精神統一だ。俺は頭を抱え・・・否、考える人風のポーズを取って目を閉じた、よし、気持ちを落ち着けて・・・
悪いイメージしか頭に浮かばない・・・つーか健康保険証はともかく預金通帳入れちゃ駄目よね
【現在地:病院の応接室】
【今後について苦悩中】
>>55-56 時刻はまだ昼頃を迎えず、まだそれほど賑やかではない商店街を、一台の車が疾走している
通りかかる人々の目を受けながら黒光りするその車は、世界でも広く知られる有名ブランド車だ
運転席や後部座席、はては助手席も外見に見合う気品溢れる装飾が成されている
だが乗っている人間は残念ながら気品が非常に低い。とても
「おい! もっと飛ばせっつてんだろジジィ!」
助手席に座っているスーツ姿の男――「機関」の元幹部である梶原が、運転手である初老の男性の頭を小突いた
運転手はぎっと歯を食いしばりハンドルを強く握って耐える。こうゆうやり取りが既に10分以上続いている
このような経緯になったのを説明すると非常に長くなるので割愛するが、端的に言えば梶原の任務は「お使い」だ
とあるミスを犯し、現在の地位を追われてしまった梶原は上司からの命令で今回の任務を半ば強制的に引き受けられた
しかもそのミスで負った傷も完全に治癒していないのに、だ。両腕を覆う包帯が実に痛々しい
「あーいてて! ちくしょう!」
先ほど運転手を小突いた部位がジンジンと痛む。いくら異能者でも痛いものは痛い
しかし小突けば痛むという事を知っていながら運転手にちょっかいをかける梶原は本当にどうしようもない
あるいは学習能力が欠けているのかもしれないが、彼自身の事は彼自身しか知らないだろう
今回受けた任務について説明しよう。梶原は微妙に自由の利かない右腕を苦労して動かし、ズボンに入れた携帯を取り出した
携帯画面に任務説明の一覧が表示される。以前の地位にいた場合は細やかに説明されるのだが、下っ端に落ちた梶原には
非常に簡素な説明しか受け取れない。幹部級の情報等はヒエラルキー的に下段の構成員にはフィルタリングされるからだ
1.指定場所への到達
2.機連送発信者の確保。及び保護
3.機連送発信者への衣類の受け渡し
【
>>59の続きです】
携帯画面を見ながら梶原はかすかに頭を傾げた。最後の文はどういう意味なのだろうか
例の発信者がどんな人物なのか梶原には全く知らされていない。知る権利が無い為だ
しかし「お使い」を行えるほどの権限を持てるのはよっぽどの幹部級である事は確かだ
ふと梶原の脳裏に緊張が走る。もしも何か失礼に当たれば、今の地位から引き摺り下ろされるだけじゃすまない
梶原自身、この世界がどれほど恐ろしく、また実力主義であることかは重々理解している
自然界の弱肉強食の理ではないが、下にいるのもは黙って上の言う事を聞くしか無いのである
だが梶原にふと、案が浮かんだ。何も一から成り上がる必要は無い
これから会う人物次第では、取り付くす事でなぁなぁで幹部クラスに舞い戻れるかもしれない
今はプライドだの何だのに執着する場合じゃない。一刻も早く幹部クラスに舞い戻り、悠々自適な生活を取り戻さなければ
梶原はそう心に誓うと、先ほどの意地悪く意地汚い表情から一転柔和な表情を作った
運転手が表情を作り出した梶原を横目でチラチラと見る。今の梶原は非常に気味が悪い
商店街を抜けしばらく走っていると、閑散とした住宅街に出てきた
機連送の携帯画面が切り替わり、機連送の発信場所を知らせる為に地図を表記させた。もうすぐらしい
ポツポツと建設中の家やら工事現場やらが目立つ場所へと出てきた。別地区だろう
と、ガレキなどが積み重なった空き地で車が停車した。ちょうど地図の指定場所と現在地の点が重なっている
梶原は運転手に助手席のドアを開けて外に出ると、後部座席に回ってドアを開け、例の衣服――スーツを持ち出した
丁寧に両腕で抱え、運転手に待っているよう指示を出し、機連送の発信者へと足を向けた
遠めでは顔が判別できないが、どうやら3人いるようだ。もうすこし歩み寄ってみる
あちら側は熱心に話していて梶原には気づいていない。・・・のだが近づいた瞬間、梶原の背筋が凍った
男の方は「機関」でも有数の実力者であり、数々の逸話を持つ「機関」のファーストナンバー――レオーネ・ロンバルティーニがそこにいたのだ
なぜか毛布に包まっているが、今の梶原は緊張感でそんな事を気にする余裕は無かった。まさか幹部の中でも特上のランクと出会うとは
だが梶原が更に驚いたのはそのレオーネに気軽に話しかけている女性がいる事だ。しかし彼女の顔には梶原は覚えは無い
けれどレオーネに話しかけるほどだ。そうとう地位が高い事は理解できる
それに、その二人に話しかけている人物も梶原を恐々とさせていた
3年前のあの事件での数少ない生存者であり、特別行動を「機関」に認められている通称N.T.D.Eの肩書きを持つ男――
小村禅夜である。梶原自身話には聞いていたが、なるほどそのオーラは幾戦の死線を潜り抜けた戦士の物である
にしても・・・梶原は例の機連送の発信者達の面子に身を竦んでしまい、その場に立ち尽くした
何か会話しているが、のうのうと声を掛ければ彼彼女らの逆鱗に触れそうだからだ
ので待つ事にした。彼彼女らが衣服を持った梶原に気づいてくれるまで
ちなみに梶原は誰が着連想の発信者なのか知る芳も無い
【NPC梶原、小村らのいる場所に到着。衣服を持ってくる】
【NPCなので自由に動かしてもらって構いません】
>>40>>51>>54 (……まいったわね)
宗方の行動は全く予想できなかったわけではない。
だが、正義感と行動力を持っていればこその強攻策を迷い無く実行されると、こちらも迷い無く動かなければ対処しきれない。
その点では彼を賞賛したい。
が……落としどころをどうするべきか。
>「バケモノとして街中を這い回った奴が悠々と受け入れられるほど
この世の中はアホだと思うのか?
血まみれになった手で、もう一度普通に戻れるほど世界は優しいと思うか?」
国崎の反応は予想以上のものだった。
あれだけ冷静にひょうきん物を装って居た男がこれだけ豹変するのを見るのは楽しいし、いっそこのまま深層までえぐってしまいたいけれど
(…・・・流石に危険すぎるわねぇ)
怯える演技もすっかり忘れ、目線を周囲にめぐらせる。
連れの男はまだ動く気は無さそうだが、国崎の行動次第では前面衝突になりえない。
鍵は、国崎の『女神』。彼女が説得すれば、全て上手くいくだろう。
今までの様子から察するに簡単には会える状態ではないことは間違いない。
なら私が代わりになる。イメージしろ。
国崎の望む言葉を──国崎を受け止める心を──
『貴女は何でもできる──でも、自分だけが特別だなんて思わないで』
「あー……違う。何しようとしてるんだ、私は」
そうだ。自惚れるな。
私の仕事はそれじゃない。私の仕事は「なんとかする」ことだ。
冷静な頭で、演技がはがれた仕草で、宗方を見つめる。
「スペクターさんたちが正義の味方で、正論を言っていることはわかったわ。でも私たちは貴方たちほどの正義感も、戦闘能力も無いの」
口から出てきたのは、自分でも驚くほど冷たい声。包帯を巻いた腕を突き出し、腕をまくる。
「昨日、末端の構成員に私と国崎ともう一人でかかっていって私もこれだけの被害を受けたのよ。貴方たちの戦力になれるかは怪しいわ」
嘘は何一つ言っていない。故に、私は揺れない。
「けど、貴方たちの言ってることの少なからず共感もできる。だけど、私たちは貴方たちのように「異能者」と割り切れるほどの能力も覚悟も無いの」
「私たちは日常にしか帰る場所が無い。だから殺人も、破壊工作もゴメンね」
「けど、後方支援という形なら考えてあげても良いわ。寝食と医療品の安定した供給を約束する『国崎薬局』を護る、という形でね」
この案を通すには、宗方の承諾よりも国崎の承諾の方が重要だ。
さて国崎は情に深いのか。
それともただ単に、『女神』の呪縛に縛られ続けているだけか。
「ま、国崎も商売だからある程度の対価は必要だと思うけど『絶対に裏切らず、絶対に壊滅していない補給基地』というのは貴重でしょ?」
正義に熱い宗方さんと、情に(?)熱い国崎さんの好きそうな言葉を付け加える。自然に。
「それだけでも何人もの命が救われることにつながると思わないかしら?」
「国崎は店舗を護る。私は他の薬局から買うでも何でもして、ここの医療品を絶やさないようにする」
「こういう形で私たちは貴方たちに協力する。どうかしら?」
【葦川:薬局前。交渉中】
【ロンバルティーニではなくロンバルディーニですね、レオーネサンごめんなさいorz】
>45
>「すみません。異能者でしたら、大きな剣を振り回す男と、
風を操る少女のことを知りませんか?私の仲間なんです」
随分とファンタジックな人間を捜している
剣を振り回す男と聞いて、七重はまず廻間青年の事が思い出されたが、
彼の持っていた刃が果たして大剣に含まれるのかは疑わしい
風を操るという少女については無論知らない
七重は、うーんという、返事にもならない曖昧な返事をした
その一方で、異能者を探していると言うことに、ほんの少し心を動かした
決して良い意味ではない。七重にとっての異能者とは、
愛すべき同類というよりは、まだまだ疑念の対象である
彼の目の前の女性も、例外ではない
より強い能力者を倒す為に協力しただけであり、
その後はどうにでもなれと、半ば自棄気味に戦っていたのだった
直情そうに見えていても、心の奥では余計な思案をこねて、
その癖後先を考えない行動をとる
どうにも厄介な性質の男なのである
女性は話を続ける。表情は切であった
>「その人がいれば、あなたのケガを治すことができます」
もしかすれば、「人探しを手伝ったら怪我を治してやる。ただし上手くいったらだ」、
という意味に捉えかねない言い方である
多分に漏れず、七重もその通りに解釈する
あまり良い顔はしない。返答の代わり、排水溝に血を吐いた
しばし空白
「どちらも知らない。医者なら心当たりがある」
国崎のことを指すわけではない
ただ、ストリートファイターなどというふざけた肩書きを持つ彼だから、
その手の知り合いの一人もいなくては、やっていられないだろう
いまいち盛り上がらないやり取りをする二人
否、七重が勝手に盛り下げているだけなのだろうが、
その様相を見てニヤつく影があった
いつから来ていたのか、木の後に隠れるようにしており、
その服装は嫌味なほど白い
必要以上に黒い七重とは対照的であったが、さて
>>56 >>60 >「それではお話ししましょう。まず本名ですが上野恭平ではなく、小村禅夜といいます。
>階級は言えませんが、まあ幹部と同じぐらいだと思ってください。
>・・・あとは何か聞きたいことはありますか」
小村の言葉にハーケンは大して驚いてなさそうだった。
予想はしていたという事か? まぁ、この世界、何事にも疑って掛かるのは当然か。
ハーケンと目が合う。私は肩をすくめて見せた。
ふと視線と気配を感じそちらを向くと、若い男が布を大事そうに両手で抱えながら立っていた。
よく見ると布はスーツだった。という事は、彼が小村の呼んだ機関の人間という事か。
「……失礼、私は着替えてくる」
私は小村たちを残して男の元へと向った。
ハーケンは私の事についても知ろうとするだろうが、今更知られる事に問題は無い。
彼女は私の名前を知っていた。つまり、それ以上の事も知っている可能性が在る。
近づくに連れて、男のディティールが判別できてくる。
顔立ちは整ってはいるが、如何にも作られた金髪で日本人の顔には似合っていない。
このような男に引っかかる女性は、世間を知らない若い娘だけだ。賭けても良い。
「ご苦労だった。ありがとう」
労いの言葉を掛けると、男は玩具の人形のように何度も頷いた。
……そんな事よりも着替えだ。先程から私の目線は男の抱えたスーツに向っていた。
安物なのがハッキリと判る。だが、この際だ、贅沢は言っていられん。
男からスーツ一式を受取ると、足りない物が無いかチェックを始めた。
まさか、下着が入っていないなんて事は無いだろうな……。
ネクタイ、シャツ、ベルトにスーツの上下、そして下着が全て揃っていた。
良かった、これで変質者ルックともお別れだ。
物陰に隠れると早速着替えを始めた。
ネクタイの締め方は『ウィンザーノット』で行こう。
……正直、片手でネクタイを締める事が、これほど苦労する事とは思わなかった。
茶色のスーツが地味だが、許容範囲だ。
最後に上着を羽織り、左腕だけ通すと先程まで身に着けていた毛布を抱え小村たちの元へと戻った。
「待たせたな。……少々地味だろう? 似合っていないと思わないか?
それと、ハーケン君。毛布は買い替えておく。ありがとう、お陰で助かった」
赤の他人が衣類代わりに身に着けた毛布など、私だったら棄ててしまうだろう。
―――ここに来て男のナンバーを聞いて居なかった事を思い出した。
【レオーネ:梶原と接触、着替えを完了】
【梶原については覚えていないのか、それとも面識が無いのか不明】
>>62 【いいえ、気にしないで下さいw】
──軽い疲労。医師が出した結論はそれだった。
医師は結論を出すと直ぐに俺に注射を打ち、ビタミン剤を処方した。
「疲れが溜まってたんだろうね。一本打っておいたから、心配はないと思うよ」
俺の目の前の、白衣に身を包んだ医師はそう言いうと、
背中をこちらに向けて何やらと机で書き物を始めるのだった。
恐らくカルテにでも診察結果を記載しているのだろう。
「そうそう、あれはもう五年前になるのかなぁ? あの時は驚いたよ」
俺に背中を向けたままだが、医師が思い出したように話し始めた。
『五年前』……この言葉から始まり、俺とこの医師に関係することと言えばあれしかない。
この医師が言おうとしていることを、俺は直ぐに感じ取っていた。
「君が血まみれで運び込まれてきてねぇ。
あの時君はまだ進学校の高校生だっただろう? 最初は何をやらかしたのかと思ったよ」
「まだ覚えてらっしゃったんですか。もう忘れてくださいよ」
五年前の春、俺は全治一ヶ月という重傷を体に負った。
その時運び込まれた病院で俺を診たのが、この医師だったのだ。
重傷の原因はトラックとの追突事故。
目撃者は誰もいなかったが、俺の証言から轢き逃げ事故だと警察は確定した。
もっとも、それは目撃者がいないという事実を逆手に、俺がでっち上げた話だ。
本当の原因、それは異能者との戦闘によるものであることを知る者は、誰もいない。
「でもあの時の犯人、まだ見つかってないんだろう?
警察も怠慢だよなぁ、轢き逃げ犯一人捕まえられないなんて」
医師はまるで自分の事であるかのように毒付いている。
しかし、こればかりは警察に同情せざるを得ない。
何しろ俺のでっち上げた証言を元に捜査をし続けているのだ、
居もしない犯人なんぞ見つかるわけがない。
挙句、捜査の手詰まりを理由に、一人の医師の信頼を確実に失わせているのだから。
「こちらも不注意だったんです。僕としては犯人一人を責める気にはなれません。
……もう、行っていいんですか?」
医師は座ったままくるりと回転式の椅子を回し、こちらに体を向けて言った。
「あぁ、会計は向こうでね。それじゃまた何かあったら来なさい。お大事に。
はい、次の人ー」
ふと腕時計に目を向けると、時計の針は調度九時を指していた。
正午前後までは病院に居るつもりだったが、これは当てが外れたようだ。
俺は病院内の廊下の壁に背をもたれかけ、この後の予定について思案していた。
(さて……会計も済ませてしまったが、この後どうするか。
異能力が使えないことがこれほどまでに俺の行動を縛ることになるとは……)
昨夜、城栄にしてやられたことが記憶に蘇る。
こちらも疲労していたとはいえ、あれが不覚であった事実には変わりない。
俺は思わず、唇をかみ締めた。
「あれぇー? 燐ちゃんじゃないのー?」
不意の声に一瞬俺の体が強張りを見せた。
その声の主は俺の刹那のリアクションを見てか、けらけらと嘲笑している。
声、そして笑い方に、俺は聞き覚えがあった。
まさかと思い首だけを声の方向に向け確認すると、茶髪のショートカットに、
割と褐色のいい肌、履いているミニスカートに見れるように割と露出の多い服。
俺の予想は的中していた。
「あー、やっぱりねー。やっほー! こんなところで何してたのー?」
「受診」
素っ気無く返事をする。
次いでもたれかけていた背を離し、その場を離れようとする。
これはこれ以上会話をするつもりはないとの意思表示でもあったのだが、
その声の主は……いや、その女はそれを知ってか知らずか、次々と言葉を捲くし立ててくる。
「どっか体が悪かったんだっけ? といってもいつも授業に出ないのは仮病なんでしょ?
それとも本当に体が悪かったとか? あぁ〜、燐ちゃん男の人なのに色白だもんねー。
髪も毛色が悪いし、家にばっかり引きこもって太陽を浴びないから具合悪くなるのよー」
俺は思わず溜息をつくが、別にこの女の口撃は今に始まったことではないのだ。
この女の名は『四島 真琴』。俺と同じ大学に通う人間で、同期生だ。
こいつは許可した覚えもないのに、初対面でいきなり人に「ちゃん」付けで
馴れ馴れしく呼んできたことに始まり、毎度この調子で一方的に会話を進めてくるのだ。
俺は避けているのだが、どういうわけかこいつは俺に絡みたくてしょうがないらしい。
正直言って、俺が苦手とするタイプの人間だ。
「ねぇ、実は私もう用は済んだの。そっちもそうなんでしょ?
だったらさぁ、これから一緒にどっか行かない? 今、暇でさぁ〜」
「行かない」
素っ気無く断ったものの、そう簡単に諦めてはくれないだろう。
俺は落し物の財布のことなど既に記憶の底に沈めてしまうほど、
これから来るであろう四島との長期戦に思案を巡らせなければならなかった。
【池上 燐介:病院の応接室。目を閉じている恋島達哉の前を調度通り過ぎようとしている】
【民間人NPC『四島 真琴』登場】
>>42 >>55 >>59 「まぁ待て。上野君、何が遭ったか敢えて聞かないが、
車が壊れたのなら機連送で本部から迎えを頼めば良いのではないか?」
なるほど、幹部なのだから、それぐらいはできるか。
…しかし、変質者呼ばわりされてもあまり動揺はないか。
まあ、全裸毛布で反論もできないだろうが、そういうことにあまり固執しないタイプなのか?
「ハーケン君、どうせ君は上野君を買い物に行かせている間、彼の事に探りを入れるつもりなのだろう?
それに上野君も、機密事項…という事は、それだけの地位に居るという事を露呈させたも同然だ。
……もう話しても良いのではないのか?」
好奇心は多少あったが、そこまでしつこく聞くつもりはなかったのだけれど。
―――まあ、教えてくれるならそれはそれでいいか。
「それではお話ししましょう。まず本名ですが上野恭平ではなく、小村禅夜といいます。
階級は言えませんが、まあ幹部と同じぐらいだと思ってください。
・・・あとは何か聞きたいことはありますか」
偽名というのは考えていたが、なるほど確かに言われればそうだ。
上野恭平よりも小村禅夜の方がそれらしい。
「いえ、特にこれといってありません。
おおよその疑問には答えが出ましたから」
と、ロンバルディーニが何かに気付いたように突然、
「……失礼、私は着替えてくる」
などと言い出した。彼が見ていた方を見ると、衣服を持った男が立っていた。
―――声ぐらいかけた方がよいのではないだろうか。
相手が幹部だとはいえ、なんの挨拶もなしでは逆に無礼だろうに。
そして、ほとんど間もなくスーツを着たロンバルディーニが現れた。
「待たせたな。……少々地味だろう? 似合っていないと思わないか?
それと、ハーケン君。毛布は買い替えておく。ありがとう、お陰で助かった」
一目で安物だろうと見て取れるスーツ。だがまあ、
「十分にお似合いですよ、ロンバルディーニさん。
…実際、あんまり高級なスーツだと目立ちますしね」
それはまあ、前線に出てくる機会がそれほどない幹部ならいいのだろうが。
今回のように街中での任務となるならば、むしろ安物の方がいいだろう。
「―――しかし、ぞっとしませんね。
あの少女。煌神リン、とか言いましたっけ。あの娘だけでも、私が知る限りで、二人も幹部クラスが出張っている。
そして、ここに籐堂院親子もいるとなれば、これは機関の幹部が勢ぞろいする可能性も出てくるでしょう。
……いや、本当にぞっとしませんよ。どんな大惨事になるか、心配です」
これは冗談ではない。機関の幹部は単独でも十分危険なのだ。
それが勢ぞろいする可能性―――煌神リンとあの娘とあの親子が組み合わされば、確実ではないだろうか。
以前ほどではないだろうが、あの籐堂院神だけでも脅威であろうことは想像できる。
そこに元から幹部を送り込むだけの重要性のある少女。これはもう、ある意味では決定事項だ。
「―――彼らを相手にするにはそれぐらい必要になるかもしれない。
その事実だけで、私は怖いと思っているんですよ」
【アルト:機関の幹部について考える】
>>54,,61
『……これが、最後の命令よ。……生きて。アンタは、普通の人間として生きて、
絶対に……幸せになりなさい。 今まで、ありがとう――――』
殺すべきだが殺してはいけない。絶対の自縛と無二の約束に挟まれ、
もはや俺は動くことすら出来なかった。
俺は、その体制のまま、流れて来た葦川の声を聞く。
>「けど、貴方たちの言ってることの少なからず共感もできる。だけど、私たちは貴方たちのように「異能者」と割り切れるほどの能力も覚悟も無いの」
>「私たちは日常にしか帰る場所が無い。だから殺人も、破壊工作もゴメンね」
(……)
論理と正論と適度な虚飾。いつもの自分が使い慣れているソレと幾分似た話法が、
俺に感情と理性を呼び戻す事となった。
……ああ、そうだ。ここでこいつ等に攻撃する事に何の意味があるのか。
俺の第一条件は日常の絶対保守。
どんな手段を用いてもこの場所に戻らなければいけないのだ。
最善が適わないならば次善の策。彼等と戦闘することを考えれば、
後方支援でもしていた方が、正体がバラされる危険性も少なく、優良に違いない。
……それに、多数の生命を救えるのならば、その道を選ぶほうがいいだろう。
俺は、ゆっくりと宗方の首にかけていた手を外し、その手から眼帯を奪い返し、装着する。
そうして、レジカウンターの前にある椅子に座り、ため息を吐いて、やや俯いたままで話を始める。
「……はぁ。 スマン、どうも慣れない戦闘で知らない間にストレスが溜まってたみてぇだ。
命懸けなんて経験、慣れてなかったらかね。……とにかく、八つ当たりみたいな真似して、悪かった」
落ち着きが戻れば仮面も戻る。自分でも思った以上に自然に、
俺は、葦川の言葉に乗り、そこまで強くない能力者としての謝罪と言葉を繋げる。
「後方支援っていう形なら、俺も構わねぇよ。
それでこの街の住人を助けられるなら、それにこしたことは無いしな……ただ、それ以上は勘弁してくれ」
>>65-66 いかん・・・完全に希望を見失った。思いつく限りの財布の居場所は考えた
しかしどれもこれもあり得ないというか、俺の財布が紛失する理由になるとは思えない
誰かに蹴られてソファーの下だとか、用務員みたいな人が掃除してる時に拾ったとか
精神的にこれ以上探す気にもなれない。落し物ボックスを何度も見直したがやはり無い
なんとなく看護婦さんの俺の見る目線がだんだん哀れむように感じてきた。まぁ何時もの被害妄想だが
しっかしホントにどうしようかな。金も引き落とせない、自己証明を表す物も無い
・・・あれ、これってもう本当に終わってね? じゃあ今の俺は一体・・・
こんな事なら国崎薬局で大人しくしてれば良かったよ・・・
そういや国崎さんと葦川さんと梓川君は大丈夫かな。まさか妙な事に巻き込まれたりは
・・・は無いわな。どうみても国崎さんの薬局は何処にでもあるこじんまりとした薬局だ
変な奴らが欲しそうなヤバそうな物を持っているわけが無い。カレーはまた違う意味でやばかったけど
あぁ、頭痛が、頭痛が痛い。いっそ重病装ってぶっ倒れちゃおうかな
そうすりゃ1日くらいはこの病院で保護してくれるだろう。それから市役所なり・・・
ってバカヤロウ、財布を無くしたのは自分のミスだろうが。俺は閉じていた目を開け・・・両手で目を覆った
万事休す逃げ場なし、泣きっ面に蜂とはこの事かね。最後のは後悔の意味も込めてだ
・・・そういや、病院を出る前にぶつかったあの男の事が妙に気になる
疑う訳ではもちろん無いが、もしかしたら彼が財布の情報を知っているかもしれない
というか彼の迫力に気圧されて、ちゃんと周りを確認しなかった俺も悪いのだ
・・・僅かな希望に掛けてみるか。でもぶつかったのは俺のほうだしなぁ・・・確実に「はぁ?」みたいな反応されると思うと・・・
いや、今は俺の人生の一大事だ! こんな事で一大事なのも些かな情けないが、俺は意を決して腰を上げた
いてて・・・まだ痛みがあるが気にせず俺はあの男を捜すため病院内を探索する事にした
さて・・・どこら辺から探そうか。廊下か、病室か。・・・と思った矢先
俺の第六感が何故かピーンと閃いた。その閃きが示す方向に目を向ける
二組の男女が玄関口に向かって歩いてる。一人は髪を束ね結った、体型からして男・・・いや、例の彼だ。多分
もう一人はミニスカートを履いてその彼に親しげに話しかける今風の女の子だ。多分彼との関係は友人かなんかだろう
ぶっちゃけ俺に背を向けている男が例の彼なのかの確証は全く無い、全然無い
けど、これでも仕事で培った人を見る目・・・という奴には自信がある。これで人違いだったら間違いなく死ねるな、俺
1歩2歩しっかりとその二人の下へと歩み寄り、そして――俺は声を掛けた。おそらく彼の友人である女の子の方に
「あのー、お取り込み中で悪いだけど、ちょっと良いかな。ちょっと彼に用があって」
その瞬間、例の彼がぎろっと俺のほうにナイフの様に鋭い目線を投げかけてきた
間違いなくぶつかった彼だ・・・が・・・こ、怖い、ホントに怖い
あぁーやばいなーうん、私刑確定だな、俺
何処行ったんだろう、財布
【四島に池上と話して良いかどうかの了承を持ちかける】
>>67 >「十分にお似合いですよ、ロンバルディーニさん。
> …実際、あんまり高級なスーツだと目立ちますしね」
……これは嫌味と受取るべきだろうか? 目立つ目立たないの問題ではない。
このスーツでは精々リクルート中の学生か、新人会社員がいい所だ。
何も『ヴァレンチノ』や『ゼニア』のスーツを買って来いと言っているのではない。
着る人間に合った物を持ってきて欲しかった。
それにしても時間が気になる。出来る事なら時計も持ってきて欲しかった所だ。
城栄は本社ビルに居るだろうが、ここからあそこまでどれ位の時間が掛かるだろうか?
―――考え事をしていると、不意にハーケンが口を開いた。
>「―――しかし、ぞっとしませんね。
> あの少女。煌神リン、とか言いましたっけ。あの娘だけでも、私が知る限りで、二人も幹部クラスが出張っている。
> そして、ここに籐堂院親子もいるとなれば、これは機関の幹部が勢ぞろいする可能性も出てくるでしょう。
> ……いや、本当にぞっとしませんよ。どんな大惨事になるか、心配です」
彼女の言葉は冗談ではないだろう。表情からは深刻さが窺える。
ハーケンが考える事も最もだ。幹部の中でも既にセカンドナンバーは投入が決定されている。
彼らはNo.1の命令によって、暴虐に暴れ回る事だろう。
我々ファーストナンバーだって、いつ召集されるか分からない。
セカンドナンバーに加えて我々が全員投入されるとなれば、間違いなくこの小さな地方都市は一変してしまう……。
ファーストナンバー―――。機関の最高幹部であり、同時に組織内最強の戦力。
機関の全構成員から厳選され、高い戦闘能力と異能能力は勿論の事、
重要作戦を担う指揮能力、そして何より機関への多大な貢献……。
それらを併せ持つ者がファーストナンバーに選ばれる。
先天性異能者の確保に加えて、籐堂院まで出てくるとなると、
ファーストナンバーが全員召集される可能性はゼロではなくなるな。
城栄は今度こそ籐堂院を葬るつもりだろうし、籐堂院自身も今一度勢力を起すだろう。
そうなれば、先ず間違いなくこの街は今以上の地獄と化す。
「既に投入されているセカンドナンバーにファーストナンバーも加われば、
最悪この街が地図上から消えてしまうかも知れない。
……目的の為なら手段を選ばない。例え、この街を消す事になろうとも……。
No.1はそういう男だ」
だが、例えどんな事になろうとも、私は彼に従う。
同じく長束公誠に師事した者として、そして親友として……。
>>69>>71 「いえ、特にこれといってありません。
おおよその疑問には答えが出ましたから」
アルトは更に質問を述べず、すぐに納得した
名前がわかったらそれで十分というような雰囲気だ
「そうですか・・・・」
此処に来た理由や階級のことをさらに問うてくるかと思ったが・・・
しかし、人には教えられない階級、偽名、ファーストナンバーと同等で話せる
これだけのピースがあれば大体は分かるか
気づくとレオーネが
「……失礼、私は着替えてくる」
そういって着替えを抱え、物陰の方へ去っていった
反対方向を見ると男が一人立っていた
年は20半ばか、細みな体に金色の髪をして、ピアスをしている
いかにもホストでもしてそうな顔立ちだ
だが今はその顔立ちは萎縮したものになっていた
「待たせたな。……少々地味だろう? 似合っていないと思わないか?
それと、ハーケン君。毛布は買い替えておく。ありがとう、お陰で助かった」
相手を観察している間にレオーネが物陰から現われた
地味な安物スーツに不服そうな顔をしていた
アルトの似合ってるの言葉も、疑うような感じで受け取っていた
スーツ一つでそこまで考えるものなのか・・・・
まあ私もスーツは『ロベルタ ディ カメリーノ』しか着たくないが・・
意外と身近なものには金をかけるタイプの小村だった
「―――しかし、ぞっとしませんね。
あの少女。煌神リン、とか言いましたっけ。あの娘だけでも、私が知る限りで、二人も幹部クラスが出張っている。
そして、ここに籐堂院親子もいるとなれば、これは機関の幹部が勢ぞろいする可能性も出てくるでしょう。
……いや、本当にぞっとしませんよ。どんな大惨事になるか、心配です」
確かにそれは言える
今回は重要人物が多すぎる。イレギュラーな大物もごまんと居るみたいだ
・・・・・・いや、これは金剛の『予定』通りなのか
奴はなにを考えてるか分からないが、奴が出す指示はいつも最終的には結果を生み出している
強欲や暴力、人々の悲痛に汚れた結果が・・・
しかし、相手もあの籐堂院だ、一筋縄ではいくまい。・・・まちがいなくこの町で異能者たちの
戦争が起こるだろう。ならば【奴】にも隙ができるはず・・・そのチャンス逃すものか・・・
絶対に・・・・・・
「既に投入されているセカンドナンバーにファーストナンバーも加われば、
最悪この街が地図上から消えてしまうかも知れない。
……目的の為なら手段を選ばない。例え、この街を消す事になろうとも……。
No.1はそういう男だ」
レオーネの言葉は金剛を良く知っていて、理解している言い方だった
やはり、レオーネと金剛には確かな関係がある
従えるものと従うものの関係ではない。よく分かり合っている何かが・・・
「確かに安くは済まないでしょう。この街にとっては不運なことでしょうが・・・・
しかしそれは仕方がないこと。むしろこの街一つで済むほうがよいでしょう。
・・・・ところでこれからの行動方針も合わせて話し合いをしたいのですが
とりあえずレオーネさんの家にでも行きませんか。せっかく来てくれた車ですし、それに・・」
小村は拳に親指を立て、さっきからこうちゃくしている男性を指した
「彼も緊張で疲れてきたようですし」
【レオーネの家に行くことを提案】
眼帯を奪った直後、宗方は首を捕まれて壁に顔を押しつけられていた。
一瞬の隙をついての攻勢に舌を巻きつつも、宗方は自分の不覚を悟る。
気道が塞がれて声が出ない。
もともとは国崎の心に長広舌で揺さぶりをかけたつもりだったが逆効果だった。
国崎はあと一歩のところで踏みとどまっていた。日常を大事に思うのならば当然だ。
もしこれで国崎が宗方を殺すのであれば、それは宗方の自業自得というものだろう。
これでは正直なところ何もできない・・・それどころか呼吸すらできない。
神重は、気配からして国崎に攻撃を加えそうな雰囲気だった。
最高のカードを切ったつもりが、全て裏目に出てしまった。
(まずい、このままでは・・・)
だがその時思わぬところから助け船がきた。
>> 「スペクターさんたちが正義の味方で、正論を言っていることはわかったわ。
>>でも私たちは貴方たちほどの正義感も、戦闘能力も無いの」
驚くほど冷静な声、国崎の傍らにいた女性だった。
彼女は腕をまくり、負傷の跡を見せた。
傷はあまり深くないようだが、それは彼女に似合わない凄惨な爪痕だった。
彼女が語るところによると、国崎達は末端の構成員と戦いそれを撃退したのだという。
だが、それでもこれだけの傷を負った。よって戦力にはなれないと。
彼女の目は嘘を言っては居なかったし、なによりその傷が真実を物語っていた。
そして彼女は国崎と宗方に提案する。
自分たちは日常にしか帰る場所がない、自分たちを「能力者だ」と割り切ってもいない。
だから、殺人や破壊工作はできない(一般人の思考ならば全くもってごもっともな話だ)
その代わり、後方支援要因として協力しようというのだ。
>>「それだけでも何人もの命が救われることにつながると思わないかしら?」
>>「国崎は店舗を護る。私は他の薬局から買うでも何でもして、ここの医療品を絶やさないようにする」
>>「こういう形で私たちは貴方たちに協力する。どうかしら?」
申し分ない提案だった。
だがこの店は国崎のものだ、彼はどうするのだろうかと宗方は考える。
いつのまにか宗方の首から手が離れ、眼帯が手の中から消えていた。
宗方は壁にもたれて激しく咳こみつつ新鮮な空気を吸う。
無様な体勢を立て直し国崎を見ると、国崎は眼帯を装着して椅子に座っている。
先ほどとは違い、落ち着きを取り戻していた。
>> 「……はぁ。 スマン、どうも慣れない戦闘で知らない間にストレスが溜まってたみてぇだ。
>>命懸けなんて経験、慣れてなかったらかね。……とにかく、八つ当たりみたいな真似して、悪かった」
「いや……私こそやりすぎた。許してくれとは言わん、だが詫びさせてくれ。すまない。」
宗方は二人に深々と頭を下げた。
国崎は更に続ける。
. >> 「後方支援っていう形なら、俺も構わねぇよ。
>>それでこの街の住人を助けられるなら、それにこしたことは無いしな……ただ、それ以上は勘弁してくれ」
国崎は傍らの女性の提案に賛同の意を示した。
これが、彼らにとっての最良の選択なのだ。そして宗方にも異存はなかった。
神重を見て、うなずいた後に宗方は口を開く。
「ありがとう。協力感謝する」
「だが医療品の代金は払う。
昔汚職役人から巻き上げた金が500万ほどある。
必要に応じて引き出してくれ、電話一本で引き出せる」
そう言うと宗方は隠し口座の番号と暗証コードを伝える。
宗方にとっては虎の子の隠し貯金だったが、背に腹は代えられなかった。
「それと、二人に是非とも知らせておきたい情報がある。」
宗方はそう呟くと、映像投射能力を使い空間に立体映像を投影させた。
「今から見せるのは。私が神重と行動を共にする事になった理由だ」
映し出されるのは屋敷で見た光景の一部始終だ。
「機関が異能者を作っていた」というところだけをはずしたディレクターズカット版だった。
国崎はともかく女性にはショックが強すぎると判断したためだ。
映像を投射しつつ、端的に状況を説明した。
組織の事、長束誠一郎と城栄金剛の事、そして二人が対立関係にある事・・・
それから、宗方はおもむろに手帳を取り出すと、超スピードで文字をノートに書きつけた。
美弥子から貰った”シナゴーグ≠フ資料のコピーだった。手帳の半分のページに書き付けて国崎に渡す。
「以上が私が伝えたい情報の全てだ。」
【宗方零 国崎たちの提案を承諾 国崎達に情報を伝える】
>>53 突如繰り出された蹴り。
しかし、それは何の変哲もないただのケンカキックだった。たやすく腕で受けると、戦場ヶ原はすぐさま体勢を立て直した。
(機関……No.2………だと?)
リンの兄を名乗るツバサという男はそう答えた。
機関のファーストナンバー。しかもNo.2ならば相当な使い手の筈だ。
しかしこの男が繰り出したのは異能力ではなくどうということもない蹴り。
戦場ヶ原の頭に疑問符が浮かんだ。
ツバサに名を名乗るよう言われたのも無視して、戦場ヶ原はリンに向けて言葉を投げかける。
「リン!どういうことだッ!お前、機関の関係者だったのか!?」
さっき背後から聞こえたリンの声。
どう考えても敵対する相手に投げる言葉ではなかった。
―――――機関を名乗る兄。不可思議な能力。先程の不審な言動。
思い当たる節は確かにあった。
そう考えると、戦場ヶ原は急にリンが遠い存在のように思えた。
(バカなッ!リンは俺が守る………そう決めたじゃねぇか!)
自身に喝を入れると、戦場ヶ原は再びツバサの方へ向き直った。
>>76 戦場ヶ原に問われてリンは意識を覚醒させる。
「それは…でも、」
戦場ヶ原の問いにリンは曖昧に返す、といってもリンもこのことについては知らなかった。
物心ついた頃、兄はそばにいたが両親はいなかった。
さらに小学校に入る頃に兄とも離れ離れになった、そのあと中学校に入るぐらいから兄の行方を探したがまったく見つからなかった。
(正確にはツバサが機関からリンにあう事を禁じられていたためであるが)
そのためリンは家のことについてまったく知らなかったのだ。
ゆえにリンは口篭もった。
「俺もあまり長居はしたくない、すぐにリンを連れて行きたいんだ」
ツバサが言った瞬間、リンの下に魔法時のような発光したものが現れる。
リンはとっさに反応しその場から離れようとする。
しかしリンが気づいたときにはツバサに何か液体を染み込ませたハンカチで抑えられたあとだった。
「ん・・!」その後リンは意識を失った。
「はぁ…」
臨戦体制を保ったままツバサは溜息をついた。
相手は今にも飛び掛ってきそうだ、その前にツバサは退却する事を選んだ。
「リンがどういう風に世話になったが知らんがもうリンにかかわるな」
そう言い残し相手が飛び掛ってくる前に先ほどリンを攫った方法と同じ方法で外で待つ空雲の車に移動する。
(これでどうにか成功か…)
そんなことを考えつつツバサは空雲に指示を出し車を出した。
【ツバサ:リンをさらい逃亡】
【リン:攫われる今は眠った状態】
>>70 >「あのー、お取り込み中で悪いだけど、ちょっと良いかな。ちょっと彼に用があって」
病院を出ようと、玄関のドアを潜ろうとしていた時だった。
男の声に呼び止められたのだ。
声の主は四島を呼び止めたようだが、その内容からどうやら俺に用があるようだった。
──異能者。
不意に、頭をそんな文字がよぎる。何せ先程まで異能者と一戦を交えた後なのだ、
そう警戒するのも無理はなかったと言えるかもしれない。
警戒しつつくるりと背後を振り返ると、そこにはぼさぼさ頭の眼鏡青年が立っていた。
しかもその青年には微かに見覚えがあったのだ。
そう、先程この玄関にて俺とぶつかった、恐らくあの青年であろう。
青年の出方を窺いつつ、俺は次の言葉を待つが、
幾秒か経っても青年はただ無言のまま何かに怯えるような顔をして話す素振りを見せない。
この青年のことは思い出した。しかしこの青年に関わることについて
俺は何かを忘れている気がしたが、その疑問についての考察は、
数秒間の沈黙に痺れを切らした四島が単純な疑問を投げかけてきたことによって
封殺されるのだった。
「ねぇ、このオジサン知ってる人?」
「……まぁな」
俺は迷わずそう答えた。
知り合いと呼べる人間ではないが、何せ全く見覚えのない人間ではないだから。
それより、四島が"オジサン"と言うほど、実年齢は中年の範疇にあるものではない
気がするが……まぁ、それは別の話であろう。
「……ここに立っていると他の人間の迷惑になる。外へ行こう」
俺は二人にそう促し、病院の敷地外へと離れた。
向かった先は人通りの少ない病院の裏門。
ここであれば三人の人間が固まって話をしていても迷惑にはならないだろう。
「……で、俺に何の用ですか?」
俺の言葉を聞いて、やっと眼鏡青年が口を開いた。
──しかし、次の瞬間俺の耳に聞こえてきたのは、別の人間の声であった。
「よお、そこの。お前ら異能者だろう? そこのお嬢さんは違うようだが。
クックック……こりゃあいい。一気に二人も消せるわけだ」
それは野太い男の声。しかも、嫌というほどに殺気がこもっている。
声が発された方向を見て、やはり男であると再確信する。有に2mはあろうかという長身に、
左顔面には、左目を巻き込んだ大きな刀傷があるのが特徴であろうか。
言動からしてこの男は十中八九異能者であろう。
そして、男の言う事が正しければ、俺の直感通り、眼鏡の青年もまた……。
「俺は『機関』に所属する異能者! 機関では『No.19』と呼ばれている。
今日中にこの街の異能者の数を半分にまで減らせとNo.1が仰せだ。
No.1のお言葉は絶対。よって、お前ら二人はこの場で死んでもらう!」
【池上 燐介:恋島達哉、四島真琴らと共に病院の外へ】
【NPC機関異能者『No.19』登場。名前不明】
>>78 声を掛けたはいいが、やはり俺はへタレだ。次の言葉が出てこない
単純に財布について知っている事を聞き出せばいいだけなのに。多分ココに来て俺の悪い癖が出た
どうでも良い時は口が滑るくせに、大事な時に声を出せない
NOと言えないから九鬼に馬車の如くこき使われるのだ。自覚してる分どーしよーもねーな、俺
俺と男と、男の友人の女の子の間にしばし、重く辛い沈黙が流れる。駄目だ、男の目を見れない
わざわざ引き止めておいてこれは無いよなー。朝からずっと胃がキリキリしてやがる
本当なら今頃、ザ・近未来でゆったりペイチャンネルでも見ながらリラックスしてる頃なのに
それもこれも九鬼の奴が・・・いやこの状況に九鬼は関係ないな、俺の所業だ
昨日の立方体との戦いも、今の財布紛失も俺がうっかりをふまなきゃ全部穏便に済んだ
まぁ何だな・・・こうゆう時って自分に腹が立つというのか? さっきから二人の目線が痛い
と、このモヤモヤした雰囲気を切り裂くように、男の友人の女の子が明るい音色で男に話しかけた
>「ねぇ、このオジサン知ってる人?」
お・・・オジサン。まだ23だぜ、俺・・・顔は無駄に経験積んでるから老けてるけどな
女の子の問いに男はそっけなく答えた。ぶっちゃけ知ってるも何も他人中の他人だが、女の子、グッジョブ
とにかくこれで財布について聞ける様にはなったな。未だに胃は痛いが胸を撫で下ろした俺は財布について聞・・・
>「……ここに立っていると他の人間の迷惑になる。外へ行こう」
男が周りに配慮してか、俺と女の子に声を潜めてそういった
え・・・えええ、そんな大した話じゃないよ? ただ単に財布の行方について・・・
・・・けど、男の言う事も一理ある。というか俺は聞く側だ。教える側である男に文句を言える立場じゃない
俺は黙って頷き、二人と共に病院を出た。――その時だ
『達哉、危ないよ。警戒して』
おう耳鳴り、久々だな。あぁ、何となくお前の言う事が分かるぜ
だがな、俺は今危なかろうが何だろうが財布についての情報をあの男から引き出さなきゃいけないんだ
でもないと俺の人生は確実にゲームオーバーだからな。金銭的にも人生的にも
だが杞憂が無いといえば嘘になる。男がいちゃもん付けられた事に対して、俺をボコボコにする可能性も無いって訳でもない
むしろその可能性のほうが無茶苦茶濃厚な気がしてきた。歩数にあわせて胃がドコドコ痛む
頼む・・・頼むから順調に行ってくれよ。でないと俺自身ストレスでどうにかなっちまいそうだ
・・・ストレスが溜まって爆発すると、なんか記憶が真っ白くなるんだな。大概ぶっ倒れた後だからな
3人ですたこら歩いていくと、病院の裏門・・・って危ないないか、ココ。人通りも少ないし・・・
まさか悪い予感が的中したのか? か、勘弁してくれよ・・・
思わず胃を押さえようとしたが、男が振り向いたため、すぐに手を払った
そうだ、俺は彼に財布についての情報を聞くためにココにいるんだ。もし間違ってて万が一になっても逃げれば良い
逃げる為には毅然とした態度にならないとな。俺は背筋を伸ばし、男に向き合った
【79の続きです】
>「……で、俺に何の用ですか?」
その言葉を待っていた! はぁ・・・良かったぁ・・・これでようやく財布について聞ける
もしも突然殴られでもしたら俺は、俺は・・・ぎゅるると俺の胃が緊張が緩和されたせいか萎むような音がした
よし、俺はひとまず深呼吸をして念願の財布について聞
『達哉! 今すぐ逃げて!』
耳鳴りの甲高い叫びが耳に響いて、一瞬脳がキーンとなる。やってくれるじゃないか、おい
お前とは結構長い付き合いだが、そろそろ・・・ん? ふと嫌な感覚がよぎる。・・・あーあ
声がして振り向くとと、やけに背のでかいどこで付けたかは知らないが、やけに顔に目立つ傷のある強面の男が立っていた
・・・やばい、もうストレスでぶち切れそう。何だか胃液が逆流しそうです
デカブツは体格に見合った野太い声で、俺達に言った
>「よお、そこの。お前ら異能者だろう? そこのお嬢さんは違うようだが。
クックック……こりゃあいい。一気に二人も消せるわけだ」
・・・今なんつった? 異能…ま た 異 能 者 か! 何なの? 最近のトレンドなのか、その異能者ってのは
何なんだよ・・・あのメールにしても立方体にしても目の前のデカブツにしても・・・俺に何か恨みでもあるのか?
只でさえ酷い状況下ってのにまた災難か! ストレスからくる胃の痛みと共に、頭に激しく血が昇って爆発しそうだ
けど落ち着け・・・落ち着け俺。多分このデカブ・・・いや、この大男はクスリかなんかでもキメてるんだろう
なんでそんな奴がこんな所に現れたかは置いといて、とにかく興奮状態を押さえなければ。俺は一歩前に出て大男を説得しに掛かった
幾分声を潜めて、俺は大男に
「よ、よし・・・ひとまず話し合おう、落ち着い」
>「俺は『機関』に所属する異能者! 機関では『No.19』と呼ばれている。
聞・・・聞いてねぇ。大男は俺が動いてるにも拘らず、大声でいかにも自信たっぷりに啖呵を切っている
だが切れちゃ・・・切れちゃ駄目だ、俺
「そ、そうか・・・けどまぁあれだ、何があったかは知」
>今日中にこの街の異能者の数を半分にまで減らせとNo.1が仰せだ。
だから・・・人の話を聞けよ・・・大体なんだ、その如何にもな説明口調は
知らんがな! Nо.1だか2だが知らないがお前の都合なぞ知らんがな! ・・・あ〜駄目だ駄目だ、俺は脈拍を無理やり下げ、説得を続けた
「分かった、君の言いたい事は痛いほど分かった。だから続きは警察で聞こう。さぁ一緒に」
>No.1のお言葉は絶対。よって、お前ら二人はこの場で死んでもらう!」
ぶちん。もう駄目、アウト。俺の頭はカーッと血が昇り――白くなった
目の前の景色が歪む。 歪むというよりくらくらする。取りあえずもうコイツは――許せねぇ
「・・・人の話はちゃんと聞いてくれないかな? 俺も悪いんだけどさ」
何か胃の痛みとかもうどうでもいい。俺はコイツに説教食らわせたい。無意識にメガネを外す
――こんな気持ちになるのは高校以来だよ、ホント。そしてこんな声になるのもな。大男が呆気に取られて俺を見下ろした
「取りあえずお前が言いたい事は理解できた。異能者だの何だの知らんが俺たちにいちゃもん付けたいのも分かった
だからひとまず彼女は逃がせ。何の関係も無い。そうしたら要求は呑んでやる」
大男に半場キレ気味に話しながら、俺は後ろの男に申し訳ない気持ちになった。こうゆう経緯になったのも俺のせいだ
・・・なら俺がその罰を受ければいい。財布の剣はこの馬鹿たれの件が済んだらで良い
「――いや、こう言おうか。俺がお前の鬱憤の対象になる。だから後ろの二人を逃がせ
どうせ――溜まってるんだろ? 現実に対する欲求不満でさ」
『もう駄目だ・・・』
【現在地:病院の裏門】
【Nо.19にタイマンを持ちかける】
>>80 顔に似合わず大胆な事をするものだ。
眼鏡青年は体格的に既に劣勢に立たされていながら、
『No.19』と名乗った大男を堂々と挑発している。
それは体格の劣勢を跳ね除けることができるだけの異能力を持っている表れなのか。
「欲求不満、か。クックック……そうさ、実はその通りさ。
最近、人間の血を見てなくてなぁ……腕がうずうずしていた所なんだよ……
とてもじゃねぇが貴様一人の血だけじゃ今の俺の欲望を満たすことはできねぇなぁ……!」
男からは隠しきれないといわんばかりの殺気が放たれ始めていた。
青年は逃げろと言ったが、この様子では大男は逃がしてくれまい。
やっと体力も回復してきたのだから俺とて闘いたくはないが、この際仕方ないだろう。
「ねぇ、なんなのこの人達? キカンとかイノーシャとかって、何の話なの?」
この場を包む緊張状態などどこ吹く風か。四島が眉を顰めて、俺にボソリと呟いた。
もっとも、機関とも異能者とも全く関わりの無い人生を歩んでいた人間が聞けば、
この疑問は当然の如く湧いてくるものなのだろう。
彼女に本当のことを言ってしまうのは容易いが、それは俺自身が危険な能力を秘めた
異能者であると告白してしまうのに等しい。それは避けねばならない。
それにましてや言ったところで、理解してはもらえるとは到底思えないのだ。
「この眼鏡兄さんの言う通り、こいつは俺達に絡みたいだけさ。
だが売られた喧嘩は買わなくてはなるまい。……これでお出かけはおあずけだ。
お前は自分の家へ戻れ」
青年の台詞に合わせた適当な受け答えをし、「えぇー」と悲嘆の声を出す四島に背を向け、
俺は眼鏡を外し少々興奮気味と思える青年を横目にして、男の傍へと歩み寄った。
「No.1の言葉は絶対と言っていたな? つまりお前らのボスがNo.1と呼ばれている人間ということか。
ならば思うに、No.1とは『城栄』という男のことじゃないのか?」
「ほう……No.1を知っているのか。貴様、ただの異能者じゃなさそうだな」
町全体を巻き込んだバトルロイヤルといい、異能者の人工増産計画の
立案者ということといい、そしてあの圧倒的な力といい、
やはりあの男が全ての黒幕、機関そのものの頭だったか。
「やたら威勢のいい身の程しらずに、我ら機関のNo.1を知る者か……ククク、こりゃ楽しめそうだ。
──では行くぞ! まずは──威勢のいいお前からだ!!」
男は地を強く蹴り上げ、猛スピードで青年のもとへ突進した。
【池上 燐介:NPC No.19と戦闘開始】
>>71 >>72 「既に投入されているセカンドナンバーにファーストナンバーも加われば、
最悪この街が地図上から消えてしまうかも知れない。
……目的の為なら手段を選ばない。例え、この街を消す事になろうとも……。
No.1はそういう男だ」
目的の為なら手段を選ばない。―――それは、しかし当たり前のことではないだろうか。
手段を選ぶような目的を、私は目的とは思わない。
しかしまあ、街一つならまだ安く済む方か。無関係な人達には悪いが、それが世界の不条理さだ。
受け入れられなくても、受け入れなくてはならないこともある。
「確かに安くは済まないでしょう。この街にとっては不運なことでしょうが・・・・
しかしそれは仕方がないこと。むしろこの街一つで済むほうがよいでしょう。
・・・・ところでこれからの行動方針も合わせて話し合いをしたいのですが
とりあえずレオーネさんの家にでも行きませんか。せっかく来てくれた車ですし、それに・・」
彼は親指を立て、後ろを指し示した。そこにいたのは、
「彼も緊張で疲れてきたようですし」
スーツを届けに来た機関の人間だった。いまだに緊張し続けていて、見ただけで疲れる。
「……ああ、そういえばいたんでしたね。
えぇと… 名前はなんですか? 荷物屋さん。
私はアルト・ハーケンというんですけれど」
ともかく話しかけてみよう。少しは緊張がとけるかもしれない。
…余計に緊張したとしても、それはそれで。緊張しているのを見るよりは、緊張させる方が楽しいと思う。
【アルト:機関の構成員に話しかける】
>>81 イライラが募った末の癇癪玉――だが不思議と後悔は無い
むしろ俺自身妙に頭が冴えていた。多分目の前のバカヤロウの支離面滅さに何かが切れてしまったに違いない
別に何も考えずにコイツに切れたわけじゃない。後ろの二人が逃げるまで粘って、俺もこいつから逃げる
後は人通りの多い場所まで逃げて、警察なり何やりに逃げれば良いだけだ
いくらこいつが異能力(笑)を持ってても国家権力には逆らえまい
にしても一見すると2メートル近く身長があるな、コイツ。格闘家でもあるまいに
それに顔面に出来た傷はアレか、名誉の傷とかか? にしてもコイツ誰かに似てるな・・・誰だっけ。まぁいいか
考え事を中断して、目の前のデカブツに目を合わせる。俺達の方を向いて顔をにやけている
>「欲求不満、か。クックック……そうさ、実はその通りさ。
最近、人間の血を見てなくてなぁ……腕がうずうずしていた所なんだよ……
とてもじゃねぇが貴様一人の血だけじゃ今の俺の欲望を満たすことはできねぇなぁ……!」
デカブツが獲物を食らう狼の如く大口を広げ、物騒な言葉を並べた
人間の血を見てないとかお前はどれだけ危ない世界を渡ってきたんだ? 格ゲーでもやってりゃ良いものを
だがそれも出来ないほどコイツはイッチまってんだな。安心しろ、豚箱はすぐそこだ
それより・・・俺は後ろにちらりと目を向ける。早く逃げてくれ、二人とも。多分コイツには見境なんて言葉は無い
だから・・・っておい、なにしてんだ! 男――は失礼だな、青年が女の子に何か耳打ちをすると、すっとオレの横に歩んできた
いや、俺より少し一歩手前、デカブツとは近からず遠からずの距離で停止した。だが危ない事には変わりない
「おい、はやく逃げろって・・・」
俺は青年に割と焦り気味にそう言ったが、青年は俺の言葉が聞こえてないのか、グッと顎を下げてデカブツを見据えた
そして――俺は青年が発した台詞にしばしば耳を疑った
>「No.1の言葉は絶対と言っていたな? つまりお前らのボスがNo.1と呼ばれている人間ということか。
ならば思うに、No.1とは『城栄』という男のことじゃないのか?」
君にはこの訳分からん男の言葉が分かるのか!? ・・・ホントにトレンドなのかもな、異能者とやらは
にしても俺は今の状況はゲームか、それか酷い悪夢だと思う。でなきゃ・・・いや、待てよ
口元に手を当てて、青年とデカブツの会話の意味を考えてみる。つまり「異能者」ってのNо.1が城栄って男なのは分かる
問題はその城栄が何の恨みがあって、俺と青年にこのデカブツをぶつけて来たのだろうか。もっと穏やかな方法でもいいはずだ
それにコイツが吹っかけてきた「機関」・・・あ、そうか、異能者達の集団を『機関』と言うのか。で、そのボスザルが城栄って訳だ
でその『機関』ってのははて・・・金融会社か? けっこうローン溜め込んでるからな・・・でもまだ請求書は来てないよな
それかあっち側の人? 結構ヤバイ橋を渡っては来たけど別段恨みを買うような事はしてないぜ、寧ろ友人が居るほどだ
つーか一番の疑問は俺はともかく、前の青年も絡まれた事だ。まるで俺達二人を最初から狙ってた様に感じる
まさかこのデカブツ、この青年に用が・・・と思ったが確か二人って言ったな
ますますコイツが絡んできた意味が分からない。まさか本当に・・・いや、それだと青年に対しても偏見を持つ事になる
思考が謎解きに集中して熱を上げ――
【
>>83の続きです】
『達哉!前から来る!避けて!』
――へっ? 耳鳴りの叫びで意識が一瞬で戻る。デカブツが俺目掛けて猪のように突っ込んでくる
俺はデカブツの形相に驚き、一歩ずつ下がる。意外と距離があるのかデカブツの姿は速いものの捉えられないほどではない
が・・・冷静になった頭でふと背後に顔を向ける。女の子が逃げて・・・ない!? 避ければ間違いなくこのデカブツが女の子に突っ込む
さっき逃げろっていったじゃねーかよー・・・って・・・
意識が反転して目の前が真っ白になる。痛いんだろうが余りの痛さに感覚が飛んだ。意識があるだけなまじ嫌だ
骨が何本か逝ったかもしれない。まさか俺自身病院送りになるかもしれないとはなぁ。けど今は・・・
デカブツのタックルに体を潰されながら、俺は呆然と立ち尽くす女の子に向けて――叫んだ
「バカ野郎、早く逃げろっつっただろ! 死ぬぞ!」
瞬間、デカブツが俺から体を離し、低く構えたまま俺を見据えた。俺はそのまま後方のコンクリの壁へと突っ込んだ
叩きつけられた瞬間、ぶっと鼻血が吹き出た。あまり人体についての知識は持ち合わしていないが、普通にヤバイだろ、これ
カッコつけねぇな・・・自分からケンカ吹っかけといてこのザマかよ。視界が涙のせいか滲んで歪む
デカブツは俺に背を向けて、前の青年に向き直る。青年がどう動くかは分からないが、デカブツのほうがはるかに高身長だ
青年が普通に戦って勝てそうな相手じゃない。・・・つーかそれは俺もか。ははっ益々カッコつかねえ
思わず天を仰いだ。はぁ、こんなはずじゃなかったんだけどな。俺っていつもこうだよな・・・
・・・これでいいのか? また誰かに助けられて誰かに迷惑掛けて。なんだろうな、この気持ち。無性に腹が立つ
そうだ、俺が腹が立つのは目の前のラリったデカブツじゃない。立方体の時もそうだったがなんでこうも情けないんだろうね、俺は
歯をかみ締めガクガクの膝を無理やり立たせる。やっぱり胸の方がジンジンしてて鈍い痛みが走る
口元から少し血が出ている。右手の甲で血を拭き、ぐっと目を閉じ、パッと開ける。デカブツはまだ青年に対しアクションを起こしていない
鎖が繋がれてるような重い足を無理やり引きずり、デカブツの方へと歩く。歩く途中に女の子に小声で伝えた
「出来たらで良い、間合いを見計らってダッシュで逃げるんだ。大声を上げながら
そして絶対に振り向くな。絶対に」
女の子の顔は見ない。ただデカブツの方を凝視する。思い出すな、馬鹿みたいな高校時代を
ズボンのポケットに偲んだメガネを取り出して掛ける。やっぱ掛けてた方が良いな、よく見えるぜ
呼吸を整え心身を統一し――俺はデカブツに言った
「どこ見てんだ? デカブツ。まだ俺はくたばってないぜ」
そう言いながら両手を両耳に合わせる
あの日の様に出来るかはわからないが――頼むぜ、耳鳴り
【現在地:病院裏門】
【どうにか意識はあるが一発食らうと危険な状態】
>>71>>72>>82 レオーネはスーツを受け持ちぼうっと立っている梶原からスーツを受け取ると、小さく礼をしてテント奥へと颯爽と向かった
礼をされた梶原は、戦々恐々とファーストナンバー直々の礼に対する感激が入り混じった複雑な感情を上手く現せず、ただただ首を縦に振った
さて・・・正直梶原の仕事はこれでほぼ完遂したことになる。後は3人を本社まで送り届けるだけだ
3人が集まり、何かを論議している。だが梶原にはその論議に首を挟む度胸もましてや権限もない
一構成員に過ぎない自分が、これだけの面子と対峙しているだけでも考えられない事なのだ
それに梶原自身自らの裁量はわきまえている。緊張状態で滑稽な姿なのも彼なりの敬意なのだ
にしても直立不動で3人の論議終了を待つ今の梶原の様子は、滑稽というより何だか息苦しい
その事を察してか、小村が梶原に背を向けたまま
>「彼も緊張で疲れてきたようですし」
と粋計らった台詞を2人に言った。無論ガチガチの梶原には、小村の台詞は聞こえていない
っと、3人の中の一人である長身の――鮮やかな金髪が目に付く、顔立ちからして外国人である女性が梶原に顔を向けた
女性と目が合った梶原は、彼女の美貌――の裏に潜む言い知れないオーラに、背筋を振るわせた
やはり只者では無い――まさか新しい幹部候補なのか? 梶原の脳裏に女性に対する様々な憶測が飛び交う
梶原の憶測を尻目に、女性は薄く微笑を浮かべると梶原に好意的な音色で聞いた
>「……ああ、そういえばいたんでしたね。
えぇと… 名前はなんですか? 荷物屋さん。
私はアルト・ハーケンというんですけれど」
女性は丁寧な口調で梶原にそう自己紹介をした。梶原は一瞬自体が飲み込めず目を白黒させた。が
自己紹介されたと分かると、いやに慌しい動作で3人に向かって深く頭を下げた。そして
「じ、自分は梶原、梶原琢磨と申します! 上層部からの指令で皆様を連れも・・・じゃなかった
お迎えに参りました! 力不足ですがよろしくお願いします!」
頭を下げたまま、梶原は3人にそう言った。お世辞にもスマートとは言えない梶原の自己紹介に、3人は三者三様の反応を示した
その時、梶原がズボンのポケットに入れていた携帯電話が、空気などお構い無しに着信音をけたたましく鳴らした
「あ、ご、ごめんなさい! すみません!」
梶原は青ざめ、携帯電話を後ろに回した手でそのまま取り出すと、小走りで3人から離れ、路上に停車している高級車まで駆け寄った
あまりのタイミングの悪さにめまいを起こしそうになりながら、携帯電話の通話ボタンを押す
「は、はい・・・梶原です」
「もしもし、こちらで確認しました。ちゃんと仕事は出来たようですね
ただちに本社に戻ってきてください。できれば早急に」
携帯電話を折りたたみ、ズボンのポケットにしまう。あの3人の逆鱗に触れないかを考えると心臓が爆発しそうだ
運転手に車をすぐに発進できるよう伝え、すぐに3人の下に駆け寄る
息を整え脈拍を無理やり押さえ込み、梶原は3人に先ほどの上司からの通達を伝えた
「ええっと・・・何かご予定等がございませんか?
無ければこのまま本社に向かいますが・・・」
【NPC梶原琢磨、小村達にこのまま本社に向かうか問う】
「わかんない… っすよ」
長い沈黙のあと、掠れた声でそれだけが絞り出せた
緊張で体力ががた落ちしていて 既にエレベーターの横の壁にもたれる形で座り込む
藤堂院さんの仲間がこっちを見てたりや付き添いさんが妙にウロウロしてたり
見覚えがあるような人物が視界に入っては消えていく
しかし、自分の意識は自身と目の前の人物だけ それだけしか認識する余裕がなかった
「一般人が巻き込まれて死ぬのがいやなら自分が死ね、 …ですか
…そうですね、確かにそうですね
言い訳はしません。自分はもう自分の保身のために人を三人消してますしね。
何を今更綺麗事を言っているのか…」
完全に自嘲が含め、薄ら笑いを浮かべ淡々と述べる 顔は下に向けていたので表情は相手に見えないが、この声の中に『諦め』の感情が入っていることはすぐにわかるだろう
「……大当たりです
能力は雷を出すこと、力の源は…、ヤハウェ」
ついに言ってしまった。もしかしたらここで人生が終わってしまうかもしれない
別に自殺観望からではない。 ここで死ぬならこの狂った運命が終わるだけだと諦めただけである
もういい、もうどうにでもなれ 死ぬ前に言いたいこと全部ぶちまけてやる
「自分も…、つい数日まで『機関』なんて信じない99%のうちでした
気がついたら、取り返しの着かないことを何回もやって、たった数日でこの傷です
はっきり言いますけど、もし『一緒に機関と正面から戦ってくれ』って言うなら断ります。
戦わないと自身の命に関わる、としてもです
自分には、こんなヤバイ事する組織なんかと戦う正義感も勇気も無いんです。 所詮臆病者で卑怯者です
そいつらの狙いが自分、…いや、自分の中の力だとしたら余計に、です
自分の目標は…、あくまでヤハウェ単体への復讐 …それすら、最近では怖くて霞んでますけどね…」
ここまで話すと、タイミングを合わせたようにエレベーターがやってきた
服に付いた埃を適当に叩き、今度こそ乗り込んだ
「なんでも、この町だけでも裏で『機関』が糸引いてる企業は沢山あるらしいです
それは"シナゴーク"って呼ばれてるらしいです
…長束誠一郎、って知ってますか?
自分は好きになれなかったし、今どこにいるかなんて知りませんけど、彼はいろんな事を知ってました
『元』機関の偉い人らしいですけど…」
【桐北:藤堂院に告白しエレベーターに乗り込む
心身共に、弱りきってる】
>>84 (──速い)
大男はスピードを緩めることなく、そのまま青年に体をぶち当てた。
体当たりをまともに受けた彼は、その衝撃のままに後方に吹き飛び、
コンクリートの壁に体を打ちつけた。
衝撃のショックからか、彼は口や鼻から血を吹き出している。
それでも立ち上がり、四島に対し「逃げろ」と叫び続ける彼の言葉に後押しされたように、
俺は四島のもとへと歩み寄った。
「眼鏡兄さんがああまでなってもお前を気遣ってんだ。早く行け。
……お出かけなら今度付き合ってやるから」
大の大人が血を流す場面を初めて見たのか、
四島は両手で口を押さえたままただ唖然としていたが、
青年や俺の言葉を聞いてやっと我に返ったようだった。
それでも彼女の頭は未だ混乱の最中にあるのか、言葉にならない言葉を吐いている。
「えっ……あっ……その……。……な、ななんなの、の……?」
「いるんだよ、たまにな。女連れで歩いている男に絡んでくるような輩が。
そういった輩に限って、暴力はその男だけに留まらず、連れの女にも加える場合が多い。
俺が時間を稼いでやるから、お前は早く逃げろ。そしてできれば逃亡先で警察を呼んでくれ」
人が多く集まれば、この大男とてその目の前で殺し合いをしようとは思うまい。
しかし問題はそれまでに俺……いや、俺達がもつかどうかだ。
見た目からすれば奴は肉体派だ。
青年に突進した時のあのスピード……俺の走力を5とするならば、
大男は7か8と言ったところだろう。それでも捉えられないスピードではない。
如何に奴が肉体に自信を持っていたとしても、二人がかりであれば何とかなったかもしれない。
だが……奴には俺達の知らない異能力をまだ隠し持っているはずなのだ。
駅の時のようにピストルでもあれば時間稼ぎにもなるが、
早々都合よくあるはずもない。時間を稼ぐと宣言したはいいが、さてどうする。
かといって考え込むままにこのまま棒立ちとあれば、青年の二の舞になろう。
四島は二人の助けを呼ぶという使命を得てか、やっとこちらに背を向けて走り出していた。
青年は大男の気を引く為にか、変わらず挑発の言葉を投げ続けている。
四島を逃がす為とはいえ、先程の体当たりが脚にキているのが見え見えだというのに、
よくもまぁああいう虚勢が張れるものだ。
「ほう、貴様ら二人が俺の足止めをする間に、お嬢ちゃんが助けを呼びに行くっていう算段かい。
確かに俺の異能力を大勢の人間の前で晒すわけにはいかねぇからな……クックック」
男は笑みを浮かべている。
俺達では足止めにすらならないと余裕をかましているのか。
「──だが、残念だったな。俺の顔を見た以上、あの嬢ちゃんも生かしておくわけにはいかねぇのさ」
そう言いながら男はコンクリートの壁の一部を片手で掴むと、
まるで軟らかい粘土を千切るかのようにその一部分を瞬時に『引き抜き』、
それを背を向けて走る四島目掛けて勢い良く放つのだった。
「──あうっ!」
コンクリートの塊を背中に受けた四島は、
鈍い衝撃音と共に悲鳴をあげると、うつ伏せになってその場に倒れこんだ。
「安心しろ。あの嬢ちゃんはまだ殺しちゃいねぇよ。
あいつはお前らを殺した後、俺がゆっくりと料理してやるんだからな。ククク……クァーハハハハ!!」
素手でコンクリートの壁を砕く……異能力でなければ、正真正銘の怪物であろう。
(思った以上の肉体派。これは……不用意に近付くのは危険か……)
「『近付くのは危険』と思っているな? 甘い甘い。
お前が近付かなくとも、こちらから近付くことだってできるんだぜ?」
──瞬間、男の姿が蜃気楼のように揺らいだ。
視覚が捉えた一瞬の違和感。その正体を直感した時、既に俺の腹部には重い衝撃が走っていた。
「……ぐはっ!」
(あれは……奴の『残像』か!)
「さっきのスピードを俺の本気だと思うと、こういう目に遭うのさ」
思わず開いた口から、胃液交じりの涎がスローモーションのように周囲に四散していく様を、
俺の目ははっきりと捉えていた──。
【池上 燐介:No.19のパンチを受け、後方数メートルの位置まで吹き飛ばされる。】
>>87-88 非力で情けない――だがそれでも俺はなけなしのプライドで、デカブツに虚勢を張る
コイツに折れる事は俺自身に折れる事になる。負けたくないとか諦めたくないとかそうゆうガキっぽい意地かもしれない
ダラリと、右目の視界に赤い液体が流れる。・・・くそっ、どうやら頭の方も怪我しちまった様だ
両耳を押さえていた両手をゆっくりと離す。幾分聴力はクリアになった。相変わらず状況は最悪だが
デカブツは俺と青年を見比べながら気味の悪い笑みを浮かべたまま動かない
明らかに余裕の表れである事が分かり、内心沸々と怒りが沸いてくる。だが俺も青年も下手には動けない
っと、青年がデカブツに鋭い目線を向けたまま女の子の元に歩み寄る。俺はデカブツに殺気を向けながらも、少しだけ目線をそちらに向ける
女の子は俺の状態を見てか、デカブツに怯えてるのか手で口を押さえている。若干震えているのが見ていてキツイ
すると青年が女の子に顔を寄せると一言二言何か呟いた。女の子はハッとすると、意を決したように走り出した
青年、何をどうやったかは知らないが超グッジョブ。これでひとまず心配事は去った。・・・かのように思えた
女の子がデカブツの前を通り過ぎた瞬間、デカブツが下衆い笑みを浮かべ、言い放った
>「ほう、貴様ら二人が俺の足止めをする間に、お嬢ちゃんが助けを呼びに行くっていう算段かい。
確かに俺の異能力を大勢の人間の前で晒すわけにはいかねぇからな……クックック」
――まさか。俺の脳裏に瞬時に最悪のケースが浮かぶ。完全に俺のミスだ
こういった状況下でもっとも力が弱いのは誰でもない――あの女の子だ。なんでこんな事に気づかなかったんだよ、俺!
俺はこのデカブツに対する怒りのせいで、その事を疎かにしていた。自分の力を過信していた。どうしようもねえバカヤロウだ
急いで駆け寄ろうとするが――デカブツが俺を塞ぐようにコンクリの壁面に歩んだ。右手を壁に合わせ――
「──だが、残念だったな。俺の顔を見た以上、あの嬢ちゃんも生かしておくわけにはいかねぇのさ」
そう言いながら、男は無理やりコンクリの壁を――抉った!? まるで粘土を引きちぎるが如く容易に
握力が凄いとかそうゆうレベルじゃねえ、明らかにコンクリを抉って、引きちぎってやがる。目を疑いたいぜ
――脳内でもくもくと、不安の雲が広がる。やめろ、やめろやめろやめろ!
が――次の瞬間、逃げる女の子に向かってデカブツはグッと体を捻ると、抉り出したコンクリの一部を女の子の背面に向かって投げつけた
ぶつけられた女の子は、あっというまにその場に倒れこんだ。ぶつけられたコンクリが倒れた女の子の近くに落ちてごろりと転がる
言葉にならないどす黒い感情が俺の体を廻る。コイツはどうしようもない――本当にどうしようもない
そして許しがたい。このど畜生は絶対に許すわけにはいかない。自然に俺の手は握り拳を作っていた
例の最低野郎はにぃっと口元を歪ませると、
【
>>89の続きです】
>「安心しろ。あの嬢ちゃんはまだ殺しちゃいねぇよ。
あいつはお前らを殺した後、俺がゆっくりと料理してやるんだからな。ククク……クァーハハハハ!!」
・・・こいつにはもう何の慈悲も沸かない。暴力は嫌いだし、出来るだけ穏便にいきたかったが――もう俺の怒りは突き抜けちまった
どんな手を使ってでもコイツには一発決めたい。無傷どころかもうこれ以上無い位にボロボロだけどな
けどデカブツは俺の方を向かずに青年に目を向けた。青年が防御するように構える
そんな青年の思惑を知ってかしらずか、悠然と向かい合ったデカブツは、絞るような低い声で言った
>「『近付くのは危険』と思っているな? 甘い甘い。
お前が近付かなくとも、こちらから近付くことだってできるんだぜ?」
――俺の目が狂ったのか? 気づけば青年がさきほど俺が一時的にくたばった場所に吹っ飛ばされていた
そして、デカブツが青年が先ほど立っていた場所におり、粉塵の中からぐったりとしている青年を見下ろしていた
瞬間移動でも使ったのか? それとも分身殺法? さっきのコンクリといい、俺たちはとんでもない野郎にけんかを売っちまった訳だ
けど不思議と絶望的な感覚は無かった。それよりもコイツに対する怒りと恨みとその他諸々で頭が一杯だ
デカブツは俺に背を向けたまま、青年を見下している。よっぽど自尊心があるらしい
どうする、バックはさっきぶっ倒れた場所に置いてある上、武器になりそうな物なんて・・・と思ったが、待てよ・・・
なるべく奴に気づかれぬ様、抜き足で倒れている女の子の元へと走る。何処だ、アレは何処にある
すまないと思いながら必死に女の子の周りを探り――見つけた。あのコンクリの破片だ。・・・ははっ良い感じに削れてやがる
先端が尖ったちょうど良い感じの破片を力強く握り――ゆっくりと背を向けたデカブツの真正面に立つ
右目が血のせいで完全に見えなくなる。だがこれでいい。破片をナイフのように握り、いつでも抜けるよう少しゆるく握る
高校時代に嵌ってた『アレ』が出来るかはわからない。だがやらなきゃ――俺たちはコイツに殺される
収まれ心臓音。今だけで良い。一矢報わせてくれ。神様でも仏様でも良い。そして俺は、デカブツに向かって叫んだ
「俺にもやってくれよ、その子供騙しの異能力をよ」
俺のその言葉に、デカブツは凶暴な笑みを浮かべたまま振り向いた。そして無言であの体勢を作る
耳鳴り――耳鳴り――俺を――俺を――導けっ!
「耳鳴りィィ!」
『真正面からストレート。右斜め、または左斜めへの回避運動を推奨』
――いつもの舌足らずの子供の声ではなく、凛とした青年の声が心地よく耳に響いた。――また会えたな、お前
一か八か、俺は腕を思いっきり上に伸ばしてひねりを加えながら、突っ込んでくるデカブツ目掛け思いっきりブン投げた
そしてすぐに右斜めに受身をする。受身の態勢から起き上がった瞬間、右肩に激しい痛みが走り思わず両膝を突いた
右目は死んでるは右肩は痛いわ踏んだり蹴ったりだが、一番気になるのはデカブツの様子だ。俺はゆっくりと振り返る
デカブツはその場に仁王立ちしている。と・・・真っ赤な血痕がデカブツの方に点々と続いており次の瞬間
デカブツの頭から鈍く鋭い音を立てて、血の噴水が吹き出た。デカブツが頭を抑え呻き声を上げる。ざまあみやがれ
【現在地:病院裏門】
【No.19の頭にコンクリの破片をぶつける。右目・右肩不能】
>>30>>46 >「今私とこの少年が話しているのだ、貴様に口出しされる筋合いはない
今すぐ失せろ、人の話を立ち聞きするのはあまりいい趣味とは言えないぞ」
それはあんまりじゃないか?
あまりのことに呆然となる
「……はっ、見失った」
仕方なく暇つぶしに能力発動
この病院の裏門付近に面白そうな運命が見える
私はそちらへ行くことにした
>>84>>87 私が見たのは、ほとんど一方的にやられている異能者たち
そのうち一人は優れた『危機的運命』を回避できる能力を持っているのに
「もったいないな…」
彼らを一方的に攻め立てるのは機関の二桁おそらくNO.20前後のやつだろう
男の姿が揺らぐ
>「……ぐはっ!」
>「さっきのスピードを俺の本気だと思うと、こういう目に遭うのさ」
このままでは地面に叩き付けられるだろう
ため息を吐きつつフォローに向かう
ぼすっ
落ちてきた青年をキャッチし銃を『機関』の男に向ける
「何者だてめぇ?」
コンクリートを引き抜きながら質問してくる
答えは
「『極限運命(アンリミテッド)』機関に携わる方ならこれで十分でしょう」
機関からの依頼は何度か受けている
全てが退屈だったので数十年前から手を切っているが
「まさかこんな形で関わるとは…」
上空に向け銃を放つ
炸裂音が鳴り響く
「これで人が集まってきますよ?如何なさいます?」
【五徳 静慎:池上をキャッチ No.19を挑発】
>>30>>46 >「今私とこの少年が話しているのだ、貴様に口出しされる筋合いはない
今すぐ失せろ、人の話を立ち聞きするのはあまりいい趣味とは言えないぞ」
それはあんまりじゃないか?
あまりのことに呆然となる
「……はっ、見失った」
仕方なく暇つぶしに能力発動
この病院の裏門付近に面白そうな運命が見える
私はそちらへ行くことにした
>>87-90 私が見たのは、ほとんど一方的にやられている異能者たち
そのうち一人は優れた『危機的運命』を回避できる能力を持っているのに
「もったいないな…」
彼らを一方的に攻め立てるのは機関の二桁おそらくNO.20前後のやつだろう
男の姿が揺らぐ
>「……ぐはっ!」
>「さっきのスピードを俺の本気だと思うと、こういう目に遭うのさ」
なるほど肉体馬鹿か
>「耳鳴りィィ!」
もう一人の青年が叫ぶ
信じられない
『運命ガ改変サレタ』
肉体馬鹿はそこにうずくまる
血の噴水が私のコートに引っかかった
ふと肉体馬鹿がこちらを見る
「さっきまで「てめえの様な奴は居なかった何者だ!?」
質問してきた言葉を私が継ぐ
答えは
「『極限運命(アンリミテッド)』機関に携わる方ならこれで十分でしょう」
機関からの依頼は何度か受けている
全てが退屈だったので数十年前から手を切っているが
「まさかこんな形で関わるとは…」
上空に向け銃を放つ
炸裂音が鳴り響く
「これで人が集まってきますよ?如何なさいます?」
これでよほど肉体馬鹿を怒らせなければ奴は引かざるを得ないだろう
【五徳 静慎: 恋島の驚愕 No.19を追い払おうとする】
>>73 >>82 >>85 >「確かに安くは済まないでしょう。この街にとっては不運なことでしょうが・・・・
>しかしそれは仕方がないこと。むしろこの街一つで済むほうがよいでしょう。
>・・・・ところでこれからの行動方針も合わせて話し合いをしたいのですが
>とりあえずレオーネさんの家にでも行きませんか。せっかく来てくれた車ですし、それに・・」
―――ふむ。この小村の意見にハーケンも同様の答えを導き出したようだ。
そうだ。何を考えているのだ、私は。良心など"あの日"棄てたではないか。
私が過去も、未来も失った"あの日"から……。
ルシオにクラウディア、ガリレオ、フェデーレ、エンリコにガブリエラ……。
皆の事は決して忘れない。忘れる事は絶対に出来ない。
この世に神はいない。それが解ったのは、孤児院が焼けたあの時だった。
孤児院の皆、見ていてくれ。神がいないのならば創ってみせる。
―――私と城栄で創ってみせる。『炎魔』の力を使って……。
物思いに耽っている間、迎えの男が何か言っていた気がするが、
そんな事は如何でも良い。些細な事だ。
それにしても、私の社宅に来る気か。
別に構わないが、私的には早めに城栄の居るであろう本社ビルへと行きたい。
「私の家に行こうとするのは構わないが、私は服も機連送も掻き消されたのだ。
社宅の鍵を収めていたキーケースも消えてしまったよ」
これは嘘だ。私は家の鍵を閉めないタイプだ。
あの日の事がトラウマになっている事は自分でも良く解る。
鍵さえ開いていれば、皆を業火から助け出す事が出来た。
……止めよう。今は感傷に浸っている場合ではない。
自分を戒めていると、ポピュラーな着信音が聞こえてきた。
どうやら男の携帯が鳴っているようだ。そのまま私たちから小走りで去って行った。
機関からの確認の電話だな。それほど長くは掛かるまい。
案の定、暫くすると男は戻ってきた。
>「ええっと・・・何かご予定等がございませんか?
> 無ければこのまま本社に向かいますが・・・」
「彼もこう言っている。本社ビルへ向おう。
小村君としてはNo.1に会うのは嫌だろうが許して欲しい」
【レオーネの目的:神のいる(支配する)世界を創り出す事】
【『炎魔』と城栄が関係している】
>>86 全てを話し終えた桐北の眼は虚ろで、生きることを諦めてしまったように見えた。
『もう僕は皆が居なくなるのは耐えられないんだ。
このまま皆が死んでいくのを見ていくだけの世界なんて生きていても意味がないよ。
さよなら、瑞穂ちゃん』
その姿は数年前の『機関』との戦いの中、そう言って自殺した私の仲間に重なった。
「待て!」
その瞬間、私の体は勝手に動きエレベーターに乗りこんでいた。
当然エレベーターは階層を指定されていないので動かない。
「瑞穂、エレベーターのボタンを押せ、屋上だ。
うまくやればこいつを自殺に見せかけて殺せる、絶好の機会だ」
「嫌です」
師匠に逆らうのは初めてだった、師匠の事を師匠と呼び出してから逆らった事は一度もなかった。
もう私も耐えられなかった、もうあの生きる事をあきらめた顔は二度と見たくない。
桐北は私が守ってみせる。
「な・・・・・・瑞穂、いきなりどうしたんだ?」
「二十歳にも満たない少年が『機関』如きのために死ぬなんて嫌です。
私には桐北は殺せません、無抵抗の人間を殺すなんて、まだ未来がある人間を殺すなんて、私には出来ません」
沈黙、桐北も師匠も私の発言をとても驚いているようだ。
「はぁ、俺はこうなるんじゃないかって薄々思ってたよ。
やっぱり親子は似るものなんだな。
俺が『機関』を裏切ったのは当時『機関』に捕らわれていたヤハウェ・・・・・・っていうかまぁ惚れた女な、そいつを助けるためだったんだ、結局守れなかったけどな。
だから瑞穂、お前の決断に俺は口を出さない、俺はお前が俺と違う結末を迎えられる様協力するぜ。
お前が守るんだ、こいつを『機関』から。
あと敵じゃなくなった今、ヤハウェたる桐北修貴は俺達能力者の主だからな、敬えよ」
>>95 これには私が驚いた、まさか師匠がこうもあっさりと許してくれるとは思わなかった。
それに『機関』への復讐の理由にそんな事があったなんて私は初耳だった。
桐北もさっきからずっと開いた口がふさがらないようだ。
信じて良いのか悪いのか分からないようなので一応騎士として誓いの儀式をする。
実際の儀式は主が長剣の平で肩を叩くというものなのだが、師匠のは違うのだ。
「神の子桐北修貴、私は貴方を主とし、守っていく事を誓う。
この口づけに忠誠の心をこめて」
そして私は跪き、桐北の手の甲に軽くキスをする。
師匠は組織がまだあった頃、信頼する幹部にはこれをやらせていた。
エレベーターに監視カメラが無い事を確認すると、天之尾羽張を取り出し、鞘から抜く。
「剣神憑依『建御雷神』」
短くそう唱えると天之尾羽張が淡く光り、その光は桐北の身体に吸い込まれるように消えていく。
そして、天之尾羽張を鞘に戻し、またバッグに押し込む。
「これで貴方が危機に陥っても居場所はいつでも分かります。
押し売りのようなことをしてしまいましたが、どうかお許し下さい。
私が守りますから、貴方は生きているのだから、あのような顔はもうしないで、私の少し頼りないご主人様」
今の私はやっと葛藤から解き放たれ、久々に心から笑う事が出来ているような気がした。
私はこの人が笑って生きていけるよう守っていこうとそう誓った。
「お前って結構恥ずかしい奴だったんだな・・・・・・
因みにあの恥ずかしい儀式はずっと前俺が考えた罰ゲームだからな」
師匠に言われて初めて今の私の頭の中がお花畑状態になっている事に気づき、急激に顔が熱を持ってくる。
その恥ずかしさを誤魔化すように私は一つ咳払いをしてからこう言った。
「それで、何階にご用でしょうか?」
【籐堂院瑞穂:桐北修貴に何階に行くか訊ねる】
>>77 「もうリンには関わるな。」
戦場ヶ原が最期に耳にした言葉は、ツバサと名乗る小柄な男のものだった。
ツバサは先程の鈍重な動きからは想像もつかない俊敏さで、素早く、的確に、
戦場ヶ原の背後に回り込んで何か薬物らしきものを投与する。
その瞬間、戦場ヶ原の視界はブラックアウトした。
(リン……、リン……ッ!リン―――――ッッ!!!
男の声にならない悲痛な叫びが、彼の中の虚空の闇を裂いた――――――。
どれくらいの時間気を失っていたのだろう。
戦場ヶ原はひとけのない美府温泉の裏側搬入口によりかかって倒れていた。
気がつくと、そこにリンの姿はなかった。
「俺は……」
とてつもない絶望感と喪失感、無力感に自己嫌悪。あらゆる負の感情が彼を襲う。
「俺は……何をしている。」
機関のNo.2。その妹。守るべき対象が、突然遠い存在になり、それは何を言うこともなく自分の元を去っていった。
(いや)
(これで良かったんだ)
(初めからこれは俺が関わることではなかったんだ)
いくつもの言葉が彼の脳裏を埋め尽くす。
『諦観』という名の感情。
それに支配され、彼の身体はピクリとも動こうとしない。
ガサガサガサッ!
そんな彼を、突然現れた武装集団が取り囲む。
彼等は統率の取れた動きで一斉に戦場ヶ原にその銃口を向けた。
「異能者、山田権六だな。
貴様はこの3日目時点で規定のスコアに達していない。
厳正な選定のもと、排除する。」
フルフェースで顔を覆った彼等に、戦場ヶ原は虚ろな目を向ける。
その胸には、見覚えのある朱い髑髏を象った紋章。
(虐殺…部隊。)
かつて自分の率いた殲滅専門の戦闘チームだった。
「ククク………クハハハハハ」
自分の姿が滑稽で、戦場ヶ原は笑えて来た。女に逃げられ、自分のもと部下に殺される。なんと惨めな最期だろうか。
(それが俺にふさわしい。)無力感に支配され、戦場ヶ原は目を閉じた。
『まだ…終わってないよ。』
!?
突然脳裏に響いた懐かしい女性ーーー天音滴の声。
それと同時に、連れ去られるリンの寂しそうな顔が、戦場ヶ原の脳内に広がった。
そう。まだ終わっていない。
滴は死んだが、リンはまだ死んでいない。
漆黒の闇に一筋の希望が差し込まれると、闇は収縮して小さな『球』になった。
そして今、それが戦場ヶ原の左手に生まれていた。
「!?」
虐殺部隊は驚いて思わず後逸する。
「俺はリンを………助ける……ッ!!」
男は低く唸ると、力強く立ち上がった。
「能無しどもが……、この俺を誰だと思ってやがるッ!!」
男の大喝に、虐殺部隊はさらにあとじさる。
「俺は戦場ヶ原 天……。
『歪んだ重力』』戦場ヶ原 天だァァアアアアアアッ!!!!」
牙を取り戻した獣の咆哮が、天を貫いた。
【戦場ヶ原:封印解除】
>>90>>93 俺の意識は、大男の刹那の攻撃の衝撃によって一瞬だがプツリと途絶えていたようだ。
そんな俺の意識を再び現世に舞い戻したのは、
文字通り腹の底にまで染み渡る激痛と言っていいだろう。
俺がどれだけの間意識を失っていたのかは分からないが、
目を開いた時、そこには額から血を流して呻き声をあげる大男の姿と、
いつの間に現れたのだろう、銃を持った長髪の女……いや、男が立っていた。
辺りを見回すと、倒れている四島に負傷しているあの眼鏡の青年……。
少なくとも、まだ闘いは終わっていないようだ。
俺は左手で腹部を押さえ、痛みを堪えながらゆっくりと立ち上がった。
「『極限運命』……なるほど、貴様も異能者かい。
……そこの灰色兄ちゃんも起きたようだし、これで三対一か。クックック……」
大男の足下には血のついた石……いや、あれはコンクリートの塊か。
察するに、あのコンクリートに額をぶつけたのだろう。
俺のスピードを5とするなら、奴は7〜8と思っていたが、それは違っていた。
最低でも10、下手をすれば20以上のスピードを持つ怪物だ。
だがそれ故に高速移動中での物体との衝突は、自身へのダメージを増大させる結果となる。
(なるほど……考えたものだな)
「人が集まると言ったな? そりゃ困ったなぁ、クッフッフ。
けどよぉ、俺はまだ貴様らの『血』を見てねぇんだ。このままおめおめと引き下がるわけにはいかねぇ!
人が集まる前に、ケリつけてやるぜ!!」
男が両拳を合わせた途端、空気が変わった。
いやそれだけはない、男の体から次々と血管が浮き出し、体全体を震えさせているのだ。
カルマ
「俺の名は『岩城』。機関では『饗宴』と呼ばれている……。
さぁ、お前達を殺戮の『宴』に招待しよう……」
男のありとあらゆる筋肉が見る見る内に充実していき、
腕などは先程の倍ほどまでに膨れ上がっている。正に、筋肉の化け物だ。
俺は激痛の走る腹部に力を入れ、声を絞り出した。
「それが、お前の異能力か……」
「そうよ……! 己の肉体を限界以上にまで高め、その力によって敵を粉砕する!
機関の幹部連、すなわちファーストナンバーの方々を除けば、俺に敵う者はいない! そして!」
男の右腕がアスファルトに埋まる太い電柱を掴んだ。
そして、なんとそれを根本から瞬時に『へし折る』のだった。
電柱から伸びていた電線などは電柱を掴む男の片腕の一振りによって容易く千切れ、
男はただ太く長いコンクリートの塊と化した柱を、空中でヘリコプターのローターのように
ぐるぐると回転させている。
「腕力で俺に適うものは、機関にも存在しないのだ!!
さぁ!! 人が集まる前に、お前ら全員ここで捻りつぶしてくれるわぁっ!!」
奴の肉体だけでも苦戦気味だったというのに、
槍をも越える長さのコンクリートの柱を武器とされるのは、予想外であった。
(反則、だぜ……。こいつぁ、他の二人の異能力に期待しなきゃならないかもな……)
──男が唸り声をあげ、柱を振り回しながら突進を開始した。
あれだけの筋肉をつけておきながら、スピードは先程と全く変わらない。
男は俺の目の前にまで迫ったところで、勢い良く柱を振り下ろした。
──俺は咄嗟に脚に力を入れ、柱を回避すべく真横に跳んだ。
「それで……避けたつもりかぁぁぁーーっ!!」
しかし、かわせるはずだった柱が、地面に到達する前に軌道を『横薙ぎ』に変え、
振り下ろされた時の勢いそのままに、再び俺の体目掛けて迫って来るのだった。
「……なにっ!? ──うぐっ!!」
左腕を巻き込んで、左脇腹が激痛を伴う鈍い音を立てた。
俺の体は、バットに乗せられて弾き飛んだボールのように、空中へと舞い上がった。
【池上 燐介:左腕、左脇腹負傷】
>>85 >>94 「じ、自分は梶原、梶原琢磨と申します! 上層部からの指令で皆様を連れも・・・じゃなかった
お迎えに参りました! 力不足ですがよろしくお願いします!」
梶原という男はそうやって、自らの名前と役目を話した。無論、頭を下げたままでだ。
明らかに緊張しすぎている。……やはり、少しばかり頼りない。
「梶原君、ね。……あまり緊張しないよう方がいいわよ。
幹部の人達の心証を損ねるのは、嫌でしょう?」
その時、音が鳴り始めた。……どうやら、彼の携帯のようだ。
その場を離れて、電話の相手と話し始めた。
あまり長い時間はかからなかったが、どうにも空気の読めない電話だ。
「あ、ご、ごめんなさい! すみません!」
電話がかかってくる前よりも更に焦って、彼はこちらに駆け寄ってくる。
ますます頼りない。これでは彼らからの心証も、それこそ悪くなるだろう。
しかしまあ、彼の立場を考えると流石に酷か。幹部相手では仕方がない、とも言える。
「ええっと・・・何かご予定等がございませんか?
無ければこのまま本社に向かいますが・・・」
その意見にロンバルディーニも賛同する。
「彼もこう言っている。本社ビルへ向おう。
小村君としてはNo.1に会うのは嫌だろうが許して欲しい」
……bPと会う気なのか、ロンバルディーニは。
私としても興味はあるし、会えるかもしれないのなら、それもいいか。
「本社、ですか。―――それもいいかもしれませんね。
色々となくなってしまいましたし、準備も必要なのでしょう?
なら、一度拠点に戻るのもいいと思います」
【アルト:機関の幹部について考える】
×【アルト:機関の幹部について考える】
○【アルト:機関のbPに興味がある】
>>99-100 終わった・・・のか? 悪夢にしては長すぎるし、正夢ならもっとノーサンキューだ
上がらない右肩を恨めしく思いながら、右腕を曲げて自分の頬をつねる。何とも気の抜ける痛みを感じる
目の前には額を抑え、痛みを抑えるためかふらつくデカブツと、未だに動かない女の子、――ん?
と、デカブツの前面にどこかで見た事のある人が立っていた。確か・・・あ! 国崎薬局で行き倒れてた人だ!
右目を閉じている為よく顔は見れないが、あの雰囲気は間違いなく行き倒れさんだ。俺ってなんで確証がないのに決め付けるんだろうな
助けに来てくれたのだろうか。俺たちにか、デカブツに言っているのかは分からないがぼそぼそと何かを喋っている
一通り喋り終わると、行き倒れさんはふところに手を伸ばした。――警察を呼んでくれるのかな?
だとしたら凄く・・・凄く・・・あれ? なんかえらく物騒な形の携帯電話だな・・・携帯電話・・・じゃない?
次の瞬間、行き倒れさんは携帯――いや、この位置からはっきりと分かるが、間違いなく拳銃を上空に向けて発砲した
って馬鹿! おま、人呼ぶのに拳銃使う人がいるかよ! つーかなんで銃を平然と持ってんだこの人! ・・・国崎さんも持ってたけど
あぁヤバイ、もう頭が痛いとかそうゆう生ぬるいレベルじゃない。普通じゃない
もしかして行き倒れさんってデカブツの仲間なのか? だとしたら〜もう〜・・・駄目だな…
遺書でも書いときゃ良かったかな。あれ、そういやどうして俺こんな非日常で漫画チックな状況下に置かれてるんだろう
ホント病院で何もかもカタ付いたのによ。俺も少しは言い返すなり自分の主張を通すべきだったじゃないか
思い返すと俺って消極的だから損してんだよな〜どげんかせんといかん。・・・素晴らしいまでの現実逃避だ
だが卑怯だとか思わないでくれ。何たって致命傷を負った筈のデカブツが、此方を振り向いているのだから
>「『極限運命』……なるほど、貴様も異能者かい。
……そこの灰色兄ちゃんも起きたようだし、これで三対一か。クックック……」
痛くなかったのか・・・まぁあそこまで人間離れしてて、コンクリが額にぶつかった位でへばっちゃ情けないしな
けど俺としては撤退してほしかったぜ。ダラダラ血が流れっぱなしなのも見ていて非常に気持ちが悪いし
デカブツの最後の言葉に、俺は思わず振り向く。腹部を押さえた青年が、若干ふら付きながらも立ち上がっていた
激しく怪我人な俺から見ても、青年の状態は元気とは言いがたい。けどデカブツのタックルを食らっても外傷が少ないのは凄い
俺が一般の平均男性より色んな面で劣っている事を視野に入れてな。俺がもう少しマッチョメンならな・・・デカブツみたいになるのは嫌だが
しかし三対一・・・怪我人一人に青年一人、それに行き倒れ――はどっちなんだろう。味方だとしても些か不安である
するとデカブツは、わざとか空気が弾けるような派手な音を立てて、両拳を合わせると
>「人が集まると言ったな? そりゃ困ったなぁ、クッフッフ。
けどよぉ、俺はまだ貴様らの『血』を見てねぇんだ。このままおめおめと引き下がるわけにはいかねぇ!
人が集まる前に、ケリつけてやるぜ!!」
空気を震わすような低重音の声でデカブツがそう叫んだ瞬間、デカブツの体から血管が浮き出――ってキモっ!
人に見せる様な部位じゃないだろ、筋肉ならともかく血管って・・・がその後のデカブツの様子は俺の想像を凌駕していた
浮き上がった血管に続くように、デカブツの足や腕の筋肉がモリモリと膨れ上がる。そして――デカブツは正真正銘の化け物へと変貌した
は、はは・・・無茶苦茶すぎて笑っちまうよ。俺たちはホント、何と戦ってるんだ
カルマ
「俺の名は『岩城』。機関では『饗宴』と呼ばれている……。
さぁ、お前達を殺戮の『宴』に招待しよう……」
何とも言えぬグロテスクな姿となったデカブツは、岩城と名乗った。一瞬ある甲子園漫画のキャラが浮かんだがすぐに打ち消した
にしても――これがコイツの言っていた――
>「それが、お前の異能力か……」
そうだ、それだ! 後ろの青年が俺の考えを代弁してくれた。信じたくは無いが、これが現実なのだろう
立方体との戦いが鮮明に蘇る。心の底では必死に否定していたが、もう割り切るしか無さそうだ。でもないと精神がどうにかなっちまう
>「そうよ……! 己の肉体を限界以上にまで高め、その力によって敵を粉砕する!
機関の幹部連、すなわちファーストナンバーの方々を除けば、俺に敵う者はいない! そして!」
そう言いながらデカブツは、アスファルトに設置された電信柱を異様に肥大化した右腕で掴んだ。巨大化した筋肉を這う血管がグロい
グッとデカブツが力を入れた途端、電信柱を根元からへし折れた。もはやこいつが何をしようが驚かない。ボドボドと電線が落ちてくる
グルグルとバトンを回すが如く容易に、デカブツが電信柱を両腕で回す。もはや言葉も出ない
>「腕力で俺に適うものは、機関にも存在しないのだ!!
さぁ!! 人が集まる前に、お前ら全員ここで捻りつぶしてくれるわぁっ!!」
そう吼えながら電信柱を振り回し、デカブツは俺達の元へと走ってきた。――って危ねえ! つうか俺にタックルした時並にはえーぞ!
俺は反射的にその場にしゃがみこんだ。――そういやあの行き倒れさんは大丈夫だろうか。しゃがんだまま様子を見る
どうやらデカブツの狙いは俺や行き倒れさんではなく、立ち上がった青年のようだ。デカブツは電信柱の回転を止めて振り上げた
青年が振り下ろされんとする電信柱を回避する為、真横へとステップした。アレなら絶対避けれる――と思った俺が甘かった
>「それで……避けたつもりかぁぁぁーーっ!!」
青年の回避行動を読んでいたかのように、デカブツは振り下ろそうとした電信柱をバットを持つように持ち変えた
そして――青年の横っ腹に向けて振りぬいた。衝撃をもろに受けた青年は空中に叩き上げられると地面に落下した。・・・ピクリとも動かない
電信柱には傷一つ付いちゃいない。ぐるりと電信柱を回して肩で担いだデカブツは、俺と何処にいるか分からない行き倒れさんの方を振り向いた
立ち上がるしかないか・・・俺は立ち上がって電信柱を担いだデカブツに向き合った。しっかし参ったね
さっき使ったコンクリの破片はもう使えない。さっきコイツに当てた時の衝撃と、その際に落ちた時の衝撃で小さくなってしまったからね
正直絶望を突き抜けてもう死ぬしかないな。どう動こうとデカブツのスピードとパワーには対応できない。しかも電信柱付だ
それに右肩も右目も実質死んでる。特に利き腕である右肩が動かせないのが痛い。これじゃあ防御も攻撃も出来やしない
そう、防御も攻撃も・・・なら、残っている手段は一つだけ。回避だ。問題の足も正直レッドゾーンなのだが、激しく動かなきゃどうにかなる
避けれても疲労のせいでせいぜい1,2回出来るかどうか。真正面は地獄、後ろに逃げ場無し。――で、耳鳴りはというと
『状況把握。武器、及び障壁となる対象は認知できず。回避行動を推奨』
・・・そんな事言われなくても分かってるっての。問題はこの化け物にどう対抗するかだ。パワーは×、スピードも×、経験積んでるから技術も×
はぁ〜。運が悪いからこんな事になってるし、運も頼れない。こりゃあゲームオーバーかね
デカブツは俺があたふたするのを楽しみたいのか、じっとしてるだけだ
だが残念、結構気分は落ち着いてるんだよ。諦めの境地だからな。・・・そういやタバコを全然吸ってないな
ポケットを探るとしっかりとライターとタバコの感触が合った。有難い。ホント・・・
「なぁ、岩城さん。死ぬ前の最後の願い、聞いてくれるかい?
タバコ・・・吸わしてくれないかな? 最後に好きな事して死にたいんだ」
【現在地:病院裏門】
【岩城にタバコを吸って良いかどうか聞く】
>>61 >>69 >>71 (そろそろ宗方も危ないかもしれない…仕方がないが、行け)
智の命令で敬は剣を具現化し、斬ろうと行動しかけたが――
「スペクターさんたちが正義の味方で、正論を言っていることはわかったわ。
でも私たちは貴方たちほどの正義感も、戦闘能力も無いの」
敬が行動し始めようとしたその時、女性の声で剣をしまうこととなった。
恐らく彼女も異能者だろう。腕の傷跡がソレを物語っている。
その原因…それは"機関"の構成員との戦闘での傷跡ということ。
末端の構成員に3人がかりでそれだけの被害を受けたということ。
それは嘘ではない…だが、国崎が本当の力を出していたのかというのが気になる。
国崎から感じるソレは…少し一般人の臭いとは違っていた。
そんな考え事をしている間に話は進んでいた。
要約すると、この国崎薬局は後方支援に回るということ
それ以上の行動は何もできないということだ。
宗方はこちらを見て合図をする。
「だが医療品の代金は払う。
昔汚職役人から巻き上げた金が500万ほどある。
必要に応じて引き出してくれ、電話一本で引き出せる」
そう言うと宗方は隠し口座の番号と暗証コードを伝える。
そんな大金を所持していたのか。少しの間楽ができる金だな…などと敬は考えていた。
「それと、二人に是非とも知らせておきたい情報がある。」
「今から見せるのは。私が神重と行動を共にする事になった理由だ」
立体映像から…情報が流れる。食事会での話、機関という組織について
その中に機関が異能者を作り出している…という情報は無かった。宗方の気遣いであろう。
宗方が手帳に何かを書いている間…二人は精神世界で話をしていた。
(これから我々はどう行動するものかな…)
(俺にはわからん。宗方が決めるだろうよ…兄弟
それにしてもあの時のお前の判断には少し焦ったぞ)
宗方を殺そうとするならば、国崎を潰せ そう言った智の行動に少し敬は驚いていたからだ。
(あれが本来の私の判断力だ。今は随分落ち着いているからな…)
(…なぁ…智…もう一度俺とお前を一つの人格に統合しないか?
そうすれば―――
(その話はするな。必要な時になれば嫌でもすることになるさ)
(…………)
【神重:これからの行動を思案 宗方の考えを優先する】
>「人が集まると言ったな? そりゃ困ったなぁ、クッフッフ。
けどよぉ、俺はまだ貴様らの『血』を見てねぇんだ。このままおめおめと引き下がるわけにはいかねぇ!
人が集まる前に、ケリつけてやるぜ!!」
おや、残念
これで彼の運命は『固定された』
肉体馬鹿が肉体の化け物に
正視に耐えない、ため息をつき『バリスタ』を展開する
>「それが、お前の異能力か……」
>「そうよ……! 己の肉体を限界以上にまで高め、その力によって敵を粉砕する!
機関の幹部連、すなわちファーストナンバーの方々を除けば、俺に敵う者はいない! そして!」
自慢話は大抵
>「腕力で俺に適うものは、機関にも存在しないのだ!!
さぁ!! 人が集まる前に、お前ら全員ここで捻りつぶしてくれるわぁっ!!」
敗北へとつながる
>「それで……避けたつもりかぁぁぁーーっ!!」
青年の回避行動を一切無効にする攻撃
運命道理、助けられないのは解っている為手出しはしない
己のとるべき行動をとる
>「なぁ、岩城さん。死ぬ前の最後の願い、聞いてくれるかい?
タバコ・・・吸わしてくれないかな? 最後に好きな事して死にたいんだ」
運命を改変した青年が放つ質問
肉体馬鹿の気がそれる
「あぁ、そこ危ないですよ、饗宴さん。」
私の放った弾丸はあの後換気扇のファンに当たっていた
ファンは風を切り裂き此方に飛来し
肉体馬鹿の耳をそぎ落とす
「うぐぁ!!」
たまらず後ずさる肉体馬鹿
その上の電線に弾丸を放つ
二本の電線が垂れ下がり肉体馬鹿の体に触れる
閃光が辺りを包む
私はその中心にバリスタを放った
「私の能力は『宴の結末』を教えてはくれない。だが此処まですれば、ねえ?」
【五徳:戦闘が終わったつもり 池上と恋島に話しかける】
>>98 『虐殺部隊』、『ジェノサイドフォース』、『鬼ども』―――
呼び名はそれぞれあれど、それらは飽くまでも機関構成員の間で使われる俗称に過ぎない。正式名称は『局地殲滅特化型特殊作戦部隊』。
機関のサードナンバーの中の、特に血の気の多い人格を持つ異能者に薬物投与を施すことで、
人為的に常時コンバット・ハイ状態を維持させられた者たちによって構成された、機関の中で最も危険な部隊である。
彼らに今、与えられた任務は『市街に散らばる異能者を、スコアの低い者から排除していく』こと。
今ここにいる5人の兵隊たちも勿論例外ではない。だが、彼ら5人は『不運』だった。
狙いをつけた標的が、『彼』だったのだから――――…
「標的、能力発動!ハチの巣にしてやれッ!!!」
号令とともにけたたましく響く無数の乾いた銃声。まばゆいばかりの5つのマズルファイヤは、すべてがその『男』に向けられていた。
『男』はその雨のような弾幕の中を、身じろぎひとつせず悠然と歩み出した。
一歩ずつ。着実に。ゆっくりと間合いを詰め、獲物を自分の間合いへと引き込む。
『狩る者』と『狩られる者』がいるとするのならば、『彼ら』と『彼』はどちらなのだろう。
だが詰め寄る『男』の顔は、かつてのように野獣のような笑みに歪むのではなく、ただ、まっすぐに獲物を見据えていた。
闘いの高揚感に酔うのではなく、それさえも支配する。『男』は今、さらなる『強さ』を手に入れていたのだ。
『男』は近づきながらゆっくりと左手を掲げると、黒球を発生させた。
するとそこで若い隊員のひとりが銃撃を続けながら、『男』に声をかけた。
「へへへ・・・あんたのことは覚えてるぜ…『鬼神』さんよォ。あんたの性格も能力も弱点もよぉ〜〜〜〜っくなぁ…」
『男』の表情を変えず、ただ左手の黒球に力を注ぎ続ける。
「あんたの重力球はたしかに強力だ。…だけどどの技も直線的で回避はラクだ。
俺達だっていつまでも昔の俺たちじゃねぇ。金剛サンに徹底的に戦術改革を手ほどかれた…。
あんたら『旧世代』の異能者なんざ、鴨撃ちなんだよぉッ!!!」
防御から攻撃へパワーコントロールを転じたせいだろう。『男』の顔や体には、ひとつ、ふたつと銃創が刻まれていく。
だが、彼は依然黙って黒球に力を注ぐ。
おしゃべりな兵隊は気づいていただろうか。その黒球が、かつて見た黒球よりもはるかに『濃い』ものだったことに。
「あんたもバカな人だよなァ!!本当にバカだよ!!好きな女が異能者だったかなんかで殺されたらしいが、そんな理由で金剛サンを敵に回しちまうんだからよォ!!」
「黙れ。」
静かな、だがよく響く重低音が、彼のおしゃべりを遮った。
それと同時に、その左手にためられた黒球が轟音をたてて兵士たちへと放たれた!
「おぉっとォ!!」
しかし兵士たちはなんの造作もなくその一撃をかわしてみせる。
「おいおいおい、訊いてなかったのかよ老いぼれ鬼さんよ!!あんたの攻撃はァ、俺達にゃあたんねぇっての!!」
若い兵士の茶化しを無視して、『男』は身を翻し、彼らに背を向けてその場を後にしようとしていた。
「って聞いてんのかテメェ!!逃げんじゃねぇ!!」
「お…おい!」
激昂する若い隊員の後ろで、もう一人の隊員が何かに気がついた。
そう。彼らが今かわしたはずの黒球が、彼らのすぐうしろで滞空していたのだ。
「消え失せろ――――…」
『男』の声が静かに響くと、その黒球は兵隊5人をすっぽりと覆う大きさにまで一瞬で膨らんだ!
「な・・・!!??」
彼らが自分たちの状態を把握する時間さえも与えず、『男』は左掌を水平に突き出し、勢いよく握りしめた。
「…――――『シンギュラリティ・ゼオレム』ッ!!!」
刹那。
5人を覆った巨大な黒い光は一瞬で収束し、消えた。
その覆われた5人とともに、その場で文字通り音もなく『消滅』したのだ。
『男』はその様子を一瞥することもなく歩み出した。
もはやその歩みに迷いはない。かつてのように闘いを求めて徘徊する狂戦士は、そこにいなかった。
「リン・・・・。俺が必ず、救い出してみせる。」
【戦場ヶ原:新技発動。封印解除とともに以前より能力がパワーアップしている。】
>>104>>106 衝撃によって上空へと舞い上がった体は直ぐに重力に引かれて落下を始め、
俺の体は硬いアスファルトに打ち付けられる形となった。
それでも左膝を再び付き立ち上がろうとするが、左脇腹を襲う激痛により断念するのだった。
これは左肋骨を何本かやられているに違いない。
左腕も先程から痛みが増してきている。この闘いではもはや左腕も使えないだろう。
口元からは、胃から吐き出された赤い液体が滴り始めていた。
直ぐ傍で、『岩城』と名乗ったあの大男が眼鏡青年や長髪青年と何やら
会話をしている様子であったが、その内容は激痛という新たな敵と闘い始めていた
俺の耳には届かなかった。
──そして目の前で不意に広がった閃光。
何が起こったのか、前後の状況をまるで把握していなかった俺は、
ただ閃光の中心を見つめるしかなかった。
>「私の能力は『宴の結末』を教えてはくれない。だが此処まですれば、ねえ?」
長髪の男が俺……いや、俺達二人に向かってそう呟いたようだが、
俺の視線は相変わらず閃光が走った場所へと向けられていた。
閃光に変わって白い煙が立ち昇り始めた場所には、切れた電線の一部が
軽い火花を撒き散らしながら転がっている。
閃光の正体……それはあの電線が発した電気。それにあの岩城が感電したということだろう。
口振りからして仕掛けたのは恐らくこの長髪。
(奴の用意した宴の席で、奴自身が死ぬ。これが顛末であれば言う事はない……が)
俺の一抹の不安は、直ぐに的中した。
もうもうと立ち込める煙の中から、岩城がその姿を現したからだ。
だが、如何に奴が肉体に自信を持っていても、流石にダメージだけは避けられなかったのだろう。
肉体のところどころにコゲ跡がつき、重さ数百キロはあるであろう電柱を息も切らさずに
軽々と操って見せた人間が、肩で呼吸をしているのだ。
「ハァハァ……今のは流石に効いたぜ。俺が異能力を使わずにいたら、あの世行きだった。
クフフ……俺の異能力は自身の肉体を最大限まで高めることだ。
あの程度の電撃ではダメージは負っても、死ぬことはねぇ」
肉体のみで耐え切ったというのか。
……肉体を強化する点に置いては確かに恐るべき異能力。
流石にあれだけの自信を見せていただけのことはあるようだ。
「……チッ! 俺らしくもねぇ、少し手間を取りすぎたか……」
そう言う男の背後から、パトカーのサイレンが鳴り響いている。
電線が切れ送電がストップされたことで付近の住民が不審に思ったのか、
それとも銃声を聞いた人間か、闘いの一部始終を見ていた人間が通報したのか、
いずれにせよ俺にとってはプラスの方向に事態が動いたようだった。
「……仕方ねぇ、決着はおあずけだな。
──だが、これだけで退いたんじゃ俺の気はおさらまねぇ」
男の目は俺達──いや、その先に向けられている。
男の視線の先、そこは……四島が倒れている場所。
男はニヤリと笑みを浮かべると、瞬時に四島のもとへその姿を移動させ、
右手で四島の首を軽々と掴みあげるのだった。
「クックック……正直言って少々見くびっていたぜ……。
武器持ちの貴様は勿論のこと、俺の攻撃を受けて気すら失っていない貴様ら二人もな。
この場は退いてやる……が、代わりにこの女の首を土産にもらっていくことにしよう!」
奴がアリを殺すような力を入れるだけで、四島の首は折れてしまうだろう。
しかし首を掴む奴の姿を見て、俺は血混じりの咳を吐きながら軽くほくそ笑んでいた。
「……ゴホッ! ……見くびっていた、か。フフ……実は俺もお前を見くびっていた。
この怪我はその代償と言ったところだろうな……。
しかし──俺を見くびった代償は、どうやらそれ以上に高くなりそうだ」
「フン、貴様がこの女が殺されるのを阻止するとでも言うのか? バカな、くたばりぞこないの分際で。
俺が貴様の目の前でこうやって少しでも力を入れれば──……な、なに? て、手が動かない!」
「……お前に手傷すら負わせられなかった男でも、警戒だけはしておくべきだったな。
目を凝らしていれば俺の体から発せられた『気』に気付いたはずだ。
お前がベラベラと減らず口を叩いていた時、既にお前の右手首は俺の異能力に喰われていたのさ」
城栄に異能力をほぼ封じられている今の俺には本来の威力は発揮させられないが、
凍気を送り込み、筋肉を一時的に麻痺させることくらいは今の俺にもできる。
「おい」
俺は長髪の青年に向かって、一言そう呟いた。
これ以上は何も言わずとも彼には分かるだろう。
何故なら、俺の視線は彼の持つ大きな弓に注がれていたのだから。
【池上 燐介:岩城の手首を麻痺させ、五徳 静慎に矢を射るように促す】
あー、暇だ。人を待つという事はこれほどまでに暇なのか。
今まではずっと人を待たせるタイプだったが、友人達は毎回こんな暇な時間を過ごしていたのか。
これから待ち合わせをする時は友人達を待たせないようにしないとな。
俺は心の中で友人達に拍手を送った。
それにしても瑞穂は何をやってるんだ。
まさかあの先輩(仮)と恋人ってわけじゃないだろうが…
つもる話でもしてるのか?あー、それにしても本当に暇だ。
俺が一人で行動してるのなら、とっとと病院を去って適当な所に移動してるだろう。
だけど、生憎と俺は一人で行動してるわけじゃない。
しかも相方は女だ、勝手に移動するわけにはいかない。
…ハッキリ言って瑞穂の腕っ節は俺を越えているので、誘拐だなんだに巻き込まれる心配はないと思うが。
それでも俺は男なのだ。女を一人にさせるわけにはいかないだろ…
…そういや何で俺は瑞穂と行動してるんだっけ?
あー…そうだ…日中じゃ能力が使えないから…瑞穂にボディーガードを頼んだんだっけな…
それにしても…本当に…能力を日中…でも使えるように…しねえと…
俺の意識は、ここで落ちた。
【廻間:瑞穂を待っている間に寝てしまう】
>>69>>75>>105 >> 「……はぁ。 スマン、どうも慣れない戦闘で知らない間にストレスが溜まってたみてぇだ。
>>命懸けなんて経験、慣れてなかったらかね。……とにかく、八つ当たりみたいな真似して、悪かった」
>>「いや……私こそやりすぎた。許してくれとは言わん、だが詫びさせてくれ。すまない。」
ぴりぴりとした殺気を発していた連れの男も収めた様子。
とりあえずは交渉は成功したと考えてよさそうだ。
「五百万円て……大金ね」
ぽんとそういう金額を口に出せるあたり、根本的に私とは感覚が違うのかもしれない。
ここで『私』と限定したのは、国崎はひょっとしたら宗方と近い側の人間じゃないかなぁという
推測に基づく物だが、まあ今はどうでもいい。
そして映し出された立体映像。
組織の成り立ちについては以前にせつなが漏らした言葉とおおよそ一致する。
少し繋ぎが不自然な部分はあったが、ほぼ真実だと言えるだろう。
だとするならば、奴等の本拠地の見当がついているということと
元幹部が反旗を翻しているということを知れたのは大きい。
トークには虚実の織り交ぜが肝心だしね。
「情報ありがとう。状況次第では私たちも別の形で力を貸すかもしれないけど、まあ期待しないでちょうだい」
傷口を包帯で覆い直し、宗方と連れの男、二人の顔を見比べる。
「だけど宗方さん。貴方は私たちのことを知った。だから貴方が捕まったり、操られたりすると私たちにも危害が及ぶわけ。
正義と倫理だけで動くと、結局は回りに迷惑を駆けることになりえないから、気をつけて」
「で、そっちの貴方は宗方が襲われても脊髄反射で動かなかったから、自制心と洞察力があるって信じるからね。
勢いで動こうとした宗方さんを止めてちょうだい」
「じゃ、それぞれの仕事に移りましょう?」
【葦川:薬局前】
>「フン、貴様がこの女が殺されるのを阻止するとでも言うのか? バカな、くたばりぞこないの分際で。
俺が貴様の目の前でこうやって少しでも力を入れれば──……な、なに? て、手が動かない!」
仕留め損ねたが、もはやこの戦いに運命の分岐はありえない
>「……お前に手傷すら負わせられなかった男でも、警戒だけはしておくべきだったな。
目を凝らしていれば俺の体から発せられた『気』に気付いたはずだ。
お前がベラベラと減らず口を叩いていた時、既にお前の右手首は俺の異能力に喰われていたのさ」
「おお、怖い怖い」
純粋な感想である、出来れば戦いたくは無い
>「おい」
彼は私、否私の持つバリスタに視線を注ぐ
「オーダーを承りました、お客様。」
バリスタにありったけの『弾』をこめる
「饗宴さん、貴方は私も見くびりました。」
引き金に指をかける
「異能者の本当の武器が『銃』だと、本気で思いましたか?」
楔状の弾丸を打ち込む、その弾は寸分違わず、回避行動を行った饗宴を打ち抜いた。
「私の武器は『運命』、人生の『極限』を見る力。」
残りの弾の一斉射撃
「今度こそが『宴の結末』です。」
宣言終了と共に饗宴は地に伏した
【五徳:、『岩城』に止め 能力解除、使用可能時間残り10分】
>>106>>108-109>>112 俺の質問に岩城は気の抜けた表情を浮かべた。もっと泣き叫んだりすると思ったか? 残念
返答無しって事は承諾って事だよな。俺はタバコを箱から一本取り出し、未だに上がらぬ右腕を使いライターで火をつけた
・・・・・・旨い。これほどタバコが旨いと思ったのは何年ぶりだろうか。タバコを口から離し、宙に煙を吐く
最後の食卓がタバコとは俺も思わなかったさ。できればデカイステーキなんか頂きたかったね
>「あぁ、そこ危ないですよ、饗宴さん。」
後ろから聞き慣れない声がした。多分行き倒れさんかな。にしても危ないとはどういう・・・
と思った矢先、乾いた拳銃音が2発響いた。・・・つーかこれだけドンパチしといて誰も来ないってのは正直疑問ではある
張り詰めた静寂――ん? ふと岩城の頭上から何かが落ちて来るように見える
次の瞬間、何処から降ってきたのか換気扇のファンが、岩城の左耳を狙ったかのように切断した
あまりのグロさに思わずタバコが口から落ちる。岩城は両耳を押さえて苦悶の表情を浮かべ後ずさった。俺ならショック死しそうだ
またも発砲音が2回響く。こんどは何処を打ち抜いたのだろう・・・と観察していると、猛スピードで後ずさる岩城にビターンと黒くて細い・・・
何が起こったかは理解できないが、岩城の体が一瞬目が潰れたかと思うほど光った。俺はグッと目を伏せ、反射的に体も伏せた
それに続くように凄ましい銃撃音が後方から聞こえる。鼓膜が耐えられそうに無いので耳もふさいだ。つーか日本だよな、ココ・・・
周囲に火薬の匂いと、粉塵が立ち込める。ようやく銃撃音がやみ、俺はゆっくりと目を開け両耳から両手を離した
にしても岩城でもあれだけ痛い、痛すぎるコンボを食らったら一巻の・・・生きてるよ、オイ
>「ハァハァ……今のは流石に効いたぜ。俺が異能力を使わずにいたら、あの世行きだった。
クフフ……俺の異能力は自身の肉体を最大限まで高めることだ。
あの程度の電撃ではダメージは負っても、死ぬことはねぇ」
お前は極度のドMか! 死ぬ事は無いって一度体験してるのか・・・なんだかお前がどんな修羅場を潜ってきたか全然予想できんぞ
あの黒くて細い何かは電線だったのか。どうりでスパーキングするはずだ。多分あの一瞬で岩城に雷並みの高圧電流が流れたのだろう
所々が黒焦げになっているのも頷ける。ふと遠くからサイレンの音が聞こえる。段々とこちらに近づいてきているようだ。・・・勝ったな。これは
>「……チッ! 俺らしくもねぇ、少し手間を取りすぎたか……」
>「……仕方ねぇ、決着はおあずけだな。
──だが、これだけで退いたんじゃ俺の気はおさらまねぇ」
もう止めとけ、岩城。幾らなんでもそこまで傷を負って肉体的ダメージが酷いんだ。さらに警察に捕まってみろ、社会的地位も・・・
・・・なんでこんな野郎の心配をしてるんだ、俺。伏せた状態から立ち上がって、岩城の方へ振り返る
がすでに岩城の姿はそこには無く――倒れている女の子のそばで仁王立ちしていた
>「クックック……正直言って少々見くびっていたぜ……。
武器持ちの貴様は勿論のこと、俺の攻撃を受けて気すら失っていない貴様ら二人もな。
この場は退いてやる……が、代わりにこの女の首を土産にもらっていくことにしよう!」
そう言いながら岩城の野郎はしゃがむと、倒れている女の子の首を掴んで立ち上がり、掲げてみせた
ど・・・どれだけ根っこが腐ってんだこのヤロー!! と叫びたいが疲労のせいか声も出ない。あー情けないったらありゃしない
しかし人質とは卑怯にも程があるぞデカブツ! だが今の俺では対抗する術は無い。それにあれだけ凄い事をしでかした行き倒れさんも、疲れている仕草をみせる
一難去ってまた一難・・・しかし知恵を絞る為の脳みそももうオーバーヒートしてやがる
>「……ゴホッ! ……見くびっていた、か。フフ……実は俺もお前を見くびっていた。
この怪我はその代償と言ったところだろうな……。
しかし──俺を見くびった代償は、どうやらそれ以上に高くなりそうだ」
後ろから苦しそうな声がして振り向くと、あの青年が口から少し血を垂らして、岩城を睨んでいた
おいおい、無理をしちゃ・・・と思ったが何だか違う。この雰囲気は――絶望ではなく、希望。・・・何て恥ずかしい台詞じゃなくて
うまく言葉じゃ言えないが、確実に事態は好転する。そんな予感がヒシヒシして止まらない
よくよく目を凝らしてみると・・・岩城の手首に何か埃? のような物が巻きついている。いや、埃にしてはキラキラしててキレイだな・・・
>「フン、貴様がこの女が殺されるのを阻止するとでも言うのか? バカな、くたばりぞこないの分際で。
俺が貴様の目の前でこうやって少しでも力を入れれば──……な、なに? て、手が動かない!」
>「……お前に手傷すら負わせられなかった男でも、警戒だけはしておくべきだったな。
目を凝らしていれば俺の体から発せられた『気』に気付いたはずだ。
お前がベラベラと減らず口を叩いていた時、既にお前の右手首は俺の異能力に喰われていたのさ」
青年が岩城に返答した瞬間、岩城の女の子を掴んでいた手首にみるみる白くなり――次の瞬間には完全に凍結していた
す・・・すげぇ! おおよそ予想はしていたが、まさかここまで青年の異能力が強いとは! もう常識もへったくれも捨てて、俺は素直に感動していた
予想外の出来事に、岩城が本気で悔しそうな表情を浮かべる。俺はその岩城の様子に胸がスッとする
と、青年の目線が岩城に向いていない事に気づく。その目線を追うと、行き倒れさんがやけにデカイ弓を持っていた
>「おい」
青年が行き倒れさんにそう声を掛けた。行き倒れさんは頷き返す
ホント銃といい何処から出すんだろう。ん、待て。つまり・・・青年が岩城の体を封じ、行き倒れさんが止めを刺す、と
・・・俺に出来る事は無い、な。静観して状況が落ち着いたら携帯で救急車でも呼んでおこう。そう思った矢先
>「オーダーを承りました、お客様。」
行き倒れさんがそう言ったとたん、弓が凄ましく変貌し、今まで見た事の無い様な武器となった
行き倒れさんが弓矢のようなトリガーに指を掛ける。狙いは紛れも無い、岩城だ
>「饗宴さん、貴方は私も見くびりました。」
>「異能者の本当の武器が『銃』だと、本気で思いましたか?」
>「私の武器は『運命』、人生の『極限』を見る力。」
ゆったりと落ち着いた声でそう語りながら、行き倒れさんが岩城の背面に楔の様な弾丸を撃つ。岩城はそのたびに派手に吐血する
次第に女の子を掴んでいた手首が緩くなってきた。・・・と、このまま女の子が落ちるな。俺は動かない脚を無理やり振るわせ、岩城の元へ走る
岩城の足が痙攣しているようにふらつく。そして
>「今度こそが『宴の結末』です。」
行き倒れさんがそう告げた瞬間、岩城が動物のような金切り声を上げて目や鼻や口から大量に血を流した
同時に手首から女の子の首が抜ける。ってヤバイ! 俺は岩城の股下を潜るように滑り込み、落ちてくる女の子をキャッチした
・・・やましい気持ちは全然無い、ホントに無い。単純に心配だっただけさ。ホントに
・・・岩城がうつ伏せになって顔から背中から血を流して倒れている。・・・どうやらこれで悪夢はようやく幕を閉じたらしい
抱きかかえた女の子を一端地面に置き、お姫様抱っこして腰を上げる。いつのまにか腰痛は治っているようだ。腰痛より酷いしな、他の怪我
流石にもう走る気力は無いので、俺はこの女の子の友人である青年の下へとゆっくりと歩み寄る
「病院・・・連れてきなよ。俺が言える台詞じゃないけど」
青年に女の子を渡しながら、俺は青年にそう言った。つーか腹減った・・・
【現在地:病院裏門】
【池上に四島を抱き渡し、病院に行くように言う】
>>75,,105,,111
「そいつはありがてぇが……薬剤師が取り次げる医者には限度があるんだ。
出来るなら、500万もかかる派手な怪我は勘弁してくれよ?」
俺は、少し驚いた表情を作りつつ言う。
派手な怪我は勘弁して欲しいというのは本当だ。
市販の薬だけではどうしようもない時は医者が必要になるのだが、
一般人として生きている国崎には、この街でのコネクションが一般医に対しての
ソレしかない。故に、ある程度の怪我までは黙っていて貰えるだろうが、
普通に診察されて警察が動き出す程の大怪我では、そのコネクションは使えないのだ。
その為その時には廻間に使った裏ルートの薬を使うことになるのだが……ソレの値段は
一般の薬と比べて零が二つ程度多いのである。500万でも少々心元ないというのが本音だ。
勿論その事は、話を拗らせない為にその情報は言わないでおくが。
その話の直後に、宗方という男が見せた映像。
そこに映っていた男――――長束誠一郎の姿に、
俺は驚愕の表情を押さえるのに全力を傾ける事を、余儀なくされた。
かつてほんの短い間関わった、冥界解体と呼ばれるあの男が今回の事件に関係しているとは、
俺は全く想像していなかった。それも、機関の敵対者としてだ。
世界はあまりに広いというのに、世間はどれだけ狭いというのだろうか。
そして、長束の映像から語られていく組織についての情報……
結果、俺が今まで知っていた事よりも、より正確な情報を俺は得た。
中でも、この街に機関の本拠地があると知った事は大きな収穫だったといえるだろう。
最も、発言者が長束なだけに、情報の裏を考えずに使用する気は無いのだが。
「……」
俺は、暫く考えた後渡されたメモの残り半分に、
『ナガセ……未知の物体で出来た箱を作成し捕縛、攻撃する能力者』
『レオーネ……恐らくナガセの上司。戦闘前に逃走したため能力は不明。恐らく機関でも大物』
『人間に催眠をかけ操る能力者が存在する』
自分が知っていてもおかしくない情報を記して、宗方という男に返却した。
ここは、形の上だけでも対価を払って置くべきだろうと考えての行動だった。
>「だけど宗方さん。貴方は私たちのことを知った。だから貴方が捕まったり、操られたりすると私たちにも危害が及ぶわけ。
>正義と倫理だけで動くと、結局は回りに迷惑を駆けることになりえないから、気をつけて」
>「で、そっちの貴方は宗方が襲われても脊髄反射で動かなかったから、自制心と洞察力があるって信じるからね。
>勢いで動こうとした宗方さんを止めてちょうだい」
(言いたい事、全部言われちまったよ。……やっぱ、女は怖ぇな)
葦川の的確な判断力に、古来より延々と男達に語り継がれる論理を確認し、舌を巻きつつ。
俺は椅子から立ち上がり、白衣のポケットから出した煙草を無点火状態で咥えて、店舗の一箇所を指差す。
「あー……最初の注文の薬箱は、そこのダンボールに入ってる。
2〜3個数が足りないと思うが、急な注文だったからな、そこは諦めてくれ」
>「じゃ、それぞれの仕事に移りましょう?」
壁にかかった時計を見ると、既に街が街として活動を始めた時間になっていた。
「……といっても、薬品が品薄じゃあ店が店として動かねぇんだよな」
俺はやや困った表情で頭を掻く。
薬箱と消毒液と包帯と傷薬の切れた薬局というのは、やはりダメだろう。
「そうだな……葦川。俺はこれから商店街の近くにある、病院御用達の
薬問屋に薬を仕入れに行こうと思う。で、だ。悪ぃんだが、そこまで付いてきてくれるか?
まあ、行きたくなければ残ってもらってもいいんだが……」
そう言って視線を向けるのは、葦川の服。それは先日初めて会った時と同じ物だった。
『そういやお前さんの服、昨日と一緒だな。』
などとありがちなセクハラ発言をかまさないのは、この場に人が居る事と、
先程冷静になる手助けをされた事への感謝、それから人生経験というトラウマからだ。
【国崎:商店街へ仕入れに行こうと考えている】
>>75,,105,,111
「そいつはありがてぇが……薬剤師が取り次げる医者には限度があるんだ。
出来るなら、500万もかかる派手な怪我は勘弁してくれよ?」
俺は、少し驚いた表情を作りつつ言う。
派手な怪我は勘弁して欲しいというのは本当だ。
市販の薬だけではどうしようもない時は医者が必要になるのだが、
一般人として生きている国崎には、この街でのコネクションが一般医に対しての
ソレしかない。故に、ある程度の怪我までは黙っていて貰えるだろうが、
普通に診察されて警察が動き出す程の大怪我では、そのコネクションは使えないのだ。
その為その時には廻間に使った裏ルートの薬を使うことになるのだが……ソレの値段は
一般の薬と比べて零が二つ程度多いのである。500万でも少々心元ないというのが本音だ。
勿論その事は、話を拗らせない為にその情報は言わないでおくが。
その話の直後に、宗方という男が見せた映像。
そこに映っていた男――――長束誠一郎の姿に、
俺は驚愕の表情を押さえるのに全力を傾ける事を、余儀なくされた。
かつてほんの短い間関わった、冥界解体と呼ばれるあの男が今回の事件に関係しているとは、
俺は全く想像していなかった。それも、機関の敵対者としてだ。
世界はあまりに広いというのに、世間はどれだけ狭いというのだろうか。
そして、長束の映像から語られていく組織についての情報……
結果、俺が今まで知っていた事よりも、より正確な情報を俺は得た。
中でも、この街に機関の本拠地があると知った事は大きな収穫だったといえるだろう。
最も、発言者が長束なだけに、情報の裏を考えずに使用する気は無いのだが。
「……」
俺は、暫く考えた後渡されたメモの残り半分に、
『ナガセ……未知の物体で出来た箱を作成し捕縛、攻撃する能力者』
『レオーネ……恐らくナガセの上司。戦闘前に逃走したため能力は不明。恐らく機関でも大物』
『人間に催眠をかけ操る能力者が存在する』
自分が知っていてもおかしくない情報を記して、宗方という男に返却した。
ここは、形の上だけでも対価を払って置くべきだろうと考えての行動だった。
>「だけど宗方さん。貴方は私たちのことを知った。だから貴方が捕まったり、操られたりすると私たちにも危害が及ぶわけ。
>正義と倫理だけで動くと、結局は回りに迷惑を駆けることになりえないから、気をつけて」
>「で、そっちの貴方は宗方が襲われても脊髄反射で動かなかったから、自制心と洞察力があるって信じるからね。
>勢いで動こうとした宗方さんを止めてちょうだい」
(言いたい事、全部言われちまったよ。……やっぱ、女は怖ぇな)
葦川の的確な判断力に、古来より延々と男達に語り継がれる論理を確認し、舌を巻きつつ。
俺は椅子から立ち上がり、白衣のポケットから出した煙草を無点火状態で咥えて、店舗の一箇所を指差す。
「あー……最初の注文の薬箱は、そこのダンボールに入ってる。
2〜3個数が足りないと思うが、急な注文だったからな、そこは諦めてくれ」
>「じゃ、それぞれの仕事に移りましょう?」
壁にかかった時計を見ると、既に街が街として活動を始めた時間になっていた。
「……といっても、薬品が品薄じゃあ店が店として動かねぇんだよな」
俺はやや困った表情で頭を掻く。
薬箱と消毒液と包帯と傷薬の切れた薬局というのは、やはりダメだろう。
「そうだな……葦川。俺はこれから商店街の近くにある、病院御用達の
薬問屋に薬を仕入れに行こうと思う。で、だ。悪ぃんだが、そこまで付いてきてくれるか?
まあ、行きたくなければ残ってもらってもいいんだが……」
そう言って視線を向けるのは、葦川の服。それは先日初めて会った時と同じ物だった。
『そういやお前さんの服、昨日と一緒だな。』
などとありがちなセクハラ発言をかまさないのは、この場に人が居る事と、
先程冷静になる手助けをされた事への感謝、それから人生経験というトラウマからだ。
【国崎:商店街へ仕入れに行こうと考えている】
>>63 「そうですか。すみません、初対面なのに色々と質問してしまって」
知らないなら仕方ない。冷静に考えれば、目の前の男が文月達と知り合いだという可能性は極めて低い。
そんなに都合よく事が進むことなど、現実ではほぼ有り得ないと言っていい。
男は医者になら心当たりがあると言った。怪我人が医者に行こうとしているのだから、これ以上引き留める訳にもいかない。
目の前の男との会話がいまいち弾まないことが香澄には不満だったが、会話と言うのは相手がいて始めて成り立つものだ。自分の思う通りにいかないこともある。
第一、こちらが警戒していなくとも、相手もそうだとは限らない。
異能力が無効化された今、香澄の状態は概ね良好であるのに対して、男は明らかに怪我人である。
これで男に香澄を警戒するなと言うのは、無理な話だ。
結局振り出しに戻るしかない。
意気消沈しそうになったところで、香澄は自分達を監視している者の気配を感じ取った。
【天宮香澄、七重と別れようかとしたところで、木の後ろに隠れている人物に気付く。】
もうすでに日は真上近くまで昇り、時刻は街をうごめく人々に昼休みと言う名の清涼剤を与える。
しかし、穏やかなはずの街の空気はけたたましい救急車やパトカーのサイレンによって切り裂かれていた。
そんな街中を、確固たる足取りで歩みを進める赤髪の着物男がいた。
「リンの気配はどこだ…。」
戦場ヶ原は静かに意識を集中させ、周りの空気を読んでいた。
殺気、闘気、さまざまな思惑が街の中を駆け巡っている。
この馬鹿げた闘いの宴も始まって3日め―――虐殺部隊が投入されている所を見るに、そこかしこに機関の刺客がうごめいているのだろう。
戦場ヶ原は殺気などの気配を感じることは出来こそすれ、それが誰の気配かを認識することは出来ない。
出来てせいぜい気配の質を見分けられる程度だ。
「…クソッ!」
あまりにも多くの異能者がうごめいていて、リンの気配を捕捉するのは困難だった。
戦場ヶ原は毒づいた。
「!」
ふと、間近で一つ何もなかった所から異能者の気配が突然生まれたのに気がついた。
リンは自分と同じように能力を封印されていた。それがまた自分と同じように復活したならば、
何もなかったところから突然発生した異能の気はリンのものである可能性は十分にある。
「…この方向は……病院、か。」
戦場ヶ原の足がそこに向くのに、さして時間はかからなかった。
【戦場ヶ原:池上の気配をリンと勘違いして、病院へ移動を開始。】
>>112>>114 「ぐはぁっ……! ば、バカ……な! 俺が……こんな……とこ、ろで……。
……フッフフフ……これが、俺の代償……宴の結末、か…………」
岩城は血を噴き出し、そのままグラリと倒れこんだ。
地面は奴が流した血が血溜りとなって広がっている。
恐らく息絶えたことで異能力が解除されたのか、先程まで大きく膨れ上がっていた
奴の肉体は見る見る内に萎んでいき、異能力使用前の姿へと戻るのだった。
奴が死に、俺は生き残った。勝ち負けで判断すれば、俺の勝ちとなるだろう。
しかし、一歩間違えれば俺が命を奪われていただろう。
いや、奴の止めを刺した長髪が来なければ、間違いなくそうなっていたはずだ。
「ま……運も実力の内ってね……」
俺は独り言のように呟き、四島を抱きかかえこちらに歩いてくる眼鏡青年へと視線を向けた。
>「病院・・・連れてきなよ。俺が言える台詞じゃないけど」
青年はそう言いながら俺に四島を渡してきた。
俺は同じように両手で抱えようとするも、左脇腹と左腕の痛みに堪えきれずに、
四島を俺の右肩に持たれかけさせる格好とさせるのだった。
「おい……起きろ。これ以上手間をかけさせるな」
四島の頬を強めにバシバシと叩くと、彼女は気がついたのか、瞼をゆっくりと開くのだった。
「あれ……? 燐ちゃん……? ここは……あ! あ、あいつは!?」
「……死んだよ。警察が銃で片付けた」
とは言ったものの、周りにはパトカーどころか警察官の姿もない。
しかし虚ろな表情をして、事態の正確な把握が困難であると思われる四島では、
こちらに迫るパトカーのサイレンだけで俺の言葉に納得にしたようだった。
「そっか……警察がやっつけたんだ……。燐ちゃんじゃないんだ……ふふ」
背中の痛みで冗談を言うどころではないはずだが、
四島は精一杯と思える意地の悪い笑みを浮かべている。
「お前が言っていたように、俺は体を悪くしていたんだよ。普段の力が使えていれば、俺が倒していたさ」
俺は顔に感情を出さずにそう言った。
それは俺なりの冗談であったのか、知る者は誰もいない。
しかし四島にとってはそれが冗談ではなく、真実のように聞こえたのかもしれない。
一瞬目をパチクリさせると、軽く微笑し「頼りになるね」と小さく呟いた。
四島は背中の痛みから来る疲労があるのか、それっきり口を閉ざし再び眠りへと落ちていった。
気付けば、パトカーのサイレンはすぐそこまで迫っているようだった。
俺は再び亡骸となった岩城へと目を向けると、独り言のように言った。
「正当防衛と言っても、警察は信じてくれんだろうな。
面倒事は御免だ。幸い目の前は病院だし、俺は一旦あそこに退避しつつ治療を受ける。
……お前らもそうした方がいいんじゃないのか?」
俺は四島の体を、一人無傷な長髪青年に抱えるよう促し、
痛みを堪えながらゆっくりと立ち上がると、少し足を引き摺りながら病院の裏門を潜った。
【池上 燐介:再び病院へ】
【機関異能者No.19岩城、死亡】
>117
「いやぁ、へへへへ」
と、なんとも心証の良くない笑いを零しつつ、
白い男が木陰から出現した
なかなかの老け顔である。しかも妙に青ざめている
しかし、にやついた顔つきや、軽快な身のこなしには、
奇妙な幼さが表れており、得体が知れない
遠慮の無い視線で、七重と女性を見比べている
「彼女じゃないんだろ?」
単なる冗談なのか、狙い済ました皮肉なのか
不意打ちを喰らわされた七重の表情は、更にげんなりとする
白い男はその反応が気に入ったらしく、満面の笑みを展開した
しかもそれだけでは飽き足らないのか、
横目で女性の方の動向を伺っている
厭らしい。非常に
この白い男の名は、西戸勇樹
七重の言っていた『医者』である
先ほど電話で呼ばれて急行したというわけだ
さて、医者といってもこんな男がまともに働いているわけがない
金さえ貰えれば何でもこなす。更には、人体実験すら憚らない
またの名を、闇医者。闇医者・西戸
とはいえ、闇医者だってピンからキリまでいる
その中でも、西戸は随分下の方に位置する
なまじ医療の知識があるので、
近辺のストリートファイター共の怪我の世話をして、
決闘罪の隠蔽をした上、治療の腕に見合わない金をふんだくっているのだった
別にずば抜けた技術があるわけではない
それでも、公の医療機関に入って喧嘩がバレるのよりはマシなので、
七重を含む哀れなファイター達は、この不良の元に通っているのだ
要は上手く立ち回った末に、多くのカモを抱え込んだ無免許ヤブである
「いやしかし、やばいやばい。色々と集まってきとる
面倒にならん内にさっさと逃げるぞ。今なら間に合う
誰かに引き止められたって、一発喰らわしゃ大人しくならあな」
そう言って西戸が視線で示した先には、よく手入れされた白の乗用車があった
燃えてはいないようである
「ほんじゃーな、嬢ちゃん
俺らはこれからお楽しみだから、あいよ。あいあいあい・・・」
取り留めのない挨拶をして、西戸は振り返ると、
ひらひらと背後の女性に手を振りつつ、車の方へ歩き出す
七重もちょっと女性に頭を下げると、その後に続く
肩を並べて歩く白と黒は、真逆に見えて、なかなか調和が取れていた
>>119-120 青年が女の子をどうにか右肩を使い、受け取るのを確認して、俺は両腕を離した
両目を一度深く閉じて、パッと開く。右目に太陽の眩しい光が入って、思わずもう一度目を閉じた
頭から流れていた血が、時間が経つにつれ乾いてくれたらしい。空中を仰ぐと、清清しいほどの青空が広がっていた
俺は俺と青年が岩城にぶつけられて、一時くたばっていたコンクリの壁へと歩いて汚れて転がっているバックを拾い上げた
中身を確認する。文庫本に取材用のメモ帳、その他etc・・・良かった。何の不備も無い
・・・何か忘れているような気がする。それも物凄く重要な何かを
ふと焦げ付くような血なまぐさい様な上手く形容出来ない匂いがして、鼻を摘まむ
無数の銃弾と、感電によるダメージで死んだ岩城の体は、人ではなく人だった何かへと変わっていた
・・・こんなのでもそれなりに人生を歩んできたんだよな。そう思うと少し気の毒な気分になる
・・・せいぜい閻魔様に怒られな。自分のしてきた過ちについて。俺は両手を合わせて、岩城の屍に小さく背を曲げた
と、行き倒れさんと青年に今回の事で感謝しなくちゃな。つーか俺が売った喧嘩だが
てかなんで俺もあんな時に切れたのか今では思い出せない。こんな目にあうならプライドを捨てて土下座でも何でもすればよかったのに
ある意味岩城より頭おかしいのかもな、俺は。・・・ふと俺の中の誰かがまーた自己嫌悪かとせせら笑った気がした
そういや岩城の死体についてどう警察に説明すりゃあ良いのかな。幾らなんでも喧嘩でこの状態になるのはありえん。てか死んでるし
俺が警察に対する言い訳について試行錯誤していると、何時の間に女の子を背負った青年が俺達に顔を向け、
>「正当防衛と言っても、警察は信じてくれんだろうな。
面倒事は御免だ。幸い目の前は病院だし、俺は一旦あそこに退避しつつ治療を受ける。
……お前らもそうした方がいいんじゃないのか?」
と言った。確かにこの状況を見た後に説明っつっても、警察の人達は何も信じてくれなそうだしな
しかも岩城の死体からすると、俺達にあらぬ疑いが掛けられる可能性がある、いや、絶対にある
切れた電線に地面に転がる電信柱、それに辺りに立ち込める焦げ臭い匂い。疑われる理由は幾らでもあった
青年が怪我をしていない行き倒れさんに呼びかけ、女の子を背負うよう頼んだ
そして裏門の方に向きかえると、少し引きずるように病院へと歩いていく。・・・あ! そうだ、財布だ!
女の子は行き倒れさんに任せて、俺はまだ痛みが残る足をもつれない様に歩いて、青年と肩を並べた
ここで言っておかないとマジで忘れそうだ。俺
病院に面倒になるのは目に見えてるからな、青年が俺より先に病院から出たとなれば大変な事になる
こうゆう事の後だからもう青年に対して恐れる気持ちは無い。正直友情っぽい物さえ抱いている。まぁあっちはそんなの何処吹く風だが
後で行き倒れさんに礼をしなきゃな、無論この青年にも
青年の顔を見ず、俺は伝えるべき事を早口で伝えた。結構歩くの速いよ、青年
「君の手助けが無かったら、俺も行き倒れさんも間違いなく殺されてたな・・・心から感謝するよ
元々俺があいつに喧嘩を売らなければこんな事にならなかったかもしれない・・・本当にすまない」
そこで俺は立ち止まり、青年に頭を下げた。本当なら医療費とか負担するべきなんだろうけど、金欠なんだ、そこは勘弁してほしい
俺の行動に、青年は若干戸惑った表情を見せた。てかホント、俺この人に2・3発殴られるべきかもしれない。女の子を危険に巻き込んだし
まぁそれは置いといて・・・俺は顔を上げて、最も青年に伝えなければならない言葉を伝えた
「それで・・・空気を読まない事を先に謝っておくのだが・・・
俺の財布が何処に行ったか教えてほしいんだ。どんな情報でも良い。ホントに切実なんだ」
嘘全く無しの純度100%本音だ。ホントのホントに、困る
【現在地:病院の裏玄関前】
【池上に謝罪し、財布の場所を聞く】
>>
>>101>>85>>94 「私の家に行こうとするのは構わないが、私は服も機連送も掻き消されたのだ。
社宅の鍵を収めていたキーケースも消えてしまったよ」
レオーネはそう言った
鍵ぐらいなら小村のゴッドバルトで簡単に新しいキーを作れる
が、レオーネの言葉にはどこかしら拒絶の念を感じたのでそれを提案するのはやめた
「じ、自分は梶原、梶原琢磨と申します! 上層部からの指令で皆様を連れも・・・じゃなかった
お迎えに参りました! 力不足ですがよろしくお願いします!」
アルトがスーツを持ってきた男に話しかけているようだった
(・・・梶原琢磨・・・・そういえばそんな名前の幹部が居たような)
小村は記憶を辿ろうとしたがすぐにやめた。特に彼に興味を惹かれなかったからだ
それより気になったのその後の言葉だった
「上層部からの命令?」
(どういうことだ、何故上はこのタイミングで私たちを呼ぶ・・・
レオーネが任務を失敗したからか・・・しかしそれならこちらが呼ぶ前に普通来るだろう)
梶原は運転手と話し、出発の準備をしてるようだ
「彼もこう言っている。本社ビルへ向おう。
小村君としてはNo.1に会うのは嫌だろうが許して欲しい」
「本社、ですか。―――それもいいかもしれませんね。
色々となくなってしまいましたし、準備も必要なのでしょう?
なら、一度拠点に戻るのもいいと思います」
レオーネはこちらの方がいいのだろう、賛成した
アルトはどうやら本社に興味を持ったらしい
(・・・私としては、この迎えはすこしおかしい気がするのですが・・・
まぁ、考えすぎなのかもしれませんね。ここのところミスが多くなってるので)
「わかりました。No.1には会いたくないのですが仕方ありませんね。
・・・その前に二つ程聞いていいですか」
梶原の方を向く。
見ると梶原は今にも心臓が止まりそうな顔をしていた
「私たちを呼んだ理由はなんです?
まさか特に理由もないのに、しかも任務中に呼ばれるんですから何かしら理由があるでしょう?
それと私たちを呼んだのは具体的に誰です?No.1ですか?」
自分でもすこし考えすぎだろうと思う
自分が所属している場所だ。そこまで疑う必要はないだろう
しかし、彼は忌み嫌われている。機関の幹部の大多数に(レオーネは違うようだが)
それに今は<こっち>にとっても大事な時だ。機関には十分注意せねば・・・
【梶原に質問】
【答えをきいたら車に乗るつもり】
>>122 >「正当防衛と言っても、警察は信じてくれんだろうな。
面倒事は御免だ。幸い目の前は病院だし、俺は一旦あそこに退避しつつ治療を受ける。
……お前らもそうした方がいいんじゃないのか?」
そう言うと青年は私に少女を託す。
とりあえず少女を背負い、岩城に刺さっているバリスタの弾を回収した。
「まぁ、放置していても機関の方で勝手に揉消しますからね。
こういったものの存在を知られるのを『彼ら』は嫌いますし」
この死体もそのうち『抹消』されるだろう
>「それで・・・空気を読まない事を先に謝っておくのだが・・・
俺の財布が何処に行ったか教えてほしいんだ。どんな情報でも良い。ホントに切実なんだ」
実に切実そうに青年が…
「…ところでお互い名乗りませんか? このままではやりづらいですし。」
とりあえず笑顔で提案してみた
【五徳:自己紹介を持ちかける】
前方から響く轟音。
リンかどうかは定かではないが、異能者同士の闘いが繰り広げられているのは確かだ。
リンッ、無事でいろ―――…!そんな切実な願いが、彼の足を速めていた。
病院裏手の少し開けたひと気のない場所。先ほどの気配はここから発せられていた。
しかし戦場ヶ原がついた時にはすでに事態が収束したあとだったのか、
そこにいたのはリンとは程遠い、無骨な大男の無残な骸ひとつだけだった。
「チッ…、ハズレか・・・。」
ほぼ肉塊と化しつつある大男の体には、独特なフォントで「19」の数字が書かれていた。
これはセカンドナンバーを得た機関の戦闘員が、自分の力を誇示するためによくする自己主張のタトゥーだ。
この男は機関のNo.19だったのだろう。
それほどの使い手がこうも無残に斃されるとは、やったのはいったいどこの異能者なのか?
一瞬、戦場ヶ原の脳裏をよぎったのは、かつて闘った氷使い、池上燐介の無表情な顔だった。
「フン、まさかな・・・。」
戦場ヶ原はため息をついて辺りを見回す。
最初に追っていた気配はもう周囲の殺気と混ざり合い、どこへいったか捕捉するのは容易ではない。
また振り出しにもどったというわけだ。
ふと、そこで近づいてくるパトカーのサイレンを耳にした。
やれやれ、また誰かが通報でもしたか、無駄なことを…異能者相手に警察ごときに何ができる。
そんな他人事として戦場ヶ原はひとり呆れていた。
しかし、どんどん近付いてくるパトカーの音に、戦場ヶ原は若干いやな予感を感じずにはいられなかった。
しかもその数はどんどん増え、鼓膜をつんざくほどまでにその音量を増したころ、
戦場ヶ原は6代のパトカーに取り囲まれていた。
事態をうまく呑み込めない戦場ヶ原を余所に、警官たちは機敏な動きでパトカーから飛び出し、戦場ヶ原にその銃口を突き付けた!
「お前は完全に包囲されている!!おとなしく武器を捨てて投降しなさーーーーーい!!!」
警官の拡声器が自分に向けられていることに気づき、戦場ヶ原は何のことだ?と言わんばかりのあきれ顔をするが、振り向いた瞬間すべての謎が解けた。
すぐ後ろに倒れていたのは、大男の変死体。
その傍らに立つ自分のナリは、攻撃的な赤い髪に、常に殺気を放つ鋭い眼差し。
そのふたつを見比べてみたらあら不思議。イカれた殺人鬼の猟奇殺人現場に早変わり。
気がつけばパトカーだけでなく、騒ぎを聞きつけた周辺住民たちさえも、人垣となって遠巻きに戦場ヶ原を囲んでいた。
「お、おい…ちょっと待ちやがれ。これはちが――――…」
「言い逃れは署でじっくりと聞いてやるッ!!!だから今はとにかく武器を捨てろって言ってんだろォォオオオ―――が!!!!」
さすがに焦りを感じて弁明しようとする戦場ヶ原を遮って、警官のヒステリックな声が響く。
どうしたものかとうろたえる戦場ヶ原の姿を見て、警官がついにブチ切れる。
「お前コラァ!!!警察をナメやがって!!国家権力ナメんなよコラァーーーーーッ!!!」
国家権力にしては極めて低い沸点の持主が戦場ヶ原を取り押さえにかかると、周囲の警官も一斉に飛びかかった。
「なんなんだ…、なんなんだ貴様らはァァァアアアアアアアア!!!!」
ひどい乱闘状態になった病院裏門で、戦場ヶ原の理不尽な怒りの声がむなしく響いた。
【戦場ヶ原:病院裏手に到着。殺人犯と誤解されて大騒ぎ。】
>>126 気持ちのいい青空の下を唯能高校の制服で散歩していた「神野 沙羅」は突然鳴り響いたパトカーのサインを聞き、そちらの方向へ走って行った。
「なんか面白いことがありそう!」と決めつけて全力でその事件に期待した。
そしてパトカーの近くに行くと人相の悪そうな男が警官数名に取り押さえた。
「期待通り」
その光景をケータイで写真を撮ってから
沙羅は警官を振り払い、その人相の悪そうな男に近付き一言
「助けてほしい?」と聞いた?
沙羅は返事を待たずに警官たちを「拡散」させてやった。警官は一瞬で吹っ飛び気絶してしまった。
人相の悪い男は一瞬びっくりしたような顔をしたが元の先ほどの表情の戻り
「お前の能力はなんだ?」
とだけ聞いてきた。
沙羅は
「フラッシュバック、拡散させる能力。」
とだけ答えた。
>>101>>94>>124 梶原の提案に、レオーネ達はそれぞれ思案を浮かべた。梶原には彼彼女らの返答を待つしかない
するとレオーネが小さく顔を上げ、梶原に若干視線を向けながら
>「彼もこう言っている。本社ビルへ向おう。
小村君としてはNo.1に会うのは嫌だろうが許して欲しい」
と小村と女性に言った。小村は少し不服な表情を浮かべたが、女性は頷き
>「本社、ですか。―――それもいいかもしれませんね。
色々となくなってしまいましたし、準備も必要なのでしょう?
なら、一度拠点に戻るのもいいと思います」
とレオーネの提案に承諾した。梶原と言えば、先ほどのお世辞にも適切な対応とはいえぬ自己紹介に自己嫌悪していた
女性の承諾もレオーネの承諾も正直言えば、彼の頭には入ってきていない。只、自分の提案に取りあえず乗ってきてくれている事だけは理解できる
幹部級に居た頃は何故食って来れたか理解に苦しむが、彼には彼なりの処世術があるのだろう。セオリーに従い取りあえず相槌を打つ
レオーネと女性の様子に梶原は内心ほっと胸を撫で下ろした。ハプニングが起こったら今の彼には対処する術が無い
と言うよりもしハプニングでも起こしたら、梶原の処遇は確実にお先真っ暗である
構成員は基本的に任務を完全に達成させなければならない。末端から上がった者はその事が痛いほど分かるのだが・・・
人殺しと異能力の使い方に潜在的な素質があり、その事で元から幹部級に選ばれた梶原にはその志は指して分からないだろう
・・・が、流石に梶原の虫の良い様に事態は進まないようだ。ふと小村が眼光を鋭くさせる
そしてその眼光を任務終了が近づき、気が抜けている梶原に向け――
>「わかりました。No.1には会いたくないのですが仕方ありませんね。
・・・その前に二つ程聞いていいですか」
小村の突然の質疑に梶原は緩んでいた体を強張らせた。顔が緊張で固まる
(な、何だよぉ・・・俺ホントに何にも知らされてないんだぞ・・・)
梶原の頭に緊張と恐怖と焦りが渾然一体となって回転する。両手に汗がじとじとと滲む
「は・・・はい、何でしょうか」
喉が緊張からカラカラになっている為、声が少ししゃがれている
小村は少し悩む動作を見せると、パッと顔を上げて小村に視線を合わせた。妙な緊張感が周囲を包む
>「私たちを呼んだ理由はなんです?
まさか特に理由もないのに、しかも任務中に呼ばれるんですから何かしら理由があるでしょう?
それと私たちを呼んだのは具体的に誰です?No.1ですか?」
(は・・・はぁ!? し、知ってる訳無いじゃないかよ! 只あんた達を連れ戻せって言われたんだから!)
梶原の思考が小村の質疑に対応できず、一瞬真っ白くなる
だがもしここで、自己紹介の時のように情けない返答をしたら間違いなく自分は疑われる
そして・・・と梶原はその後の自分の末路について考えようとして打ち消した。この様な場合はなんと言うのだろうか
梶原はしばし脳内をフル回転させた。梶原の返答に小村は元より、二人も興味深そうで待っている
・・・そして梶原が必死で考えた小村に対する返答は、こうだ
「あ・・・えっと・・・実は近々・・・私は詳しくは知らされていないのですが、大きなプロジェクトが始動するんです
それで・・・ええっと・・・城栄様の・・・あっと・・・直々のご命令で・・・う・・・」
目が激しく泳ぎ、呂律が上手く回らない。どうみても怪しい
だが梶原には3人が本社に戻るよう、ありもしない事をでっち上げても頑張るしかない
だが・・・しばらくすると梶原の思考が止まってしまった。何て事は無い。只単に思いつかないだけである
(ど、ど、どどどどうしよう・・・この人達が戻ってきてくれないと俺が殺される・・・)
完全に思考がパニックに陥る。三人の目線が興味から何処となく疑念の目に変わる
そして梶原が次にとった手段は・・・土下座だった
深く頭をつけ、梶原は少し涙声で3人に懇願した
「お願いします! 本社に戻ってきてください!
とにかく皆さんのお力が必要なほどの緊急事態なんです! お願いします!」
空気が興味から疑念、そして苦笑に変わった
【NPC梶原琢磨、レオーネ達にとにかく車に乗ってくれるよう懇願する】
>>124 >>128 私達の意見に大して、小村さんはあまり気が進まない様子だったが、賛同してくれたようだ。
「わかりました。No.1には会いたくないのですが仕方ありませんね。
・・・その前に二つ程聞いていいですか」
彼の質問に対して、梶原君は、
「は・・・はい、何でしょうか」
やはり、緊張している。こんな状態の彼に質問しても、まともな答えが返ってくるとは思えないが。
しかしまあ、小村さんにも疑問はあるようだし、聞いてみるだけならただ、か。
「私たちを呼んだ理由はなんです?
まさか特に理由もないのに、しかも任務中に呼ばれるんですから何かしら理由があるでしょう?
それと私たちを呼んだのは具体的に誰です?No.1ですか?」
……その二つの質問か。呼び出した理由と、誰が呼び出したか。
しかし、どう見ても下っ端にしか見えない彼が、それを知っているとは思えない。
可哀想に。顔を見ただけで何も知らない、という気配が感じられる。
「あ・・・えっと・・・実は近々・・・私は詳しくは知らされていないのですが、大きなプロジェクトが始動するんです
それで・・・ええっと・・・城栄様の・・・あっと・・・直々のご命令で・・・う・・・」
予想通りではあるが、言葉につまっている。説明なんてできない、という感情が浮かんでいる。
……表情を隠すのも下手ね。どうにも頼りないではなく、まったくもって頼りない人だ。
せっぱつまった表情で、言葉が続かないままあたふたとする様子を眺めるのも、まあ少しは楽しいが。
しかし、いくらなんでも長すぎる。手早く説明できないなら、素直にそう言えばいいだろうに。
と、彼は何を思ったのか、突然土下座し始めた。――――――ああ、彼は出世できないだろうな。
「お願いします! 本社に戻ってきてください!
とにかく皆さんのお力が必要なほどの緊急事態なんです! お願いします!」
……流石に哀れすぎるか、そろそろ口を出そう。
「小村さん、もういいでしょう。彼が何も知らないというのは分かったはずです。
任務中の幹部を呼び寄せるほど理由なのですから、その重要性は分かるでしょう?
見るからに下っ端な彼が知らされているとは思えませんよ。……知っているのは、もう少し上の方でしょうね」
実際、あまり無駄な時間は使いたくない。
何があったのかは、向かわなければ分からない。あの親娘か、昨日確保できなかった少女か。
あるいは他の何かか、ともかく大事なのは間違いあるまい。
ならば理解せねばならない。何かに対応するには、その何かを知ることが必要だからだ。
「貴方達を呼び出すほどの理由です。
大事になっているのは間違いないでしょうし、事態を把握する必要もあるでしょう。
――――ただまあ、なぜそんな大事に、彼のような小者を寄越したのかという疑問はありますが」
【アルト:梶原に同情。事態を把握したい】
【コテつけ忘れてました。ごめんなさい】
ツバサが空雲に指示し車を走らせる事数十分後の車内
「ん…」
リンが、一度うめき目を覚ます。
体は拘束されていない、ただ寝転がされていただけだった。
「ここは…」
ここが車の中だと気づくのに、数秒かかった。
運転手が声をかける。
「お目覚めですか?リン様」
リンは運転手を見た事があった昔世話係だった女の人だ。
確か名前は空雲で、兄がすごく気に入っていたはずだ…兄、そう兄なのだ
兄は一体何処に、と周りを見てみて初めてはじめて兄が隣りで眠っていたのに気づいた。
「これからリン様には機関に来てもらいます」
兄を起こさないようにか空雲が声を潜めて言う。
何故自分?とリンが考えていると心の中に声が響いた。
『おそらく私のせいだろうな、はたまたただのツバサのシスコンか…』
おそらく最後のそれはないだろうと思いながらも、思考する。
「一体何のために…」
そうリンが呟いた時に車が、っきと止まる。
どうやら、機関についたようだった。
【煌神:機関に到着】
>>122>>125 >「君の手助けが無かったら、俺も行き倒れさんも間違いなく殺されてたな・・・心から感謝するよ
> 元々俺があいつに喧嘩を売らなければこんな事にならなかったかもしれない・・・本当にすまない」
俺の前に出た眼鏡青年が、申し訳なさそうに詫びの言葉をかけ、頭を下げた。
俺は進めていた足をピタリと止めたが、彼の顔は見ずに返事をした。
「礼なら、そこの弓を持った彼に言うんだな。俺が殺したわけじゃない。
それに……別にあんたが気に病む必要はない。あんたが挑発しようがしまいが、
どちらにしろあいつはハナから俺達を殺すつもりだったさ」
頭を下げた青年の横目に、俺は止めた足を再び前に進めた。
しかし彼が伝えておきたいことはそれだけではなかったらしく、
次の彼の言葉で俺はふっとあることを思い出すのだった。
>「それで・・・空気を読まない事を先に謝っておくのだが・・・
> 俺の財布が何処に行ったか教えてほしいんだ。どんな情報でも良い。ホントに切実なんだ」
そうなのだ、俺はすっかり忘れていたが、俺は彼の財布を預かっていたのだ。
「……俺が持ってる。玄関前で拾ったのさ。カウンターにでも預けるつもりだったが、
色々あって忘れていた」
そう言い、俺はポケットから自分以外のもう一つの財布を取り出し、彼に渡した。
彼は表面上で納得したようなことを言ったが、内心では怪しんでいるだろう。
だが、こちらに嘘偽りは無いのだ。堂々としていればいい。
それに慌てて誤解を解くような真似をしても、余計怪しまれるだけになるだろう。
これ以上は何も言うまい。
話を終えた二人の間に沈黙が流れるが、それを破ったのは再び眼鏡青年ではく、
あの長髪の青年であった。
>「…ところでお互い名乗りませんか? このままではやりづらいですし。」
確かに、言われてみればもっともだ。
相手の名を知っていれば、こちらも「眼鏡」やら「長髪」やらと呼称せずに済む。
だが正直なところ、俺はあまり名を名乗ることはしたくない。
名を名乗れば、それだけ後に厄介な事に巻き込まれないとも限らないからだ。
しかし相手だけに名乗らせ、自分は沈黙では一方通行というもの。
「池上 燐介。……俺の名だ」
「おいおいおい、一体どんな喧嘩したらこんな重傷になるんだぁ? えぇ?」
俺の左腕にはギプスが、左脇腹から右肩にかけては包帯が。
病院に戻った俺、いや、俺達はとある医師の一室で治療を受けていた。
包帯が巻かれるたびに痛みが走る。何しろ肋骨が三本折れているという話なのに、
医師は加減もせずに強く巻いていくのだ。
「ったく、さっきお大事にと言った矢先にコレだからなぁ。
女の前じゃ格好悪いところは見せられないとはいえ、少しは身の程をしれ!
時には女の手を引っ張って逃げるのも男の仕事だぞ? 分かってのか?」
「つい先程、文字通り身に沁みるほど勉強させてもらいましたよ」
先程から俺に説教を垂れているのは『大室』という医師。
五年前、大怪我を負ってここに入院していた時、俺の主治医だった医師だ。
「何かあったらすぐ私の元へ来い」。彼は五年前俺にそう言い残した。
あまり事を表立てたくなかった俺は、彼のその言葉を頼りに病院の彼の個室を訊ねると、
俺と四島、そして岩城と共に闘った男二人の治療を頼んだのだ。
彼は休憩中なのに面倒だと言わんばかりの顔をしたが、結局引き受けてくれた。
勿論、怪我に至った経緯も話さざるをえなかったが、その内容は事実とは多少異なっている。
「四島は大丈夫ですか? ──痛ッ……!」
「ほれ我慢しろ! ああ……彼女ね。背中の傷は幸い大した事はない。
ただ、暴漢に襲われた彼女の精神面を考えれば、二〜三日は病院で安静だな。
親御さんの方には私から言っておくよ」
「助かります」
ふと個室の窓に目を向ける。どうやらここからは裏門の様子が見えるようだ。
窓からは赤い光が差し込んでは消えていく。裏にパトカーが停まっているのだろう。
岩城の遺体を放置したせいでやはり騒ぎになったのか、何やら野次馬も多く集まって
いる様子で、ここまで騒々しい音が聞こえて来る。
「ったく、やかましいなぁ警察も。一体何があったんだ? 患者が驚くだろうがよ〜。
……あいつらが診察に来たら、毒でも注射してやろうか」
大室医師は椅子から立ち上がり、窓をのぞきこみながら人の命を救う医師とは思えぬ
台詞を平気で口にした。
(結果的にとはいえ、騒ぎの元凶が目の前に居るとは、口が裂けても言えんな……)
【池上 燐介:名を明かし、大室医師から治療を受ける】
奇怪な夢を見た。
辺り一面は薄暗く、ただ殺風景な光景が広がっている。
見上げてみれば、そこには青く丸い地球が浮かんでいた。
俺が立ちすくんでいるこの場所は、いわゆる月面だった。
俺は月面にいるというのに宇宙服を着ていない。普通に呼吸が出来ている。
そして、月面というのは日光の当たり具合によって凄まじい温度差が生じるのだが、これがまったく暑くもなく寒くもない。つまり温度の変化を感じないというわけだ。
この二つの点が、この光景が夢だという事を決定付けていた。
目の前からは一つ影が近づいてきた。
その影は流水のようなサラサラの輝く金髪をなびかせている。
近づいてよく見てみたら、俺には到底言い表せないほどの美貌を持つ一人の女性だ。
……あぁ、そうだ。俺はコイツを知っている。心に記憶している。
「久しぶりね、統時」
「…あぁ、久しぶりだな。ルナ」
「何年ぶりかしらねー。2、3年ぶり?」
人影の正体であるルナは口を開け、ケラケラと笑い出した。
ハッキリ言ってイメージブチ壊しなのだが、そこは性分なのだろうから仕方ない。
「それにしても、何?千里眼で見てたけど、女の子にボディーガード頼んだの?」
「お前、見てたのかよ。人間の間じゃストーカーって言うんだぞ」
「私は神様だからそんなの関係ないもーん」
「テメェ……」
俺はルナを異様にぶん殴りたいと思った。だが、その思いは心の中に押し込め我慢した。
ルナが言った「私は神様」という言葉だが、ルナは言ったとおり神様だ。細かく分類すれば、月の女神と言う。
人類が月を見上げていたときから存在していたらしく、その年齢は見かけからは想像も付かない。
俺とルナが知り合ったのは、俺が【月下十時】を取得した時だ。
双刀を作り出す俺の能力は、彼女が送る月の波動と魔力無しでは使用できない。
送られた月の波動と魔力を俺の異能力で双刀へと精製するのだ。
そのため、月が見えない新月のときはナイフ程度しか精製できず、昼間に至っては能力が使えないというわけだ。
「で、何の用だ。わざわざ夢の中に出てきたんだから用事があるんだろ?」
「あ、そうだそうだ。ちょっとしたプレゼントがあってね」
まるで雪のように白いルナの手が俺に差し出される。
手の中には鞘に収められた一振りの短刀が存在した。俺はそれを躊躇いもなく受け取る。
長さはおよそ40センチと通常の短刀より少し長く、まるで手に持っていないかのように軽い。
俺はそれを受け取り、鞘から抜く。
短刀の刀身は見る物を引きずりこみそうなほど魅力的に、そして妖しく輝いている。
……見れば見るほど綺麗な刀身だ。
常人なら精神が刀身の輝きに抗えず、「人を斬ってみたい」という誘惑に負け人を斬ってしまうだろう。
「これは……」
「私が作った短刀。私の魔力で形成されていて、貴方以外には使えない特別仕様よ」
「この短刀がプレゼント?」
「えぇ、感謝しなさいよー。わざわざ1年もかけて作ったんだから。
それじゃあ私はそろそろ消えるわ。また近いうちに会いましょ。じゃあね♪」
そう笑いながら言い放つと、ルナは俺の眼前から瞬く間に消えてしまった。
残ったのは、俺の手に握り締められている短刀のみ。
これを渡すために、俺の夢に?
しかし、夢の中で渡しても何の意味もないだろう。夢なんだから。
そう思っていると、周りの景色が消えかかっている。どうやら、そろそろ目が覚めるようだ。
俺は短刀を懐に収めると、本体の覚醒を待った。
>>126-127 「ん……」
俺は目を覚ます。どうやら、椅子にもたれかかり眠っていたようだ。
何やら病院が騒がしい。何か事件があったようだけど…
「裏で殺人事件ですって……」
「嫌ねぇ……怖いわ……」
近所の主婦らしき中年のおばさんの会話が聞こえてきた。
殺人事件?こんな日中に殺人事件だって?
俺はとりあえず事実を確かめようと、椅子から立ち上がった……その時。
(おおっ!?)
俺の懐から、一本の短刀がこぼれ落ちた。
この短刀は……さっき夢の中でルナに渡された短刀じゃあないか!
まさか本当に渡されいたなんて……改めて神の恐ろしさを垣間見た……
とにかく、慌ててルナの短刀を懐にしまい込む。どうやら誰にも見られてなかったみたいだが……
殺人事件が起きているかもしれないのだ。ルナの短刀を持っているのが一般人にばれたら、間違いなく犯人だと疑われてしまう。
そしてこの病院にいる唯一の知り合い、瑞穂も刀を持っている。
瑞穂は彼女等ではないが、傍から見れば互いに刃物を所持したアブないカップルだ……弁解の余地は期待できない。
俺がルナの短刀を持っていることは、絶対にばれてはいけないだろう。
しまい込んだルナの短刀を落ちないように固定すると、俺は事の真偽を確かめるために裏手に向かった。
病院の裏手では噂通り、事件が起こっていた。
パトカーが数をそろえて停まっており、警察官が声を張り上げて犯人らしき人間に叫んでいる。
警察官が何を叫んでいるかは分かるが、人の波に呑み込まれている俺は犯人の正体が分からない。
(しょうがないな)
俺はとりあえず人の波から退避すると、周りに誰もいない場所に行ってから足場を伝いながら屋上へと飛び上がる。
(さて、どんなヤツが犯人なんだ?)
目を凝らして、犯人らしき人間の特定を急ぐ。その正体は、俺もよく知っているものだった。
(あの男は……確か、戦場ヶ原って言ったな……)
七重と共闘する事で、俺が勝利した相手。
記憶によれば重力系能力者。確か俺との相性はよくないはずだ。
(……!?)
俺が戦場ヶ原の情報について記憶を解凍していると、轟音と共に戦場ヶ原を取り替えていた警官が一斉に吹っ飛んだ。
そして、戦場ヶ原に一人の少女が近づいてくる。
少女が身に纏っている衣服……アレは俺の高校の制服……あいつも異能者か……
とりあえず、瑞穂に報告した方がいいかな。しないよりはしたほうがいいに決まってる。
俺は屋上から足場を転々としながら降りていくと、瑞穂の元へと向かった。
……そういや、瑞穂はどこにいった?
……ロビーで待ってるか。
【廻間:瑞穂に警察が来ていることと異能者が来ていることを報告したい。
ルナの短刀を入手。日中でも戦闘が可能に】
>>124 >>128 >>129 >「本社、ですか。―――それもいいかもしれませんね。
> 色々となくなってしまいましたし、準備も必要なのでしょう?
> なら、一度拠点に戻るのもいいと思います」
ハーケンは素直に同意をしてくれた。
機関に対して興味を持って来たという所か……。
残るは小村だが、彼は男―――梶原と名乗った気がする―――の言葉に疑惑の念を抱いたようで、
鋭い視線で梶原を睨み付けた。
>「私たちを呼んだ理由はなんです?
> まさか特に理由もないのに、しかも任務中に呼ばれるんですから何かしら理由があるでしょう?
> それと私たちを呼んだのは具体的に誰です?No.1ですか?」
幹部でもない末端の構成員へ作戦の詳細が渡るはずが無い。
細かなブリーフィングを受ける事が出来るのは幹部のみなのだ。
>「あ・・・えっと・・・実は近々・・・私は詳しくは知らされていないのですが、大きなプロジェクトが始動するんです
> それで・・・ええっと・・・城栄様の・・・あっと・・・直々のご命令で・・・う・・・」
―――この梶原という男、知らない物は知らないと言えば良いものを……。
彼は使わなくても良い労力を使い、思考をフル活動させている。
狼狽する梶原に、私は軽く溜め息を吐いた。
……だが、それも暫くすると行き詰ったようで、完全に思考を停止させた。
>「お願いします! 本社に戻ってきてください!
> とにかく皆さんのお力が必要なほどの緊急事態なんです! お願いします!」
次に彼が取った行動は、日本特有の謝り方と聞いている土下座だった。
言葉に出来ないが、彼なりの精一杯の誠意を見せようとしたのだろう。
>「小村さん、もういいでしょう。彼が何も知らないというのは分かったはずです。
> 任務中の幹部を呼び寄せるほど理由なのですから、その重要性は分かるでしょう?
> 見るからに下っ端な彼が知らされているとは思えませんよ。……知っているのは、もう少し上の方でしょうね」
見かねたハーケンが助け舟を出し、梶原を擁護する。
>「貴方達を呼び出すほどの理由です。
> 大事になっているのは間違いないでしょうし、事態を把握する必要もあるでしょう。
> ――――ただまあ、なぜそんな大事に、彼のような小者を寄越したのかという疑問はありますが」
それにしても、このハーケンという女は事態を冷静に見れる女だ。素直に感心している。
ここは一つ、私も彼を擁護してやるか……。
「疑心暗鬼は敵につけ込まれる隙を作る。それを知らない君ではあるまい」
小村とて、嘗てはファーストナンバーに数えられた歴戦の異能者。
メンタル面にも明るい筈だ。
「何をそれほど焦っている? 小村……」
脳にすり込むように、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
小村を一睨みすると未だに頭を地面に当てている梶原の元へと歩いて行った。
屈み込むと彼の心の隙間を埋めるように能力を発動させた。
先ずは不安を埋めてやる事が先決だと判断したからだ。
「もう良い。君の言いたい事は理解できた、頭を上げて欲しい。
君は何も悪くない」
私の言葉は相手の心に直接作用する。顔を上げた梶原に、私は僅かに微笑んで見せた。
【レオーネ:梶原へ『思考強制』使用】
【不安を打ち消す】
>132-133
>>135 頭を下げ続けながら、俺は青年の返答を待った
人々の視線は俺達には向いていないが、ここで止める事は無かったな。俺は少し後悔する
・・・言葉が続かない。俺は沈黙に耐えかね、顔を上げると
>「礼なら、そこの弓を持った彼に言うんだな。俺が殺したわけじゃない。
それに……別にあんたが気に病む必要はない。あんたが挑発しようがしまいが、
どちらにしろあいつはハナから俺達を殺すつもりだったさ」
青年がそう言って女の子を背負った行き倒れさんに視線を向けた。俺もつられて行き倒れさんに顔を向ける
あれほど凄惨な戦いを終えたのに、疲れを微塵を感じないほどにこやかな笑顔を浮かべていた
そういや怪我してなかったしな・・・まぁ、いいや。礼は後で言おう
返答し終わった青年は、振り返り・・・っておいおい、財布の件は・・・?
と思った矢先、青年はふと思い出したようにくるっと体を反転させると、つかつかと歩いてきた
>「……俺が持ってる。玄関前で拾ったのさ。カウンターにでも預けるつもりだったが、
色々あって忘れていた」
や・・・やったー! あまりの嬉しさに肉体や精神の痛みが吹っ飛んだ気がした。あくまで気だが
青年から財布を受け取り、その財布の厚さにしばし忘れていた何かを思い出す。あぁ、これが・・・まぁ、いいか
「本当に有難う。マジで有難う。いや〜ホントに助かったよ」
自分のミスとはいえ、俺は今感動の極みにいた。例えるなら家出したペットがひょっこり帰ってきた時の様な
財布とペットを同列に語るのは些か不憫だが、ホントに猛烈に今の俺は感動している。何度ホントを使ったことか
・・・しばし財布との再開に喜んでいたが、それ以降の話題が何も浮かばない
死線を越えたことに対する共感は抱いているが、彼らと俺を結ぶ共通点はない
しばらく3人で言葉を発することなく立ち尽くしていると
>「…ところでお互い名乗りませんか? このままではやりづらいですし。」
行き倒れさんがにこやかな笑顔で俺達の顔を見ながらそういった
そうだ・・・そう言えば行き倒れさんの事もこの青年の事も何一つ知らないままだった
とはいえ俺も・・・こうゆう場合は事態を悪くした俺が口火を切るべきだな。そう思い自己紹介しようとした
>「池上 燐介。……俺の名だ」
まるで氷の様な澄んだ声で、青年が俺と行き倒れさんに名前を伝えた。池上・・・燐介・・・良い名じゃないか
それで・・・っておーい! 青年、いや、池上君はそう言ったまま背を向けて行ってしまった。なんつうか・・・クールだ
池上君が行ってしまい、行き倒れさんと俺の2人だけが残った。・・・正直困ったな。和気あいあい出来るとは思わないけど
取りあえず・・・俺は行き倒れさんの方向を向いて歩み寄り、頭を下げた
「色々ご迷惑を掛けてすみません。もう少し遅かったらホントに危なかったかもしれなかったです・・・
それで・・・」
俺は財布を探り、名刺を取り出し、行き倒れさんに渡した。行き倒れさんは興味深そうに受け取る
「あんまり有名じゃない雑誌なんですけどね、この町には取材に来たんですよ
もしまた縁が会ったら、お食事でも。それでは」
っと、医者に見てもらう前に俺はは名刺を見ている行き倒れさんに振り返り、自分の名前を告げた
「自分は恋島達哉といいます。それじゃ」
・・・しばらくして行き倒れさんの名前を聞いていない事に気づいたが、いつか聞けるだろう。多分
「・・・何処で喧嘩したかは知らんが、無茶したね、兄ちゃん」
胸のネームプレートに『大室』と書いてあるお医者様は、割と荒々しい手つきで俺の右腕に包帯を巻いた
って痛い、痛いっすよ!と思わず声に出そうとするが、結構厳つい大室さんの迫力に黙るしかない
大室さんによると右腕は久々に体を大きく動かした事による捻挫とでかくて硬い物にぶつかった事による打撲らしい
そのでかくて硬い物が化け物だなんて言える訳が無いが、すっげえパンチだったんですよと濁した。大室さんは聞いてなかったけど
一番心配だった肋骨、及び胸部のケガだが特に骨に異常は見られなく、大きな痣が出来ているだけだった
その際に鼻血と口と頭から血が出た事を説明したが、鼻血の場合は頭をぶつけた際の連鎖反応らしい。説明はしてくれたが良く理解できなかった
口から血は単純にぶつけられた時に唇をかんでしまったことが原因・・・ひとつひとつ探っていくと情けなくなってきた。ひ弱だな、俺
頭の傷は・・・只の切り傷だ。何時作ったかは覚えてないが、今は血が固まっており一文字の痕が残っている
胸と右腕、それに大事を取って頭にも包帯を巻いてもらう。しばらく人前で脱ぐ事は出来ない。そんな機会ねーけど
さっきからパトカーのサイレンが聞こえる。やっぱアレだけの騒ぎを起こしただけあって、警察やら野次馬やらで騒がしそうだ
・・・その騒ぎを起こした上、なおかつその怪我を治してもらってると思うと申し訳ない気分になる
「よし、終わったぞ。今日1日くらいは病院で安静にしてなさい。それほど酷い怪我もないから」
俺は立ち上がり大室さんに礼をして、イスの下に置いたバックを拾い上げた。・・・バックの中に先ほど吸えなかったタバコが見える
聞いたら怒られるかな・・・でも精神的に落ち着きたいんだよな。一応聞いてみるか
「あの〜・・・タバコって吸ってもいいですか?」
大室さんは俺の質問に呆れたような視線を投げかけると、書いているカルテに視線を戻しぶっきらぼうに
「喫煙所か屋上に行ってね。それ以外の場所で吸ったら追い出されるからね」
「分かりました〜・・・」
俺は内心大室さんに感謝して、バッグを持って病室を出て行った
岩城との戦いから1〜2時間経ったのか、結構足の痛みが軽くなってきた。それでも走るのはまだ無理そうだ。
にしても色々計画を立ててたけど、全部無駄になっちまったな。しっかしこの町に来て二日目なのに怪我しすぎだろ、俺
これで三日目、四日目はどうなる事やら。マジで死ぬんじゃないか、俺。けどそんな気がしないでもない
ここまで危険だがここまで興味が沸く取材はホントに初めてだ。何かしらデカイスクープを取ってこの町から出て行こう。・・・まぁ怪我しない程度に
エレベーターでしばしば思考を巡らし、今後の座右の銘を決めて俺はエレベーターから降りた
屋上に向かう階段はすぐそこだ。さっそくバックからタバコとライターを取り出す。青空を見上げながら吸うタバコ・・・最高じゃあ
屋上に向かう為階段を登っていくと、慌しい足音が聞こえてきた。軽快な感じで階段を下りてくる。俺は右側に寄ってとぼとぼと歩く
その内その足音の主が見えてきた・・・ん、彼は確かロビーで外国人姉さんと一緒に居た・・・
だが彼は俺に気づかずそのまま階段を下りていった。どんな用事かは知らないが・・・
「・・・青春だなぁ、うん」
今は戻らぬあの日を懐かしみつつ、屋上のドアを開けた
【現在地:屋上】
【大室の治療を受け、タバコを吸う為屋上に上がる。途中で廻間とすれ違う】
>>128-130>>136 「あ・・・えっと・・・実は近々・・・私は詳しくは知らされていないのですが、大きなプロジェクトが始動するんです
それで・・・ええっと・・・城栄様の・・・あっと・・・直々のご命令で・・・う・・・」
梶原が口に出した言葉はとても信じられるものではなかった
彼の顔からは困惑の文字が溢れかえっていたからだ
(・・・すこし言葉がきつかったか?
そこまで慌てずとも別に知らないの一言でも良かったのだが・・・・)
梶原は四苦八苦して口を動かそうとするが言葉は続かなかった
「お願いします! 本社に戻ってきてください!
とにかく皆さんのお力が必要なほどの緊急事態なんです! お願いします!」
最後の手段とでもいうように、梶原は即座に土下座して懇願してきた
(何をここまで怖がっているのだ?別に気に入らないから殺すなんて傍若無人なことなんか
しないし、第一この面子にそんなことを考えそうな顔をしたやつが・・・)
小村はチラッと二人を見る
アルトは女性なのもあり、顔立ちは凶悪そうには見えない
レオーネは機関でも有名な美形だ、彼に<恐怖>を覚えるものはあまりいないだろう
とすれば、
(私か・・・・)
確かに目つきは悪いし、万年不機嫌顔だ。そう思われても仕方ないだろう
(・・・・・・・・)
レオーネもこちらを向き
「疑心暗鬼は敵につけ込まれる隙を作る。それを知らない君ではあるまい」
「何をそれほど焦っている? 小村……」
こう諭された
(・・・これじゃ私が悪者じゃないか・・・・・)
「・・・わかりました。時間を掛けてすみませんでした」
レオーネはそれから梶原を慰めに行った
小村はその横を通り、
「少し、意地悪に聞きすぎましたね。気にしないでください」
そういって梶原の肩をポンっと叩き、車の後部座席に乗り込んだ
(梶原の言葉はおそらく嘘だろう。とりあえず何か言わねばという考えからだろう
梶原琢磨は確か元幹部だったはずだが、今は理由も分からないお使いに出せれる程の位置に落ちてたというのか・・・・・・にしても・・)
小村はとりあえず自分から面倒なことを起こしたことと、梶原の反応で
いつもより不機嫌な顔で窓ガラスを睨んだ
【小村・おとなしく車に入る】
>>139 コテをミスりました
戦場ヶ原 天@代理⇒小村禅夜 ◆3LPMHhiq9U
141 :
桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/07/09(水) 23:50:16 O
>>96 「あ…、主?」
殺されるかと思いきや待っていたのは藤堂院さんの決意表明と剣の過去話だった
人に惚れる剣…、いやもしかしたらその女の人ってのも『剣』なのか…?
違う違う… 今重要なのはそこじゃなくて…
「…ぁ え〜っと、 イヤだから自分戦わないかもしれない ってか異能者の元だったら感謝するのはむしろ逆…」
「神の子桐北修貴、私は貴方を主とし、守っていく事を誓う
この口付けに忠誠の意志を込めて」
駄目だこの人話聞いてな、ってエエエェエェェエェェーーー!!!???
今時RPGでもやらない何平然とやってるんですかー!?
「え"、ちょっ まっ!
と、藤堂院さんっ! なな何を!? い、いいきなり…
キ、キキキキキキ キス なん
「剣神憑依『建卸雷神』」
嗚呼駄目だこの人やっぱり聞いてねぇ…
この人、思ってたより…変だ
鏡があったら文字通り茹で蛸になってる自分が見えただろう
落ち着け…、落ち着け自分…
たかがキスだ! しかも手の甲だ! 別にどうってこと…
…………………………柔らかかったな〜
違うっていってるだろ畜生!
あぁくそっ! つかこの人の仲間さんは!? いい加減止めてくれても、 って寝てるーーーーー!!!
>>110 なんかもう何がなんだがわからなくなってボタンも押さずにオロオロしてたが
自分の体が光ってることに気づいてこの不測の事態に逆に気分が落ち着いてきた
「あ、あれ…? 【強靭】は使ってないのに…?」
「これで貴方が危機に陥っても居場所はいつでも分かります
押し売りのようなことをしてしまいましたが、どうかお許しください。
私が守りますから、貴方は生きているのだから、あのような顔はもうしないで、私の少し頼りないご主人様」
「ご…、ご主人様って………」
さっきから全く話が見えない
体が光ったのはこの人がやったことだとわかったが…
この方は…、何でこんなキラキラした笑顔しながらあんなこっ恥ずかしい言動が出来るのだろう…?
まぁ…、この人達が怖くて全てを諦めた自分も悪いかもしれないが…
>>141 「お前って結構恥ずかしい奴だったんだな……
因みにあの恥ずかしい儀式はずっと前俺が考えた罰ゲームだからな」
剣のカミングアウトに今度はあちらが顔を赤くした
「プフッ…、あっははははは!」
それを見て、なんだか余りにも馬鹿馬鹿しくて声を上げて笑った
自分は必要以上にこの人達に怯えていたかもしれない、ちょっと変な人だけど信じるのもいいかもしれない。 そう思えた(剣はまだ怖いけど…
『 ミツ…… ケタ…』
瞬間、針のように鋭い痛みが頭を貫き あの声が聞こえた
自分の声 即ちヤハウェの声を
「(見つけた…、 って言ったのか?)」
『先に感じたこの波動、間違いない…
見つけた… 見つけた…!
神を殺し、神を生かす剣【建卸雷神】がこうも簡単に見つかるとは…』
藤堂院さんの剣?
普通の剣じゃないのは知ってるけどあの剣が一体…
しかし、それ以降声が聞こえることはなかった。
言うだけ言って満足しやがって…
「それで、何階にご用でしょうか?」
考えても仕方がない、剣の事は後で聞くとして今は寝よう
忘れられてるけど自分は怪我人だ しかもさっきので頭痛がしてきた
「あ、じゃぁ二階に…、というよりむずがゆいんで敬語止めてくれません?」
二階と聞くなり藤堂院さんはさっさとスイッチを押して扉を閉めた
おいおい…、あの寝てる人ほっといていいのかよ… すぐ帰ってくるつもりかそれとも
「藤堂院さん? まさか忘れてるってオチじゃあ…」
しかし、自分の質問は最後まで言い切ることなく外からの轟音でかき消された
何かが激しくぶつかり合う音 もはや人のソレじゃない雄叫び
そして次の瞬間 激しい上下揺れと共に視界が一瞬で闇に覆われた
揺れで頭を壁にぶつけ、必死に声を上げるのを抑えて座り込んだ
…ナイスガッツ、変に藤堂院さんに刺激したら今度はどんなトンデモ行動するかわからない
「……イテテ、一体何が…?
…ってアレ? 止まって、る?」
【桐北:キーアイテムをヤハウェが感知
藤堂院をある程度信用
池上達の戦闘によって停電 藤堂院とエレベーターに閉じ込められる】
>>132-133>>137-138 >「池上 燐介。……俺の名だ」
私はそれを聞き頷く、そして自分も名乗ろうとしたら
行ってしまった。
暫くして、めがねの青年が近づく
>「色々ご迷惑を掛けてすみません。もう少し遅かったらホントに危なかったかもしれなかったです・・・
それで・・・」
財布から名刺を渡される
>「あんまり有名じゃない雑誌なんですけどね、この町には取材に来たんですよ
もしまた縁が会ったら、お食事でも。それでは」
名は、運命の一端を荷い、力を与え、魂を束縛する。
>「自分は恋島達哉といいます。それじゃ」
私は『恋島達哉』と言う名から運命を改変し、切り開く何かを見た。
「運命に魅せられた者同士ゆっくり話して見たい物だな…」
ふと、そう呟くのだった。
今私は『大室』と言う医師の診察を受けている。
「疲労の蓄積以上の症状は無し。栄養剤でも飲んで休んでおけ。」
命を奪うことを仕事にしているせいか、医師と言うものは苦手だ。
どうも落ち着かない。
「ったく、やかましいなぁ警察も。一体何があったんだ? 患者が驚くだろうがよ〜。
……あいつらが診察に来たら、毒でも注射してやろうか」
…命を奪うことを仕事にしている私が言うのもあつかましいが
あ ん ま り だ 。
「そうだ、池上君。」
ふと思ったことを口にする
「私の名は五徳 静慎。此処に私の携帯番号を記しておいた。」
そういって紙を渡す。
「何かあったら力になろう。」
恋島君にも渡そうと思ったがすでに居ない様だ。
まあ今度食事にでも誘って見るか。
結局職業は明かさないでおくことにした。
【五徳:池上に自己紹介 恋島にはし損ねる】
>>127 突然戦場ヶ原の目の前に現れた少女は、瞬く間に能力を発動し、群がる警官たちを薙ぎ払った。
(なんだ?コイツは……?)
銀色に輝く髪を靡かせて、目の前の少女は不敵に笑った。
「フラッシュバック、拡散させる能力。」
…拡散?先程の力を見るに、俺のワームホールと似た力か…?
少女の力を見て、斥力に似たエネルギーを感じた戦場ヶ原だが、その思考はすぐに切り替えられた。
(…まぁいい。)
「礼は言わねェぞガキ。助けてくれと頼んだわけでもねェ。」
いつものように悪態をつきながら戦場ヶ原は立ち上がる。
この少女も…、おそらく戦場ヶ原を助けようと思って割り込んだというよりも、単に騒ぎが好きで暴れたいがために割り込んできたのだろう。
(乱を望む者…か。俺も似たような者だ。)
自嘲気味にほくそ笑むと、戦場ヶ原は病院方面へ駆け出す。
「悪いが今の俺にはそいつらに構っていられる時間はねェ。
暴れたいのなら好き勝手に暴れるがいい。
ただ…こんな白昼堂々能力を行使して、機関に目をつけられても知らんがな。」
少女にそう忠告し、自分は病院へ急ぐ。
警官などに構っている時間はない。今もリンがどこへ連れて行かれているかも分からないのだ。
病院の中からは異能者の気配がわらわらと放たれている。
その中のどこかに…リンはいる。
戦場ヶ原は無意識にその足を早めていた。
その後ろでは、標的を切り替えた警官たちが、少女を取り囲んでいた。
「いてて……、貴ッ…様ァァアアアアアア!!あの男の仲間だなッ!!
気をつけろ!こいつ武器を持ってるぞ!!
公務執行妨害で逮捕じゃコラァアアアア!!」
ヒステリーな警官がまたも叫び出すと同時に、警官たちは一斉に警棒を手に少女に襲い掛かる。
【戦場ヶ原:その場を神野に任せ、病院ロビーに到着。】
「あ、じゃぁ二階に…、というよりむずがゆいんで敬語止めてくれません?」
桐北がそう言うのならそうしよう、敬語なんて慣れていないので正直やりづらかった。
言われた通り二階のボタンを押し、扉を閉める、統時を置いてきたままだったがすぐ戻るつもりなので大丈夫だろう。
「藤堂院さん? まさか忘れてるってオチじゃあ…」
桐北がそう言った瞬間、外から轟音が言葉を遮った。
そして、エレベーターは激しく揺れ、光りが失われた。
停電か、外で何かあったみたいだ、異能力者かもしれない。
「桐北、大丈夫か?怪我はないようだが・・・・・・」
それよりこの状況をどうするか、幸いエレベーターはまだあまり動いていないから助けを呼べば開けて貰えるかもしれない。
とにかく電気が復旧するまでなんて待ってはいられない。
「誰か開けてください、停電で扉が開かないの」
扉を拳で叩きながら、助けを呼ぶ、しかし数分間やり続けても反応がなかった。
外の事件のせいで誰も気がつかないのか?
しょうがない、最終手段を使うか。
私は扉と扉の境目を両手で持ち、思い切り開く、すると何かが壊れるような嫌な音と共に扉が開いた。
「よし、これで外に出られる、少し待っていろ様子を見てくる」
私はエレベーターから降り、パトカーのサイレンが鳴り響いている方角に向かい窓から様子を見る。
そこには見るも無惨な変死体があり、その周りには何人もの警官が倒れていた。
何なのだこの状況は、とにかく刀を持っている私にとって良い状況ではないのは確かだ。
早急にここを出なければ何かしらの拍子に刀の事がばれるかもしれない。
私は急ぎ足で桐北の元へ戻る。
「外で殺人事件があったようだ、私は刀を持っているから疑われるかもしれない。
だから今すぐにでもここを出る。
貴方は顔色も優れないようだし、もう少しここで休んでいた方が良い。
それと、さっきも言ったように貴方の居場所は『建卸雷神』を通じて師匠に分かるから自由に行動してくれてかまわない」
それだけ言うと、軽く会釈してロビーで待っているであろう統時の所へ行く。
統時はロビーで私を待っていたみたいで、少し退屈そうに見えた。
「すまない、待たせてしまったようだな。
それと知っているとは思うが外で殺人事件が起こった。
私はこのままここに居ると疑われる可能性が高い、刀を持っているからな。
だから早くここを出よう、君がここに居たいなら置いていくがどうする?」
統時はここに居たいなどとは言わないと思うが一応聞いておく。
それにしても、あの死体は普通の殺人にしてはやり過ぎだ、それと周りに倒れていた警官の事も気になる。
あれは十中八九異能者が起こした事件だろう、こんな所で戦うなんて物好きも居たものだな。
【籐堂院瑞穂:エレベーターから脱出 廻間統時についてくるか聞く 戦場ヶ原にはまだ気づいていない】
>>129-130>>136>>139 梶原の取った危機管理的行動は、3人の哀れみは買えどそれなりに成功したようだ
土下座をしたまま頭を地面にこすり付ける梶原に3人の会話は聞こえないが、今は時が過ぎるのを待つしかない
論議が終わったのか、レオーネが梶原の元へ悠然と歩み、見下ろしたまま
>「もう良い。君の言いたい事は理解できた、頭を上げて欲しい。
君は何も悪くない」
と含蓄溢れる言い方で梶原に諭した。瞬間、梶原の脳内に何かが作動する
レオーネの言霊を聞いた梶原の脳内で、自らを擁護する単語がいくつも浮かぶ
「そうだ・・・俺は言われた仕事をこなしただけだ」
「知らない物は本当に知らない。正直に言えないほど俺は緊張していた」
「俺は頑張った。もうこんな無様なマネはしなくてもいいんだ」
レオーネに悟られ、梶原はゆっくりと顔を上げた。梶原にはその時、レオーネの顔が仏かそれに近い存在に見えた
何も言わず梶原はレオーネに何度も頷いた。その様子を女性が気味悪そうに見つめる
>「・・・わかりました。時間を掛けてすみませんでした」
小村が若干不機嫌そうな音色で論議を終わらせ、梶原に捉された通り、停車してある車へと向かう。他の二人も付いてゆく
その途中で小村が
>「少し、意地悪に聞きすぎましたね。気にしないでください」
と梶原の肩に触れて詫びた瞬間、梶原の思考が急速に収束し、元の状態に戻った
(そうだ・・・俺はここで立ち止まっている器じゃない。この程度の仕事が出来なくてどうする)
既に3人は車に乗り込んでおり、後は梶原を待つだけになっている。が・・・
あろう事か梶原は3人と運転手を待たせているのにかかわらずゆったりと歩いてきた
3人はともかく運転手にあからさまな憤怒の色が浮かぶ。しかしそんな事も露知らず、梶原は助手席のドアを開けて乗り込んだ
(今は無様な運命を受け入れてやるさ・・・だが必ず成り上がって黄金の暮らしを手に入れてやる。必ず・・・)
様々な要因のせいで非常に車内の空気と雰囲気は悪いのだが、梶原はそんな事を知る由もなく、今後の野望に燃えていた
車は順調に本社であるナガツカインテリジェンスビルへと向かっている。時間帯からか多くの人々が闊歩する商店街を抜け、オフィス街へ
大小様々なビル群を疾走していると、一際目立つ超高層のビルが見えた。あれこそがこの町の数少ない特徴の一つである
――ナガツカインテリジェンスビルである。運転手が静かにスピードを緩める
壮観な玄関口を通り過ぎ、地下駐車場へと繋がる優先道路へと進路を変更する
長く暗い螺旋状の地下道路を走っていくと、広大な地下駐車場へと出てきた。車は止まらずに地下駐車場を進んでゆく
しばらく走ると渾然としていた他のエリアと違い、がらんとしたエリアに入った
一見他エリアと違いは無さそうだが、このエリアはある種の権限を持つ者しか駐車できない専用のエリアである
前方から数人の黒服が走ってくる。車を転回させて、運転手は慣れた手つきで指定された場所へと停車させた
黒服の一人が後部座席のドアを開ける。もう一人の黒服が、降りてくるレオーネ達に頭を下げ、丁寧な口調で言った
「お待ちしておりました。レオーネ様、小村様・・・と」
黒服の女性に対し訝しげな視線を見せた。その様子に気づいた梶原は慌てて助手席を降りると
「彼女は最重要人物だ。丁寧にお送りしてくれ」
と言った。梶原の台詞に黒服はしばし女性に視線を向けると、小さくため息をした。他の黒服達に特に反応は見られない
「ではこちらです。ご希望であれば何かお飲み物を用意いたします」
先ほど礼をした黒服が、3人についてくるよう捉す。3人を守るように他の黒服が囲む
次第に遠くなっていく3人と黒服を見送ると、梶原は深くため息をした。これで正式に仕事を完遂したことになる
その時、ズボンのポケットに入っていた携帯電話が緊張から解き放たれた梶原を叱責するようにけたたましく鳴った
覚束ない手で携帯を取り出し、通話ボタンを押す
「は、はい! 梶原です!」
「任務の程、お疲れ様です。今回の報酬は既に振り込んであります。後日ご確認ください」
上司の言葉に、思わず梶原に安堵の表情が浮かぶ。それは緊張の緩和と任務を成功させた事による喜びからだ
今はとにかく休みたい。梶原がそう思った矢先
「・・・で、次の任務ですが・・・梶原さん、山田権六と言う男をご存じですか?」
【NPC梶原琢磨、レオーネ達を本社に送る】
誤字оrzごめんなさい
×黒服の女性に対し訝しげな視線を見せた。
○黒服が女性に対し、訝しげな視線を見せた
>>144
「礼は言わねェぞガキ。助けてくれと頼んだわけでもねェ。」
当たり前だ。私は「楽しそうだから」助けたにすぎない。
それに、人相の悪い男から「ありがとう」と言われるのも…。
男の人が苦手な沙羅は、返答に迷っていた。趣味の読書の知識をフル回転して
考えた末に「べっ!別にあんたのために助けたわけじゃないんだからっ!!」
という返答を考えた。よし言おう!沙羅は心の中でカウントを取った。
3…2…1…0…今だっ!!
「べっ!」
言った瞬間、に人相の悪い男は
「悪いが今の俺にはそいつらに構っていられる時間はねェ。暴れたいのなら好き勝手に暴れるがいい。ただ…こんな白昼堂々能力を行使して、機関に目をつけられても知らんがな。」
と言って病院方面に駆け出して行った。
「そいつら…?誰のこと?」
振り返るとさっき吹っ飛ばした頭がOUTそうな警官が襲いかかってきた。
「ちょっとまって!人相の悪い…」いない。
「あーもうっ!!戦わなければ生き残れない!!」と某ヒーローのようなことをいい
警官と戦った。いや、戦いではなかった。来たものを全て「拡散」してやった
警棒を振り回してきた警官には、警棒だけを「拡散」して無力にした。
「拡散」の使い方にはいろいろある。よく使ってるのは透明のバリア型だ。
バリア型は前方のものをほとんど「拡散」できるが後方にバリアが張れないのだ。
なので、今は壁を背にして戦っている。そして襲いかかってくる寸前でその威力を拡散させ返してやって吹っ飛んでいく顔を笑いながら見ている。
笑い飽きた後に、
「誰か来て友達になってくれないかな?」
と欠伸をしながら、そんな冗談をつぶやいた。
【警官とはいまだに交戦中。逃げようにも引っ越してきたばっかりで道がわからない】
>>145 >「早くここを出よう、君がここに居たいなら置いていくがどうする?」
「ああ、俺もここにいたらヤバイ理由が出来た。
お前の言う通り、すぐにココを出た方がいいな」
俺の脳裏に浮かぶのは、ルナから手渡された短刀。
恐らく……あの刀身の美しさはこの世で1、2を争う程だと個人的には思う。
あの刀身だ、「刀の魔力にとりつかれ、病院裏で凶行に及んだ」と見られてもおかしくはない。
今の警察と言うのは、一旦捕まえたら犯人が自供するまで脅しをかけるのも辞さないほど腐っている。
……いや、腐っているというのは少しおかしいな……
とにかく「コイツが犯人だ」と決め付けたら絶対にそれを曲げないのだ。
しかも「自分達は間違っていない」と思い込んでいるから立ちが悪い。
警察に一度捕まったら出て来れないと見ていいだろう。それだけは絶対に避けなくちゃならない。
「病院を出てどこに行くかは、この場を脱出してから考えるぞ。
状況が状況だから、まだ受付を済ませてない患者が慌てて病院から逃げ出している。
木を隠すには森の中、人を隠すには人の中だ。この客に便乗して脱出しよう」
ロビーの入り口をチラッと見ながら、俺は呟く。
平日の昼間だからそんなに客は多くない。病院の中が安全と判断し、ロビーで待機する人間も多い。
そのため、病院から逃げ出している客もそれなりといった所だ。だが、それでも逃げ出す理由には大きい。
この客に紛れれば、顔の特定も多少やりにくくなるはずだからな。
…よく見たら、戦場ヶ原もこのロビーにいるな。
だが、今この場で騒ぎを起こすほどアイツも馬鹿じゃないだろう。
俺は見て見ぬふりをする。アイツも見て見ぬふりをするかは分からないがな。
もし万が一騒ぎを起こしたとしても、この場から離れたところだろう……
今の俺としては、ここから離れられればそれでいい。
「さぁ、行くぜ!」
俺たちは病院から出て、街中に飛び出した。
【廻間:病院から脱出。戦場ヶ原は無視する。
行き先の決定は人ごみに紛れてから】
ロビーに着くなり戦場ヶ原は辺りを見回した。
突然奇異な容貌の男が駆け込んで来て、ロビーの注目は一斉に戦場ヶ原へと注がれた。
しかし彼はそんなことに気を止めるような男でもないし、今はそれどころではなかった。
(リンはどこだ…?)
その一念だけで頭がいっぱいだった。
病院の中の反応は7つ。3つ固まった反応がふたつ。それと1つ独立した反応がある。
どれだ…?
より集中力を凝らして気配の質までも鑑定する。
すると、ある一つの反応が他の6つと違うことに気がつく。
(これは……あの時の!)
2日前に出会った異能者、桐北修貴。
なぜかは分からないが、彼の異能の気配だけが、他の異能者と異質な反応を示していたのを、彼は覚えていた。
その出所を探ると、その先には急いだ様子で病院を後にする3人の男女を目にした。
(桐北の他には…、
…!あの時の火炎スピード馬鹿に宿なし女ッ!)
見覚えのあるメンツだった。
長物を背負った女は、ゆうべ池上邸で顔を合わせた刀使いの女。
もう一人の黒い服を着た少年は、昨日自分を敗北に追いやった、炎を使う(と戦場ヶ原は思い込んでいる)廻間とかいう少年だ。
何故この3人が行動をともにしているのか?
それを考えているうちに、3人はさっさと正面玄関から外へ駆け出していった。
「あのー、どうかなされましたか…?」
戦場ヶ原を不審に思った看護士の一人が恐る恐る声を掛けてくる。
しかしそんな声も戦場ヶ原には届いていない。
「チッ…!待て貴様らァ!」
戦場ヶ原は急いで3人を追い掛けにかかった。
今まで病院にいたのなら、リンを見かけたかも知れない。
今はとにかくなんでもいい、情報が欲しい。
廻間はともかく、他の二人は自分に敵意はないはずだ。
戦場ヶ原は彼らを追って街中へと飛び出した。
【戦場ヶ原:桐北・藤堂院・廻間を発見。追従を開始する。】
>>146 機関の本部、【ナガツカインテリジェンス本社ビル】貳名市の中央にあり、50階建てというビルである。
今はそこの一階にリンは来ていた。
リンは車から空雲に付き添われて降り、ビルを見上げる。
そのうちに空雲はツバサを起こす。
「まったく…」
ツバサがぶつぶつ言いながら車から出てくる。
ふとリンは目の前に黒服の集団を見つけた。
最初は気にしなかったが無駄に厳重だな…と思っていた。
すぐにツバサが隣りにきてリンの手を取る。
「行くぞ…」
有無を言わさずリンの手を引っ張って歩く前の黒服の集団の後ろにつく形になる。
そのときリンは隣りにいる兄ではなく戦場ヶ原のことを考えていた。
その事を疑問に思いつつもリンは歩く
【小村たちを見つけるが黒服のせいで見えないちなみにツバサもわかっていない】
「…そうか。レオーネ達が戻ったか。」
ナガツカビルの15階で重役会議を時間通り終えた城栄金剛は、携帯の向こうにいる部下に答えた。
「あァ、二人ともそのまま社長室に通せ。そこで話をする。
…何?重要参考人が一人?…レオーネがそう言ったのか。ならそいつも通してかまわん。丁重に持て成してやれ。」
部外者の訪問をあっさりと承諾する。その裏には勿論レオーネへの覆し難い信頼があるからだったのだが。
金剛は携帯を切ると寸分も止まらずに側近を二人引き連れて最上階へ歩き出す。
先程ヤハウェCase01『煌神リン』の捕縛に成功したとの報せが入った。
ここでの『ヤハウェ』とは『自然発眼した異能者』という意味。
ヤハウェの素体からは膨大な量の異能エネルギー、『メタトロン』が採取される。
それが彼の計画には必要不可欠な材料の一つ―――…
金剛の顔は見る見る勝利の愉悦に浸る表情に歪んで行く。
思わず立ち止まって顔を押さえた。
「…どうされましたか?総帥。」
側近の一人、小柄な男桜庭左近が不思議そうに金剛を見上げた。
「いや……なんでもねェ。さっさと行くぞ。」
笑いが込み上げるのを堪えながら、金剛は再び歩き出した。
(まだだ……まだ堪えろ…。長束を根絶やしにし、世界を手中に納めるには、まだ慎重な準備が必要だ…。)
彼の計画は間もなく完成の時を迎える――――。
【城栄 金剛:ナガツカインテリジェンス本社ビル】
>>137>>138>>143 大室医師との会話が一段落したところで、今度は長髪青年との会話が始まった。
>「そうだ、池上君。」
>「私の名は五徳 静慎。此処に私の携帯番号を記しておいた。」
>「何かあったら力になろう。」
彼は『五徳 静慎』と名乗り、電話番後が書かれた紙を渡してくるのだった。
「力になる」と言っているが、そういえば彼の職業は何なのだろうか?
先程の岩城との闘いでの言動を考えても、異能については全くの無知というわけではなく、
むしろ熟知している様子だ。しかも人を何の迷いもなく殺めることのできる人間。
用心棒か殺し屋か、いずれにせよ異能力を利用して糧を得るタイプと考えるのが妥当だ。
まぁ、そんな彼を頼るかどうかは別として、紙は素直に受け取って置いて損はあるまい。
「……そうか。それより、あんたやあの眼鏡青年には一つ借りができたな。
返せるかどうかは分からんが、いつか返すつもりだ。彼にもそう言っておいてくれ」
そう言ったところで、今度は視線を大室医師に向けた。
「さて……僕はこれで失礼します。先生、どうもありがとうございました」
「いいのか入院しなくて? 傷だけで言えば誰よりもお前が一番の重傷なんだぞ?」
「僕にはやらなくてはいけないことがありますので」
これまで固く閉じられていた蛇口が、己の意思によって自由に緩めることができる。
先程から、このような得もいえぬ解放感や充実感が俺の中で広がっているのだ。
それと同時に、手袋で覆われた右手の甲に再び走り始めた断続的な痛み。
間違いない。どうやら俺の体に、やっと異能力が戻ったのだ。
右手の痛みは五徳らに反応したものだろう。
異能力が戻ったならここでのんびりする理由はない。この怪我も、その内治るだろう。
「そんなに言うなら止めはしないが。ま、何をするのか知らないが、精々怪我に触らない程度に
しておけよ? はい、それじゃお大事に」
大室医師は回転椅子に腰を下ろすと、くるりとこちらに背を向けた。
俺は立ち上がり彼に一礼をすると、そのまま部屋の出口へと向かうのだった。
【池上 燐介:病院から街中へ繰り出す予定】
>>121 「行っちゃったわね……」
肩を並べて歩く二人の男を見送った香澄。
その表情は、やはりどこか寂しげであった。
見知らぬ街でまた一人きりになったのだから、それも無理からぬことではあったが。
周囲を見渡してみても、わざわざ声を掛けるような相手はいそうにない。
香澄はいよいよ、自分が本格的に孤立したことを自覚した。
しかし、さっきまであれだけの戦いをしていたのだ。それに気付かない香澄の仲間達ではない。
「天宮さん!」
聞き覚えのある声に、香澄は振り返った。
振り返った先にあったのは二つの人影。
それを見た次の瞬間、歓喜と安堵感がこみ上げるのを香澄は自覚した。
「如月ちゃん!それに理事長も!」
声の主は如月千歳と、理事長こと塔ヶ崎真白であった。
二人は香澄の仲間であり、先に貳名市へとやって来た「先発隊」である。
「理事長、どうしてここに?」
「貴方があまりに遅いので、駅まで迎えに来たのです」
天宮の問い掛けに応える塔ヶ崎の態度は、見た目とは一致しないものだった。
背丈は香澄や如月の肩ほどまでもなく、どこからどう見ても小学生の少女にしか見えない塔ヶ崎。 ところが、その態度や振る舞いはもとより、纏っている雰囲気や佇まいまでもが大人と変わりない。
「ごめんなさいね、理事長」
「いえ。謝るのは私の方です。もう少し早く迎えに来ていれば、貴方一人での戦闘を強いることはなかったでしょうから」
落ち着いていると言っても、塔ヶ崎の表情は申し訳なさそうである。普通の人間にはない雰囲気を醸し出している彼女も、仲間に対する思いは人間並みに温かいようだ。
塔ヶ崎と如月を見た香澄は、そこにいるべきもう一人の人間がいないことを不思議に思った。
「あれ?文月君は?」
「知りませんよ、あんな男!」
答えたの如月であった。理事長と同じく言葉遣いは丁寧だが、理事長のような落ち着きはどこにもない。朝から不機嫌丸出しである。
「どうしたの如月ちゃん?また文月君と喧嘩でもしたの?」
「喧嘩ならまだいいですよ!宗太さんったら、また勝手に飛び出しちゃったんですよ。あれだけ勝手な行動は取るなと言っているのに!大体、宗太さんはいつもいつも……」
文月に不平を漏らす如月を見て、相変わらずだなと香澄は思った。
「それでは、一旦家に戻りましょうか」
「そうね。私もうクタクタだわ…」
「いつまでも駅で突っ立っているワケにはいきませんしね」
塔ヶ崎の提案を、二人は受け入れた。
【天宮香澄とその仲間、一旦家に戻る。文月は街中へ出ている。】
>>148 タバコを吸っているとお世辞にも甘酸っぱいとはいえないあの日の思ひ出が浮かんでは、煙のように消えていく
そういや・・・体育すっぽかして休んでたら保険の松澤にどやされたな。あのゴリラ面は岩城に良く似ていた
若気の至りとはいえ、ちょっとやりすぎたな。高部が上手くフォローしてくれたから場は納まったけど
高部か・・・俺はその懐かしい名前を口に出した。思い出すは・・・
はぁ・・・ぽっかりと煙の輪を口から出す。おぼろげなそれはゆったりと空中で広がると、あっという間に消えてしまった
おっとけっこう減るのが早いな。携帯灰皿を取り出し、一本目のタバコをもみ消す
にしても青空だけ見てても飽きるな。ベンチから立ち上がり、自殺防止の為だろう、厳重に囲まれている柵の方へと歩む
確かこっち側は・・・忌まわしき岩城とのドンパチだった裏門方面か。柵は結構高いのは縁はかなり狭いからなんだな
少しでも乗り上げたら地上にまっ逆さまだ。ギリギリ体を寄せてライターとタバコを取り出し、両腕を出す
タバコに火を点けながら、視線を地面に向けた。・・・お? なんだなんだ?
俺の目には幾分、いや、かなり奇天烈な光景が広がっていた。焼け焦げた岩城の死体には大きくて青いビニールが敷かれている。それは良いんだが・・・
数人の警官が、明らかに体力差のある女の子相手に乱取りの如く掛かって転倒し、掛かっては吹っ飛ばされている
まるで少女の周りに警官を寄せ付けないバリアーみたいなのが張ってるように見えるが、多分気のせいだ
つーか何やってんだ警官? 凶悪犯ならともかくあんないたいけな少女に複数で突っかかるなんて世も末ってレベルじゃねーぞ
と、その世紀末な光景を観察していると、少女があくびの様な動作をした。警官達が必死なのに少女は何処吹く風だ
すると少女が気が緩んだのか警官達に背を向けた。その瞬間を待っていたかと言わんばかりに、一人の警官が警棒を振り上げた
あ・・・ヤバイな。思わず手に汗にぎ・・・あ、その瞬間、俺の右手からライターがするっと抜けた
ライターは空中でくるくると舞いながら、吸い込まれるように少女と警官の下へと落ちていく。つーかこれって・・・
不吉な予感がガンガンする中、何故か少女を襲おうとした警官が頭上を見上げ――スコーンという効果音が聞こえそうな程、警官の額をライターが跳ねた
おもわず背筋が立ち、同時に俺の血管が急激に青ざめてきた。ど、どうしよう・・・かな・・・
そう思った瞬間、俺の脚は裏門へと向かっていた。急いでライターを拾わないとヤバイヤバイ、社会的地位ヤバイ
途中で看護婦さんに怒られたが構っていられない。今までの疲労は何処へやら、つか結構走れるのね、俺
一階のロビーに着くと、表門と言うか正面玄関口の方もなにやら騒がしい。そんな気がするだけで振り返る事はしないけど
それよりライターだ。ライターを拾ったら急いで警官に謝ろう。どう謝るかは・・・拾ってから考える! そう思い裏門を出ると
またも奇妙で奇天烈な光景が広がっていた。あの少女に襲い掛かろうとしていた警官が、他の警官に羽交い絞めにされている
その様子を囲むように複数の警官が見つめていた。どうすれば良いか分からないみたいだ。寄ってきた野次馬をまた別の警官達が追い払っている
「白木さん! 何してるんですか!」
「う、うるせぇ! 国家権力をこんなガキに・・・く、くぅ!」
あの少女を殴ろうとした警官は白木と言う名前らしい。白木は数分、バタバタと暴れながらもやがて観念したのかぐったりとなった
他の警官達は白木が動かなくなると黙って警棒を腰にしまい、ぞろぞろと何事も無かったかのようにパトカーに戻っていく
白木を押さえつけた警官は、ぼうっと立っている少女を一瞥すると黙って白木を抱え込んだまま他の警官達に続いていく
・・・しめた、俺は急いでさっき警官が立っていた場所へとダッシュし、ポツンと転がっているライターを拾った
ふとさっき警官達と乱闘? していた少女と目が合った。どこか頼りなさげで不安げな視線が何とも
こうゆう場合は・・・俺はタバコを一本取り出し、もう一度ライターで火を点けた。心と体が落ち着く
よし、俺は作り笑いにしては下手な笑顔を浮かべ、少女に顔を向けて言った
「今の内に病院に逃げ込めば? 流石に警官も野次馬も殴りこんで来ないっしょ。夜になれば少しはマシになる」
にしても日本は一体どうしちまったのかねぇ・・・
【神野に病院に逃げるよう薦める】
>>155 「そろそろ飽きてきたな…」
そう呟きながら相変わらず拡散していた沙羅はだんだん睡魔に襲われてきた。
気を抜いたその瞬間に一人の警官が警棒を振り上げた。
まずい。やられる。
とっさに「空からかわいい女の子がっ!!」と大ウソをついた。
「そんなわけないだろ!」と言いつつ上を向いた警官の額になぜか降ってきたライターがスコーンという効果音が聞こえそうな程に当たった。警官は倒れて沙羅は助かった。
最後の警官を相手にし終わった後に新しく来た一人の警官がすごい形相でこちらに来ようとしていたがほかの警官に取り押さえられていた。何か喋っているが遠いので聞こえない。
そのうち男がおとなしくなってパトカーに乗った。それに続いて他の警官もパトカーに乗り帰って行った。
沙羅は「疲れた」とだけつぶやき辺りを見回した。
すると眼鏡の若い男の人がさっき落ちてきたライターを拾っているのを見つけた。
そして目を合わせた。あまり男の人とは目線を合わせないのだがその時は偶然目を合わせてしまった。眼鏡の人はタバコを一本取り出しさっきのライターで火をつけ
笑いながら
「今の内に病院に逃げ込めば? 流石に警官も野次馬も殴りこんで来ないっしょ。夜になれば少しはマシになる」
といった。私はワンテンポ遅れて「はい」と返事をした。
眼鏡の人の言うとおりに病院に入りソファーに座った。眼鏡の人は向かいに座った。
どちらも一言もしゃべらずに五分くらいたった時に先ほどのライターを思い出し
お礼を言った。
「あの、さっきはありがとうございます。」
精一杯にお礼を言った。男の人にお礼を言えたのはいつ振りだろう?
何て事を考えながら沙羅は助けてくれた人に自己紹介をした。
「わっ…!私の名前は…神野沙羅です。唯能高校に通っています…」
眼鏡の人は「神野沙羅さんだね?よろしく」と言ってくれた。久しぶりに男の人と喋ったがやはりよくしゃべれなかった。
そして、眼鏡の人の次の言葉を待った。
【恋島の次の言葉を待っている】
国崎と女性は立体映像を見ても始終冷静だった。
長束が出てくると、一瞬くの表情が変わったような気がした。
情報を全て伝え終えると、国崎もメモを渡してくれた。
(立体を操る能力者に・・・レオおじさま・・・幹部・・・クラス!? これは驚いたな)
神重にメモを渡す。きっと敬には楽しみが増えることだろう。
女性は宗方と神重を見比べて、厳かに告げた。
>> 「だけど宗方さん。貴方は私たちのことを知った。だから貴方が捕まったり、操られたりすると私たちにも危害が及ぶわけ。
>>正義と倫理だけで動くと、結局は回りに迷惑を駆けることになりえないから、気をつけて」
>>「で、そっちの貴方は宗方が襲われても脊髄反射で動かなかったから、自制心と洞察力があるって信じるからね。
>>勢いで動こうとした宗方さんを止めてちょうだい」
悪いことを見咎められた小僧のようでバツが悪かった。
だが、宗方はどこ吹く風という表情だ。ニヤリと笑いこう切り返す。
「・・・例によって君が捕らえられ、メンバーが殺されても当局はいっさい関知しないからそのつもりで
なお、このテープは自動的に消滅する」
一瞬の沈黙。
スパイ映画の名台詞なのだが、どうやらネタが古すぎたようだ。
だが宗方は特に気にしていない、減らず口は宗方の性分だからだ。
「私に対する忠告はその程度で十分だ」
宗方は女性を見返す。
それから・・・誤解して貰っては困るが
私は正義の味方を気取ってるわけじゃない・・・ゲームに勝ちたい。ただそれだけだ。」
>> 「じゃ、それぞれの仕事に移りましょう?」
「そうだな、お互いの仕事に戻るとしよう」
宗方は医薬品の山に手を押くと、瞬時に消え失せ、一分経過後宗方だけが戻る。
本人は涼しい顔をしているが、顔には玉のような汗が浮かぶ。
この一分間、何をしていたかは推して知るべしである。
「ゼェ・・・ハァ・・・コレで・・・良し」
宗方はシャツの袖で額を服と、床にばらまいた武器をしまってジャケットを着込んだ。
「ではこれで失礼する、何かあったら連絡してくれ。」
宗方は簡素な内容の名刺を二枚、カウンターに置き、薬局を後にした。
「神重、行こう。次は桐北を捜さなければな・・・可能ならば池上もだ」
【宗方零 神重と街に出る 神重に桐北と池上を探すことを提案】
158 :
桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/07/12(土) 05:19:00 O
>>145>>149>>150 突然立ち込めた光に目を瞑り、
同時に聞こえた何かが壊れたようなイヤな音を不審に思い目を開けると
「よし、これで外に出られる、少し待っていろ様子を見てくる」
予想以上に実直的な行動をしていた藤堂院さんがそこにいた
…………………
! いや 器物損壊ダメ、ゼッタイ!
だが自分の心の叫び虚しく全く気にした様子なく藤堂院さんはロビーに向かっていた
「え、ちょっと待ってください藤堂院さん… って点滴邪魔っ!」
待っていろと言われてもこんな不自然な状況のエレベーターに乗っていたら何を言われるかわからない
急いで追いかけようとしたらエレベーターが少し動いて出来た段差に自分の点滴が引っかかる始末で悪戦苦闘してさまった
やっとはい出たときに藤堂院さんがタイミングよく帰ってきた
「外で殺人事件があったようだ、私は刀を持っているから疑われるかもしれない。
だから今すぐにでもここを出る。
君は顔色も優れないようだし、もう少しここで休んだ方がいい。
それと、さっきも言ったように貴方の居場所は『建卸雷神』を通じて師匠にわかるから自由に行動して構わない」
そういうと本当にとっとと動き出しいつの間にか起きてた仲間と何やら1言、2言話して移動を始めた
>>158 しばらく藤堂院さんの言葉が理解できず頭がフリーズしてその場に固まっていたが
「さっ、殺人事件!? ま、待ってください!
もしかしてそれってさっき剣が言ったみたいに自分が……」
自分が原因なのか? と湧き出た疑問が2人に届くことはなかった
頭を強制再起動して叫びながら追いかけたのも2人が人混みで見えなくなった頃、
届かなくても仕方ない 遅すぎたのだ
「そんなわけ… ないか
自分狙いならわざわざ外で事おこす必要がない…。 ……多分」
正門まで追いかけてみたが完全に見失ってしまった
確かに体が休みを求めているし、何よりこの格好で外にはでれない
ここは言われたとおりここで休もうと今度こそあてがわれた病室に向かおうとしたとき
老若男女に紛れてどう考えても病院とは無縁そうな男が目に入った
「戦場ヶ原さん…、だよね? ………マズイ」
そして入った瞬間自分は逃げ出した
助けて貰ったのにトンズラ決めて離れたあの戦闘大好きな人が
『もの凄い形相』でこちらに向かってくるのが見えた瞬間命の危機を感じたからである
「(なんとか迂回して病院に戻らなくては…
捕まったらヤバい…、なんかよくわかんないけどヤバい絶対!!)」
【桐北:廻間、藤堂院と別れる
戦場ヶ原から逃げるように病院へ移動 気配は消せない】
160 :
運金:2008/07/12(土) 12:03:08 O
僕が皆倒して埋めました
終わり
>>156 警官達が姿を消し、入れ替わるように鑑識課の様な人達がパトカーに乗ってやってきた
事態を呆然と見守っていた野次馬たちが、状況を上手く理解できずに、すごすごと帰っていく
さて・・・どうしたものかね。俺は二本目のタバコを打ち消し、目の前の少女に向き直った。取りあえず事態は収まったな
つっても俺が勝手に首突っ込んだんだが。ま、この子も危なかったしそこら辺は追いとく事にして
まじまじと見るのも変態みたいなので止めておくが、見る限り今風の女の子だな。そこらに居る女子高生と同じ
けど今の時間帯にほっつき歩いてるのも疑問っつーたら疑問だ。・・・あえて一番の疑問点は今は考えない
しっかしどうしてこうも、この町には妙な人達が多いのかね。なんつうか一生分に何回、信じられない体験をしたか
・・・っと、少女が俺の言葉を少し考える素振りを見せると、はっきりと「はい」と答えた
受け答えは悪くない。普通だ。やっぱここ最近の摩訶不思議のせいで俺の頭がおかしくなってるのかな
・・・かもなぁ。つーか取材以外でこんな若い子と喋るのも何年ぶりだろう。喋り相手と言えば九鬼と数人のイカ臭い同僚くらいだからな
とりえいず病院に入るか・・・少女が病院に向かうのを見計らい、俺も病院に戻る。段差気をつけろ、転ぶぞ
俺と少女はロビーから少し離れ、ソファーが向かい同士になっている歓談室に入った
設置されているTVからよく分からん漫才コンビの漫才が聞こえてくる。どんな内容か頭に入ってこない
どうしようかな〜俺は少女にどう話題を切り出せば良いか試行錯誤していた。している振りをしていた
最近のトレンドには正直疎い。いつも仕事ばっか頭にあったから
かと言って気軽に青春だの恋愛だのいかにも若い年代が好みそうな話題を切り出せるほど、俺には良い経験は無い
まさか大学時代のジリ貧クッキングを教える訳にはいかないだろ? つーか単純に俺のコミュニュケーション不足か・・・
>「あの、さっきはありがとうございます。」
俺の泥沼に入りかけた思考を、少女が断ち切ってくれた。いやいや、俺が君を助けたわけじゃないんだ
偶然ライターが警官に・・・いや、これは俺が助けた事になるのかな? どっちにしろ大した事じゃない
まぁライターに礼を言われてもぶっちゃけ困るけどね。・・・下らねーな、俺
俺はどう返答するか迷い、結果只微笑むだけにした。下手な事言って引かれちゃかなわん
すると少女は何か思い出しそうにうずうずすると、決心したように
>「わっ…!私の名前は…神野沙羅です。唯能高校に通っています…」
と自己紹介してくれた。神野・・・神野さんか。どこかで覚えがあるような・・・気のせいだな
唯能高校と言えばここらへんで一番デカイ高校って九鬼から聞いたな。情報源にうってつけだと聞かされた
いづえ取材しに行こうと思ったけど、まさかこの子が唯能の生徒だったなんてな。偶然は怖いね
けど今の状態じゃまだ取材は無理かなー。とにかくめぼしい、と言うよりネタ探ししなきゃ
・・・いかんいかん、また考え込んでこの子を置いてけぼりにしそうになった。ここは無難に返そう
「神野沙羅さんだね? よろしく」
一応確認の為に名前を繰り返してみる。神野さんは俺の返答に小さく頷いた
筋としちゃ俺も自己紹介しておかなきゃな
「俺は恋島達哉。まぁ何つうんだろう・・・どこにでもいる平凡な虚弱体質って感じ?
虚弱体質って事自体平凡じゃないか・・・まぁそんな感じ」
・・・神野さんは俺なりのユーモア溢れる自己紹介をポカーンとして聞いている
ごめんよ、どうも俺は話術というかセンスがない。しかもイケメンじゃないから黙っていても絵にならない罠
色々と憎い、本当に憎い。・・・このままだと口から呪詛が出そうなので、俺はとにかく神野さんをリラックスさせる為に
「喉乾いたから、何か飲み物買ってくるね。君は何が飲みたい?
遠慮しなくても良いよ。まぁ・・・日本酒とかビールは駄目だけどね、売ってないけど」
我ながら酷いセンスだ
【現在地:歓談室】
【神野にどんな飲み物を買ってきて欲しいか聞く】
>>149 「ここまで来れば大丈夫だろう」
私達は病院から少し離れた住宅街に居た、元々あの事件の犯人ではないのだ流石に追ってくることは無いだろう。
そういえばここは今朝廻間に助けられた場所だったな。
「これからどうするか、君はそう聞きたいのだろう?
私はこれから携帯電話を買いに行くつもりだ、これがなければ君と連絡が取れない。
私は流行に疎くてな、何が良いとかが分からないのだ。
だからそのアドバイスでもしてくれると助かるかな、嫌なら構わないが」
「この前せっかく買ったのにぶっ壊すんだもんな、勿体ない」
貴方のせいだ、と思ったが口にはしない。
師匠のことだからあの事も何か意味があっても行動なはず。
統時が私の問いに答えるより早く何処かから声が聞こえてきた。
「やぁ、はじめまして廻間統時君と連れの・・・・・・誰?
ボクは機関のNo・・・・・・何だったっけ、忘れたな。
ま、いいや、とにかく君は強いんだろう?もう既にノルマを達成してるもんね。
だったらさ、ボクと遊ぼうよ、町外れの廃工場で待ってるから。
それと君の友人関係はもう把握済だよ、この意味分かるよね?」
「誰だ、出てこい!」
私は素早く辺りを見回す、声が届くような距離には誰もいないし、近くに気配も感じない。
頭の中に直接響くようなものでも無かったので近くにいるはずなのだが・・・・・。
それにしても、いきなり仕掛けてくるとは思わなかった。
要するに、戦わなければ統時と親しい人物を殺すと言うことだろう。
「罠か、それともただ戦いたいだけか。
どちらにしろ私は出来るだけ自分の居場所を分からせたくない。
たとえ君の友人に何かがあったとしても私には関係のないことだ」
そう言った私に統時は少し怒りがこもった眼で睨んでくる。
協力し合おうと言ったそばから私が裏切ると思っているのだ、当然だろう。
「と言いたいところだが、今私と君は協力関係にある。
君が困っていて、助けて欲しいのならいくらでも力になってやろう」
そう表情を和らげて言うと、統時はばつが悪そうに目をそらす。
それに統時がなんと言おうと、私は手伝うつもりだ。
怪我がまだ痛むだろうし、統時一人で戦うのは自殺行為だ、それに『機関』の人物を野放しにするのもまずい。
居場所がばれるのは色々と問題があるが、統時と二人がかりで確実に仕留めればいいだけの話。
「それでどうする?
戦うか、それとも無視するか、私はどちらでも構わないぞ?」
「そんな事どうでもいいだろ、廃工場に行くぞ、こいつがどう動こうが関係ねぇ。
俺達は俺達がやるべき事をするだけだ」
【籐堂院瑞穂:NPC登場、廻間統時にどうするか問う どちらにせよ行くつもり】
>>161 私の自己紹介が終わった。そして眼鏡の人の言葉を待った。
眼鏡の人は、
「俺は恋島達哉。まぁ何つうんだろう・・・どこにでもいる平凡な虚弱体質って感じ?
虚弱体質って事自体平凡じゃないか・・・まぁそんな感じ」
今の私の顔を擬態語で表すと「ぽかーん」が最もよく似あった。意味がわからなかった。
その自己紹介について沙羅は脳内会議を始めた。
沙羅A「今のは笑う所?」
沙羅B「自己紹介で笑っちゃダメでしょ…」
沙羅C「待て待て、議論はそこ?名前とか虚弱体質とかじゃない?」
沙羅D「てゆーか、喉乾いた…」
脳内会議で分かった事は
眼鏡の人は恋島達哉さん。虚弱体質である。今のはギャグととらえて笑うこと。
少しだけ笑ってみたが恋島さんは気づいていなかったようだ。
そして恋島さんはソファーを立って、
「喉乾いたから、何か飲み物買ってくるね。君は何が飲みたい?
遠慮しなくても良いよ。まぁ・・・日本酒とかビールは駄目だけどね、売ってないけど」
と言った。
今度はタイミングを外さずにクスッと笑って、
「じゃあ、恋島さん。午前の紅茶のレモンティーをお願いします」
恋島さんは軽くうなずいて自動販売機に買いに行ってしまった。
私はさっきの冗談を思い出し再びクスッと笑った。
こんなに男の人と会話したのは久しぶりだ。この人とはもう普通の会話ができる自信があった。
【恋島に午前の紅茶を頼む】
【恋島と普通の会話が出来るようになった】
>>162 俺達は病院から離れ住宅街までたどり着いた。少し行き過ぎた気もするが、まあいいだろう。
瑞穂は俺がこれからどうするのかと問う前に、携帯を買いに行くと言った。
通信手段を確保したいらしい。まあ当たり前といえば当たり前か。
公衆電話もどんどん減っているこの世の中だ、携帯を確保しておくに越した事はない。
で、俺にオススメの携帯を教えて欲しいと。まあそれぐらいならお安い御用だな。
ちなみに。刀のいう事には瑞穂が携帯を持っていないのはブッ壊したかららしい。
……まさか素手で握りつぶしたんじゃあるまいな。あの馬鹿力だ、完璧には否定できないな……
「……そうd」
「そうだな、それじゃあ近くのケータイショップにでも行くか」と言葉を続けようとしたその瞬間。
どこか人を見下したような声が響く。悪魔でも、人を見下した感じがするというのは俺の主観だが。
>「ボクと遊ぼうよ、町外れの廃工場で待ってるから。
それと君の友人関係はもう把握済だよ、この意味分かるよね?」
機関のナンバーズと名乗る人物の言葉の意味……
つまり、来ないようなら俺の友人達を……殺すと……そういう訳か!ザケやがって!!
「クソッ!!一般人をなんだと思ってやがる!?
俺達みたいな人間とは違うんだぞ!!」
>「たとえ君の友人に何かがあったとしても私には関係のないことだ」
横から降り注ぐ、刃のような言葉。
この言葉に思わず掴みかかりそうになったが、何とか気力で抑え込む。
だが、怒りを込めた眼差しを向ける事は我慢できなかった。
>「と言いたいところだが、今私と君は協力関係にある。
君が困っていて、助けて欲しいのならいくらでも力になってやろう」
……関係ないとか言っといて、結局手伝ってくれるのかよ……
相変わらず瑞穂の考えは読めない……敵に回したくはないな……
ともかくだ、俺が行かねば友人達が死ぬ。行かないわけには行かない……絶対に。
俺は戦いのために懐からルナの短刀を取り出す。
「行くしかないだろ……みんなを巻き込むわけにはいかないんだよッ!」
瑞穂は俺が武器を持っていたことにあっけにとられた表情をしたが、すぐに元の表情に戻った。
そして、俺は、ルナの短刀をしっかりと握り締めた。
「罠だろうとなんだろうと、俺は怯まず進むしかないんだ……行くぞ」
ルナの短刀を握り締めた右手の中で、俺の意思に呼応するかのようにルナの短刀が鈍く光る。
俺と瑞穂は足を進め、廃工場に向かった。
【廻間:廃工場に向かい、NPCと戦う】
>>146 梶原の用意した車に乗り込むと、過ぎ行く街並みを眺めてみた。
本部まで着くまでの暇潰しにはなるだろう。
それにしても、やはり、こんな街でも日中は人が多い。
大半が会社員だが、主婦や老人、学校をサボっているのであろう少年達の姿も見えた。
組んでいた足を組み直すと、背もたれに深く背を倒した。
―――数分、いや数十分か? 車に乗ってから暫くすると、前方に巨大な高層ビルが見えてきた。
街の中心に位置し、地上五十階、中ではナガツカインテリジェンス傘下の企業計84社が軒を連ね、
世界でも指折りの巨大コンツェルンの本社。そして機関の総本山。
誰もこんな地方都市に世界規模の秘密結社の本部が在るとは想像が付くまい。
車は、相変わらず無駄に壮観な玄関口を通り、地下駐車場へと降りていく。
前方からは我々の到着を待っていたであろう、黒服の男達が走ってきた。
男の一人が駐車場所を指定すると、初老の運転手は手馴れた様子で車を停車させた。
彼らの一人はドアを開け、もう一人が頭を垂れる。
>「お待ちしておりました。レオーネ様、小村様・・・と」
ハーケンの方にあからさまに怪訝そうな目つきを送ったが、梶原が慌てて助手席から出てきて諌めた。
>「彼女は最重要人物だ。丁寧にお送りしてくれ」
……? 城栄は小村からの報告を聴いた筈だ。
だから私は彼が偽名を使っているという事も知っていたし、ハーケンが小村の代わりに私と組むという事も知っていた。
彼らはハーケンの事を聞かされていない様子だ。彼女が気を悪くしなければ良いが……。
―――まぁ、私には如何でも良い事だ。
>「ではこちらです。ご希望であれば何かお飲み物を用意いたします」
先程礼をした黒服に先導され、他の男達に周囲を囲まれて、漸く我々は歩き始めた。
目的地は……。―――しまった! 迂闊だった!
ここに来て友人が滅多に社長室に顔を出さない事を思い出した。
多忙な友人を哀れむと共に、多少呆れた。
社長というのは会社のシンボルなのだから、社長室でどっしり構えていれば良い物を。
……まぁ、奴が椅子を尻で磨くのは似合わないがね。
「私はコーヒーを。冷めない内に持ってきて欲しい。
……それと、出来れば治療能力を持つ異能者を、居なければ包帯を持って来てくれ。
昨晩の戦闘で右腕が折れた」
さて、久方ぶりに旧友との親交でも暖めるとするか。
―――自分でも嬉々としているのが解った。
【レオーネ:現在地 機関本部】
大室医師の個室を出た俺は街中へ繰り出すべく、そのまま病院の玄関へと向かった。
この廊下を玄関へ向かって突っ切るのは、今日で二度目だ。
ふと思い出したかのように腕時計に目をやると、時計の針は十一時を刺していた。
何だかんだで、当初の予定通りここで時間は潰せたわけだ。
もっともその代わりに左腕と左脇腹を負傷してしまったが、まぁ異能力が戻ったのだから
良しとしておこう。
あれやこれやと考えている内に、俺はロビーの角に差し掛かっていた。
その時、「ドン」という衝撃音と共に、俺の体に何かが当たった感触がした。
その何かは俺の体と接触した瞬間、人間の物と思える声を発していた。
どうやら誰かとぶつかったらしい。
「あ、すいません」
そう詫びの言葉をかけつつ、俺はぶつかった相手の顔に視線を向けた。
その顔にはどこか見覚えが……いや、確かに知っている。
俺は人物の名前を思い出すまでには、そう長い時間は掛からなかった。
何故ならつい十数時間前に、あの長束邸で顔を会わせた人間の内の一人であったからだ。
ぶつかった相手も俺の顔を見てどうやら気付いた様子だ。
>>159 「なんだ……。桐北……とか言った高校生か。奇遇だな」
長束邸で解散した後、恐らく異能者とでも闘ったのだろう。
点滴の袋をぶら下げているキャスターを転がし、入院患者用の服を身に着けている。
一目でここに入院している様子が見て取れる。
しかし入院しているのであれば体を安静にさせるはずだが、
桐北は俺とぶつかるまで何か急いでいたのか、軽く息を切らしている。
「急いでいるようだな。誰かに追われているのか……?」
誰か、それが異能者であっても、別に不思議ではない。
大室医師での部屋でも既に気付いていたことだが、この病院には、もしくは病院の近辺
には五徳らの反応以外にも、多数の異能者の反応が感じられていたからだ。
(まぁ、訊ねてはみたが、別に誰に追われていようと俺には関係のないことだがな)
【池上 燐介:桐北 修貴と再び出会い、話しかける】
>>146 >>165 あれから数十分後、私達は機関の本社とやらに到着した。
巨大なビル。聞き覚えのある企業名―――は、やはり組織の力は大きいわね。
これだけの力があって、何を求めるかに興味がある。
あるいは私の望みも―――――――
「お待ちしておりました。レオーネ様、小村様・・・と」
と、少しばかり浮かれすぎたか。黒服――機関の構成員だろう――がロンバルディーニと小村さんを出迎える。
私は―――まあ、部外者ではあるし、戸惑いも当然か。
やはり、外で待つべきだたったかもしれない。好奇心からの行動はあまりよくない結果を生む。
しかし、梶原君が慌てて車から降りて、
「彼女は最重要人物だ。丁寧にお送りしてくれ」
そう言った。……最重要人物、か。機関が私をそう定義するのなら、何か意味があるのか。
あるいは幹部と行動を共にしていたから、そういう風に受け止めたのか。
多分、後者なのだろう。彼は私のことをよく知らなかったようだったし。
どちらにせ、こう発言してしまったからには何かあった時の責任は彼のものだ。
場合によっては、問題がなくても、虚偽の報告で罰せられるかもしれない。
「ではこちらです。ご希望であれば何かお飲み物を用意いたします」
しかし、流石はプロだ。黒服の彼らは多少の困惑はあったようだが、その困惑もすぐに消えた。
一般の構成員でこれなのだ。どう考えても、機関には個人では太刀打ちできない。
たった一人で世界の全てを圧倒するだけの力を得るか。
あるいは、機関以上の人員を手に入れるか。またはその複合か。
機関に敵対する者が手に入れなければならないものは、あまりにも多い。
それでもなお、その道を進むとすれば、それは力だ。
今の私が得ることの出来ない力。それを持った者こそが―――
「……ラムネとか、ありますか? なかったら、お茶かなにかで」
気がつけば、私はラムネを頼んでいた。
……思い出す。まだ私が何も知らない子供で、異能者でもなかった頃を。
両親に連れられ、この国に来たばかりの頃のことを。
我侭ばかり言っていた私が、みんなと仲良くなれたばかりの時のことを。
私の最初の友達で、たった一人の親友だった彼のことを。
そして、私の目的が生まれた時のことを。
こんな感傷、もう持つまいと思っていたが―――しかし。
このタイミングで思い返したということは、もしかしたら―――――
私は、もうすぐ辿り着けるのかもしれない。あの時に願ったものとは別の、もう一つの目的に。
【アルト:現在地 機関本部】
>>164 「罠だろうとなんだろうと、俺は怯まず進むしかないんだ……行くぞ」
統時は手に持った短刀を握りしめ、廃工場へと向かう。
私が言うことでもないがまだ年若いのに頼もしい限りだ。
短刀を持っていたのには少々驚いたが、病院に居た時何かあったのだろう。
程なくして私達は廃工場にたどり着く、中からは人の気配がする。
周囲を警戒しながら中にはいると一人の中性的な顔をした少女が居た。
「貴様が私達を呼んだのだな、何のつもりだ」
さっきの声もやけに高いからまさかとは思ったが本当に少女だとは。
戦闘狂かとも思ったが、あまり殺意も感じられない、実に薄気味悪い。
「来てくれたんだね、嬉しいよ。
ふふふ、そんなに怒らないでよ、ボクは元々君の友人に危害を加えるつもりはないよ。
こうでもしなきゃ来てくれなさそうだったからね、ハッタリだよ。
それと、そこの可愛らしいお嬢さんは誰かな、廻間くんのお仲間かな?」
「貴様には関係ない、早く始めようか、私も君のような少女と遊んでいる程暇ではないのでな」
「酷いなぁ、第一ボクは君の事呼んでないのに勝手に来たくせに、偉そうな女」
少女は私が挑発しても動じない、見た目とは裏腹に落ち着いている。
これ以上会話していても意味がない、私は天之尾羽張を抜き、斬りかかる。
すると、少女は短刀を二本、両手で持ち構える。
超能力系の能力だったら少し分が悪かったが、統時もいるし肉弾戦なら勝てるはず。
私の斬撃を少女は華麗に受け流していく、敵ながら見事なものだ。
だが甘い、この程度の斬撃が受け流されるのは元より承知の上だ。
「へぇ君も能力者だったんだね、嬉しい誤算だよ。
これでもっと楽しめそうだね」
「随分と余裕じゃないか、私を甘く見るなよ」
私は刀を横薙ぎに思い切り振る、それを受け止めようとした二本の刃はいとも容易く弾き飛ばされる。
体勢が崩れた、今が好機、素早く刀を構え直し袈裟に斬りかかる、もらった。
銀色に煌めくその刃は少女の身体と斬り裂く-------------はずだった。
空を斬る刃、少女は私を跳び越え、私の真後ろにいた。
「瑞穂、後ろだ!」
「遅い、その程度でボクを倒すなんて笑わせないでよ」
師匠の声を聞いた私は瞬時に横に跳ぶ、何故か少女の手には弾いたはずの短刀が握られていた。
あり得ない、あの体勢から跳んで私の後ろをとるなど運動神経がどうとかそう言うレベルじゃない。
今少女に殺意があったなら私は間違いなく殺されていたはず、まさか遊ばれている?
「統時!手伝ってくれ、こいつは想像以上にやっかいな敵かもしれない」
「やっと面白くなってきたね、因みにボクの能力は『殺戮自在』。
女の身でありながら相当な身体能力があるのもこれのおかげ。
それとどんな体勢からでも100%の力が出せるのも凄い所なんだ」
成る程、だから無理な体勢からの跳躍が可能なのか。
その程度の能力なら、二人がかりで何とかなる、それが真実ならだがな。
「統時、まず君は炎の球で援護してくれないか?」
【籐堂院瑞穂;NPCと戦闘開始 現在位置、廃工場】
>>169 廃工場で待っていたのは一人の女の子だった。
一瞬ナメられているのかという考えが脳裏を過ぎたが、その考えを打ち消す。
こういう子供こそ、相当の実力を隠し持っているに違いない。そう考えるのが妥当だ。
見かけに騙されるな、惑わされるな。相手の力量は外見では判断できない。
顔をパンパンと叩き、気を入れなおす。
そういえば、この子供はナンバーズと名乗っていた。
……どうやら機関は実力さえあれば、年など関係なく出世できるようだな……
>「ふふふ、そんなに怒らないでよ、ボクは元々君の友人に危害を加えるつもりはないよ。
こうでもしなきゃ来てくれなさそうだったからね、ハッタリだよ。」
「どうだかね、口だけなら何とでも言えるんだぜ」
口ではこんな事を言っていたが、俺は内心ホッとしていた。
コレは俺の予測だが、機関では上の命令は絶対。
それ故、この子供の部下が友人達に危害を与える確立はグッと減っただろう。
俺が安堵のため息をついていると、瑞穂と子供が何か問答を交わしていた。
そして瑞穂が刀を構え子供に斬りかかった。
(…瑞穂の攻撃、相変わらず重たいな。
だが、あの子供も中々やる。二振りの短刀で上手く防いでいる)
瑞穂の剣閃を短刀で防いたことによる金属音が工場内に響く。
再度放たれた瑞穂の太刀筋も、また受け流された。だが、瑞穂の表情は変わらない。
そういえば、さっきの攻撃もどこか殺気を感じられなかった。相手の実力を測っているって所か。
俺がそう思うや否や、瑞穂の太刀筋が鋭さを増した。どうやら仕留めにかかるらしい。
子供の短刀が吹き飛ばされる、その隙を逃さない瑞穂の太刀筋が子供に襲い掛かる。
しかし…
「!」
ありえない体勢からの跳躍で瑞穂の刀を避けた。この事実は、子供が異能者であることを示していた。
機関のナンバーズだから、ただの一般人という事はありえないと思うのだが……
子供は自らの能力を『殺戮自在』だと名乗る。どんな体勢からでも、100%の力を出せるとの事だ。
>「統時、まず君は炎の球で援護してくれないか?」
「了解」
瑞穂の援護要請に俺は出来るだけ落ち着きながら、声を荒げずに俺は答えた。
右手にルナの短刀を持ち、左手を子供に向け鬼神炎球を放つ。
火力を最大限に引き出したため、いつもより大きいテニスボール大の大きさだ。
だが、その分速度が遅い。通常時より約20%速度が落ちている。
予想通りといったところか…子供は火球をなんなく防いだ。
「ねぇ、廻間くん。君の力はこの程度じゃないでしょ?」
どこかガッカリといった表情を俺に向け、子供が俺に言い放った。
「うっさい、今の俺は本調子じゃねえんだよ。
それにな、お前だけ俺の名前を知っているのも不公平だ。名前を言え、ガキが」
短刀を抜き、短刀の切っ先を子供に向け俺は名前を聞いた。
【廻間:NPCに名前を問う】
>>156 財布の中身を確かめる。裕福とはいえないが、贅沢しなきゃ数日は持ちそうだ。足りなくなったら引き出せば良いしな
小銭もそれなりに入ってる。ジュース代に困るほど困窮してはいない。・・・と思いたい
神野さんに目をやると、俺の言葉が可笑しかったのかはわからんが、微笑んで
>「じゃあ、恋島さん。午前の紅茶のレモンティーをお願いします」
と返答してくれた。午前の紅茶ねぇ・・・結構カロリー高いけど、まぁ良いか
「あいよ、待ってな」
神野さんに頷きながらそう返事して、俺は近場の自動販売機へと足を運んだ
にしても何時の間にこんなに種類が増えたんだ? 東京じゃ珈琲か炭酸飲料ぐらいしか飲んだ事無いが
ジャキガンコーヒーだの二つ菜野菜ドリンクだの、微妙に力の入れ具合を間違えてるとしか思えん
午前の紅茶のレモンと・・・あったあった。俺は普通のコーヒーで良いか。両方購入し、歓談室に戻る
その途中の廊下で、2人の看護士が歩きながら何か話していた。こっそり聞き耳を立てる
「さっき正面玄関口で変な奴がいたらしいな」
「あぁ、何か着物を着てて、雰囲気が妙に危ないというか・・・
看護婦が怯えちゃっててさ。大変だったらしいぜ」
着物? 思わず興味を抱きそうになるが、今は休息の時だ。また怪我しちゃ今度こそアウトだぜ
すごすごと缶をぶら下げながら、歓談室に入った。神野さんに午前の紅茶を手渡す
どっとソファーに腰掛けコーヒーのプルタブを開ける。キレイに開けられると気持ち良いんだよな
取りあえずコーヒーを流し込んで喉を潤す。微妙に甘ったるいがまぁ良しとしよう
半分程度飲み干し、神野さんに向き直る。少し落ち着いたようだ。さて、どう話題を切り出そうか・・・
・・・なんか疲れたな。別に無理に合わせる必要も無いか。コーヒーを完全に飲み干し、ゴミ箱に捨てながら背筋を伸ばす
ソファーに座りなおし、傍らに置いたバックから携帯電話を取り出し簡単にメールをチェックする。スパムメールのみ
携帯を折りたたみバックに放り込む。・・・そうだなぁ
「神野さんは・・・学生だよね? なんか学生間で流行ってる噂とか都市伝説とかある?
ちょっとね、お仕事でそうゆうの調べてるんだ」
自分でもちょっと厚かましいと思いつつ、神野さんに簡易的な取材を行ってみる
神野さんは俺の質問に、俯いて何か考えている。まぁどんな答えでもいいさ。様子を伺いながらさりげなくメモ帳を取り出す
そういや腹へってたな、・・・外出許可なんか出るのかしら
つーか腕とか頭に包帯巻いてるだけで、寝込んでなきゃいけないほど大怪我負ってないしな。無理に動けないだけで
【現在地:歓談室】
【神野に仕事上での質問をする】
>>171 しばらくすると恋島さんが午前の紅茶を買ってきてくれて私に渡してくれた。
無言でお辞儀して午前の紅茶を受け取った。
そして、
「神野さんは・・・学生だよね? なんか学生間で流行ってる噂とか都市伝説とかある?
ちょっとね、お仕事でそうゆうの調べてるんだ」
私は、素直に
「すいません、こっちに引っ越してきたばかりであまり分かりません…
けど、都市伝説みたいのは一つだけ知ってます」
明らかに恋島さんの目が輝いていた。そして頷いて私に続きを促した。
「赤髪でボロイ着物を着た人相の悪い人の頭を撫でた人が…?あれ?」
何か思いだしそうな…?赤髪?ボロイ着物?人相の悪い人?
全てを思い出した!!
「あーっ!私の恋愛がーッ!!」
びっくりした恋島さんがきょとんとした顔で「どうかした?」と聞いてきたので説明した。
まず、人相の悪い人が警官が取り押さえられいたので助けてあげた。
助けてあげたら警官の標的が私に変わった。
そして戦闘。人相の悪い男が逃げた。そして戦闘終了。
そしてその男は学校の一部の生徒で「その男の頭を撫でて無事だったものは恋が必ず実る」
と言われる。まあ、みんなその男の頭を撫でれるほど勇気のある人はいなかったのだが…
その話を聞いて恋島さんは苦笑いをしてしまった。しまった、ついつい長々と話をしてしまった。
そこで「ぐ〜〜」と恋島さんのおなかが鳴った。
私はクスリと笑って
「じゃあ、どこかに食べに行きますか?」
と聞いた。
【恋島を食事に誘う】
【戦場ヶ原の事を思い出した】
>>116>>157 >「・・・例によって君が捕らえられ、メンバーが殺されても当局はいっさい関知しないからそのつもりで
なお、このテープは自動的に消滅する」
……。
>「ゼェ・・・ハァ・・・コレで・・・良し」
……。
悪い人では無さそうだし、信頼に足る人物だろう。。
否定されても腹を立てないことから、結構大人なのかもしれないとも思う。
でもちょっと……ちょっとだけだけど……頭悪そう。
出て行く二人を見送りながら、カウンターに置かれた名詞を手に取る。
「……じゃ、無理はしないようにね」
巨大な陰謀に立ち向かう男二人、暴力がはびこる町に繰り出す。
こんな映画みたいな画が目の前にあるのに、私がいつもどおりなのはまだ半信半疑だからか、それとも痛みを知ってしまったからか。
>「そうだな……葦川。俺はこれから商店街の近くにある、病院御用達の
薬問屋に薬を仕入れに行こうと思う。で、だ。悪ぃんだが、そこまで付いてきてくれるか?
まあ、行きたくなければ残ってもらってもいいんだが……」
振り向いたときに何となく目に入ったのは国崎の眼帯。
日常に溶け込んでいたはずの国崎が、ほんの少しだけ別の世界に行ってしまった証のように見えた。
それと同時に、国崎の異能力と彼自身のもろさを暗示しているようでもある。
戦略上、頼りにしなければならないはずの自己再生能力の限界が見えてしまっているのはどうにも幸先が悪い。
そういう不安とか、
「薬局に一人でいるよりも国崎についていったほうが安全じゃない?」とか、
そういう考えが渦巻いた結果、迷い無く返事を返す。
「いいわよ。私も行くわ。それに──」
国崎の目線に気付くと、苦笑を付して
「途中で服も欲しいしね」
少女に向けて放たれた火球は難無く防がれる。
その時出来た隙を狙い私は斬りかかる、だがこれも避けられる。
その避け方に私は少し違和感を覚える、跳んだと言うより飛んだと言う方が正しいような避け方だった。
これでは勝てない、こちらは二人いるので長期戦に持ち込むのも良いかもしれない。
「うっさい、今の俺は本調子じゃねえんだよ。
それにな、お前だけ俺の名前を知っているのも不公平だ。名前を言え、ガキが」
「ガキなんて失礼だなぁ、これでもボクは君達より多分年上だよ?
ボクの名前は伊賀 響、よく男と間違えられるけど女だよ」
これで私より年上?あり得ない、高く見積もってもせいぜい14か15という所だろう。
そんな事はどうでも良い、それより伊賀 響と名乗った少女をどう倒すかだ。
どんな体勢からでもこちらの攻撃を避けられるということは、相手が避けた所を狙っても意味がない。
どうにかして、響を空中に行かせてそこを狙う。
私は近くの鉄パイプ等の廃材を集める、響はこちらが何をするのかが気になるようで邪魔はしてこない。
「また援護頼むぞ」
それだけ言うと私は廃材を響に向かって投げつける。
何も考えずに投げているように見えるが、響は着実に角の方へ動いていた。
相手は最小限の動きでこちらの攻撃を避けようとしている、だから響の身体の右寄りに投げつければ左に避けてくれるのだ。
統時もそれを察してくれたのか、響が左の壁の方へ避けるように火球を撃っていく。
響は角まで後数メートルという所でやっと私達の意図に気付いたのか右に行こうとする。
だがもう遅い、私は残った廃材を全て響の右に投げつける。
そして響の前には既に統時の刃が迫っていた。
「なっ、速い!?」
響は初めて焦りの表情を見せる、統時がそこまで速いとは思わなかったらしく、統時を跳び越えようと跳躍した。
これで準備は整った、燃費は悪いが『火之迦具土神』を使えば確実に一撃で仕留められる。
「これで終わりだ、剣神憑依『火之迦具土神』。
消し飛べぇぇぇぇ!『滅剣・神滅劫火』」
私の刀から発せられた焔は凄まじい勢いで空中に居る響を撃ち抜く。
それは消し飛んだ、私が言った通り綺麗に消し飛んだ。
しかし、消し飛んだのは響ではなく私が放った『神滅劫火』だった。
響は、私の攻撃を喰らって死んでいるはずの響はその顔に笑みを浮かべたまま空中に浮いていた。
「な・・・こんな馬鹿な、あ、あり得ない」
「おいおいまじかよ、反則じゃねぇか・・・・・・」
「ちょっとびっくりしちゃった、ボクの本当の力を使わなきゃいけなくなるとはね。
やっぱり君達は面白い、ワクワクしてきたよ。
本当の事を教えるとね、ボクの能力は『裂空蜂起』、風を操る能力なんだ」
響の能力が嘘というのはあり得る話だった。
私は風を操る能力だという事には大して驚いてはいなかった、断然あり得る話だ。
それより私と師匠は響が私の本気の一撃を意図も容易く消し飛ばしたことに驚いていた。
ただでさえ白兵戦向けの能力の私達には相性が悪いのに、能力自体もとんでもなく強い、勝てない。
「逃げるぞ統時、こいつには勝てない、私達では無理だ。
逃げよう、早くしないと殺される!」
統時の腕を掴み、無理矢理引っ張っていく。
私は怯えていた、言葉の最後の方はすでに懇願、それほどに絶望していた。
昔は強敵と戦うとき隣にはいつも師匠と共に戦っていた。
しかし、今はもう共に戦うことは出来ない、そのことも私に絶望を与えている一つの要因だった。
私の頭にはもう戦うという選択肢は残っていなかった。
>>172 湿った掌を一人じゃんけんをしながら乾かしていると、神野さんが俯きながら
>「すいません、こっちに引っ越してきたばかりであまり分かりません…
けど、都市伝説みたいのは一つだけ知ってます」
と俺の質問を返してきた。引越ししてきたのか・・・なら町について疎くても仕方ないな
引越し早々大したトラブルに巻き込まれて気の毒に。とは思うが間違っても口には出さない
・・・最後の言葉、少し詳しく聞かせてもらおうか。危ない危ない、危うく聞き逃すところだった
猫背体制になり、神野さんに目を合わせる。神野さんは俯いたままだが、目を合わせているような感じで
するとあっと神野さんは何か思い出したかのように表情を明るくすると、早口で
>「赤髪でボロイ着物を着た人相の悪い人の頭を撫でた人が…?あれ?」
ボロイ・・・着物? 俺はさっきすれ違った看護士達の会話を頭の中で反芻する
危なそうな雰囲気と称され浮かぶは外見的な暴力イメージだ。それは岩城が顔面に負っていた傷や、ヤクザが・・・
ちょ、ちょっと待って。神野さん、君は確か人相の悪い人と言ったな。まさか・・・
な、訳無いか。あまりにも出来すぎている。赤髪の部分が引っかかるが、外見の事は何も聞いてなかった
神野さんの言うような外見的に変な奴ではなく、中身的に変な奴なんだろう。あの例の着物さんは
にしても病院に変な人扱いされるなんて・・・よっぽどアレなんだな。関わるのは御免こうむる
と、妙に神野さんの様子がおかしい。何故か頬を紅くさせて・・・
次の瞬間、神野さんが土壇場で大事な事を思い出したかのように
>「あーっ!私の恋愛がーッ!!」
と大きな声を出した。俺は思わずソファーから落ちそうになったがどうにか持ち超える。・・・俺たち以外に歓談室に人がいなくてよかった
ずり落ちたメガネを直しながら、突然爆発した神野さんに「どうかしたの?」と問いかける
神野さんは呼吸を整えながら、俺に今まで起こった経緯を丁寧に話してくれた
・・・神野さんの話してくれた内容が正直上手く理解できない
赤髪の人相の悪いクタクタの着物を着た男が、病院前で警察に絡まれていた
明らかに着物男の分が悪そうだったので、加勢してあげたら、神野さんが標的になった
その間に着物男は逃げ出し、神野さんがやばかったところを俺のライターが助け、今に至ると
うーん・・・どう言えば良いんだろう。とりあえず神野さん、俺は君には絶対に勝てなそうだ。色んな意味で
それにしてもその着物男は何処に逃げたのだろう。警察に絡まれる・・・うわっ何か嫌な感じで話が繋がってきたぞ
しかし面白い。限りなく物騒な話だが、非常に面白い。出来ればその着物男を一目見てみたいね。遠くから
神野さんの話はまだ続いており、最初に話してくれたその着物男は神野さんの同級生の一部で
「着物男の頭を撫で無事でいたら、必ず恋が実る」という都市伝説で有名らしい。有名というと語弊があるが、都市伝説とはそんな物だ
なかなか興味深く、面白い話が聞けた。俺は暇つぶし&取材の糧をくれた神野さんに感謝した。缶ジュース一本にしてこれは大当たりだ
にしても結構時間が経ったようだな・・・テレビ頭上の掛け時計に目を移すと、もうすぐお昼時だ
タイミングよく俺の腹時計が鳴った。・・・けどもう少し抑え目にして欲しかったな。神野さんが含み笑いしながら
>「じゃあ、どこかに食べに行きますか?」
と言ってくれた。そうだな・・・うっし、俺は両膝を叩いてソファーから立ち上がる。神野さんもつられて立ち上がった
でも金が正直無いんだよな・・・正面玄関口へと歩きながら、財布の中身を探る。おっと・・・なかなか良い物が出てきた
けど引かれるかもなぁ・・・どれほど金に余裕が無いんですか? って。でも許してくれ。俺は金銭面では非常にシビアなんだ
ちょうど正面玄関をくぐり、病院から出てきた瞬間を見計らい、俺は財布からあの青年に渡したクーポン券を取り出し、神野さんに見せながら
「あのさ・・・悪いけど、俺金欠なんだよね
だからファーストフードで・・・良いかな?」
【現在地:病院玄関前(外)】
【神野にファーストフードで食事をして良いか聞く】
>>164>>167 車が走り出して数分後、景色はさっきまでの瓦礫の山とはうって変わって
人が行き交うビル街に移り変わる
そして車は巨大なビルの前に停まる。見上げるほどの高さだ
ナガツカインテリジェンスグループの企業84社が入っている。一度は聞いたことはある企業ばかりだ
車は地下の駐車場に止まり、黒服の男性が小村たちを出迎える
「お待ちしておりました。レオーネ様、小村様・・・と」
黒服は言葉を止める。見ればアルトのことで戸惑ってるようだった
「彼女は最重要人物だ。丁寧にお送りしてくれ」
梶原が助手席から出てきて説明に入った
(・・・アルトの事はちゃんと伝えてえておいたのに、出迎えにそのことを伝わってないとは・・・・
まあ、どうでもいいことか)
「ではこちらです。ご希望であれば何かお飲み物を用意いたします」
そう言われ、黒服の男性に囲まれつつビル内を移動する
(・・・暑苦しい・・・こういうの大嫌いだ・・・・)
微妙に疲れた顔になった
(それより飲み物はどうするか・・・)
「・・・・水にしてくれますか。それと氷も入れてください」
流石に昼間からワインはないか・・・
そう思い好物のワインを頼むのはやめた
小村たちは社長室に向かうべく社員用のエレベーターで直接最上階へ移動する
黒服の何人かは頼まれた物を持ってくるため分かれていった
乗り込む際に後ろにいた別の黒服の男性達が入ってきた
(どうやら今日は客人が多いようだな・・・)
そう思い、エレベーターに乗り込んだ
【小村・機関内のエレベーター】
【一緒に乗った煌神リンには気づいていない】
宗方は国崎から受け取ったらしきメモをこちらに渡してきた
(未知の物体で出来た箱を作成し捕縛、攻撃する能力者 ナガセ
レオおじさまと呼ばれる機関の大物と予測される人物)
(未知の物体で出来た箱……ナガセ…)
(なんだ、知ってるのか?)
その能力者を知っているかのような智の口ぶりに敬は質問をした
(恐らくな…少しだけだが戦ったよ)
(で、勝敗は?)
(向こうが撤退したからいわゆる引き分けだな)
(そうか…まぁ俺はそんな奴より"大物"のほうが気になるけどな)
「で、そっちの貴方は宗方が襲われても脊髄反射で動かなかったから、自制心と洞察力があるって信じるからね。
勢いで動こうとした宗方さんを止めてちょうだい」
メモを見ながら話をしていると、女性がこちらに宗方のサポートを改めて念を押された。
言われるまでもなく、そのつもりだ。
「神重、行こう。次は桐北を捜さなければな・・・可能ならば池上もだ」
涼しげな顔をして宗方は言うが、やはり能力を使ったからだろうか。
どこか辛そうな声を出して宗方は言う。
「そうだな…行こうか」
既に手は打ってある。自分の血から作り出した偵察用蝙蝠を昨夜放ってある。
蝙蝠達を放っていたのはある意味の幸運といえる。
宗方が言葉を言い終わると同時に…神重の脳裏に映像が送られてくる。
白い建物――焼けた跡――警察集団――
異能者が戦闘を行ったと思われる場所…そして病院内に桐北を発見。
その他の異能者も確認できたが…とりあえずは彼と接触することが最優先だ。
「…病院だな」
いきなり発した言葉に理解できてないようで、敬は加える
「病院に…桐北がいる。俺の蝙蝠が桐北の存在を確認した。
ただし…他にも異能者がいるみたいだな」
他に異能者がいたとて、宗方は構いはしないだろうが
情報として一応言っておく必要があった。
「次の目的地は病院だ。急ごう
桐北がいつ異能者の戦闘に巻き込まれるかわからないからな」
(…桐北…か)異能者と知った私に果たして協力してくれるだろうか?
【神重:蝙蝠が桐北を発見 目的地を病院に定める】
>>174 目の前の子供、伊賀響と名乗った少女は俺より多分年上だと言い出した。
「……冗談、明らかに俺より子供じゃないか。ハッタリも大概にしろ」
あの体、下手すれば小学生だ……いや、成長が遅いだけかもしれないが。
童顔というわけではなさそうだ。童顔は悪魔でも顔だけ、体まで子供というわけではない。
……って、そんな事が戦いに何の関係がある!?
気を抜くな、廻間統時!目の前の子供を親の敵だと思え!!
俺は再度顔をはたき、気を入れなおした。
>「また援護頼むぞ」
瑞穂へと顔を向け、無言でうなずく。
右手では刃物の鈍く光り、左手では炎が渦巻く。
渦巻く炎の音が工場内を包み込む。それは、両者が互いに口を閉ざした事を意味していた。
この沈黙を斬り裂くように、瑞穂が手にしていた廃材を響へ素早く投げつける。
その行為が合図となり俺達は動き出した。
響は必要最小限の動きで廃材を避け、こちらに近づき攻撃を仕掛けようとする。だが、俺の火球がそれをさせない。
連射力を高めた【鬼神炎球】は攻撃力こそ少ないものの、弾数は異様なまでに多く、間隔は小さい。
マシンガンの銃口は俺の左手、銃弾は火球と考えれば分かりやすいかもしれない。
火炎の機関銃を向けられている響は、廃材の他にもこちらも避けなければならないのだ。
響はこちらには近づけず、攻撃の主導権は俺達が握ったも同然だった。
(ん……瑞穂の廃材、あいつを誘導するかのように…あぁ、そうか!)
俺は瑞穂の意図に気付き、響の右半身を重点的に狙った。
そうすれば、必然的に避ける方向は左方向へと向く。つまり、左側に誘導しているという事だ。
ここは壁のある工場、いつまでも同じ方向に逃げられるものではない。
相手が馬鹿だったら良かったが、流石にそこまでご都合主義ではないみたいだ。
響は俺達の意図に気付き左とは反対の方向、つまり右方向に避けた。
瑞穂はそれを狙っていたのか、避けたところにありったけの廃材を投げつけた。
それを切り払おうと、響は廃材に意識を集中させる。
だが…
「俺を忘れるなよ」
>「なっ、速い!?」
俺はルナの短刀を振り払った。響はそれを跳躍する事で避ける。
(なるほど……上手く避ける。だけど、次はどうかな?)
そう、俺もおとりに過ぎない。
元より全開のスピードではなかったし、避けられることは想定済みだ。
……しかし、次の一撃はどうかな?
>「消し飛べぇぇぇぇ!『滅剣・神滅劫火』」
荒々しい瑞穂の叫びが工場内に響き渡る。
次の瞬間、瑞穂の刀から炎の濁流が響を迎撃した。
俺は心の中でガッツポーズを決める。
……だが。
「……冗談だろ……」
空中に浮かぶ響の不敵な笑み。
それは響がダメージを追っていないという事を意味していた。
そう、響は迎撃などされていなかったのだ。
>「ちょっとびっくりしちゃった、ボクの本当の力を使わなきゃいけなくなるとはね。
やっぱり君達は面白い、ワクワクしてきたよ。
本当の事を教えるとね、ボクの能力は『裂空蜂起』、風を操る能力なんだ」
……つまり、空気操作系能力者か。相手にしたくないな。
しかもこの様子からして、空気操作系でもかなり上位に食い込む能力。
俺の頬から冷や汗がこぼれ落ちる、俺の闘志が気圧される。
ハッキリ言って逃げたい。それほどまでに、こいつは強い。
だが、ここで退いてみろ。俺の友人はどうなる?
響の気が変わって指示を変えたら、友人の命は風前の灯だ。
……ハッキリ言って、ルナを呼びだせばこの女など瞬殺出来る。
だが、呼び出す隙があるというのか?いや、ないだろう。
それこそ呼び出している間にやられてしまう。
>「逃げるぞ統時、こいつには勝てない、私達では無理だ。
逃げよう、早くしないと殺される!」
俺の腕を掴み、怯えた表情で瑞穂が俺を引っ張る。
……逃げる?ふざけるな。
確かに生きていればチャンスはある……命あっての物種という言葉もある。
しかし、逃げてどうする?影からコソコソと暗殺の機会をうかがうのか?
ふざけるな!そんな卑怯なマネはするものか!!
俺の武器は…俺の牙は!魂は!!まだ折れちゃいないんだ!
笑うなら笑え!蔑むなら蔑め!笑い、蔑んだところで何も変わりはしないんだからな!!
逃げるにしてもせめて一矢報いらなければ……俺の誇りは死に絶える!!
誇りが死に絶えるなど、俺は御免被る!!
「逃げるなら先に逃げろ!!俺は一人でも戦う!!」
瑞穂を無理矢理振りほどき、俺は短刀を構える。
「せめて一太刀浴びせなければ、俺の魂が死んじまうんだ!!
俺は戦う事の出来る異能力者だ!この体は剣を振るうためにある!!
己の存在意義を果たせないまま……生きられるかあああああーッ!!」
気圧された精神を叩き直すかのように、雄叫びを上げた。
「うぅぅぅおぉあああああああああッ!!!」
その瞬間、短刀の眩い煌きが工場内を満たした。
「い…一体何!?」
響も瑞穂も、そして短刀の持ち主である俺も驚愕の表情を隠せない。
いや、一番驚いたのは恐らく俺だろう。
何故なら、俺が手にしていたルナの短刀は火を纏っている一本の太刀と化していたからだ。
「ど…どういう事だ…!?」
すっかり変わってしまった刀をマジマジと見つめ、呟く。
その時、工場内に聞き覚えのある声が響いた。
「どうやら間に合ったみたいね!」
「ル……ルナ!?」
声と共に俺の目の前に現れた、一つの透きとおった人物……
それは紛れもなく俺に短刀を手渡した、ルナだった。
「時間が無いから手っ取り早く説明するわ!
貴方に渡した短刀は貴方の戦意が昂った時その姿になるの!
名づけて「紅い月」!
その刀は刀傷と火傷の二つを同時に負わせられるけどそれ以上に貴方の戦闘能力を高めるの!
その子とも対等以上に戦えるはずよ!!」
ルナがすごい早口で説明する。
俺も瑞穂も、敵である響すらもルナの説明に思わず聞き入っていた。
そして、一番早く動いたのは響。さすが機関の幹部といったところか……
「なんだかよく分からないや……こういう時は先手必勝だよ!」
響が一瞬で俺に接近し、短刀を振り下ろす。
―――刹那、俺の太刀が響ごとそれを弾き飛ばした。
「っ!?」
響が弾き飛ばされた瞬間には、俺の体はすでに動いていた。動いた先は響を弾き飛ばした地点。
響は能力を駆使し、その場から移動し体勢を立て直す。だが、その先にも俺はいる。
これは偽者なんかじゃない、本物だ。響が移動する先に超速度で俺も移動しているのだ。
「ど、どういうこと……?」
「超速度……」
「え……」
紅い剣閃が奔る。響が倒れる。
「紅い月」の緒戦はあっけなく終わった。
「気に入った?」
「……ああ、最高のプレゼントさ」
俺の顔を覗き込みながらルナが微笑む。
その微笑みの返すかのように、紅い月を下げ俺も笑った。
【廻間:NPC響撃破。(気絶+火傷。再起可能)
ルナの短刀の真名が分かる。特定の条件下で変化】
>>177 >>「そうだな…行こうか」
>>「…病院だな」
突然の発言に宗方は一瞬何の事か理解できなかった。
神重は補足のためか、続ける。
>> 「病院に…桐北がいる。俺の蝙蝠が桐北の存在を確認した。
>>ただし…他にも異能者がいるみたいだな」
(こいつは・・・驚いたな)
神重は一瞬で桐北の場所を言ったのだ、驚くのも当然だ。
しかもそこに他の能力者もいることすら掴んでいるらしい。
おそらくは神重の能力。
しかしこの男、知らぬ間にそんな能力を展開していたとは・・・
神重の用意周到さに宗方は舌を巻いた。
正直、宗方の推理よりもアテになることは間違いなかった。
(この男が商売敵でなくて良かった・・・こんなのがいたら失業だ)
宗方は心からそう思った。
>> 「次の目的地は病院だ。急ごう
>>桐北がいつ異能者の戦闘に巻き込まれるかわからないからな」
逡巡の間に、神重が病院への移動を促す。
宗方は我に返った。
「ああ、病院だな?急ぐとしよう。病院まで”跳ぶ=v
宗方は神重の肩を掴むと、「ルクスドライブ」を発動。
宗方と神重は一瞬で病院正門の近くに転移した。
響くサイレンと点灯するパトライト。
宗方にとって懐かしい光景。状況は多分最悪。
「まずいな…これはますます急いだほうが良さそうだ」
【宗方零 神重と病院に移動】
>>175 「じゃあ、どこかに食べに行きますか?」
と言ってソファーから立ちあがった恋島さんに私はつられて立ち上がった。
正面玄関口をくぐり、病院から出てきた瞬間に恋島さんは、
「あのさ・・・悪いけど、俺金欠なんだよね だからファーストフードで・・・良いかな?」
と言った。手に持ったクーポン券が金欠を物語っている。
別に断る理由もないので、
「いいですよ。じゃあそこのミスバーガーでいいですか?」
と言って視界に入った病院の近くのファーストフード店の名前を言ったが、ちょうど恋島さんのクーポン券が使えるところだった。
店に入り、注文する。私はミスシェイクとチーズミスバーガーを、恋島さんはベーコンレタスバーガーと二つ菜サラダを注文した。
しばらくして注文した食べ物が出来上がりテーブルに着いた。そして食事を始めた。外はいい天気だ。何だか眠く…。
「神野さん?」
「はい!!??」
一瞬寝てたようだ…。恋島さんが心配そうに見てくる。それを苦笑いで誤魔化し再び食事を開始する。
私が完食した後にまだ食事をしている恋島さんはよく見ると野菜しか食べてないような…。気になる。
それに、さっき質問されたんだし次はこっちの番だよねとか思いながらさり気なく恋島さんに質問した。
「恋島さん、野菜好きなんですか?」
変な質問をしてしまった。小学生並みだ。恥ずかしい。でも、後には戻れない。
心の中で「早く答えて〜!!」と叫び続けた。
【現在地 病院近くのミスバーガー】
【恋島にした質問の答えを赤面で待っている】
な、なんだと!?地面の小さな段差が俺の腹にダメージを与えている・・・だと・・・?くっ!?自転車のサドルが俺の尻に!きさま、裏切ったな!許さん!俺は絶対に許さんぞ!!
>>180 いつの間にか終わっていた。
いきなり女性が現れて、響が動いて統時が倒すまで、ものの一瞬。
統時の動きはそれほどに速かった。
「す、凄い・・・・・・。
見事だったぞ、それにひきかえ私は不甲斐ないな、年下の少年に守られるとは。
格好良かったぞ、ありがとう」
私は弱々しく微笑むと統時に背を向け歩き出す。
昼間に戦う力を手にした統時に私はもう必要ない、それにさっきの事のせいで少し気まずかった。
「瑞穂、奴はまだ生きている!
とどめを刺せ!」
師匠の怒鳴り声が廃工場に響く、振り返ると響は起き上がろうとしていた。
響の元に駆け寄り天之尾羽張を響めがけて振り下ろす。
しかし、少し遅かった、響は飛び上がり廃工場の天井近くまで飛んでしまった。
非常にまずい、風使いの能力が何故白兵戦向け能力と相性が悪いか。
それは飛べるからだ、跳躍すれば届かない距離でもないが攻撃をする前に風で叩き落とされるだろう。
要するに相手が空中にいる限り私達は手も足も出ないのだ。
「痛いなぁ、風の防護壁を張らなかったら死んでたかもしれないや。
今のはボクの失策だったね、地上では君達に敵うはず無い。
でも、いくら地上で廻間くんが速いとしても空中では走れないよね。
ボクと対等に戦えるなんて笑わせてくれるよ、空に飛ばれたら何も出来ないくせにさ」
統時は跳躍して響に攻撃を試みるが、攻撃する前に風によって地面に叩きつけられる。
そして響が手をかざすとそこから凄まじい勢いの風が吹き出してくる。
私達は一歩も動けず、ただ風に飛ばされないように耐えることしか出来なかった。
「もう飽きちゃった、終わりにしようかな」
響がそう言うと廃工場全体が軋み始める、外から風を当てているみたいだ。
このままでは廃工場が崩れる。
「じゃあね、またいつか遊ぼうよ」
次の瞬間、ついに廃工場は外からの風圧に耐えきれず崩れ始める。
天井や廃材が降り注いでくる、統時が危ない。
「伏せろ統時!『神滅劫火』!」
天之尾羽張から焔が迸り、真上の瓦礫を全て消し飛ばす。
轟音と共に廃工場が崩れる、いくら町外れとはいえ早く出ないと色々とまずい。
私は天之尾羽張をバッグにしまうと、統時に軽く会釈をする。
「今日はいったん別れよう、私は少し用事が出来た」
二度も『神滅劫火』を撃ったことで私の体力はもう限界だった。
もう歩くのも精一杯で少しふらついていたかもしれない。
統時が何か言っていたような気もするが、よけいな心配はさせたくはない。
私は統時が見えないところまで行くと地面に座り込む。
「おいおい大丈夫か?」
「はい、少し休めば大丈夫だと思います、今は少し休ませて・・・・・・」
帽子を深く被り直すと、目を閉じる。
そこで私の意識は途切れた。
【籐堂院瑞穂:意識を失う】
>>182 病院から離れ、俺達はしばらく歩いて近場のミスバーガーに入った
某社のファーストフードに比べれば名は知られて無いが、それなりに旨い。にしても…
>「いいですよ。じゃあそこのミスバーガーでいいですか?」
屈託の無い笑顔で、神野さんがそう返答してくれたに心から感謝している。・・・まぁ駄目だったら駄目で他にも考えはあったけどさ
神野さんに何が食べたいかを聞き、その商品名を店員に伝えると共にクーポン券と金を差し出す。俺は適当にこれでいいか
窓側に席に座り、商品が出来上がるのを待つ。未だに空は青く、外は人々の雑騒で溢れている
こうしていると今まで起こった事は全て夢だったかの様に思う。よくあるだろ? 妙に現実感のある夢
けどやっぱり現実なんだろうな。俺は視線を包帯を巻かれた右腕に移す。確かにそこには、岩城との戦いの後が生々しく残っている
さて・・・これからどう行動すべきかねぇ。一つ面白そうなネタが浮かぶが、実行に移すには物件が足りなすぎる
と、考え事をしていると、店員が番号札を読み上げているのに気づいた。俺は急いでレジカウンターに向かい、商品を受け取る
俺達の座っている席まで運んでいき、神野さんが頼んだ商品をなるべく丁寧に置き、俺のはだらしなくその場に置いた
神野さんがパクパク食い始めるのを見、俺も手元のハンバーガーとサラダ…どうも食欲沸かねぇ
なんつうか胃の方が妙に重いな…腹減ってる筈なのに
食欲不振なんざここ数年無かったぜ。いつも馬の如く働き体に悪影響な弁当を食いまくり只寝るだけの生活だったしな
腹痛は何度か経験したが、食欲が沸かなくなるのは久しい。凄く久しい
サラダをコーヒーで無理やり流し込む。正直旨くも何とも無いが、栄養だけは取っておかないと
ふと神野さんに目をやる。成長期だと思いそうとう元気に食べてるだろうと…
…寝てる。それもこの世の幸せを体現しているかの様な、暢気な寝顔だ
この子の性格は今の所全く把握できてないが、なんとなく世間の厳しさとかそうゆうのに揉まれてない、そうゆう清純さを感じる
なら警官と大立ち回りしていたのは…駄目だ、考えが纏まらない。保留しておこう、この子の事は
と、神野さんが寝ぼけてるあまり、イスから落ちそうになっている。俺は慌てて
「神野さん?」
と呼びかけた。神野さんは俺の言葉に驚いたのか、ビクっと体を起こして体勢を立て直し
>「はい!!??」
と、声を上げた。周りの客が珍しそうに俺達に視線を向ける。俺は妙に恥ずかしくなり、小さく会釈する
どんな夢を見てたのだか…まぁ突然起こした俺も悪かったな。後で謝っておくか
そういや神野さんはもう食い終わったみたいだな。流石成長期
…妙に神野さんが俺と俺の頼んだメニューを交互に見ながら,心配そうな表情を浮かべた
…サラダばっか食っててハンバーガーには手を出してなかったな。食う気が起きないんだが
…ん? 何で顔が紅いんだろう。かなり恥ずかしい夢でも見てたのだろうか。まぁ良い
>「恋島さん、野菜好きなんですか?」
不思議そうに神野さんが俺にそう聞いた。好きでも…正直嫌いでもないんだ。単純にバテてるのかも知れない
――なーんっつたらまた心配されちゃいそうだな。明るく振舞っとくか
「ん〜別に。腹減ってると思ったら、別に減ってなかったみたい。それより君が元気に食べてくれて何よりだよ」
そう言って下手糞な作り笑顔を神野さんに向ける。神野さんはわずかに安心したような表情を見せた
さて…腹ごしらえも済んだし、仕事に戻りましょうかね。…全くやる気がしないんだけどね。仕事
早食いは胃に悪いとは思いながらもハンバーガーをコーヒーと一緒に流し込み、神野さんと店を出た
どうせ予定は無いし、宿泊予定のホテルであるザ・近未来に向かおうと思うが、まさか神野さんを連れて行くわけにはいくまい
…さっきから言わなきゃいけないと思った事を俺は神野さんに言った
「…君の家まで送るよ。というか今日は出歩くと色々不味いでしょ?
飯誘った俺が言うのもちゃんちゃらおかしいけどさ」
【現在地:ミスバーガー前】
【神野に自宅まで送ろうか尋ねる】
>>157,,173
「げ、混んでやがるな……」
俺と葦川は、宗方と神重の二人を見送り、先程薬問屋で仕入れる商品の即日配達を頼んだ後、
必要な日用品……主として葦川の服を揃える為に、商店街を訪れていた。
――――貳名中央商店街。
駅や病院、役所や図書館といった主要施設のどれからも近い位置に存在する
この商店街は、食料品店や日用雑貨、それなりの専門製品を数多く扱っており、
時刻も時刻だけあって、大き目のアーケードの中は相当な人混みと喧騒を誇っていた。
俺は、人垣にげんなりとした表情を作るものの、それでも内心ではそれなりに安心していた。
実際問題として、中途半端に人の少ない所に行くよりも、これくらい人数が居てくれた方がありがたいからだ。
人が多ければ多いほど、自分が異能者に見つかる可能性は低くなるし、
頭の働く異能者ならば、自分の情報を漏らす攻撃を仕掛けづらくなる。
つまり、人の多さはある意味防壁の様な物であり、この人混みはその意味では最適とも言えた。
だから俺は、人垣を掻き分け洋服店に向かうこの状況で、話す必要のある事を話しておく事にした。
「さて……葦川。これから俺が話す事を、そのまま不自然が無いように聞いてくれ。
最初の内容は、『力』についてだ」
人がこれだけ多ければ、盗聴の心配も薄い事、
仮に異能者に襲われた時に、目の前で困る事になる一般人を絶対助けなければならない事を踏まえて、
俺は、葦川に今までひた隠しにしていた、極力避けてきた自らの異形の部分のの象徴である
異能の力について話す。それは、俺にとって吐き気を覚える程の苦痛であった。
思考回路の一部がギリギリと不協和音を鳴らし、理性が自分を弾劾し、拷問する。
だが、生き残る為には、これはここで話さなければ為らない事である。
だから、俺は口を開かざる終えなかった。
贄(ウロボロス)の特性である、身体能力と感覚の向上と、ほぼ不死身の再生力。
強くは無いがそれでもそれなりに力を持つ、自身の血液を利用した他者への治癒能力の存在。
加えて、能力の重ね掛けによって、理論上は無限にパワーアップし、
一時的に真の意味での最強と不死身を得る事と、その先に待つ確実な破滅。
その内容を、バケモノとしての自己紹介を、俺は湧き上がる不快感を
『これは必要なのだ』という意思で無理矢理捻じ込みつつ、作った苦笑を
浮かべ、葦川に話した。
「……っていうのが俺の力だな。で、次はお前さんの能力を聞きたいんだが」
【国崎:商店街。服屋への道中、今後を考えて葦川に自身の能力を明かす。】
>>146 >>165 >>176 しばらく歩いてエレベーターの中に入る、暑苦しいと考えながらも兄に寄り添う。
ツバサがリンを肩を持って抱き寄せる。
リンは不安げに兄の服をつかむ。
幼い日の記憶、そんなものが一瞬頭をよぎるがすぐに打ち消す。
そんなものは思い出さないに限る。
そう考え静かにエレベーターがあがるのを待つ…
ツバサはリンを抱えながら考えた…
主に昔の事だ・・・リンが苛められてるとき良く助けたこと
はじめに苛められたのはいつだったか…多重人格で苛められていた
(あの頃は確かリン自身も入れて4人いたはずなんだが…
今は確か誰かに封印されたはずだ。)
ふとリンが自分の服をつかんでいるの気づくと静かにツバサは心の中で
(もう二度とリンをあんな目にあわせない…)と固く再度誓った。
【現在地:ナガツカインテリジェンス本社ビル】
>>185 私の幼稚な「野菜好きなんですか?」発言の後に恋島さんは、
「ん〜別に。腹減ってると思ったら、別に減ってなかったみたい。それより君が元気に食べてくれて何よりだよ」
と言ってくれた。よかった。具合が悪いんじゃなくて。
私はハンバーガーのお礼を言おうとしていると恋島さんは、
「…君の家まで送るよ。というか今日は出歩くと色々不味いでしょ? 飯誘った俺が言うのもちゃんちゃらおかしいけどさ」
と言った。知らないうちに心配をかけていたようだ。
「いいえ、結構です。それよりお邪魔でなければ恋島さんについていっていいですか?」
恋島さんが固まっている。いや、完璧に凍りついてる。私はすかさず
「お願いします。ついて行かせて下さい。わたし、仕事を手伝いたいんです。
それに今日はいろいろ食べさせてもらったので…。」
と言った。
恋島さんは迷っていたが最後には、
「…じゃあ。お願いしてもいいですか?」と言ってくれた。
私は笑顔で「こちらこそお願いします」と言った。心の中では「よっしゃーー!!」
面白いことがありそー!」と思っていたのだが…
とりあえず仕事の説明は歩きながら聞くことにしミスバーガーを後にした。
そういえば、恋島さんの職業って聞いたっけ?
【現在地:ミスバーガー前】
【恋島の仕事を手伝うことにするが恋島の職業を知らない】
>>184 適材適所という言葉がある。適性や能力に応じて、それに適した仕事や作業に就かせるという意味だ。
ただ今回使う場合の適材適所は少し意味合いが違う。今回は能力を発揮できるかと言う意味で使っている。
俺は地上戦でなら比類なき速度で敵を翻弄する事が出来る。瑞穂も地上戦でならその腕力を生かし、敵を一撃で葬る事ができるだろう。
しかし、空中戦ともなればそういうわけにはいかない。
足の踏み場のない空中では、俺は脚力を発揮することは出来ない。瑞穂の腕力も、踏み込むことの出来ない空中では威力が半減する。
ここで響のスペックを挙げてみよう。
本人曰く、俺達より年上らしいが身体は子供だ。実際戦ってみたが、やはり子供の身体。俺ほどのスピードもなければ瑞穂ほどの腕力もない。
そんな響に何故俺達は苦戦を強いられているのか?答えは簡単だ。アイツは飛ぶことが可能なのだ。
俺のような跳躍と言う意味の跳ぶではなく、飛行の方の飛ぶ。
飛ぶことにより、戦う事の出来る地形は増える。それは身体上のスペックを越える大きなアドバンテージ……
「ボクと対等に戦えるなんて笑わせてくれるよ、空に飛ばれたら何も出来ないくせにさ」
実際今の俺ではその通り……戦いにもしも何て言いたくないが……
戦場ヶ原がいれば、あの風の力をも超える局地的な重力をかけ動きを封じることが可能かもしれない。
それか【鬼神炎球】の徹底的なまでの強化……弾速と火力を高め、脚力を生かし全方位からの一斉射撃。それを行えれば……
……ない物ねだりしたって仕方ないか。今の俺の力で戦うしかない。
だが、響の戦意は既に無くなっていたらしい。俺達を一瞥すると、笑みを浮かべながら呟いた。
「じゃあね、またいつか遊ぼうよ」
俺が思考を繰り返していると、突然工場が崩れ始めた。
見れば響は既にいない……迂闊!響が外から強大な風圧をかけ、潰したって事か!!
「チッ!」
紅い月を振りかざし、落ちてくる瓦礫を片っ端から斬り飛ばそうとしたその瞬間。
>「伏せろ統時!『神滅劫火』!」
瑞穂の声が響く。俺はとっさに言われたとおりにその場に伏せた。
彼女が手にした刀から火炎流が迸り俺の真上の瓦礫を消し飛ばす。
消し飛んだ瓦礫の破片がパラパラと俺の体に降りかかった。工場は完全に崩壊した。
「……ッ、すまない。俺がボケッとしていなければ……」
俺は立ち上がって呆けていた事を瑞穂に謝り、次に助けていたことを謝ろうとしたが……
>「今日はいったん別れよう、私は少し用事が出来た」
どこか急いだ様子で瑞穂が刀をバックに入れる。
よく見れば、肩で息をしている。相当の疲労があるようだ。そして、俺が止めるのも聞かず立ち去ってしまった。
「あの子……大丈夫かしら」
「多分すごい疲れてるな。大技を連続して使用したから無理もないか」
ルナがどこか心配そうな顔をみせながら、呟く。俺もまたルナに返すように呟いた。
しかし、本当に大丈夫なのか?俺の連絡先は知っているだろうが、確か携帯電話を持っていなかったよな?
今襲われたらマトモに戦えないよな?知り合いは……あの先輩(仮)は戦う気なんて微塵もなさそうだった。
って、事は俺ぐらいしか守る人間いねぇじゃねえか!ったく、世話焼かせて……
「……行くか」
「どこに?」
「瑞穂を見守る」
「ストーカー」
「うっせえ!」
恐らく瑞穂が歩いたであろう道を辿り、瑞穂の後を追った。
【廻間:瑞穂が起きるまで護る。誰か他に護る人間が来たら、その人に任せる】
>>188 彼女の返答を待ちながら、俺は一服吸う為ズボンのポケットからタバコの箱を取り出した
まぁこの場で吸うのは非常識だから、ただ素面のまま咥えておくだけだが。彼女はどう言おうか迷っているようだ
どっちにしろ連れまわすわけにもいかないしなぁ。このまま帰ってもらった方が互いに…
>「いいえ、結構です。それよりお邪魔でなければ恋島さんについていっていいですか?」
…俺の口からタバコがこぼれ、ポトリと地面に落ちた。な…なんですと?
手伝ってもらう事なんて特に無いぞ? …と思ったが取材する際に俺より君が取材対象に声を掛けてくれた方が…
いや、いや駄目だろ。それじゃ神野さんを利用してる事になる。ここは毅然とした態度で…
困った…彼女のキラキラした目を見ると断るのはとても不憫な気がする
だがもし彼女に何かあったら、俺は対処できるだろうか? 正直自信が無い。むしろ俺が真っ先に危険な目に会う自信がある
でも病院での一件からすると、俺よりずっと強いのかもしれない。なにか合気道的な武術を習得してるのかもな
そう考えると…と考えようとして打ち消した。自分より年下に守ってもらうなんてどんだけ情けないんだ、俺
そうだ…適当に連れまわして飽きさせよう。彼女が典型的な現代っ子なら何も刺激が無いと興味が失せるはず
ぶっちゃけツマンネーよ? ただ単に町を回るだけだから。こう言えば彼女も
>「お願いします。ついて行かせて下さい。わたし、仕事を手伝いたいんです。
それに今日はいろいろ食べさせてもらったので…」
懇願されちまった…そう言われると断りにくいでしょーに。どうしよっかな…
なるたけ彼女が危険に会わない様にすれば良いか。それで日が暮れたら帰ってもらえば一番良いや
それに一人でいるよりか誰かと話してた方が精神的に…もう駄目人間で良いや、俺
「…じゃあ。お願いしてもいいですか?」
神野さんに協力してくれる様、若干の申し訳なさを込め返事を返す
すると神野さんは気持ち良い位の笑顔を浮かべ二つ返事で
>「こちらこそよろしくお願いします」
と承諾した。はぁ…幸か不幸か。まぁ俺にも色々と責任があるしな…
取りあえずここから離れよう。俺は神野さんに呼びかけ適当にそこら辺をぶらつく事にした
そうだ…そういや彼女は自分自身の身辺(真意はともかく)について話してくれたが、俺は名前だけで詳しくは教えてなかったな
歩きながら俺は小さく首を向け、神野さんに簡易な自己紹介をした
「自己紹介が遅れたけど・・・俺は恋島達哉…は知ってるか。この町には仕事で来たんだ
ちょっとした雑誌のルポライターでね。…まぁライターっつってもそんな有名じゃない雑誌のだけどね
各地での都市伝説について取材したり、スポットを探ったりするんだけど、ぶっちゃけあんまり刺激的な体験は無かったな」
苦笑を交え神野さんにそう説明する。興味を失ってくれれば・・・駄目だ、凄いわくわくしてるよ、この子
こりゃあ飽きさせるのは相当苦労しそうだ。どっかで図書館でも探して、資料探しでもさせるか
…酷かな。というか俺は虚弱だから涼しくて落ち着ける場所に入れるならもう動かないし
時間なら腐るほどあるからな…スクープを死んでも取ってこないと東京には戻れないし
ふと自分の服装が妙に薄汚れている事に気づく。立方体や岩城との戦いから泥だらけ汗まみれだからだ
仮にも今の俺は女の子を引き連れてる身だ。格好だけはわきまえといた方が良いかもなぁ…
よし、心機一転のつもりで服でも買ってみるか。歩きながら、バックから地図を取り出す。この近くにあるのは…
商店街内の服屋が一番近いか。どうせホテル行くには商店街通るしな
俺は一端立ち止まり地図をしまい、神野さんに服屋に行って良いか聞いておく
「仕事する前に、ちょっと着替えたいんだけど、良いかな?
そんな時間は掛からない。ちょっとそこらで服買うだけだから」
一瞬背筋が凍る。俺は瞬間的に背後を振り向いた。…誰もいないか…いないよな?
最近変な事ばかり起きるから神経が過敏になってるのかもしれんね。全く・・・
・・・つうか勝手なイメージだが女の子ってファッション好きだよな? ・・・頼むから強請ってくれるなよ。マジで
【神野に商店街内の服屋に行くか尋ねる】
>>190 まず初めに恋島さんは自己紹介とともに職業を教えてくれた。
「自己紹介が遅れたけど・・・俺は恋島達哉…は知ってるか。この町には仕事で来たんだ
ちょっとした雑誌のルポライターでね。…まぁライターっつってもそんな有名じゃない雑誌のだけどね
各地での都市伝説について取材したり、スポットを探ったりするんだけど、ぶっちゃけあんまり刺激的な体験は無かったな」
と言った。
すごい!
私はわくわくした。ルポライターとか物凄く面白そうだったからだ。
そんなことを思っていると突然、恋島さんが地図を出し何かを調べだした。
恋島さんもあまり道を知らないようだった。
その数分後に立ち上がり私に「仕事する前に、ちょっと着替えたいんだけど、良いかな?
そんな時間は掛からない。ちょっとそこらで服買うだけだから」と言った。
その瞬間に、なぜか背筋が凍った。何かわからないが危険を感じすぐに後ろを向いた。
いない。気のせいだと思い込もうとしたが、恋島さんも同じタイミングで後ろをむいた。
何かいる。
そんなことを分かってか、恋島さんは地図をしまい。「そこの店にしようか?」
と言った。「いいですよ。」と短く言い。私は自分の能力が正常に働くか見た。
よし、動く。しかし、一応女の子なので怖い。恐怖に負けないように深呼吸して
服屋に入った恋島さんに
「誰か後ろから来そうですが。どうしますか?」
と、震える声で恋島さんに聞いた。
【現在 服屋】
【後ろから来る何者かを感知した。】
テスト
>>184 本来の目的だった、薬品の手配は思いのほか何事も無く終わった。
だが、ほんのついでのつもりだった私の着替えの調達のために訪れた商店街に、人が溢れている。
(てっきりテロみたいなことでもやっていると思ってたのにね)
道行く人々は、異変なんて微塵も感じずに、いつものように歩いている。
別に私はそれを妬ましいとは思わないけど──
>「さて……葦川。これから俺が話す事を、そのまま不自然が無いように聞いてくれ。
最初の内容は、『力』についてだ」
この人はどうなんだろうね。
私に気を使ってくれているのはわかるけれど、所々に苛立ちや、もっと深い怒りのような物が感じられた気がする。
「大体わかったわ。前衛から治療役までできるけど、多様は禁物だってことで良い?」
小さく一息つくとメモ帳を取り出して自分の異能について書き始める。
『相手の感覚を狂わせる能力』とでも異っておけば楽なんだけど、せっかく彼が誠意を見せてくれたことだし
一つ彼に賭けてみることにしよう。
書き終わったメモ用紙を二枚手渡す。ちょうど服屋に到着したようだし、ちょうど良い。
「ちょっと私の異能は複雑なのよ。私が服買って来る間に読んで覚えて、飲み込むなり焼くなりして処分して」
「複雑な能力っていうのは、それが敵に把握されたらものすごく脆いのよ。絶対に他の人には教えないでね」
店の前で国崎を待たして、店内に入る。
とりあえず動きやすそうなカジュアルで安価な物を、あとジーパンで良いかな。
簡単にチョイスし、試着室へと向かう。
途中で恋島を見た気がするが・・・・・・きっと気のせい。
気のせいってことにしておく。
【葦川:服屋、試着室】
『国崎へ渡したメモの内容』
私の異能は『他者に自分の与えた刺激を与え続ける能力』
1:視覚
・自分の姿を相手に見せ続けることができる。
→自分の一秒前に居た場所に姿を残し、その姿の陰に隠れてカウンターを狙う
・自分が使った道具の発した光も見せ続けられる
→カメラのフラッシュで目をくらませられる
2:聴覚
・自分の発した音を聴かせ続けられることができる。
→足音や息遣いを聞かせ続ける
→何気ない言葉の中に重要なメッセージをこめたとき、その部分だけもう一度聞かせることができる(味方へ使用)
・道具に関しては視覚と同じ
3:触覚
・自分の与えた触覚を与え続けることができる。
→平凡な一撃が、気絶を引き起こすほどの痛みを与える。
その他、色々と使い道はありそう。
何か思いついたら教えてね
194 :
桐北 修貴 ◆b1QjyOQzMk :2008/07/21(月) 15:12:29 O
>>166 気が動転していて周りに気を配ってなかった自分が悪いだろう
「いてっ、…ぁ、す、すみません!」
ロビーまで到着した矢先に人にぶつかってしまった
これがさっきの戦場ヶ原さんだったら謝るだけじゃすまなかっただろうが…
まぁなんとか撒くことは出来たし、と多少の安堵を浮かべながら相手の顔を見ると
「なんだ……。桐北……とかいった高校生か。奇遇だな」
再び自分の思考は凍り付いた
それはもうブリザードのように凍り付いた
この人は屋上に飛ばされた自分に殺気を向けてヘリの中では終始無言
帰りの車の中も無言だった池上さんじゃないか
「あ…、ども…」
「急いでいるようだな。誰かに追われているのか……?」
「追われ…? あ〜、いえなんか外が騒がしいじゃないですか。
気になったんで外に出てたんですけど看護婦さんにバレて部屋に戻れって怒られまして…」
はっきり言おう
会って間もないからしょうがないかもしれないが自分はこの人が苦手である
早く寝たいという気持ちもあり、尤もらしい嘘をついてこの場を離れようとした
多分向こうもそれ程こちらに興味はないだろうし追ってくることはないだろう「じゃ、というわけで部屋に戻るんで」
と言いエレベーターに向かったが
「なんじゃこりゃぁ!?」「手…ですよね?このドアの歪み方…」「ぐわぁ 新しく買ったばかりだったのに!」
何やら関係者の方々が騒いでおり使えないと判断して階段で行くことにした
うん、自分は無関係です ハイ
ん…? 今入口がピカッと光ったような…
ま 気のせいか
【桐北:階段で二階に移動】
>>194 >「追われ…? あ〜、いえなんか外が騒がしいじゃないですか。
>気になったんで外に出てたんですけど看護婦さんにバレて部屋に戻れって怒られまして…」
桐北はそう言うが、それにしては急いでいたような気がする。
まぁ真実を話しているのかもしれないが、そうでないのならこれは無駄な詮索はいらぬ、
という桐北の意思表示であるのだろう。
「そうか」
俺は特に関心がなさそうに、そう桐北に返した。
桐北は俺の返事を聞くと、タイミングを図っていたように俺の横を通り過ぎていった。
呼び止めるのは簡単だが、元々こちらも彼の事情には深く首を突っ込むつもりは
なかったのだから、放って置いていいはずだ。
俺は振り向くことなく正面玄関へと歩き始めた。
玄関を潜ったところで、目の前の病院正門辺りでチカッと何かが光を発したようだった。
その光を視認した時、俺の右手が新たな痛みを訴え始めた気がした。
この病院には不特定多数の異能者が居たことで、先程から俺の右手は断続的な痛みを
繰り返し発していた。それ故、警告に対する感覚が麻痺していたのかもしれない。
あくまで「気がした」と直ぐ確信に至らなかったのは、そのせいだろう。
しかし、門に近付くにつれて、それは気のせいではなかったことに気付かされるのだった。
何故なら、そこには先程の桐北同様、つい最近見た顔が二つ並んでいたからだ。
>>177>>181 俺は靴音を立て、見覚えのある二つの人間に向かって真正面から堂々と近付いていく。
俺の気配に気付いてか、二人が揃ってこちらに顔を向けた。
二つの顔……その二つとも長束邸で見覚えがあったものだ。
一つは『神重』という眼鏡青年と、もう一つは『宗方』とかいう長束邸に侵入していた青年だ。
特に宗方という男の方は、強引に名刺を渡して来るような人間だったので良く覚えていた。
偶然というものは重なるものだ。
桐北に続いて長束邸で顔を合わせた面々がまた姿を現すとは。
彼ら二人の目的が何かは知らないが、目的が俺を対象にした戦闘でないことを今は願おう。
(一日に同じ病院で三度も診察を受けては、大室医師から何を言われるか分からんからな)
俺は速度を緩めることなく、彼ら二人の横を通り過ぎようとした。
【池上 燐介:病院の正門前。神重と宗方の横を通り過ぎようとする】
>>191>>193 歩いて数分、どこにでもありそうな平凡な門構えの服屋が見えた。窓ガラス越しから見るとそれほど客は多くない
「そこの店にしようか?」と隣を歩く神野さんに聞いてみる。ここ以外に服屋は・・・行くとしても遠くなってしまう
数秒待つと、神野さんは頷いて
>「いいですよ」
と返答した。オーケー。俺達は迷う事無く服屋に入った。自動ドアが開き、店員の一人が「いらっしゃいませー」と俺達に声を掛けた
その時、神野さんが俺の服の袖を小さく引っ張り、何故か震えた声で
>「誰か後ろから来そうですが。どうしますか?」
と言った。・・・君もか? 体の心がゾクっとするのを感じる。気のせいじゃないかもな・・・
だがここで不用意な台詞を吐いて神野さんを不安にさせるのも頂けない。俺は立ち止まり
「色々あって疲れてるんだ。今は俺から離れないで。後で図書館やり何なり落ち着ける場所に行こう」
と伝える。少々気障で身に合わない台詞だが、下手な事を言って怯えさせるよりかは良いだろう
神野さんは俺の台詞に小さく首を傾げると、理解したのか小さく頷いた。まぁ・・・いいや
そこらに吊らされているポロシャツやズボンを物色する。地味でも安けりゃ何でもいい
・・・にしても良いの無いなぁ。そりゃあ量販店だし。俺もそれなりに服装にはこだわるタイプだからな
時折、付き添う神野さんに注意を向けながら、どうにもパッとしない服を何着かかき集める
ふと、見覚えのある様な人が俺の視界に映る。どことなく華奢な体つき・・まさか葦川さん?
・・・と思ったけど見間違いかな。まぁ背中だけじゃ判別できないし、よく似た他人かもしれない
そう考え俺はそれ以上追及せず、神野さんの方に振り向き
「ちょっと着替えてくるから、試着室の前で待っててくれるかな。そんな時間は掛からない」
と申し無さげに伝える。流石にちょっと失礼だったかな・・・と思い、少し彼女から目を離す
先ほどの背後の気配が気になり、自動ドアに目を向けると、ぼつぼつと俺達以外の客が入ってきた
子供連れの主婦に趣味の悪い服を着た熟女、それに如何にも根暗な感じのオタクっぽい青年だ。とりたて変わった様子は無い
やっぱ考えすぎだったかな・・・最後に入ってきたサラリーマン(だと思う。スーツ着てるし)も普通の人だ
神野さんが不安げに俺を見上げているのに気づき、心配無いと言う感じで微笑んでみせる。相変わらず下手だけど
神野さんを試着室近くで待たせ、持ってきた服を次々と着替えてみる
先ほど入店してきた青年をオタクっぽいと比喩したが、正直馬鹿に出来ない。店側が悪いわけじゃねーな…
これほどチェック模様の服が似合っちまう自分が嫌だ。・・・って言ったら色々敵作りそうだな
そろそろ待たせるのも悪いな。迷った挙句、茶色いポロシャツとスーツっぽい黒いズボンを履き、カーテンに手を掛け
その時、ヒステリックで粘り気のある・・・女の声が俺の耳の鼓膜を破りそうなほど店中に響いた
「良いから私の言うとおり安く売りなさいよ! こんな服、本当ならただで貰いたいところよ!」
クレーマーにしても酷すぎる。俺は憤慨と少々の興味からカーテンを少しだけ開き、そのクレーマーを覗き見る
目線を横に移動すると、小太りな女…さっき入ってきた趣味の悪い熟女か。そいつが店員に凄ましい剣幕で喚いていた
片手に数着、やっぱ趣味の悪そうな服を握りながら困惑気味の店員に向かって唾と罵声を吐いている
おいおい・・・幾らなんでも酷いだろ、おばさん。けど店員さんもかわいそうだな。あんな剣幕で言い寄られちゃ対応に困るだろうに
他の客もクレーマーおばさんと店員さんの問答に関わり合いたくないのか、目を背けている。・・・まぁ分かるけどな。対岸の何たらだ
にしても何時まで続ける気だろうか、あのおばさんは。よくあそこまで喚いて疲れないものだな
早く店から出た方が良いかも分からんね。俺はカーテンを開け、待っている神野さんに声を掛けようとした
ふと、未だに騒いでいるおばさんとは別にイラッとくる声が聞こえてきた。妙に甲高く若々しい声だ
自動ドア付近で携帯電話で楽しそうに話しているヤンママが見えた。これまたさっき入店してきた客の一人だ
・・・さっきのおばさんといい、何で注意しないんだ? ここの店員は。つーかおばさんとヤンママ、それと・・・
けたたましい声で泣いている、恐らくヤンママが連れてきた子供だろう。自分の子供が泣いてるってのに何やってんだ
・・・にしても何かが可笑しい。おばさんにしてもヤンママにしてもヤンママの子供にしても、まるでブレーキが壊れたかの様に無茶苦茶だ
クレーマーおばさんはさっきよりもヒートアップしてるし、店員・・・ど、土下座? 何で土下座してんだ?
「すみません! 私のミスです! 半額、いえ無料で差し上げますから許してください!」
店員さんがマジで泣きそう、いや、号泣しながら謝罪していた。冷静に考えなくとも何も悪くないぞ、店員さん
もはやおばさんは顔を真っ赤にして何を言っているか分からない。ヤンママの会話も止まらないし、子供の泣き声もますます大きくなってきた
神野さんが異常な店内に不快な表情を示す。そりゃそうだ、俺だって煩すぎて両耳を塞がずには居られない
「早く行こう。何かがおかしい」
神野さんにそう耳打ちし、俺達は出口に向かう・・・が、俺達の前方数メートル先に、立ちふさがる様にオタク風の青年がすっと出てきた
顔の血色が悪く、線が細い位で至って普通の人だがどうにも悪い予感がする。というかしない筈がない
自然に俺達は早足になっていた。多分この店から早く出ないとヤバイって事で考えが一致しているからだと思う
青年が聞き取れないが何かぼそぼそと呟いている。内容は聞き取れない。というか聞き取りたくない
もうすぐ自動ドアだ。そう思うと心からほっとする。色々な意味で。神野さんも安心・・・
「許さない」
神野さんじゃない。神野さんの横に居たオタク風の青年がはっきりとそう言った。震えてるが何か確固たる意思を感じ――
次の瞬間、俺は青年の腕を掴んで踏ん張っていた。コイツ――神野さんを狙ってやがった!
「僕の・・・僕の初恋を踏みにじりやがって! だから女は嫌いなんだよ!」
な、何を言ってんだ? コイツ・・・誰と勘違いしてんだ? 一つだけ分かる事は、確実に状況は悪化してるって事だ
俺は懇親の力で青年をぶん投げた。青年は姿見に似合わず軽快にごろりと転がると、低く身構えた。右手にどこから取り出したかナイフが握られている
どうする、どうする・・・無理やり頭を落ち着けて、俺は今すべき事を考え――実行した
「神野さん! どこでも良い、早く逃げてくれ!」
背を向けたまま、俺は神野さんにそう叫んでいた。警察とか呼んできて欲しいが、今は安全な所に逃げて欲しい
にしても・・・俺は青年に警戒しながら、未だに異常な状態が続く店内を見計らった
・・・この状態には何か裏がある。必ず
【現在地:服屋】
【攻撃してきた青年と対峙。神野に逃げるよう捉す】
>>189 目が覚めた時、目の前には何故か統時が居た。
大方、私が心配で見ていてくれたのだろう。
統時の性格からして、こうなることは何となく予想はしていたがな。
「ありがとう、私が目を覚ますまで待っていてくれたのだろう?
お節介な人だな、君は。
もう少し私の意図を察してくれてもいいものを」
「俺はそういう餓鬼は嫌いじゃねぇけどな。
てか瑞穂無視してどっか行ったらぶち殺すところだった」
そういえば響に襲われる前に携帯電話を一緒に探してくれと頼んだのであったな。
もしかしてその事で待っていてくれたのか?
統時の隣に居る女性は何者なのかとか色々気になることはあったが敵ではなさそうなので黙っていた。
「私の体力もだいぶ回復した事だ、もう私は行くとしよう。
君は今色々とありそうだからわざわざついてきてくれなくていい」
「そうそう、お前は俺達なんか気にせずそのお嬢さんと楽しんでこい」
師匠が茶化すようにそう言う。
私自身も統時には随分世話になったし、これ以上迷惑をかけるのは悪いと思った。
この言い方だと統時は無理についてきそうだ、携帯電話を買う程度の事で統時の時間を浪費させたくはない。
「さっき君も見たと思うが私は君と一緒にいるところを恋人に見られてしまってね。
誤解を解きにいかなければならないのだ、だから今君に一緒に来られると困るのだ。
こっちから誘っておいて色々とすまなかったな。
携帯電話を買ったらこっちから連絡させてもらうよ」
「じゃあな、今度会うまで死ぬなよ」
それだけ言うと私は踵を返して統時の前から立ち去る。
実際、病院に残してきた桐北の事は気になるのでもう一度見に行ってみようか。
廃工場が崩れた事によりここら辺にも警察が来ているみたいだ。
事情聴取などされるのも面倒なので私は一人で足早に住宅地を歩いた。
【籐堂院瑞穂:目が覚めて、廻間とは一旦別れる】
一瞬の閃光――そして気がつくと病院の前にいた
「まずいな…これはますます急いだほうが良さそうだ」
響くサイレンと近くにあるパトカーを見ながら宗方は呟く。
「そうだな…まずは桐北を探さないとな」
敬は蝙蝠に探索をさせているものの正確な桐北の位置は掴めない。
(とりあえず…病院に入るんだ、そうすれば少しは手がかりがつかめるはず)
(わかった…だがこの状況で病院に大人しくはいることができるか?)
(自分の能力を考えろ…お前の能力は血を使うことなんだろ?
私ならその手を上手く使うが…ここをこうしてだな…)
(いい案だ智、使わせてもらう)
「この病院に今…普通に立ち入ることは恐らく不可能なはず
そこで…だ…俺の血の能力を使って"わざと"ケガをする」
宗方に驚きの表情が浮かぶが…俺の能力を知っているからか、すぐあの冷静な顔に戻る。
「宗方にはケガをした俺の付き添いということで侵入も容易なはずだ
そこから別れて桐北を探すという手もあるが――
言っている時に、何者かの気配を感じて敬はそちらのほうへ振り向く
勿論宗方もその気配に気づいていたようだ。
その気配の持ち主は――池上と呼ばれる一人の青年だった。
宗方が言っていた、桐北とは別の仲間に加えるべき人物。それが池上だ。
だが当の本人はそんな事を知るはずもなく…我々の横を何もせずに通り過ぎようとしていた。
(…敬! 池上を止めるんだ
彼を仲間に引き入れることができなくても、桐北のことを知っているかもしれない)
(言われなくてもわかっている)
「池上…といったかな。少し話があるのだが…」
我々を素通りしようとしていた池上に、敬は声をかけた。
(無視をするようなら…無理矢理にでも話は聞かせてもらおうか)
(あんまり物騒に物事を考えるんじゃないぞ)
【神重:侵入策を提案中に池上に遭遇 池上を呼び止める】
>>196>>197 「誰か後ろから来そうですが。どうしますか?」
そういった私に恋島さんは軽く
>「色々あって疲れてるんだ。今は俺から離れないで。後で図書館やり何なり落ち着ける場所に行こう」
と言った。「疲れているだけ」だと私は自分の心に言い聞かせその場は落ち着いた。
しばらく服を見ていると視界に身長が高く外見もモデルさんのような「美人」
の女性がそこにいた。
「私もこんな美人になりたいな」とか思いながら恋島さんのほうを振り返ると
恋島さんもその女性を見ているようだった。
しかしその見方は知り合いを見るような目だった。
知り合いかな?暇だし聞いてみるかな。
「あの…」
>「ちょっと着替えてくるから、試着室の前で待っててくれるかな。そんな時間は掛からない」
自分で思うのもなんだが本当に話をするタイミングが悪い。
質問は後でからしますか。
「はい、分かりました」
と答えると、恋島さんは微笑んで試着室に行ってしまった。
私は試着室の近くのソファに座りそのままうとうとしてしまった。
そのまま眠りにつこうとしたときに女の人の声が店内に響いた。
びっくりして起きるとなんだか様子がおかしい。
理不尽なクレーマーとそれに土下座する店員。
自動ドア付近で携帯電話で楽しそうに話しているヤンママ。声がとてもうるさい。
そして大声で泣く子供。
おかしい。異変に気づいた恋島さんは
>「早く行こう。何かがおかしい」
と言った。同感だ。恋島さんと出口に向かうが秋葉原にいそうなオタク風な少年が道を塞ぎ。恋島さんの腕をつかみ踏ん張っていた。
「僕の・・・僕の初恋を踏みにじりやがって! だから女は嫌いなんだよ!」
と訳の分からない事を叫んでいたが恋島さんに投げられていた。
しかし、起き上がり右手にナイフを持っている。
ナイフを見た瞬間に恐怖で能力のことも忘れ、その場に泣き崩れた。
>「神野さん! どこでも良い、早く逃げてくれ!」
と言われてたが自分のことよりもとにかく私のことより恋島さんの心配をした。
どうすればいい?
警察? いや、警察は今日騒動を起こしたばかりだし。
そうだ!さっき恋島さんが見てた人に頼もう!勘だけど恋島さんが知ってるぽいし。
知り合いじゃなくても警察に連絡くらいはしてもらえるだろう。
泣きながらその場から立ち恋島さんに背を向け異常な店内を走り先ほどの女性を捜し
目の前に立った。
私は泣きながら
「恋島さんを助けてください!」
と大きな声でお願いした。
【現在地 服屋】
【泣きながら恋島の知り合いらしき女性に助けを求める】
>>198 瑞穂が起きるまで護っていたが、結局何事もなく済んだ。
途中でニヤニヤした変態が、瑞穂襲い掛かろうとしたものの、
背中に紅い月を突きつけ「命が惜しいんならUターンするのが賢明だ」と言い放ったらあっさり逃げていった。
ちなみに、俺の感情は普段の状態へと戻っていたので紅い月は短刀へと戻っていた。
>「お節介な人だな、君は」
……正直、言い返せないのが悔しい。俺自身としてはお節介ではないと思いたいのだが……
過去を振り返ってみれば、文句を言いながらも人を助けてばかりいる。
これはもう重症だ。治そうと思っても治せるモンじゃあないな。
>「もう私は行くとしよう」
>「お前は俺達なんか気にせずそのお嬢さんと楽しんでこい」
何だか勘違いしているような気がしたが、
本当の事を言うとすごいややこしい状況になりそうので黙っておいた。
瑞穂は携帯を手に入れたら連絡すると言い、その場から立ち去った。
立ち去る理由は俺と一緒にいたところを恋人……つまり、彼氏に見られたという事らしいが……
……恐らく嘘だ。何で恋人がいるのに携帯を所持してないんだ?
普通なら、壊した翌日にでも買うだろう。しかし、瑞穂は買わなかった。
それは買う必要が無い……つまり、それほど連絡を取り合う人間がいないからだ。
彼氏がいれば一日に一件ぐらいメールぐらいするはずだからな。
こんな嘘までついて……そこまでして俺と別行動をとりたいのか、瑞穂。
まあ止めはしないから、この問題はどうでもいいか。
……さて、それじゃあコイツをどうしようか。
「どうしたの?」
俺にジト目で見つめられていたルナが、顔を覗き込みながら俺に疑問をぶつけてくる。
余談だが、今のルナは漫画やゲームなんかでいうローブ一枚しか着てない。
下は何も……身につけていないんじゃないだろうか。体のラインがクッキリ浮かんでいる。
目のやり場にすごい困る……思考が乱れる!
思考が乱れたままではロクに戦えやしない。
疲れるが漆黒の心、強制発動する。このまま動揺して場の雰囲気とかに流されるよりはマシだ。
「その服、どうにかならんのか」
「え……何で?」
「体の線が浮き彫りになっている」
「そうなの?意識してないから分からないわ」
マジマジと自らの体を見直しながら、ルナが答える。
しかし……こうやって見てみると本当に人間らしい。神族としての威厳が無いというか、庶民的と言うか。
まぁ、どうでもいい事か。
「それじゃあどこかで服を買わない?」
「今からか?」
目を細め、嫌悪の表情を浮かべる。
ルナも神とは言え性別上は紛れもない女だ。女の買い物には付き合いたくない。特に服に関してはな。
「冗談じゃない。貴様も女だ、どうせ長くなるのだろう?」
「何よ、その言い方ー。そこまで言うなら手っ取り早く済ませるわよ」
「ふん、その言葉覚えておくぞ」
財布の中身を確かめる。残金は少ないが、途中で引き出していけば問題あるまい。
俺はルナを引きつれ、街中へと移動した。
【廻間:瑞穂と別れ、ルナの服を買うためルナと共に街中へ】
>>193 >「ちょっと私の異能は複雑なのよ。私が服買って来る間に読んで覚えて、飲み込むなり焼くなりして処分して」
>「複雑な能力っていうのは、それが敵に把握されたらものすごく脆いのよ。絶対に他の人には教えないでね」
「……へいへい。まあ、ゆっくり見て来い。店も閉めたし、今日は割と暇だからな」
雑踏を抜けて辿り着いた店の前。俺は自然な様子で葦川からメモを受け取り、そう声をかけて見送った。
俺は、ポケットから取り出した煙草をいつも通り火をつけずに咥える。
視界に入る風景。流れて行く人影は、喜怒哀楽の違いこそあれその全てが日常の中に根を張っている。
雑踏の端で立ち尽くし彼らを眺める俺は、その日常に何を感じているのだろうか……
無意識にそんな事を考えている事に気付き、それ以上に進む前に意識的に思考を打ち切る。
今はモラトリアムを探す時でもないし、探す年齢でもないだろう。
俺はただ、人間らしくあればそれでいい。
適当に結論付けてから俺は、服屋の前にあったアーケードを支える柱に背を任せ、
先に渡された葦川の能力のメモを見る。
(……成程、本人が言うだけあって複雑だな)
記述に依れば、葦川の能力は、『他者に自己の与えた刺激を与え続ける』力らしい。
一見地味に見えるが、出来れば敵に回したくない能力の類だ。
視覚、聴覚、触覚への継続的な強制干渉。
感覚を奪われるならまだしも、与え続けたれるのは相当に性質が悪い。
ここに記述してある内容もそうだが、
例えば、相手の耳元で感覚が狂うほどの大音響を出し、それを継続的に与え続ければ
それだけで相手の身体能力を相当奪える。能力の継続時間によっては、精神的に致命的なダメージを
与える事も可能だろう。
また、レーザーサイト等を一瞬でも相手の目に当てれば、視界を奪うのではなく視力を壊す事だって
出来るだろう。
物騒な発想が次々と浮かぶのは、過去の経験からだろう。
……バケモノとしての自分が役に立つ日など、来ない筈だったのだが。
俺は異形となった目を隠す眼帯を撫で、不快感を吐き出すように一つため息を付いてから、
メモ用紙に適当な情報を書き加え、それを小さく丸めて――飲み込んだ。
気分は悪いが、大通りで火を使うよりも、こちらの方が
確実だと考えての判断だった。
【国崎:服屋の前で所在無さげに立っている。商店街の雑踏と喧騒、また、
現段階では店内の出来事なので、服屋内部の異常には気付かない】
>>200 あまりの店内の煩さに、俺の鼓膜がストレスで破れそうだ。おまけに目の前にはナイフを構えた男
体格自体は俺よりひょろく、ちょっとでも本気でぶん殴ればすぐダウンしそうだがいかんせん
奴の手元にギロリと光るナイフがある。むやみやたらに突っ込んだら刺されるか斬られるかどっちかなのは目に見えている
背後に目を向けると、突然の事に驚いたのか神野さんがその場に腰を着いて泣きそうな顔を浮かべ…いや、泣いている
泣いててでも良いから早く店外に逃げてくれ。正直対峙してる野郎の目は本気で危ない
それにコイツの狙いは俺じゃない。誰と勘違いしてるかは知らんが、恨みを持つ人物に良く似た君を、コイツは殺したがってる
生憎俺はコイツの恨みつらみを効いて説得できる度胸も強さもない。だから…ってオイ!
何を考えたのか、神野さんは立ち上がると背を向け、出口ではなく店内を走り出した
目の前のオタク野郎の目が、対峙する俺から走り出す神野さんに向く。そして同時に、オタク野郎が菅野さんに向かって走り出す
つっ! 押さえ込み動きを封じる為、俺は低姿勢になって走りながら、オタク野郎目掛けて体当たりを食らわせた
同時にへその辺りを押さえ込み、うつ伏せに思いっきり倒す。足がもたつき、バランスが崩れて地面に突っ伏し、持っていたナイフが手から抜けて床を滑った
「いい加減にしやがれ! 誰と勘違いしてるかは知らないが、犯罪だぞ!」
ジタバタともがくオタク野郎を必死で抑えながら、俺は大声でそう説いた。説くというにはストレートだが
「離せ! 離せよ! お前に、お前に何が分かるんだ! せっかくイメチェンして必死にバイトしたのに・・・
たかるだけたかって逃げやがった! これだから三次元の女は!」
な…何を言ってるのかさっぱり分からないが、とにかく女の人に対して激しい憎悪を燃やしているようだな
「お前の言う事は良く分かった。取りあえず落ち着こう。な?」
何が哀しくてこんな奴とくんずほぐれつしているんだろう、俺。とにかく落ち着いてもらわないと話にならない
顔を上げ、周囲の状況を確かめてみる。相変わらずヤンママは煩いしガキは泣きっぱなしだ
そういやあの店員とオバ…俺はその二人の様子を見て、思わず体の力が抜けた。鳥肌が立ち、背筋が凍るのが分かる
化粧が崩れ、まるで鬼のような形相のおばさんが、店員目掛け何度もハサミをブッ刺していた
店員の表情は見れないが、横顔は完全に青くなっており、床におびただしい量の血が広がっている。な…何だよ、コレ
次の瞬間、俺の視界は宙を向き、天上の蛍光灯を――まずい! オタク野郎が拾ってきたナイフを逆手に持ち、俺へと振りかざしてきた
寸でで振り下ろされた両手を真剣白羽取りの如く両手で防ぐ。やっぱり力が無いのか、オタク野郎は顔面間近で両手を振り下ろせない
振り下ろされない様防ぎながら、俺は目の前の男に焦点を合わせる。――同じだ。コイツも
あのイっちまってるおぼさんと同じく、顔を赤くして激怒している。それもただ怒るって事じゃない。底から湧き出るような――
「お気づきですか? なかなかしぶといですね、貴方も」
冷静かつ、それでいて感情を感じさせない声が、横から聞こえてきた。ゆっくりと声の方向に首を曲げる
下半身しか見えないが、ダークグレーのズボン――瞬間、ピンと来た。コイツは最後に入ってきた――
「ですが、気づいたからと言って如何もなりません。監視カメラは停止しておりますし、例え客が入ってきたとしても――
無関心のままです。何故なら厄介事には関わりたくありませんからね」
「お前…」
何か言おうとするが上手く言葉が出ない。一つだけ明らかな事は――この異常事態を引き起こしたのはコイツだって事だ
コイツがオバサンを、店員を、ヤンママとその子供を、そしてオタク野朗を何らかの方法で操っている。その方法が何か分からないのが悔しい
そもそもこんな最低な事をけしかけてまで何がしたいんだ、コイツは? 様々な疑問が頭の中で飛び交う
「まぁ…私は別に何もしていませんよ? 彼自身が望んだ行動ですからね。そこの所は間違えないようお願いします」
俺の疑問を一蹴するように、サラリーマン…に偽装したそいつが不可解な台詞を吐いた
彼自身が望んだ行動? 例え考えていたとしても、実行できる様な螺子が飛んだ人間なんている筈なかろうに
…いや、居るには居るんだろうが、それでも越えちゃいけない一線ってのがあるはずだ。それが例え怒りを超えた殺意――
「少し遊びすぎましたね。時間が掛かるので、貴方は…」
そう言いながら、サラリーマンはオタク野郎の耳元で指を鳴らした。するとオタク野朗はグッと背を伸ばすとキョロキョロとしだした
そして何かを見つけたように動きを止めると、そっちの方へと走り出した。まさか――と悪い予感がよぎり、見事に的中した
神野さんが試着室に居る誰かに向かって、何を言っているかは分からないが懇願している。逃げろって言ったろうに…
――って冷静になってる場合じゃない! 再度奴を止める為に俺は立ち上がり――
ふと左腹部に鈍い痛みが走り、膝を突く。次の瞬間、俺の脳内を激痛が走った
苦痛に歯切りししながら、俺は顔を横に向けた。店員を殺したオバサンが…
駄目だ、意識が朦朧としてやがる、このま ま じゃ 俺は…
【現在地:服屋】
【異能力によって操られた人間の攻撃を受ける。腹部に深い刺し傷を負う。意識混濁】
>>200>>202-204 >「恋島さんを助けてください!」
元着ていた服をバックに入れ、買う予定の服を着て試着室を出た瞬間
泣き崩れた女の子がいきなり懇願してくるとはなんとも素敵な、いや残念な運命だろうか。
ま、店内の大声や異常は何となく感じ取れていたから別に驚きはしない。
出会い頭に刺されなかっただけどもよしとする。
「あなたが泣いているのは異能力のせい?それとも元からそういう性格?」
呆れたようにわざとらしく溜息をつく。
別に馬鹿にしているわけじゃない。ただ、自分を落ち着かせているだけ。
なんといっても、他人の醜態は私を落ち着かせてくれるから。
「あっちの出口から店の外に出て、近くにいる白衣のおじさんのところに行きなさい。
あと、「多分広範囲能力者。店の周りに怪しい奴がいないか見てて。プラス、店に入ろうとする人を止めて」って伝えといて」
「じゃあね」
そう言って彼女を押すと、彼女を追って走ってくる男に向かって走っていく。
別に男と積極的に関わりたいわけではない。
恋島を助けるためのルート確保と、少女の安全確保のためだ。
「まあ、刃物は冷静にならないと使い物にならないわよってね」
馬鹿正直に突き出されるナイフ似合わせ、青年の手首を手刀で叩く。
「その手、私がもらったわ」
能力発動。短いうめき声を上げてナイフを落とす青年に、ダメ押しの膝蹴りを腹部へ入れる。
うめき声すら上げることができずに倒れて意識を失う青年を尻目に、血を流す恋島の元へと向かう。
黒幕はあいつか。
いや、人間を操る能力ならダミーの可能性も……とりあえずは考えなくて良い。
「このっ!」
勢いよく走ってはいるが、さて、どうした物か。
とりあえずこけおどし、ということで不意に掴んだハンガーをブーメランのようにおばさんへ投げつけた。
【葦川:恋島の元へと急接近中】
エレベーターは最上階へ目指して昇り続けた
エレベーター内は業務用にすこし大きめに作られているが、いまその空間は黒服たちで埋め尽くされている
我々を囲っている黒服ともう片方に固まっている黒服だ
黒服達に囲まれた客人を覗き込む、があまりよくは見えない
(・・・・・一人はたしかツバサ=ライマース・・・もう一人は子どもの様だが・・)
―――――――――チーン
すこし間の抜けた音と共にエレベーターが停止する
エレベーターを降り、振り返ると片方の客人もエレベーターも降りた
見るとそこには煌神 リンの姿が見えた
(!!・・・ツバサが連れ戻したのか・・・・)
小村は納得すると顔を前に戻した
エレベーターを降りると通路の奥に無駄に豪華な扉が待ち構えていた
黒服が扉を開け、毛皮や絵画などで派手に彩られた社長室へ招かれる
その奥には金剛が皮製のイスに座りこちらを見つめていた
(流石・・・・時間には厳しい奴だ)
部屋に入ると黒服たちは小村たちが頼んだ飲み物をテーブルに置くと、
部屋には入らず部屋の外に出て行った
(我々とリンとツバサ・・・・・このメンバーを集め、一体アイツは何を言うのやら・・・)
緊迫した空気が部屋内に充満し始める・・・
【社長室に小村、アルト、レオーネ、リン、ツバサが集められる】
>>206 「恋島さんを助けてください!」
恋島さんの知り合いらしき女性に泣きながら懇願した。
その女性は
>「あなたが泣いているのは異能力のせい?それとも元からそういう性格?」
と呆れたようにわざとらしく溜息をついた。
私が意味が分からず困惑しているとその女性は、
>「あっちの出口から店の外に出て、近くにいる白衣のおじさんのところに行きなさい。
あと、「多分広範囲能力者。店の周りに怪しい奴がいないか見てて。プラス、店に入ろうとする人を止めて」って伝えといて」と言った。
私は泣きながら頷き出口に向かい走った。
そして女性の言っていた「白衣のおじさん」を探した。
幸いにも服屋近くに白衣を着ている男性発見した。どうやら店内の異変には気付いてないようだ。
その「白衣のおじさん」に泣きながら
「店での異変」
「知り合いが殺されそうなこと」
「店内の女性に助けを求めたらあなたに「多分広範囲能力者。店の周りに怪しい奴がいないか見てて。プラス、店に入ろうとする人を止めて」と伝えてと頼まれたこと」
を伝えた。しかし泣きながら言ったのでうまく伝わってるか分からない。
一通り話し終えた後、私は涙をぬぐい、恋島さんを守るために、
「私も手伝わせてください」
と「白衣のおじさん」の目をまっすぐ見てお願いした。
【現在地 服屋前】
【服屋を脱出。「白衣のおじさん」に事情説明。手伝うことを志願する】
訂正です
>>205でした
迷惑かけてすいませんでした。
>>205,,207
「えーと……どうかしたのか、嬢ちゃん?」
路上で何をするでもなく立っていた俺に、突如泣きじゃくる少女が話しかけてきた。
一瞬、何かの罠かとも思ったが、どうもそうではないようだ。
罠を貼るにしては、切羽詰りすぎている。喧嘩にでも巻き込まれたのだろうか?
興奮している人間を刺激しても、余計混乱をさせるだけなので、俺はとりあえず少女の話を
聞くことにした。
「……成程、大体の事情は判った」
泣き声交じりなので聞き取り辛かったが、それでも内容は理解できた。
少女が話した内容は、葦川が入っていった店内で異変――――恐らく、異能者に遭遇した事。
そして、少女の知人がピンチであるという事。
更に、葦川によるその能力者の見立てだった。
焦燥感を押さえつつ、俺は思考を進める。
本当はすぐにでも店内に入って行きたいが、そうする訳にはいかなかった。
会話の内容からすれば、その異能者の能力はおおよそ幾つかに絞れる。
A.対象の感情を自由に操作する能力。
B.対象の特定の感情を増幅する能力。
C.相手の理性を奪う能力。
そのどれにせよ、次々店を訪れる客によって狂乱を起こされる可能性があるのだ。
そうなれば、俺はその客を殺す事態にもなりかねない。そして、俺にはそれは出来ない。
ならばこそ、葦川の言ったとおりに、客足を遠ざける事、能力者がいないかどうかを発見する事が優先される。
突入するならば、それからだ。
周囲を見渡すが、この店を肉眼で捉えられ、かつ隠れられそうな場所には不振人物の影は見えない。
或いは人影に紛れているのかもしれないが、それの判断は流石に無理だ。
ならば、今するべき事は、店内に客を入れない事なのだが――
(クソっ、情報操作は得意じゃねぇんよな……)
それを行う手段が中々見つからない。コレだけの人数に怪しまれずに誘導は、難易度が高すぎる。
口元を手で押さえながら考えていた俺に、涙を拭った少女が真っ直ぐに話しかけてきた。
>「私も手伝わせてください」
「駄目だ」
考えながら速答した後、言い方がキツかったことに気付いた俺は、
気さくな笑顔を造ってから改めて語りかける。
「ああ、いや。どうも犯罪臭い雰囲気がするからな。
俺としては、嬢ちゃんみたいな子供を、そんな場所に放り込むのは許可できねぇんだ。
まあ、こういう事は大人と警察に任せて、嬢ちゃんは安全な場所に避難しといてくれ。
大丈夫、心配すんな。嬢ちゃんの知り合いも、中の奴も、全員助けるから。全部、なんとかするから」
そう言ってから俺は、一つの事に気付いた。自分の言った言葉の中にあった犯罪の一文字。
そう、いつだって大勢の人間をこの場から遠ざけるのに最も有効な手段とは、非常事態ではないか。
動かした視界に捉えたのは、大きな施設なら必ずある赤いランプの付いた箱――――火災警報器。
俺は足元にあった小石を狙いを定めて蹴る。その小石は真っ直ぐにとび……警報ボタンを防護する
ガラスを叩き割った。
【国崎:神野が手伝う事を否定。少し遠くの火災警報機を作動させ、
商店街から人間を遠ざける】
>>205 かー…情けねえ…痛くて死にそうだ…つーか頭がジンジンしてきた…
いや…意外と浅い…か? いや…いてぇ…おばさんが俺の腹部に刺したハサミから手を離した
おばさんはもう完全にトんでしまったのか、俺の方を見て壊れた笑顔でニヤニヤ笑っていた
視界がぼやけてるのか…オバサンの口元が裂けている様に見える…こええ…
「当初は彼女を捕獲するつもりでしたが…警官と一戦行うほどです
我々の欲する異能者としては余りにも精神が幼すぎる。…と貴方に話しても仕方ないですね」
はっきりと、だが全く感情が伝わってこないサラリーマンの声が囁くように俺の耳に入る
彼女ってのは…やっぱ神野さんの事か…このロリ…コン…
じゃねえか…何の目的だか知らないがたかが女の子一人の為にここまでするってのも滑稽だな、おい
あぁ…つーか寒いな。クーラーか? いや…あんまり出血多量だと身震いするというな
寒いなぁ…クソッ、岩城みたいな化け物には抵抗できたのに何でこんな情けない所で…
…てかハサミ刺さったままだと雑菌とか入りそうだし抜いた方がよくね? そうだな…ハサミ刺さったまま死ぬとか情けなさ過ぎるだろ
ぼんやりとした頭で右手をハサミに持っていき、歯を食いしばりながら抜いた。痛い所か気絶しそうだがどうにか留まる
…誰かがこっちに向かって走ってくる。鈍った目でじっと見てみるがやっぱ判別できない
神野さん? な訳無いか…本格的に頭がバグってきたかもしれない。幻想見ながら死ぬなんて…
……死ぬほど痛いはずなのに意外と持つもんだな。あるいはもうあっち側かもな
にしてはやけに腹部が生暖かいし痛いのを通り越して感覚が無くなって来たし…てかサラリーマン、もうガキとヤンママ黙らせてくれ
何が起こったか、一瞬俺は理解できなかった。俺を刺したおばさんが、奇声を上げるとドサっとその場に倒れたのだ
そしてオバサンの頭頂部に転がる、木製のハンガー。コレは当たったら痛い。殴られても投げられても
誰だよ、こんなの投げたの。何故だか分からないが俺は無性に可笑しくなった。だが笑うと腹部から血が出そうなのであくまで頭だけで笑う
アレほどの狂気を見せ付けたおばさんも所詮、只の人間だったらしく涎を垂らし仰向けで延びている
「まさかの援軍ですか・・・困りましたね。貴方のお仲間ですか?」
サラリーマンがさっきから全く変わらないトーンで俺に質問してきた
こうしてると全然大丈夫なようだが全く大丈夫じゃない。思考を止めていると痛みで失神しそうなので必死に余計な事を考えているだけだ
「…しらねーよ。だが良い人にはかわらね・・・え」
正直な答えだ。汗が滝のよう出てるせいで視界が曇ってきてる上、頭がボーとするので今の俺には床しか見えてない
そういや神野さんは逃げたのだろうか。オバサンにハンガーを当てたその人が逃がしてくれたとか?
・・・幾らなんでも上手く行き過ぎか。駄目だ、頭が重い。もう駄目・・・だ
途端、俺の視界は真っ暗になった。だが聴覚だけは微かに生きている。ふと、前方から慌しく誰かが駆けてくる音が聞こえる
・・・多分この足音は・・・ハンガー投げた人だろうか? 無謀だ…このサラリーマンに立ち向かうなんてどう考えても死亡フラグだ
「おや・・・私とした事が油断していました。まぁ良いでしょう
所詮今の彼女は異能力を持っていても一般人です。少しでも調べ上げれば・・・まぁみなまで言いませんが」
ド外道とはコイツの事を表す言葉だと俺は思う。視界が回復しないのが本気で悔しい
ならせめて・・・俺は持てるべき意識を全てこの状況下の分析に集中させた。その程度しか出来ないなら、その程度の事を全力でやろう
まず・・・一番奥底で引っかかってる事は、コイツの超能力に嵌った奴らの・・・状態だ
俺のイメージだと、催眠状態に掛かった人間ってのはだいたい目が死んでるもんだ。何たって意識が他人に乗っ取られてるからな
だが・・・あのヤンママもそのガキも、そしてオバサンとオタ男も催眠状態と言うにはどこか不自然だ。まるで自分のやりたいように動いてる――
そうだ、どいつもこいつも感情が振りきれてるんだ。ブレーキがぶっ壊れたみたいに。オバサンとオタ男は怒り、ガキは悲しみ、ヤンママは…なんだ?
日常生活に対する鬱憤か? 一番考えられるな・・・あくまでここまでは仮定の話だ。単純にコイツが催眠術師なら全て空論になる
足りない・・・コイツのからくりを暴く為の一手が足りない・・・
ふと、耳元に妙な気配を感じる。微かだがぞくりと、首筋をぬめる様な不快感
「このままでは警察を呼ばれてしまいますね・・・申し訳ありませんが、貴方に罪を被ってもらいましょう」
そう言いながらサラリーマンが、俺の耳元で指を鳴らした。瞬間、閉じていたはずの視界が開く
蛍光灯の光が眩しく思わず目を細める・・・いててて! あえて忘れてたのにどうしてまた痛みを思い出させるかな!
気づけば何時の間に拾ったか、俺の手には先端が血まみれのハサミが握られて…いや、違う、握らされたのか?
くっ、何だ、俺の体が、俺じゃない誰かに――思考が、止まる
・・・はぁ・・・はぁ・・・ははっ、そうか・・・そうだったんだな
俺が・・・俺が悪いのか・・・そうだな・・・俺があの青年に苦しみを理解できなかったからこんな最悪な事態に陥ったんだ
俺があのオバサンを止めていれば、店員さんが死ぬ事も無かったんだ。常識人を装って、俺は逃げたんだ。厄介事から
ならどうすれば良い? 警察に出頭? あの青年と店員さんに――そうだ、そうだよ
俺が死ねばいいんだ。嬉しい事に俺の手には今凶器がある。縫製用のハサミだから偉く尖ってやがる。喉でも突けば一発であの世行きだ
俺はぼんやりとしながらも、しっかりと持っているハサミを喉に突きつけた
このまま――死ね…るか? 俺は・・・うぅ! どうしてだ、どうして・・・このまま死ねば俺はあの二人に謝罪できるのに
何でだ、何で拒否を――死にたく、ない
頭の中をよぎる、どこかで見た風景。屋上、青空、タバコの煙
馬鹿笑いをするあいつと――微笑みながら俺達に接してくれる――
先――
「――ハンガーだ」
無意識――いや、無意識とは言わないか。だが俺の頭が理解するより先に、俺の口がそう言った
ハサミは俺の喉に向かって突きつけられているが、俺の体は俺の意識下に――戻ったのか?
「ハンガーを投げろ! 早く」
そう、目の前の誰かに叫びながら、俺の頭は回転しだす。そして、一つの結論を見出す
分かったぜ、サラリーマン。お前のカラクリがな
【現在地:服屋】
【異能者の異能力に体を乗っ取られる(意識は戻っている)葦川に異能者を攻撃するよう促す】
目的地はどうやら最上階のようで、エレベーターは上昇を続けている
業務用なのかスペースは広い。もっとも、現在は狭いとしか感じられないが
狭いと感じる理由は簡単で、私達は黒服に囲まれているのだ。それだけではなく、その隙のない立ち振る舞いも、息苦しさを生んでいる
私達を囲む黒服達とは別に、もう一つのグループがある。幹部を二人も呼び出すほどだ、あるいは他の幹部なのかもしれない。そう思って見てみると、そこには、
「―――――あの、少女」
煌神リン。私とロンバルディーニが確保できなかったはずの彼女が、そこにいた
となると、あの時ロンバルディーニが言っていた後任が成功したということだろう
してみると、彼女の隣に立っている彼がそうなのか?
「……いや、別に気にする必要はなかったわね。
確保に成功したというのなら、その結果だけ分かっていれ十分か」
それに、あの男にはそそるものがない。食欲も興味も感じない
ならば関わろうとする必要はない。自分から関わる気にはならない
―――――――――チーン
考えている間に、エレベーターは目的地に到着していた
エレベーターを降り、通路を進むと、豪華な扉があった
「随分と普通な会社なんですね、ここは」
社長室としてはやや過剰だが、これほど大きな会社なら、このぐらいは当然だろう。いや、あるいは……
考える暇もなく、扉は開かれた。どうやらここが社長室らしい
部屋の内部は毛皮や絵画で彩られていた。奥には皮製のイスに座り、こちらを見ている男がいる
――――――やはり、特徴がない。基本に忠実な配置だ
「――――まあ、社長室なんてそういうものですが。
……しかし、徹底していますね。部屋の内装から読み取れるものがありません」
やはり、これから話す内容から読み取るしかない、か
【アルト:社長室】
コテ付け忘れ。すいません
>>211 ハンガーは綺麗におばさんの頭部へ命中。そのまま異能を発動させて気絶させる。
またしても恋島君は結構な怪我を負っているけど、まあすぐに死ぬってことは無いだろう。
さっさと犯人らしきスーツの男を気絶させて、衣服の代金を払ってしまいたいところだ。
だが、事態は急変する。
「……っ!」
スーツの男に何かをささやかれた恋島の様子がおかしい。
はさみを自らの喉元に突きつけ、自殺を図ろうとしている。
奴の異能は不特定多数の人間にかけるものではないのか?混乱させるだけの能力ではないの?
もしかしたら、店内の人間を自在に操れるだけの異能力を──
いや、奴が恋島に乗り移って──
不測の事態に様々な憶測が飛び交い、思わず足が止まる。
自分も操られる可能性を考えるとあまり近づきたくは無いが、
放って置くと恋島が死ぬ。それはちょっと目覚めが悪い。
手に届く範囲にあったハンガーを数本握り締め、五メートルほどまで距離を詰める。
>「ハンガーを投げろ! 早く」
正気を取り戻しきってはいないようだが、紛い無く恋島の声。
──だが、信じていいのか。
本当に本体はスーツの男なのか?
今の言葉は本当に恋島の意志か?
「ああ!もう!」
時間の浪費が一番の悪手!
急いて出した結論は──
「二人とも眠ってなさい!」
恋島、スーツの男両名への攻撃。
走っていない分だけ、さっきよりも狙いが性格だ。
しかも結構威力があるし、異能も使うから結構苦痛だと思うけど
許してね恋島君。
君が不運だったってことで。
【葦川:恋島、スーツの男両名にハンガー投げ】
>>209 >「駄目だ」
即答だ。「白衣のおじさん」は
>「ああ、いや。どうも犯罪臭い雰囲気がするからな。
俺としては、嬢ちゃんみたいな子供を、そんな場所に放り込むのは許可できねぇんだ。
まあ、こういう事は大人と警察に任せて、嬢ちゃんは安全な場所に避難しといてくれ。
大丈夫、心配すんな。嬢ちゃんの知り合いも、中の奴も、全員助けるから。全部、なんとかするから」と言葉を付け足してくれた。
しかし何の慰めにもならない。だけどその言葉が私を冷静にさせた。
まず商店街から人を遠ざけることに決めた。
「白衣のおじさん」は…
なぜかシュートの態勢。そしてシュート。その小石の軌道の先には…警報ボタン
大きなサイレンが鳴り響いた。商店街の人がざわめく。
「こっちへ逃げてー!!」
と大きな声で呼びかける。声を「拡散」しているので拡声器のように大きな声に変わる。
「白衣のおじさん」から「駄目だ」といわれたが。私は私の信じたことをやりたかった。
大体の人が避難し終わったときに唯能高校の制服をきた男子とローブ一枚しか着てない女の子という変な組み合わせの二人に会った。
とりあえず非難をしろと言いたいが、相手は同じ年頃の男子だ。
しかし緊張してる場合じゃない。
「あの…ここから先は行っちゃだめですよ…」
これが今の私の限界のしゃべりだった。
【現在地 商店街】
【廻間 統時に避難を呼びかける】
>>215 街中へと移動した俺達は、とりあえず手当たり次第に服屋へと向かうことにした。
しかし、残金が多少心許ない。それ故コンビニで数万単位の金を引き出し、それを財布へ入れた。
ルナが服を引っ張りながら「早く早く」と急かす。すぐ終わるのだから待て。
引き出しが終わり、コンビニから出ると警報機が鳴り響いており何やら大きな騒ぎが起きていた。
「何が起きてるのかしら?」
「俺が知ってると思うか?俺達は今ここに到着したばかりだ。
ここまで来るのに、友人とも会ってなければ携帯電話に連絡もない。
状況を見ればこの騒ぎは今発生したようだ。
つまり、俺達はこの騒ぎの真相を知る術はなかった」
「何よぅ、そんな回りくどい事言ってないで
知らないなら知らないっていいなさいよ」
「ふん」
鼻を鳴らし、とりあえず話を中断する。先ずは状況を判断しなければ。
警報機が鳴り響いているという事は、火事でも起きているのか?
しかし煙は立ち上っていない。火事特有の黒煙から起きる、煙たさもない。
ガキの悪戯か?しかし、ガキの悪戯ならここまでの大騒ぎにはなるまい……
と、くれば……凶悪な刑事事件の発生したというのが妥当だろうか。
ここまで色々と考えたが、所詮は推測。確証などどこにもありはしない。
確証無き推測など、何の頼りにもならん。ならばどうするか?
決まっている。確証を得るため、真実を見極めるために……ただ目の前に向かって歩み行くのみ。
「行くぞ」
「ふぇ?」
「この事件の審議を見極めるために、先へと進むぞ」
呆けているルナをその場に置いていき、足早に進む。
もし、何らかの事件に巻き込まれても懐に紅い月を呑んでいる。
多少の争いごとに巻き込まれようとも、敵を斬り殺すことは可能だ。
ルナも多少戸惑いながらも後をついて来た。
>「あの…ここから先は行っちゃだめですよ…」
しかし、目の前に一人の少女が立ちふさがる事でその行動は中断された。
年からして、恐らく俺と同年台だ。まぁ、どうでもいいことなのだが。
「……ふむ、どうしてだ?
火事でも起きているのか?お前の悪戯か?それとも刑事事件?
俺はこの事件の真実を見極めなければならん。
そこに異能者が関わっているなら、なおさらだ。
一般人を俺達のような人外の争いに巻き込むわけにはいかないからな」
【廻間:神野に詳しい説明を求める】
>>214 「ほぉ、驚きました。・・・いやホントに」
表情は伺えないが、サラリーマンが淡々と意識を取り戻した俺に驚嘆(だと思いたい)の台詞を吐いた
こいつのお陰かは知らんが、視界がクリアになった。だが体が俺の意識に対応できていないのか、両手でハサミを突き立てたまま動けない
下手したら何かの拍子でぶっさり行ってしまうかも知れない。そう思うとたらりと冷や汗を掻く
「しかし、意識が戻ったからと言ってどうします?
ハンガー・・・と言っておりましたが、それでどう私に対抗するおつもりで?」
サラリーマンに言われて、おもわず自らの発言にハッとする。そうだ、何で俺はハンガーと叫んだんだ?
目の前の救世主・・・と言えばいいのだろうか。その人がハンガーを投げたからだろう。途端に意識がぼんやりしてきたせいで、目の前の景色が滲む
全体像が描けないが、両手にブーメランの如くハンガーを握っている。良かった、俺の願いが通じたようだ
「見た所、貴方のお仲間は女性のようですが・・・正直期待できませんね
異能者ならば話は別ですが・・・全く、貴方といい、彼女といい、それほど死にたいのですか?」
・・・サラリーマンがなにかバカにしているが、俺の気になった点は一つ。目の前の救世主が女性だと言う事だ
神野さんかと思ったが、一見する…と言うよりぼんやり浮かぶ姿からするに、結構背が高い。それにジーンズを履いている事からして・・・
まぁ良い・・・神野さんじゃない事だけでも分かれば。にしても救世主というより女神様、俺の馬鹿な喧嘩に巻き込ませてすまない
ってまずいまずい、またコイツの呪術に嵌る所だった。とにかく俺の仮説はコイツ自身のお陰で真実となった
コイツの超能力は・・・人の負の感情・・・と言うのか? そうゆう厄介な物を引きずり出してくすぐる能力だ。ホント、悪趣味だぜ
今は無きオバサンと、どこかに消えたオタ男は怒り、ヤンママの子供は哀しみ、ヤンママは――そうか
無関心だ。人は厄介事に関わりたくないとこいつは言っていたが、まさしく…と考えてみて鬱になった。ヤンママにとって実子は何なんだ・・・?
いや、今はそんな社会派気取りになっている暇は無い。腹痛いしな
「先ほどから何かに気づいておられていますが、無駄ですよ。身動きは取れませんからね
もっとも・・・意識と肉体が同調するほどの外的ショックを与えられれば・・・まぁあくまで希望的観測ですが」
・・・いちいちぐちゃぐちゃうるせーなぁサラリーマン。だが悔しい事にその通りだ。あくまで意識が戻っているだけで、体は金縛りのままだ
今の寝ぼけた体をたたき起こしてくれるショック・・・考えてみただけで失神しそうだが、それぐらいしないと起きてくれなそうだ
目の前の女神様がどう行動するかで全てが決まりそうだが・・・正直期待できない
もう俺の事は良いから、早く逃げてくれ・・・と言おうとしたが、上手い具合にまた声が出なくなった。つくづく駄目だな、俺は
一回でも良いからカッコよく振舞ってみたかったな。岩城の時にしろ、立方体の時にしろ、誰かに助けられてばかりじゃないか
何なんだろうなー、俺。やっぱここで死んだほうが世の中の為
>「二人とも眠ってなさい!」
突然、女神様が俺の弱気になっていた思考を叱咤するように叫んだ。サラリーマンがあっと短く声を発する
何だ? と意識を真正面に向けた瞬間
激しい痛みが脳みそを駆け巡り、俺の痛覚を有頂天にした・・・いや、つーか・・・
い、いてぇぇぇぇぇぇ! 何だ!? なんか鉄パイプで殴られ・・・う、うあぁ! いてぇ! いてぇぇぇぇぇ!
あまりのいたさにおれは辛抱溜まらず両手の力を抜いた
ん? ハサミ・・・? が右太ももに刺さ・・・
あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁ!! や、やべぇぇぇぇぇぇ! あぁ、つーか頭もいてえぇぇぇぇ!
も、もう駄目だ! 俺は無我夢中で右太ももにぶっ刺さったハサミを全力で抜いた。どくどく血が! 血が出てるよ!
「ふん、何のつもりですか? ハンガーをブーメランの様に投げるなんて…子供でもこんな事しませんよ」
瞬間、飛び込んでくるサラリーマン野郎の声。・・・てめぇは・・・てめぇは・・・
脳内を何か言い知れないモノが駆け巡る。コレが何かはいえないが多分コレは…
気づけば俺はサラリーマンの真正面に立っていた。そして――
「ハンガーを・・・侮るなぁ!!」
鈍く生々しく、そして何かが折れた音が、俺の指で鳴った。サラリーマンの顔が歪んでいる
あ、俺コイツの事、本気でぶん殴ってるんだ。サラリーマンが床に膝を着く瞬間に、俺の右手をほとばしる骨折感。だがさっきのコンボに比べりゃマシだ
興奮したせいか腹の痛みも右太ももの痛みも、今の右手の痛みも感じなくなってきた。やばくないか、コレ
多分アドレナリンやら脳内物質とかのせいだろう。それならもっと早く分泌されて欲しかったがな
俺は自分がボロボロだが立ち上がってる事を確認し、サラリーマンに注意を向けながらゆっくり後ずさった
どうして立っていられるのか自分でも不思議だが、気力の問題だとでも思っておこう
後ろは振り向かないが、女神様を守るようにサラリーマンの延長線上に立ちはばかる。意外に痛かったのか、サラリーマンが膝を付いて頬を撫でている
「て・・・てめぇの超能力が何か・・・分かったぜ。お前は…人の嫌な部分をむりやりほじくり出して悪化させる・・・
そうゆう最低な能力だ! それで・・・ええっと・・・」
啖呵を切ったはいいが、具体的にどう言えば考えてなかった。後ろからため息が聞こえた気がする
だが言いたかった事が言えただけで満足だ。もう死んでも・・・は洒落にはならないか
っと、口元を右手で拭ったサラリーマンが仏頂面のまま立ち上がると、俺、いや、俺達に向き直った
「・・・私の精神攻撃を外的ショックで本当に仰け反られるとは思いもしませんでしたよ。それに後ろの貴女・・・
彼にハンガーを当てたのは、自棄になった訳ではなかったのですね。いやはや、想定外もここまで来ると奇跡に感じます」
まったく表情・・・と思いかけて、俺はサラリーマンの顔を見て素で驚く。あの病院前での一悶着、神野さんが警官とドンパチしてた時
神野さんに食って掛かっていた・・・白木だっけ、を押さえていた警官とまったく同じ顔なのだ。・・・というか同一人物か
何時頃からかは知らんが、こいつは俺と神野さんが服屋に入るまでずっと俺たちをつけていたって事か・・・コイツ・・・もう何も言えねぇ
「ですが・・・その奇跡ももう打ち止めです。何故なら・・・」
サラリーマン風の変態が、キッと俺達を睨んできた。・・・万事休す感がプンプンするんだが
【現在地:服屋】
【葦川のハンガー投げで意識と肉体が完全に戻る。ただし右手を捻挫。傷は未だに治らず】
エレベーターが最上階で止まったようだった。
息苦しいエレベーターから抜け出せるとわかってすこしほっと溜息をつく
しかしすぐに気を引き締める事になる
先ほど前を歩いていた一団…
その中心に昨日自分を襲ったばかりの人がいたからだ。
さらにもう一人、戦場ヶ原を助けたとき戦った小村もいっしょだった。
戦場ヶ原の事を思う出しすこし胸が痛んだが兄に手を引かれてつれてかれる。
暫く兄につれられ歩くと豪華な扉がありすぐにそこにはいった。
内装は一般の会社と変わらなかったが、社長のイスに座っている者が悪かった。
自分の能力を封印した張本人、城栄金剛その人だった。
自分の体が震えるのがよくわかる、無理もないあれほどの実力差を見せ付けられたのだ。
自然と手が汗ばむ、兄に気づかれたかもしれない。
何とか落ち着こうと私は金剛の事を見た。
【現在地:社長室】
>>199 彼ら二人の横を通り過ぎようとした、その時だった。
>「池上…といったかな。少し話があるのだが…」
あの神重とかいう眼鏡青年の声が、俺の耳に飛び込んできたのだ。
彼が俺を制止させたのは、何やら話すことがあってのことらしい。
俺はピタリと足を止めたが、振り向くことはせぬままに背後の二人に向かって返事をした。
「話……? 断っておくが、俺からお前らに話すようなことはなにもない。
情報の交換が目的なら他を当たった方がいい」
言い終えて、俺は止めていた足を前に一歩踏み出し再び歩き出そうとするが、
直ぐにまた足を止めてこう付け加えた。
「だがもし……それが目的でないのなら、とりあえずその話とやらは聞いておくことにしよう」
くるりと後ろに体の向きを変え、俺はこれまで背後に居た二人に顔を向けた。
言葉の内容や二人の雰囲気からの表面的な部分からは、俺に対する殺意的なものは感じられない。
初めから戦闘が目的であるなら、例えその意思を隠そうとしてもそこにぎこちなさが表れるものだ。
まぁ、少なくとも俺に話をすることが目的であるということは、間違いはないだろう。
もっとも……それもこれからの会話次第では、どう変わるか分からないのも確かだが。
【池上 燐介:立ち止まり、話を聞くことにする】
>>215 >「……ふむ、どうしてだ?
火事でも起きているのか?お前の悪戯か?それとも刑事事件?
俺はこの事件の真実を見極めなければならん。
そこに異能者が関わっているなら、なおさらだ。
一般人を俺達のような人外の争いに巻き込むわけにはいかないからな」
と唯能高校の制服をきた男子は言った。
一般人?またただの女の子扱いか?だんだん腹が立ってきた。
今日はそればっかりだ。深くため息をつき
とりあえず男子にこれまで起こったことを説明した。
説明し終わった後に、男子と女の子は、顔を見合せ店のほうに歩きだした。
「どこ行くの?」と聞いた。
「事情はわかった。一般人はそこにいろ」
「一般人?へえ〜、貴方の周りにはこんな事できる人が一般人なの?」
と言って地面に手を置き一気に「拡散」した。
大きな音とともにその場に大きな穴があき私は男子を見ながら
「私は一般人なんかじゃない。子供じゃない。私を連れて行ってっ!!」
と言った。
>>214,,218
予測通り、蹴り飛ばした石は警報機を作動させ、人々はかなりの混乱を始めた。
本当は発炎筒でもあれば即座に誘導できたのだろうが、無いもの強請りをしても仕方が無い。
とりあえず、ソレらしい事件をでっち上げて商店街から出るよう誘導しようと俺が思った矢先、
>「こっちへ逃げてー!!」
少女が大声で誘導を始めた。先の様子では、まともな作業は出来ないだろうと
思っていたのだが、どうもそれは俺の過小評価だったらしい。
「危ないぞ!逃げろ――ッ!!」
俺は、店と店の隙間、人々の死角に一旦入り込むとそう叫んだ。
そして少女が誘導をしているのを見てから、再び石を拾い
――――上空のアーケードに、思い切り投げつけた。
割れる天井。降り注ぐ無数の破片。そして、今度こそ上がる本当の悲鳴。
火災警報器と数人の人の危険を知らせる叫びは、大勢の人間の不安を完成させるには十分だった。
(ったく、不安を煽る方法なんて得意でも自慢にならねぇんだがな)
恐怖に煽られ流れていく人の波を見て、俺は胸にモヤモヤした物を感じながら、
騒乱の元凶。近くに一般人の居なくなった服屋へと急いで足を向ける。
事は、一刻を争う。
「遅れてすまん!無事か!?」
勢い良くドアを開いて放った後、俺は店内を見回す。
その店内には倒れた数人の……おそらくは、一般人。
その内一人は、もはや絶命しているのが解る。
(……くそっ! 葦川は……無事みたいだな)
意識があるのは葦川とサラリーマン風の男、そして
(何で恋島がここにいやがんだよ!)
傷を負った恋島だった
【国崎:店前→店内 状況確認中】
>>198 統時と別れてから私は商店街に向かい、携帯電話を買った。
電話とメールさえできれば何の問題もなかったので出来るだけ安い機種を選んだ。
「最近は携帯電話も色々あるのですね、ワンセグとかよく解りません」
「俺も携帯なんて使ったことないからな、無線なら使ったことあるが」
今の携帯電話はボタンがたくさんあり理解するのに苦労したが、メールの仕方と電話の仕方は理解できた。
「よし、早速統時にメールを送ってみよう」
さっき貰ったアドレスを入力し、題名に「私だ」とだけ打ち、本文に電話番号を打つと送信ボタンを押した。
これで届くはずなのだが、本当にこんなことをするだけで届くのだろうか、とどうでもいいことを考えているときだった。
鳴り響く警報、逃げ回る人々、また異能者か?
騒ぎの中心地に向かおうとしたが、今はまともに戦えそうにないので、ここは退いておく事にする。
たとえ『機関』の関係者の仕業だとしても負けてしまったら元も子もない。
ただの火事の可能性も十二分にあるのでそこまで神経質にならなくてもいいだろう。
私は桐北の様子が気になったので病院に向かってみる、もしかすると騒ぎはもう収まっているかもしれない。
そして歩いていると目の前に名前は忘れたが以前池上宅で見た着物を着た男がいた。
血の気が多そうなので、絡まれると厄介だと思い顔を伏せて足早に抜き去る。
そういえばこの男は一人の、たしかリンとか言う名前の少女と共に出て行ったはずだがどうしたのだろうか?
「この前レオーネに襲われたとき、レオーネはそいつを狙ってたみたいだからもしかしたらさらわれたのかもな。」
私の考えを読み師匠が応える。
『機関』なら普通にありえる話だ、何が何でも計画した事を実行する『機関』の事だ。
一度の失敗くらいであきらめるとも思えない。
あの時、一緒に行動しておけばよかったかもしれない、しかし今更後悔しても遅い。
あの少女がどんなに重要な役割を占めていたとしても『機関』にさらわれたらまず取り返せないだろう。
などと根拠のない推測をしながら私は帽子を深くかぶりなおした。
【籐堂院瑞穂:戦場ヶ原とすれ違う】
>>221 「成る程な……理解した」
少女の説明に俺はそう呟く。
俺は情報を整理するために腕を組み、顎の下に手を当て思考の体勢に入る。
(連れの男が襲われたため、近くにいた女に助けを求めた。
その女に助けを求めたら、その女の連れの白衣の男に言伝を頼まれた。
白衣の男に状況を伝えたら、そいつが警報機を鳴らす。
そして、この少女が人を誘導し人々を遠ざけたという事か。
どうやら油を売っている場合ではないようだな)
すでに人気が無くなった商店街。そんな商店街を見渡し、騒ぎの現場を探す。
(あそこか)
視線の先に存在する一角の衣服屋。あの場所だけ物々しい雰囲気を発していた。
常人でも分かるほどの異様な雰囲気だ。あの衣服屋が騒動の発端であるのは明らかである。
急いで向かわなければな。恐らく、能力を発動せずに白兵戦を行えるのは俺ぐらいだろう。
幸いそんなに距離はない。全速力でなくともすぐに着くだろう。
俺はルナの顔を見る。ルナは全てを理解したかのように無言で頷いた。
いわゆるアイコンタクトというヤツだ。
俺達二人は衣服屋に歩く。途中、少女が俺に問いかけた。
>「どこ行くの?」
「事情は理解した。お前はそこにいろ」
俺は特に何の感情も込めずに答えた。
すると、少女はどこか拗ねたような言葉を吐き、跪くような格好で地面に手を当てた。
「むぅ!」
俺は即座にその場から飛び退く。地面を見ると大きな穴が開いていた。
恐らくこの少女がやったのだろう……つまり、この少女も能力者という事か。
『地面に穴を開ける』か……空間操作か地殻操作のどちらかだな。
この少女、見掛けに似合わぬ力を持っている。
>「私は一般人なんかじゃない。子供じゃない。私を連れて行ってっ!!」
少女から発せられる心底からの叫び。
それほどまでに連れの男を救いたいという事か、この思いを妨げるわけにもいくまい。
軽く頭を下げながら、俺は少女の叫びに答えた。
「お前も能力者か……見くびってすまなかった」
服についた塵を払い、俺は少女に向き直る。
「お前の願いは分かった、俺について来い。
恐らく俺が場数を踏んでいるだろうから、俺が先に突入する。
それと、俺の名前は統時。廻間統時だ。この連れの女はルナ。
お前の名前は?」
共に戦うであろうこの少女に、俺は名前を聞いた。
名前も知らない相手に背中を預けるなんて、嫌だからな。
【廻間:名前を聞く。聞いたら、神野と共に服屋に突入するつもり】
>>222 はぁ・・・クソッ・・・意識が本格的に薄れてきた・・・
やっぱ傷をそのままにするのは不味かったかな。さっきから汗が止まらない。痛・・・みも・・・
だがここで倒れるわけにもいかない。せめて後ろの女神様をこの異常事態から救わなければ俺も死に切れない
かっ・・・何で・・・片膝着いてんだ、俺。予想以上に足のダメージがキツイみたいだ。痛覚がぶっ壊れてるせいか痛みは無いが
サラリーマンがどんなトンデモを繰り出してくるかは分からないが、ぶっちゃけ太刀打ちできるほどの元気はもう無い
どうにか両足だけでも動けば良いのだが、情けないがな自分自身の手で傷を作っちまうとはな
・・・あ〜頭の中がぼんやりしてきた。こいつの精神攻撃を跳ね返してつもりだったんだがな。肉体的には何も変わらないか
体の力が抜けていく。血・・・流しすぎたかな。あぁ、ホント・・・なぁ
その時だ、聞き覚えのある包容力?のある凛とした声が店内に響いた
>「遅れてすまん!無事か!?」
この声は・・・誰だっけ? でも確かに聞いた事がある。本格的に頭が回らない
けどあの台詞からして助けに来たとは分かる。男の人の声だ・・・って事は今度はマジに救世主・・・かな
てか・・・良い所に来すぎだろ〜・・・これで救助されちゃ・・・俺・・・立場ねぇ・・・
っと、救世主の登場を知ってか知らずか、俺達を睨んでいたサラリーマンがまた仏頂面に戻り微かに後ろを向くと
「・・・ふぅ、また想定外ですか。警官なら私の勝ちだったのですが・・・
どうやら今回は貴方達の方が一枚上手だったようですね。潔く退散しましょう」
ため息混じりにサラリーマンがそう言いながら両手で二回、手を鳴らした
瞬間、天上のタイル板の一枚がパコンと外れて、床に落ちた
それに続くように、何かが天上から落ちてくる。それと同時に、サラリーマンがサングラス?を掛けた
俺は落ちてきたそれを凝視する・・・しゅ、手榴弾!?
「正直、異能力は非常に疲れましてね・・・非常に荒々しい手ですが、仕方ありません」
先ほどの感情が篭った台詞から一転、抑揚の無い台詞でサラリーマンがそう言った
次の瞬間、手榴弾が眩い光を放ち、爆発した。・・・手榴弾じゃなくて閃光弾・・・か?
何故だか一瞬冷静になったが、意味無く俺の視界が真っ白に染まった。ちょ・・・あ、目が、目がー!
あ、駄目だ。俺はそのまま地面に突っ伏した。駄目だ、完全に体が言う事を聞かない
真っ白から真っ黒に視界が・・・ただ単に目が開けらないだけだが。何時から仕込んでやがったんだ・・・
サラリーマンが出口の自動ドアへと歩いていく音が聞こえる。ちくしょう・・・何も出来なかった・・・
ふとサラリーマンの足音が止まった。まさか止めを刺しに来るのか・・・
・・・もしそうなら幽霊にも妖怪にでも化けて呪い殺してやる。・・・その前に閻魔にお仕置きされそうだがな
「そうそう・・・戦利品という訳ではありませんが、私に一矢報いたご褒美です
私の名は曾壁。ナンバーは・・・まぁ良いでしょう。機会があればまたお会いしましょう。では」
「異能者諸君」
・・・ちょっと待て、曾壁。お前はっきりと異能者と・・・
それって・・・俺も含まれ・・・
曾壁の足音が次第に遠ざかり、自動ドアが開く音がした
そして俺の意識も、そこで途絶え
【現在地;服屋】
【異能者の名は曾壁と判明。曾壁の仕掛けた閃光弾の威力をモロに受け、失神】
>>206 >>212 >>219 「ご苦労だったなァ、お疲れさん」
重低音の声を部屋に響かせる。金剛の声は聞く者全てを威圧する。
ナガツカインテリジェンスの社員の中には、まるで蛇に睨まれた蛙のように立ち竦んでしまう者もいる程だ。
各々が金剛に対して思慮を巡らせている中、レオーネは一人彼にに歩み寄る。
彼の手が金剛の肩に触れると、彼の脳裏に昨晩レオーネに起こった事が断片的に浮かび上がってくる。
レオーネが今使ったのは『記憶共有(シェアリング)』と言い、彼がフェイズ2と呼称している発展・複合技の一つである。
対象者と記憶(情報)を共有する事で、円滑な状況判断を促せる。
正直、便利な技だが対象者に直接触れないと発動しないのがネックだ。
記憶の中には、確かに籐堂院 瑞穂の姿が在る。部屋で一緒に居るのは、金剛には因縁の深い山田権六その人だ。
―――山田の奴、誰とつるんでいると思ったら、籐堂院なんかとつるんでいやがったのか。
金剛は心の中で舌打ちをすると、レオーネを下がらせた。
「…。にしても、ライマースのお坊ちゃんもやる時はやるもんだなァ。
家の力だけで世襲幹部になった こ憎たらしいクソガキだとばかり思っていたが……。
口だけのどこかの連中とは大違いだ」
チラリと小村たちに目を移すと、レオーネが軽く口元を緩めた。
彼にしてみれば課程など如何でも良く、結果を出せればそれで良いのだ。
二転三転する任務であったが、これでようやくクリアと相成った。
金剛の計画も次のステップへと飛躍できる事は間違いないだろう。
勿論、そこにはリンの犠牲が在っての事だが。
手元のリモコンでブラインドを閉めると、蛍光灯に明かりが灯る。
社長室の蛍光灯は、室内の明るさを自動で判別し、必要なら点灯する仕組みになっていた。
「―――で、どうだ? 久方ぶりに兄やレオーネと再会した感想はよォ?」
リンを見据えて葉巻に火を点ける。自分で火を点けるなど久方ぶりだ。
葉巻の香ばしいナッツの香りが彼の鼻腔をくすぐった。
【金剛:現在地 社長室】
>>199 >>「この病院に今…普通に立ち入ることは恐らく不可能なはず
>>そこで…だ…俺の血の能力を使って"わざと"ケガをする」
一瞬宗方は固まる。
だが、すぐに神重の真意に気づく。
神重の血を宗方が被ればいいわけか、なるほど面白い。
>>「宗方にはケガをした俺の付き添いということで侵入も容易なはずだ
>>そこから別れて桐北を探すという手もあるが――
「了解した。頭に血を吹き付けるなりすればそれで十分な偽装になるな。その後は手分けして病院内を探索と言う線でいこう」
その時向こうから青年が一人、二人の近くを歩み去ろうとしていた。
─池上!
神重はすぐに池上を呼び止める。
「池上…といったかな。少し話があるのだが…」
「話……? 断っておくが、俺からお前らに話すようなことはなにもない。
情報の交換が目的なら他を当たった方がいい」
「だがもし……それが目的でないのなら、とりあえずその話とやらは聞いておくことにしよう」
池上は歩みを止め、二人に向き直る。
宗方は池上を刺激しないように身長に質問する。
「なに、情報交換と言うほどでもないさ
桐北くんをみなかったか?聞きたいことはそれだけだ」
【宗方零 神重の提案を受諾 池上に桐北の所在を聞く】
>>222>>225 >「て・・・てめぇの超能力が何か・・・分かったぜ。お前は…人の嫌な部分をむりやりほじくり出して悪化させる・・・
そうゆう最低な能力だ! それで・・・ええっと・・・」
>「遅れてすまん!無事か!?」
恋島は正気に戻り、敵の異能は大方解明され、国崎が店内に突入。
さらには警報機のおかげでまもなく警官が来る。
「褒めてくれても、あなたを逃がす気は無いわ」
手に持ったもう一本のハンガーをかかげながら様子を伺う。
直接の戦闘は国崎に任せるべきだ。
私は、とにかくこいつをけん制して──サングラス?
「・・・っ!」
ほとばしる閃光。
苦し紛れにハンガーを投げつけるが、果たして命中するかどうか。
「国崎っ!逃がすなっ!」
こいつは捨て台詞で確かに「異能者諸君」といった。
いくら挑発や罠であろうとしても、そのまま放って置くわけには行かない。
それに──国崎は昨晩のナガセとの戦いで何をした?
視界を塞がれて尚、ナガセの行動に対応した。
彼の言う肉体強化には、感覚の強化が含まれている可能性がある。
もしものために口を閉じ、息を止め、動きを止める。
(国崎……あんたがそいつを逃がしたら……)
手に溢れる汗。
運命の分け目を人任せにしかければならないのが非常に不愉快だ。
(私たちの『日常』は遠くなるわよ)
【葦川:服屋】
>>227 俺の返事を聞いて、次に言葉を口にしたのは宗方だった。
>「なに、情報交換と言うほどでもないさ
>桐北くんをみなかったか?聞きたいことはそれだけだ」
この市内にどれだけ『桐北』の苗字を持つ人間がいるのかは知らないが、
改めて考えるまでも無く、長塚邸で顔を合わせた面子の内の二人が捜し求めている『桐北』となれば、
十中八九同じく長塚低に居合わせた、先程偶然にも病院内で出会ったあの高校生を指すものである
ということは明白だ。
俺は一方的に何かしらの情報を得られると都合の良い展開を少しでも期待していたこともあって、
一瞬彼らの質問に素直に答えることを躊躇しないでもなかったが、向こうが持ちかけた話とはいえ
話を聞くと了承したのは他でもない自分であったことを考えると、「見ていない」と事実を隠す気には
ならなかった。
それに考えてみれば、確か宗方の名刺には探偵とあった。であれば、人を捜すことに関しては十八番のはず。
つまりこの病院に桐北が居ると何らかの確証を得たものだとすれば、
俺が変に隠し立てしたところでこちらにはメリットどころか、余計なデメリットを増やす結果を招かないとも限らない。
「あぁ……見たよ」
そういった打算も含めて、俺は宗方の質問に対しそう一言事実を述べた。
確証があるということを念頭に置いているとはいえ、敢えてどこで見たと付け加えなかったのは、
俺の器量の狭小さ故なのか、それとも「見たか」という質問にだけ答えたのか。
少なくとも、何に対しても損得で考えるような性格は、あまり褒められたものではないのは確かであろう。
言い終えて、俺は自嘲気味に鼻で笑みを零していた。
「さて……話は終わったな。用が済んだのなら、俺はこれで失礼させてもらう」
そう言い、再び彼ら二人に背を向けると、俺は歩き出した。
(随分と遠まわしになってしまったが、そろそろ乗り込むか……)
心でそう呟いた時、俺の目はこれから起こるであろう次なる闘いを見据えているようだった。
【池上 燐介:病院を離れる】
×長塚低
○長束邸
訂正
>>225,,228
腕で覆う事で、炸裂する閃光弾から視力を守り
更に開いた腕で急所を守りながら状況の理解に努める。
恐らく、現状の敵は敵はサラリーマン風の男。
怪我人は数名。絶命した人間を数から外せば、恋島が一番の重症。
能力で処置しておけば、致命傷までは至らないだろうが……
>「異能者諸君」
>「国崎っ!逃がすなっ!」
「判ってるっつ!!」
葦川への返事と同時に、ポケットから常備してあった丸薬を取り出し噛み砕く。
全身の血管を、おぞましい何かが異物感と共に巡る感覚。
思考が真っ赤に染まり、全身の細胞が一つ一つ急速にバケモノへ変質する対価として、
五感とそれ以上が鋭敏になっていくのを感じる。
即ち、異能のバケモノ『贄(ウロボロス)』への変貌。
異能の発動は人格にとって苦痛だが、今はその事を嘆いている場合じゃない。
男の言葉は俺の中の優先順位を入れ替えた。葦川も解っているのであろう。
異能者であるという正体を知られ、ばら撒かれるという事は、即ち日常の崩壊、
人間・国崎シロウの死亡を意味する。
未だ閃光弾の残光は残っているが、鋭敏化した聴覚が自動ドアの開閉音を捉える。
幸い、先の騒ぎで外に人は居ないだろう。警察が着くのにはもう少し時間がかかるはずだ。
それに異能者といっても精神感応系ならば、今の俺が逃がす筈が無い。
いつだって人間はバケモノから逃げられないのだから。
自動ドアを破砕して商店街に出る。走る影は一つ。
大丈夫だ。追いつける。一歩目で加速し、二歩目でトップスピードに至る。
抱くイメージは蛇。地面の上を滑るように移動するその速度は人外。
近景は面から線へ変化し……俺は、異能者の側方に並んだ。
「残念、此処はUターン禁止だ。テメェはここで終わってろ」
回し蹴り気味に相手の左脇腹に放ったのは爪襲。
持久力を奪い、後々まで響くレバーへの一撃――――
【国崎:店内→商店街 能力発動中】
>>231 数秒間の閃光が、凄惨な店内を眩く包む。曾壁は『機関』が専用に開発した防壁用サングラスを掛け、事態を眺める
自分を殴りつけたメガネの男は、閃光弾の威力をもろに喰らい気絶してしまったようだ
さきほど自分の頬をかすったハンガーは、おそらくメガネの男の知人と思われる細身の女性が投げた物だろう
>「褒めてくれても、あなたを逃がす気は無いわ」
先ほどの女性の台詞に曾壁は苦笑した。逃がさない、か
逆だよ、逃がしてあげてるんだ、こっちは。サングラスのズレを直して、曾壁は出口の自動ドアへ悠々と歩いてく
その時、後方から女性が搾り出すように叫ぶ声が聞こえた
>「国崎っ!逃がすなっ!」
国崎? 曾壁は女性の言った名に首をかしげ、すぐに理解した。白衣の男の名か
記憶の片隅でどこか聞き覚えのあるその名に一抹の不安を覚えながらも、視線を前に向ける
例の国崎なる男が両腕で目を塞いでいた。防ぎきれるかは疑問だが、すぐに行動できる限りただの一般人でも無さそうだ
「彼女の台詞を聞く限り・・・貴方も該当者のようですね。なら・・・」
人知れず曾壁はそう呟き、自動ドアを抜けると商店街を走り出した
メガネの男の一撃から分かるように、曾壁は異能力や精神力はともかく、肉体的能力は余り高いとは言えない
それ故にメガネの男や女性に対して直接攻撃を行わず姑息な手を使ったのはその事に対するコンプレックスもある
詳しく書くのは伏せるが、それ故に過去に受けてきた屈辱や無念感がより曾壁という男を支えてきた
何があったか分からないが、商店街は閑散としていた。地面で散らばる複数の大小あわさるガラス
頭上を見上げると何者かに割られたように天上のステンドガラスが大きな穴を開けていた
なるほど・・・頭上を見上げながら曾壁はこの有様が意図的に起こされたものだと考える
その首謀者が服屋での事件を知っており、他人に危害が加わぬ様に配慮した物だと
やるじゃないですか・・・国崎さん。ふっと曾壁の口元が微かに歪む
閃光弾に対する防御行為にしても、市民誘導の的確さにしても、ますます曾壁の中での国崎に対する興味が沸く
だが、曾壁はその興味の火を打ち消した。どうせチャンスならいくらでもある。住居さえ調べ上げれば
瞬間、凄ましい破壊音が鳴り曾壁は振り向く。見ると閉まっていた自動ドアがトラックにでも突っ込まれたかのように破壊され、火花を散っていた
「わぁ。驚きました。やはり貴方も・・・」
自動ドアに佇む――国崎。だがその姿は人間というより――
どこかゾクゾクする感覚に震えながら、曾壁は掛けていたサングラスを外した
「気兼ねなく能力を使えるチャンスをくれて・・・有難う」
デイドリームイミテーション
瞬間、曾壁は国崎の意識下に異能力である――『幻惑傀儡』を発動させた。まるで樹木の様に入り組んだ脳内幹部を巡り――
見つける。国崎を突き動かす衝動を。それは――平穏。危険も恐怖も無い、ありふれた日常を望んでいる
それ故に少しでも日常に不穏が混じると――必死に脱そうとする。そして今はその日常が破壊されようとしているのだ
その事に対する激怒――。曾壁はほくそ笑んだ。私が感情を引き出した時点で――貴方の負けですよ。国崎さん
ふと背後に気配を感じ、曾壁は目線を向ける。そこにはノロノロと走っている肥満体型の男がいた
どこに居たかは知らないが騒動から逃げられなかったのだろう。最高に都合が良い。何故なら――
アングリー
曾壁が国崎に仕掛けた異能力は『激怒』。対象者の怒りという感情を増幅させ、なおかつ冷静な判断を狂わせる能力
今の国崎には『走って逃げている人間』が曾壁だという認識がある。つまりだ――
曾壁の髪形が左方に乱れ、地面に削ったような深い溝が出来る。前方に向き直ると
>「残念、此処はUターン禁止だ。テメェはここで終わってろ」
化け物のようなオーラを纏った国崎が、走っていた肥満体型の腹部を抉っていた
肥満体型は声をあげる事も無く国崎の攻撃に吹っ飛ぶと、地面を転がった。地面にホースで水を撒いたように血が広がる
「あらあら・・・やっちゃいましたね。一般人を戦いに巻き込むなんて…貴方自身が平穏な日常を壊してどうするんです?」
自らの行いに呆然としている国崎に対し、曾壁は若干の哀れみを含みそう言った
と、何時から来たのか、黒塗りのリムジンが曾壁の側方に並び停車する。曾壁は自らの手で助手席を開けて乗り込んだ
ドアを閉める前、曾壁は国崎を一瞥し、言った
「機会があれば手合わせ願いますね。まぁ・・・会えればの話ですが」
完全にドアを閉める。未だに閑散とした商店街を、リムジンは走り出した
【NPC曾壁、国崎に異能力発動。『機関』のリムジンに乗り込み商店街から逃走する】
>>226 金剛が、何か喋っている・・・
私は息苦しくて何を言っているか何にもわからなかった。
問い掛けられて意識を取り戻す。
「・・・最悪です」
手が震えるとっさに答えてしまった。
確かに最悪だ・・・過去のトラウマともいえるレオーネとの再会は言わずがもだが
兄が機関の一員だったのが一番ショックだった。
「・・・・・・何のために私を連れてきたんですか・・・」
私は震える手を握りしめながら・・・何とか口を開いた。
答えは予想できている、十中八九【神】の事だろう。
兄はそのことを知らないと思う、金剛のねらいが【神】だとすると私も死ぬかもしれない。
覚悟を決めて金剛をにらみつけた。
【現在地:社長室】
>>224 >「お前も能力者か……見くびってすまなかった」
そんなことは聞いてない。問題は私を連れて行けるか否かだ。
>「お前の願いは分かった、俺について来い。
恐らく俺が場数を踏んでいるだろうから、俺が先に突入する。
それと、俺の名前は統時。廻間統時だ。この連れの女はルナ。
お前の名前は?」
と、男子「廻間統時」は聞いてきた。
「私の名前は神野沙羅。以後よろしく」
と握手を求めた。彼も握手をしてくれた。
戦いをほとんどしたことのない私にとって場数を踏んでいる統時がいることはありがたかった。私の「拡散」はサポートにまわりやすい能力だからだ。
しかし、統時の能力は何なのか?作戦はどうするのか?
でも一番気になったのは、なぜ私より幼そうなルナちゃんを戦いに参加させるのか?
「ルナちゃんを戦いに参加させるの?」
統時にそう聞いた。
【戦闘にルナを参加させるのか?その理由を知りたい】
【統時の作戦には従うつもり】
>>235 俺の自己紹介に答えるように『神野沙羅』と名乗った少女は手を差し出した。
どうやら握手を求めているようだ。関係を悪化させるわけにもいかないし、断る理由も無い。
俺も沙羅に手を差し伸べ、軽く握手を交わした。
>「ルナちゃんを戦いに参加させるの?」
握手を終えると、率直な質問が沙羅から飛んでくる。
……まぁ、無理もあるまい。俺はルナを能力者といったわけではないからな。
さて……どういったものか?神族といったところで信じるわけはないだろうな。
能力者というのは、名乗れば理解できる。数は少ないが確実に存在しているからだ。
しかし、神様と名乗ったところで信用するか?答えは否だ。
目の前の人間が「私は神だ」なんて言ったところで、信用する馬鹿はどこにもいない。
沙羅も同様だろう。ここは俺の相棒とさせてもらおうか。
「…コイツは俺の相棒だからな。場数の数なら俺以上に踏んでいる」
ルナを親指でクイッと指差し、俺は答える。
当の本人は何が何だか分かっていないようだが、後で話をあわせるように言っておけばいいだろう。
沙羅からは何の反論もなかった。怪訝な表情は見せたものの、俺の話を一応信用する事にしたらしい。
「さて、肝心の作戦だがな。敵の能力は分かるか?
白兵戦を行うような能力ならば、俺は一対一でも勝つ自信がある。
この場合は余計な作戦はいらん。ただ遮二無二に斬り込むのみ。
射撃を行う能力だった場合も同様だ。
ただし、もし精神を操作するような能力なら話は別だ。
相手の射程、能力の発動条件を知らなければ作戦の立てようが無い。
もし精神操作系なら俺が囮になる。その隙に離れた場所からルナかお前が能力の調査を行え。
まあどちらにしろ、俺が斬り込み隊長となるのは変わらんがな」
自分自身が立てた作戦を自嘲するように鼻で笑う。作戦など元より有って無いような物だからな。
気付けば両者が俺を見つめていた。片や急かす様に、片や心配するように。
「……っと、すまん。呆けている場合ではないな。いくぞ!」
>>233 俺達が衣服屋に突入しようとしたその時。太っている男とスーツを着た男が俺の視界内に入ってきた。
太った男は息を切らしながら、ノロノロと商店街の奥から走ってきた。恐らくあの騒ぎから逃げ切れなかったのだろう。
スーツの男は何かから逃げるようしながら店の中から出てきた。
しかし、逃げているような素振りを見せているわりには笑っているな……何故だ?
まあどうでもいい。俺はこの場から離れるよう警告するだけだ。
「おい、貴様ら!!命が惜しくば、今はこの場に近づくな!早くこの場から逃げ……」
俺の警告が終わるその瞬間。
店から出てきた何らかが、風のような速さで太っている男の脇腹を抉った。
男は血と肉片を撒き散らしながら、塵のようにコンクリートの地面を跳ね回る。
スーツの男は何所からか現れたリムジンに素早く乗り込み、依然笑いながらその場を去った。
俺がこの現実を確認するには数秒の時間がかかった。
「……何を……何をしているんだ、貴様はァァァァァァァァ!!」
気付いたら俺は叫んでいた。
感情が高ぶる。紅い月が変貌を遂げる。
刀身が伸び、炎が渦巻く。力が溢れてくる。
そして、店から出てきた……人の形をした化け物に切りかかろうとした。
だが、ルナがそれをさせなかった。強烈な平手打ちをし、俺の意識の向きを変えさせた。
「何をする!」
「落ち着きなさい、統時!
あのリムジンに乗った男と、店から出てきた生物の顔を見比べてみなさい!
リムジンに乗った男は笑みを浮かべている!一方であの生物は呆然としている!
普通こういう状況で正常な車に乗った人間は逃げ切れた事に安堵し、ため息をつくものよ!
あんなニヤニヤとした屈折した笑いを浮かべたりしないわ!
しかもあの一般人がやられたのを見ると、より一層口元を歪ませたのよ!どう考えてもおかしいわ!!
という事は、あの男はただの人間じゃない!異能力者なのは火を見るより明らかよ!
そして、あの生物が呆けている事から、幻覚をみせられたか操られたのどちらか!そして、あの一般人を盾に使ったって所ね!!」
「……なんだと?」
ルナの推理を確かめるため、人型の生物の表情を見る。
見れば、確かにどことなく呆然としている。心ここに在らずといったところか。
次の俺はスーツの男の表情を思い出した……確かに終始にやついていたな。
(……ルナの推理は当たっているかもしれんな)
そう思った瞬間、紅い月が短刀の姿へと戻る。
俺は構えた紅い月を降ろし、人型の生物へと問いかけた。
「おい!貴様、何者だ!それ以前に、喋れるのか!?」
【廻間:『贄(ウロボロス)』となった国崎へ正体を問う。
正体が国崎だとは微塵も思っていない】
>>233,,237
爪先が肉にめり込み、訪れるのは肉と骨を砕く感触。
だが、その際にある違和感があった。それは数多の肉を砕いたからこそ判る感覚。
感触は告げる。先程の男を蹴り飛ばして、この様な感触になる筈が無いと。
「――――!?」
気付いた時にはもう遅かった。
目の前を舞っていくのは、先の男などでは無い。赤にまみれた『一般人』。
そして俺の身体には同じ赤い液体……血?
(……俺が、ヤったのか?)
思考が白に染まっり、立ち尽くす。沸いてくるこの感情は……何なのだろうか?
敵対者も殺さずに、人として生きようと願っていたのに、
目の前にある光景は、一体何なのだろうか。
倒れる人間。血に染まる自分。これでは到底人間などでは無い。
まるでかつての自分ではないか。
判らない、どうしてこの様な事になったのだろう。
相手の能力?それとも、能力の暴発だろうか?
判らない……いや、それでも一つだけ判る事があった。
つまり、俺は、自分の手によって『日常』を、死んでも守り抜くべき物を攻撃したのだ。
■■の願いを、裏切ったのだ。
それに気付いた瞬間、俺は言葉にならない咆哮をあげていた。
ウロボロス クニサキシロウ
殺人機械に後付けされた人間プログラムは悲鳴をあげる。
怒りか憎しみか悲しみか、或いは喜びなのか。自分にすら判らない絶叫。
血色の眼から流すモノは、同色の血涙。その姿は、その行動は、見るからに真性の怪物。
周りの声など耳に入らない。目に入らない。思考に入らない。
壊れかけた思考で、それでも尚、怪物は自分が日常に戻る為の手段を探し始める。
(どうすればいい……そうだ、治すんだ。急いで。見つからなく? 嗚呼、隠れよう。何処に?
物陰か? そこはダメだ。地面? いや俺は地面に潜れない。それなら何処だ、
何処だ何処だ何処だ……空!そうだ、空だ!)
怪物は倒れていた男を片手で掴むと、穴の開いたアーケードの上に、
強化された身体能力を以って一跳びで辿り着く。
そうしてから、怪物は自らの爪で左腕の肉を引きちぎり、そこから流れる夥しい量の血液を
気を失っている男の傷口へ、または口に含ませ内臓へと流し込む。
その光景は、あるいは呪術師の醜悪な儀式、または同属を生むヴァンパイアの業、
死体の血を弄ぶ怪物の様にも見える。これで治癒をしている等と言っても
信じる人間など皆無だろう。
【国崎:商店街→アーケードの上。錯乱しながらもその血液で被害者の治癒を始める。
廻間の声は耳に入っていない様子。敵の事も頭に残っていない】
>>233>>237>>238 「……」
視覚が戻れば、辺りの惨事が目に入る。
血まみれの一般人を抱えてどこかへ去っていく国崎。
一足遅かった、やる気満々の異能者さん。
血を流して倒れたままの恋島君。
そして──
偉そうに指示しておきながら痛恨の判断ミスを繰り返し、
自分の安全を確保するために、自ら敵を取り押さえることもせず、
挙句の果てにわざわざ国崎の名前を奴に教えてしまい、
さらには国崎のトラウマを揺さぶるようなこの結果を引き起こし、
──それでも尚平然とそこに立つ、私。
確かに無様なミスもいっぱいしたけど、まあしょうがないってことで。
いちいち凹んでいたら限がないし、何より疲れる。
「店員さん、お会計お願い」
無傷ながらもがたがたと震えている店員を捕まえると、レジに連れて行ってバーコードを読ませる。
「はい、アリガト」
お釣りと商品を受け取り、店を後にする。
『今のは……あの人たちは……いいえ、あなたたちはなんなんですか?!』
店員が私の背に言葉を投げかける。
声が裏返っているのは騒動による混乱のためか──私への畏怖か。
馬鹿馬鹿しい。
私一人で、恋島一人で、国崎一人で、何ができるって言うんだ。
「只の能無しよ」
【葦川:薬局へ移動中】
>>236,237,238
>「…コイツは俺の相棒だからな。場数の数なら俺以上に踏んでいる」
怪しい。しかし、そんなことを気にしている場合じゃない。
後でからルナちゃん本人に聞けばいいことだし。今は信じるしかなさそうだし…。
これから店に突入する。作戦は統時から伝えられた。
>「さて、肝心の作戦だがな。敵の能力は分かるか?
白兵戦を行うような能力ならば、俺は一対一でも勝つ自信がある。
この場合は余計な作戦はいらん。ただ遮二無二に斬り込むのみ。
射撃を行う能力だった場合も同様だ。
ただし、もし精神を操作するような能力なら話は別だ。
相手の射程、能力の発動条件を知らなければ作戦の立てようが無い。
もし精神操作系なら俺が囮になる。その隙に離れた場所からルナかお前が能力の調査を行え。
まあどちらにしろ、俺が斬り込み隊長となるのは変わらんがな」
作戦を説明したあとになぜか一人で鼻で笑っていた。
心配して見つめていると
>「……っと、すまん。呆けている場合ではないな。いくぞ!」
と言った。もちろんだ!すぐに突入の準備をした。
商店街の奥から二人の男の人が走ってきた。
統時は
>「おい、貴様ら!!命が惜しくば、今はこの場に近づくな!早くこの場から逃げ……」
と言って。言葉が止まった。その瞬間一人の男から血の華が咲いた。
>「……何を……何をしているんだ、貴様はァァァァァァァァ!!」
統時叫んだ。
何が起こってるのか分からない。店を見ると…
化け物だ。人の形をした化け物が出てきた。
統時はそれに斬りかかる。
しかしルナちゃんの強烈な平手打ちで中止させられた。
「何をする!」と統時が叫んだ。
>>236,237,238
「落ち着きなさい、統時!
あのリムジンに乗った男と、店から出てきた生物の顔を見比べてみなさい!
リムジンに乗った男は笑みを浮かべている!一方であの生物は呆然としている!
普通こういう状況で正常な車に乗った人間は逃げ切れた事に安堵し、ため息をつくものよ!
あんなニヤニヤとした屈折した笑いを浮かべたりしないわ!
しかもあの一般人がやられたのを見ると、より一層口元を歪ませたのよ!どう考えてもおかしいわ!!
という事は、あの男はただの人間じゃない!異能力者なのは火を見るより明らかよ!
そして、あの生物が呆けている事から、幻覚をみせられたか操られたのどちらか!そして、あの一般人を盾に使ったって所ね!!」
とルナちゃんは言った。
「……なんだと?」
どうやら統時は冷静になったようだ。
そして人型の生物に「おい!貴様、何者だ!それ以前に、喋れるのか!?」と聞いた。
突然の絶叫。
怪物は倒れていた男を片手で掴むと、穴の開いたアーケードの上にジャンプしていた。
怪物は自らの爪で左腕の肉を引きちぎり、そこから流れる夥しい量の血液を男の人に流し込んでいる。
私は空気を読まずに自分の声を拡散しあの怪物に
「だいじょうぶですかーーー!!!薬とか要りますかーーーーーーー!?」
と叫んだ。
理由?
そんなの決まってるでしょ!
楽しそうだから!!
【怪物に興味津々。何としても近づきたい】
【恋島さんのことは忘れてる】
俺は再びこの場所へとやって来た。
目の前には大きく聳え立つ高層ビル。その玄関前には「貳名製薬」と彫られた大理石。
そう、長束邸で受け取ったあのリストに記された場所のひとつである。
しかし、俺はビルを前にして一向に動こうとしなかった。
ビルの前まで来たはいいものの、どうやって入り込むかを考えていなかったからだ。
真正面から突入するのもいい。しかし、内部を探ることが目的となれば、
できうる限りスマートに侵入するのが最も望ましいことであるのは言うまでもない。
真正面から突入すれば、内部の人間から不審者として処理されてしまうのは明白だ。
かといって、コンクリートと鉄筋で固められた高層の密室空間に、
誰に気づかれることなく侵入することは困難極まりないこともまた確かなのだ。
(さて……どうしたものか)
あれやこれやと策を巡らしている俺の横で、一台の車が停車した。
車がドアを開くと、中からは清掃員の格好をした中年男性が二人、姿を現した。
服の背中には「貳名クリーニングサービス」とある。
「おい、時間は?」
「12時調度です。遅れてません」
「ふぅー、危なかったな。ここの会社は時間に厳しいからな。遅れなくてよかったよ」
二人の中年が何やらと会話している。
会話の内容からして、ビルの中の清掃を頼まれた連中らしい。
と、その時、俺の頭の中で何かがひらめいた。
俺はバケツやらブラシやら雑巾やらを抱えている二人に歩み寄った。
「あの……ちょっとよろしいですか?」
突然の俺の声に、二人は目を丸くしながらこちらを振り返った。
「はい?」
──三十秒後、辺りにかすかな悲鳴が響いた。
「えーと……今日は『植草』君、キミ一人かい?」
深々と清掃用の帽子を被り込んだ俺の前に立ち、服の胸につけられたネームプレートを確認
しているのは、清掃場所を案内するよう上司に命令された貳名製薬の社員である。
「いえ二人です。もう一人は遅れるとの連絡がありまして、先に私だけが……」
そう嘘八百を並べ立てても、前の男は疑うそぶりも見せない。
本物の清掃員は今頃車の中で大人しくお寝んねしているというのに、呑気なものだ。
まぁ、であればこそ、こうして疑われずに侵入できたのだが。
「では、29階と最上階の30階の廊下と部屋の清掃をお願いします。
あぁそうそう、30階の社長室には研究所の所長さんがお見えになっておりますので、
やらなくて結構だそうです」
「わかりました」
俺は男に背を向けて一階奥のエレベーターへと向かい、乗り込んだ。
エレベーターの向かう先は「30」と記されたボタンが光る30階。
内部を探ってこの会社の重役の居場所を突き止めるつもりであったが、これは運が良い。
こうも早く突き止められるとは。
そうこうしている内に、「チーン」という音と共にエレベーターのドアが開いた。
エレベーターを降りると、そこは一本の広い廊下であった。
廊下には赤い絨毯が敷かれ、その先には「社長室」のプレートが掲げられた
大きなドアが見える。
「あそこが社長室か……」
一人そう呟いた俺は、部屋の前まで歩み寄ると、中の様子を伺おうと耳を欹てた。
部屋の中からは二人の男の声が聞き取れる。
「──で、結局完成したのかね? 例の新薬は」
「まだ試作品ですがね。まぁ、これで研究部にもとりあえず顔が立つというものです」
「服用するだけであっという間に人工異能者の誕生か……。これ以上増産してどうするつもりなのかね」
(新薬……異能者……。そういえばこの会社は「ナガツカインテリジェンスグループ」の傘下だったな。
ナガツカ……そうだ、気になってはいたが、もしや長束誠一郎の……)
そうして思考を巡らす内にも、二人の男の会話は続いている。
「さぁ? No.1のお考えになることは、私達の考えの及ぶところではありませんからねぇ」
「ま、今回の異能者達の一件で、機関に所属する大半の異能者が駆り出されたようだからな。
虐殺部隊をはじめ機関のセカンドナンバー達……結構な被害が出ているそうじゃないか」
「もしかしたら今後の人材を補う為に開発を命じられたのかもしれませんね。しかし『No.12』──」
「ここではナンバーを呼ぶなと言っただろう、『No.14』」
(No.12、No.14……こいつらも幹部か。とするとやはり異能者……?)
「──もとい社長。しかしやはり私には解かりませんな。こうまでしてこの町の異能者達を戦わせる理由が」
「君も言っただろう。No.1のお考えになることは、我々の考えが及ぶところではないと。
ただ一つ言えることは……この事について探ろうとすれば、我々とて命が危ういということだ」
「命令通り動いていればいい……駒というのも、案外楽じゃありませんな。
ま、今に始まったことではありませんが」
(No.1……城栄 金剛……。
……どうやらこのゲームを仕組んだ裏には、奴自身しか知りえぬものがあるようだな。)
俺は更に奴らの話を聞きだそうとドアに近づいた、その時だった。
手に持っていたバケツをすべらせ、廊下に落としてしまったのだ。
バケツは廊下と接触すると、大きな金属音を立てて転がっていった。
「誰だっ! 出てこいっ!」
社長と呼ばれていた男の声が挙がった。
(チッ……俺としたことが……。まぁいい……)
心の中でそう舌打ちをしながらも、俺は落ち着いていた。
ドアノブに手を回してドアを開けると、俺はその姿を二人の前に堂々と曝け出した。
「清掃員? 聞かなかったのか、この部屋の清掃はいいと伝えておいたはずだが?」
「承知しております。ですがこの仕事を長くやっておりますと、ゴミを片付ける癖がつきましてね。
この部屋にある大きなゴミを見過ごすことはできなかったのですよ」
「ゴミ? 何を言ってるんだ、この部屋にはそんなものはありやせん!」
「いえ、ございます。あなた方二人という、大きな生ゴミが」
「え、ええい! 貴様、人を舐めとるのか! 貴様の会社の上司に言いつけてクビにしてもらうからな!!」
「それは止めて置いた方がいいでしょう。困るのは私ではなく、
この服の本当の持ち主である『植草』という男になりますからね……」
俺の言葉を聞いて、これまで激昂していた社長と呼ばれた男に代わって、
『No.14』と呼ばれていた男が口を開いた。
「貴様……何者だ!」
俺は深々と被っていた帽子を取り、薄ら笑いを浮かべながら答えた。
「ただの清掃員さ。ただし、片付けるものはお前たち機関の人間だがな……」
【池上 燐介:貳名製薬ビルにてNo.12、No.14と接触】
>>223 着物男とすれ違い、歩くこと数分。
私はまた知った顔を見つけた、それは「貳名製薬」という会社の前で佇んでいる池上だった。
「あれは何しているのでしょうか?」
「俺に聞くな、本人に聞け」
私は少し気になったので池上に近づき話しかけようとした矢先、一台の車が池上の、というより「貳名製薬」の前に停車した。
中から二人の男性が降りてくる、背中に「貳名クリーニングサービス」と書いてあることから清掃員だということが分かる。
そして池上が彼らに話しかけた、次の瞬間かすかな悲鳴と共に倒れる二人、池上は二人を車の中に押し込む。
池上は男の服を脱がせると自分がその服を着る、清掃員になりたいのだろうか?
着替えを終えた池上は「貳名製薬」のビルに足を踏み入れた。
「あれは何をしているのでしょうか?」
「俺に聞くな、本人に聞け」
「何やら怪しい臭いがしますね」
「それには同意、奴が清掃員の仕事をしたくなった可能性もあるが、多分このビルに疑われることなく入りたかったんだろうな」
「貳名製薬」には私の知らない何かがあるのだろう、池上はそれを突き止めに行ったと考えるのが正しいと思われる。
幸運な事に清掃員は『二人』居たはずだ、もう一人分の服も調達できる。
私は周りを見て人通りがないことを確認する、病院と商店街で事故があったので辺りは静かで歩いている人は誰も居なかった。
私も池上と同じように清掃員の服を脱がすと着替えを始める。
「お前ってさ、恥じらいとか無いわけ?
男の服を脱がしてるんだぞ、分かるか?なのに顔色一つ変えないとか女としてちょっと…」
「こんな事で恥じらっていたら戦場で兵士の手当なんてできませんよ」
短く返すと私は清掃員に服を身につける、少し大きい気もするが、私は女性としては身長は高い方だ、そこまで不自然ではないはずだ。
「そこそこあってるみたいだな、お前は女にしては起伏に乏しい体つきだからな」
少し頭にきたが、師匠が私をからかうのは今に始まった事じゃない、まぁ一応事実ではあるし。
この服のネームプレートを見る限り男だから私が喋るのは色々まずいか。
「師匠頼みますよ」
それだけ言うと私は池上の後を追うように「貳名製薬」の中に駆け込む。
「随分早かったね、植草君は遅れると行っていたんですけどね。
そうそう彼は先に行ってしまったよ」
「すみません、商店街の方で事故があったようでなかなか進めなかったので」
目の前には貳名製薬の社員が私、というかこの清掃員を待っていたようで立っていた。
私は清掃用の帽子を深く被り俯いていた、ただでさえ怪しいのに目の色でも見られたら大変だ。
適当に口を動かし、声は師匠に出してもらっていた。
「大丈夫か君、少し調子が悪いんじゃないですか?
顔色が青白いというか白い?」
まずい、流石にこの肌の白さは怪しすぎか、こんなに肌の白い中年男性なんて日本の何処をさがしても存在しないだろう。
「はい大丈夫です、それより仕事の説明をお願いします」
「そうですね、場所は29階と30階の廊下と部屋の掃除をお願いします。
30階の社長室には研究所の所長さんがお見えになっておりますのでやらなくて結構だそうです」
「わかりました」
私は逃げるようにその場を離れるとエレベーターの前にいく、エレベーターの上には30の所が光っていた。
池上は30階に行ったのか、私はもう一つのエレベーターに乗り込むと30のボタンを押した。
【籐堂院瑞穂:池上を追って「貳名製薬」に】
>>237-238>>239-242 ・・ん、あれ、俺まだ生きてる…みたいだな。傷の痛みが鈍いが・・・耐えられないほどでもない
流石にこのまま放置はまずいけどな・・・歯を食いしばりながら俺は全身に力を込めて無理やり体を起こした
はぁ・・・はぁ・・・収まれ、俺の動悸。――良し、きっついけど・・・な
足腰も足もガクガクだ。特に右足・・・ハサミがぶっ刺さった傷口からはタラタラと血が流れている
それに腹部は・・・流石に落ち着いたが気持ち悪い感覚とほじくり出したくなる様な痛みが持続している
痛みに体が慣れるって事は無いがさっきよりはだいぶマシになったな・・・おぼつかない足で壁際まで歩く
バックを忘れる所だった・・・小さく方向転換し、落ちているバックを拾い上げて壁際へと向かう
っと・・・また脈が波打ってきた・・・落ち着け、落ち着けよ俺。――つーかココまでどれだけ怪我してんだよ、俺
・・・そう思うと妙に笑えて来た。もう一生分怪我した気分だ。笑うと腹部に来るので笑わないが
携帯で・・・と考えながらバックを漁りながら現在の状況を・・・なんかヤバイな、やば過ぎる
奴の異能力の効力が切れたのか、プッツリとその場に転がる人々と、血まみれの店員
それに・・・口から泡を出して仰向けに倒れている、オタ野郎に殺人犯のオバサン。それに・・・
止めておこう。あの親子の末路は。なんつうか形容できないほど・・・グッと吐き気を催しそうになったが堪えた
てかこの異常な有様を、救急隊員に、警官に説明できる自信が俺には全く無い。誰か変わりに説明してくれ
兎に角今やるべき事は・・・止血だな。思うが早く、俺は上半身の血に染まったYシャツを脱ぎ、下半身のズボンをくるぶしまで下ろした
どうせ誰も店内に入って来れないだろうし、起きている人間もいないしな。・・・うわぁ・・・ひでえ傷だ
それでもショックでひっくり返らないのは、やっぱ慣れちまったみたいだな、色々と。・・・いかんいかん、静観してる場合じゃない
めんどくさい為その場にバックをひっくり返し、国崎さんの薬局で買った包帯を探し出す。っとあったあった・・・
適当に巻いておけ…ば・・・あぁ、いてぇ・・・出来れば美人の看護婦さんとか・・・惨めだなぁ、俺
不恰好だがそれなりに治療は出来たかな・・・ズボンを履きYシャ・・・これはやだな。新しく着なおそう
立ち上がり、適当にシャツを物色する。・・・どれでもいいか。瞬時にハンガーを取り出しポロシャツを剥ぎ上に着込む
Yシャツを着ながらふと、俺を助けてくれた女神様の事を思う。どうやったかは知らないが店からは出られたようだ。良かった良かった
・・・ホント良かったよ。俺は死のうがどうでも・・・どうでもって事は無いが、他人が死んでいい気はしない。全くもってな
だから・・・今は考えなくてもいいか。今はこの状況下から抜け出す事が先決だ。案は全く浮かばないけど
立ち上がりながらレジを探す。・・・店員さんはいるのかな? 財布からポロシャツ代を抜き、レジカウンターに置く
にしてもこのまま病院行くのもなんか気が引けるな・・・病院行かなきゃやばいケガなのは重々承知なのだが
そう思いながら自動ド・・・ア? なんか凄い事になってるな・・・軽自動車でも突っ込んできたみたいだ
考察してみたいがそれどころじゃあるまい。端のガラスに気をつけながら、俺は服屋から出た
・・・なんで人っ子一人いないんだ? てっきり警察だのなんだのが服屋を囲ってるのかと
服屋にいた時はとにかく必死だったから外の様子には気づかなかったが・・・コレもあいつの異能力のせいだったら恐いな
病院ってどの方面だっけ・・・あー駄目だ、また頭がボーっとしてきやがる。こりゃあ一度頭でもぶつけ・・・
その時、耳をつんざく様な獣の叫び声が俺の耳に響いた。思わず耳を塞ぐ。・・・数秒経つと収まったが、前方から聞こえたな・・・
興味と恐怖心が同時に浮かんだが、わずかに興味の方が優った。俺はその咆哮が鳴った方へと足を速めた
っと、前方に二つの人影が見える。背中しか見えないため、正直把握は出来ないが・・・
偶然にも近くに放置された軽自動車があった為、そこに身を隠して様子を伺う。さっきからどっちかが何かを話しているが聞き取れない
もう少し近づければな・・・と歯がゆく思った矢先
>「だいじょうぶですかーーー!!!薬とか要りますかーーーーーーー!?」
聞き覚えのある声が元気よく響いた。この声・・・まさか!?
「神野さん!?」
頭より先に体が反応して、俺は軽自動車から身を翻して・・・しまった
・・・目の前の景色が理解できない。錯乱する血、刀を構えた青年、それに――
・・・猛烈に頭が痛い
【現在地:商店街・アーケード】
【傷を自己治療し服屋から出る。国崎・廻間・神野らの現場に後方ながら出くわす】
「……ほう、どこで情報を仕入れたのかは知らんが、どうやら我々のことをご存知のようだな?」
これまで激昂していた社長と呼ばれた男の表情が、妙に冷静になっていく。
男は深々と椅子に座り直すと、胸ポケットから取り出した一本の葉巻に火をつけ、吹かし始めた。
「我々を片付けるときたか……。なるほど、君もただの人間ではなさそうだ。
大方、この町での一件に巻き込まれた異能者と言ったところかな?
まぁ、戦闘を強いられて怒る気持ちは分からないでもないが、君のやろうとしていることははっきり言って無益だ」
「無益かどうかは俺が判断することだ」
「フッ……仮に今ここで我々を殺したとしても、No.1が計画を変更することはない。
我々はあのお方の駒に過ぎんのだ。それを分かっているのか?」
「……お前らこそ分かっていないようなので教えてやろう。お前らが城栄の駒であろうが何であろうが関係ない。
俺の狙いは機関そのものの壊滅だ。お前らは勿論、城栄もいずれ俺が始末することになる」
俺の言葉を聞いて、一瞬二人はきょとんとした顔を見せた。
そして二人は直ぐにその場で哄笑を始めた。
「フフフ……ハーッハッハッハッハ!」
「クククク……こいつは傑作だ! No.1を倒すぅ? 身の程知らずとはこのことだな!」
「おかしいか? まぁ、直ぐに笑えなくしてやるさ」
俺は右手の指の関節を鳴らしながら、彼ら二人に一歩一歩と歩み寄っていく。
「……まぁ、待ちたまえ。見たところ君はかなり腕が立つようだ。
予め断っておくが私達二人は『非異能者』でね。君の満足のいくような闘いにはならないだろう」
彼らの思わぬ告白に、俺は思わずピタリと足を止めてしまう。
「……なに?」
「自己紹介が遅れたな。私の名は『重松』。貳名製薬の社長であり、機関研究部所属兵器研究科長。
ナンバーは12。この男は『南条』。我が社の製薬研究所の所長であり、機関での私の部下だ。
ナンバーは14。先程も言ったとおり、我々は正真正銘ただの人間だよ」
(非異能者が機関の幹部に……? やはりただの戦闘集団とは違うのか)
「我々にはどう逆立ちしても君には勝てまい。君とて我々を相手にしては物足りないのではないか?
そこで、だ……我々のペットが君の相手をしよう」
「ペットだと……?」
「このビルの30階……ここは社長室以外の部屋は存在しない。なぜだか分かるかね?」
「…………」
「君のような野良犬が迷い込んできた時を想定して用意されたフィールドだからさ。
つまり、ここは侵入者と私達の番犬が闘う闘技場でもあるのだよ!」
男は銜えていた葉巻を灰皿に押し付け火を消すと、「パチン」と指を鳴らした。
するとこれまで部屋を囲っていた壁が……いや、この階を構成していた全ての壁がずり下がり、
あっという間にこの30階は何も無い真っ白な広い空間と化すのだった。
──いや、何も無いわけではなかった。全ての壁が取り払われた空間のその先で、
首輪をした巨大な三つの頭を持つ怪物が唸っているのだ。
「フッフッフ……あれこそ我らの番犬! 獣でありながら『15』のナンバーを持つ『異能獣』!
その名も『ケルベロス』!! さぁ、奴を殺れいっ!!」
男の掛け声と同時に、ケルベロスと呼ばれた獣の首に付けられていた首輪が外された。
拘束具を失ったケルベロスは、文字通り解き放たれた野獣となって、猛スピードで俺に向かってくる。
だが俺は下手に動き回ることはせずに、向かってくる奴をギリギリまで引き付けると、
俺の体に奴が直撃する瞬間に、横に飛び退いた。
勢いづいた奴は止まることもできずに、そのまま轟音を立てて壁へと激突した。
あの様子では、重松、南条と名乗ったあの二人は、自らの番犬の体に押しつぶされてしまっただろう。
ところが──。
「フッフッフッフ……ケルベロスは私と南条が創り上げたもの。
飼い主には危害を加えぬようインプットされているのさ……残念だったな」
「力強く俊敏──。そして三つの頭を持つケルベロスに死角は無い。
故にこうして背中の上に居れば我らが君に殺されるということはないわけだ」
いつの間にか獣の背中に乗っていた二人が、嘲笑うようにこちらを見据えていた。
「ガルルルルルルッ……」
三つの頭が交互に喉を鳴らし、体を獲物を狙うように身構えている。
全長七、八メートルはあるだろうか。まるで巨大な虎を見ているようだ。
しかし、力任せな攻撃を繰り出してくるだけであれば、所詮俺の敵ではない。
俺は右手に力を込め異能力の開放を始めた。
俺の力を感じ取ったのか、ケルベロスはピタリと体の動きを止めた。
「むっ……来るな……奴の異能力が……」
「どのようなものか、拝見させてもらおうか」
俺は右手の上に八つほどの凍気の塊を滞空させた。そう、『小晶波』だ。
いかに奴が巨大とはいえ、これだけの量の凍気を一度にくらえば効果がないはずがない。
「──ま、まさかっ! あれはっ!」
突如、南条が声を挙げた。初めて見た俺の技に驚いているのか。
しかしそんなことを意に介す必要は無い。俺は『小晶波』をケルベロス目掛けて放った。
──しかし、『小晶波』は奴の体に直撃する前に、弾け飛んだのだった。
いや、何か別の強い力によって『相殺』されたと考えた方が良いのかもしれない。
見ると、三つの頭の口から、青白い光が細かな『氷』の結晶を伴って、放出されている。
(『氷』……だと……? ──まさか!)
「ヒェッヒェッヒェッ……こちらも驚いたぞ。まさかケルベロスと同じ能力を持っていたとはなぁ」
「同じ能力……ということはやはり!」
ブルーブラッド
「ケルベロスは『氷結執行官』とも呼ばれているのだ!
能力は体内から吐き出す協力な凍気によって相手を凍て付かせるもの!
貴様の技はケルベロスの体内から吐き出された凍気によって防がれたのさ!」
「さぁケルベロス! 第二撃の『コールド・ブレス』を見舞ってやれい!!」
瞬間、三つの口から青白い光と共に、強烈な凍気が放たれた。
(チッ……!!)
たまらずこの攻撃から逃れようと、再び横に飛び退こうとした時だった。
俺は両足が動かないことに気づいたのだ。というより、地面と引っ付いてはがれない感じだ。
俺は足元に目を向けた。……動かないはずだ。両足と地面が、奴のコールド・ブレスによって
凍り付いていたのだから。
「これで貴様は逃れられんぞ……。このまま苦しみもだえて死んでゆけい!」
「くっ……」
敵の自由を奪い、止めを刺す……いつもの俺が使う基本的戦術だ。
まさかこのような獣にしてやられるとは、と、俺は思わず唇を噛んだ。
【池上 燐介:『No.15』の異能獣、ケルベロスと戦闘に】
【足を凍らされて身動きが取れない状態】
>>246 エレベーターの扉が開くとそこには驚きの光景が広がっていた。
大きな三首の獣とそれに乗っている二人の男、そして足が凍っていて地面に張り付き動けそうにもない池上。
流石にこのような展開は予想していたはずもなく、一時思考が停止する。
大きな獣に乗っている男が私に目を向ける、つられて残りも私の方に向く。
「また清掃員が来たのか、まぁいい、まずはこいつからかたづけよう。
君はそれからゆっくりとお相手してあげよう。
やれ、ケルベロス、『コールド・ブレス』」
男が声を発した瞬間、私は反射的に池上の近くに駆け寄り、鞘から天之尾羽張を抜き放つ。
そして、すぐさま屈むと地面と池上を結びつけている氷を断ち斬り、そのまま池上を抱え込み横に大きく跳ぶ。
池上も男達も少なからず驚いたようで、少しの間場を沈黙が支配する。
「何だと、お前も異能力者か?
ハハハハハ………仲間を呼んであるとは中々やってくれるじゃないか」
「ところでお前達は『機関』の何だ?
それにその獣、随分と可愛らしいじゃないか、何処で買ったのだ?」
「私の名は『重松』。貳名製薬の社長であり、機関研究部所属兵器研究科長、ナンバーは12。
この男は『南条』。我が社の製薬研究所の所長であり、機関での私の部下だ、ナンバーは14。
わかるとは思うがどちらも非異能力者だ。
そしてこいつは、獣でありながら『15』のナンバーを持つ『異能獣 ケルベロス』」
「重松と南条か、結構年いってそうなのに全然聞いたことねぇや。
お前ら昔は3桁台の下っ端だったろ?」
「誰だ?!隠れていないで出てこい。」
重松と南条は辺りを見回し、隠れる場所がないことを確認すると私に向き直る。
師匠も余計なことを言う、これではせっかくの変装が意味ないではないか。
もうどうでもよくなったので帽子を脱ぎ、艶やかな長い銀髪を晒し出す。
そして私は重松達にもよく分かるように刀を高く掲げる。
「俺は籐堂院神、今は色々あってこんななりだが昔はぶいぶい言わせてたんだぜ。
少しは聞いたことないか?一部では結構有名人なんだけどな」
重松と南条の表情は目に見えて変わった、当然だ『機関』のセカンドナンバークラスであれば一度は聞いたことのあるビッグネームだろう。
「籐堂院だと?まさか………そんな馬鹿な。
その身が死んでなお刀に移り生き続けているというのか……。
ケルベロス!狙いは変更だ、まずこの女から殺せ!」
「池上、援護は任せたぞ」
私は池上に軽く微笑みかけ、刀を構え直す。
池上は私の顔を見ると全てを察したようで、すでに冷静さに戦局を分析しているようだった。
偏見かもしれないが池上には誰とも組まない、孤高なイメージがある。
でも流石に今は協力してくれる……はずだ。
【籐堂院瑞穂:ケルベロスと戦闘開始】
>>226 あの、男―――――――間違いなく強い。どのような性質かは分からないが、確実に。
これほどの組織において、個人でこれほどの力を持つ。それを隠しもしない、その大胆さ。
彼は……候補、か。純粋な力だけではまだ足りない。
それに、もう一人――煌神リン、だったか。彼女についても知りたいことがある。
>>234 しかし、煌神リンという少女――――私が見た時と雰囲気が違う。あの時の粗暴さはなく、目に見えて怯えている様子だ。
……機関が狙うレベルなのだから、多重人格だったとしても不思議はないが。
しかし、私が知りたいのはそんなことではない。彼女の方向性がどうなのか、だ。
どのようなベクトルの価値があるのか――――どんな力があるのか。
だがまあ、私の立場は単なる雇われ異能者だ。口を挟める状況でもない。
聞き耳を立てるくらいしか、できることはないか。幸運にも、男は彼女に話があるようだ――――あの二人の方向性がどのようなものか、ここで見られるかもしれない。
【アルト:できるだけ会話を聞き取る】
>>226 >>234 >>252 >「・・・・・・何のために私を連れてきたんですか・・・」
「とぼけるンじゃねぇよ。知ってンだろうゥ?」
金剛の口には若干笑みが浮かぶ物の、目は全く笑っておらず、睨みを利かせながら葉巻を灰皿に乗せた。
「お前が今まで俺たち機関からにげまわっていたワケ、
それはお前が今ここに連れてこられた理由だからじゃねェのか?」
相も変わらず『妹思い』のツバサは、リンの事を庇おうと城栄に食って掛かりそうだ。
「……ツバサァ、なんだその目は?」
アルトは一言一句聞き逃すまいとその場を傍観し、小村はツバサと金剛を交互に見ている。
一触即発の空気が社長室に漂う。―――そこへレオーネが割って入った。
「城栄、喉が渇いていては話せる物も話せないさ」
「おぅ、ワリぃな。お前らは何飲むンだ?」
金剛は葉巻を吸いなおすと、ツバサとリンに問いかけた。
無論、レオーネは時間を稼いだに過ぎないが、今のリンには考える時間が必要なのだ。
生け贄となり、新世界の礎となるか、あるいは……。
「包帯、遅いな……」
ボソリとレオーネが呟く。今の彼には、髪を梳かすのにも苦労しそうだ。
「治癒系の異能者が、何人か本部に残っているのではないか?」
金剛はふと救護班の現在の任務を思い出し残っている人数を思い出し始めた。
「……居ない、な」
金剛の言葉に、ブロンドの美丈夫は残念そうに肩を竦めてみせた。
「ま、その内戻ってくるさ。それまでは唾でもつけとけや」
豪快な笑い声が社長室に響いた。