>214>221>223>231
鼻を刺すような刺激臭に、小川が口で呼吸を始める。
>「すごい匂い。目にしみるよ・・・」
ライフルを片手に、小川が普段と違った答える。
「星輝丸の一件を思い出すな、啓太君。」
あの少年と出会った船の名前を呟く。
充血した目の中を、過去と現在が入り混じった黒い濁流が流れている。
口元には獣じみた笑顔が浮かび、背後で聞こえる銃声を楽しんでいるように見える。
「だが、大丈夫だ。あの・・・玉座を作った化け物がうろついているが、大丈夫だ。俺が居る。」
そう言って少女の肩を優しく叩く。
ウィルスに感染し、変異したユダが死体から作った歪んだ玉座を思い出す。
「無事で居てくれて、本当に良かった。」
そして続く爆風。
「でも、あいつと蹴りを着けなきゃならないな。」
>「・・・・・・終わった、のかな。姫路さんはどこかな?」
>「AKを撃ち尽くしたらグレネードを撃つ。グレネードの爆発が収まったら、直ぐに移動するぞ」
小川の代わりにセルゲイが答える。
その声に振り返った小川が頷き、遮蔽物を求め、後退する。
「爆発の後、即座に移動します。」
姫路の名前は出さない。
電話の向こう側の男に情報は与えたくない。
少女と猫を起し、手を引いて遮蔽物まで移動する。
地獄に似つかわしくないポンっという軽い音に続き、耳を劈く轟音が響く。
酷い匂いのする防寒着を脱ぎ捨てておく。
>「行くぞ」
猫を抱えて走るセルゲイに倣い、猫を肩に担ぎ、少女の手を引いて小走りに移動する。
セルゲイと体格が違う小川に取っては、抱えるよりも担いだ方が動き易い。
もっとも、担いだ所でセルゲイのように軽々と死体の群れを飛び越えるような事は出来ないが。
慎重に、少女の手を引きながらゆっくりと動く。
「足下には充分、気を付けて下さい。」
姫路に向って、小川が言う。
なんとか渡りきった所で、小川が猫を下ろす。
「マガジンチェンジが必要なら今のうちに。私がカバーします。」
セルゲイの隣に張り付くような位置に立ち、小川が言った。
山田あすかやミヒャエルとの合流地点は近い。
早く移動し、山田あすかが安全である事を確認したかった。
「すっかり忘れていたな。そろそろ自己紹介をして貰えませんかね?」
小川が電話の向こう側の明石に向って、吐き捨てるように呟いた。
「ゼェゼェ・・・中途半端に人の体弄るくれぇなら心肺も強化しろっつの!」
「しかしあいつら一体どこへ・・・っと」
通路の深部に到達し、暗がりに見知った人影と奇妙な人の壁、1つの大きな鰻の様なモノが目に映る。
「あぁ?何だあの姉ちゃんもこっち来てたのか。・・・悪趣味な場所だなぁ何なんだこりゃ」
「何だありゃ。人・・・じゃねぇよな。場所に似合うっちゃ似合ってるが」
>>226 >息を切らしたミヒャエルが、壁に片手を着く。出っ張りに気が付く。
「・・・ん?おっとと・・・何だよ電気来てんのか。ってう〜わ〜」
正面に見える対峙した2つの影。灯りに照らされ姿が鮮明に映る。
「怒り狂ってやがんなぁ。美人に嫉妬ってか?へっへ!キャットファイトかよ!」
「・・・化け物の群れ共の母親って訳か。この壁共は父親ねぇ。糞が」
山田あすかの背後から驚かさない程度に声を掛ける。
「よぉ待たせたな。お取り込み中悪ぃんだけど、ソコのソレはあの糞共の親らしいんだ」
「話すと酒の肴にもなりそうなもんだがまた今度な。ひとまず2匹の猫のガキを助けたい」
人の顔をした鰻に身動ぎしている化け物の群れから2匹の姿を探す。
「居た居た。なぁ、姉ちゃんここまで来られたんだし、結構やれるんだろ?」
「へへっ!今更隠す様なこっちゃねぇだろうよ。俺はプロだぜ?常人じゃねぇなんて直ぐ気付くって」
2匹の側に移動を始め、山田に再度声を掛ける。
「だが俺様にとっちゃあんたが超人だろうが病人だろうがどうでも良い話だ」
「このいかれた現状を打破して帰って酒飲んで寝る。尤もこの体がどうなってんだか・・・」
やや乾いた笑顔を見せながらOIWCを構え狙いを定める。
「じゃ、そっちのでかいのは頼むぜ。後ろの扉が出口だろうしお互い頑張るべ」
「このお嬢ちゃんは役に立つかなーと」
所持品: C4/1ポンド C4用信管*9 リード8m*0 M590C(mossberg)*6(0発装填済み)
Glock 19*10(15発装填済み) オイルライター
建物の間取りとマークの付いた地図帳(55F・40F・B?にマーク) 小型受信機
OICW ライフル15/30 予備130/30 グレネード3/10
現在地:旧日本軍駐屯地跡 実験場内
状況: 封印された通路
234 :
村田長男 ◆kwGllWL2yY :2008/09/08(月) 22:01:56 0
>>228 >「この面子なら早々化け物に遅れは取らないだろう
何、あとは協調性の問題だけだ
もっとも、それが一番厄介な問題なのだろうがね」
「遅れを取らんのは、当然だろうが。ワシを除けば化け物ばっかりだろうに。」
ワシは呆れた顔で青山博士を見た。
ま、協調性に関しちゃ、化け物博士の言う通りじゃがな。
>「ほう、どうやら何か思いついたことでもあると?
中略
研究に没頭していて、それ以外のことを気にしたことは無かったからね」
>「ほう・・・抜け道ねぇ。」
Judasが意味ありげに笑う。
>「偵察に出した我が同胞が生き物の匂いを嗅ぎつけただけだよ、ドクター」
さっき鼻を動かしとった一匹の事なんじゃろうな。
「猿面の群れが、どっかに居るって事か」
結構な数が逃げ出したのだから当然と言えば当然の話じゃな。
しかし、あれだけの数の化け物が住むようなスペースが存在するって事になる。
そんだけ餌も豊富にあるって事になっちまう。
>「やれやれ、こっちは待たされていた身だというのに…
そう言うのなら、どうかしている者同士のよく分からない会話は程ほどにして欲しいな」
「知らんのか?気違いってのは、自分をまともだと信じ込んどるんだ」
>>227 向った先にゃ、でっかい鉄製の扉が待ち構えとった。
他に通路らしき通路も見当たらんから、先に進むしかない。
「メンテの業者は、ここまで来てたのか?」
扉は、案外簡単に開いた。
「生き物ってより、生き物の活動の形跡の匂いじゃな・・・」
熱気と悪臭ってのは、最悪の組み合わせって訳だ。
ガキの頃に汲み取り式の便所に落ちた奴と同じ匂いがしとる。
ま、実際はワシが突き落としたんだが、散々からかってやったら泣き出しちまったのを覚えとる。
「嫌な匂いじゃな・・・」
浄化槽の近くまで来た途端、ごぼりって音がしたんで振り返ってみたら、水面の下を何かが泳いでいやがる。
>「これはこれは・・・」
「そう言えば、一寸前まで裂きイカを食っとったんだがな」
ま、それだけが理由じゃあるまい。
>「リーダー君、それにドクター。それぞれ一匹ずつ頼む。」
「任せとけ。さっそく試してみる事にするか」
ワシはアンプルシューターに錠剤が入っとるのを確かめる。
「もっとも、あんだけデカけりゃ殻も厚そうじゃな。」
先ずは剥きエビにしてやるのが先じゃろう。
巨体に似合わぬスピードで襲い掛かってくるザリガニの化け物にマシンガンをぶっ放し、
アンプルシューターを片手に通路を走る。
殻が破れとったら、アンプルシューターでの一撃を食らわせてやればよかろう。
ワシは、自分がすっかり怯えていないのに気が付いて、笑い出しそうになっちまった。
それどころか、冷静に次の一手を考えとるんだからな!
状況:アメリカザリガニに銃撃を加える。アンプルシューターに持ち替え、移動中。
現在地:謎の下水道
持物:Mk.46マシンガン(157)、ワクチン(37)、 カプセルシューター(1)、カプセル弾X3
>227
「やれやれ、面倒な場所に来てしまったものだ
ここは汚水臭くて嫌いなんだが…」
九武村の地下実験場の浄水システムが集中した施設である
ここで使用済みの汚水を加熱殺菌などをして、再利用するのである
しかし、飲み水ではなく専ら実験用に使う代物のため、味はかなり不味い
その上、大量発生した大蜘蛛の影響で孤立していたため、整備がロクになされていない
無駄にデリケートな機械類が、調子を狂わせて暴走している
冷却が追いつかず、熱気が篭ってしまっているのが何よりの証拠である
だが、この悪臭は何だろうか
「やはり、蜘蛛どもの始末は早い段階で済ませておくべきだったか
招かれざる客までおいでとは…」
体長1メートルほどのアメリカザリガニが素早い動きで近付いてくる
こいつらが悪臭の原因、頭が痛くなるような光景だ
無能な調査隊の連中が、持ち帰った旧日本軍のロクデナシを弄くって作ったモノだ
図体が大きいだけだった個体を新型のウイルスで変異させ、戦闘力を強化した
だが、凶暴化して不安定になり、肉体組織の崩壊を早めるという結果をも招いた
下らない連中が作った下らない化け物を、下らない連中が更に下らなくしたのだ
…全部廃棄処分になったと聞いたが、こんな所にまだ保管していたとはな
「こんな下品な化け物では、食べる気にもなれない」
迫り来るアメリカザリガニの突進をジャンプで交わし、天井からぶら下がって様子を見る
煮ても焼いても食えないモノなど本気で狩る気にはなれないが、怠けても居られない
そのまま移動を続けるザリガニの背中目掛けて急降下する
足だけを変態させ、体重で踏み潰そうとする
状況:巨大ザリガニを踏み潰すべく、ぶら下がっていた天井から急降下
現在地:汚水浄化室
持物:抵抗薬
>234
>「偵察に出した我が同胞が生き物の匂いを嗅ぎつけただけだよ、ドクター」
「生き物か…
この辺りでさえ結構居るからね
本施設の方などそれはもう化け物の大安売りだろう
…ということは、同胞さんは脱出ルートを確保できたということかな?」
化け物や生存者の臭いなど、珍しいものではない
しかし、この辺りは本施設からの隔離度が高く化け物の数自体は少ない
つまり、化け物の数が多い場所ということは本施設のある場所ということになる
なるほど、Judasは抜け目が無いな
村田の爺さんの言う猿面の群れというのは、おそらくモーロックのことだろう
奴らならまだ、蜘蛛やザリガニよりは食いでがある
腹を抑えながら、早々に目の前の脅威を取り払いたいと思う
>「知らんのか?気違いってのは、自分をまともだと信じ込んどるんだ」
「なるほど
村田さん、あんたの言うことももっともだ」
237 :
ルーとフォード:2008/09/10(水) 21:21:05 0
>>231 セルゲイが大きな音を立てると、「あいつら」がバタバタと倒れていった。
いきなり圧し掛かって来たは驚いたけれども、その後に聞こえた音には、もっとビックリした。
ずっと耳を閉じていたけれども、まだ耳が痛い。
突然、セルゲイに持ち上げられた時には、パニックを起こしかけていたけれども、
目の前に広がる光景に息を呑んだ。
どんなに頑張っても倒せなかった「あいつ等」が、身動き一つしていない。
バラバラになって、床に倒れている。
セルゲイが「あいつ等」の死体を飛び越える時に、小川の小脇に抱えられているフォードが見えた。
満面の笑顔でフォードに手を振ると、同じように興奮した表情で手を振り返してくる。
>>232 「あいつ等」の死体の山を越えると、小川がセルゲイに擦り寄るように近づき、周りを見回している。
仲直りしたのかな?と思ってフォードもセルゲイに擦り寄ってみた。
ルーは、気分の悪そうな少女に擦り寄って、様子を見る事にした。
>>234 >「もっとも、あんだけデカけりゃ殻も厚そうじゃな。」
村田の言うとおり、デッド・ロブスターの殻は分厚い。
銃弾位なら、軽く止める事が出来る。
しかし、硬度がある分、銃弾のエネルギーを逃がす事が出来ずに、ひび割れを起してしまう。
連続して銃弾を受けたならば、その殻は簡単に砕け散ってしまう。
真っ赤な血のような殻は、銃弾を連続して喰らった事によって砕け散り、撒き散らされた。
殻によって体が支えられているデッド・ロブスターは、身動きが取れなくなる。
腐敗した、紫の斑点混じりの白っぽい肉が剥き出しとなったデッド・ロブスターは、身動きが取れなくなっていた・・・
>>235 >「こんな下品な化け物では、食べる気にもなれない」
デッド・ロブスターの目がアオヤマ博士の姿を捉える。
身の危険を察知したデッド・ロブスターは、全身をバネにして後退する。
そう、よくザリガニやエビが危険から逃げる時にやる、アレである。
アオヤマ博士が着地した瞬間を狙い、巨大なハサミが突き出される。
人間の首など一撃で切り落としてしまいそうなハサミだった。
気がつくと
俺はあの燃え盛る列車の前にいた
どうやってここまで来たのかも
これまで何が起こっていたのかも
もう、何もわからない
ただ、俺の前には俺が生きて脱出できる中で最高数値
0,0001%の脱出成功値を持つ脱出路がある
ここを登り、向こう側へいければ、俺は助かるのだ
もうこの地獄を見なくて済むのだ
炎の壁を、この炎の壁を越えさえすれば…
俺は、夢遊病の様に手を前にさらした
腕が焼ける
あっという間に黒く焦げ、骨が見え、溶けて行く
…熱さを感じない
…歩を進める
目蓋が熱い…視界がぼやけ、見えなくなる
体が泥の様に溶けて行くのがわかる
ああ、そうか…
俺は…俺は死ぬんだ…
……………意識が薄れて行く
………………薄れ行く意識の中で俺は、最後に…………死にたくない、と心から思った
状況:焼死(エンディング)
場所:地下鉄
所持品:なし
>>235 >「やはり、蜘蛛どもの始末は早い段階で済ませておくべきだったか
招かれざる客までおいでとは…」
ワシは聞き耳を立てていただけで、他には何もせんかった。
ま、この博士が色々知っているってのは、解った。
ザリガニだけでなく、蜘蛛の化け物も待ち構えているって訳だ。
>>238 銃弾を撃ち込み始めた時にゃ、頑丈すぎて撃つだけ無駄かと思ったが、そうでもないらしい。
撃ち込む内に殻が割れて、剥き身になりおった。
ま、こうなっちまえばエビチリと左程変わらん。
上手く料理してやるだけだ。
ワシは慎重に狙いを着けて、アンプルシューターを撃った。
博士の言う通りの効能があれば良いんじゃがな。
Judasの方を見てみれば、両方のハサミをもぎ取って、巨大なザリガニを何度も壁に叩きつけている所じゃった。
「さて、アンプルとやらの効果はどんなもんじゃろうな。」
状況:デッドロブスターにアンプルシューターを撃ち込む。
現在地:謎の下水道
持物:Mk.46マシンガン(157)、ワクチン(37)、 カプセルシューター(0)、カプセル弾X3
>238
「おっと、危ない…」
両腕を変態させ、デッド・ロブスターのハサミを受け止めてやった
なかなかどうして、勘の鋭い個体も居るものだな、と思った
ちゃっちゃと片付けたかったが、少々甘く見すぎていたようである
もっとも、変態さえしてしまえば大した相手ではない
私が自分自身に投与したウイルスは、このロクデナシより確実な代物だからだ
「余計なサプライズはお呼びではないのだがね」
そのまま受け止めたハサミを掴み、軽く引っ張って千切ってやった
外殻は硬くても、肉体組織は脆くなっている
こいつらを壊すことなど造作も無い
Judasが解体しているのと同じように、こちらも解体してやる
痛みでもがいているロクデナシを蹴飛ばし、壁に叩き付ける
「さて、もう終わりかね?」
>240
「蜘蛛に関して心配は要らないさ
生存者の一行が親玉の女王蜘蛛を始末したからね
生き残っている個体など、統制を失った有象無象の雑魚に過ぎない」
村田の考えを見抜いたのか、蜘蛛については心配は要らないとだけ言っておく
もっとも、女王蜘蛛に止めを刺したのは正気を失っていた時の私なのだが
>217
「…げほっ…げほっ」
粘つく様な空気に胸が苦しくなって咳き込んでしまう。
生温かく不気味な暗闇に重苦しい空気。
ぶちまける様に辺りに撒き散らされた、訳の判らない粘液を踏み付ける度に
背筋に気味の悪いものが這い上がってくる。
正直、此処にはあまり居たくない。
「…何か化け物が繋がれてたりしてね…きゃ!!」
予想を裏切らず、至近距離に浮かび上がった人影。
人の形をした無数の何かが目と口を塞がれ、呻き声を上げながら拘束された手足を動かしていた。
「何なのよ…これ…。此処で一体、何をやってたのよ。」
どうやらそれらは拘束によって動けないでいるらしい。
金属の音はこの鎖の音だったってわけか…。
「バキンってお約束で壊れて襲ってくるとかそうなったら不味いわよね、やっぱり。」
本当にそんな事態になったら困る。
粘つく地面を蹴って私は駆け足同然でその場所を通り抜ける事にした。
>錆び付いた扉の前に、歪な母性の象徴を黒檀に刻み込んだ彫刻を見つける。
>異常なまでに整った上半身はサモトラケのニケの様に両手が失われており、
>多産の象徴たる肥大化した下半身。
>2本の足は癒着し、蛇のような一本の足になり、背後の卵管へと繋がっている。
「えっと…これって…」
宗教的な意味を持った彫刻?
でも何でこんな所にこんなものが?
…違う、コレは…
>「…ミタサレネバ……ナラヌ…ミチネバ……ナラヌ……」
彫刻の首が動いてゆっくりと瞼が持ち上がる。
暗くてよく判らないけど、多分、赤く染まった様な目が私を見下ろした。
「貴女…一体誰?」
彼女はそんな事が聞えていないとでもいう風に私を眺めた後、自らの肉体を眺めていた。
突如見開かれる双眸。続いて搾り出す様な憎しみの声。
>「…ミナイ…デ……ミナイデ……ミ……ルナァァァッ!」
「え!?」
狂った様に床に倒れ込み、身体を蛇みたいに使って這いずる姿に息を飲んだ。
間違いない、殺す気だ。
>226>233
嘲笑を思わせる化け物の鳴き声と人間の足音が聞えてくる。
突然、今居る空間が光に包まれた。
彫刻の女は歯をガチガチと鳴らしながら接近している。
>「怒り狂ってやがんなぁ。美人に嫉妬ってか?へっへ!キャットファイトかよ!」
>「・・・化け物の群れ共の母親って訳か。この壁共は父親ねぇ。糞が」
この不釣合いな軽い口調の人物を今のところ私は一人しか知らない。
「え?母親?」
息を切らせている彼を振り返って引っ掛かった言葉を鸚鵡返ししてしまう。
母親ですって?
>「だが俺様にとっちゃあんたが超人だろうが病人だろうがどうでも良い話だ」
>「このいかれた現状を打破して帰って酒飲んで寝る。尤もこの体がどうなってんだか・・・」
「ッ!?」
撃ち抜かれると身構えたけど、どうやら彼の目的はミーミーと鳴いている仔猫に向けられている。
「同感ね。こんな気味悪い所から早く出たいわ。」
ナイフを構え殺意を剥き出しにした化け物の母親と睨み合いながら言葉を返す。
「キャットファイトなんて生易しいもんじゃなくて、女の修羅場が見れるかもね。」
いえ、化け物同士の殺し合いが正しいか…。
蛇の様に這いずる相手には周り込んで刺せばなんとかなる。
その傷口からどさくさに紛れて私の血液を―
甘かった。完璧に目の前の対象に囚われて背後への注意が全く無かった。
傷を負ったままの左肩を、背後から猿の化け物に引っ掻かれ倒れこんでしまう。
それを待っていたとばかりに彼女が恐ろしい勢いで迫り、圧し掛かってきた。
所持品:錆びた鍵 H&K MP7 ナイフ
現在地:旧日本軍駐屯地跡 実験場内隠し通路
状況:左肩負傷(未処置) モーロックの母親と不利な状況で格闘開始
>>233 ウルタール達を咥えたモーロックは、通路の一番奥の扉の手前に子猫達を投げ飛ばした。
子猫たちに怪我は無いが、怯えきった表情でミャアミャアと鳴いている。
>「このお嬢ちゃんは役に立つかなーと」
母胎の背後にあった卵管の中から、モーロック達が飛び出す。
皆が一様に喘ぎ、苦痛の呻き声やか細い泣き声を上げている。
未だ完全に形成されていない皮膚、剥き出しになった内蔵、零れ落ちそうになっている眼球、
中には骨すらも満足に出来上がっていないモーロックも居る。
母胎が抜け出した事によって、管理されなくなった卵管から飛び出した未熟児達。
相当な数のモーロックが、床だけでなく、壁や天井に張り付き、ミヒャエルに肉薄しようとする。
>>242-243 >「キャットファイトなんて生易しいもんじゃなくて、女の修羅場が見れるかもね。」
山田あすかの勝気な台詞を嘲笑うように、母胎がカチカチと歯を鳴らす。
ゆっくりとその存在を誇示するように、這いずり回る母胎。
>「キャットファイトなんて生易しいもんじゃなくて、女の修羅場が見れるかもね。」
ミヒャエルが警告を発するよりも早く、一匹が山田あすかの左肩に一撃を喰らわせる。
引き裂く、というよりも引き摺り倒す為の一撃だったのかもしれない。
山田あすかが倒れ込んだ瞬間、母胎の上半身が圧し掛かる。
大きく開いた、牙の除く口から、湿った土のような匂いの息が吐き掛けられる。
咽喉元に噛み付く直前に、母胎の整った顔立ちが邪悪に歪む。
べろり、と長い舌が山田あすかの顔を舐める。
若く、健康な、人間の女。
「……新タナル……母……新タナ血……新タナ……子宮……」
より陰鬱で悲惨な復讐。
しなやかな蛇の体で山田あすかを抱き締め、無理やり立たせる。
その姿は、巨大な蛇がとぐろを巻いたまま、獲物の全身を締め付け、骨を砕こうとする姿に似ている。
ただ、蛇と違うのは山田あすかの健康を気遣うように、優しく抱き締めている事位だろう。
力を振り絞れば、何とか引き剥がす事が出来るかもしれない……
「供ニ……父達ノ元ヘト……参ロウゾ…」
再び、山田あすかの顔を舐める母胎。
長い舌が咽喉元をくすぐり、歪んだ喜びに満ちた目が笑う。
モーロック達の大海嘯は、モーゼによって割られた海のように二人を避け、ミヒャエルへと肉薄しようとする。
母胎は、その大海嘯の中を悠然と進む。
山田あすかを、父親達と合わせる為に。
>>240 打ち込まれた錠剤は、即効性の劇薬に等しい効果を齎した。
ウィルスによって半ば強引に生かされていた細胞が、一気に崩壊していく。
錠剤が打ち込まれた細胞に潜伏していたtウィルスが変異し、ウィルスを食い荒すウィルスに変化する。
その効果は、感染の程度が低ければ生命に関わらないレベルだった。
しかし、デッド・ロブスターは充分過ぎるほど、ウィルスの恩恵を受けていた。
既に死滅してしまう程ダメージを受けていた細胞は、ウィルスのよって通常のレベル以上の生命力を与えられていた。
生まれ変わったtウィルスに食い荒され、エネルギーの供給がストップした今、細胞は生命活動を急速に停止していった。
全身のウィルスが食い荒された時、デッド・ロブスターの体は、溶けるように消えようとしていた。
>>241 >「余計なサプライズはお呼びではないのだがね」
突き出された鋏を易々と受け止めた博士の手によって、デッド・ロブスターが軽々と解体される。
もう一方の鋏も受け止められ、思いっきり振り回されてしまう。
腐りかけた組織は、振り回された際の遠心力に耐え切れない。
鋏を博士の腕の中に残したまま、投げ飛ばされた。
追い討ちの一撃は強力で、壁まで軽々と蹴り飛ばされてしまった。
その衝撃で殻が砕け散り、組織には修復不可能なまでに痛めつけられる。
殺戮の為の両手を失い、組織に致命的なダメージを負った今、
デッド・ロブスターはヒクヒクと触覚を動かす事しか出来なかった。
そして、一分と立たない内に触覚の動きが止まり……完全に死に絶えた。
>244
2匹の猫は奥の扉へ飛ばされ、母の遺した卵管より化け物が這い出す。
ある者は天井へ、ある者は壁へ。
>未だ完全に形成されていない皮膚、剥き出しになった内蔵、零れ落ちそうになっている眼球、
>中には骨すらも満足に出来上がっていないモーロックも居る。
>母胎が抜け出した事によって、管理されなくなった卵管から飛び出した未熟児達。
>相当な数のモーロックが、床だけでなく、壁や天井に張り付き、ミヒャエルに肉薄しようとする。
「普通なら生命の誕生・神秘の瞬間って所だが残念ながらてめぇら糞供は生命じゃねぇ」
「半端な奴が半端じゃねぇ俺様に勝てるとでも思ってんのか?まとめてアッチに送ってやらぁ」
「ガキ供はそこで大人しくしてな。ほんのチョットだチョット」
視界の端の女性から返答が来る。
>243
>「キャットファイトなんて生易しいもんじゃなくて、女の修羅場が見れるかもね。」
「修羅場と来たもんだ!そいつぁ楽しみ・・・おい!」
声を掛けるよりも先に山田あすかに化け物の1匹が飛び掛る。
「糞!俺が見逃しちまうとは!」
>モーロック達の大海嘯は、モーゼによって割られた海のように二人を避け、ミヒャエルへと肉薄しようとする。
>母胎は、その大海嘯の中を悠然と進む。
>山田あすかを、父親達と合わせる為に。
まるで濁流の様に押し寄せる群れ。起こされ抱擁される山田あすかに言い放つ。
「いらっしゃいませ♪てなもんだ。おい姉ちゃん!動けるんだろ?」
「俺様が2発撃ったらババァの裏へ飛びな!続きは合図してやっからよ!」
新しく手にした得物を構え、狙いを定める。
「あんまりグレネードは得意じゃねぇが贅沢言ってられねぇな」
「来い・・・来い!もっとだ、もっと近く」
十分な距離を得る。同時に続けて2発左右の流れに撃ち込む。
「今だ!飛べ!ババァに一発くれてやんな!」
(撃ち漏らしが合ってもしゃーねーな。姉ちゃんに当たっちまう。面倒だが相手してやらぁ)
「おらおら!どこに目ぇ付けてんだ出来損ないの糞供!俺様はこっちだぜ!」
所持品: C4/1ポンド C4用信管*9 リード8m*0 M590C(mossberg)*6(0発装填済み)
Glock 19*10(15発装填済み) オイルライター
建物の間取りとマークの付いた地図帳(55F・40F・B?にマーク) 小型受信機
OICW ライフル15/30 予備130/30 グレネード1/10
現在地:旧日本軍駐屯地跡 実験場内
状況: モーロックの集団へ射撃。撃ち漏らし在り。
>178
「なんだ!?」
勝負の終幕は突然だった。
千堂とアドヴァンストがいる大広間に新たな怪物がやってきたのだ。
それだけではなく怪物は、その場にいた他の怪物を襲い始めた。
このままでは千堂も襲われる事は間違いないだろう。
「ちっ、勝負所じゃないな・・・」
千堂は一度、アドヴァンストに目を戻す。
どうやら、アドヴァンストもこちらへの注意が薄れているようだ。
千堂が覚悟を決めた時、何匹かがアドヴァンストに襲いかかった。
「今しかないな・・・」
小さく呟いた後、千堂は大広間の出口へと駆け出す。
その際に、地面に捨てたライフル拾っていく。
出口に向かう千堂に気づいた怪物は、千堂へと襲いかかるが、
「退けぇぇぇぇ!!」
近づいてきた怪物を手に持った日本刀で、上から下へ、右から左へと振り抜く。
抵抗をほとんど感じる事なく、斬る日本刀に心強く思う。
だが、少しでも走る事を止めれば、千堂の命運は尽きる。
今や、仲間を切り裂いた千堂は、怪物達に完全に敵と認識されたらしい。
千堂を追う数は少しずつ増えている。
「くっ、あと少しだ・・・」
出口まで、もう数メートルしかない。
千堂は死力を尽くして走る。
「おおおおっ!!」
最後の力を出して、出口を勢いよく飛び出して潜り抜ける。
出口を出ると同時に、ミヒャエルから預かった投擲用武器を抜き放ち、ソレを出口の上付近に投擲する。
息も切れ切れのまま、少しでも離れる為に重くなった足を引きずる。
その一瞬後、轟音が辺りに響きだす。
「うあっ!!」
爆風に煽られ地面を転がりながら千堂は、投擲用武器を渡したミヒャエルの顔を思い出す。
倒れたままの姿で、心の中で小さく愚痴を呟いた。
(こんなに、威力があるなんて聞いてないぞ・・・あのおっさん)
所持品: 腕時計 古刀 脇差 ナイフ 空薬莢(3)
357マグナム(弾数6)予備の弾7発 工具 パール
マガジン(20)×6 投擲武器×1
レミントンM700(2) 予備弾(47)
青い液体の入ったケース(ウイルス)
現在地:旧日本軍駐屯地跡 実験場内
状況:大の字になって呼吸を整えている。
>231-232 >237
>「星輝丸の一件を思い出すな、啓太君。」
私はびっくりした。ケイタという知り合いは聞いたことが無い。
そういおうとして、気づいた。鈴木さんの目には私でなく、別の誰かが映っているようだ。
>「だが、大丈夫だ。あの・・・玉座を作った化け物がうろついているが、大丈夫だ。俺が居る。」
そう言って、鈴木さんは私を安心させるように肩をそっと叩いた。
私はだまって頷いた。
ルーが不思議そうな顔をしてるけど、「私ケイタ君じゃないよ」とはとても言えなかった。
>「無事で居てくれて、本当に良かった。」
>そして続く爆風。
>「でも、あいつと蹴りを着けなきゃならないな。」
ケイタ君って誰なのかな。聞いたこと無い名前だから、この村の子じゃないはずだけど。
玉座を作った化け物ってどんなのだろう?
鈴木さんにとってはすごく特別な存在って感じはするけど、よくわからない。
>「AKを撃ち尽くしたらグレネードを撃つ。グレネードの爆発が収まったら、直ぐに移動するぞ」
私達は鈴木さんと一緒に爆発に巻き込まれないよう避難した。
鈴木さんは防寒着を捨てていくみたいだ。
でも、さっき鈴木さんはなんだか熱っぽかったみたいだ。薄着で本当に、大丈夫なのかな。
「どこかに服の予備があるといいんだけど」
飯田のおじいちゃんがいてくれたら場所を教えてくれたかもしれないけど、逸れてしまった。
>「行くぞ」
床は倒された怪物の残骸ですごい事になっていた。
「怪物、死んでる?ここ、歩かないとだめ?」
私は口元を押さえながら言わずもがなの事をたずねた。
セルゲイさんはひょいとフォードを抱き上げると、残骸が転がる床を飛び越えるように進んでいった。
鈴木さんはルーを肩に担ぐと、私の手を引いて床を移動してくれた。
すごい臭いとスプラッタな光景で私は吐きそうなのに、ルーもフォードもなんだか嬉しそうだ。
あの化け物のこと知っていたみたいだから、化け物に色々酷い目に合わされていたのかもしれない。
何度か滑りそうになったけど、無事渡る事が出来た。
>237
セルゲイさんと鈴木さんが周りを警戒している。銃の弾を交換するのかな?
気持ち悪い。はきそう。
でも、隣のルーの前でそんなことしたら心配するよね?、
「ばらばら。怪物が死んでる」
私は気を紛らわせようと、ルーに身振り手振りで言葉を話した。
ルーもフォードもすごく頭がいいんだから、少しつづでも意思疎通が図れたほうが良いよ。うん。
フォードが鈴木さんの真似をしようとしているのをはらはらする。
「フォード、こっちにおいでよ」
鈴木さんが携帯電話の会話に戻っていくのを聞きながら、私はふと考えていた口にした。
「夜明けと共にミサイルが飛んでくるらしいんだけど、この施設は大丈夫だと思う?
もしミサイルが落ちたとしたら、さっきの、猫さんたちの棲家はどうなっちゃうのかな?」
鈴木さんの電話の邪魔にならないよう気をつけながら、二人の男性に疑問をぶつける。
>232
僕は携帯電話を取ると、通話ボタンを押した。
小川平蔵からの着信だ。ここで時間を割いても茶番でしかない。
全参加者への通達は無事に行き届き、何人からかは了解の意を伝える
メールが送信されてきていた。
僕の範疇から外れるが、
この男の処刑されるまでの数十分をゆっくり堪能するのも一興かも知れない。
「明石トオルです、よろしく
ご存知かと思いますが、有谷の話していたことは全て真実です」
今更僕が何を言おうと、状況はどこにも転ばないし、この男の運命も変わらないのだ。
「そろそろそこも慣れてきたでしょう。どうです?もう居心地が良いくらい
なんじゃないですか?」
同時刻
九武村内をブーマーと呼ばれる化け物が闊歩する。
明石トオルのメールを受けた携帯電話のいくつかは、彼の腹中に埋まっている。
何人かの狩人が、この巨体の餌食になったのだ。
両手に握られたグレネードランチャーが鈍く光り、この6メートル程の巨人の姿が
地鳴りと共に悠然と移動している。全身の肌は漂白されたかのように白く、
のっぺらぼうのようなまっさらな顔面の上では、潰れたように小さな2つの目が瞬きしている。
肩から突出した筋肉を左右に打ち振りながら、頑強な肉体を持つ巨人が
研究所の姿を視認する。
>241
>「蜘蛛に関して心配は要らないさ
生存者の一行が親玉の女王蜘蛛を始末したからね
生き残っている個体など、統制を失った有象無象の雑魚に過ぎない」
>「その生存者の中に・・・身長が170センチ位の男は居たかな?
今の君なら解るんじゃないかな?無害に見えるが獣を内側に飼っているような男だよ。」
その男には、ワシも心当たりがあった。
分校の体育館でワシの・・・ワシの計画を邪魔した男だ。
思い出すだけで腸が煮え返りそうじゃが、当のJudasは涼しい顔をしておった。
ま、見ててぞっとするような顔じゃったがな。
この時はまだ、鈴木と名乗った刑事の正体なんぞ知らなかった。
>245
アオヤマ博士が寄越した錠剤の威力にゃ、流石のワシも驚いた。
こいつを大量生産出来りゃ、どんな化け物も敵にはならんだろう。
「大したもんじゃないか、博士。」
アンプルシューターに新しい錠剤を込めながら、博士に向ってワシは言った。
見事にザリガニの化け物を解体しちまった空になっちまった博士の言葉を思い出したってのも理由の一つだ。
博士がまた暴走しちまう可能性があるからな。
>247
鈍い轟音に続いて、揺れた天井からパラパラと塗装が落ちてくる。
まさかアスベストは使っとらんだろうな?
この状況じゃ大して関係無いかもしれんが、先々の事を考えれば余計な面倒は背負い込みたいとは思わん。
「結構近いな?」
あんな音を立てるのは人間くらいのもんだ。
つまり、まだまだ生き残りが居るって訳だ。
これで先へ進む楽しみが出来たってもんだな。
状況:千堂の立てた爆音を聞き取る。
現在地:謎の下水道
持物:Mk.46マシンガン(157)、ワクチン(37)、 カプセルシューター(0)、カプセル弾X3
>232
>「マガジンチェンジが必要なら今のうちに。私がカバーします。」
素早い動作で弾倉を交換し終える。数え切れないほど繰り返した訓練の賜物だ。空になった弾倉が
地面で音を立てて転がる前にセルゲイは再装填を完了していた。AKの装填のついでに擲弾にも
榴弾を込めておく。ベルトキットのポーチから鶏の卵よりも大きな40mm擲弾を取り出し、発射器の
銃口から装填する。
>237
フォードが擦り寄ってくる。鈴木の真似をしているのだろう。仔猫の純真そうなつぶらな瞳がこちらを見上げていた。
愛らしいが、今は邪魔になる。かといって邪険にすることもできない。
「この二匹の面倒を見てくれ」
困ったセルゲイは少女に仔猫の面倒を見るよう頼む。戦闘は自分の担当だ。子守までは余裕が無い。
>248
>「フォード、こっちにおいでよ」
少女に手招きされてフォードが離れていく。その間際、セルゲイはくしゃりと仔猫の頭を優しく撫でた。
「…地表貫通型でない限りはそれほど大した損害は地下の施設には与えられないだろう。
ただし、連中はそれも織り込み済みな筈だ。恐らく、地表攻撃と地下攻撃の併用だろう」
淡々と事実を語るセルゲイ。ガスマスクに覆われたその表情は少しも窺い知れない。
「地下攻撃の際にはキロトン程度の戦術核を使用するかもしれないという情報もある。これはまだ未確定だが。
どちらにしろ、連中は本気でこの村を消そうとしている。ここにあるのは連中にとっては非常に都合が悪いもの
ばかりだからな」
だが、この仔猫達まで根絶やしにするのは心苦しい。彼らは死と破壊を生み出すBOWの中にあって、
初めてそれ以外の可能性を示した好例だ。その可能性の芽を摘むのは残念だ。
「だがそんな心配はここから生きて脱出してからにするべきだろう」
セルゲイは先頭に立って進み始めた。
持ち物:AK103カスタム(30)+GP30グレネードランチャー(1)、グロック20カスタム(15+1)、RGD-6手榴弾×5、
VOG25高性能炸薬榴弾×9、30連AK弾倉×10、15連10mmAUTO弾倉×6、AKバヨネット、
謎のサンプルケース、安全ピンのネックレス、他省略
現在地:旧日本軍駐屯地跡 地下
状況:移動再開
>>245 「掃除完了、思ったより楽しめたよ」
そう言うと、頭部を踏み潰して止めを刺す
ロクデナシの割りにはいい動きをしてくれた
苦しませての生殺しではなく、止めを刺してやったのは一つの礼だ
まあ、十分苦しませて殺してしまったわけだが…
>>250 >「その生存者の中に・・・身長が170センチ位の男は居たかな?
今の君なら解るんじゃないかな?無害に見えるが獣を内側に飼っているような男だよ。」
「そんな男も居たような気がしないでもないな
だが、あの時の私は地下を独占することで頭がいっぱいだったんだ
はっきりとは覚えていないが…
ただ、戦闘時に雰囲気がガラリと変わったのは印象に残っているよ
あれが隠れたケモノとでも言うべきなのかね?」
記憶を手繰り寄せ、覚えていることを思い出せる限りで思い出して語る
おそらく、あの男はまだ生きているだろう
ああいう手合いは簡単には死ぬまい
私が極上の肉と認めただけのことはある相手だった
「村田さん、早くも一発使ってしまったのか
一応君にとっては切り札なのだから、もう少し大事に使った方がいい
あの程度の相手、パンチの一発で以て片付けられないのかね?」
もっとも、使い切ってくれた方が背後の脅威が無くなるので安心だが…
パンチで片付けろと言ったのも一種のからかいである
…あのカプセル弾には、私の作ったウイルスの変異種が封入されている
既存のウイルスを喰らい、宿主の肉体そのものも溶かして死滅させる強力なものだ
しかし、寿命が短く空気にしばらく触れただけでも死んでしまうほどに脆い
253 :
母胎:2008/09/19(金) 00:00:52 0
>>246 蛇のように長い胴体で山田あすかを包み込んだまま、母胎と子供達が前進する。
>「俺様が2発撃ったらババァの裏へ飛びな!続きは合図してやっからよ!」
母胎を中心とした群れは、ミヒャエルなど目に入らぬ蟻のように考えている。
ぶつぶつと呟くミヒャエルを見て、母胎が笑う。
人間一人風情に、何が出来るというのだ?
>「来い・・・来い!もっとだ、もっと近く」
連続して発射されたグレネードが、爆ぜる。
焼けた金属片が超音速でばら撒かれ、群れに致命的なダメージを与える。
もし、通常のアッドオン・グレネードランチャーであれば、精々左右それぞ10匹を殺す程度で終わってしまう。
群れの中心に着弾したとしても……破片と爆風はモーロックの体によって遮られてしまう。
しかし、ミヒャエルの手によって発射されたグレネードは、
OICW次世代戦闘小銃に内蔵されたコンピュータと連動し、怪物達の頭上で爆ぜた。
降り注ぐ破片と爆風は、何かに遮られる事無く、最大の殺傷能力を発揮したのだ。
一瞬にしてあまりに多くの犠牲を出したモーロック達は、パニックに襲われてしまった。
群れの動きがぎこちなくなり、攻撃色が薄れ、恐怖に立ち竦んでいる。
今なら群れの中を駆け抜けても、何とか無傷で突っ切れるだろう……
予想外の爆音を聞いた瞬間、母胎の体は完全に弛緩しきってしまった。
山田あすかが振り解こうとすれば、充分に逃げ出せるレベルまで弛緩している。
しかしながら…群れの中心に居る存在は、完璧なまでに無傷だった。
その貌が破片によって滅茶苦茶にされる事も無ければ、手足も完璧に無事だった。
……母胎に包み込まれた山田あすかは、全くの無傷だった。
代わりに母胎は、相当なダメージを受けていた。
美しい顔の左半分は爆風の直撃を受け、皮膚が完全に炭化している。
ポロポロと炭が落ち、頬骨が剥き出しになっている。
さらに豊かな乳房は、飛散した金属片によってズタズタに切り裂かれている。
傷口からは、白い脂肪と赤い血が混じった体液が流れ出している。
母胎は、苦痛から逃れるべく、前進を床に叩きつけ、言葉にならない何かを叫んでいる。
ミヒャエルも山田あすかも、完全に意識外へと追いやられていた。
>244
>大きく開いた、牙の除く口から、湿った土のような匂いの息が吐き掛けられる。
>咽喉元に噛み付く直前に、母胎の整った顔立ちが邪悪に歪む。
>べろり、と長い舌が山田あすかの顔を舐める。
よくよく見ると、彼女はとても綺麗な顔立ちをしていた。
多分憎悪に囚われていなければこっちが見惚れてしまう程に綺麗な人なんだろう…。
喉元に喰らい付こうとするまさにその間際で彼女の動きが止まった。
獲物の状態を確認するかの様に這わされた不快な舌。
>「……新タナル……母……新タナ血……新タナ……子宮……」
「…え?!」
今、何て言った?
新たな母?新たな子宮ですって!?
まさかと思っているうちに、しなやかに身体を使い絞め殺さない様に抱き起こされた。
私を、化け物の母親に…するですって?
『―――面白いじゃないの。心臓部を見学させてくれるのね。』
胸の奥底から仄暗い好奇心がふつふつと湧き上がってきた。
彼(>246)には悪いけど、彼女の子供達を根絶やしにしてしまうには、巣の心臓部を握り潰してしまうのが手っ取り早い。
いいえ、それ以前に彼女そのものに興味が湧いた。
決して短くない時間をどうやって過してきたのか。
彼女の子孫繁栄、種の継続の欲望は何処まで深いのか。
そして、巣に自ら抱き入れた新たな子供を宿すための器が彼女達の天敵だと知った時、
その綺麗な顔をどんな風に歪めてうろたえるのかしら。
勿論恐怖する気持ちもあった。
それと同時に残虐な化け物としての思いもあった。
ニンゲンの感情とバケモノの感情が同時にあって、マーブル模様の様に入り乱れているみたい。
対面させられた父親達はさっき見た繋がれた生き物だった。
「一妻多夫だなんて羨ましい事。」
軽口を叩いて、呻く人の形をした「父親達」を眺めてみる。
何処と無く彼女は誇らしそうに見えた。
ええ、貴女は賢いわ。多分手は加えられているとは言えこれだけを生かさず殺さず扱えてるんですもの。
そして同時に愚かだわ。だってまだ私の正体に気付いていないなんて。
まぁいいか…暫くは大人しくしていよう。
「で?私をこれからどうするつもりなのかしら?言っとくけど私は好みに煩いのよ。」
所持品:錆びた鍵 H&K MP7 ナイフ
現在地:旧日本軍駐屯地跡 実験場内隠し通路
状況:左肩負傷(未処置) 「父親達」と対面
>>230 >「随分と・・・物騒なものもってんのな・・・」
周囲を警戒するマトバの顔を覗き込みながら、不規則なステップを踏みながら
俺は頷く。
「人間ってのは野蛮なもんさ。上面じゃ、理性の仮面を被ってても
所詮自分が追い詰められればなんだって使う。
相手の顔を吹き飛ばす銃も、相手の胸を抉るナイフだってそうさ。」
そう云いながら、俺は銃声のした方角へ歩いていく。
>「なんだ、バリケードは突破してくれたか」
マトバの言葉に何度も何度も狂ったように相槌を打ちながらさらに
奥へ歩いていく。
「友達になれそうだったら組む。なれないなら殺す。それだけだ。」
所持品:ナイフ、紙屑(研究資料の一部?)、トランクケース(中身不明)、タバコ、拳銃型ライター
、試験管(大森の血液)
状況:銃声を放った謎の人物への興味を持つ、奥へ向かう
>251 >255
まるで臭いを確かめる犬のように、何度も何度も相槌を打つキリング・ジョーク。
ナイフ一本で何が出来るというのか、何を見せてくれるのか、
俺は好奇心から彼の背後を追跡した。
そういえば銃撃の主は俺が捜し求めている人物の可能性もある。
奴が単独行動ならば都合が良い、そうでなければ乱戦になってしまうだろうか。
そんなことなら協力関係を装って、落ち着いた雰囲気になってから1対1の戦いに興じる
ように仕向けよう。
>「友達になれそうだったら組む。なれないなら殺す。それだけだ。」
「友達か……」
得体の知れない男が使うと不気味な言葉だな、と俺は苦笑する。
研究所の通路は風通しがよく、時たま轟音と共に夜風が吹き抜けた。
これで化け物の腐臭も何処かに流れ去ることだろう。
閉塞した地下の闇のなかで、唸り声のような風の音に俺は耳を済ませる。
突然、通路を折れ曲がったところでガスマスクに遭遇した。
脇には幼い子供と、2匹の猫。
闇のなかで光る2つの目に凝視されながら、この男が抱える銃器から
彼が先ほどの銃声の主だろうと直感する。
「なにもんだ?」
横の子供は誘拐でもしたのだろうかと俺が呆としていると、何やらキリングが動きだしそうな
兆候が見え始めたので、俺は身を引いてその場を見守った。
状況・ 小川達と遭遇。小川の存在には気付いていない。
装備品・スナイパーライフル(8発)、写真、エビリファイ錠剤、携帯電話
>231>232
>「AKを撃ち尽くしたらグレネードを撃つ。グレネードの爆発が収まったら、直ぐに移動するぞ」
爆風の届かぬところに隠れる。銃声の後に、強烈な爆裂音が響いた。
>「行くぞ」
化け物の死骸で床が埋め尽くされた後、セルゲイが言う。小川さんは肩に猫を担ぎながら、
>「足下には充分、気を付けて下さい。」
僕に言った。
「わかりました」
返すと、死骸をなるたけ踏まないようにして歩く。
>248
>「ばらばら。怪物が死んでる」
身振り手振りで猫に説明する彩ちゃんに思わず笑みが漏れる。
フォードという猫を呼んだ後、
>「夜明けと共にミサイルが飛んでくるらしいんだけど、この施設は大丈夫だと思う?
もしミサイルが落ちたとしたら、さっきの、猫さんたちの棲家はどうなっちゃうのかな?」
え、と思った。その話は耳にしてないけれど―――
ここで自分も疑問を口にするには忍びないので黙っておくが、気になった。
>251
>「…地表貫通型でない限りはそれほど大した損害は地下の施設には与えられないだろう。
ただし、連中はそれも織り込み済みな筈だ。恐らく、地表攻撃と地下攻撃の併用だろう」
彩ちゃんの問いに淡々とセルゲイが答える。ガスマスクで顔が覆われているため、どんな表情を
しているのかはわからない。
>「地下攻撃の際にはキロトン程度の戦術核を使用するかもしれないという情報もある。これはまだ未確定だが。
どちらにしろ、連中は本気でこの村を消そうとしている。ここにあるのは連中にとっては非常に都合が悪いもの
ばかりだからな」
意地でも脱出しなければならないということか。
>「だがそんな心配はここから生きて脱出してからにするべきだろう」
そう言うとセルゲイは先に立ち、歩き始めた。
現在地:旧日本軍駐屯地跡 地下
258 :
母胎:2008/09/20(土) 00:58:13 0
>>254 >「で?私をこれからどうするつもりなのかしら?言っとくけど私は好みに煩いのよ。」
女の声に反応し、父親達が歓喜の声を上げる。
久しぶりの楽しみに、興奮を抑えられないのか、宙に向って腰を動かしている。
父親達が体を動かすたびに、金属が擦れる音が地下道に響く。
騒がしく、闇と言うブラインドが無くなった今では、お世辞にも美しいとは言えない光景。
種の存続の喜びに打ち震えているのか、欲望を満たす為に打ち震えているのか。
母胎の顔は、喜びと威厳に満ち溢れている。
普段以上に興奮している父親達の姿に嫉妬する事も無ければ、
狂った種族の繁栄の為に、自らの体を捧げていた事を後悔する表情も無い。
純粋に新たな種の誕生を祈り、そしてようやくその日がやってきた事を喜んでいた。
狂気が生み出した気の遠くなるような戦略。
彼女は、地下世界に新たな種が生まれる事を切望している。
不死に近い長寿を持つようになった彼女の計画。
彼女は新たに生まれた種と交わり、新たな血を生み出す。
……狂気の誕生は、半世紀以上も前に遡る。
駐屯地の実験によって様々な臓器を摘出され、投与されたウィルスによって生かされた捕虜達は、
単純労働の担い手として重宝されていた。
初期段階では生命に関わる事の無い手足を切除を、中期には消化器官の切除を、
最終的には、失われれば死に繋がる心肺機能に関する実験が始まった時期に脳に損傷を受けた丸太が多発した。
手足や胃腸は、大部分が失われても出血さえ止めれば、ウィルスの効果によって代理器官が発生する。
しかし、心臓や肺の切除を受けた実験体は、脳への酸素供給が止められた事により、脳死状態になったのだ。
ウィルスの再生能力にも限界は存在する。
破壊された脳細胞の再生は行われるが、再生された脳細胞は無垢な赤ん坊の脳細胞そのものであり、
脳細胞に宿っていた記憶や経験は、完全に失われていたのだ。
結局、この問題は気温の低い冬場に実験を受けた丸太ほど損傷が低いと言う傾向から、
低温状態であれば脳の損傷リスクが下がると言う科学的事実が発見された。
丸太を解剖し、脳の損傷度合いの分析をしていたこの軍医は戦犯としての処罰を逃れ、
高名な脳外科医となって人々の命を救ったのである。
防疫給水部隊に所属していた軍医の多くは、戦後、人体実験の成果を活かし、医療分野で活躍したが、
それは別の話である。
研究が終盤に差し掛かった時期と戦争が末期に差し掛かった時期はほぼ同じであり、
男手が足りない為に、命令を理解出来る程度に損傷を受けた丸太を労働力として使い始めたのだ。
彼等は疑問を持たずに地下に巨大な実験場、すなわち自身の墓穴を掘っていたのである。
彼等の生活の面倒を見ていたのは、診療所を兼ねたサナトリウムに勤める看護師だった。
彼女達は丸太の健康状態を維持する事が労働力の向上に繋がり、それが実験場の早期完成に繋がると考えていた。
しかし、戦況が悪化するにつれて、一人また一人と看護師達は沖縄に送られた。
最後まで残った看護師は、終戦直前に完成した地下実験場へと丸太と供に閉じ込められてしまった。
研究結果や捕虜に対する非人道的な扱いが占領軍に知られるのを恐れた為だった。
現場の軍医達は頑なに反対し、実験が完成すれば本土防衛も不可能ではない、と主張した。
上層部は迷ったが、2発目の原爆が落ちた時、上層部は封印するように厳命した。
結局、作業していた丸太と、最後まで九武村に残っていた看護師は、そのまま地下に閉じ込められてしまった。
彼女は丸太たちに不安を与えぬよう、明るく振舞った。
彼等が脳に受けた損傷は軽く、意思の疎通や他人の感情がある程度、理解出来たのである。
それなりの量の食料が地下実験場には残されていたし、放たれた動物達を食べれば生き長らえる事が出来る、と信じた。
何よりも、封じられたのは事故であり、何時か救助にやってくると信じたのである。
259 :
母胎:2008/09/20(土) 01:00:59 0
体が重く、意識が朦朧としていた。
彼女は妊娠している事に気が付いた。
戦地に行った恋人の子供だろうか?
目がぼやけ、食料となった生き物達の姿が、日に日に異形に変わっていくように見えた。
丸太達は狩りに出かけ、食料を得ては、彼女の口に押し込んだ。
時折、誰かに圧しかかられるような気がしたが、何をされているのか解らない。
だが、お腹の中の赤ん坊の為にも、食べなければならなかった。
時折、恋人の顔が瞼に浮かぶが、それが誰だか解らない。
彼女に残されていたのは、お腹の中の赤ん坊の事だけだった。
未来と希望だった。
陣痛は無かった、ただ、赤ん坊が生まれた事だけが解った。
恋人の赤ん坊を抱き締めようとして、我に帰った。
私の腕の中に居る生き物は、一体何なんだろう。
自分の体を見下ろして、叫び声を上げた。
私は、一体何になったのだ?
狂気が彼女を押し潰す。
誰の子供とも解らない赤ん坊。
肥大した胴体に着いた手足は、昆虫のように細長く、潰れきった鼻と不気味に動く目。
皮膚は斑に覆われていた。
地獄の餓鬼さながらの醜さだった。
パンドラの箱は開いてしまった。
残ったのは、歪んだ希望だ。
彼女は、狩りの褒美を父親達に与えるようになった。
子供を産む事は、喜びでなかった。
未来、そして希望を宿す事が喜びだった。
月日が流れ、食料は今や凶暴で危険な存在になっていた。
父親達が狩りを成功させる事は、少なくなっていた。
子供達に命じて、父親達を殺そうかとも考えたが、思い止まった。
代わりに子供達が獲物を連れて来た。
瀕死の怪物と交わる事も有ったが、子供は出来なかった。
殺さなくて良かったと、彼女は考えた。
だから彼女は受け入れた。
誰だか解らない若い軍人の顔がぼんやりと暗闇に浮かぶが、今となっては意味をなさない幻だ。
今の彼女に取って、子供は幸せの道同義語だ。
>249
>「明石トオルです、よろしく
ご存知かと思いますが、有谷の話していたことは全て真実です」
差し向けられたゲームのプレイヤーとは、まだ出会っていない。
だが、今の九武村は絶好のプレイグラウンド(遊び場)だ。
外界と分断され、治安維持の為の警察力は崩壊し、夜明けと供に全てが消え失せる。
>「そろそろそこも慣れてきたでしょう。どうです?もう居心地が良いくらい
なんじゃないですか?」
余計なお世話だ。
「仕事で移動した先は、何時だって居心地の良い所ばかりでしたよ。」
寧ろ、平和な先進国で暮らす事の方が苦痛だった。
恐怖し、飢えに苛まれ、涙を流しながら泥に塗れて戦場を這いつくばる方が、
よっぽど充実した人生だと小川は考えている。
「お互い、これ以上話しても得るところは無いだろうね。」
電話を切り、そのまま携帯電話の電源を切る。
得られるものが無い以上、話すだけ無駄だ。
>247
実験場内から爆音が響く。
ミヒャエルが作ったIED(即席爆発装置)か?
少なくとも、まだ生き延びている事になる。
>248>251
>「夜明けと共にミサイルが飛んでくるらしいんだけど、この施設は大丈夫だと思う?
もしミサイルが落ちたとしたら、さっきの、猫さんたちの棲家はどうなっちゃうのかな?」
少女の疑問にセルゲイが答える。
>「地下攻撃の際にはキロトン程度の戦術核を使用するかもしれないという情報もある。これはまだ未確定だが。
どちらにしろ、連中は本気でこの村を消そうとしている。ここにあるのは連中にとっては非常に都合が悪いもの
ばかりだからな」
アメリカによる新型核兵器の研究開発は、21世紀入ってから急速に進んだ。
従来の全面核戦争用途から、反米国家への核拡散防止へとシフトしているのである。
>「だがそんな心配はここから生きて脱出してからにするべきだろう」
電話を終えた小川が、苦笑いを浮かべながら言う。
(ブコウスキーの爺め・・・調査不足ってレベルじゃ・・・ないぞ。)
傘社の主流であるデュラン派は、日本政府を介し、自衛隊に九武村を包囲するように指示を出している。
非主流派に出来る事は、サボタージュや情報収集位のものだ。
それにしても核搭載型のバンカーバスターを使用するとは!
原発の老朽化に伴なう事故として処理するのだろう。
「村人と一緒に脱出させた方が、猫の為にも良いと思います。」
研究員の観察記録を見る限り、近親交配が原因と思われる遺伝病を患う猫達も居る。
近親交配を防止出来るほど、充分な個体の数が揃っていないのだろう。
どの程度先なのかは解らないが、ウルタール達の種としての破滅は、そう遠く無い。
可能であれば、安全な外の世界で種の黄昏を送らせてやるべきだ。
せめて、天に浮かぶ星々や太陽を見せてやるべきだと小川は思う。
>256
セルゲイが先行する廊下の先から、人の声が聞こえる。
聞き覚えの無い声だった。
>「なにもんだ?」
咄嗟にルーとフォードの手を掴み、通路の角の陰に引きずり込む。
好奇心旺盛な二匹の事だ、明石の言っていたゲームの参加者にも警戒せずに近寄るだろう。
対処はセルゲイに任せ、様子を伺う事にした。
状況:ウルタールと供に廊下の角へ隠れる。
>>248>>251>>256>>260 >「ばらばら。怪物が死んでる」
ルーは少女の言っている言葉の意味を考える。
一体どう言う意味なんだろう?
でも、少女の顔色の悪さが気になった。
もしかして、毒を喰らったのかな、とルーは考えた。
腰に括り付けていた小さな鞣革の袋から、一本の青い枝を取り出す。
解毒作用があるこの青いハーブは、ウルタールが集めた貴重品である。
日の光が無い地下の環境に育った為、葉っぱが無い。
見た目は只の青い枝だが、ミントのような匂いと仄かな甘味があり、解毒効果は抜群だ。
手にしていた枝を折って、少女の言った「ばらばら」にする。
そして、ばらばらになった枝を一欠けら口に含み、ガムのように噛み始めた。
少女にも一欠けらの枝を渡す。
>「フォード、こっちにおいでよ」
頭を撫でてくれたセルゲイを何回も振り返りながら、フォードが少女の下に駆けつける。
やってきたフォードが鼻をスンスンとならす。
ルーがハーブを渡し、周りにミントの香りが漂い始める。
>「夜明けと共にミサイルが飛んでくるらしいんだけど、この施設は大丈夫だと思う?
もしミサイルが落ちたとしたら、さっきの、猫さんたちの棲家はどうなっちゃうのかな?」
何やら深刻そうな話をしているが、ルーとフォードには意味が解らなかった。
>「なにもんだ?」
声の主をよく見ようとした時、突然小川に壁の影へと引きずり込まれた。
何が起きたのか解らなかった、ウルタール2匹は、小川の目を不思議そうに見ていた。
>256>255
>「なにもんだ?」
「その言葉はそっくりそちらに返そう」
平静を装ってはいるがセルゲイは内心では毒づいていた。
鈴木達との遭遇も予期せぬものだったのに、これ以上のイレギュラーとの出会いは遠慮したい。
穏便に済ませられればまだいい。しかし、それは難しいかもしれない。
AKのハンドガード部に装着されているフラッシュライトの光を二人の男に向ける。まともにこちらを
直視出来なければ正確な攻撃も出来ないだろう。
セルゲイは密かに鈴木の援護を期待していたが、その鈴木は二匹の猫を物陰に引っ張り込んでいた。
(糞、俺一人にやらせるつもりか)
いっそのことAKのフルオートで薙ぎ倒そうかと思った。そうすればこの面倒も直ぐに片付く。が、思い
留まる。今ここで連中を殺せば後ろにいる鈴木達が不審を抱くのは間違いない。それは避けるべきだ。
「……見ての通り、ここから脱出しようとしている最中だ」
フラッシュライトの電源を切り、AKの銃口を下ろす。だが連中が少しでも不審な動きを見せれば即座に
発砲できるようにしてある。
「私の名前はセルゲイ。あと他に子供が一人と大人が二人、猫が二匹」
相手がどう出るか反応を窺う。
「出来れば変な気は起こそうとしないで貰いたい」
持ち物:AK103カスタム(30)+GP30グレネードランチャー(1)、グロック20カスタム(15+1)、RGD-6手榴弾×5、
VOG25高性能炸薬榴弾×9、30連AK弾倉×10、15連10mmAUTO弾倉×6、AKバヨネット、
謎のサンプルケース、安全ピンのネックレス、他省略
現在地:旧日本軍駐屯地跡 地下
状況:的場とキリングに遭遇、下手に動くなと暗に警告する
>256
後ろを付いていくるマトバを背中で感じながら俺は歩く。
狂気の気配を背中でゆっくりと味わいながら自然と笑みが毀れる。
道の先に影が見える。ぼんやりとしていたそれは、ゆっくりと姿を現していく。
不意にマトバの声が聞こえる。どうやら奴も何モンかの気配に気づいたらしい。
>「なにもんだ?」
俺はマトバの声に重なるように云う。
「なぁ〜にんもんだぁ?ん?」
>>262 >「その言葉はそっくりそちらに返そう」
声の主は男だ。だが、その周囲に感じる無数の気配。
どうやらこいつも1人ではないようだ。
>「……見ての通り、ここから脱出しようとしている最中だ」
「ンフ……ヌフフフフフフフ……フヒッ…ヒャハハハハハハ…アァ」
男の返事を笑い声で返す。
「脱出か。そいつは無理な話さ。
全員、ここで死ぬ。いや、正確に言うなら……ここで 殺される って
いうべきかな?」
なんで俺が笑うかって?
楽しいから。うれしいから。ただ、それだけだ。
所持品:ナイフ、紙屑(研究資料の一部?)、トランクケース(中身不明)、タバコ、拳銃型ライター
、試験管(大森の血液)
状況:セルゲイを挑発
>247
自分が放った爆音よりほんの少し遅れて、後方より地響きと共に大きな爆発音が轟く。
「ぬお!?まだ爆撃まで時間あるよな?ったくどこのアホだ物騒なもん使ってんのは!」
自身の心当たりを探る。
「ん?あぁサムライボーイか。ちょっと激し過ぎたが巻き込まれて死んでねぇだろなぁ〜?」
>253
>群れの動きがぎこちなくなり、攻撃色が薄れ、恐怖に立ち竦んでいる。
>今なら群れの中を駆け抜けても、何とか無傷で突っ切れるだろう……
山田あすかが逃げる気配を見せない。
「へいへい。余計なお世話ってやつかよ。そんじゃこっちも適当にやってらぁ」
集団の隙間を縫い扉周辺の2匹の元へ駆け付ける。
「よぉ。待たせたな」
2匹をしっかり抱え上げ扉の前へ立つ。しっかりと施錠されており扉は開きそうに無い。
「こ・・・コラァー!何で鍵かかってんだー!」
扉を背に体勢を整える。
「ぶっ壊せそうにねぇし、ここの掃除してから考えるか」
2匹を背後に置きそれぞれ頭を撫ぜる。
「もうちっと辛抱しな。俺様はヒーロー様だからピンチでも何とかなるんだぜ」
「分かんねぇか。ヒーロー様な。ヒーロー様。覚えとけよ?」
「九官鳥じゃねぇから無理かぁ?へっへっへ」
所持品: C4/1ポンド C4用信管*9 リード8m*0 M590C(mossberg)*6(0発装填済み)
Glock 19*10(15発装填済み) オイルライター
建物の間取りとマークの付いた地図帳(55F・40F・B?にマーク) 小型受信機
OICW ライフル15/30 予備130/30 グレネード1/10
現在地:旧日本軍駐屯地跡 実験場内
状況: 2匹を確保 扉に阻まれ立ち往生
>262 >263
>「出来れば変な気は起こそうとしないで貰いたい」
暗闇からぬっと現れたガスマスクの男は、こちらを威嚇するように尋ねてきた。
キリングは心なしか、腹中で歓喜に震え舌をなめずりまわしているように見える。
俺はそのままライフルを構えて、返答に応じた。
「俺達も同じだ。敵意あるもんじゃない」
>「全員、ここで死ぬ。いや、正確に言うなら……ここで 殺される って
> いうべきかな?」
すると突然、笑い出したキリングが攻撃の姿勢をとった。
ある程度予想はしていたが、その行為に転じるまでの敏捷さに俺はうろたえ、
反応が一瞬遅れてしまった。
化け物め、ごたごたはごめんだ。
俺はライフルをキリングの脳天を狙って構えたが、いかんせん周囲は暗澹として視界が悪い。
とても標的を正視できる状態ではない。
唐突に発砲した銃弾は暗闇のなかであらぬ方向へと消えた。
その銃撃の際の発光のなかで、過去がフラッシュバックした。
白い病室のなかで回る景色。この世のものとは思えない絶叫。
全てが頭のなかで掻き乱すように錯綜し、突然の閃光の爆発のように意識がありありと覚醒した。
「くそ、こんなときに……」
俺はセルゲイの言葉を思い出していた。
(セルゲイ、子供が一人、大人が二人、猫二匹)
この連中のなかに小川がいない場合、とんだ消耗戦になってしまう。
俺は平静な自己を装いながら、脳を手で押さえてその場に昏倒した。
目を見開いたまま倒れこんで、キリングの立ち振る舞いを見守る。
片手にはしっかりとスナイパーライフルが握られている。
状況・殺人衝動の引き金となるフラッシュバックを見る。演技で倒れる。
装備品・スナイパーライフル(7発)、写真、エビリファイ錠剤、携帯電話
>261 >262 >263 >265
>「ンフ……ヌフフフフフフフ……フヒッ…ヒャハハハハハハ…アァ」
楽しそうな笑い声が聞こえる。
>「脱出か。そいつは無理な話さ。
全員、ここで死ぬ。いや、正確に言うなら……ここで 殺される って
いうべきかな?」
パニックを起こしている訳では無い。
寧ろ、心底楽しそうな口調だった。
主語が抜けているのが気になる。
誰が、皆を殺すのか。
この男は、何かを知っているのか?
鼓膜が破れそうな程、大きな銃声。
二発目は、無し。
何かが倒れる音。
小川が壁から頭を出し、拳銃の狙いを定める。
一人はライフルを手に、倒れ込んでいる。
もう一人の男は、口の両端が耳まで届きそうなの笑顔を浮べている。
セルゲイのフラッシュライトで、顔がよく見えた。
いや、違う。
本当に口が裂けているのだ。
アフリカでのリンチを思い出し、小川が薄っすらと笑顔を浮かべる。
長袖を選んだら、手首から先を鉈で切り落とす。
半袖を選んだら、肘から先を鉈で切り落とす。
特別サービス、頬を切り裂いてやれ。笑わせてやれ、ピエロにしてやれ。
恐怖は無し、懐かしさだけがある。
そして、困惑する。
ここはレアメタル鉱山の坑道の中ではないのか?
隠れていた技師を拷問していたんじゃないか?
古い記憶が蘇る。
不思議そうにこちらを見るルーとフォードに記憶の連続性が復活する。
2匹にこの場に留まるようにボディランゲージを送り、曲がり角の影から通路に出る。
もう一人の男。
手にはライフルを持っている。
ボルトは操作したのか?即座に二発目を撃てる状況なのか?
倒れた男に、拳銃の狙いを着ける。
小川が口を開く。
「貴方自身が死ぬ、とは思っていないようですな。」
キリングに笑顔を向ける。
狙いは、倒れ込んだ男に定めたまま。
「ま、自己紹介をしておきますか。私は鈴木。陸上上自衛隊に所属しています。
連れが言った通り、脱出ルートを探していましてね。」
ピエロ男の目は、狂気を宿している。
狂っていても、論理的に物事は考えられる。
ピエロの目的が生存者の抹殺でなければ、利害が一致すれば、障害とはならない。
ただ、発作的な欲望によって、脱出の邪魔をするかもしれない。
もしかしたら、傘社主催のゲームのプレイヤーなのかもしれない。
「我々と別の目的があるなら、是非とも目的をお聞かせ頂きたいものですな。」
状況:的場に狙いを定めたまま、キリングに話し掛ける。
>251 >256 >260 >255 >262-263
ルーは私にいい匂いのする青い枝をくれた。
何だろう?と思っていると、ルーが枝を折って口の中に入れる。
木の枝はミントみたいな匂いがした。
戻ってきたフォードも鼻をぴくぴくさせている。
せっかく別けてくれたんだから、・・・・・・私も食べた方が良いんだよね?
・・・・・・抵抗が無かったわけじゃないけど、私は食べてみる事にした。
気のせいか、枝をかみ締めるとすっと気分が楽になった。
「ありがとう、ルー」
>「…地表貫通型でない限りはそれほど大した損害は地下の施設には与えられないだろう。
>ただし、連中はそれも織り込み済みな筈だ。恐らく、地表攻撃と地下攻撃の併用だろう」
セルゲイさんの声は淡々としていて事務的なものだった。
>「地下攻撃の際にはキロトン程度の戦術核を使用するかもしれないという情報もある。これはまだ未確定だが。
>どちらにしろ、連中は本気でこの村を消そうとしている。ここにあるのは連中にとっては非常に都合が悪いもの
>ばかりだからな」
「そんな・・・・・・」
戻ってきたフォードの頭を撫でていた手が思わず止まった。
>「だがそんな心配はここから生きて脱出してからにするべきだろう」
>セルゲイは先頭に立って進み始めた。
あまりの正論のせいか、電話を終えた鈴木さんが苦笑いしている。
>「村人と一緒に脱出させた方が、猫の為にも良いと思います。」
「村の皆はルー達を受け入れてくれるかな?」
それ以前に、ルーやフォード達の仲間をどう説得したら良いんだろう?
廊下の向こうの方から話し声が聞こえる。
>「なにもんだ?」
ルー達が身を乗り出そうとした時、突然鈴木さんが壁の影へ二匹を引きずり込んだ。
私も慌てて後に続く。
「しー。静かにね」
私は口元に人差し指を当てるジェスチャーをした。
>「……見ての通り、ここから脱出しようとしている最中だ」
>「ンフ……ヌフフフフフフフ……フヒッ…ヒャハハハハハハ…アァ」
>「脱出か。そいつは無理な話さ。
>全員、ここで死ぬ。いや、正確に言うなら……ここで 殺される って
>いうべきかな?」
・・・・・・さっきの人と声が違う。二人いるのかな?
何で殺されるのか聞きたかったけど、私がのこのこ出て行ってみても足手まといだよね。
だから、私は息を潜めて鈴木さんの影でじっとしていた。
268 :
鬼子:2008/09/29(月) 00:18:01 0
>>264 仔ウルタール2匹は、頭を撫でるミヒャエルの手を握って離さない。
ミヒャエルは見た事も無い生き物だが、助けてくれた事位は解る。
ルーとフォードのように小馬鹿するような態度は取っておらず、寧ろ尊敬するような目で見上げている。
>「分かんねぇか。ヒーロー様な。ヒーロー様。覚えとけよ?」
「み、みーみ?みーみー?」
二匹が口を揃えて鳴き声を出す。
言葉こそ発音出来ないが、ミヒャエルの言ったヒーローという発音の抑揚をコピーしている。
>「九官鳥じゃねぇから無理かぁ?へっへっへ」
「みーみー!みーみー!みーみー!」
聞きようによっては、ヒーローと聞こえる口調で二匹が繰り返す。
ずるり、と言う何かが滑るような音が聞こえる。
見れば、みっちりと詰まっていた卵管がしわくちゃに潰れている。
どくどくと、狂ったように脈を打つ音が聞こえる。
ごぼごぼと、何かを吐き出すような音、咳き込む音に続いて、ごうごうと呼吸する音が聞こえる。
そして、何度も何度も肉を叩きつけるような音が聞こえる。
生まれたばかりの子馬が立ち上がろうとしては倒れ、立ち上がろうとしては倒れるような音を連想させる。
鬼子だった。
直立すれば2メートル50センチはあるであろう巨体。
しかし、その体は無理やり上下に引き伸ばされたかのように、細い。
粘液に塗れた肌は灰色で、父親達と同じくしなやかで強靭な皮膚をしている。
顔もまた引き伸ばされており、小さな二つの目とびっしりと鋭い歯が並んだ口をしている。
鼻のあるべき場所は、二つ穴が空いているだけだった。
兄弟たち、即ちモーロック達とは似ても似つかない人型の体。
特徴的なのは、巨大な手だ。
中指から手の付け根までの長さは、およそ70センチと言ったところか。
骨が無いのか、だらしなく垂れ下がっている。
体中から湯気が上がっている。
はっはっはっ、と空気を求め喘いでいる。
オーバーヒート寸前までエネルギーが供給され続けたかのように、心臓が脈打つ。
巨大な手を使い、起き上がろうとする。
卵管が引き摺られ、ブチッという音を立ててへその緒が切れた。
巨体と卵管を繋いでいたへその緒が切れた瞬間、鬼子がバランスを崩し、顔面から床に突っ込んだ。
感じた事の無い苦痛に、涙が零れそうになる。
20年以上、卵管の中で生き続けた異種、である。
栄養を供給する母胎が卵管から離れた今、鬼子は自活せねばならなかった。
空腹で気が狂いそうだ。
寒々しく、湿ったこの空気は何だ。
あの安らぎと、温もりに満ちた世界は、どこへ行ってしまったのだ。
その目がミヒャエルとウルタールを捉える。
一人と二匹は、とても暖かそうだ。
そろそろと手を伸ばし、ミヒャエルとウルタールを捕まえようとする……
>263
ピエロ男の狂気じみた笑い声が狭い空間で反響する。
(全く、だからこういうのは嫌なんだ)
ガスマスクの下でセルゲイは眉を顰めた。今更狂人が出てきた所で驚くような事ではない。
ただ、その発言は見過ごせなかった。
「誰が私達を殺すんだ?」
>265
発砲に続き、男が倒れる。銃弾は逸れ、何処かへ飛んでいった。
(くそ、どういうつもりだ?)
咄嗟にAKを構え、倒れ伏した男の頭に狙いを付ける。
いっそのこと撃ち殺してやろう。これ以上、面倒はごめんだ。
セルゲイはそう判断したが、ただで殺す訳にはいかない。
>266
「鈴木、もう一人を見張っておいてくれ。私はこいつを縛って情報を吐かせる。これ以上の面倒はいらん」
AKからスリングベルトを外し、レッグホルスターから拳銃を抜き、倒れている男に近寄る。
鈴木は穏便に済まそうとしているがそれこそ面倒だ。連中が素直に情報をくれるとは
限らないし、嘘の情報を教えるかもしれない。だったら、身体に直接聞いた方が早いし、
幾分の真実を含んだ情報を吐かせられるだろう。
男に拳銃で狙いを定め、一歩ずつ慎重に近づく。
まずは倒れてもなお手に握っているライフルを蹴り飛ばし、その後でスリングベルトで縛る。
あとは昔教わった要領で拷問するだけだ。
持ち物:AK103カスタム(30)+GP30グレネードランチャー(1)、グロック20カスタム(15+1)、RGD-6手榴弾×5、
VOG25高性能炸薬榴弾×9、30連AK弾倉×10、15連10mmAUTO弾倉×6、AKバヨネット、
謎のサンプルケース、安全ピンのネックレス、他省略
現在地:旧日本軍駐屯地跡 地下
状況:的場を縛ろうと近寄る
>>265 倒れこんだマトバを眺めながらスキップしてグルグル回る。
「どうした?こんなところでお昼寝かい?」
どうやらこいつは狸寝入りを決め込んだらしい。
面白そうだから少し様子を見ることにしよう。
>>266 無効から1人、男が来る。
あぁ、こいつは軍人かなんかだな。
俺は自分の嗅覚でそれを知る。面白そうな匂いだ。
>「貴方自身が死ぬ、とは思っていないようですな。」
俺の「殺される」という言葉に対する返答のようだ。
俺はいつものように−ビッグスマイル−を浮かべると口をクチャクチャ
させながら男の顔に息がかかる距離まで詰め寄り云う。
「俺はいつ死んだっていいさ。そう、今すぐにだって。」
>「我々と別の目的があるなら、是非とも目的をお聞かせ頂きたいものですな。」
俺は右手をグルグル回しながら同時に首も左右に振り続けながら周囲を観察する。
他の奴の気配がする。
いるのは・・・女?いや、動物か?
まぁ、どうでもいいや。邪魔なら・・・邪魔ならなんだっけ?
まぁ、どうでもいいや。
「目的?HAHA、俺に目的らしい目的なんてないさ。
ただ、人間ってやつがどうなるか。見ていたいだけさ。」
>>269 今度はガスマスクをした如何にも・・・って感じの奴だ。
俺のジョークがよっぽど気に食わないのか、マスク越しからも
怪訝な感じを受ける。
>「誰が私達を殺すんだ?」
俺は天井を見上げ大きく息を吸い込んで、吐いた。
「俺はあんたらを殺したりはしないさ。少なくとも、今は。
だが、1分後はどうなってるかわからない。」
それだけ云うと、再びマトバの傍へ歩いていく。
>「鈴木、もう一人を見張っておいてくれ。私はこいつを縛って情報を吐かせる。これ以上の面倒はいらん」
男がマトバに近寄った瞬間。
既に俺は男のすぐ後ろにいた。こいつもマジックかって?
さぁ、それは俺にもわからない。
ナイフを首に当て、ゆっくりと口を開いた。
「そいつは面白いオモチャなんだ。お前が好きにしていいモンじぁぁぁ・・・・なぁい。」
所持品:ナイフ、紙屑(研究資料の一部?)、トランクケース(中身不明)、タバコ、拳銃型ライター
、試験管(大森の血液)
状況:マトバとセルゲイの中に割ってはいる
>270
瞬発的なキリングの動きによって、セルゲイは首元にナイフを突きつけられた。
誰が玩具だって?観察されるのは好みにあわないが、
この際、この男と同行する理由を改めて確認できた。
この男には的場にない根本的狂気が備わっていた。決定的な欠落というべきか
あるいは遺伝子的な常識外れの力を全身に宿していた。
「拷問でもする気ですか、なんでまた」
立ち上がり、ズボンの埃を両手で払う。
ライフルは地面に放ったままだ。
「先ほどの発砲は失礼しました。こんな状況だ。俺も手元が狂ってしまったようだ」
奇妙な明るさで笑顔を浮かべ、的場がキリングに接近する。
譲歩の余地のない姿勢が、決意の表情となって現れている。
手には古ぼけた少女の写真が一枚握られている。
「この際、この場の皆さんにもお尋ねしておきたい。
俺の目的はこの女の子を探すことだ。どなたかご存知ではありませんか?」
>269−271
セルゲイの拷問ショーが始まる。
>「俺はあんたらを殺したりはしないさ。少なくとも、今は。
だが、1分後はどうなってるかわからない。」
>「鈴木、もう一人を見張っておいてくれ。私はこいつを縛って情報を吐かせる。これ以上の面倒はいらん」
俺は狙いをピエロ野郎に定める。
瞬間、ピエロ野郎は消え失せていた。
セルゲイの咽喉に突きつけられたナイフ。
ピエロ野郎が口を開く。
頬の切れ目から涎が垂れても良さそうなものだ。
>「そいつは面白いオモチャなんだ。お前が好きにしていいモンじぁぁぁ・・・・なぁい。」
何をした?こいつはやっぱり亡霊か?
俺は拳銃を降ろす。
レーザーポインターは作動させたまま、ハンマーは起き上がったまま。
狙いやすく、当てやすい状態のまま。
小川の足下で、赤い点がチョロチョロ動いている。
深呼吸する。
物語が動き出す。
的場が起き上がる。
ライフルを拾おうとはしない。
予備の拳銃も無さそうだ。
目の前の男は素人臭い。
>「先ほどの発砲は失礼しました。こんな状況だ。俺も手元が狂ってしまったようだ」
男の手が動く。
ブラスナックル?それともナイフ?
>「この際、この場の皆さんにもお尋ねしておきたい。
俺の目的はこの女の子を探すことだ。どなたかご存知ではありませんか?」
違う。手にしているのは、一枚の写真。
黒髪の少女が、俯きがちに此方を見ている。
端が折れて、所々が剥げている。
俺は迷わず発砲した。
機械的に、哀れみも怒りも何も無いまま、発砲した。
2発の9mmパラベラムがピエロ野郎に叩き込む。
セルゲイに突きつけていたナイフが手から零れる。
煙草に火を点ける。
くそったれめ。
間抜け面のピエロ野郎。マジシャン気取りの糞虫野郎。
始末はセルゲイが着けるだろう。
「残念ですが、お力にはなれませんね。」
紫煙を吐き出す。
銃口から硝煙が吹き出ている。
「連れは選んだ方が良い。こんな場所ではね。」
俺は倒れているピエロ野郎を見て、冷酷に言い放った。
遠回しにメッセージを送る。
ふざけるな、逆らうな、俺を騙すな。
下らないゲームは沢山だ。
「我々は脱出ルートを探しています。貴方達は、どこからここに?」
>270
>ナイフを首に当て、ゆっくりと口を開いた。
(なん…だと…?)
ピエロ男が音も無く背後に回り、首筋にあてがわれた刃物の硬質な感触に背筋が凍る。
全く動きが読めなかった。なんということだ。鈴木はちゃんとバックアップしてくれなかったのか?
いや違う。どうやら彼にもピエロ男の動きが予測出来なかったようだ。
(軽率だったな…)
セルゲイは己の無用心さを悔いたがそうしたところでどうなるわけでもない。
>271
倒れていた男が立ち上がり、服についた埃を手で払い落としている。
>「拷問でもする気ですか、なんでまた」
「自分の置かれた立場が分かっていないようだな」
それは俺もそうだろう、とセルゲイは自嘲する。
「いきなり発砲したんだ。本当だったら即座に撃ち殺しているところだ。
それに、明らかにお前らは怪しすぎた」
それは俺達もそうだろう、とセルゲイは内心で突っ込んだ。
しかしそれよりも、早く鈴木がこのピエロ男を如何にかしてくれないものかとセルゲイは思った。
>272
発砲音が短く二度鳴り、首筋に感じていたナイフの感触が失せると同時にセルゲイは
ピエロ男を肘で突き飛ばしていた。感触から、肘が男の鳩尾にめり込んだのが分かる。
振り返ると、ピエロ男が幾らか離れた場所で倒れていた。鈴木の手に握られたシグの
銃口からは硝煙が微かに立ち上っている。
「良い腕だな」
AKにスリングベルトを付け直しながら率直な感想を述べる。
殆ど一回の発砲音にしか聞こえないほどの素早く正確な射撃。
鈴木の技量が並みではないのが窺える。それは気が遠くなるほどの研鑽の果てに得た技術だ。
>俺の目的はこの女の子を探すことだ。どなたかご存知ではありませんか?」
「逆に尋ねるが、その女の子を捜し出して如何する心算なんだ?」
倒れてぴくりとも動かないピエロ男をブーツの爪先で小突きながら的場に問いを投げかける。
「まさか善意から迷子を探してこんな糞の掃き溜め以下のところにまでやってくる筈がないだろう。
尤も、あんたがそんな物好きであるかどうかまでは分からないが」
ピエロ男の頭にAKの銃口を押し付ける。
「さて、まだ生きているか?生きているなら最後に何か言い残すことはあるか?」
AKの引き金に指を掛けながら、ピエロ男の反応を窺う。
変な行動を起こせば直ぐにでも撃つ。今度は躊躇いはしない。
現在地:旧日本軍駐屯地跡 地下
状況:キリングに銃口を突きつける
>>272 >機械的に、哀れみも怒りも何も無いまま、発砲した。
>2発の9mmパラベラムがピエロ野郎に叩き込む。
>セルゲイに突きつけていたナイフが手から零れる。
ナイフを落とした瞬間、俺はアクメに達した。
あぁ、これだ。これが俺の求めている快感だ。
俺は思わず、倒れ込んだ。
そのまま快感の余韻を楽しむ為に、じっと冷たい壁の感触を
感じながら瞳を閉じていた。
「ハハァァ、アァァン……アァァ……ZZZZ」
落としたナイフ?あぁ、スペアならいくらでもある。
いつかまた、手に取れればそれでいい。
俺は深くも浅くもない眠りについた。
>>273 >ピエロ男の頭にAKの銃口を押し付ける。
>「さて、まだ生きているか?生きているなら最後に何か言い残すことはあるか?」
俺はゆっくりと欠伸をあげながら、顔を上げると何かを言ってるヤツに向けて
怪訝な表情をしながら首を振った。
「最低な寝起きだ。言いたいこと?あぁ、そうだな……代えのパンツはあるかい?」
現在地:旧日本軍駐屯地跡 地下
状況:床に寝転がって快感の余韻を楽しんでいる途中
ルーとフォードは少女に抱かかえられたまま、周囲の様子を伺っている。
>274
>「最低な寝起きだ。言いたいこと?あぁ、そうだな……代えのパンツはあるかい?」
「付き合いきれないな」
問答無用でピエロ男の頭に7.62mm弾を三発も撃ち込み、永遠に黙らせる。
床はまるで西瓜を思い切り叩きつけたかのような有様だった。
「いっそのことそいつも始末した方がいいかもな」
セルゲイは的場に顎をしゃくった。
ピエロ男同様、何をするか分かったものではない。先程のように突然発砲するとも
限らないし、今度はその銃弾が誰かに当たるかもしれない。脅威は脅威となる前に
取り去るべきだ。そうなってからでは遅い。
持ち物:AK103カスタム(27)+GP30グレネードランチャー(1)、グロック20カスタム(15+1)、RGD-6手榴弾×5、
VOG25高性能炸薬榴弾×9、30連AK弾倉×10、15連10mmAUTO弾倉×6、AKバヨネット、
謎のサンプルケース、安全ピンのネックレス、他省略
現在地:旧日本軍駐屯地跡 地下
状況:キリングを始末、小川に的場の処遇を提案
>274>276
ピエロ野郎が倒れこむ。
俺は奇妙な違和感を感じながら、慎重に床に転がるピエロ野郎に近寄った。
>「良い腕だな」
俺は首を横に振った。
>「最低な寝起きだ。言いたいこと?あぁ、そうだな……代えのパンツはあるかい?」
下半身を見た時、俺は咥えていた煙草を落としそうになった。
落とした煙草を抵抗無く吸える程度に年季の入った煙草吸いだが、
ここで落とした煙草を吸いたいとは思わない。
>「付き合いきれないな」
AKから放たれた銃声は、非現実的な響きがした。
銃口から造花でも飛び出した方が、よっぽどリアルな気がした。
飛び散ったのはインクで、血じゃないような気がする。
>「いっそのことそいつも始末した方がいいかもな」
ピエロ野郎の死体から早く目を逸らしたかった。
しかし、こいつが起き上がらないようにずっと見張っていた方がいい気がした。
意思の力を最大限に振り絞って、俺は改めて的場を見た。
スポーツ選手のような引き締まった体躯をした男。
的場を見ると、俺たちが幻覚を見ているんじゃないかって気持ちになる。
こんな糞溜めの中で、目の前の男がピエロ野郎と一緒に居る必要性が全く無い。
「・・・さっきは正当防衛だった。今回は違う。ここは日本です。穏当にいきましょう。」
口調は、専守防衛をモットーとする平和な国の特別国家公務員のそれだった。
ここは、チェチェン独立派を支持するロシア人ジャーナリストが殺された時に、
チェチェン独立を目指すテロリストを犯人にするロシアじゃない。
ここは日本で、あの少女の手前、殺せなんて言える訳がなかった。
俺はオホートニクじゃなくて、鈴木准尉だ。
しかし、セルゲイに向けた俺の目は、セルゲイが何度も見たであろう目だ。
さっさと始末して、飯でも喰って帰ろうって目だ。
ロシア式のマジックはどこでも通用する。
マジック。パンツ。撒き散らされた血。
俺の感じていた違和感の正体。
「・・・マジック?いや、イリュージョン・・・か・・・」
まさか?
だが、確認せずには居られない。
人間の脳ってのは、案外当てにならないものだ。
見たいものを見るし、簡単に騙される。
代えの死体は用意できないが、下半身を見せた時にタネを仕込む事は出来る筈だ。
俺もセルゲイも、308口径の銃弾が人体に及ぼす影響は知っている。
あまり知られていないが、入射した所はちっぽけな穴が空くだけなんだ。
308/1000インチのちっぽけな穴だ。
女性の小指くらいだろうが、もっと細いような気がする。
まぁ、俺が女性に指輪を贈った事があれば、もっと正確な表現が出来たと思う。
けれども、俺が女性に贈る物と言えば花束って決まっている。
あんたが男なら、一度は女性に花束を贈ってみたいって思わないか?
俺は一回やって癖になった。
オーケイ、花束を貰っても面倒だって意見を聞いた事はあるし、その気持ちは解る。
けれども、カネを出しているのは俺だ。
俺が贈りたい物を、俺の金で買う。
だから、指輪を贈るような関係にまでならないんだろうな。
話が脱線しちまったが、一度、女性に花束を贈ってみてくれ。本当に癖になる。
まぁ、俺もセルゲイも散々死体は見てきた。
勿論、頭をぶち抜かれた死体もだ。
だが、共通して言えるのは顔面を撃ち抜かれた死体は、そのままデスマスクが作れる位、綺麗って事だ。
勿論、入射痕から血が出るけどな。
その代わり、出て行った方の傷口は酷いもんだ。
拳骨くらいの穴が空いている。
それは、銃身に刻まれたライフリングのお陰で、まるでドリルみたい銃弾が回転する事が理由だったり、
超音速で着弾した銃弾が、水っぽい人体に与える瞬間的な圧力やインパクトが理由だったりする。
つまり、俺たちはどうしてそうなるのかを知っているんだ。
死体は散々見たり、作ってきたりした。
だから、経験上、どんな人間であろうと生き物であろうと銃弾で頭を吹っ飛ばされれば死ぬのは解っている。
倒れている人間を銃で撃てば、確かに床に叩きつけた西瓜に見えるってのも解る。
落ちた西瓜みたいに、ボロボロになって中身を撒き散らしているのは、床にぶつかった場所だけなんだ。
俺たちは散々死体を見てきた。
態々ホラー映画の特殊効果みたいに、血糊が飛び出すような装置を着けている奴は居ない。
そこが盲点だったんだ。
銃弾を避けるのは、案外簡単な事だ。
距離が近ければ尚の事だ。
反動に合わせて派手に体を動かせば、誤魔化す事が出来る。
引き金を引くより若干早く、体を動かせばいいし、それを着弾の衝撃だと誤魔化すんだ。
はっきり言って、ある程度・・・頭がおかしい人間で無いと出来ない。
大抵の人間は恐怖に負けるからだ。
・・・死体に銃弾を撃ち込んだり、死体が生き返るなんて考えて手足を切断する奴は異常だ。
狂っている。病院に行くべきだ。
けれど、俺は冷静な観察と理論展開でここまで来た。
だから、俺は病院に行かない。精神科医の世話には、絶対ならない。
「狸寝入りは止めて下さい。」
俺は思わず吹き出しそうになった。
病院でユダに同じ台詞を言ったのを思い出したからだ。
そうだ、近くに山田あすかも居る。
何故か解らないが、確信めいた何かのお陰で俺には解った。
「これから貴方の脈を取る為に、手首に触ります。手首から先が抜けても驚かないし、
肩から先が抜けても驚かない。警告無しで発砲します。」
見た事が有るんじゃないかな、手錠を嵌めて引っ張ったら手首から先がすっぽ抜けるってのを。
まぁ、漫画の中の話だけれども、目の前のピエロ野郎はやりかねないんだ。
俺は、たっぷりと警告をすると、ピエロ野郎の脈を取るべく、手首を左手で握った。
現在地:旧日本軍駐屯地跡 地下
状況:キリングがトリックによって生き延びたのでは?と疑い始める。
警告の上、キリングの脈を確認するべく、手首を握る。
私はルーとフォードを抱えたまま、物陰で震えていた。
聞こえてくる物音も、怒号も、話し声もまるで現実とかけ離れたもので、まるでドラマか映画みたいだ。
怪人に、武装した自衛官に、よく分からない組織の兵隊さんに、こんな場所で人探ししてる人。
誰一人普通じゃない。
ここに居る人は皆どこかおかしい。
それはこの恐ろしい宿舎の中のせいかもしれないし、それ以外が原因かもしれない。
一番まともそうだった鈴木さんでさえだんだんおかしくなってきてるし。
それとも、この状況では私の感覚の方がおかしいの?
もういっそ映画だったらよかったのに。
もしそうなら、今すぐ私は席を立って外に逃げ出すのに。
他の皆はどこに行ってしまったんだろう?
若先生や山田さん、アメリカの兵隊さんや飯田のおじいちゃん。
早く帰って来て欲しい。
でないと、今に私に矛先が向けられるかもしれない。
状況:ルーとフォードを抱えつつ、物陰で様子をうかがっている。
280 :
杉男:2008/10/10(金) 18:25:38 0
【思い出しても辛い瞬間、あれはゲーセンでの出来事である】
【新作のゾンビガンシューをワンコで全クリし、気分は上場だった】
【百円玉を落としてしまい、転がる百円玉を追い掛ける】
【夢中になって辿り着いた先は、人気の無いゲーセン奥の事務所入り口だった】
【半開きの扉からは、店長と黒尽くめの男の姿が見える】
【ここの店長は、人を攫って何らかの取引に使っているという黒い噂がある】
【関わるべきではない、と言い聞かせながらも事務所に忍び込む】
【薄暗い事務所にはこの二人以外誰も居らず、話し声が聞こえてくる】
店長「今日は二人、間違いなく納めますので」
黒尽くめの男「予備とはいえ献体に使う肉体だ
出来るだけ丈夫そうな奴を頼む」
店長「ええ、そりゃもう…」
【「何てこった!」と思って叫びそうになってしまう】
【間違いない、やはりここの店長は人を攫って何らかの取引に使っていたのだ】
【それにしても如何わしきは黒尽くめの男である】
【今ここでこうして忍び込んでいる自分が言うのも何だが、怪しさ全開である】
黒尽くめの男「誰だ!?」
「ひぃっ!」
【黒尽くめの男がこちらを向いて怒鳴り、それにビビって飛び上がってしまう】
【姿を見られてしまい、非常に不味い状況である】
黒尽くめの男「誰だ、こいつは?」
店長「常連客の引田さんですよ
ガンシューティングやガ○ダムVSガ○ダムなどをよくやってます
…まあ、生かしては帰しませんがね」
【店長が何かのスイッチを押すと、事務所の扉が自動的に閉まる】
【更に、窓や出入り口全てに頑丈そうなシャッターまで下りてしまった】
【こんな今更な展開に、何かのドッキリ番組かと疑ってしまう】
「ど、ドッキリカメラか何かの類だ…よね?」
店長「申し訳ないな、引田さん
残念だがアンタにはここで死んでもらわなきゃ」
黒尽くめの男「まあ待て
こいつ、よく見ればなかなかにいい体格をしている」
【店長が拳銃を取り出し、こちらの額に付き付けてくる】
【黒尽くめの男がそれを制止し、こちらの方を見定めている】
【い、いい体格って…、そんな趣味は無いんだけど…】
店長「こんなヲタニートを献体として連れて行くつもりですか?」
黒尽くめの男「予備体くらいには丁度いい
適当に眠らせておけ」
店長「やれやれ…、引田さん、アンタ命拾いしたな
とりあえず数日くらいは寿命が延びた、よ!」
「おぶぇっ!」
【みぞおちに店長の鉄拳を食らい、意識が一瞬にして飛んでしまった】
【彼らが何者かも分からず、僕の意識は深い闇の中へと沈んでいった…】
281 :
杉男:
「うう、ここどこだよ…
ったく…、シャレにもなんないよ…」
【あれからどれだけ眠っていたのだろうか、見知らぬ場所で目が覚める】
【みぞおちはもう痛まないが、かなり長い間気を失っていたらしい】
【見るとそこは、何かの檻の中のようだった】
【扉は開いており、同じような檻がいくつも置いてある部屋のようだ】
「嘘…、マジで僕巻き込まれちゃった、面倒ごとに…?
しかも、気を失ったのはゲーセンだってのにここどこよ!?
本格的に不味いぞこれはぁ!」
【半泣きになりながら、頭を抑え慌てふためく】
【疲れるまでもがき倒し、息切れになりながらゆっくり立ち上がる】
【このままここで躓いていても始まらない】
「と、とりあえずここから出ないと
それにしても人を檻に入れるなんて酷いなあ…
僕は動物じゃなくて人間様だってのに…」
【そんなどうでもいいことをほざくのは、気を紛らわすためである】
【どういうわけか、バイオの映画やガンシューをやる時の集中力がここで働いている】
【ゲーム感覚になっている方がまだ落ち着ける】
【こんなワケの分からない状況が現実であるはずがない】
「あれは階段かな?
あそこから出られそうだ
そして、きっと出た先には僕が居たゲーセンが…」
【階段を上って扉を開けた瞬間、僕は唖然とした】
【そこはゲーセンなどではなく、すっかりと荒れきった無機質な廊下だったからだ】
【病院か何かの施設のようで、壁や床には血の跡らしきモノまである】
【ガンシューや映画で見た覚えのある、絵に描いたような「惨状」である】
「ぼ、僕ってば夢でバイオかハウスオブザデッドの世界に入り込んだのかな?
ははは、じゃあどっかに拳銃か何か落ちてるかも…」
【夢にしてはリアルな光景だが、自身に夢だと言い聞かせつつ老化を進む】
【途中、血だまりを踏んでしまう】
【血だまりは時間が経っているのか、固まってやけにネバっとしている】
【靴の裏に粘りついて、少し歩きにくい】
「あれは…死体…なのかな?
さすがは自他共に認めるオタな僕の夢だね、リアルだね!」
【警備員の服を着た男が倒れており、その右手には拳銃が握られている】
【更に、腐敗しているのか腐臭も凄まじく、鼻が曲がりそうである】
【これもゲームの夢の醍醐味なのだなと納得させる】
【震える手で警備員の手を離させ、拳銃を拾う】
【拳銃のグリップと男の手はすっかり張り付いており、手の皮膚が一緒に剥がれた】
【腐り気味の男の手の筋肉組織と真っ赤な血の塊が生々しい】
【思わず悲鳴を上げそうになる】
「あは、あはは…、ゆ、夢…夢だから…ね…
落ち着こうよ、僕…、な?」
【近くの洗面台で張り付いた皮膚や血を洗い落とし、拳銃を構える】
【マガジン式の自動拳銃で、日本では珍しいタイプである】
【そして、ガンシューをしている感覚になって引き金を引いてみる】
「うひゃあっ!
ほ、本物だなんて…り、リアルだねリアルだね!」
【響く銃声、はじけ飛ぶ弾丸、崩れる壁】
【その全てが、現実としか思えないほどリアルである】
【しかし、さすが夢、さすがゲーム!」