>183
その白い翼の少女、ルキアは図書室の前(正確には転送装置の前だが)で
廊下に寝転がるように、下の状況を見ていた。
だが、その状況にも変化が生じる。
自分のいる廊下側から人の足音と声が。
「・・・・・・げ、あれってば教師?」
しかもその二人組みの内の目つきの悪い方と目が合った気がする。
が、目下の穴から轟音。どうやら自分のマスターが相手もろとも落下した・・・・・・
「ってのんびりしてらんないじゃない?!」
私は翼を広げると、目の前の穴から下の階層に飛び降りた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
>173
私が下に飛び降りたらあの、のーたりん猫娘がしびしび痺れてるっ?!
しかもなんか今からトドメの雰囲気!!
滑空状態から翼をはためかせて一気に猫娘のところへ!
>「はぁはぁ…さあ、今度こそ終わりだ……Thunder spear!!」
カッ、という閃光。電撃は猫娘の首をひっつかんで諸共に伏せた私の頭上を通過していった。
「こ、この勝負は預かったわ!じゃ、こいつ(猫娘)持ってくわよ?!」
次はあのいけすかない犬耳か!まったく世話の焼けるったら・・・
>169
で、私が猫娘をひっつかんで飛びながら犬耳のところへ向かってみたらあいつったら
>「あとお前のマスターは血だらけになっているぞ。
> 助けに行かなくていいのか?
> 俺は自分に危害が加えられない限り攻撃しないぞ。」
『私のマスターは、多少血を流している状態の方が強いのさ。
あぁ、それと。ピンチなのはそちらの仲間も変わらないようだぞ?』
とか言ってるし!!んな呑気してる場合かっ!
「こらそこの犬耳!とっととラルヴァをおっかけるよ!?」
『あぁ、そうだな。じゃあ、魔銃使いの少年。私は主を追うので失礼させてもらう。
それと、武器に対しての忠告だが・・・それ自体は実に有難いが拒否させてもらおう。
この斧は、こうある事を望んでいるのだからな。』
そう言って麻痺から立ち直ると二本の斧を持って駆け寄ってきた。
「アンタ、少し鈍間になってない?」
『相手の魔法のせいだろう。とりあえず行くぞ。』
しびしびしている猫娘を担いで、私は白鴉の姿へ変身。
先ほどラルヴァと変な男が一緒くたに落ちていった穴へと飛び降りた。
犬耳と猫娘は私の背中に乗せて、だ。
>174
黒槍は見事に不意打ちで、ヴァンエレンに突き立った。
それを音で悟ったラルヴァは力を抜いた・・・だが。
>さっきからギシギシと悲鳴をあげていた床が限界を迎えたらしく、亀裂の入っていた木の床が大きい音を立てて折れてしまった。
「?!」
落下する!その最中に槍は自然と抜かれ、二人は離れてゆく。
・・・・・・下層にヴァンエレンは落下した。
地に這うヴァンエレンにゆっくりと羽ばたきの音が聞こえるだろう。
そう、槍を突き刺したのはラルヴァの使い魔だ。
それが飛べるというのであれば、むざむざと地面に落下する筈もない。
とはいえその羽ばたきが止むと蹄がヴァンエレンと同じ木の床を叩いた。
>「ク…クっ聞こえるか?
> 私たちを殺したからといって…魔物たちは引っ込みはしない、ぞ。
> それにこれから、ガ、先は霧に覆われてまさに迷路だ。
> 君じゃ何年かかっても……たどり着けやしないさ」
「いくら・・・精神世界とは言え、無責任すぎるとは思わない・・・みたいだね。」
その声には大分怒りが詰まっているが、表面上は激昂を抑えているようだ。
「こっちは、目潰しのせいであまり目が見えてないんだけど・・・
まぁいい。傷をゆっくり癒す為に逃げればいい。
もう追うつもりはないよ。迷路なら、迷路ごと打ち砕いてでも
ボクはその魔物の親玉を探し出し還すか打ち倒すまで。・・・・・・とはいえ、少し疲れた、な。」
薄闇の中で、ラルヴァは漆黒の女性型のケンタウルスの背にうつぶせになるようにして横たわっている。
傷を負った身ではあるが、その瞳から戦意は少しも衰えてはいない。
このまま魔物達が来たるならば、すぐに起き上がり戦闘を始めることだろう。
>「私のマスターは、多少血を流している状態の方が強いのさ。
あぁ、それと。ピンチなのはそちらの仲間も変わらないようだぞ?」
そういわれてみると確かに吸血鬼の右腕が無くなっている。
まあ吸血鬼だから何とかするのだろうが…
「…いや、血を流している状態が強いって常に命がけの戦いにならないか?」
血液は生命活動を維持する上で重要である。
つまり長期戦になればなるほど危険な状況に陥るということだ。
>「こらそこの犬耳!とっととラルヴァをおっかけるよ!?」
気づくと白い翼をが猫耳女をつかんでこっちに飛んできていた。
>「あぁ、そうだな。じゃあ、魔銃使いの少年。私は主を追うので失礼させてもらう。
それと、武器に対しての忠告だが・・・それ自体は実に有難いが拒否させてもらおう。
この斧は、こうある事を望んでいるのだからな。」
そういうと犬耳女は斧を回収して吸血鬼たちが開けた穴へ向かっていった。
…さっきの様子からマオの方の戦闘も終わったらしい。
左腕の回復も終わったので、マオの方に向かうことにした。
…うわ、すっごいあがいているよ。
相当攻撃を食らったのか、見るからに痛そうな様子で追撃をかけようとしていた。
「ったく、無理して追いかけてもやられるだけだぞ。
少しじっとしていろ。」
そう言ってマオに回復魔法をかける。
…たくさん殴られたのだろう。
回復しきるのにまだ時間が掛かりそうだな。
「執念があるのはいいんだが、俺らの目的はペンダントを回収しに行くことじゃなかったのか?
ここで無茶をしてやられたら回収しに行くのにもっと手間が掛かるじゃないか。」
しばらくしてマオの回復が完了した。
「さて、回復も終わったことだしヴァンエレンを迎えに行こうか。」
…マオを回復している間に最初の移動強化魔法は切れているのだが、吸血鬼だから大丈夫だろう。
たぶん…
>180
> リリアーナは涙で汚れたエルザの顔をハンカチで拭いた。
> 「じゃあ、そろそろ行きましょう。
> アンディの元に帰りましょう。 きっと今頃『遅いっ!』って心配してるはずよ」
「…そうね。それに、早くロックに私の事を話してあげたい。
ロックはきっと私から話してくれるのを待っているはずだから。」
> 「・・・・・・・・エルザ、やっぱりこれはあなたが投下して。そのほうが纏まった数になるし良いと思うの」
「あっ…その…ごめんなさい!」
> 「あっ!べ、別に数だけの問題だけじゃないの!実際のところ、何も私自身が優勝する必要なんてないんだから。
> そ、それにね、実は・・・・・・・・・」
> リリアーナはちょっと迷ったあと、メラルの件を手短に話した。
「………。」
> 「――――というわけで、私はメラルさんの呼び出しに応じないとペンダントを捨てられちゃうの。
> どんなに皆が協力して一杯ペンダントを皆が集めてくれても、私が失格したら意味ないでしょ?
> 皆には『私がドジってペンダントを奪われたから、代理で自分が投下した』って言えば良いわ」
「ああ…うう…」
エルザは素直に“はい”と言っていいのか迷った。それ以上にメラルの事が気になった。
> 「だからエルザ、私の命運をあなたに託すわ。ライバル達がやって来ないうちに、さあ早く!」
「…わかった。…リリアーナ、もしも私が優勝したらあなたに」
ここまで言った後、エルザは言葉を中断せざるおえなかった。
>184
> 「おや?どうやら要らぬ心配だったようですね。」
エルザはびくっとして後ろを振り向いた。そこにいたのは一人の男子生徒だった。エルザはケオスを見て歯軋りをした。
「アンディめ!失敗したわね!」
エルザは、ケオスが先程自分達を襲った生徒達の一人だと思った。
さて、そうなればぐずぐずするわけにもいかない。なぜなら、彼もまたペンダントを狙っている一人なのだから。
> 「あの、お節介かも知れないけどゴミ箱も近いし危ないよ。さっきの声聞かれて人が来るかも知れないし。」
「そうよ!ゴミ箱はすぐ近くだわ!これであなたもおしまいよ!」
エルザはリリアーナから託されたペンダントを、全てゴミ箱に投下した。
アンディもこの事実にすぐに気づくだろう。目の前に倒れている生徒達が、次々とゴーストに変わったのだから。
しかし、当然の事ながら、ケオスがゴーストになる事はなかった。
ただし、それでエルザがケオスに対する警戒を解くわけもなかった。大量のペンダントは無くなったが、
今自分達が持っているペンダントは健在である。そして、ケオスはそのペンダントを狙っているかもしれないからだ。
「作り笑いで、油断させようと思ったって、そうはいくものですか!ペンダントは渡さないわよ!
私のペンダントは、もう私だけのペンダントじゃないんだから!」
>185
> 「この距離なら思いっきり抱きしめて差し上げられますわね!!」
「なっ、なんだとぉ!?」
> フリージアは逆にロックを思いっきり抱きしめた
> そう思いっきり
「のおおぉお!?」
ロックは激しく動揺した。ただ、一般論として、敵が動揺したからといって攻撃をやめる者はいない。
> 「受けてみるがいいですわ氷の聖母の抱擁を!フリィィィィジングブリィィィガァァァァ!!」
「やめろ!よせっ!フリージ…ああああああっ!!」
さて、ここで注意しておかなければならない事がある。
それは、フリージアの抱きしめ攻撃が、ロックにはあまり効果がないことだ。
硬化したロックやエルザは、鋼と同じくらい硬くなるが、決して物理的ダメージを無効化するわけではない。
強烈な衝撃が加えられると、軟らかさが足りない分、ダメージを受けてしまう場合があるのだ。
例えば、ロックはラルヴァに腹部を強打された時に嘔吐しているし、
エルザがエースのウインドブレイドで腹部を斬られたりしている。
エルザがチョコレートの破片を頭にぶつけて気絶した事は、記憶に新しい出来事だ。
これは逆に言えば、衝撃を伴わない物理攻撃には非常に強い事も意味している。
そして、今回のフリージアの攻撃は、けっして強い衝撃を伴うタイプではなかった。
ただし、以上の話はあくまで物理的な観点でのみの話である。
フリージアは、別の意味でロックに強い衝撃を与えたのだ。
「はぁ………」
フリージアに抱きしめられていたロックは、みるみるうちに体を包む蒸気が少なくなっていった。
> 今のフリージアは人間のパワーを越えている
が、今のロックの防御力も人間のそれを越えている。
その結果導き出された結論は、“ちょうど良い”だったのだ。
とうとう、ロックを包んでいた蒸気が完全に消えてしまった。その目に溢れていた闘志の炎もまた鎮火している。
どうやらロックは、フリージアに抱きしめられた事で、戦意を喪失してしまったようだ。
>189
リリアーナにペンダントを託されたエルザが目を白黒させている。
だが当のリリアーナは全く気にしていないようだ。
「あ、そうだ。エルザに渡すものがあったんだっけ」
リリアーナがごそごそポケットを探っていると、エルザがようやく口を開いた。
>「…わかった。…リリアーナ、もしも私が優勝したらあなたに」
だがその言葉は、最後まで聞くことが出来なかった。
>184
> 「おや?どうやら要らぬ心配だったようですね。」
>「アンディめ!失敗したわね!」
「へっ?」
リリアーナは慌ててゴミ箱のほうを見た。てっきりアンディがゴミ箱前で復活したと思ったのだ。
> 「あの、お節介かも知れないけどゴミ箱も近いし危ないよ。さっきの声聞かれて人が来るかも知れないし。」
>「そうよ!ゴミ箱はすぐ近くだわ!これであなたもおしまいよ!」
そういってエルザはペンダントをゴミ箱に投下した。
しかし、ケオスがゴーストになる事はなかった。
どうやら先程アンディが足止めした生徒達とは別のようだ。
>「作り笑いで、油断させようと思ったって、そうはいくものですか!ペンダントは渡さないわよ!
> 私のペンダントは、もう私だけのペンダントじゃないんだから!」
「薄着のメガネッ娘と、黒いコートを重ね着したゴスロリの少女の組み合わせ。
どこから見ていたのかは分からないが、ケオスの目にはどのように映ったのだろうか。
リリアーナは、ずれたメガネを押し上げ、エルザを庇うように一歩前に出た。
ようやく確認できた相手の顔に、リリアーナの口元が硬く強張る。
だが次の瞬間には、リリアーナも愛想よく微笑み返した。
できれば敵に回したくない相手だ。ここは円満に解決したいとリリアーナは考えていた。
そう、目の前の青年には見覚えがあった。
いつもメラルと学年総合の成績を争う一人で、確か名前は――――。
「こんばんは、キョンさん。学園全体が凍りそうなくらい寒い夜ね」
名前を口に出したとたん違和感を感じたが、リリアーナはそのまま話し掛けた。
「キョンさんはここで何してるの?あっ!待ち伏せ?
もしかしてそこのマンホールの蓋をあけて簡易落とし穴にしたのもキョンさんの仕業なの?」
だが待ち伏せしていたわりには、肩とか頭に雪が積もっていないようだ。
リリアーナは足元に落ちていた自分たちの傘を拾い上げた。
ばさばさと身体についた雪を払い、エルザと傘の中に入る。、
「知ってるとは思うけど、私は優勝を狙ってるの。だって優勝しないと大変なことになるから。
キョンさんもやっぱり優勝狙ってるの?狙ってるのよね? で、でも私だって負けないんだから!!」
リリアーナはびしいっ!ケオスを指差したが、格好つけたのもつかの間、次の瞬間思いっきりくしゃみをした。
「グス・・・・・れ、れも今夜は遅いし寒いから、続きは明日にしない?
もうじき私の仲間がここにくるわ。
学園屈指の秀才君とはいえ、一人で複数相手じゃいささか分が悪いかもよ?」
・・・・・・・・穏便に済ませたいのか挑発しているのか分からない態度だ。
>189>191
>「アンディめ!失敗したわね!」
初めましての相手への第一声がこれ。どうやら勘違いされているようだ。
困っているのだが笑顔は消えない。だが注意して見てもらうと目と口元は笑っているのだが眉は八の形になっているのだ。実に分かりずらい。
>「そうよ!ゴミ箱はすぐ近くだわ!これであなたもおしまいよ!」
「………………?」
大量のペンダントがゴミ箱に捨てられたようだがなんの事は無い。優勝を狙っているわけでも無いし、自分のペンダントが交ざっているわけでも無い。ケオスに困る要素は皆無なのである。
>「作り笑いで、油断させようと思ったって、そうはいくものですか!ペンダントは渡さないわよ!
私のペンダントは、私だけのペンダントじゃないんだから!」
「弱ったなぁ……そういうつもりじゃ無いんだけど…」
どうやら彼女は頑固そうだ。何を言っても信用はして貰えなさそう、ケオスは問題が起らない内にその場を立ち去ろうと身体を動かしかけるが
>リリアーナは、ずれたメガネを押し上げ、エルザを庇うように一歩前に出た
やるつもりか、軽く身構えるケオス。しかしながらそれは徒労に終わる
>だが次の瞬間には、リリアーナも愛想よく微笑み返した。
取りあえず今すぐ事を構えるつもりは無いようだ。安心し楽にする
>「こんばんは、キョンさん。学園全体が凍りそうなくらい寒い夜ね。」
「こんばんは、リリアーナさん。えぇ、風邪を引かないように気を付けて。それとケオスで良いよ。キョン″さん″じゃ何処かの平均高校生みたいだからね。」
間違えている事には直接は触れず、ケオスと呼ぶ事を勧める。
>「キョンさんはここで何しているの?あっ!待ち伏せ?
もしかしてそこのマンホールの蓋をあけて簡易落とし穴にしたのもキョンさんの仕業なの?」
「違う違う、僕は泣き声を聞いて駆け付けただけ。
危ないな。いくらリバースの中だからと言ってもマンホールなんか開けたら怪我じゃ済まないかも知れないないのに…
怪我は無いかな?どちらが落ちたかは分からないけど。」
簡易落とし穴を一瞥すると腕を組む。どうやらそんな事をした人物に対して怒っているようだ。
>「知ってるとは思うけど、私は優勝を狙ってるの。だって優勝しないと大変なことになるから。
キョンさんもやっぱり優勝狙ってるの?狙ってるのよね?で、でも私だって負けないんだから!!」
>リリアーナはびしっ!ケオスを指差したが、格好つけたのもつかの間、次の瞬間思いっきりくしゃみをした。「ハハハ、やっぱりその格好じゃ寒いみたいだね。」
「心配しないで優勝は狙ってないし、狙うつもりも無いから。」
>「グス・・・・・れ、れも今夜は遅いし寒いから、続きは明日にしない?
もうじき私の仲間がここにくるわ。
学園屈指の秀才君とはいえ、一人で複数相手じゃいささか分が悪いかもよ?」
「それも大丈夫。相手にする必要は無いから。信用……して貰えるかな?」
困った顔をしながら聞く。気まずそうな顔をしていたが何かを思い付いたように顔が明るくなる。
「そうだ。僕もその仲間に入れてくれないかな?
僕としてはこの行事を早く終わりにしたいんだ。君が優勝して終わりにしてくれるのなら僕は構わない。
僕が加わってどれほど力になれるかは分からないけど、ね」
言い終わるとポケットから自分のペンダントと他の人ペンダントを渡す。
「誓い、って言うわけじゃないけど僕のペンダントと集めたペンダント。
信用できないなら僕のペンダントをゴミ箱に捨ててくれていいよ。他のはプレゼントって事で。」
渡し終え、二人の判断に任せると言うようにニコニコと見守っている。
入院中は、夜中にこっそり病室を抜け出す事が珍しくなかった。
僅かな光量の中、特にアテも無く病棟を散歩していた事を思い出す。
口の悪い医師には「そういうのを徘徊と呼ぶんだ」と言われもしたのだが。
「しかし、それが役に立つ日が来るとは夢にも思わなかったな……」
夜間視力を取り戻したアレクは、順調に感染者たちを追尾していた。
そして彼らの集結地点たる湿原へたどり着いた時、彼は少女の姿を見た。
身を隠している(つもりの)茂みからは少々距離があったから、詳しい様子までは判らない。
だが、手際よく感染者たちを処理しているという事だけは理解の及ぶところだった。
>「・・・あら、どちら様?」
少女の声がこちらへ向けられているのを知ると、一時は覚悟を決めた。
ここに至ってもペンダント争奪戦は免れぬのか、と実に暗澹たる気分が心を覆う。
しかし、すぐに先方から敵対の意思が感じられない事に気付いた。
今度は、内心でほっと安堵の溜息を紡ぐのであった。
「どちら様と訊かれたら、答えてあげるが世の情け……ってね。
僕はアレクシス・アガティオンと言う者だ。
ご覧の通り、しがない二等の学生さ」
両手を上げて、こちらに戦意のない事を示しながら湿原へ身を乗り出す。
そのままの姿勢で、声を発した少女へ視線を向けた。
彼女の姿を見るや否や、彼の脳裏に一つの人名が想起された。
と言うよりも、この森が毒に満ちていた事から、恐らくは彼女がいるのだろうという感じはしていた。
蠱毒の毒姫、ベアトリーチェ。
自分の体が薬物を受け付けぬと判明した際、医師たちがしきりに話題に上らせた名前だ。
その本人が眼前にいると思うと、いささかの感慨も覚えようというものだった。
もっとも、本当に彼女が毒姫その人であるのかどうか、確認を取ったわけではない。
しかしその確認はまもなく取られるだろう、と彼は思う。
アレクシスは、意思を乗せた視線を彼女へ送った。
さて、こちらは名乗りを上げたわけだ。
次はそちらの番じゃないかな、お嬢さん。
>191>192>193
> 「弱ったなぁ……そういうつもりじゃ無いんだけど…」
「じゃあ、どういうつもりなの?」
ケオスはそう言ったが、それを鵜呑みにするほどエルザも子供ではなかった。
ペンダントを狙う者が、親切に『自分はペンダントが欲しい』などと言うわけが無い、と。
> 「こんばんは、キョンさん。学園全体が凍りそうなくらい寒い夜ね」
「…リリアーナ、知り合いなの?」
エルザはケオスとリリアーナの会話を黙って聞いた。
> 「グス・・・・・れ、れも今夜は遅いし寒いから、続きは明日にしない?
> もうじき私の仲間がここにくるわ。
> 学園屈指の秀才君とはいえ、一人で複数相手じゃいささか分が悪いかもよ?」
「リリアーナ、これを着たほうがいいかも。」
エルザはくしゃみをしたリリアーナに、再びアンディ製の黒いコートを勧めた。
> 「それも大丈夫。相手にする必要は無いから。信用……して貰えるかな?」
「…無理よ。リリアーナはともかく、私はあなたの事なんて何も知らないわ。」
> 「そうだ。僕もその仲間に入れてくれないかな?
> 僕としてはこの行事を早く終わりにしたいんだ。君が優勝して終わりにしてくれるのなら僕は構わない。
> 僕が加わってどれほど力になれるかは分からないけど、ね」
「仲間ですって?仲間って言うのは、そんなに軽いノリでなるものなの?」
> 「誓い、って言うわけじゃないけど僕のペンダントと集めたペンダント。
> 信用できないなら僕のペンダントをゴミ箱に捨ててくれていいよ。他のはプレゼントって事で。」
リリアーナにペンダントを(それも自分の分も含めて)渡すケオスを見て、エルザはあきれたように首を振った。
「ねえ、ケオス。あなたさっき言ったわよね?この行事を早く終わりにしたいって。だったら、話は早いわ。
あなたのペンダントがゴミ箱に入ればいいのよ。別にこの世界に未練は無いのでしょ?」
エルザはリリアーナの手に渡ったペンダントを鷲づかみにし、ゴミ箱の上にかざした。
「ねえ?あなたの言った事が本当なら捨ててもいいのよね?訂正するなら今のうちよ。
一体何が狙いだったのかしら?正直に話したほうが利口じゃないの?ねえ、ケオス?」
エルザもまたニコニコしながらケオスに尋ねた。ただ、ケオスと違って、エルザは実に意地悪そうに笑っている。
こういうサディスティックな状況がわりと好きらしい。
倒れているリーダー格を踏みつけながら待っているアンド。
予想以上にリリアーナ達が遅いことにだんだんと苛立ちを覚え始め。
もしかしたら戻ってこない・・・要するにただの囮として使われたのではないかと思い始める。
「ちっ・・・まんまといいように使われたか?」
そうつぶやいたとき、生徒が次々にゴーストに変わっていく。
もちろん踏みつけていたリーダー格の男子生徒もゴーストへと変わってしまう。
「やっとか。何やってやがんだあいつ等」
やれやれといった具合で何度か肩や指を鳴らし中庭へと歩き始める。
ゴースト達はもはや干渉できるわけでもなく、ここにいる必要はないと思ったのか散っていく…1人を残して。
>「おい、俺もついていくぜ。」
声のするほうに振り返ってみるとそこにはさきほど倒したリーダー格のゴーストが漂っていた。
「冗談じゃねえ。負け犬はどっか行きな・・・・・・」
>「そうはいかないな。ゴーストは観戦する権利を持ってるんだぜ?
>今度お前を倒すためにもお前を見させてもらう」
チッと舌打ちをするアンド、だがついてきてもいいということなのか
特に何も言わずに中庭の方へと歩き始めるアンドと文字通り背後霊のように後ろについていくリーダー格のゴースト。
>「そういえばまだ名前をお互いに知らなかったな。俺の名前はステイシス。」
「・・・・・・ランドアンド・・・アンディでかまわない」
>「よしアンディ。これからよろしく頼むぜ。ところであの闇を操る魔法どうやって覚えたんだ?
>あと生徒だよな?なんでそんな大人になってるんだ?」
自己紹介を済ませたとおもったら今度は次々に質問をしてくる。
いちいち答えるのがめんどうだと思ったのかアンドは無視して歩いていく、
>「そういえばなんでリリアーナと組んでるんだ?あいつはトラブルメーカーとして有名だぜ?
> それにアンディ自身は優勝する気はないのか?あとそうそう・・・」
だが全く衰えない口にだんだん苛立ちを覚えてきてアンドが叫ぶ。
「うるせぇぞ!!死人に口無しっつうだろうが!黙ってついてこれねぇのか!?」
>「そんなこと言うなよ。これからゲームが終わるまで俺はお前に張り付く気なんだからさ。」
「ちっ・・・ついてこさせるんじゃなかったぜ・・・」
…………どこだ、ここは?
おれの目的地は食堂だった。そしておれは食堂にいるハズだった。
なのに今いるのはどこかの廊下のドン詰まり。
断っておくと方向音痴ではなく、校舎の見取りが出ない訳でもない。
なんでだ?
そこで、ふと。思い出すもの、前提条件。
ここは左右が入れ替わってる。
そうだ、そうだよ。忘れてた。イマイチ解せないこのルール。
しかもここは、さも左右対称がこの世の美の至上とも言わんばかりのシンメトリー。
これは気付かない訳だ。
それではさてさて、どうしよう。まさかまだ食堂に件の彼女は居まい。
こういうゲームにおいて不慣れな者は常に移動をして気を紛らわそうとする。
それが良いか悪いかはケースバイケースなのだけど。
そう言えば、連絡入れろとか言ってたっけな。
『おーい、ソフィアでーす。お嬢さーん今どこ?』
口調は軽く、しかし内容は短め。ホントは『どこだ?』で済ませたいくらい。
男なんてそんなもの。話してる時間も魔力も正直惜しい。
198 :
名無しになりきれ:2008/05/31(土) 14:50:40 0
500
>192-193 >195
>「それも大丈夫。相手にする必要は無いから。信用……して貰えるかな?」
リリアーナはじっと相手を凝視した。
困った顔をしながら聞くケオスの態度は、演技とはとても思えない。
>「リリアーナ、これを着たほうがいいかも。」
エルザはくしゃみをしたリリアーナに、再びアンディ製の黒いコートを勧めてくれた。
「ごめんねエルザ、雪が染みてきちゃって・・・・・悪いけど使わせてもらうね?」
リリアーナは渡されたコートに袖を通した。
その間にエルザがケオスと話を進めていた。
ケオスはリリアーナ達の仲間になりたいと言い出し、エルザがその申し出に戸惑っている。
リリアーナも戸惑った表情を浮かべたままだ。一歩ひいて二人の様子を眺めている。
ケオスは特に気を悪くする様子も無く
> 「誓い、って言うわけじゃないけど僕のペンダントと集めたペンダント。
> 信用できないなら僕のペンダントをゴミ箱に捨ててくれていいよ。他のはプレゼントって事で。」
そう言うと、ケオスはリリアーナの手に自分の持っていたペンダントを全て持たせた。
「え?・・・・・・・ええっ?」
リリアーナは焦った様子で何度もケオスとペンダントを見比べる。
ケオスは相変わらずニコニコと微笑んでいた。
彼の本意がどこにあるのが分からない。
優秀なのは疑いないのだがまるでつかみ所が無い。
もしかしてケオスもエースと同じタイプなのだろうか?
>「ねえ、ケオス。あなたさっき言ったわよね?この行事を早く終わりにしたいって。だったら、話は早いわ。
> あなたのペンダントがゴミ箱に入ればいいのよ。別にこの世界に未練は無いのでしょ?」
>エルザはリリアーナの手に渡ったペンダントを鷲づかみにし、ゴミ箱の上にかざした。
>「ねえ?あなたの言った事が本当なら捨ててもいいのよね?訂正するなら今のうちよ。
> 一体何が狙いだったのかしら?正直に話したほうが利口じゃないの?ねえ、ケオス?」
リリアーナがぽこんとエルザの頭を叩いた。
「エルザ、どうしてそんな意地悪するの?
ケオスさんは敵意がないことを示すために自分のペンダントを差し出したのよ。
私達を信頼してくれているのに、そんな態度で報いるのは良くないわ」
そう言ってゴミ箱の上にかざされていたエルザの腕を引くと、彼女にだけ聞こえるようにそっと囁く。
「ケオスさんだけど、そんなに悪い人には見えないわ。
ねえ、アンディだって最初は怖かったけど、何だかんだ言ってずっと優しくしてくれたでしょ?
私は自分の事情があるから必死だけど、中にはお祭り感覚でこのイベントに参加してる人だって居るはずよ。
何でも信じるのは良くないけど、頭から疑ってかかるのも良くないと思うの」
リリアーナはエルザの目を見ると、『ね?』と頷いた。
「ペンダントはエルザが持ってて良いけど、ケオスさんの分まで今投下しちゃったら怒るからね」
リリアーナはエルザから離れると、ケオスに向き直った。
「ケオスさん、エルザがごめんなさい。でも、私も興味があるわ。
どうして私達に協力してくださるの?
ケオスさんなら一人でも優勝狙えそうだし・・・このペンダントだって苦労して手に入れたのではないの?」
そういい終えたリリアーナがまたくしゃみをした。
「とりあえずここは寒いし、雪の降らないところに移動しない?」
そう言ってケオスに黒い傘を差し出すと、校舎に向かって歩き出す。
>196
校舎の方から大柄な人影が近づいてくる。
「アンディ、こっちこっち!!いろいろあってペンダント投下が遅れてごめん、怪我は無いかな?!」
リリアーナは大声こそ出さなかったが、ぴょんぴょん飛び跳ねアンディの注意を引こうとする。
「―――― あれ?そのゴーストどうしたの?もしかしてアンディのお友達?」
ステイシスが根掘り葉掘り質問している様子を親しげだと誤解したようだ。
>194
「アレクシス・アガティオン・・・」
呼びかけに応えて出てきたアレクの言葉を復唱するように呟くベアトリーチェ。
知っている名前かと思い出そうとしたのだが、初対面なので当然思い当たるわけがない。
数瞬ではあるが、初対面と結論に達するとにこやかに微笑み返事を返す。
「私はベアトリーチェ。薬学科の二等学科生よ。」
宮廷作法のようにスカートの端を摘んで上げながら軽く会釈をする。
そして小さく噴出しながら言葉を続ける。
「うふふ、なにも両手を挙げなくても・・・
でもありがとう。こんな森の中で男の人が来てちょっと怖かったけど安心したわ。」
そういっている橋から感染者達はレミングの如く次々と石と化して湿原に沈んでいく。
傍から見るとかなり怖い光景なのだが、ベアトリーチェにとっては全く眼中にないらしい。
感染者の最後の一人が沈み、湿原にはアレクとベアトリーチェだけが残った。
幻想的に青く光る湿原に浮かび上がる二人の影。
その距離が徐々に縮まっていく。
「戦いに来たわけでもなさそうだし、よければ庭園でお茶でもしませんか?
そこは危険だから。」
そう誘うベアトリーチェの足元にはいつの間にか橋が出来ていた。
ヴァンエレンたちを招待した時と同様に、ミミズで出来た橋だ。
そして、その言葉が示すように、アレクの背後で不意に大きな音が鳴る。
***バキバキベキ***
湿原を囲むように林立していた巨大菌類が崩壊し、倒れてきたのだ。
破壊されたその傷口からは大量の砂が舞っている。
この現象は湿原付近だけで起きているのではない。
腐海全域で菌類が崩壊し始めているのだ。
元々地中の穢れや毒素を活性化させて形成した巨大菌類群。
雨により活発になった菌類群はベアトリーチェの計算以上のスピードで毒素を消費していった。
その先に待っているのは、毒素の枯渇。
栄養源の毒がなくなれば巨大な質量を持った菌類はその体を維持できなくなる。
見た目は変らなくとも中身はスカスカになり、やがては自重を支えきれなくなり崩壊していくのだ。
腐海の崩壊は始まり、程よく時間をかけ完全に消えうせるだろう。
そして跡に残るのは完全無菌の砂漠。
「この美しき終わりの始まりを一人で見るのも味気ないわ。」
アレクを誘いベアトリーチェは庭園へと歩いていく。
>174>186>188
>カッ、という閃光。電撃は猫娘の首をひっつかんで諸共に伏せた私の頭上を通過していった。
勝てる…今度こそ本当の本当に確信したというのにまたもや邪魔が入る!
今度は変な白い翼を持った女…くそ、ここまで僕をコケにするとは…
>「こ、この勝負は預かったわ!じゃ、こいつ(猫娘)持ってくわよ?!」
しかもどうやら逃げる気でいるらしい。いや、逃げるのは構わない。
ただどうしても認められないのは勝負を預かったというところだ!
「ふざけるな!僕の勝ちだ!勝負は預からないからな!
僕の勝ちで決定だ!…っておい聞いているのか!?」
僕の言葉に耳も貸さずに翼の女はクリスと戦っている犬娘のところに行き
言葉をかわしたあとラルヴァとヴァンが落ちていった穴に移動し白鴉の姿になり飛び降りる。
そういえばヴァンはどうなっているんだろうか?なにやらさっきから少し様子をおかしかった。
少々心配になり僕も穴に向かって動こうとするが身体が言うことを聞かない。
攻撃をもらいすぎたみたいだ…痛みで動けないでいるとクリスがこっちに来て回復魔法をかける。
>「ったく、無理して追いかけてもやられるだけだぞ。
>少しじっとしていろ。」
「僕はエリートだぞ。あ、あの程度の攻撃なんて余裕のよっちゃんだ!
…だがまあせっかくの好意だ。受け取らないわけにもいかないな!
そして一応礼を言っておこう…ありがとう。」
不完全とはいえこの僕があんな猫娘にボコボコにされたなど
認めるわけにもいかないので体裁を取り繕いながら僕はクリスに礼を言う。
>「執念があるのはいいんだが、俺らの目的はペンダントを回収しに行くことじゃなかったのか?
>ここで無茶をしてやられたら回収しに行くのにもっと手間が掛かるじゃないか。」
「フン…僕がやられるわけないだろう。なにせ僕はエリートだぞ!
それに…もし僕が無茶をしてもお前がいるじゃないか。もちろん今後も僕を助けてくれるんだろう?」
僕はそうクリスに笑いかける。そしてしばらくして完全に痣が消え痛みが引く。
>「さて、回復も終わったことだしヴァンエレンを迎えに行こうか。」
「そうだな。どうやら落ちる前は槍に貫かれていたようだし心配だ…」
クリスに同意し僕は穴へと飛び込む。
飛び込んだ先に待っていたのは血で染まった床と倒れ込んでいるヴァンエレンだった。
「……ヴァン!?」
凄惨なヴァンの姿にショックを受けながら僕は駆け寄りヴァンの上半身を起こす。
「お、おい大丈夫かヴァン?しっかりしろ…!!」
見てみると片手はなく胸にはぽっかりと大きい穴が空いている。
また虫の息のためか意識もかなり朦朧としているようだ…このままではあまり長くないように見える。
「おいクリス。頼む!さっき僕につかった回復魔法をかけてやってくれないか?」
>195>199
>「…無理よ。リリアーナはともかく、私はあなたの事なんて何も知らないわ。」
それもそうだ。ケオス自身、リリアーナと直接言葉を交わすのは初めてだろう。
「これから知っていく、じゃだめかな?これで印象はちょっと悪いけどファーストコンタクトは取れたし。」
相変わらずのニコニコフェイス。この顔で初対面の人にのうのうとこんな事をいうのだ、手の早い人ならそろそろ殴りかかられてもおかしくないだろう。
>「仲間ですって?仲間って言うのは、そんなに軽いノリでなるものなの?」
これも正論である。見ず知らずの人が仲間になりたいと言って、はい、良いですよ、と言う人はそうは居ないだろう。
「善意の協力者、じゃだめかな?または目的達成のための共同戦線とか。」
この状況下でここまで言うともはや、大嘘か大まじのどちらかだろう。
もちろんケオスからすれば後者、大まじ以外ありえないのだが。
ケオスの思いは果たしてエルザに通じるのだろうか?
>「ねえ、ケオス。あなたさっき言ったわよね?この行事を早く終わりにしたいって。だったら、話は早いわ。
>あなたのペンダントがゴミ箱に入ればいいのよ。別にこの世界に未練は無いのでしょ?」
>エルザはリリアーナの手に渡ったペンダントを鷲づかみにし、ゴミ箱の上にかざした。
>「ねえ?あなたの言った事が本当なら捨ててもいいのよね?訂正するなら今のうちよ。
>一体何が狙いだったのかしら?正直に話したほうが利口じゃないの?ねえ、ケオス?」
エルザはケオスをおどした!
しかし、ケオスにはこうかがないようだ……
ケオスはエルザにむけてむりょうスマイルをうかべている!
「言葉以上の意味は無いよ。捨ててくれてももちろん構わない。
理由としては――」
>「エルザ、どうしてそんな意地悪するの?
>ケオスさんは敵意がないことを示すために自分のペンダントを差し出したのよ。
>私達を信頼してくれているのに、そんな態度で報いるのは良くないわ」
ケオスの言葉はリリアーナのエルザへの攻撃によって遮られた。
>「エルザ、どうしてそんな意地悪するの?
>ケオスさんは敵意がないことを示すために自分のペンダントを差し出したのよ。
>私達を信頼してくれているのに、そんな態度で報いるのは良くないわ」
一見すると年上そうなエルザがリリアーナに叱られている
「アハハ、ハハハ!」
その光景が余程面白かったのだろう。声に出して笑ってしまうケオス
笑っていたためリリアーナがエルザに対して何か言っているのに気がつかなかった。
>「ケオスさん、エルザがごめんなさい。でも、私も興味があるわ。
>どうして私達に協力してくださるの?
>ケオスさんなら一人でも優勝狙えそうだし・・・このペンダントだって苦労して手に入れたのではないの?」
「別に苦労した訳じゃないよ。理由についてもちゃんと話すよ、仲間に入れてくれって言ったのはこっちだし、ね」
何処から話そうかと迷っているとリリアーナがくしゃみをする。それにより思考が一時中断。
>「とりあえずここは寒いし、雪の降らないところに移動しない?」
「そうだね、取りあえず落ち着ける場所まで行こうか。」
リリアーナから手渡された傘を差し、後に続いて歩き出す。
>190
>「やめろ!よせっ!フリージ…ああああああっ!!」
「お〜ほっほっほ!よせといわれてよすバカはいませんわ!!」
とフリージアはますますぎゅっと力を込める
そんな事を言っているフリージア自身は筆記テストとか苦手なお馬鹿さんである
まあ実技が成績良いので落第はしないだろうが・・・・・
蒸気の熱によりどんどん溶けていくフリージングドールの胸
腕の部分は洋服のモールドが完全になくなった頃
胸の部分はそろそろBカップぐらいに縮んだ頃だろうか?
>「はぁ………」
別に気絶したというわけでもないのに急におとなしくなるロック
「ええと・・・・とりあえず私の勝ちということで良くって?」
なんだかわからないがどうやらロックは戦う意志をなくしたようだ
「お〜ほっほっほ!私の勝利ですわ!!」
まさかロックがちょうど良い感じで女の子に抱きしめられた為に
戦意をなくしただなんて思いもしないフリージア
ロックを右手で抱きしめたまま高笑いをするのであった
端から見ていると男性を大女が抱きしめて高笑いをしているという
アレな光景である
誰か目撃者がいなければいいのだが・・・・
ペンダント自前1 所持2 投下1 魔力回復薬(青汁風味)
反応、ナシ。と。まぁ、当たり前か。
念話にはいくつも種類があって、おれが使ったのは一方送信型。通称ワンウェイ。
主に多数の者に命令を伝達するのに使う用法。主に狩猟や軍隊で使われる手法。
当然ながら特殊な受信方を使わなきゃいけない……やっぱ、素人さんは知らないか。
じゃあじゃあ一体どうしよう?念話の方法を他には知らないしなぁ……
人気のあるところにひたすら突撃?それとも信号弾?
どっちにしろリスキー過ぎる。危なすぎる。
「はぁ」
漏れるのは溜息。辛気臭いことだ。
面倒くさいというのもある。自分にも他人にもほんの少しイライラはしている。
でも一番大きいのは疲労感、徒労感。そして自分への嘲り。
腕壊して脚壊して結果がこれか。面白くも、楽しくもないじゃないか。
暴れてうさを晴らすほどの元気もなければ、割り切れるだけの要領もない。
ただただ疲れだけがおれに押し寄せる。
面倒だ。帰って寝たい。けど、彼女には恩がある。私には沽券がある。ならどうすべきだ?
考えろ、考えろ、何でもいい何かないのか?
当てもなければ、ターゲットの行動パターンだって知らない。お手上げだ。
歩いてればそのうちに会えるだろう。
そう楽観して、ブラブラ歩くことにする。
ベアトリーチェ君のもとへ戻るのも考えたが流石に何度も大怪我はしたくないしね。
それにそうしたら、えらく間抜けに見えるだろうし。
まったく、余計なところでプライドというのは発露するものだ。
>200
ベアトリーチェが軽く笑い声を立てたのを見ると、上げた両手を交互に見遣った。
我ながら些かオーバーリアクションであった、と反省したのだろう。
やや自嘲的な色を帯びた苦笑を顔に浮かべ、ゆっくりと両手を下ろした。
「お茶か、そいつは魅力的な提案だ。喜んで同道させてもらう事にしよう。
しかし、危険というのはどういう……」
口にしかけた言葉を中断させたのは、背後で生じた轟音だった。
驚いて振り返ると、巨大菌類が倒壊する光景が認められる。
一見すると頑丈そうに見えたが、中身はそうでもなかったらしい。
「……おーけー、危険の意味は理解した」
他の生徒に倒されるのならまだしも、事故に巻き込まれてリスタート、というのはいかにも情けない。
そういった未来図は彼の望むところではなかったから、足早にベアトリーチェの後を追った。
彼女の足元に橋が出来ている事は判ったが、それがミミズで構成されていると気付くには少々の時間を要した。
そうと判ると、アレクは急に不安を表情に表した。
「重量オーバーで湿原に転落、なんて事にはならないで欲しいものだけど……」
ぼそぼそと独語して、ミミズの橋というものの強度に対する不安を口にしていた。
恐る恐るといった様子で、橋を渡ろうとしている。
「終わりの始まり、か」
臆病な慎重さと戦いながら、ベアトリーチェの言葉を口の中で繰り返した。
なるほど、形あるものはいずれ滅びる、とはよく言ったものだと思う。
或いは、万物は流転する、とか(この言葉の正しい使い方かどうかは判らないが)。
そこで彼の中で浮上した疑問は、何という事のないただの思い付きだった。
「一つの終幕を見届けたとして、その後はどうするんだい。
ペンダント争奪ゲームはまだ終わっていないようだけど。
もっとも、個人的には本来の目的たる『生徒・教師の交流・レクリエーション』に重きを置きたい気持ちがないわけじゃない」
>187
>「いくら・・・精神世界とは言え、無責任すぎるとは思わない・・・みたいだね。」
怒りを含むラルヴァの言葉にヴァンエレンは反論することはなくそのかわりにニタリと口を歪めて返した。
もし問題があるのなら教頭や校長が自ら出張ってくると思うが、いまだに二人が訪れてこないため暗黙の了解は得られたということだ。
ヴァンがやったことは決して間違ったことではない、人間としてはともかくとして少なくとも魔に生きる者としては…。
ゆえに吸血鬼はラルヴァに負けたといえど高らかに笑ったのだ。
『その者、いかに猛威を振るい数多死すとも所詮は人間でしかない。
最終的に勝つのは我ら地下に棲む魔物たちよ』
>201
穴から飛び降りてきたマオとクリスの両者はヴァンの損傷の様子を見て驚いたようだ。
確かに腹は槍に貫かれて片手が喪失していれば人間ならば死んでいるだろう。
>「おいクリス。頼む!さっき僕につかった回復魔法をかけてやってくれないか?」
「断腸の思いだ…」
どうやらまだ大丈夫のようだ…。
「回復魔法を使うよりもこのまま殺してくれたほうが復活も早くて楽そうだ」
死んでから近くのゴミ箱から復活するのならば、体力と魔力が半分になってしまうが手や穴もすべて完治した状態で復活できる。
確かにそのほうがクリスの手を煩わせることなく復活できるだろうが、マオやクリスが果たしてそれを許すかどうか…。
>『随分気前よく負けてやったものだなぁ』
突如耳のすぐ側から聞こえた震えるような地獄からの声。
マオやクリスには聞こえていないようなのでおそらくヴァンだけを対象とした念話だろう。
>『不思議そうな顔をしているな…。
>あのまま戦っていたら、確かに普通なら負けて当然だが。
>…なぜ狂うのを止めた?
>まあよい…この件はいずれ決着をつけよう』
そこで死王からの一方的な念話はパタりと終わりを告げた。
「あー、そうだ。
もうひとつ効果的な回復の手段があったな。
マオとクリスどちらでもいいのだが、血をくれないか?」
吸血鬼の生命維持における一番重要な吸血行動という案が最後に出てくるとは、ご先祖さまが見たらさぞや呆れさせてしまうことだろう。
>199>203
「あうっ」
> リリアーナがぽこんとエルザの頭を叩いた。
> 「エルザ、どうしてそんな意地悪するの?
> ケオスさんは敵意がないことを示すために自分のペンダントを差し出したのよ。
> 私達を信頼してくれているのに、そんな態度で報いるのは良くないわ」
「だって、リリアーナ…」
> 「ケオスさんだけど、そんなに悪い人には見えないわ。
> ねえ、アンディだって最初は怖かったけど、何だかんだ言ってずっと優しくしてくれたでしょ?
> 私は自分の事情があるから必死だけど、中にはお祭り感覚でこのイベントに参加してる人だって居るはずよ。
> 何でも信じるのは良くないけど、頭から疑ってかかるのも良くないと思うの」
「うう…」
> 「ペンダントはエルザが持ってて良いけど、ケオスさんの分まで今投下しちゃったら怒るからね」
エルザはしぶしぶ了承した。まるで本当に母親がわがままな娘をなだめているようだ。
エルザはケオスのペンダントだけを残し、5つのペンダントをゴミ箱に投下した。
ケオスにペンダントを提供してもらったのだから、エルザもケオスにそれなりに報いる必要があるだろう。
>「とりあえずここは寒いし、雪の降らないところに移動しない?」
> 「そうだね、取りあえず落ち着ける場所まで行こうか。」
「私は、エルザ。エルザ・フォン・ブラハントよ。よろしく。」
3人で校舎に向かって歩いている時、エルザはケオスに自己紹介をした。
エルザはリリアーナにまで聞こえないように気をつけながら、ケオスに囁いた。
「言っておくけど、まだあなたの事を完全に信用しているわけじゃないわ。
口は悪いけど、私はまだアンディの方が…」
> 「アンディ、こっちこっち!!いろいろあってペンダント投下が遅れてごめん、怪我は無いかな?!」
リリアーナがそう言ったので、エルザは慌てて言葉を切った。
もしもあのまま『アンディの方が信用できるわ。』などと言ったら、
アンディ本人に何といってからかわれるか、知れたものではない。
「あら、アンディ元気そうね。なんならもう少し、ペンダントを捨てるのを待ったほうが楽しめたかしら?」
エルザは、できるだけ自分がアンディを嫌っているように聞こえるよう気をつけながらそう言った。
> 「―――― あれ?そのゴーストどうしたの?もしかしてアンディのお友達?」
エルザもまた、アンディに憑いている(ゴーストにふさわしい表現だろう)ステイシスに気づき、首をひねった。
「あれ?あなたどこかで会ったかしら?」
もしも、ステイシスが何か一言でも話せば、エルザはすぐに自分達を襲った生徒のリーダーだと気づくだろう。
>204
> 「お〜ほっほっほ!私の勝利ですわ!!」
フリージアに抱きしめられたままのロックは、いつの間にか猫耳が引っ込み、
普通の(でもやっぱりアンポンタンな)ロックに戻っていた。
「う〜ん、まいった。俺の負けなのだ。」
ロックは負けを認めた。
「俺の敗因は――いや、フリージアの勝因かな?
たった一つ、たった一つのシンプルな答えなのだ。
お前は俺をときめかせた。」
ロックは体をもぞもぞと動かした。
「とりあえず、フリージア。いったん俺を降ろして欲しいのだ。」
フリージアから開放されたロックは、自分の首からペンダントを外した。
勝者であるフリージアに、自分のペンダントを渡すためだ。
「お前はやっぱりすごいよ!今度はもっとおもしろい勝負をしような!
その時まで、俺はもっともっと強くなって、待っているからな!」
ロックはフリージアに改めて近づき、頼んだ。
「…とりあえず、フリージア。脱いで欲しいんだけど、駄目かな?」
フリージアにどう聞こえたかはともかく、ロックが脱いでほしいと言ったのは、フリージングドールスーツだ。
ロックは自分のペンダントを、できればフリージア本人の首に直接かけたいと思っているのだ。
>196 >208
>「言っておくけど、まだあなたの事を完全に信用しているわけじゃないわ。
>口は悪いけど、私はまだアンディの方が…」
>「アンディ、こっちこっち!!いろいろあってペンダント投下が遅れてごめん、怪我は無いかな?!」
中庭に向かおうとアンドが歩いていると元気そうにアンドのことを呼びながら跳ねるリリアーナ達が見えてくる。
相変わらず元気そうだがいつもと一つ違ったのは知らない人物が1人いるということだ。
「俺のことより見知らぬ誰かさんなんか連れてどうしたんだ。
なんか問題があったんじゃねえだろうな。少なくともエルザお嬢さんは信用してねぇみたいだぜ?」
そういい知らない男に殺気がこもった鋭い目を向ける・・・最も本気でどうにかしようなどと考えてなどいない。
一緒に行動しているという時点で『今』は敵対する気はないと分かっているからだ。
>「あら、アンディ元気そうね。なんならもう少し、ペンダントを捨てるのを待ったほうが楽しめたかしら?」
危機を脱し再開したというのにエルザの相変わらずの態度・・・
だがこういう言葉がもはやが当たり前になっているのかアンドは特に気を悪くする様子もなく、
むしろこういう言葉を待っていたようにエルザを見てニヤっと笑い軽口を叩く。
「おいおい冗談でもやめてくれ。余裕すぎてさっきのでも暇で暇でしょうがなかったんだぜ?
あれ以上遅かったらすることなくて眠っちまっているところだ。」
>「―――― あれ?そのゴーストどうしたの?もしかしてアンディのお友達?」
話している(一方的な質問をくらっている)様子から仲が良いとでもとられたのだろうか?
「俺に友達なんて高尚なもんいると思うのかよ?てかお前さっき闇の中で
目が利いていたんだったら気付かねぇか普通・・・」
見えていたにしてはかなり鈍いリリアーナに呆れるアンド。そんなときエルザが首をひねり聞く。
>「あれ?あなたどこかで会ったかしら?」
>「俺はステイシス。君達にやられた人たちのリーダー的存在だったって言えば分かるかな。」
エルザに自己紹介するステイシスを見てうんざりするアンド。
どうやら本気で嫌なのかエルザとリリアーナに言う。
「おい、ゴーストってどうにかして除去できねえのか?さっきからこいつうざったくて仕方ねえんだ。」
吸血鬼の所に行くためマオと共に穴へと飛び込む。
飛び降りた先では血で染まった床に倒れこんでいる吸血鬼を見つけた。
奥の方に金、銀、白の影が見えたがあまり気にしないことにしよう。
>「……ヴァン!?」
>「お、おい大丈夫かヴァン?しっかりしろ…!!」
マオが驚くのも無理は無い。
右腕が無くなり、腹に穴が開いているのだ。
人間であったらすでに死んでいてもおかしくないだろう。
>「おいクリス。頼む!さっき僕につかった回復魔法をかけてやってくれないか?」
マオの問いに答えることはできない。
俺の回復魔法は自然治癒力の活性化
打撲や軽い切り傷などは治すことができても無くなった腕は治すことができない。
>「断腸の思いだ…」
せめて止血を、と思っていたら吸血鬼が口を開いた。
まだ話ができるあたり生命力の高さが伺われる。
>「回復魔法を使うよりもこのまま殺してくれたほうが復活も早くて楽そうだ」
「…」
マオがいろいろ吸血鬼に言っているが、否定することができない。
だが再度マオに回復するように言われたので、これ以上血が流れないよう傷口を活性化させ傷を塞ぐことにした。
右腕の傷口を塞ぎ終える頃、忘れていたかのように吸血鬼が話し始めた。
>「あー、そうだ。
もうひとつ効果的な回復の手段があったな。
マオとクリスどちらでもいいのだが、血をくれないか?」
「…なぜ先に言わないんだ。」
吸血鬼の言葉に少し呆れる。
もう少し早く言ってくれれば残り少ない魔力を使わずに済んだというのに!!
呆れている間にマオが率先して血をあげていた。
…これで治りきらずにマオも貧血になったらどうすんだよ。
>202-203 >208
>「俺のことより見知らぬ誰かさんなんか連れてどうしたんだ。
> なんか問題があったんじゃねえだろうな。少なくともエルザお嬢さんは信用してねぇみたいだぜ?」
アンディは開口一番ケオスについて質問してきた。
「あ〜。その・・・・・問題はあったような無かったような・・・・・・ははは」^
今ペンダントをエルザに託したと告げたら、メラルの事も話さなければならない。
「中庭でたった今ペンダントを奪われました」なんて言ったら怒られるに決まってる。
「それは後でエ話すとして、アンディ、こちらケオスさん。成績優秀だからアンディも名前くらいは知ってるかな?
ケオスさん、アンディは二十歳過ぎに見えるかもしれないけど、れっきとした学園の生徒だよ〜」
リリアーナは二人を紹介することで、話をそらせようとした。
「でね、ケオスさんとはさっきゴミ箱でばったり会ったの。ペンダント集めを手伝ってくれるんだって〜。
さっき自分が手に入れたペンダントを、自分の分まで私達にくれたのよ。太っ腹よね〜」
そんな事を話しながら、リリアーナはアンディを自分の傘に無理やり入れた。
>「俺に友達なんて高尚なもんいると思うのかよ?てかお前さっき闇の中で
> 目が利いていたんだったら気付かねぇか普通・・・」
「え〜っ?私達は〜?」
リリアーナは唇を尖らせた。
だがどうも不満そうな理由は、闇の中で目が利かないといわれた件では無さそうだ。
リリアーナの質問はエルザの言葉に遮られた。
>「あれ?あなたどこかで会ったかしら?」
>「俺はステイシス。君達にやられた人たちのリーダー的存在だったって言えば分かるかな。」
リリアーナは一瞬申し訳なさそうな顔をしたが、謝るのは失礼だと気づきただ頷くにとどめた。
「そうだったの。よろしくね、ステイシス」
そう挨拶したものの、リリアーナは不思議そうにアンディとステイシスを見ていた。
どうして倒された相手がアンディと仲良くなったのか不思議だったのだが――――。
「あ、そっか」
リリアーナはぽんと手を叩いた。
「男の子っていいバトルをした相手とは仲良くなれるんだっけ。アンディったら照れてるのね」
アンディにとって不幸だったのは、リリアーナの「男の子の基準」が某男子生徒だった事だろう。
>「おい、ゴーストってどうにかして除去できねえのか?さっきからこいつうざったくて仕方ねえんだ。」
「ゴーストになった参加者は、戦闘が出来ないかわりに干渉もできないのよ」
それはつまり、ステイシスが自分の意志でアンディから離れない限り除去は不可能という意味だ。
「干渉できない代わりに戦いの影響も受けないわ。
ゴースト化ルールの真の意味は、間近で上級者達の戦いを観戦するためのものだからね。
まあ今はこうして話が出来るけど、戦闘中は姿も見えないし声も聞こえないわ。
つまりアンディのお友達が、戦闘に巻き込まれてまた傷つくって事は無いわ。だから、安心してねっ♪」
リリアーナはアンディの背後にいるクレイシスに話し掛けた。
「リバースで手に入れたいものとかある?ゴーストじゃ無理だけど、私達なら持ち帰ることが出来るわ。
言ってくれたら出来るだけ協力するからね〜」
中庭から校舎にたどり着いたリリアーナは、身体と傘の雪を払った。
「ロックとフリージアのバトルがどうなったかも気になるし、ちょっと急ごうか。
エルザにケオスさん、暗いから足元に気をつけ――――きゃっ?!」
リリアーナは盛大にすっ転んだ。濡れた床が滑ったようだ。
「あはははは。・・・・あ、あれっ?そういえばゾンビとかアンデットの残骸が綺麗に消えてるね。
私達と違って、倒されて一定時間過ぎると現実世界に戻されちゃうのかもね。あはははは」
リリアーナはずれたメガネを直しつつ、もっともらしいことを言った。
「そうだケオスさん、さっきのお話、移動しながら聞かせてもらっても良いかな〜?」
さっきの話とは、ケオスが協力してくれる理由と、ペンダントを手に入れるのに苦労しなかった話のことだ。
リリアーナは傍らのエルザにだけ聞こえるよう声を潜めた。
「エルザ、彼が敵じゃないってわかればいいんだよね?」
>135 >204
体が重い。やたらと重い。
誰かが上に乗っかって、あたしを押しつぶそうとしているんだろうか。
不思議に思いながら目を開けて。
最初に見えたのは、見覚えのある修道服姿の少女の顔。
自称『永遠の15歳』の、あたしが育った孤児院の院長先生の顔。
>「これ、ミルクちゃんのために私が造った御守りなの。
>『本当に困ったら助けてあげて』って神様にしっかりお願いしてあるから、大事にしてね?
>あの人の造った学園だから、変なことは起きないけど、用心用心。ね?」
差し出すその手の中には、魔法学園に来るときにもらったのと同じ聖印が光っている。
ああ、そっか。あたしは昔の夢を見ているんだ。
魔法学園に来る前。まだ孤児院にいた時の夢を。
あいかわらずあたしの上に馬乗りになったまま、院長先生は言葉を続ける。
>「ミルクちゃんが破壊活動の言い訳するのも、もう八回目になるんだよねぇ」
今度は、あたしが修道服の呪いをかけられた時の台詞。
さすがに夢だけあって、状況が怪しい上に言葉も全然つながってない。
変なところに感心しているあたしの上、院長の後ろに、複数の光弾が浮かび始めた。
え?こんな展開は記憶にな……
>「少し、頭冷やそうか……」
それこそ虫けらでも見るような冷たい視線で、院長があたしに死の宣告を告げる。
す、少しって、殺す気満々じゃないですかー!!
逃げようにも叫ぼうにも、金縛りにあったのか指一本動かせないし!
目を閉じることもできないままに、無情にも無数の光弾が襲いかかってくる。
「うわああぁぁぁっっ!?」
もの凄い爆発音に耳を叩かれて、あたしは文字通り飛び起きた。
とっさにメギドラを自分の周りに範囲設定したけど、ちょっと落ち着いてみれば、周りに誰もいないのはすぐに分かる。
みんなリリアーナの護衛に出かけちゃったんだろう。
ここは、フリージアの造った雪の城の中で、あたしの育った孤児院じゃないのだ。
「なんだ…やっぱり夢だったのか…死ぬかと思った…」
氷の上に寝てたのにあんまり寒くなかったなと思ったら、よく見るとあたしの体に毛布がかけられている。
これ、リリアーナが持ってた毛布だよな。
「わざわざ体の下にまで毛布を巻き込んでくれるなんて、ほんとリリアーナって気がきくよね。
いい嫁を持ったロックがうらやましいわ…って、ん?」
暖かい塊が毛布の中でもごもご動いている。
引っ張り出してみると、それは一匹の黒猫だった。名前は確かルズだったはず。
「残って暖めてくれてたんだね。ありがとうルズ。
おかげで風邪引かずにすみそうだよ」
お礼代わりに、ルズの頭をなでなでしてみたら、なかなか良いさわり心地だった。
>「お〜ほっほっほ!私の勝利ですわ!!」
「うわ!なにこの声!?」
外から吹雪にも負けない高笑いが聞こえてきて、ぎょっとする。
慌ててルズを抱えたまま窓の外を見れば、大フリージアがロックを抱きしめて、勝利の高笑いをしている所だった。
雪の降りしきる中抱き合う、同年代の男女二人。
普通なら心温まる光景のはずなのに、なぜかそんな感情はちっともわいてこないぞ。
「ま、まぁともかくロック対フリージアは、順当にフリージアの勝ちっと。
戦う前からこうなるような気はしてたけどね」
それにしても、2人はどれくらいの時間戦ってたんだろうか。
悪夢のせいか疲れすぎてたからか、時間感覚がかなり狂っている。
「そうだ。ちょっとルズに聞きたいんだけど、あたしってどれくらい寝てたかな?
何も妨害がなければ、ゴミ箱に向かったリリアーナ達が、そろそろ戻ってきそうな気もするけど…」
>210>212
>「俺はステイシス。君達にやられた人たちのリーダー的存在だったって言えば分かるかな。」
> 「そうだったの。よろしくね、ステイシス」
そう聞いた後、エルザは納得した顔をした。納得した後、エルザは笑った。
「いい気味だわ、ステイシス。…悪く思わないでよ。場合によっては、私達がゴーストになってたんだから。」
> 「あ、そっか」
> リリアーナはぽんと手を叩いた。
> 「男の子っていいバトルをした相手とは仲良くなれるんだっけ。アンディったら照れてるのね」
「ふ〜ん、そうだったの。よかったわね、アンディ。あなた達、お似合いよ?」
アンディにとって不幸だったのは、エルザもまた「男の子の基準」が某男子生徒だった事だ。
> 「おい、ゴーストってどうにかして除去できねえのか?さっきからこいつうざったくて仕方ねえんだ。」
> 「ゴーストになった参加者は、戦闘が出来ないかわりに干渉もできないのよ」
「そうね、残念だけど、あなたがステイシスに振られるしかなさそうね。」
エルザはおかしそうにくすくす笑った。
> 「干渉できない代わりに戦いの影響も受けないわ。
> ゴースト化ルールの真の意味は、間近で上級者達の戦いを観戦するためのものだからね。
> まあ今はこうして話が出来るけど、戦闘中は姿も見えないし声も聞こえないわ。
> つまりアンディのお友達が、戦闘に巻き込まれてまた傷つくって事は無いわ。だから、安心してねっ♪」
「あら、それはかわいそうだわ!ステイシス君は戦っている勇ましいアンディを応援したいはずよ!あははっ♪」
エルザはたまらず吹き出した。
> 「そうだケオスさん、さっきのお話、移動しながら聞かせてもらっても良いかな〜?」
> さっきの話とは、ケオスが協力してくれる理由と、ペンダントを手に入れるのに苦労しなかった話のことだ。
> リリアーナは傍らのエルザにだけ聞こえるよう声を潜めた。
> 「エルザ、彼が敵じゃないってわかればいいんだよね?」
「う〜ん、まあね。」
エルザもひそひそとリリアーナに話した。
「何を考えているのかわからないままだと、気持ちが悪くてしょうがないわ。」
エルザはリリアーナを抱き寄せ、わざと流し目でケオスを見た。
「なんだったら、私達二人があんまり可愛かったから…なんて理由でもいいのよ?」
>214
名前欄訂正
ロックなのだ!→エルザ
>208>210>212>214
取りあえず校舎に向かっているようだ。二人に続いて歩いていると
>「私は、エルザ。エルザ・フォン・ブラハントよ。よろしく。」
>3人で校舎に向かって歩いている時、エルザはケオスに自己紹介をした。
「よろしく。僕はケオス。ケオス・キョンサン。呼び方はエルザで大丈夫かな?」
大した進歩。自己紹介をしてもらえた。ホッとしたのも束の間
>エルザはリリアーナにまで聞こえないように気をつけながら、ケオスに囁いた。
「言っておくけど、まだあなたの事を完全に信用しているわけじゃないわ。
口は悪いけど、私はまだアンディの方が…」
当然だがまだ信用までは至っていないようだ。不意に言葉が切れふと前を見ると、随分と年上そうな男が歩いてきた。
どうやらあの人がエルザの言うアンディなのだろう
>「俺のことより見知らぬ誰かさんなんか連れてどうしたんだ。
>なんか問題があったんじゃねえだろうな。少なくともエルザお嬢さんは信用してねぇみたいだぜ?」
>そういい知らない男に殺気がこもった鋭い目を向ける・・・最も本気でどうにかしようなどと考えてなどいない。
「…………フフ。」
殺意が籠ったアンディの視線をエルザの時と同じように受け流す。
いや、今回は少々違うようだ。ニコニコフェイスなのは変わらないのだが
「大丈夫。何をする気もないよ。」
「それくらいの殺気じゃ、ダメだよ。」
口には出さないが敵意の無い事と忠告の相反する意思が交ざった視線をアンディに向けている。非常に考えが読み辛いと言う印象を与えただろう。
>「それは後でエ話すとして、アンディ、こちらケオスさん。成績優秀だからアンディも名前くらいは知ってるかな?
>ケオスさん、アンディは二十歳過ぎに見えるかもしれないけど、れっきとした学園の生徒だよ〜」
そんな視線もリリアーナの言葉によって途切れた。
「こんばんは、ケオス・キョンサンです。アンディ、でいいのかな?よろしく。」
そういうケオスの眼には先ほど視線など微塵も無く、いつもの無料スマイルを向けていた。
>207>211
>「断腸の思いだ…」
「ヴァン!?大丈夫か?」
喋れるということはどうやらまだ意識がないわけじゃないみたいだ。
「よし、待っていろヴァン。なんとかしてやるからな。」
僕はそういって励ましたがヴァンは痛みで苦しそうにしながら喋る。
>「回復魔法を使うよりもこのまま殺してくれたほうが復活も早くて楽そうだ」
確かにそうだ…ここはリバースなんだ。
別にいくら死んだってデメリットは初期体力と魔力が半分になるというぐらいしかない。
「で、でもじゃあ僕達がお前に止めを刺すっていうのか!?僕は…それは嫌だ。」
>これ以上血が流れないよう傷口を活性化させ傷を塞ぐことにした。
僕達を黙ってみていたクリスが傷口を塞ごうとさっきの魔法を使いはじめる。
きっと僕に言われたのでやむなく…だろう。クリスは実際乗り気じゃない。
僕もヴァンにはここで死んでもらって違う地点で合流したほうがいいということは分かっている。
でも僕には楽にさせてやることなんてできないし。
見殺しにするのでも強い生命力のせいで長く苦しみ続けるだろう…
「僕の勝手に付き合わせてごめんクリス……」
僕はクリスにあやまることぐらいしかできなかった。
そして右腕の傷口を塞ぎ終える頃…ヴァンがふと思い出したのか話し始める。
>「あー、そうだ。
>もうひとつ効果的な回復の手段があったな。
>マオとクリスどちらでもいいのだが、血をくれないか?」
な、なんだってぇー!!(AA略)いや、よく考えてみろ。
確かに映画とかの吸血鬼だって血を飲めばたちどころに回復するじゃないか!
「よし、そうと分かったら僕に任せておけ。」
映画とかでよくみる吸血シーンを思い出しながら僕は座り込み腕をヴァンの前に差し出す。
ヴァンの犬歯がゆっくりと腕に突き刺さり腕から血が流れていくのが分かる……
ちょっと痛いが我慢だ……
「…どうだヴァン?治りそうか?」
僕はそうヴァンに問いかけるが早くも胸の辺りの血が止まってきている。
どうやら効果があるということは確からしい。
しばらく立つと穴が空いていた胸は驚くほど良くなり
傷が塞がってきているのが分かる。まあ…それはいいことなんだが…
血を与え続けたためかなんだか視界がちょっとちらついてくる。
要するに貧血だ…これ以上吸われるとちょっとまずいかもしれない。
「……ヴァンもうそろそろいいか?流石に辛くなってきているんだが…」
>中庭から校舎にたどり着いたリリアーナは、身体と傘の雪を払った。
>「ロックとフリージアのバトルがどうなったかも気になるし、ちょっと急ごうか。
>エルザにケオスさん、暗いから足元に気をつけ――――きゃっ?!」
「大丈夫。僕より君こそ――」
>リリアーナは盛大にすっ転んだ。
「ハハ…どうやら、忠告が遅かったみたいだね。」
眉を八の字にして苦笑する。
照れ隠しなのだろうか
「そうだケオスさん、さっきのお話、移動しながら聞かせてもらっても良いかな〜?」
リリアーナは言い出す。丁度話す事のまとめも終わったのでゆっくりと喋りだす。
「うん、そうだね。じゃ、ペンダントについてだけど…
本当に苦労して手に入れた訳じゃないんだ。君達と会うちょっと前かな?五人くらいに囲まれて、逃げるついでにちょっと拝借したんだ。追いかけ回されるよりはペンダントを捨ててゴーストになって貰った方が楽だし。
ちょろまかしただけだから別に苦労した訳じゃ無いって事だよ。
ただ、ペンダントを棄てた時の得点は優勝を狙わない僕に取っては無駄だしもったいないしね。
君達なら必要としてるだろうと思ってプレゼントしたんだ。」
事もなさげに言うが結構ギリギリの事をしているのだ。
「次は協力する理由だったね。」
そこまで言うとエルザは
>「なんだったら、私達二人があんまり可愛かったから…なんて理由でもいいのよ?」
「ハハ、それは有りかも知れないな。うん、じゃあそれでいこうかな。」
冗談か本気か全く分からない微笑を浮かべる。
「ごめん、冗談だよ。ちゃんと言うと、君が優勝しないと困る事になるって言ったから。
早く終わりにしては欲しいけど適当な人が優勝して君が困る事態になるのは、ちょっと目覚めが悪くなりそうだからね。」
掛け値無しの本音だがリリアーナとエルザ、アンディは納得するのだろうか?
>213
>「うわああぁぁぁっっ!?」
「あ〜れ〜?!」
ミルクが跳ね起きた勢いで、ルズは毛布ごと吹き飛ばされた。
(な、何が起こりましたの??)
真っ暗な毛布の中で出口を探していると、ふいに視界が開けた。
>「残って暖めてくれてたんだね。ありがとうルズ。
>おかげで風邪引かずにすみそうだよ」
「いいえ〜ミルク様、礼には及びませんわ〜。わたくしも色々役得でございました〜」
ルズはごろごろと喉を鳴らした。
>「お〜ほっほっほ!私の勝利ですわ!!」
>「うわ!なにこの声!?」
「まあ!フリージア女王様ですわ〜!」
>ミルクに連れられ窓の外を見ると、フリージアがロックを抱きしめて、勝利の高笑いをしている所だった。
>雪の降りしきる中抱き合う、同年代の男女二人。
>「くう〜なんて羨ましい!女王様、あんな男には勿体無さ過ぎる技ですわ〜!」
ルズはひたすら悔しがった。
>「ま、まぁともかくロック対フリージアは、順当にフリージアの勝ちっと。
>戦う前からこうなるような気はしてたけどね」
「まあ、フリージア女王様相手では当然なのですわ〜」
ルズはまるで自分の事のように誇らしげだ。
>「そうだ。ちょっとルズに聞きたいんだけど、あたしってどれくらい寝てたかな?
>何も妨害がなければ、ゴミ箱に向かったリリアーナ達が、そろそろ戻ってきそうな気もするけど…」
「エルザ様達ももうじき戻ってくると思いますわ〜。
わたくしも少しうとうとしておりましたので、正確なところはわかりませんが〜。
わたくしの腹時計では、さほど時間は経っていないはずですわ〜。多分まだ日付は変わっていないかと〜」
ルズはじっとミルクを見上げた。
「ただ、わたくしに言わせれば、睡眠は量より質なのですわ〜。ミルク様、お疲れは取れまして〜?
もし回復がまだでしたら、わたくしの使い魔カプセルでお休みになります〜?」
ルズは胸元の鈴を前足でつついた。どうやらこの鈴が、彼女の使い魔カプセルのようだ。
「もっとも、ちょっとサラマンダーくさいかもしれませぬが〜」
ちなみにその頃の青サラマンダー。
「ち〜。ち〜」
少し離れたところで、ラルヴァを心配そうに見ていた。
傍に行きたいのだが、ラルヴァの使い魔が怖くて接近できないのだ。
さて、一方フリージア城の外では、ロックがフリージアと話をしている。
それを聞くともなしに聞いていたルズだったが・・・・・・・。
>「…とりあえず、フリージア。脱いで欲しいんだけど、駄目かな?」
(な、何ですと〜〜〜!!)
シャキーン!とルズの前足の爪が光った。
「だめに決まってますわ!このすかぽんたん!」
ばばばっと全身の毛を逆立てたかと思うと、ルズはあっという間にミルクの腕から飛び降りた。
「女王様のお手を煩わせるまでも無い、わたくしが天誅を食らわせてやりますわ〜!!!」
だが勢い込んで走り出したものの、ルズの闘志は城の扉に遮られてしまった。
なぜなら、猫の前足では扉を開けることが出来ないからだ!
「は、計りおったな〜!!」
ルズは悔しそうにがりがり扉を引っかいた。
>216
>「うん、そうだね。じゃ、ペンダントについてだけど…
>本当に苦労して手に入れた訳じゃないんだ。君達と会うちょっと前かな?五人くらいに囲まれて、逃げるついでにちょっと拝借したんだ。
>ちょろまかしただけだから別に苦労した訳じゃ無いって事だよ。」
リリアーナはあんぐりと口をあけた。
さらっと流しているが、例え生徒相手とはいえ相手も魔法使い。そんなに簡単にペンダントが奪えたはずがない。
それを苦労していないと言い切れるあたり、ケオスは大物である。
「その武勇伝、ロックの耳に入れないほうが良いかも・・・・・・」
リリアーナはぽつりと呟いた。
ケオスは優勝を狙わない自分より、優勝したい理由のあるリリアーナにペンダントをプレゼントしたと付け加える。
言っている事はいちいちもっともで、どこにも矛盾も無い。
欲の無い人だな、とリリアーナは思った。
謙虚なところといい、無私なところといい、いつも笑顔なところといい・・・・・。
リリアーナは徳の高いお坊さんを想像していた。
>214 >218
>「何を考えているのかわからないままだと、気持ちが悪くてしょうがないわ。」
>エルザはリリアーナを抱き寄せ、わざと流し目でケオスを見た。
>「なんだったら、私達二人があんまり可愛かったから…なんて理由でもいいのよ?」
「エ、エルザったら〜!!突然何言い出すのよ〜!!」
顔を真っ赤にして一人あたふたした。
>「ハハ、それは有りかも知れないな。うん、じゃあそれでいこうかな。」
さらっと微笑むと、ケオスがエルザの言葉を受け流した。
>「ごめん、冗談だよ。ちゃんと言うと、君が優勝しないと困る事になるって言ったから。
>早く終わりにしては欲しいけど適当な人が優勝して君が困る事態になるのは、ちょっと目覚めが悪くなりそうだからね。」
リリアーナはじっとケオスの顔を見つめかえした。
そして抱きついたままのエルザに囁きかける。
「ねえエルザ、初めてケオスさんに会った時、彼が何て声をかけてきたか覚えてる?」
リリアーナは自分に回されたエルザの手をぽんぽんと叩いた。
「確かにつかみ所が無いかもしれないけど、そんなに悪い人には見えないわ。
それに、もしエルザがケオスさんの立場だったら、ゴミ箱の前で自分のペンダントを渡せるものかしら?
大丈夫よ、エルザ。これでも私、人を見る目だけはあるんだから」
もっともリリアーナにかかれば、闇の魔法使いでさえ「そんなに悪い人じゃなかった」となってしまうのだが。
リリアーナはケオスの手を両手で握ったかと思うと、ぶんぶんと上下に振り回した。
「ケオスさんありがとう、貴方ってすっごくいい人ね!」
他の二人はともかく、リリアーナはすっかりケオスを信じているようだ。
「アンディにエルザ、どうかな?協力してもらっても良いかな?何か他に聞きたいことはある?」
そういいつつ、リリアーナは再び傘を取り出した。
ここからはまた外に出て雪の中を歩く事になる。だがここまでくれば、フリージア城はあとすぐだ。
外は随分静かだが、ロックとフリージアはどうなったのだろうか?
>218>220
> 「エ、エルザったら〜!!突然何言い出すのよ〜!!」
> 「ハハ、それは有りかも知れないな。うん、じゃあそれでいこうかな。」
あたふたするリリアーナとは対照的に、エルザもケオスと一緒に笑った。
> 「ごめん、冗談だよ。ちゃんと言うと、君が優勝しないと困る事になるって言ったから。
> 早く終わりにしては欲しいけど適当な人が優勝して君が困る事態になるのは、ちょっと目覚めが悪くなりそうだからね。」
> リリアーナはじっとケオスの顔を見つめかえした。
> そして抱きついたままのエルザに囁きかける。
> 「ねえエルザ、初めてケオスさんに会った時、彼が何て声をかけてきたか覚えてる?」
「たしか…ゴミ箱の近くだから危ないって言っていたわね。
彼ってやっぱりよくわからないわ。まだ敵か味方かわからない相手にそんな事を言うなんて。」
> 「確かにつかみ所が無いかもしれないけど、そんなに悪い人には見えないわ。
> それに、もしエルザがケオスさんの立場だったら、ゴミ箱の前で自分のペンダントを渡せるものかしら?
> 大丈夫よ、エルザ。これでも私、人を見る目だけはあるんだから」
「いつか私も、“人を見る目”とやらを誰かさんからもらえたらいいけど…」
> 「アンディにエルザ、どうかな?協力してもらっても良いかな?何か他に聞きたいことはある?」
エルザは、わざとらしく首をかしげながらケオスに聞いた。
「そういえば、あなたは大丈夫なの?リリアーナの配った媚薬チョコレートを食べなかったの?」
少し間をおいて、エルザはさぞすまなさそうに口を押さえた。
「あっ!ごめんなさ〜い♪あなた、もしかしてリリアーナからチョコレートを貰わなかったのね!?
ごめんね〜♪私ったらなんて残酷な事を聞いちゃったのかしら!」
エルザはひとしきりケオスをいじって満足したのか、
「まあ、そういうことなら協力させてあげない事もないわ。」
と言い、ケオスの手を握った。彼の体温を確かめるためだ。
「これから私達は吹雪の中を歩く事になるわ。あなた寒いのは平気なの?
雪に凍えたあなたを、全裸で抱きあって暖めるなんて、私嫌よ?」
>212 >214 >216
>「こんばんは、ケオス・キョンサンです。アンディ、でいいのかな?よろしく。」
>そういうケオスの眼には先ほど視線など微塵も無く、いつもの無料スマイルを向けていた。
「よろしくケオス・・・アンディで構わないぜ。」
ケオスの爽やかなスマイルに答えるようにこんな表情ができたのかというほどの清々しい笑みを浮かべるアンド。
しかし心の奥底ではこれっぽっちも歓迎などしていないし
信頼もしていない。むしろ警戒すべき相手だと判断したからこそのこの態度なのかもしれない。
>「ゴーストになった参加者は、戦闘が出来ないかわりに干渉もできないのよ」
ゴーストには干渉できず離すにはゴースト自身が離れるしかない。
そういうリリアーナの言葉に溜息をつくアンド・・・
>「そうね、残念だけど、あなたがステイシスに振られるしかなさそうね。」
>「まあまあ、友達いないお前の友達になってやるから元気出せよ。あはははは。」
くすくすと笑うエルザと一緒に後ろでステイシスも笑い始める。
その態度に怒ったのかステイシスを捕まえようと腕を伸ばすがゴーストには干渉できない。
ただ空を切るのみである・・・諦めずになんとか干渉しようとしているアンドにリリアーナが追い討ちをかける。
> 「干渉できない代わりに戦いの影響も受けないわ。(中略)
> つまりアンディのお友達が、戦闘に巻き込まれてまた傷つくって事は無いわ。だから、安心してねっ♪」
諦めたのかもはやステイシスに手を伸ばすのをやめるアンド・・・
勝ち誇ったかのような表情のステイシスを睨みつけるのがせいぜいだった。
>「あら、それはかわいそうだわ!ステイシス君は戦っている勇ましいアンディを応援したいはずよ!あははっ♪」
>「もちろん俺を倒した奴がそう簡単に負けていいわけない!安心しろ。
>戦闘中できないなら俺が今応援してやる。ふれ〜っ♪ふれ〜っ♪」
拭き出すエルザ。そしてエルザの言葉に悪乗りをしてチアリーディングの真似事をするステイシス。
「て、てめぇら・・・・・・・・・いつか絶対にぶっ殺すからな。」
>「ごめん、冗談だよ。ちゃんと言うと、君が優勝しないと困る事になるって言ったから。
>早く終わりにしては欲しいけど適当な人が優勝して君が困る事態になるのは、ちょっと目覚めが悪くなりそうだからね。」
ケオスが協力する理由を黙って見つめながら聞いているアンド。
さっきの自己紹介の時からのケオスの行動や仕草、雰囲気や発した言葉を思い返していく。
雲のように掴みにくい人間。浅はかなのかそれとももっと深い処で考えていることがあるのか・・・どっちか分からない。
そして筆舌すべきなのはケオスには執着心らしい執着心がないということ・・・
ペンダントに関しても特にケオスにとってはどうでもいいようだ。
ただ一ついえるのは、彼の態度からは虚偽のようなものが感じられない。
協力の理由に対してもそれは同じことで・・・
納得するわけではないが嘘をついているようにも思えない・・・
それがアンドが達した結論だった。
>「アンディにエルザ、どうかな?協力してもらっても良いかな?何か他に聞きたいことはある?」
「まあ、別にいいんじゃねえか?別に端から理由なんざなくても俺はかまわねぇよ。
理由がなきゃダメなら俺はとっくにここにはいられねえだろうしな。」
リリアーナにそう返し校舎を出て外に向かうアンド。外は相変わらず吹雪いている。
>「これから私達は吹雪の中を歩く事になるわ。あなた寒いのは平気なの?
>雪に凍えたあなたを、全裸で抱きあって暖めるなんて、私嫌よ?」
「ほら、使うなら使いなケオス君よ。」
そういってアンドはいつの間にか手に持っていた男性用の黒いロングコートをケオスに投げ
女子寮の雪城の方向に進路を取り歩き始め、背後霊のステイシスも後を追っていく。
>206
「・・・ふふふ・・・幸運だったわ。
アレクシス・アガティオン、これはあなたのためなのよ・・・」
薄暗いラボの中、呟きをもらしながらベアトリーチェが湯を注ぐ。
その横に並ぶのは数種類の小瓶。
勿論隠し味を少々、などと可愛らしいものではない。
急須の中に手際よく薬品をふりかけ、湯呑と共にトレイに乗せてゆく。
まるで火サスの一場面のようだが、これがベアトリーチェのお茶の準備なのだ。
########################
「お待たせしてごめんなさい。」
ベアトリーチェが盆に茶器を乗せてアレクの元へと現われた。
湿原でアレクを誘ったあと、庭園に座らせ、ベアトリーチェはお茶の用意をしていたのだ。
腐食ガスのお陰で体裁のよいとはいえないが、形の残った椅子とテーブルに落ち着いた。
「もう夜だし、ちょっと冷えるから温かいお茶を用意したの。」
急須から茶碗にお茶を注ぐながらにこやかに対応。
その脳裏に描かれた恐るべき企みなど微塵も見せる事無く・・・。
「さっきの話だけれど、こうやって二人でお茶するのも交流ではなくて?
ここからの眺めはいいものよ。」
湯呑を差し出しながら視線で湿原の向こう側を指し示す。
湿原の向こう側は、腐海の崩壊の真っ最中だった。
毒を消費しきり、崩壊する巨大菌類。
体組織を砂と化し崩れていくのだが、その砂が僅かに光るのだ。
闇夜の中で徐々に広がっていく光の砂漠は幻想的なものだった。
「それで・・・一つの終幕は同時に一つの開幕でもあるのよ。
ちょっと早かったけれど、さっき湿原に沈んで言った【お友達】は、危険がないように避難したというわけ。」
そういいながらベアトリーチェも茶碗を傾ける。
同じ急須から注がれたその茶を・・・
そして、温まるわよ。とアレクにも茶を飲むように促すのであった。
ベアトリーチェの言葉通り、感染者達を石化して湿原に沈めたのは【避難】の意味合いが強い。
腐海が、毒の世界が消失した以上感染者達は生き残れない。
それ以上に、感染者となってしまう程度の者だと、この先簡単に死んでしまうからだ。
そう、儀式は時間短縮によって影響を受ける事はない。
ベアトリーチェが「早すぎる!」と危惧したのは儀式達成が早まった事により、淘汰が済む前に術が発動してしまう事だ。
リバースの中といえども誰も殺したくないのだ。
だから、簡単に殺されてしまうような弱い者は早めにゴーストになっていて欲しい。
自分が殺してしまわないように。
そういった意味では、ベアトリーチェの見立てはメラルの見立てに通じるところがあった。
二日目の朝には一割程度の本当の猛者しか生き残っていない、と。
それほどの猛者ならば、極限状態でも死ぬ事無く、その本性をみせてくれるはず。
だがもはや腐海の毒は消え、今更引き伸ばす事はできない。
・・・だから、偶然出会った一人でも、殺す事無く【避難】させたいと思うのも当然だろう。
テーブルに置かれた茶には石化の毒が入っている。
無味無臭無香料。
ベアトリーチェ自身は毒により石と化す事はないが、アレクは・・・
そう、ベアトリーチェは茶に仕込んだ毒によりアレクを石として【避難】させるつもりなのだ。
>209>213>219
>「う〜ん、まいった。俺の負けなのだ。」
負けを認めるロック
>「俺の敗因は――いや、フリージアの勝因かな?
たった一つ、たった一つのシンプルな答えなのだ。
お前は俺をときめかせた。」
「ときめいたですって?」
ロックのときめいた発言にきょとんとするフリージア
なんのことやらサッパリである
>「とりあえず、フリージア。いったん俺を降ろして欲しいのだ。」
「そうですわね、私としたことが」
自分が勝利したと言うのならこのまま抱きかかえている理由は無い
フリージアはあっさりとロックを手放した
>「お前はやっぱりすごいよ!今度はもっとおもしろい勝負をしような!
その時まで、俺はもっともっと強くなって、待っているからな!」
自分がつけていたペンダントをはずすロック
「次はどうなるかはわかりませんけど良くってよ!お〜ほっほっほっほ!!」
ロックはフリージアに近づいてこうのたまった
>「…とりあえず、フリージア。脱いで欲しいんだけど、駄目かな?」
「・・・・・・・!?」
一瞬いやらしい意味だと思ってしまったフリージア
だがよくよく考えてみるとそんなわけがないとわかった
フリージアは脱ぎたくても脱げないと説明しようとしたが
>「だめに決まってますわ!このすかぽんたん!」
>「女王様のお手を煩わせるまでも無い、わたくしが天誅を食らわせてやりますわ〜!!!」
と言う声が城の方から聞こえてきたので言うことが出来なかった
どうやらルズは何かを勘違いしているようだ
ふと城の方を見ると窓からミルクの姿が見える
どうやら一部始終をミルクとルズに見られていたようである
「・・・・・とりあえず城に戻りますわよロック」
何かを誤解されていたらたまらない早く誤解を解くため説明しなければ
そう思ったフリージアはロックにそう言うのであった
ペンダント自前1 所持2 投下1 魔力回復薬(青汁風味)
>「よろしくケオス・・・アンディで構わないぜ。」
>ケオスの爽やかなスマイルに答えるようにこんな表情ができたのかというほどの清々しい笑みを浮かべるアンド。
>しかし心の奥底ではこれっぽっちも歓迎などしていないし
>信頼もしていない。むしろ警戒すべき相手だと判断したからこそのこの態度なのかもしれない。
自分は彼からの信頼は無い、直感的に思った
だが、時間はまだまだある。これからだろうと思い直すケオス
>リリアーナはケオスの手を両手で握ったかと思うと、ぶんぶんと上下に振り回した。
>「 ケオスさんありがとう、貴方ってすっごくいい人ね!」
振り回されながらもやはりケオスは笑っていた。
「ハハ、どうもありがとう。改めてよろしくお願いするよ、リリアーナ。」
ケオスはリリアーナの仲間になった!
しかし他の二人はどうだろうか?
>「アンディにエルザ、どうかな?協力してもらっても良いかな?何か他に聞きたいことはある?」
>「まあ、別にいいんじゃねえか?別に端から理由なんざなくても俺はかまわねぇよ。
>理由がなきゃダメなら俺はとっくにここにはいられねえだろうしな。」
>エルザは、わざとらしく首をかしげながらケオスに聞いた。
>「そういえば、あなたは大丈夫なの?リリアーナの配った媚薬チョコレートを食べなかったの?」
「………?」
ケオスは笑顔のまま頭から?マークを出した。
>少し間をおいて、エルザはさぞすまなさそうに口を押さえた。
>「あっ!ごめんなさ〜い♪あなた、もしかしてリリアーナからチョコレートを貰わなかったのね!?
>ごめんね〜♪私ったらなんて残酷な事を聞いちゃったのかしら!」
「どうやら、そうみたいだね。でもそれ、リリアーナのお手製でしょ?なら僕には勿体ないよ。」
本気でそう思っているようだ
>エルザはひとしきりケオスをいじって満足したのか、
>「まあ、そういうことなら協力させてあげない事もないわ。」
二人からの御墨付きを貰い晴れて仲間入りする事になった。
するとエルザは
>ケオスの手を握った。彼の体温を確かめるためだ。
>「これから私達は吹雪の中を歩く事になるわ。あなた寒いのは平気なの?
>雪に凍えたあなたを、全裸で抱きあって暖めるなんて、私嫌よ?」
>「ほら、使うなら使いなケオス君よ。」
>そういってアンドはいつの間にか手に持っていた男性用の黒いロングコートをケオスに投げ
「大丈夫。寒いのは得意でもないけど、苦手でも無いし。
それに、ほら、アンディからもこれ借りたし。」
アンディから貰ったコートを見せつつ微笑む。なんだかんだで二人とも案外優しいのかも知れない
「ありがとう、二人とも。優しいんだね。」
遂に見せた有料スマイル。
普段の二割増しの笑顔がキラキラと効果音つきにそりそうなくらい輝いている。
コートを着ると三人の後について行く。まだまだ仲間は居るのだろう。見知らぬ仲間たちに思いをはせる。
>219 >224
>「エルザ様達ももうじき戻ってくると思いますわ〜。
> わたくしも少しうとうとしておりましたので、正確なところはわかりませんが〜。
> わたくしの腹時計では、さほど時間は経っていないはずですわ〜。多分まだ日付は変わっていないかと〜」
「そっか…ありがと。思ったより寝てなかったみたいだね」
まだ眠いと思ったら、ほとんど寝てなかったのか。
どうせ今晩はここで過ごすつもりだったし、二度寝でもしよう。
>「ただ、わたくしに言わせれば、睡眠は量より質なのですわ〜。ミルク様、お疲れは取れまして〜?
> もし回復がまだでしたら、わたくしの使い魔カプセルでお休みになります〜?」
「あ、使い魔カプセル持ってるんだ。
それじゃあ、使わせてもらおうかな?」
寝た分少しは頭もスッキリしたけど、まだまだ本調子には程遠い。
イベントは明日も続くんだし、完全回復の機会を逃さない方がいいだろう。
>「もっとも、ちょっとサラマンダーくさいかもしれませぬが〜」
「大丈夫大丈夫。こんな状況だし、休ませてもらえるだけで感謝感激だよ。
中にサラマンダーが入ってて、うっかり大やけどとかは勘弁して欲しいけどね」
サラマンダーくさいってどんなだと思わないでもないが、恩人にツッコミ入れるのも気が引ける。
うっかり機嫌を悪くさせて、カプセル使うなとか言われても困るし。
でも使い魔カプセルって便利だよなー。あたしも使い魔でも造るか?
向いてないって言われたけど、頑張ればなんとか一匹くらいは…
>「…とりあえず、フリージア。脱いで欲しいんだけど、駄目かな?」
考え事をしていたのでロックの言葉を聞き流していたのに、衝撃的発言が耳に飛び込んできた。
「は!?脱ぐ!?何を!?服を!?」
>「だめに決まってますわ!このすかぽんたん!」
同じ感想を抱いたのか、ルズが素早くあたしの腕から飛び降りる。
いや、ちょっと待て。
いくらロックでも、戦い終わった後いきなり『服脱げ』なんて言うか?
でも他に脱ぐものって…フリージアは人形着てるらしいから、人形脱げって意味?
あれは確か脱ぐとき、爆発するんじゃなかったっけ?
>「女王様のお手を煩わせるまでも無い、わたくしが天誅を食らわせてやりますわ〜!!!」
意気込むルズは外に出ようと扉に走り寄るが、猫の身の悲しさ、ドアが開けられないようだ。
フリージアが何を脱ぐのか、あたしもちょっと気になって外を見てると、フリージアもこっちを見たようだ。
なんだろう。何かを言いたいように見える。
見てましたわね、私の勝ちですわよなのか、見ましたわね、消えてもらいますわよなのか。
>「は、計りおったな〜!!」
「ちょっと待って、猫の手じゃ無理だよ。今開けるからね。
その代わり、外に行く前にあたしをカプセルに入れて欲しいんだけど」
とりあえず、ガリガリ扉をひっかいているルズを助けるため、あたしは窓際を離れ入り口へ。
カプセル内なら万が一の時も、雪女フリージアに消される心配はないだろう。
扉を開けると、冷風が雪と一緒に入り込んできた。
「うわっ寒っ!つ、使い魔カプセルの件よろしく!」
>225-226
>「まあ、別にいいんじゃねえか?別に端から理由なんざなくても俺はかまわねぇよ。
> 理由がなきゃダメなら俺はとっくにここにはいられねえだろうしな。」
アンディの言葉に、リリアーナが何度も頷いた。
エルザは・・・と見ると、かわいらしく小首を傾げている。
>「そういえば、あなたは大丈夫なの?リリアーナの配った媚薬チョコレートを食べなかったの?」
>「………?」
>ケオスは笑顔のまま頭から?マークを出した。
「わ〜!!いきなり何言い出すのよエルザ〜!!」
リリアーナは慌てふためいた。
詳しい事情を知らないケオスなら、リリアーナがチョコに一服もって男心を弄んだと誤解されても文句は言えない。
「いや、あれは本当に事故で!私は媚薬なんて使ってないから!」
>「あっ!ごめんなさ〜い♪あなた、もしかしてリリアーナからチョコレートを貰わなかったのね!?
> ごめんね〜♪私ったらなんて残酷な事を聞いちゃったのかしら!」
>「どうやら、そうみたいだね。でもそれ、リリアーナのお手製でしょ?なら僕には勿体ないよ。」
>ケオスは本気でそう思っているようだ
「・・・・・・・・・・・いえそんな・・・滅相もございません」
>221
>「これから私達は吹雪の中を歩く事になるわ。あなた寒いのは平気なの?
>雪に凍えたあなたを、全裸で抱きあって暖めるなんて、私嫌よ?」
「あら?それってエルザは、ケオスさんのピンチに身体を張って助けてあげるってことよね〜?」
うんうん、と頷くリリアーナはとても嬉しそうだ。
「一時はどうなる事かと思ったけど良かったわ〜。アンディもケオスさんのためにコートまで作ってくれてるし」
>「ありがとう、二人とも。優しいんだね。」
「わ〜後光よっ!後光がさしているわっ!」
ケオスの笑みを直視したリリアーナは、まぶしそうに目を細めた。
アンディはさっさとフリージアの城の方に歩き始めていた。
「わーアンディ、待ってってば〜!エルザ、あなたはケオスさんを傘に入れてあげてね!」
そう言うと、リリアーナはアンディを追って走り出した。
>メラルさん
追いつくまでの短い間に、リリアーナは指輪に魔力を込め急いでメラルに話し掛けた。
「メラルさん?ペンダントの処理は終わったんだけど、どこから地下に入ればいい?
私は今食堂の跡地付近に居るんだけど、一番近いポイントを教えてくれる?」
>222
アンディに追いついたリリアーナは、彼の頭上に傘をかざした。
「アンディも私たちにばっかりコート作ってないで、自分の分のコートとかお洋服とか作れば良いのに」
剥き出しになってる足や腕がとても寒そうだ。
「なんて、ね。自分が出来ないのに簡単に言っちゃってごめんね。
それと私、ちょっとヘマしちゃったの。皆と合流したら話すね」
ミルクはもう目が覚めただろうか?そろそろ吹雪の中に、フリージア城のシルエットが浮かび上がってきた。
ロックとフリージアはどうだっただろうか?
リリアーナは目を凝らした。
ここからはちょうど死角になっていて、二人がバトルを行っていた場所を見ることは出来ない。
ちょうどその時、城の死角から大きな人影と普通サイズの人影が現れた。
「ロック、怪我は無い?あの後バトルは―――― って!フリージアっ?!」
リリアーナはロックの背後から現れたフリージアの姿に絶句した。
「どうしたのよその大胆にえぐれた胸は!・・・・・・ねえ、ちゃんとバトルの決着はついた?」
>227
>「ちょっと待って、猫の手じゃ無理だよ。今開けるからね。
>その代わり、外に行く前にあたしをカプセルに入れて欲しいんだけど」
「はっ!」
ルズはわれに返り、ミルクを見上げた。
「ええ、ええ。お安い御用ですわ!わたくしのサラマンダーは外出中ですから、心行くまでごゆるりと!」
扉を開けると、冷風が雪と一緒に入り込んできた。
>「うわっ寒っ!つ、使い魔カプセルの件よろしく!」
もしルズが冷静ならば、アンディ達が戻ってきた気づいただろう。
だが頭に血が上っている今の彼女が、周りの状況に気づくはずも無かった。
「もちろんですわミルク様。ですがそれはわたくしが埒をあけてからですわっ!」
聞いているようで聞いていないルズだった。
彼女は雪の中猛然と駆け出した。
「よくもよくもわたくしの女王様に無礼な真似をっ!白百合乙女の怒り思い知れっなのですわ〜!
女王様、あなたのルズが参りましたわっ!とうっ!」
大きくジャンプしたルズは、天誅!とばかりにロックへ飛び掛った!
>213>219>224>227
> 「・・・・・・・!?」
「どうしたのだ?フリージア?」
答えたのはフリージアではなかった。
> 「だめに決まってますわ!このすかぽんたん!」
> と言う声が城の方から聞こえてきた
「んあ?」
ロックは首をかしげた。
「スカポンタンって何なのだ?」
> 「女王様のお手を煩わせるまでも無い、わたくしが天誅を食らわせてやりますわ〜!!!」
「おおっ!何だか俺とバトルしたい奴が城の中にいるみたいだな!俺はわくわくしてきたのだ!」
> 「・・・・・とりあえず城に戻りますわよロック」
「ああ!」
ロックはいきいきしながら城の方へ歩き出したが、3歩進んだところで突然停止した。
誰かが、こちらに向かって近づく気配に気づいたからだ。ロックはペンダントを再び自分の首にかけた。
>228
その時、目の前にばったりと現れたのはリリアーナだった。
もしも、リリアーナであると気づくのにあと少しでも遅れていたら、ロックは彼女にとっつくところだった。
> 「ロック、怪我は無い?あの後バトルは―――― って!フリージアっ?!」
「俺ならいつだって大丈夫なのだ!」
リリアーナはすぐフリージアの方へ行ってしまった。
> 「どうしたのよその大胆にえぐれた胸は!・・・・・・ねえ、ちゃんとバトルの決着はついた?」
>229
> 「よくもよくもわたくしの女王様に無礼な真似をっ!白百合乙女の怒り思い知れっなのですわ〜!
> 女王様、あなたのルズが参りましたわっ!とうっ!」
「うわっ、なんだ!?」
何か黒いものが顔にぶつかり、ロックは混乱したが、顔にへばりついた“それ”をロックは苦もなく引っぺがした。
「な〜んだ、猫なのだ。さっき俺とバトルしたがってたのはお前だな?」
ロックはルズを仰向けに倒した。ロックの第二ラウンド開始である。
「お前はこうしてやるのだ。ほれほれ〜♪」
ロックはくしゅくしゅとルズのお腹をくすぐり始めた。
>226>228
> 「ありがとう、二人とも。優しいんだね。」
「あなたが変な事しない限りはやさしいわ!」
エルザは顔を少し赤らめ、怒った様にそう言った。
> 「わ〜後光よっ!後光がさしているわっ!」
エルザはその通りだと思った。ケオスの有料スマイルは、
これまで見た誰の笑顔よりも輝いているかもしれない。
> アンディはさっさとフリージアの城の方に歩き始めていた。
> 「わーアンディ、待ってってば〜!エルザ、あなたはケオスさんを傘に入れてあげてね!」
> そう言うと、リリアーナはアンディを追って走り出した。
エルザは少し抵抗があるようだったが(決してケオスのせいではない)、
リリアーナの言葉に逆らうわけにもいかず、ケオスとあいあい傘をしてリリアーナを追った。
「………」
そこから先は、エルザは決して口を開こうとしなかった。寒いからである。
エルザは吹雪の寒さのせいで、舌が回らなくなっているのだ。
それでも、さっきよりは少しましかもしれない。
エルザが無理矢理、ケオスの手を握って歩いているからだ。エルザは時々、
『勘違いしないでよね!』といった視線をケオスにぶつけながら、凍える道を踏みしめた。
エルザ達は少し遅れてフリージア城に到着した。
すでにリリアーナが、何故か胸がえぐれてしまっているフリージアに何か話しかけている。
エルザは握り締めていたケオスの手を離し、かわりに傘を持たせた。
そして、エルザは不安そうに何かを探し始めた。エルザが探しているのはロックだ。
フリージアが健在である以上、彼女と戦っていたロックが負けてしまった可能性もある。
もしかしたら、ロックは死んでしまったのだろうか?エルザは雪の上に、彼のペンダントが落ちていないかと目を凝らした。
>「お前はこうしてやるのだ。ほれほれ〜♪」
…ロックはすぐに見つかった。エルザは心配して損をしたようだ。
ロックときたら、ルズをくすぐって遊んでいるではないか。
>「あ、痛たた!」
エルザは鋼のような拳をロックにお見舞いし、彼の襟首をえらい力で掴むと、そのままフリージア城の中まで引きずって行った。
フリージア城の入り口にはミルクがいた。
「た、だぃま。」
エルザは震える口でやっとそれだけ言い、ロックを適当に転がすと、ミルクがさっきまで使っていた毛布を被り、がたがたと震えた。
>223
「や、これはありがたい」
ベアトリーチェが茶を運んできたのを見ると、一度立ち上がって頭を下げた。
それから腰を下ろして、茶を注ぐ彼女の様子と立ち上る湯気を眺める。
夜中のお茶会に興じながら、ベアトリーチェの指が向く先へ目を遣る。
なるほど、彼女の言うとおりで、なかなか稀有な光景に思える。
桜は散り際が美しいというが、これもそれに準ずる魅力を保有しているに違いない。
「一つの開幕……どうやら、景色を眺めてお茶を飲むだけ、という事ではなさそうだ」
ベアトリーチェの言葉を繰り返し、アレクシスは一つ小さく頷いた。
そして、どうもどうも、と妙にへこへこしながら茶碗を受け取る。
一口二口、茶碗の中身を胃の中へ送り込みながら、彼は幾分か楽しげな表情を浮かべた。
彼女の【お友達】が受けた処置は、危険を回避するためのものであるらしい。
その危険というものが、具体的に何を指しているのか彼には理解が及ばなかった。
だがその危険とやらは、少なくとも退屈さを感じさせるものではないように思える。
次の一幕を、この目でしっかりと見て行きたいという気さえ起きてきている。
と、そこまで考えて彼は内心で苦笑せざるを得ない。
危険を避けてここまで逃走を重ねてきたのは、紛れもない自分ではないか。
その自分が、何の故あって危険に対して心を躍らせねばならないのか。
自分の心に整理をつけた彼の口調は、少しばかり諦観の色を帯びていた。
「……僕はね、どちらかというと喧嘩は嫌いだ。腕っぷしにはまったく自信がないしね。
だけど、悪巧みは嫌いじゃないんだ。まったく度し難い事に」
彼が茶碗の中へ視線を落とすと、いつに間にか中身は空になっていた。
「二つばかり、身勝手なお願いをしたいと思う。
一つは、君の悪巧みに一枚噛ませてもらいたい、という願いだ。
いや、君の構想をして悪巧みと表するのはいささかどころではなく失礼なのだろうけど。
他に適当な言葉が見当たらないものでね、容赦して頂きたい。
それともう一つの願いなんだけど。
お茶のおかわりをもらえないかな」
彼は手にした空の茶碗を、ひょいと軽く上げて見せた。
この時彼は、主治医の言った「恐らくは毒も効かんよ」という予測を、彼の預かり知らぬところで実証していたのである。
>211>217
>「…なぜ先に言わないんだ。」
「す、すまぬ……」
回復魔法で治療を終えて傷口が塞がったときに出たヴァンの言葉がクリスをあきれさせてしまう。
わざわざ魔力を消費してまで治療に当たってくれたクリスに対して、申し訳ない気持ちになり伏せ目がちでヴァンが謝った。
>「よし、そうと分かったら僕に任せておけ。」
マオが正面に座って腕を上げてわざわざ血を吸いやすいような高さまで持ってきてくれる。
「ゴチになり申す」
片手が無いためいただきますの手を合わせるフリだけをして、目の前のご馳走に迷うことなくかぶりつく。
チクリとする痛さにマオは表情を若干歪めるが吸血しているヴァンからはその表情は伺えなく血を貪っている。
>「…どうだヴァン?治りそうか?」
マオの血が体内に流れてくるごとに力の漲りを感じ、あれだけひどい胸の傷もあっという間に再生されていって青白い肌に戻った。
二人にも服の穴からそのことがわかることだろう。
多くの血を失っていくマオはだんだんと貧血気味になっていき顔色も悪くなっていっている。
>「……ヴァンもうそろそろいいか?流石に辛くなってきているんだが…」
さすがにこれ以上は無理だと判断したのか、病み付きになりそうな吸血行動をやめて血で汚れた口をハンカチで拭う。
「すまぬな…私はもう大丈夫だ。
苦労をかけたよ」
正座をして手を地につけて頭を下げて二人に自分の弱さが招いた事態を謝罪する。
マオとクリスの両者に謝罪したあとに正座をといて
「さて…また出鼻をくじかれてしまったわけだが。
マオは貧血でクリスは魔力不足…状況としてはよろしくない」
どっちも某吸血鬼のせいだけどね。
「そこで私は考えたのだが、二人は一旦安全な場所で休息をとってもらう。
その間に私は外でこぼれたペンダントを回収してしまうというのはどうだろう?」
ラルヴァとヴァンを監視していたニタニタ笑いの幽霊たちは死王が興味を失せたと同時に地下図書館のD階層に引っ込んでいく。
横たわるラルヴァをあざ笑っているのか、はたまた奥へと誘おうとしているのか…。
ラルヴァの上空をふわふわと浮遊しながら幽霊の集団が過ぎ去っていった。
>230-231
ルズはロックの顔に爪を立てようとしたが、相手に引っぺがされてしまった。
>「な〜んだ、猫なのだ。さっき俺とバトルしたがってたのはお前だな?」
「猫ではありませんわ!わたくしにはルズというれっきとした名前が――――」
>ロックはルズを仰向けに倒した。ロックの第二ラウンド開始である。
「お前はこうしてやるのだ。ほれほれ〜♪」
「なっ何を!ちょ・・・どこを触って・・・・・・・」
>ロックはくしゅくしゅとルズのお腹をくすぐり始めた。
「あーれー!誰か〜!助けて下さいまし〜!!」
救いの女神は突然現れた。
エルザだ。
>「あ、痛たた!」
>鋼のような拳をロックにお見舞いし、彼の襟首をえらい力で掴むと、そのままフリージア城の中まで引きずって行った。
「エルザ様感謝しますわ〜!!
それにしてもセクハラですわ許せませんわっ!このこのこのこのっ!!」
ルズは怒りに任せて、ロックに爪を立てたり猫パンチを繰り出したり髪をぐしゃぐしゃにしたりした。
だが効果は今ひとつのようだ。
「ふぁえるくふぁふぁ〜。ふぉうふぇしふぁふぁ、ふふぁいふぁふぁふふぇふふぇふぃふぁふぁふぇ」
訳:「ミルク様〜。そうでしたわ、使い魔カプセルでしたわね」
はっと我に返ったルズはロックから口を放し、胸元の鈴型使い魔カプセルを前足で押した。
カプセルが起動し、淡く金色に輝いた。
「カプセルに入る準備が出来ましたら、いつでもわたくしにお声をかけてくださいまし〜」