騎士よ今こそ立ち上がれ!第8部

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1ルゥ ◆c8mKoM5yZ6
大陸が三大国と周辺諸国に分かれ安定し、魔王と戦うようになる300年前。
まだ人の勢力範囲は狭く、特に森や山はモンスターが多く潜みさながら異郷のようである。
都市単位の国が群雄割拠し争い、そして生存の為にモンスターと戦う、そんな戦いの時代であった。

ライゼ王国…
そこは東の大河、北の山脈、南の砂漠、西の魔の森に囲まれた、大陸中央に位置する小国である。
西の森を越えたところにあるガストラ連邦とは、魔の森にある古代遺跡探索を巡って関係悪化の一途を辿っていた。
そして物語は、ライゼ王国のはぐれ部隊、第6遊撃隊から始まる。

※以前の騎士スレとの関連性・時間軸
一人の英雄が国を興し、皇帝騎士オーガスと呼ばれる300年前。
つまり騎士スレ第一部のはるか昔のお話。
参加にあたっては、これまでの騎士スレを読んでいなくても大丈夫です。

前スレ
騎士よ、今こそ立ち上がれ!!8
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1160317097/

避難所
騎士スレ第8部避難所
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1194005017/
参加の際には避難所にてテンプレ投下をお願い致します。
2GM ◆c8mKoM5yZ6 :2007/11/09(金) 22:44:15 O
>「あっかんべ〜。」
>ヌコは懇願の視線に舌を出して応えた。
>「そんなのウチには全然関係ないのだ。ちょっと外の空気吸ってくるからオッサンあとは任すニャ〜。」
ガビーン!!またもやエルフ達は唖然となった。先程からのヌコの行動は、あまりにも
エルフ族の観念から逸脱していたのだから無理もない。当然の反応といえる。
それでも誰1人として怒りださないのは、やはり長寿種族ならではの余裕だろうか。
「こ…困りましたね、ボクは何かまずい事を言ったでしょうか…。」
原因は明らかにミリアのビンタだったが、タイレルは気付いていない様子。

>「物理的に破壊できる代物ならばお任せ下されよ。ただ、魔術的な物だった場合
>排除するのに時間がかかる場合もありますがな。あと、ニュコ殿を悪く思わんで下され。
>着任してからどうも虫の居所がよろしくない様なので。ああ言ってはおりますが、
>心根の優しい素直な子なのです。種々諸々の波風立てる心持ではありましょうが、
>ここは私に免じて荒ぶる気持ちをお収め下さいまするよう。このとおり。」
土下座。この謝罪のポーズもまた、エルフ族には未知の文化であった。
「美しい…美しいぃィイッ!!!」
「何という見事なポーズ…これは一体何なんだ!?」
「これはもしや!DO☆GE☆ZA!!」
「し、知っているのかライディン!?」

土下座の持つ独特な悲壮感に、身体を限界まで折り畳む芸術的な曲線美。
その場に居合わせた全てのエルフが、涙を流している。感涙に崩れ落ちる者すらいた。
ガルドの土下座は、彼の想像を遥かに超越した効果を発揮したようだ。
と同時にエルフ族の美的センスに少し疑問も出てきた。
何はともあれ謁見は問題無く(?)終わり、ヌコとガルドの2人は遺跡へと向かう事となる。

「遺跡…までは、再び、ひっく…私が案内致しまふ…。」
彼女もやはりエルフ族。ハンカチで目元を押さえ、ミリアが嗚咽しながら進み出る。
3GM ◆c8mKoM5yZ6 :2007/11/09(金) 22:45:30 O
>「ジョルジュ隊長!私、ちょっと……」
>行ってきますと続けようとして、霊鬼は口を閉じた。
>「……今言おうとしたこと、やっぱ無しね。
> 私はジョルジュ隊長の判断にお任せするよ。
> 私が勝手にここから出たら皆が危ないしね。
> それに、やっぱり私はレフちーを信じてるもん。
> 絶対に大丈夫だって」
「そうか、彼のことを信頼しているんだな。なら我々も信じよう!…と言いたいのだが
1人で危険に挑むより2人、2人よりも3人、数が多い方が良くないか?」
所詮は学問畑の人間だ。何度も共に死線を越えてきた第六遊撃隊の絆は理解出来ないのだ。

「もし彼が倒されたら、結果的に全員の生存率を下げることになると思うが。」
ジョルジュとて馬鹿ではない、皆で生き延びるために言っているのは霊鬼にも伝わった。
「だが我々は貴方達に比べてあまりにも無力だ。戦いになったら逃げるしか出来ない。」
少し悔しげな表情になる。一応は自分の立場と『戦闘力』の無さを自覚しているらしい。

これはかえってありがたい。少なくとも自分から邪魔な荷物になってくれる心配は不要だからだ。


>「やれやれ、そんじゃあ見せてあげましょうかね。あっしの“奥の手”ってのを!!」
現われた黒い霧のような左腕。スラーレムにその左腕が『何なのか』判別は不可能だった。
>「あっしは荒事ァ専門外ですがね、“やられた分は利子付けてやり返す”主義なんで、そこんトコよろしく頼みまさァ。」
どうやら目の前に立つ標的は、懲りずに戦おうと決めたようだ。
この神殿を侵入者から守るのがスラーレムに課せられた使命であり、存在理由。
『デュミナスに近付く者には、等しく死を与えよ』
それが創造主の言葉。スラーレムは再びビーム(?)を発射する。使命を遂行するために!!
4霊鬼 ◆F/ATTd3VB. :2007/11/10(土) 07:30:50 O
>3
>「そうか、彼のことを信頼しているんだな。なら我々も信じよう!…と言いたいのだが
>1人で危険に挑むより2人、2人よりも3人、数が多い方が良くないか?」
>「もし彼が倒されたら、結果的に全員の生存率を下げることになると思うが。」
ジョルジュ隊長の言っていることは正しい。
霊鬼一人で調査隊を護衛するより、レフちーと連携を取った方が全員の生存確率は遥かに高くなる。

>「だが我々は貴方達に比べてあまりにも無力だ。戦いになったら逃げるしか出来ない。」
そのことが一番の問題なのだ。
今、この部屋の中にもう一人戦える者が居るとしたら、霊鬼は一目散にレフちーを探しに出て行った。
だから、霊鬼は逆に考えた。
霊鬼が調査隊の側から離れる訳にはいかないのなら、調査隊を連れて行けば良い。
危険なことは確かだ。
だが、それはこの遺跡のどこに居ても同じことなのだ。
調査隊の皆も戦闘になったら逃げると言っている。
その逃げる時間を稼ぐことなど、相手の実力が完全に分かってないとは言え、鬼である霊鬼に取っては朝飯前だ。

「ジョルジュ隊長は遠回しに私に行ってもいいと言ってるんでしょ?
 でも、私一人じゃ行かないよ。
 だって、私だって女の子なんだよ。
 一人じゃ寂しいんだよ。
 だから、皆でレフちーを探しに行きましょ?」
霊鬼は瞳を潤ませながら、上目使いでジョルジュ隊長を見ながら言った。
5レフトハンド ◆6Mrl/jPPh. :2007/11/10(土) 16:40:08 0
>>3
「ヘッ!バカの一つ覚えってヤツですかい?いい加減に飽きてしまいやすぜ?」
あっしはビームを軽く躱して、そのまま“ヤツ”の懐に飛び込みやす。
え?なんでそんなにアッサリ躱せるのかって?あぁ、そりゃもう簡単なコトでさァ。
あのビームは“正確無比過ぎて”逆に避ける方向が分かりやすいンですよ。
どこを狙ってくるか事前に分かってる攻撃を、アンタはわざわざ食らいますかい?

無駄にデカイ図体が、この狭い通路じゃ仇になったようで。
腰にぶら下げたロープをほどいて端を持ったら後はそのまま走っていきやす。
コイツはちょっとやそっとじゃ動きを止めるのは無理ってモンでしょうからね。
スライディングで股の下を潜り抜け、来た道を全力疾走です。
閉じ込める為の“檻”を“作る”準備は完了。
すぐさま何発かビームが飛んできやしたが、まぁ当たる事ァございません。
「遺跡探検てのは色々とステキな道具が揃ってて便利なモンだねぇ。」
で、ロープを持つ右腕をこう・・・ポイッとね、“放り投げる”と完成なんですわ。

「さぁ追っかけっコでさァ。ちゃんと7つ数えて追って来な!!」
左手が触れた途端アラ不思議、ロープは“波打った形のままでピタッと止まった”じゃあありやせんか。
バラけたロープは通路を塞ぐ網のように、“ヤツ”の直進を邪魔するって寸法でしてね。
これがあっしの左手が持つ“力”・・・《停滞(とどめ)る左手》!!
動きを止められるのはたったの7秒ぽっちですがね、この状況なら話は別です。
あっしはお嬢のいる部屋に戻りやしたよ。え?間に合わないだろって?

なあに、時間ならたっぷりありやすぜ。言ったでしょう?逃げ足にゃ自信があるってね。
6名無しになりきれ:2007/11/10(土) 17:01:39 O
テラ物語スレwww
7ガルド ◆zCCyDiTaeI :2007/11/12(月) 20:16:42 0
>2
>「美しい…美しいぃィイッ!!!」
>「何という見事なポーズ…これは一体何なんだ!?」
>「これはもしや!DO☆GE☆ZA!!」
>「し、知っているのかライディン!?」
土下座を見たエルフ達は何故か騒ぎ始めた。
土下座中は顔を上げてはならないのでガルドは何が起こっているのか分からずにいる。
たっぷり5分はそのままでいただろう、ようやく興奮が収まって土下座から
解放されたガルドはしかし足の痺れも感じさせず直立不動に戻った。

>「遺跡…までは、再び、ひっく…私が案内致しまふ…。」
>彼女もやはりエルフ族。ハンカチで目元を押さえ、ミリアが嗚咽しながら進み出る。
顔を上げたとき目に入ったのはエルフ達が涙しているところだった。
きっと最悪の結末を再び思い浮かべて悲嘆に暮れてしまったのだろう。
「お願いいたす。なに、必ずや元凶を取り除き同胞方を目覚めさせてご覧に入れよう。
されど、見送る側が涙していては幸先がよろしくない。笑ってお送り下されよ。」
こうして壮大な勘違いをしたまま念入りに約束するガルドだった。

「さて、そうと決まれば善は急げ。そこいらで息抜きしてるであろう
 ニュコ殿を拾って遺跡にンm-\53wm『13位¥。」
・・・自覚こそないが、かっこつけすらできなかった。
8GM ◆55yz3NcylM :2007/11/13(火) 19:47:31 O
>「ジョルジュ隊長は遠回しに私に行ってもいいと言ってるんでしょ?
> でも、私一人じゃ行かないよ。
> だって、私だって女の子なんだよ。
> 一人じゃ寂しいんだよ。
> だから、皆でレフちーを探しに行きましょ?」

うるうる瞳で可愛らしく言う霊鬼に、ジョルジュは少し気圧された。
無理もあるまい。既に彼等は霊鬼が戦う様子を見ているのだから仕方ないといえる。
「う…うむ、皆で行こう!というよりも我々が置き去りにされたら困るしな。」
そう言って笑うと、他の3人も笑った。
もう先程までの絶望感は何処にも見当らない。生きる意思に皆輝いている。


>「さぁ追っかけっコでさァ。ちゃんと7つ数えて追って来な!!」
有り得ない事が起きる。物理法則を完全に無視した現象だった。
だがスラーレムはロープに構わず、レフトハンドを追いかけて走り出した。
全力疾走している背後からは、追跡者の気配がみるみる距離を詰めてきたのを感じる。

液体の如く流動的な構造を持つスラーレムは、ロープの格子をそのまま突破した!!
スラーレムは細切れになったようでも、実際には何の問題も無い。
網で魚は掬えても、水は掬う事が出来ないのだ。


>「お願いいたす。なに、必ずや元凶を取り除き同胞方を目覚めさせてご覧に入れよう。
>されど、見送る側が涙していては幸先がよろしくない。笑ってお送り下されよ。」
>「さて、そうと決まれば善は急げ。そこいらで息抜きしてるであろう
> ニュコ殿を拾って遺跡にンm-\53wm『13位¥。」
「そうですね、あまりにも衝撃的だったもので…久しぶりに涙が出ました。」
ハンカチで鼻をチーンとかむと、スッキリした笑顔でミリアが答えた。
屋敷の外に出ると、少し離れた場所でヌコが遊んでいるのが見える。
ミリアもヌコの姿を見つけたらしく、手を振って呼び掛けた。
「ニュコさーん、出発しましょう!」

そして1日後、ヌコとガルドとミリアの3人は遺跡の入口へと辿り着いた。
「では私は一旦村に戻ります。古文書の調査内容は後から追い付いた時にでも。」
そう言ってミリアが2人に革袋を渡した。
「中には光の魔法を付与した石が20個入ってて、これを目印に私は皆さんを追いますから。」
曲がり角や階段に置けば、確かに効果的な道具だといえるだろう。
「気をつけて下さいね、くれぐれも無理はなさらぬよう。ではまた後ほど。」
ミリアは足早に去って行く。2人へ少しでも早く情報を届けるために。

さあ今から遺跡内に突入だ。
9霊鬼 ◆F/ATTd3VB. :2007/11/13(火) 20:25:54 O
>5>8
>「う…うむ、皆で行こう!というよりも我々が置き去りにされたら困るしな。」

「やったー!」
霊鬼の可愛らしいお願い事はジョルジュ隊長に通じ、霊鬼は口許に手を当てて可愛らしく喜んだ。

「じゃあ、私が先に出るから、いいよって言ったら出てきてね」
金棒を担いでない腕で扉を開け、こっそりと顔だけを出し、右を見て左を見る。
廊下には虫のような姿をした敵はいない。
が、走っているレフちーとそのレフちーを追う何かがいた。

「やっぱだめー!」
霊鬼は大声で部屋の中にいる調査隊の皆に言うと、一人で廊下に出る。

「レフちー! バトンタッチプリーズ!」
霊鬼は金棒を持ってない方の腕を高々と上げた。
10ヌコ ◆4hcHBs40RQ :2007/11/13(火) 22:19:25 0
>>8
屋敷から抜け出したヌコは、四つん這いになってうろうろと歩いていた。
「あ、この子は可愛いのだ。」
摘み上げたそれは、毛虫とカブトムシの中間くらいの姿をしたよく分からない虫だった。
それを翳してうっとりと眺め、それから『まほうビン』のひとつに放り込む。

ヌコの持つ10個の『まほうビン』のうち、1つは趣味の昆虫採集用になっている。
大量の虫の詰まったそれは、傍目に眺めると相当気持ちが悪い。
こんなものがロッカーに入っていたら男子でも泣くだろう。

「お、あっちにも良さげな虫の気配がするニャ〜…。」
四つん這いで虫を探しながら移動していると、話が終わったらしくガルドとミリアが屋敷から出てきた。
ミリアが声を上げる。

>「ニュコさーん、出発しましょう!」
「ニュコって呼ぶんじゃねえー!!」
奴とはいずれ決着を付ける必要がある。そう心に固く誓ったヌコだった。


□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


翌日、遺跡の前に辿り着いたミリアとガルド、そしてヌコ。
二人に光る石を渡したミリアは、古文書解読のために一旦引き返すらしい。
「ふーんだ、帰れ帰れ。足手まといは要らないである。」
無下にしっしっと手を振るヌコ。
足早に去っていくミリアの背中にも、見えなくなるまで「帰れコール」を浴びせた。
他に誰か遊撃隊隊員がいたらそろそろ一発殴られているところだ。
11ガルド ◆zCCyDiTaeI :2007/11/13(火) 22:40:55 0
>8>10
>ハンカチで鼻をチーンとかむと、スッキリした笑顔でミリアが答えた。
ガルドの台詞が功を奏したのか?ミリアの顔は先程よりも晴れやかだった。
それにつられてガルドも豪快に笑う。
「はっはっは、やはり笑顔は良い。
ミリャア殿ほどの令嬢ならばなおのこと。うむうむ。」
何も考えてない風に腕を組んで頷いたり・・・

>屋敷の外に出ると、少し離れた場所でヌコが遊んでいるのが見える。
ヌコの遊ぶ姿はまるで猫のようだった。
その光景に子供らしさを見出したガルド、力強く頷いた。
「子供は風の子、と言うが・・・ああしておればやはり年頃の女子よ。」

>「ふーんだ、帰れ帰れ。足手まといは要らないである。」
>無下にしっしっと手を振るヌコ。
>足早に去っていくミリアの背中にも、見えなくなるまで「帰れコール」を浴びせた。
そのあまりの言動にも苦笑だけが出るガルド。
ヌコが素直じゃないのは昨日のやり取りから大体見抜いているからだ。
「これこれ、あまり邪険にするでない。
種族が違えば常識も違う、しかしそれに甘えて礼を失しては\hu9-wyrk、@。」
いいこと言ってても全て台無しにしてしまうのだった。
12ヌコ ◆4hcHBs40RQ :2007/11/13(火) 23:27:26 0
>>11
>「これこれ、あまり邪険にするでない。
>種族が違えば常識も違う、しかしそれに甘えて礼を失しては\hu9-wyrk、@。」
苦笑するガルドを見上げるヌコ。
少しだけ不思議そうな表情をしている。
「相変わらず何言ってるか分からないけど…オッサンちょっとだけ隊長に似てるニャ。
隊長もいつもそんな感じでお説教と苦笑ばっかりしてるのだ。」
ヌコはやれやれといった感じでため息をついた。
そしてガルドの肩に飛び乗る。
「うちの隊長も手間の掛かる奴だから、仕方ないからオッサンも面倒を見てやるニャ。」

そしてヌコは少し真面目な調子になって言う。
「ふたつ注意なのだ。遺跡に入ったら無闇に大きな声は出さないこと、あちこち勝手に手を触れないこと。
モンスターに気付かれたり、罠が作動すると厄介である。
霊鬼とレフティの二人が行方不明になるなんて、この遺跡には余程の何かが潜んでるニャ。
何かあったらウチが何とかしてやるけど、オッサンも気を引き締めていくこと。さあでっぱつ!」
13ガルド ◆zCCyDiTaeI :2007/11/16(金) 21:22:41 0
>12
>「相変わらず何言ってるか分からないけど…オッサンちょっとだけ隊長に似てるニャ。
>隊長もいつもそんな感じでお説教と苦笑ばっかりしてるのだ。」
ヌコいわく、ガルドとグラスマンは似ているらしい。
「ほう、お主らの隊長殿とか。はっはっは、グラスマン殿も俺のような偉丈夫と言うことか。」
そこまで言ってない。
「だがそれもお主を心配してのことであろう。良い隊長を持ったな。」
その程度でまったりとした雰囲気を醸し出す、相当なマイペースと言えよう。

>「ふたつ注意なのだ。遺跡に入ったら無闇に大きな声は出さないこと、あちこち勝手に手を触れないこと。
>モンスターに気付かれたり、罠が作動すると厄介である。
>霊鬼とレフティの二人が行方不明になるなんて、この遺跡には余程の何かが潜んでるニャ。
>何かあったらウチが何とかしてやるけど、オッサンも気を引き締めていくこと。さあでっぱつ!」
「とくれせんたぼーび、善処するぞ。」
ガルドにしてみればひそひそ話をしているつもりなのだが、それでも普通の人の大声レベル。
全然意味がない。多分勝手に何かに触ったりはしないだろうが・・・

「ふはは、頼もしいことよ。・・・ならば、ニュコ殿も俺から離れるでないぞ。
調査隊もエルフも全員救う、それが俺の任務だからの。誰か一人でも犠牲になってしまったら、
グラスマン殿に向ける顔がないのでな・・・うむ、では行くとしよう。」
大盾を構え、手斧を握る。ガルドの全身すら覆い隠せるほどの盾、真正面から見れば
まさに鉄壁としか形容できない。肩に乗っかっているヌコには前が見えている筈なのだが。
14レフトハンド ◆6Mrl/jPPh. :2007/11/16(金) 22:42:38 O
>>8-9
>「レフちー! バトンタッチプリーズ!」
どうしたんでしょうね、お嬢の様子が変な・・・って何ィイ!?
>全力疾走している背後からは、追跡者の気配がみるみる距離を詰めてきたのを感じる。
お嬢が慌ててるワケだ!一体どうやってあの“網”を抜けて来たかは知りやせんが・・・
“ヤツ”はあっしを追いかけてやがるじゃあありませんか!!
「お嬢ッ!!ありゃホントにとんでもねぇ!!気をつけて下せぇ!!」

お嬢の出した手とあっしの右手が合わさって、「パン」と乾いた音を立てやした。
さっき申した通り、元々あっしは荒事は専門じゃあごさいやせん。
そういうのはお嬢の仕事ですからね、あっしは援護に回らせていただくとします。
・・・まぁ援護する余地が“残ってたら”の話になりやすが。
ちっちゃくてフワフワしてて、それでいてキリッとした時のあの表情・・・
カワイイでしょう?でもただカワイイだけじゃないのがお嬢なんですよ。

『鬼に金棒』
これほど的確にお嬢を言い表せた言葉を、少なくともあっしは聞いたコトがありやせん。
15霊鬼 ◆F/ATTd3VB. :2007/11/17(土) 00:20:38 O
>14
>「お嬢ッ!!ありゃホントにとんでもねぇ!!気をつけて下せぇ!!」

お互いの手と手が触れ合い、パンッと心地良い音が鳴り響く。
霊鬼の視線はレフちーから迫ってくる敵へと移り、金棒を持ってない右肩を前にして構える。

「私が相手になるよ。
 今回は途中でやめたりしないよ。
 本気で吹っ飛ばして上げるからね」
霊鬼はにこりと笑い、疾風の如く間合いを詰める。

「おおりゃぁあー!!」
そして、金棒を両手に持ち直し、雄叫びと共に体を回転させて、敵の側面に当たるよう金棒を振り回した。
16霊鬼 ◆F/ATTd3VB. :2007/11/21(水) 22:47:44 O
金属と金属が高速で激突するような音が場に響く。
霊鬼の金棒は敵の体を粉々に砕き、敵の肉片は壁に激突。
ショットガンを壁に向けて放ったように、壁には細かい穴が空いた。

「あれ? もしかしてこれで終りなの?」
前に軽く戦闘に入った時は、もっと手強かったように霊鬼は感じていた。
暫し、呆気に取られたような表情を霊鬼はする。
だが、たまには敵の実力を読み違えることもあるだろうと、自分を納得させ、霊鬼はこのことについて考えるのを止めた。

「うふふふふふふ、レーフーちー!」
霊鬼は金棒を再び肩に担ぐと、にやにやと不気味な笑みを浮かべながら、レフちーの元まで詰め寄る。

「かなーり遅かったけど……今までどこに行ってたのかなー?
 調査隊の皆も私も心配してたんだよー。
 何があったか教えてくれるよねー」
17レフトハンド ◆6Mrl/jPPh. :2007/11/22(木) 11:22:16 O
>>16
一撃で決着、ホントに呆気ない結末でやんした。
木っ端微塵になった“ヤツ”の破片が壁に無数の穴ポコこしらえて終了です。
流石と言うか何と言うか・・・やっぱりあっしが援護する余地なんざありやせん。
見たでしょう?あれがお嬢の力なんです。
皆さんも気をつけて下せぇ、お嬢がマジでキレたらトンでもねぇコトになりやすからね。

>「あれ? もしかしてこれで終りなの?」
「どうやらそうみたいですね・・・ホッとしましたよ。」
>「うふふふふふふ、レーフーちー!」
「あい?何でしょうか?」
>「かなーり遅かったけど……今までどこに行ってたのかなー?
 調査隊の皆も私も心配してたんだよー。
 何があったか教えてくれるよねー」

あぁそういえば、忘れてやしたよ。あの時女の笑い声を聞いた事を。
「実はですね・・・ってお嬢、怖いですってば。」
笑顔だからこそ余計に怖い。あっしは外で起きた事を、最初から順を追って説明しやした。
その時です、あっしの勘が危険信号を鳴したんでさァ。

壁に開いた穴ポコから流れ落ちる銀色の水。
この時点で気付いたのはラッキーでしたよ。完璧な不意打ちをくらうトコでした。
「お嬢!!あぶねえッ!!」
あっしはお嬢を素早く引き寄せたのと、銀色の刃が空を切り裂いたのは、ほぼ同時でやした。
ヤケに呆気ないと思いやしたが・・・やっぱ元通り。
あの“網”も、たぶん無理矢理に突っ切ったんだとしたら合点がいきやす。

“ヤツ”は形を持っているようで、“実は持ってない”てコトなんでしょう。
つまり攻撃したところで、足止めにはなったとしても有効打にはならねぇ・・・。
えらくインチキ臭い敵ですが、必ず何かしらの攻略法がある筈です。
「お嬢、とりあえずここは一旦にげましょうや!ありゃキリがありやせんぜ!!」

水を封じ込めるには何が必要か?
あっしは考えやした。そりゃもう必死に考えやしたよ。
18霊鬼 ◆F/ATTd3VB. :2007/11/22(木) 19:22:40 O
>17
>「実はですね・・・ってお嬢、怖いですってば。」
霊鬼はレフちーから外で何をして、何が起きていたかを聞く。
女の笑い声が、ライゼ王国の者しか入ってはいけないこの遺跡で聞こえたらしい。
隊長達はポインターフラッグをちゃんと立てていたので、他国の調査隊がこの遺跡に入ってくることは無い。
ならば、前にアゼルがこの遺跡にゴロモンが別荘を作っていたと言っていたし、ゴロモンではないか?
と、霊鬼は思ったが、ゴロモンは雄だったことを思い出し、この考えは頭から捨てた。

>「お嬢!!あぶねえッ!!」
「きゃっ!」
少女らしい可愛い声を上げながら、霊鬼はレフちーに引き寄せられる。
その数瞬後、霊鬼のすぐ後ろから風切り音が聞こえた。
レフちーの腕の中から離れ、後ろを振り返ると、さっき粉々になった敵がいた。

「レフちー、ありがとー。
 あのままだったら私の首は飛んでたよ」

>「お嬢、とりあえずここは一旦にげましょうや!ありゃキリがありやせんぜ!!」

「そーだねー。
 私とあいつは相性最悪みたいだし、ここは逃げた方がいいよねー」
敵が刃と化している一本の触手を振るい、霊鬼達を薙払おうとする。
霊鬼は金棒の先を床に突き立てて盾とし、触手による斬撃を防いだ。

「レフちー、そこの部屋に調査隊の皆がいるよ。
 私が足止めしている隙に、皆を連れて先に行って!」
縦横無尽に振られる敵の刃を、霊鬼は金棒を暴風のような勢いで振り回し、的確に弾き返す。

「私はこいつを遠くに、飛ばすっ!!」
19名無しになりきれ:2007/11/25(日) 01:21:41 O
今年もクリスマスが近づいてきました(*^^*)
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/ex/1193362899/
20ガルド (代理投稿):2007/11/25(日) 22:02:29 0
最初の数歩は何も問題なかった。
床の厚さは自分と同行者の二人分を同時に支えてもお釣りが来るほど。
ヌコからの忠告もあったのだ、油断したわけではなかった。
・・・落とし穴。単純かつ強力なワナ。ヌコ一人ならどうという事もなかったのだろうが、
おり悪くガルドの肩に乗っていたせいで床の感覚を確かめられなかった・・・。
だが、古今東西落とし穴に落ちた冒険者は数あれど落とし穴をぶち抜いて落ちた人物など
いはしない筈だ。しかもその落とし穴は回転式のリサイクルトラップ。
思いっきり支点となる部分を踏み抜いてしまい、二人そろってまっ逆さま。


床に叩きつけられたのはガルドが幾分早かった。
痛みを感じる暇も無くヌコが落ちてきたので、叩きつけられないよう
両手でキャッチした。ヌコが軽かったのと受け止めたのがガルドだったからこそ
出来た芸当だろう。・・・落ちた衝撃で、落とし穴の底が抜けてさらに落下。
その落ちた先に調査隊の面々がいたことは果たして運が良いのか悪いのか・・・。
21レフトハンド ◆6Mrl/jPPh. :2007/11/28(水) 21:48:59 0
>>18>>20
>「レフちー、そこの部屋に調査隊の皆がいるよ。
> 私が足止めしている隙に、皆を連れて先に行って!」
>「私はこいつを遠くに、飛ばすっ!!」
続け様の斬撃を金棒で防いだお嬢が、あっしにそう言いやした。
“ヤツ”の水みたいな身体と、お嬢の攻撃は相性が最悪だと分かっているのに!
あっしはその様を見て、軽く眩暈がしやしたよ。
この御方は敢えて不利を承知であっしらを逃がす為に残るコトを選んだんです。

何も知らない人が傍から見りゃ『普通逆だろ』って言われるでしょうね。
どう見たってあっしの方が大人ですから。
この時程、自分の無力さ加減を悔やんだ時ァごさいやせん。
“足手纏い”なんです。
目の前に立つ敵と戦うにゃ、お嬢にとってあっしは足手纏いでしかなかったンでさァ。

「あぃ、承知しやした。」
返事は一言、そんだけで充分。伝わった筈です。
お嬢はお嬢の“役割”を、そして・・・あっしはあっしの“役割”を。
適材適所、出来るモンが出来るコトを。
確かに受け取りやした。調査隊を無事に都へ連れて帰るのが何よりも優先すべき事。
だからこそお嬢も、あっしも次の行動に移るのに、全く迷いは無かったンですよ。
お嬢が出てきた扉、あっしが出て行った扉、その向こう側に守るべき者がいる。
なら当然扉を開けるでしょう?
えぇ、開けたンですよ。開けたんですがね・・・部屋の中を見た途端、あっしは思わず叫びやした。

「だ、誰ッ!?ってかテメェ!ジャリ猫ッ!!何でここにいやがる!!!」

あっしを叫ばせた原因が、キョトーンとした状態で、部屋のド真ん中に居やがったンでさァ。
22霊鬼 ◆F/ATTd3VB. :2007/11/29(木) 08:26:40 O
>20>21
>「あぃ、承知しやした。」
レフちーが調査隊の皆がいる部屋に戻っていく。
ついさっきまで、皆でレフちーを探しに行く為、出発の準備をしていたのだ。
レフちーがこの場から離れることを伝えてくれれば、すぐに出発してくれるはずだ。
問題なのはこの目の前にいる敵が、自分から部屋から出てくる調査隊の皆に攻撃目標を移してしまうことだ。

スライムみたいに形を変える、金属のような液体状の肉体を持った敵。
刃と変えた触手が霊鬼の急所を狙い、刃を振り回し続ける。
急所しか狙わず、相手の虚をまったく突こうともしないので、刃を打ち払うのは容易いこと。
霊鬼の心臓を狙って刃を突き出してくる。
金棒を片腕で振り回し、突き出された刃を横に軽く弾いてやる。
刃が壁に突き刺さった。
チャンスと思った霊鬼は、金棒を両手で持って自分の間合いまで踏み込み、敵の正面に重い金棒の一撃をぶち込んだ。
敵の肉体が粉々になって弾け飛ぶ。
そして、即座に飛び散った金属片が集まり、再び敵の肉体を作り出す。

「こんなんじゃ何回やったって無駄みたいだね。
 いいよ、私の鬼火で燃やし尽してあげるよ」
霊鬼は手に持つ金棒を、鬼という種族が持つ能力で、自分だけの空間に隠すと、両手から青い炎を生み出す。
霊鬼の神通力によって生み出された炎なのだが、相手に効くかどうかは不明。
相手は金の属性も持っているが、水の属性も持っている。
炎の威力が水によって打ち消され、金の属性に作用されない可能性が高い。
だが、やってみなければ分からない。
霊鬼は青い炎に包まれた両手を構え、横合いから何かに吹き飛ばされた。
吹き飛ばされた霊鬼は壁をぶち破り、調査隊の皆が待機している部屋に戻ってしまった。

「あいたたた……あいつの剣が壁に突き刺さったまんまだっけ……
 うーー!私らしくもないミスだよー」
霊鬼は通路の壁に突き刺さった剣を液状化させて、体に取り込む敵を睨む。
そして、後ろから感じる妙に濃い気配を感じ、振り向いた。

「ん、どちら様?
 それで、何で私の可愛いヌコちゃんをだっこしてんの?
 ちょっとずるいんだけどー」
霊鬼は男に対しては興味が無かった。
代わりに、女の子に対しては興味津々だった。

23ガルド ◆zCCyDiTaeI :2007/12/01(土) 15:57:15 0
>21-22
衝撃で体中に振動が伝わって痺れたような感覚が走る。
それでもヌコを下敷きにしなかったのは天晴れ。
そこに音が飛び込んでくる、否、声だ。

>「だ、誰ッ!?ってかテメェ!ジャリ猫ッ!!何でここにいやがる!!!」
「ジャリ猫、とは誰のことか存じぬが。
それよりも、お主は調査隊の一員かの?」
まるで何事もなかったかのように手を使わず起き上がって
またヌコを肩に乗せて仁王立ちする。長身の部類に入るレフトハンドよりも
頭二つ分はでかいガルドが直立すると、思いっきり見上げないと顔が見れない。
首が痛くなること請け合いの身長差。まさに壁だ。

>「ん、どちら様?
> それで、何で私の可愛いヌコちゃんをだっこしてんの?
> ちょっとずるいんだけどー」
もう一人からも声をかけられる。二人の特徴は事前に聞いていたので
ガルドは話しかけてきた二人が遊撃隊員だと、やっと気づいた。
「俺はお主ら遺跡調査隊を救助する為に派遣されてきた者だ。
・・・とりあえずは全員生きてはいるようだがの。この状況で長居は出来そうもないな。」
ぐきっぐきっ、と首を鳴らして全身をほぐす。どうも二人は遺跡の守護者と戦っているらしい。
スラーレムを見た感じ、ガルドとは相性が悪そうだ。でもそんなの関係ねぇ。

「ニュコ殿、調査隊と共に撤退されよ。
時間は俺が稼ごう。どう足掻こうと、きゃつは倒せぬだろうしの。」
幸いそこは広い空間、得物の大剣を存分に振り回せる。
手に持った大盾を左肩に固定して空いた両手で背負った大剣を抜き構えた。
24レフトハンド ◆6Mrl/jPPh. :2007/12/03(月) 19:33:49 0
>>23
「誰がジャリ猫だニャ!!このロリコン2号ッ!!」
少し尖った八重歯を剥いて吠えるジャリ猫を軽くシカトして、もう一人をじっと観察しやす。
見たところライゼの騎士、それも“あの”第10重騎士団員だと判りやした。
ウワサでは聞いてやしたからね。馬鹿デカいのが一人、第10重騎士団にいるって。
>「俺はお主ら遺跡調査隊を救助する為に派遣されてきた者だ。
・・・とりあえずは全員生きてはいるようだがの。この状況で長居は出来そうもないな。」
どうやら帰りが遅いのを心配した結論が、この二人ってコトらしいですねぇ。
しかしジャリ猫が来るなら分かるんですが、何故に第10重騎士団が?
考え込むのはほんの一瞬だけ。今はこのデカい重騎士の言う通り、長居は無用です。

>「ニュコ殿、調査隊と共に撤退されよ。
時間は俺が稼ごう。どう足掻こうと、きゃつは倒せぬだろうしの。」
そう言うと、重騎士はやる気のようです、デカい図体にデカい剣。
「そいつはありがてぇこってす。そんじゃあ甘えさせて貰いますかね!」
即断速攻。先ずは皆を連れて部屋から出る。
あっしは左手を構えると後ろを振り返って“ヤツ”を見やした。
お嬢がブチ破った壁の穴から、無傷の光沢が覗きます。やっぱりあの身体を破壊するには・・・

「おいコラ、てめーの“瓶”で何とかできねぇのかジャリ猫!!」
「ん〜・・・できるけどロリコンがムカつくから却下。」
「何ィイ!!!このクソた・・・れッ!?」
危なかった。後一歩、前に立っていたら死んでた・・・。目の前を横切る銀光。
そういえば“ヤツ”はビームを撃つってのを、すっかり忘れてやしたぜ。
「お嬢!デカいの!まともにやり合っても埒が開かねぇ!!気持ちはありがてぇが逃げやすぜ!!」

そうだ、ここは逃げるが勝ち。
ジャリ猫もあの“ビームの正体”に気付いたらしく、既に逃げる体勢を整えてやがる。
一見ビームに“見える”あれは、ビームなんかじゃあごさいやせん。
早い話が“水鉄砲”なんです。“ヤツ”は自分の身体の一部を高圧で“噴射”しているんです。
そして着弾地点から更に攻撃を繰り出してくる!!
どれだけ逃げようと“簡単に追い付かれ”ていたカラクリが、あのビーム!!
“ヤツ”の本体はビームで作った“中継地点”から、あっし達を追跡していたんですよ。

この部屋の中へ撃ち込まれたビームは2発、つまり2ヶ所の攻撃中継点がもう“存在する”!!
ビュシュッ!!!
ビームによって壁に開いた穴から銀光が閃きやした。
狙うは巨体の重騎士、大きな方の“的”から片付ける算段でしょうか。
室内の2ヶ所の穴から襲いかかる銀色の槍が、まっすぐに重騎士へと迫りやした。

25霊鬼 ◆F/ATTd3VB. :2007/12/04(火) 13:17:42 O
>23>24
>「俺はお主ら遺跡調査隊を救助する為に派遣されてきた者だ。
>・・・とりあえずは全員生きてはいるようだがの。この状況で長居は出来そうもないな。」
>「ニュコ殿、調査隊と共に撤退されよ。
>時間は俺が稼ごう。どう足掻こうと、きゃつは倒せぬだろうしの。」
ヌコと一緒にいつの間にか現れた男は、調査隊を救出する為に派遣された者らしい。
この男の姿を霊鬼は第六遊撃隊内で見たことは無い。
他の部隊から援軍として駆け付けて来たのだろう。

「ちょっと待ちなよ。
 私達はあんたのお陰で逃げれるけど、あんたは逃げれないじゃん!
 私も一緒に戦うからね!」
ヌコとレフちーは調査隊の皆を引き連れて撤退。
霊鬼の意識は目の前の大男と部屋の外にいる敵に集中し、拳を構える。
先に動いたのは敵の方だった。
自分の体の一部を水鉄砲のように噴出させて攻撃。
霊鬼がこの部屋に吹き飛ばされた時に受けた攻撃も、この水鉄砲による攻撃だ。
その水鉄砲が二本放たれるが、誰にも当たることは無かった。

>「お嬢!デカいの!まともにやり合っても埒が開かねぇ!!気持ちはありがてぇが逃げやすぜ!!」

「そんなこと言ってるなら早く逃げるっ!
 私達が何の為に時間を稼いでると思ってんのよ!」
そうレフちーに言いつつ、霊鬼は目の前を横切る大男を狙った敵の攻撃の一つを、ひょいと掴み取る。
一回目は油断して喰らってしまったが、二度目なら油断しててもこの程度なら喰らうことは無い。
霊鬼は掴んだ敵の欠片を燃やし尽そうと、手に纏う青い鬼火の勢いを増したが、敵の欠片は溶けただけ。
燃やし尽して蒸発させることはできない。
霊鬼は敵の本体に向かって欠片を思い切り投げると、大男に話し掛けた。

「唐突だけど、私の名前は霊鬼。
 これから肩を並べて戦うんだから、名乗っておこうと思ってね。
 あんたの名前は?」
26ガルド ◆zCCyDiTaeI :2007/12/05(水) 21:38:56 0
>24-25
>「お嬢!デカいの!まともにやり合っても埒が開かねぇ!!気持ちはありがてぇが逃げやすぜ!!」
レフトハンドと言う男は頭の回転が速いようだ。
非常事態でも役割をきちんと理解し、その通りに動けると言うだけで分かる。
それに、目の前の敵の能力などは彼らのほうが知っている。
それを踏まえた上での発言に反対する理由などどこにもない。
「うむ、今しばらく足止めを690wd向かう、先に行けぃ。」
発音がおかしかった事に気づかぬまま視線を戻そうとしたとき、壁の向こうから何かが放たれた。
頭で考える暇もなく体が反応し、片方を避けたはいいがもう一つまでは気が回らなかった・・・。

>そうレフちーに言いつつ、霊鬼は目の前を横切る大男を狙った敵の攻撃の一つを、ひょいと掴み取る。
だがありがたい事にもう一方は霊鬼が止めてくれた。
しかも、並みの腕では避けるのも難しいだろうこれを掴むと言う離れ業でだ。
何かを試みたようだが上手くいかなかったらしい・・・。

>「ちょっと待ちなよ。
> 私達はあんたのお陰で逃げれるけど、あんたは逃げれないじゃん!
> 私も一緒に戦うからね!」
「うぬ、気持ちはありがたいがそれでは俺の任務は達成されn・・・」

>「唐突だけど、私の名前は霊鬼。
> これから肩を並べて戦うんだから、名乗っておこうと思ってね。
> あんたの名前は?」
聞く耳持たず、と言うことか。ガルドの反論はごくごく自然にスルーされた。
言ってもきかなさそうなので諦めて共闘することにした。
「・・・うむ、調査隊員の名前は全て聞かされておる。
お主が霊鬼殿か、俺の名はガルド。しばし、よろしく頼むぞ。」
礼の一つもしたいところだが出来る状況じゃない。
「それでは俺が前に出る。きゃつの注意が逸れたところに一撃お願いいたすぞ。」
大剣を右肩に担ぐような体勢のまま大盾で身を守りつつ突進する。
迫力だけならスラーレムに負けない自信はあった。
27レフトハンド(代理):2007/12/06(木) 08:43:05 0
>>25-26
>「そんなこと言ってるなら早く逃げるっ!
> 私達が何の為に時間を稼いでると思ってんのよ!」
>「うむ、今しばらく足止めを690wd向かう、先に行けぃ。」
案の定です。やっぱり『退け』と言われて素直に退くようなタマじゃありやせん。
何故だか安心しつつ、あっしとジャリ猫は“準備”に取り掛かりやした。
そう、勿論逃げる準備です。突然の展開に、調査隊の面々はついて来れてない。
「こっちだニャ!!」
ジャリ猫が瓶を1本握り締め、あっし達に合図しやした。
あの瓶はタダの瓶ではごさいやせん。その名も『魔法瓶』、れっきとした魔法の品物です。

カポッ。小さな音共に開いた蓋、注ぎ口から出てきたのは真っ白な煙。
この煙、やはりタダの煙じゃあごさいやせんよ。
魔法瓶の中に入れた“モノ”は、その性質を変えるンでさァ。
たちまち部屋の半分近くを埋め尽くした煙は、一寸先すら見えない濃さでした。
まぁ逃げる時にゃ定番の『煙幕』ってヤツですね。
「アホッ!そんなモン持ってンなら最初っから出しとけ!!」
「黙れロリコン!!」
ムカついたんで蹴っ飛ばしてやろうかと足を振りかぶった時です。
この煙が単に視界を遮る効果“だけじゃない”ってコトに気付いたのは・・・。
「うぉ!?なんじゃこりゃ!!」
自分がどの方向を向いているのか、むしろ地面に立っているのかすら判らないンですよ。

「スプーキー・スモーキー。この煙の中は五感が狂っちゃうのである。みんな気をつけろ〜。」
のほほんとしたジャリ猫の声が聞こえた途端、あっしは引っ張られて転びやした。
いつの間にか腰にロープが結び付けられていたようです。当然ジャリ猫の仕業でしょう。
「みんなをロープで繋いだのだ、ウチがリードするから平気ニャ。変に力むとそこで無様に
転がってるダサダサロリコン2号みたいになるから要注意だゾ♪じゃあ出発♪」
「テメェ!!そういうのは先に言え!!!」

最後に見た煙の範囲は部屋の約半分、足止めに残った二人は廊下に向かったのが見えた。
少なくともこのクソ迷惑な煙の有効範囲には入ってないでしょう。
感覚器官を狂わせる効果は、確実に“ヤツ”の追跡を遅らせる筈です。
何故なら以前にも別のミッションでゴーレムを文字通り“煙に巻いた”んですから。
残った二人もそう簡単にはやられたりしないでしょう。お嬢がおりやすからね。
どちらかと言えば、ガルドと名乗った重騎士が、お嬢の誤爆に巻き込まれないかが心配でして。


重騎士は突進した。
>「それでは俺が前に出る。きゃつの注意が逸れたところに一撃お願いいたすぞ。」
>大剣を右肩に担ぐような体勢のまま大盾で身を守りつつ突進する。
スラーレムはその巨体を真っ向から受け止めるべく、6本の脚を踏み締めた。
見る限り大盾によって身体の大部分が隠れている。確実に仕留めるには・・・脚だ。
戦況分析を終え、ガルドの足下の地面を目掛けて水銀の光条を放った。
当たらないかもしれないが、そんな事は大した問題ではない。
むしろ着弾した地面を越えて通り過ぎた方がいい。背後から奇襲する事が容易になる。

スラーレムは考えていた。戦いの片隅で、自身の存在意義を。
今に始まった事ではない。創造主によって造られた瞬間から、遥かな歳月を思考に費してきた。
創造主はスラーレムと同じ形をした同胞を数え切れぬ程に造り、《神々の黄昏(ラグナロク)》へと赴いた。
自分は残された。神々との戰に連れて行ってはもらえなかった。
創造主デュミナスの帰還を幾星霜もの間、ずっと孤独に待ち続けた。

戦う為に造られた存在。
しかし戦う敵を与えられなかった存在。
スラーレムは考える。己の存在する理由を、意味を・・・
思考の迷宮に終わりは無く、彼に答えを与えられる者はもうこの世界にはいなかった。


28霊鬼 ◆F/ATTd3VB. :2007/12/06(木) 20:08:46 O
>26>27
>「・・・うむ、調査隊員の名前は全て聞かされておる。
>お主が霊鬼殿か、俺の名はガルド。しばし、よろしく頼むぞ。」
>「それでは俺が前に出る。きゃつの注意が逸れたところに一撃お願いいたすぞ。」

「うん、任せてよ!
 ガルドの期待以上の攻撃を見せてあげるよ」
ガルドは左肩に取り付けた大盾を前に突進。
霊鬼は手に宿していた青い炎を消し、何処かからか取り出した金棒を両手で持ち、振りかぶる。
敵は……

「ガルド!足下に気を付けてっ!」
霊鬼からは、敵がガルドの足下を狙って、水鉄砲を放つのが見えた。
29ガルド ◆zCCyDiTaeI :2007/12/08(土) 15:16:34 0
>27-28
>戦況分析を終え、ガルドの足下の地面を目掛けて水銀の光条を放った
>「ガルド!足下に気を付けてっ!」
兜の面頬を下ろした今の状態では足元が見えない。
たとえ上げていたところで大盾に開けてある窓の視界は狭く相手の下半身が見えないので
結局同じことだった。これがタイマンだったら確実に避けられないで脚を切り落とされている。
ガルドにとって幸運だったのは、背中を預けた相手がいたことでありその相手がきちんと
危険を伝えてくれたこと。日々練磨を重ねてきた戦士の肉体は考えるよりも先に地面を蹴らせて
その巨体を身に纏う鉄塊ごと軽々と宙に浮かび上がらせた。

「ぬぅぅぅぅぅぅおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!」
咄嗟のジャンプはガルドの今までの記録をやすやすと塗り替えさせ、スラーレムの
頭よりも高い位置へと飛び上がらせた。そのまま、今度は落下の加速が始まり自然と
怪力自慢お得意の叩き潰す強撃の形へと推移していくのだった。
「ふぅぅうううううぅぬうううぅぅああああああああぁぁぁっっ!!!!!!!!!」
担いでいた大剣を空中で大上段に振りかぶり、一気に振り下ろしたッ!
30レフトハンド ◆6Mrl/jPPh. :2007/12/09(日) 23:48:04 O
>>29
>「ふぅぅうううううぅぬうううぅぅああああああああぁぁぁっっ!!!!!!!!!」
>担いでいた大剣を空中で大上段に振りかぶり、一気に振り下ろしたッ!
放たれた光条が床を抉り、広範囲に亀裂を走らせたのと、ガルドの剣が直撃したのはほぼ同時であった。
その衝撃は、巨体の落下と相俟って更なる破壊力を発揮する。
床は耐えられなかった。
遺跡自体の老朽化も一因ではあったが、やはり想定外の威力の前に崩れ落ちた。
落盤は部屋の入口も巻き込み、霊鬼達がいる廊下は周囲10メートル近く崩れ落ちる。

足場を失えば、当然ながら下に落ちる。至極当たり前な事だ。
スラーレムも例外ではない。最初は壁に脚を突き刺して落下を逃れようとした。
しかし壁にスラーレムの重量を支える強度は無かったのである。
そしてガルドと霊鬼も、足場を失い落盤に巻き込まれてしまった。


「なーんか派手にやってるニャあ、霊鬼ちゃんてばハリキリ過ぎ?」
「いや、こりゃそんなモンじゃねーぞ!?まるで床が抜けたような・・・。」
後ろから聞こえてきた轟音に、ジャリ猫が立ち止まりやした。
地響きはまだ続いていやす。明らかに落盤が起きたと判る規模でやんした。
「でもウチらの仕事はノンストップ。さあ行くニャ。」
「おいコラ、まさかお嬢達を放っておく気か!?」
「ロリコンのくせに霊鬼ちゃんを信じてないって?やっぱし身体だけが目当てか、死ね。」
のほほんとしたツラですが、結構キツいコトを言うヤツです。

そりゃ信じてますとも。なんたってお嬢が負ける要素が見当りやせんからね。
あの重騎士が足を引っ張ったところで、お嬢にゃ何の問題もありますめぇ。
だからジャリ猫の言葉に反論できやせんでした。
一瞬でもこんなヤツに諭された自分が情けねぇったら・・・。
「・・・お嬢なら絶対に追い付いてくる。テメェに礼を言うのも癪だがな、あんがとよ。」
「うわキモッ!!ロリコンに狙われた!!死んだ方がマシなのだ!!」
「狙ってねーよ!!つーかロリコンでもねぇよ!!!!」

「(・・・こんな状況なのにこの余裕、流石と言うか何と言うか・・・。)」
ギャーギャーと口喧嘩するあっし達を、マクレーン隊長は半ば呆れ顔で見ていやした。
31霊鬼 ◆F/ATTd3VB. :2007/12/10(月) 00:19:04 O
>29>30
放たれた水鉄砲をガルドは上に跳び上がることで避け、落下の勢いを乗せて敵を両断した。
ガルドの大剣が地に突き刺さると、床が不自然な方向から皹割れていき、ついには床が崩れ落ちてしまった。
床の崩落はガルドと敵のいる所だけではなく、霊鬼が立っている場所まで崩れて落ちる。
鬼である霊鬼でも、空を飛べるような能力は持っていない。
自然の法則に従い、下の階に落ちていった。

「うーん、こんな手があるとは思わなかったなー。
 これで敵だけ下に落とせれば、私達も逃げることができたよねー。
 もう、終った話なんだけど」
辺りを見回したが、この場にいるのは霊鬼とガルドだけ。
敵の姿はどこにも無い。
敵は上の階に残っている可能性が高い。
下に降りた自分達を狙って来るか、上の階にいるレフちー達の方に向かうか分からない。
自分達を狙って来るならば良いのだが、レフちー達を狙いに行ったとしたらと思うと、霊鬼は心配になってきた。
だが、ここで心配してもどうにもならないので、はぐれた仲間達を信じ、思考を切り替えた。

「ガルドー、私は無事だけど、あんたは無事ー?」
32ガルド ◆zCCyDiTaeI :2007/12/10(月) 06:17:44 0
>30-31
>床は耐えられなかった。
>そしてガルドと霊鬼も、足場を失い落盤に巻き込まれてしまった。
「うおおぉぉぉっっ!!!!」
最初に落とし穴の底が抜けた時点で予想しておくべきだった。
遺跡は自分の重量を支えるので精一杯で、全力を出せる環境でないことを。
だが全力を出さないで勝てる相手でもなし、手を抜く理由もない。
意気込んだ結果が本日二度目の命綱無しのバンジージャンプ、それも
お伴に女性を巻き込んでと来れば三度目を警戒したくもなる。

落とし穴の時よりもさらに長い距離を落ちはしたものの、ガルドが
激突した時点では床は抜けなかったようで、霊鬼が傍にいるのが分かった。
それだけでも僥倖、と言いたいところだが・・・

>「ガルドー、私は無事だけど、あんたは無事ー?」
「うむ・・・俺は平気だ。もっとも96mm@9fk「は使い物にならんがの。」
ダメになったのはフルフェイスだ。勢い余って頭から落下したと言うわけ。
むき出しだったらガルドの頭は弾けた柘榴の仲間入りを果たしていただろう。
そして頭部を守るヘルメットはもうない、次はないと言う警告とも取れる・・・。
「すまなんだ、よもやここまで脆いとは―――――。」
33霊鬼 ◆F/ATTd3VB. :2007/12/13(木) 13:10:52 O
>32
>「うむ・・・俺は平気だ。もっとも96mm@9fk「は使い物にならんがの。」
ガルドの兜が見事に壊れているが、本人は至って元気な様子。
兜が壊れているということは、ガルドの頭に強い衝撃を受けたということ。
だが、大きなダメージを受けたようには見えない。

「あんた……鬼でもないのに、すっごいタフだねー」

>「すまなんだ、よもやここまで脆いとは―――――。」
ガルドが謝る。

「別に私は気にしてないよ。
 床が崩れたのはガルドだけが原因じゃなかったし、それに冒険にはこの位のアクシデントは当たり前だよ。
 そうじゃなきゃ、面白くないじゃない」

霊鬼は上を見上げた。
自分達の今いる階と、上の階の高低差は大体5〜6メートル位。
霊鬼は遺跡探索前に支給されたロープを取り出す。
ロープの長さは10メートルはあるだろう。

「ガルド、ちょっと良い案があるんだけど試してみない?」
霊鬼はにっこりと笑ってガルドに言う。

「上の階まで大体5メートル位でしょ。
 あんたの力なら私を上の階まで投げられると思うの。
 上の階に私が着いたら、このロープであんたを持ち上げるのよ。
 どう?良い案でしょ」
34レフトハンド ◆6Mrl/jPPh. :2007/12/13(木) 22:03:20 O
スラーレムは戸惑った。この階には“誰もいない”筈だったのだ。
なのに生命反応は目の前にいる2人を含めて“4人”分の反応があった。
この遺跡内には、スラーレムが一定区域毎に身体の一部を埋め込んでいる。
埋め込まれた身体同士が感覚を共有できる範囲は狭いので、巡回は必要ではあったが。
そして今、ここから一番近い中継地点に反応があった。
そこは遺跡の最深部であり、スラーレムの主が帰るべき場所。

目の前の無防備な2人を放置してでも守り抜かねばならない場所。
長い歳月を経て、スラーレムの中に芽生えた使命感が、その行動を選択させた。


「この薄汚い箱が目的の品なのか?どうにも解せんな・・・。」
白髪の混ざる黒髪を掻きながら、壮年の男が隣りに立つ女に問う。
「そう、これこそ旧支配者の遺産。不明だった旧文明のアーキテクチャーそのものよ。」
美しい金髪の女は、台座に置かれた箱を眺め、歓喜に身を震わせる。
「これで鋼の兵を完成させる事に一歩近付いたわ。“あの御方”の理想世界実現にも、ね。」
「だがやはり気に食わん。たかが箱1個に我々“十傑衆”を2人も動かすとはな。」
男は箱に見とれる女を怪訝そうに見つめ、不満を漏らす。
「それだけ重要な品だという事よ。ガストラが世界を統一する為には。」
ゆっくりと箱を台座から持ち上げると、女は男とまっすぐに眼を合わせた。
比類無き美貌に潜む狂気が、視線を通じて男を怯ませる。

その瞳には闇が在った。
何よりも深く、暗い闇が在った。

「やがてこの世界の戦は変わるわ・・・この禁断の箱から、全てが始まるのよ。
発掘した魔導兵が腐った世界を蹂躙するのは、一年後か十年後か・・・はたまた三百年後か。」
女の狂気に堪えられなくなったのか、男は眼を逸す。
その先には遺跡の守護者の姿があった。
「むぅ?どうやら“上のネズミ共”は皆やられたか・・・使えん連中だ。」
呟いた男の右腕からズブズブと肉を裂き、巨大な剣が“生えて”きた。
「なるべく他国に悟られぬよう、との令ではあったが、まぁ仕方あるまいな。」

剣輝一閃

次の瞬間、スラーレムの身体は“粉微塵”になって消え去った。
そして約1秒の遅れと共に爆轟が遺跡を揺らす。
「我が名は『両断の』オズワルド、言葉は通じ・・・何ッ!?消えただと!?何処だ!?」
「馬鹿ね、“消した”のは貴方でしょうが。」


>>31-33
互いに無事を確認したのも束の間、遥か前方からの衝撃波が2人を襲う。
遺跡はかつてない程に震え、壁や天井の至る所に無数の亀裂が駆け巡った。
今はまだ2人は知らない。
この激震が、名乗りを上げる際の“何気ない一振り”によって引き起こされたものだとは・・・
35ガルド ◆zCCyDiTaeI :2007/12/14(金) 21:17:11 0
>34-35
>「あんた……鬼でもないのに、すっごいタフだねー」
「頑丈なだけが取り柄なのでな。
霊鬼殿も、細子に見えて中々のもの。頼もしい限り。」

>「別に私は気にしてないよ。
> 床が崩れたのはガルドだけが原因じゃなかったし、それに冒険にはこの位のアクシデントは当たり前だよ。
> そうじゃなきゃ、面白くないじゃない」
「・・・はっはっはっ、面白い、と。確かに、これしきの事はあって当然。
事が事だけに少々気を回しすぎていたようだ。やはり学ぶことは尽きぬ。」
その大声がスラーレムに位置を知らせかねないのだが、大声と言う自覚がない以上
ガルドにそれを自粛することはやはり出来ないのだった。

>「上の階まで大体5メートル位でしょ。
> あんたの力なら私を上の階まで投げられると思うの。
> 上の階に私が着いたら、このロープであんたを持ち上げるのよ。
> どう?良い案でしょ」
霊鬼の提案はガルドにとっては目から鱗だった。ガルドは霊鬼の提案を聞くまで
『霊鬼を背負って壁を登る』つもりだったのだから。
「おお、それは妙案。しかし、果たしてそのロープに俺を支えられるか・・・っ!?」
ここに来てようやくガルドはスラーレムの気配らしきものを察した。
既に何度死んだか分からないほど長い間隙を晒していたのだ、危険では済まされない。
咄嗟に握ったままの大剣を構えなおし、スラーレムの出方を見るつもりだったのだが・・・


>目の前の無防備な2人を放置してでも守り抜かねばならない場所。
スラーレムは何故かこちらを放って奥へと引き返していった。
・・・予想が正しければ、奥には今回の事件の原因或いはそれに類するものがある。
しかしガルドの戦士としての勘と騎士としての慎重さがそれを躊躇させた。

>互いに無事を確認したのも束の間、遥か前方からの衝撃波が2人を襲う。
>遺跡はかつてない程に震え、壁や天井の至る所に無数の亀裂が駆け巡った。
突如スラーレムが消えた方向から強烈な威力の衝撃波が迸る。
仮にもう一歩踏み出していればガルドと言えど灰燼に帰す以外の未来はなかった。
それを逃れられた事はラッキーだが、今ので確信してしまった。
この遺跡にはまだ見ぬ強敵がいると言うことを、半分壁に埋まったまま。

ここまで事態が複雑化してしまうと、所詮一騎士に過ぎぬガルドの権限を
余裕で超過してしまう。本来なら脇目も振らず撤退して司令部へ報告に向かうべきなのだが・・・
騎士としての使命感がそれを許してはくれなかった。ここで引き返せばさらに事態が悪化する。
確証はなかったが、何故かガルドはそう確信してもいたのだった。

「霊鬼殿、お主に頼みがある・・・先程の提案どおりお主を
壁の上まで放り投げるからそのまま調査隊を連れて遺跡を脱出、
司令部に救援を要請してくれぬか。俺の名を出せば第10重装騎士団長である
ドルカス大佐は動いてくれる。どうやら・・・悠長に遺跡調査などしている場合では
なくなってしまった様だからの。お主達が脱出するまでの時間は俺が稼ごう。」
霊鬼の実力を疑っているわけではない。むしろ仲間は一人でも多い方がいいに決まっているのだ。
しかしガルドは、この任務に就く時遊撃隊を全員生還させると自分に強く誓った。
その誓いが、ガルドにこう言わせていた。捨て鉢になっているわけではない。
36霊鬼 ◆F/ATTd3VB. :2007/12/14(金) 22:38:36 O
>34>35
ガルドと自分の考えた案について話していると、敵の気配がした。
敵は上の階に残っていたのではなく、この階に落ちてきていたのだった。
霊鬼はロープを隠して、一緒に落ちてきていた金棒を拾い、敵の襲撃に備える。
敵は霊鬼の後ろにいる。
霊鬼が後ろを振り向くと同時に、敵は奥の方に去って行った。
隙を見せていた自分達を襲撃すること無く、奥の方に去って行った敵。
敵は確実に自分達を仕留めることができるように、自分達を罠の方に誘き寄せようとしているのだと、霊鬼は考えていた。
だが、その考えは違っていた。

前方から強烈な衝撃波が放たれる。
自分達が確認した敵の攻撃では無い。
その敵の気配は衝撃波によって、元から何も無かったように消し飛ばされたからだ。
霊鬼はその衝撃波を防御することもできずに吹き飛ばされ、ガルドと共に壁と激突した。

>「霊鬼殿、お主に頼みがある・・・先程の提案どおりお主を
>壁の上まで放り投げるからそのまま調査隊を連れて遺跡を脱出、
>司令部に救援を要請してくれぬか。俺の名を出せば第10重装騎士団長である
>ドルカス大佐は動いてくれる。どうやら・・・悠長に遺跡調査などしている場合では
>なくなってしまった様だからの。お主達が脱出するまでの時間は俺が稼ごう。」
それはガルドを見捨てて逃げろと言うことだ。
いつもの霊鬼なら断って、ガルドと一緒に戦うと言っていただろう。
だが、霊鬼はそう言うことができなかった。
霊鬼は本能的に悟ってしまったのだ。
あの衝撃波を放った者と戦った場合、自分は簡単に殺されてしまうと。
生半可に力を持つ種族に生まれたが為に、本物の強者との力の差を感じてしまったのだ。
霊鬼は今、恐怖している。
霊鬼は目に涙を溜めながら、ガルドの言葉に震えながら頷くだけだった。
37 ◆6Mrl/jPPh. :2007/12/16(日) 20:21:43 O
>>35-36
前方から死の気配が近付く。まるで地獄と繋がってしまったかのような、死しか連想出来ぬ鬼気。
濃厚な死を纏い、その者達は現われた。
禍々しい黒の鎧をカシャリ、カシャリと鳴しながら、悠然と歩く壮年の男。
対照的に純白のドレスに身を包み、優雅に歩く美しい金髪の美女。
2人はガルド達には一瞥も無く、まっすぐに進む。
遂にはガルドの真横を、何事も無かったかのように素通りしたではないか。

『興味が無い』

そう言わんばかりの態度だったが、これは幸運といえるのかもしれない。
“死そのもの”と対峙したにもかかわらず、依然生き長らえているのだから。


その一方で、霊鬼には異変が起きていた。急激に睡魔が襲ってきたのである。
件の眠り病だと気付くのに、時間は大して必要としなかった。
何故こんな時に?疑問は浮かべど答えは出ない。
立ち続ける事すら困難な程に、意識は朦朧となって視界が霞む。
38霊鬼 ◆F/ATTd3VB. :2007/12/18(火) 00:11:20 O
>37
来た。
濃厚な死の臭いを巻き散らす二人。
霊鬼は思う。
本当に地上の生き物なのか?
もしかしたら、噂に聞く魔界にいる上位の悪魔なのではないか?

冷や汗と震えが止まらない。
どうしようもなく恐い。
悪魔のような二人が霊鬼とガルドの隣を通り過ぎていく。
自分達のことを道端の石ころだと言わんばかりに、視線も向けずに通り過ぎていく。

二人が通り過ぎていった後、急に霊鬼に眠気が襲ってきた。
何故、急に眠くなってきたかは分からない。
今にも倒れそうな程眠い。
霊鬼の足下がふらつく。
視界がぼやけてくる。
だが、霊鬼の生存本能が眠るなと叫んだ。
今寝てしまえば確実に死んでしまうと、霊鬼の生存本能が必死に訴えてくる。
それ程、自分達の横を通り過ぎていった二人から発する、死の臭いが濃いのだ。
霊鬼は足下に力を込めて必死に立ち、強靭な生存本能で眠気を吹き飛ばした。
だが、これは生存本能が必死に働いたお陰だ。
次に睡魔が襲ってくれば、霊鬼は耐えることができないかも知れない。
39ガルド ◆zCCyDiTaeI :2007/12/19(水) 21:19:19 0
>36-38
>霊鬼は目に涙を溜めながら、ガルドの言葉に震えながら頷くだけだった。
先程までの快活な表情は消え失せ、霊鬼の顔には恐怖が張り付いている。
辛うじて目尻に溜まった涙は、今にも溢れて止まらなくなりそうなほど。
胸が痛む。もう少し慎重に事を運べば、少なくともこんな表情をさせる事はなかったろう。
沈痛な表情のまま、気の利いたことも言えず・・・霊鬼の頭を撫でてやる事しか出来なかった。
「・・・すまぬ、損な役回りをさせる。後の事は任せたぞ。」


>『興味が無い』

>そう言わんばかりの態度だったが、これは幸運といえるのかもしれない。
>“死そのもの”と対峙したにもかかわらず、依然生き長らえているのだから。
そんなやり取りをしている内に、衝撃波が放たれた方向から二人の人間が現れ・・・
横を通り過ぎていった。その動きには警戒心とか敵意とかそんな物はまったくなく、
かと言って興味・関心を抱いてもいなかった。路傍の石と同じ扱いである。

実力差から言えばそれは当然なのかも知れない。
しかし、それを幸運と受け止めることも、見過ごす事も、ガルドには出来なかった。
騎士としての使命感と、一人の人間としてそこにある『形のある死』を
否定する形容しがたい感情がそうさせるのだ。


>霊鬼の足下がふらつく。
>霊鬼は足下に力を込めて必死に立ち、強靭な生存本能で眠気を吹き飛ばした。
謎の二人組が通り過ぎたとき、霊鬼の体がよろめいた。
強烈な死氣に中てられたのか、或いは・・・それよりもまずい状況なのか。
何とか持ちこたえはしたようだが恐らく次はない。もはや一刻の猶予もなかった。
「・・・霊鬼殿、何とか持ちこたえてくれ。」
そう言うとガルドは霊鬼の体を抱え上げて、即座に上へと投げ上げた。
・・・壁の高さを越えて無事上の階層へと着地できたようだ。もう助ける事は出来ない。
あとは・・・遊撃隊の面々が脱出できることを祈ること、そしてその為の時間を稼ぐことだ。

「待たれぃ、そこを往く者よ。
・・・盗掘とは趣味の悪い。よほど古代の呪いを味わいたいと見える。
だが俺がこの場に居合わせたのが不運よ。さ、その手に持つ箱を渡してもらおう・・・
拒絶すれば、力ずくででも――――お主らとて命は惜しかろう。」
理想は両方ともこの場に釘付けにすることだが、箱を持つ女はともかく
黒色の鎧に身を包んだ男に離脱されて霊鬼を追われるのはまずい。
もっとも、女の持ち方から察するに箱を傷つけたくない様なので男が相手になるだろう・・・。
しかしガルドの人生37年、思い通りに行った事など一度も無かった。
完全に神頼みの領域に入っている状況だ・・・。
40霊鬼 ◆F/ATTd3VB. :2007/12/23(日) 10:07:26 O
>39
私は何をしていたんだっけ?
確か急に眠くなってきたことまでは覚えてる。
……怖い……
あの前から来た人達、私よりも凄く強かった。
あの人達のことを思い出すだけで、心がカチカチになっちゃう……そしたら、急に眠くなってきて。
私が眠るのはダメッ!て必死になって思ったら、ここにいた。
周りを見てみたけど、ここってスライムみたいな敵と戦っていたところじゃない?
だって、後ろを見てみたら大きな穴があったし、あれって私達が落ちちゃった穴だよ。
と言うことは、私が眠くなってた時にガルドに投げてもらったのかも。
私はロープを取り出すと、ロープの片端を自分に結び付けて、もう片方を穴の下に落とした。
あの怖い二人は通り過ぎていったし、ガルドも私を投げたんだから、きっと持ち上げられるのを待ってるんだと思うの。

>「待たれぃ、そこを往く者よ。
>・・・盗掘とは趣味の悪い。よほど古代の呪いを味わいたいと見える。
>だが俺がこの場に居合わせたのが不運よ。さ、その手に持つ箱を渡してもらおう・・・
>拒絶すれば、力ずくででも――――お主らとて命は惜しかろう。」
下からはガルドの声が聞こえてきた。
誰に話し掛けているのかなって、私は少し考えた。
あの階にいたのは私とガルド、それにさっきの二人組……
って、そんなのんびりしている場合じゃないじゃない!

ガルド!あんた何やってんの!
って、私は言おうと思って言えなかった。
やっぱりあの人達は怖い。
声を出そうとしたんだけど、喉の所で止まっちゃった。
穴から顔を出して下を覗くことしか、体が震えている私にはできなかった。
私も強さには自信があったのに……
自信、なくしちゃったな……

41ガルド ◆zCCyDiTaeI :2007/12/26(水) 00:04:07 0
ガルドの拙い目論見は何とも言えない形で御破算になった。
男「そこまで言われちゃ…と言いたいところだがな。
   また今度、お互い暇な時にやろう。」

男は明らかに女…が持っている箱を気にしていた。
女の方は男がそう言うのを見越していたのか表情に変化はない。
そして、女が何事か呟くと二人はその場から姿を消していた・・・。
「・・・転移魔法か。我ながらあからさまな挑発だったが、乗ってこなんだか・・・。
この件がよからぬ事態を引き起こさねばよいのだがな。」
そんな悪い考えを振り切るかのように頭を振る。
さて、壁をよじ登って外に出るかと先ほど霊鬼を放り投げた方を向くと・・・

>40
>私はロープを取り出すと、ロープの片端を自分に結び付けて、もう片方を穴の下に落とした。
なんと、霊鬼は律儀にもロープを垂らしていたではないか!
確か逃げろと言ったはずなのだが・・・聞いていなかったのかそれとも承諾しなかったのか。
どちらにせよ、登る手間を省ける事に変わりはない。ありがたく好意に甘えることにした。

見た目は細い体つきだと言うのに、鉄の塊も同然な自分を支えてびくともしなかったのには驚いた。
てっきりどこかに結び付けておいたのだろうと思っていたから二重の意味で驚いた。
「霊鬼殿、大丈夫かな?・・・さぁ、レフトハンド殿たちと合流しライゼへと帰ろう。」
そう言って、霊鬼に背を向けてしゃがみこみ両手を後ろへ向けた。
姿勢から察するに、おぶされと言うことらしい。調子の悪そうな霊鬼を慮っての事だった。
42霊鬼 ◆F/ATTd3VB. :2007/12/26(水) 03:36:14 O
>41
>男「そこまで言われちゃ…と言いたいところだがな。
>  また今度、お互い暇な時にやろう。」
あの怖い二人組はガルドの挑発にも動じずに、魔法を使ってどこかに行っちゃいました。
あの強い殺気ももう感じないし、この遺跡からは出てっちゃったんだと、私は思う。
正直に言っちゃうと、ガルドがあの二人組に話し掛けた時は、もう死ぬのを覚悟してたの。
でも、生き残ることができて、本当に運が良かったよ。
……残りの人生に使う運を結構消費した気がするけどね。

43霊鬼 ◆F/ATTd3VB. :2007/12/26(水) 03:37:10 O
私が垂らしていたロープにやっとガルドが気付いた。
ガルドがロープを持ったら、私は気合いを入れて足腰を踏ん張らせて、おもいっきり引っ張ったの。
うっ、結構……やっぱり、かなり重い……
下に引きずられるかなと思ったのが何回かあったけど、無事にガルドを上の階に引っ張り上げることができました。
で、ガルドが驚いたような顔をしているんだけど……
これは私の力に驚いたのかな?
これでも鬼の中ではあまり力が無い方なんだけどね。

44霊鬼 ◆F/ATTd3VB. :2007/12/26(水) 03:37:45 O
>「霊鬼殿、大丈夫かな?・・・さぁ、レフトハンド殿たちと合流しライゼへと帰ろう。」
ガルドが私に背を向けてきた。
おんぶをしてくれるみたい。
だから、私はガルドの好意に甘えることにした。

「うー……私はもう駄目だよー。
 ガルドを持ち上げた時にお酒パワーを全部使い果たしちゃったよー」
私はガルドの背中に飛び乗ると、瓢箪を取り出してお酒を飲み始めました。
あー、美味しい。

45ガルド ◆zCCyDiTaeI :2007/12/27(木) 17:04:40 0
>42-44
今更鎧の下の肌着がじっとりと嫌な汗で濡れているのに気づいた。
いくら心で覚悟を決めていても体の方は正直だったと言うことか。
未熟千万、と内心己の修練不足を罵るガルドであった。

>「うー……私はもう駄目だよー。
> ガルドを持ち上げた時にお酒パワーを全部使い果たしちゃったよー」
>私はガルドの背中に飛び乗ると、瓢箪を取り出してお酒を飲み始めました。
「なに、酒?」
確かに後ろから漂ってくる匂いは酒のもの・・・。
実年齢はともかく見かけだけなら完全に未成年である霊鬼が酒を飲んでいる。
並の神経や常識の持ち主なら難色を示したり咎めたりするのだが
あいにくガルドには並の常識はあっても並の神経はなかった。
もちろんガルドは霊鬼の実年齢を知らない。
「酒は人生の友であり百薬の長。
早く帰って飲みたいものだ。お主らと飲む酒は、また格別なのだろうな・・・。
この穴を再び登れば、先ほどの場所に着く。まずはそこまで行こう。」
46霊鬼 ◆F/ATTd3VB. :2007/12/27(木) 19:34:16 O
>45
>「なに、酒?」
>「酒は人生の友であり百薬の長。
>早く帰って飲みたいものだ。お主らと飲む酒は、また格別なのだろうな・・・。
>この穴を再び登れば、先ほどの場所に着く。まずはそこまで行こう。」
私はガルドに言われて上を見上げた。
この部屋の天井には穴なんて無かったのに、何時の間にかできてた。
そういえば、何時の間にかガルドもこの部屋にヌコと一緒に来てたんだよね。
なら、この穴からガルドは来たのかな?
私がスライムみたいなのと戦いに行く直前には、穴もガルドもいなかったし。
ガルドが穴のことを知ってることから考えても、ガルドがこの穴から落ちてきたのは間違いなさそうだね。

「先程の場所がどこかは私には分かんないけど、それしか道は無さそうだよね。
 私はこの遺跡の地図なんて作って無いし、そういう仕事は調査隊の皆に任せちゃったもん」
他の先に行かせた皆のことも心配だけど、私は地図なんて作って無いし、どっちの方に行ったか分かんないし。
でも、ヌコやレフちーがいるから絶対に私は大丈夫だと思ってる。
だから、私達もちゃんとこの遺跡から脱け出すことを考えなくちゃね。
47ガルド ◆zCCyDiTaeI :2007/12/28(金) 20:02:41 0
>46
>「先程の場所がどこかは私には分かんないけど、それしか道は無さそうだよね。
> 私はこの遺跡の地図なんて作って無いし、そういう仕事は調査隊の皆に任せちゃったもん」
「うむ、俺も道はまったく分からぬ。
入ってすぐに落とし穴をぶち抜いてその落とし穴の底を更にぶち抜いて
ここに落ちてきたのでな。他の道があるのかも知れぬが、そんなものを探してうろうろするよりも
穴をよじ登った方が確実だろうて。しっかりつかまっておれ、いささか長いからな・・・。」
オズワルドの一閃で遺跡そのものにガタが出たらしく、ツルツルの壁面にいくつも亀裂が走っており
手をかける場所、足を差し込む場所には事欠かなかった。むしろ重量や負荷に耐え切れないのでは
と思っていたのだが、予想以上に頑丈だったのか運が良かっただけなのか何事もなく登り切って
入り口付近に出ることが出来た。何故分かったかと言うと、向いている方から日の光が差し込んできているのだ。
迷わず外に出ると、そこには先に脱出していたヌコ、レフトハンド、調査隊の面々が。
しかも、最初見たときは何人か寝ていたのに今は全員起きているのだ。

「おお、全員無事か。実によきことよ、はっはっはっは。
・・・さて、もはやこの地に用はあるまい。自力で歩けぬ者は俺が運ぼう。
三人ほどなら何も問題はない。帰ろう、ライゼへ。そして、皆で飲み交わそう。」
48霊鬼 ◆F/ATTd3VB. :2007/12/28(金) 23:26:46 O
ライゼ王国に戻った私達。
眠ったままだった調査隊の人達も、皆が目を覚ました。
後でアゼルから聞いたんだけど、魔の森に住んでる人達も皆が同じ病気になってたんだって。
それで、ある時を境に皆が一斉に目を覚ましたらしいの。
こんな病気って普通は無いよね。
だから、私は何者かが呪いでもかけていたんだと思うの。
でも、結局は何も分からないまま。
眠り病のことも、遺跡のことも、あの怖い人達のことも。

遺跡の調査で起ったことを隊長に話した後、私はそのまま辞表を出した。
理由?
自信を無くしたからなんだ。
私は今までこの世で一番強いのは鬼なんだと思っていた。
でも、違った。
何の種族かは分からなかったけど、あの怖い人達は私の力を遥かに上回っていた。
それで、鬼なのに天狗になっていた私の鼻っぱしらはへし折れたのよ。
それと戦う意思もね。

今後のことは考えてないけど、とりあえずは故郷の鬼の里に帰ろうと思うの。
故郷にはお父さんもお母さんも、里の友達もいることだし、暇にはならないと思う。
里で落ちていて、これからのことが決まったら、また連絡するよ!

じゃあね、皆!
49名無しになりきれ:2007/12/29(土) 01:54:49 O
穴ならここにあるぞ
http://imepita.jp/20071223/471010
50ガルド ◆zCCyDiTaeI :2007/12/29(土) 11:26:32 0
脱出してから一週間後、魔の森のエルフ達に遺跡の事を支障の出ない範囲で
説明しライゼへと帰還したガルドの姿があった。調査隊をライゼへと送り届けてからの
ことなのである意味二度手間ではあったが、調査隊員が目を覚ましたからと言って
エルフもそうだと決め付けられず、これも任務だとドルカス大佐に無理を言って
訪問したのだ。結果的に誓いは果たせたとは言え、今回自分は何の役にも立てなかった。
己の無力さを噛み締めながらライゼに帰ってきた時には霊鬼は里帰りしてしまったらしい。

「・・・酒を飲むのは、帰ってきてからにしよう。」
そう言ってドルカス大佐に帰還報告する為兵舎へと入っていくガルド。
今回の件で、遺跡の再調査にはさらに人員を厳選し周到な準備が必要であると
施政院は判断した。諸々の手続きや人員徴収に時間がかかるため調査再開は
いつになるのか誰にも分からない。

「一番怪しいのは、やはりあの『箱』だ・・・
あれほどの力を持った者、ただの盗掘者ではない。」
無論、『遺跡の箱』の件についてもガルドは報告した。
詳細を報告した結果ドルカス大佐の雷が落ちただけでお咎めは済んだが、
『異様な力を持つ二人組』が『異常現象の源』らしい『遺跡の箱』を持ち去ったと言うのは
由々しき事態であると断じて、ライゼお抱えの諜報・参謀部隊である第14師団の面々まで
駆り出されて情報収集に奔走することになった。

その『異様な力を持った二人組』が、共に『ガストラ十傑衆』の一員である事が判明するのは
また別のお話。天から見下ろす目には、今日も変わらぬ生活が映っていたと言う。

「ウジウジ考え込んでもつい90じゃ、走り込みでもするかの。」
51名無しになりきれ:2007/12/29(土) 16:50:35 0
その後程なくしてガストラ連邦はガストラ帝国となり、大陸全体を巻き込んだ大戦が勃発。
ライゼ王国もいやおうなしに戦渦に巻き込まれることになる。
52名無しになりきれ:2008/01/04(金) 17:23:50 0
おのれ!?
53名無しになりきれ:2008/01/18(金) 14:26:29 0
大戦を終結に導いた英雄キラの名を今はまだ誰も知らない…。
54名無しになりきれ:2008/01/21(月) 20:11:30 O
そして100年後
55ギル中尉 ◆74uNRNZ9eQ :2008/01/26(土) 22:56:48 0
騎士スレとか馬鹿じゃねwwww
時代はSFだぜ時代錯誤野郎ども
56トリップディスクロージャ
霊鬼 ◆F/ATTd3VB.
#アズライ

GM ◆55yz3NcylM
#サバ

ヌコ ◆4hcHBs40RQ
#green

ギル中尉 ◆74uNRNZ9eQ
#6012