遥か遠き異界の大地フェリスラント

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691名無しになりきれ:2008/07/26(土) 09:52:21 0
むしろそのダミーおくれよ。
本人と違って何しても蹴られる心配ないから。
692街の悪ガキ:2008/07/26(土) 15:05:43 0
>>686
忘れた頃に…カンチョ――――――――――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!
693名無しになりきれ:2008/07/27(日) 07:00:59 0
おしりに注意が行ってる間にアリスちゃんのほっぺをむにーっと左右にひっぱってみる
694人造不死者アリシエル ◆Alice7ZQAw :2008/07/27(日) 10:51:05 0
サイゼリアさん(>689)、>687、>690
ぶぅっ!!(思わず飲んでいた白ワインを噴き出しながら)

な……!? なな…なななな何てもの作ってるのよこの人はぁ!?
……てか、そこのあんたもご満悦で触ってんじゃないわぁぁぁぁぁ!!!!

ゲスッ! バキ!! グシャアッ!!!!
(687の脛を蹴り付け、顔面に正拳を入れ、最後は襟を掴んで頭から床に叩き付ける)

うぅ……。変態さんはもうかんべんしてぇぇ……。

金持ちのボンボン(>688)
あーあ、連行されちゃった……。
でも…何よ、あのデレデレした締まりのない顔は……。
結局美人なら誰でもいいって事なの?

はぁ……。

>691
だぁめ♪ そんなのあげない。
代わりにこれ、わたしからのプレゼントだよ♥

ゴメゲシャアッ!!(691の右頬に渾身のストレートがめり込む)

街の悪ガキ(>692)
ぎゃうんっ!?

な……何すんのよ、このエロガキーっ!!
こら待ちなさ…うぅ、痛つつつ……。

油断してたから、まともに入っちゃったよぅ……。

>693
……みぎゃっ!?

ひょ!? ひゃにひゅ……ひひゃいひひゃいひひゃいひひゃい!!
ひゃめひぇひゃめひぇひゃめひぇ……ふぇ、ふぃひひゃひぇんにふぇんひゃあああ!!!!

ゲシィッ!!(693の顎を思いっ切り蹴り上げる)

.。oO(これで勢い余って首落っこちたらどうすんのよっ! もう……。)
件の淫魔との二人きりの夜が明けた頃には、既に日が高く上っていた。
普段の生活からはあまりにもかけ離れた豪奢な宿に、贅を尽くした昼食の数々……。
つい出てしまう普段の癖を、その都度艶然と微笑む淫魔に窘められ、
何となく、以前関わったランダメリアの内乱が収束した後の皇宮での祝賀会で
第一位皇位継承者のリブシェ皇女の面前でマナー違反をやらかし、
連れ合いの少年共々保護者の暗殺者ウルスラに絞られた事を思い出した。

地傷星エリンドゥールの手の者に攫われ、ようやっと戻って来た時には
記憶の全てを失ったかけがえの無い人を想い、人造不死者の少女の表情が自然と曇る。
今…彼女と共に真相を知る事は、生還した彼女の脆くなった心を、次こそ完全に壊してしまうのかも知れない……。
何しろ裏世界の修羅場を幾度も潜って来た歴戦の女の心が、一度は壊されたのだ。
その事実が、彼女の遭遇した真実が恐怖に彩られた物だと容易に想像出来る。
だが…真実に向き合わない限り、彼女がかつての最愛の人のそれには戻らないのだとも少女には思えた。

酔漢や富豪の子息…果ては街の悪戯小僧達と言った様々な珍客の来訪で
ちょっとした騒動に巻き込まれる中、不意に掛けられた声に何事かと振り向く渦中の二人に、
声の主は自分が州長官グラベルの秘書官であり、彼の命で二人を迎えに来た事を告げる。

少女は強張った表情で無言のまま頷き、淫魔はいつもの様に艶然とした笑みを浮かべ、
「ええ、お付き合い致しますわ」とだけ言い、それぞれ同行を承諾する。
秘書官を名乗る中年の男の案内で、官邸の一室に通された二人を迎えたのは
金髪翠眼の常に不機嫌その物の表情を貼り付けた、貴族にしては飾り気の少ない青年と
不死者の少女の連れであった無愛想な街エルフ、機神操者の人造生命の少女……。
そして…人造生命とエルフに挟まれる様に立ち、不安と怯えの入り混じった顔で
二人をじっと見つめる、見る影も無く変わり果てた暗殺者の女だった。

不機嫌な男「……まさか、本当に来るとはな。それも余計な物付きで。」
ピエレット「駄目…グラベル……。隣の人を刺激、しないで……。その、人……は。」
グラベル「俺に指図するな!! 不死渇望症の狂人の人形風情が……!
その程度は奴から漂う気を見れば…誰にでも、嫌でも解る。」
ドナテロ「だが…小娘にも一理はある。下手に機嫌を損ねて街ごと吹き飛ばされては敵わん。
そこの淫魔は例のガーデンの奴だ。奴の同胞は……。」
グラベル「……知っている。焦土星と海王星が不意を突かれて出し抜かれたってな。
俺じゃ逆立ちしようがどうにか出来る相手じゃ無い事も、全て承知の上だ。
だがな…。暴力だけが優れてる奴にヘラヘラすんのは流石に気分が悪い……。」
ドナテロ「規格外に暴れられては敵わんと、引き入れを許した為政者と同じ科白とは思えんな……。」
グラベル「それはそれ、これはこれ、だ。兵力と労働力を無駄遣いしない為の方便に過ぎん。
もし下手打ってこの女がブチ切れたとしても、即ランスクごと逃げれば済むだけだしな。」
ピエレット「ひょっとして、あれ…使う、の……?」
グラベル「そう言う事だ。」

話に着いて行けずにいる二人の方に向き直り、調子を一切崩さぬまま州長官グラベルが話を続ける。
互いの簡潔な自己紹介に始まり、今回ウルスラが記憶を失う景気となった事の顛末を
この場で明らかにしようと言う事になったのは、何故か約束に固執するピエレットの態度が気に食わない、
定期的に開催される闘技会までこの俺自身が退屈だから、何か凌げるネタでも欲しいと言う、実に自分勝手な理由かららしい。

呆れて二の句を告げられない二人の眼前に、少し憂いを帯びた表情を浮かべた人造生命が
淹れたてのコーヒーと砂糖、山羊のミルクを満たした小瓶を置いた……。
697破壊神鳳慈 ◆UF04lfeajU :2008/07/29(火) 17:49:40 0
>>1はロケットに潰されました
698名無しになりきれ:2008/07/29(火) 18:14:19 0
こういう席でコーヒーって…。
それにしてもこの領主、なんか色々とアレっぽいな。
699名無しになりきれ:2008/08/02(土) 16:47:39 0
さて、お姉さまは何してくれるのか…?
700サイゼリア ◆5PlHaVo.g2 :2008/08/02(土) 21:14:13 0
>695,698 ウルスラさんと再会
あらあら、傷ついた小鳥のように小さくなって怯えてしまって…。
抱きしめて慰めて差し上げたいですが、今日のところは大人しくお話を伺いましょう。
あ、ピエレットさん、砂糖は無しで結構ですわよ。ん〜♪ なかなかいい香り。
ピエレットさんはよいお店をご存知のようですわね〜。
(男二人など眼中にないようである。)

>690 調べて作って♪
以前、酒場で女性の常連客さんに化けてアリシエルさんに近づいた時ですわ。
あれだけ触らせてもらえれば、あとは再現するなど容易いこと。

>691 ダミー所望
しかも、おさわりだけで無駄な精力を取り除いてくれるスグレモノですわ♪
でも、あんまり触りすぎるとミイラになってしまうかもしれませんわよ。
まぁ、それはそれでいいかもしれませんが…ウフフ。

701サイゼリア ◆5PlHaVo.g2 :2008/08/02(土) 21:33:43 0
>692 ご無沙汰になったときに
定番になっていても、忘れた頃にすると新鮮味があるものってありますわよね。
これもそのひとつでしょうか? それにしても、アリシエルさん、挿された瞬間にあんなに
飛び跳ねてしまって…可愛いっ♪

>693 ほっぺたむにー
ああ! それはわたくしが最初にやる予定でしたのにーっ! 先を越されましたわ!
わたくしとしたことが、なんていう失態!! 

>699 なにをしてくれるのか
今日のところは、大人しくしていますわよ?
ん〜、このお返事は>695宛てと一緒にしたほうがよかったかしら?
あら、なにか忘れてるような。まぁ、気のせいでしょうね。忘れるということは
別に大したことじゃないはずですし。
702名無しになりきれ:2008/08/03(日) 18:02:54 0
>男二人など眼中にない

やっぱそっちのケがあるんかね、この人は?
703名無しになりきれ:2008/08/03(日) 21:56:51 0
それを言うならアリスもだろ。迫られたからって同性相手に欲情しすぎ。
かわいいから許すけど。
704名無しになりきれ:2008/08/06(水) 16:26:08 0
いつ見てもいぢられてるなアリスw
705人造不死者アリシエル ◆Alice7ZQAw :2008/08/10(日) 10:10:11 0
サイゼリアさん(>700)
.。oO(やっぱり感性変だなぁ、この人。)
.。oO(っていうか、ひょっとして可愛いもの好き!?)
.。oO(まぁ、ご主人様はあれだしなぁ……。)

……どうでもいいですけど、初対面の人にいきなり抱き付いちゃダメでしょ?

.。oO(記憶戻ったら後が怖そう……。)

>698
そうそう、なぁんか気分の悪い人よねぇ……?
何やな事あったのか知らないけどさ、すぐ人に当たるのはちょっと、ね。
まぁ、いろんな意味で正直な人だとは思うんだけど。

>699
ダメ! ダメ!!
お願いだから今は煽らないでよっ!!
大事な話があるんだからっ!!

>702
……だったらちょっとやだな。
でも……リィス君相手だったら一途な恋する乙女って感じもするし、
普段の態度とか考えたら、単にイタズラ好きなだけって思うけど……。

>703
ふぇ!? ちょ……なんで、そうなるのよぅ!?
きれいな人とか、かっこいい人が側にいたらドキドキしたりしないの!?
わたしの場合は、たまたまそう思える人がどういうわけか
女の人ばっかりだったってだけの話で、そのぉ……。

それに、男って今のとこ知り合いはカイト君以外良さげな人がいな……。

……うぅ、やっぱり変…なのかなぁ?

>704
いぢられてないもん…。いぢられてなんかないもん……。
わたし、いぢめられっ子なんかじゃ……ぐすん。
グラベル「……時間が勿体無いな。さっさと始めろよ。」

勧められたコーヒーに砂糖を溶かし、ゆっくりと啜る不死者の少女を横目に、
不機嫌そうな表情のまま、州長官が主用にしつらえた豪奢な中央のソファにどかりと座り込み、
それを合図に街エルフと人造生命の少女が二人の向かい側のソファに腰を下ろし、
記憶を失くして人が変わった暗殺者の女は、不死者の少女の隣におずおずと腰を下ろす。

州長官の傲岸不遜さには不快感を覚えたが、旅仲間二人とまたこうして会えた事、
少し肌寒さを感じる空気の中で出されたコーヒーの温かさに、それと無く安堵感を覚えながらも
隣で不安げな顔をする大切な人を見ると、真相を知る事への恐怖もまた甦って来た。
だが、ここまで来て何もしない訳にはいかないと言う強迫観念めいた義務感と、
僅かながらの好奇心が尻込みする気持ちを無理に押さえ込み、不死者の口を開かせる。

アリシエル「グラベル長官の言う通りだわ。……お願い、お嬢ちゃん。」
ピエレット「……うん、解った。この追憶輝晶に…知りたい事、全部…入ってる、から……。」

そのやり取りを合図に人造生命の少女が何事かを呟き、両の手で追憶輝晶を包み込む様にそっと触れる。
次の瞬間、台座に据えられた魔術的な物では世界で最高峰を誇る性能の映像媒体が眩い白光を放ち
場に居合わせた全員が、瞬く間に膨れ上がる白一色の空間の中に飲み込まれて行く。
視界を覆いつくす一面の白光が収まり、その目に飛び込んで来た光景は……。
灰色一色に塗り潰された壁、部屋中に立ち並ぶ液体で満たされた透明な筒状の容器、
隅に置かれた分厚い書物がぎっしりと詰まった黒い書棚、飾り気の無い鉄製の机と椅子、
そこに並べられた様々な実験器具、滑らかな石の床を点々と染めるドス黒い血痕。
一種異様な雰囲気を醸し出す練成術の実験室と思われる場所に、
手足に枷を嵌められ、蹲ったまま顔だけを上げて殺意に満ちた視線を向ける暗殺者の女と、
その正面に立ち、無表情のまま女を見据える派手なガウンを纏った中年の錬金術師らしき男に、
彼を取り巻く様に立つ、髪の色だけが違うその目に狂気を孕んだ三人の少女、
少し離れた場所で、男と同じく無表情のまま五人を見つめる長い髪の儚げな少女が居た……。

グラベル「こいつは…見覚えあるな。ヴィッテルハイム王宮の練成学地下研究棟か?」
ピエレット「……そう。これ、エリンドゥールの…実験、室。……私達の、生まれた…場所……。」
アリシエル「あれは……エリンドゥール! それに……ウルスラさんっ!!」
ドナテロ「奴が魔天十星神の一角…。地傷星、か……。」

エリンドゥール「実に久方振りだ。あれからもう、六年か……。気分はどうだね、ウルスラ?」

記憶の中の光景をただ見つめる全員を無視するかの様に、錬金術師……地傷星エリンドゥールが口を開く。

ウルスラ「最悪に決まっているだろが、このド腐れ野郎ッ!!」

罵声と共に、それだけで相手を殺せるのではないかと思える程の鋭い眼光が地傷星を射抜く。
しかし…全く動じる事無く、表情一つ変えぬまま地傷星は淡々と話を続ける。

エリンドゥール「子供らが手荒な真似をした様で済まなかったね。
だが……こうでもしないと、君は当分小生の下に来てくれそうには無かったからな。」
ウルスラ「……当然だろ。お前を殺す為にやらなきゃならない事が山ほどあったからさ……!」
エリンドゥール「殺す……? 小生をか? まだ、叶わぬ夢を見ていたのだね。
まあ…良いさ。君には、かつての愛弟子と同郷の誼で少々見て貰いたい物があるし
何より…君からは是非に聞き出さねばならん事もあるのでな……。」

それだけ言い捨てた後、側に控える少女三人に何事か命を下し、地傷星が背を向けて歩き出す。
外卑た笑い声を上げながら少女三人が暗殺者を小突き、引き摺って後に続く。
嘲りの言葉と共に乱暴に廊下を引き立てられ、憎悪と殺意を滾らせながらも、
事の次第を把握した暗殺者の女は冷静に状況を分析し、窮地を脱する手段を模索していた。
武器以外の手持ちの品こそ手付かずではあったが、寝起きを襲われた所為で
普段必ず持ち出している毒物や暗器の類は懐に忍ばせている数個のみ。
しかも、腕が封じられている以上は手に取る事すら不可能……。

だが……足の方は拘束らしい拘束は無く、「歩く」のは勿論「それ以外の動作」も支障無く行えそうだった。
しかも、履いていた愛用の漆黒のブーツの踵にはご丁寧に「自慢の一品」が仕込まれていると来た。
俯いてほくそ笑むと、すぐ前で歩く緑髪の少女に「なあ」と一言声を掛けてみる。
今まで黙ったままだった相手から声が掛かったのが意外だったのか、すぐに反応して振り向く。

次の瞬間、振り返った緑髪の少女の顔面がまるで「斬られた」かの様にざっくりと裂け、鮮血が吹き上がった……!

緑髪の少女「ギイいやアァァァァァあァァ!!!!」

不意に響いたおぞましい悲鳴に、何事かと振り向く主従一同の目に映るは、
顔の右半分を眼球ごと「斬られて」泣き叫ぶ緑髪の娘と、蹴り上げた右足を戻した暗殺者の姿だった。
廊下の照明から放たれる光を受けて、血のこびり付いたブーツの踵が鈍く光る……。

ウルスラ「フン、どうだい……? 自慢のカッターヒールの斬れ味は?
ほぅら…見てみな? そいつ、なかなかイイ顔になったんじゃあないのか?」
金髪の少女「オマえェェェえェェェェ!! エギスに何ヤってんだヨォォォォォォ!!!!」

妹が傷付けられ、逆上した金髪の少女の怒り任せの剛拳が暗殺者を襲う。
しかし…拳が直撃したのは暗殺者の差し出した両の手の、それを縛めた枷だった。
狙い通り、枷は拳を受けて粉々に砕け散る。状況が飲み込めぬまま唖然とする金髪の娘を尻目に、
無事拘束を解いた暗殺者は地傷星主従の間を掻い潜り、灰一色の廊下を全力で走り出した。
……無論、これは逃走では無かった。
だが……拘束を排除したとは言え、今の暗殺者は丸腰も同然のままである。何か得物が無ければ……。

そう思い、練成学地下研究棟内を当ても無く彷徨いながら走る事数分位だろうか……。
ふと立ち止まった場所に「兵器研究室」のプレートを打ち付けた扉があった。
何か閃く物があったのか、迷わず扉の鍵を外し、勢い良く押し開けて中へと入る。

そこには文字通り、ありとあらゆる「兵器」があった。
旧時代文明の遺跡の発掘品である「機械兵器」の戦闘用の部品から人の扱う「武器」まで、
実に多種多様な兵器の宝庫だった。しかも、驚くべき事に全てがレアメタル製である。
豊富な品に目移りせず、目の前の壁に掛けられた白く輝く二本の曲剣を手に、自分が入って来た扉を睨み付ける。
鋭い殺気と共に押し開かれた扉から入って来たのは……例の三姉妹だった。
全員が怒りに満ちた表情で暗殺者を睨み付ける。緑髪の少女の傷は、痕跡すらも無く消えていた。

ウルスラ「やっぱし、な……。お前ら、もしかしなくても……。」
エリンドゥール「そうだ。この娘らはあの失敗作同様、素体形状記憶の数少ない初期実験体でな。」

三人に続き、長い髪の少女を従えて悠々と入って来たエリンドゥールが答えを返す。
最初の襲撃の時点で見当は付いていたが、確証は今改めて聞かされて得られた。
実に厄介極まりない相手ではあるが、未だ不完全であるが故に生じる弱点は既に見抜いている。

怒号と共に踊りかかる少女三人の拳を紙一重でいなし、
先頭の金髪の少女の喉笛を素早く、刃を押し込まず、ただ凪ぐ様に白刃の曲剣で掻き斬る。
頚動脈を横一文字に斬り裂かれ、勢い良く血を噴き出す喉を押さえて蹲る金髪を横目に、
続く緑髪の少女の背後からの一撃を軽く身を沈めて翻し、振り向き様に同じくその喉笛を凪ぎ払う。
同じく左から迫る黒髪の少女の腕による一撃を、上体を後ろに逸らして翻す。
立て続けの、常人の目には留まらぬ手刀の連撃は首と上体だけの動きで悉く交わし、
時折身体を掴もうと腕が伸びれば曲剣の刃と肘の打撃で弾き飛ばし、間合いを突き放す。
そうした攻防の繰り返しの末に、苛立った黒髪が両腕を大きく広げて掴みかかってきた所で
黒髪の顔面に刃仕込みの蹴りを放って怯ませ、両の刃で喉笛を斬り裂く。
自らの生んだ血の海に蹲り、或いは転がりのたうち回る三人を冷ややかに見つめ、
暗殺者はそちらに向けて手をかざし、一つの術式を発動する。

ウルスラ「少し大人しくしてな、ガキ共。連・環・鉄・鎖……ブラッディ・ブロッケイド。」

術式の完成と同時に、少女達の喉から流れ出る血と
身体にこびり付いた血が、赤黒く光る頑丈な鉄鎖と化して三人を縛める。
血の勢いが衰え、ようやく首の傷を塞いだ三人は放せ外せと罵声を浴びせながら、
力を込めて縛めを粉砕しようと試みているが、大量の血液を一瞬にして失い、
急激に体力を消耗してしまっている彼女らの力ではびくともしない。

エリンドゥール「……ほう。中々やる物だな、ウルスラ。」
ウルスラ「同じ相手に二度もあんな不覚は取りゃしないさ。
あと、解っちゃいるとは思うけどな…次はお前の番だよ、エリンドゥール……!!」
710名無しになりきれ:2008/08/12(火) 19:14:53 0
そこで返り討ちにあうんですね、わかります。
711名無しになりきれ:2008/08/13(水) 13:12:16 0
あの兵器研究室には俺が開発した「ブレード腕”蟷螂婆さん”」
があったはずなのに、なんで姐さん使ってくれなかったの?
ショックだよ。コーヒーがぶ飲みしちゃるよ。
712サイゼリア ◆5PlHaVo.g2 :2008/08/17(日) 07:24:02 0
>705 アリシエルさん 
可愛いものだけといわず、興味のあるものなら、老若男女・種族・生死、実在の有無
すらも問いませんわよ。
それにしても、三色娘のみなさん、やられっぱなしじゃないですか。
ウルスラさんって暗殺者なのに、寝込み襲われると脆いんですのね。
もしかすると、低血圧?

>702 そっちのケ
リィスとわたくし、お互いに、相手をひとりに定められないで
ここまで来ました。節操がない、と言えばそうですが、でも、
せめて、二人っきりのときには他の誰かではダメな部分を
埋めていただきますわ。わたくしが女好き? いいえ、正直、リィス様に寄ってくる
浮遊女とか蛇女とかは1000年ぐらいどこかに行っていてほしいですわ。

>703 それを言うなら
そうですわね。記憶を失ったウルスラさんに裸で抱きつかれたり
したこともあったらしいですけど、そのときはどういう反応を
されたのでしょうか?

>704 いつ見ても
さすが看板娘ですわね。ちょっと妬けてしまうくらいですわ。
でも、さすがに、こういうシリアスな場面ですと、少しは攻撃(?)の手も
休まるみたいですが。

>710 わかります
そうなるでしょうが、もう少し見ていて見ませんか?
それにしても、彼女、無謀という言葉を知っているのでしょうか。あ、でも、この場合、
逃走するより、決死の一撃に賭けたほうがいいのかもしれませんわね。

>711 コーヒーがぶ飲み
そんなお行儀の悪いことをしてはいけません。あなたの持つコーヒーを
「ねっとり喉に絡みつく黒い睡眠薬」にすり替えておきました。さあ、夢の中へ…。
サイゼリア(>712)
グラベル「命まで賭けちまってる奴に、何言おうが意味ねえよ。」
ピエレット「どの道、逃げられないもの……。エリンドゥールは…そこまで…甘く、無い……。」

>710
ピエレット「まだ……先が、ある。黙って…見て、て……。」
グラベル「さて、あの狂人はどこまで手の内を晒してくれんのかね……?」

>711
グラベル「で、お前の得物のそいつは確か……。」
ピエレット「うん……。ガルナ碧晶製の、白兵戦用の…大剣型…腕部ユニット。
蟷螂老婆(プレディカドール・アブエリータ)って、言う…の。アルテ…ヴィートの、試作型兵器……。」
グラベル「あれ、お前の部隊のお抱え技師エンリコが造っていたブツだったのかよ。」
ピエレット「重力制御も…施してるから、重さ…感じない。だから、私も…使える……。」
ドナテロ「蟷螂の腕を模した剣か……。成程、これは残酷極まりない仕様だな。」
グラベル「如何に効率良く傷を拡げるかを追及した一品だからな。
フランベルグ同様のエゲつない代物だ。同類すら貪り食う、業の深い雌蟷螂まんまのな……。」
ピエレット「でも……何で、彼…ウルスラが使わなかった事……あんなに、落胆した…の?」
グラベル「自信作だったから、敵でも注目するとか勘違いしてやがっただけだろ。」
ピエレット「……?」
エリンドゥール「無知と思い上がりは、甚だ恐ろしき物よな……。
小生が何を探求して来たのか、そして…何故に王国に十星神として迎え入れられたか、
十数年の歳月を共にしながら、何一つ学びはしなかったのかね?」
ウルスラ「……逆さ。知ったからこそ殺さなきゃならないんだ、お前を。
何も知らずに貪欲に知識だけ吸い上げ、成果だけ追及し続けて来たあたしの目を覚まさせてくれたのは、
お前が初めてあたしと共に不死生命創造の実験台にした、あの子の犠牲だった。」
エリンドゥール「下らぬ憐憫に囚われ、何れは得られるであろう永遠の紡ぎ手の栄誉を捨てるか。」
ウルスラ「お前が…世界に散らばる禁呪の大半をその掌に収めたのはもう知ってる。
だけどな……。お前の手札は、その数々の禁呪と十数年の成果で強化した肉体だけだろ?
それだけなら…たったそれだけなら、あたしにだって勝算はある!」
エリンドゥール「そう思うならば付き合ってやろう。存分に…試してみるのだな。」

暗殺者が二本の曲刃を構え、地傷星は空間の亀裂から取り出した、大型の爪を取り付けた籠手を嵌める。
数秒の沈黙……。先に破ったのは暗殺者だった。猛然と地傷星の首を目掛けて跳びかかる。
白刃が喉笛を抉ろうとしたその瞬間…素早く差し出された右の大爪が唸りを上げて迫る刃を弾き飛ばし、
続け様に繰り出される左の大爪が脇腹目掛けて突き進み、僅かに身を捩って暗殺者はその一撃を翻す。
その直後に後方へ飛んだ暗殺者目掛け、地傷星の手から離れた大爪の籠手がまるで意思を持つ生命の如く襲い掛かる。
変幻自在とでも言うべき動きに翻弄されながらも、四方八方から繰り返し襲い来る大爪の一撃を
幾度も刃を軌道に沿って構え、時には大爪に叩き付けて弾き飛ばし、連撃を凌ぎながら距離を詰めていく。
ようやく懐に飛び込み、狙い澄ました一撃が心臓を刺し貫かんとしたその時…地傷星の姿が不意に掻き消えた。
手応えの無さに舌打ちした次の瞬間、上空に魔力の波動を感知すると同時に毒性の霧が暗殺者を包み込む。

ウルスラ「ぐ、ごほお……ッ!? な…ナメるなあッ!! 浄・気・清・華……ピューリファイ・エア!!」

咄嗟に大気変性の術式を発動し、毒性の大気を消し去った暗殺者の眼前に地傷星が優雅に降り立つ。
それと同時に、既に組み立てられていた転移の術式が発動し、光り輝く六芒法陣から数体の異形が姿を現す。
蟲の翅と山羊の様な角を具えた少女の姿の邪精「ファル・ファデ」と、左が蒼、右が紅に彩られた双頭の巨大な狼
規格外魔獣と名高き氷炎魔獣「バム・ル・ブリス」が、地傷星の前を固める様に並び立つ。

ウルスラ「くう……ッ! お前ぇッ!!」
エリンドゥール「……息が上がっているぞ。もう、終わりか?」

……予想以上だった。術式の素早い組み立ては言うまでも無く、体術ですら場馴れした拳士はおろか、
世界でも有数の「闘聖」と称される者すら優に上回るのではないかと思える域に達している。

ウルスラ(こうなったら、仕方無いね。こんなに早い内にアレを使う破目になるのは癪だけど……!)
暗殺者がゆっくりと立ち上がり、直立したまま曲剣を持つ手を交差させ、目を閉じて何事か呟く。
邪精と氷炎魔獣を従え、悠然と見守る地傷星の眼前で暗殺者の身体強化術式が完成し、その身体を紫紺の燐光が包み込む。

ウルスラ「瞬・兇・疾・駆……ザックス・スピード。」

身体を覆った燐光が消えると同時に猛然と暗殺者が駆け出し、秒単位すら経過せぬ内にその姿が視界から消える。
直後に吹き抜ける一陣の風を半身を逸らして翻した地傷星の前に居た邪精二体が瞬時に斬り刻まれ、血塗れの肉塊と化して飛散する。

ウルスラ「ち……外したか! だけど、いつまでもそうやって避けられると思うんじゃないよ!!」

地傷星の周囲を縦横無尽に駆け巡る漆黒の暴風の中から、暗殺者の怒号が響く。
事実…音速の領域に達したその凄まじい速度の斬撃に、さしもの地傷星も軌道を読んで避けるのが精一杯の様だった。
邪精の群れが光弾と風刃、毒を含んだ水塊を一斉に乱れ撃ち、氷炎魔獣三匹が劫火と吹雪を吐きつけるが、
その全てが空しく壁や調度品を穿ち、砕き、敢え無く刃の嵐に飲まれ、風の一吹き毎に無残な肉塊が生まれるのみ。
少し時間が経ち、邪精が全滅した頃に地傷星がある事に気付いた。暗殺者の斬撃の軌道が、自分を中心に渦状に廻っている事に。
そして……その軌道が旋回する毎に僅かずつ、着実に狭まりつつある事に。

エリンドゥール「……大した物だよ、君は。見事にこの小生を追い込むとはね。」
ウルスラ「そうさ。お前はもう、どう転んでも逃げられやしない。勿論…お前ご自慢の禁呪どころか、
その場凌ぎの術式一つも、練り上げるヒマを与えてなんかやりゃあするもんか! これこそがあたしの秘中の秘!!
お前を葬る為だけに完成させた殺しの業……罪業鏖斬禍(クリミナル・ヴォーテックス)だッ!!!!」

絶叫……。そして更に渦が狭まり、氷炎魔獣が一体、悲鳴を上げる間も無く輪斬りにされて絶命する。
地傷星の位置を中心に形成される漆黒の渦が、音速斬撃の余波が、暴風と化してもう一体の氷炎魔獣を宙に浮かばせる。
呑まれてもがく氷炎魔獣の前肢が寸刻みで切断され、続く斬撃がその顔面を微塵に斬り潰す。
しかし、渦に飲まれて体勢を崩す事も無く、ただ的確に見切って避け続ける地傷星を目の当たりにし、暗殺者に焦りの色が浮かび始めた。
速度強化の効果が切れる時間が迫り、常人を遥かに超えた動作に肉体が悲鳴を上げ始めてもいる。
決着を急ぐべく更に速度を上げた事で、渦が急激に勢いを増す。最後の氷炎魔獣が飲まれ、原形を留めぬまでに引き裂かれた。

ウルスラ「もう楯になるお供はいない。終わらせてやるよ、何もかも……。死ね、エリンドゥール!!」

成す術も無く事を見守る三姉妹と長髪の少女は、全員が一様に主にして父でもある男の最期を予感した。
だが…避けるだけであった凄まじい速度で迫る殺意に向けて大爪を構え、地傷星が跳んだ。
そして、次の瞬間……不意に無数の銀光が閃き、漆黒の渦を引き裂く。直後に渦から飛び出した地傷星が床に降り立つ。
唐突に渦が止み、躍り掛かろうとしたままの姿勢で中空に固まる暗殺者の手にした曲剣の刃が、音を立てて砕け散った。
状況を把握出来ず、驚愕に満ちた表情のままぐらりと姿勢を崩し、浮力を失った暗殺者は成す術も無く墜落する。

エリンドゥール「実戦では初だが…案外上手く行く物だな。小生の銀豹惨裂爪(パンサー・クルアリティクロウ)、如何だったかね……?」

この瞬間、暗殺者は全てを悟ってしまった。地傷星は最初から「差」を知った上で遊んでいたのだと。
強化術式の凄まじい負荷がもたらした全身の苦痛と、経験に裏打ちされた自信を完膚無きまでに破壊された衝撃……。
何より仇に成す術も無く蹂躙される悔しさが暗殺者の心を挫き、その瞳から涙の雫を止めど無く溢れさせた。
716名無しになりきれ:2008/08/17(日) 13:18:21 0
うわ、やっぱボロ負けか。姐さん無茶すんな…。
717名無しになりきれ:2008/08/19(火) 21:12:18 0
お約束どおり着てるモンもボロボロ。姐さんテラエロス(;´Д`)ハァハァ
718サイゼリア ◆5PlHaVo.g2 :2008/08/22(金) 09:32:48 0
>713 ピエレットさん他1名
んー…(映像に見入っている)
どきどき(映像に見入っている)
目が疲れますわ…(ダルそうに映像を見ている)
あ! ちょっと、ごめんなさいませ、今、何が起きましたの!?(最期のシーンを見逃した)
えーと、ここをこうすると…あ、戻りましたわ(映像の時系列を遡らせる)
………戻し過ぎましたわ、えーっと、わかりました、おとなしくしてますわ…。
(操作方法がわからないのでピエレットに装置を任せて小さくなる)

(映像を>715の最後まで見た後)
この映像を作ったの誰ですの? 視点だとかいろいろと「狙ってる」ように思えるのですが…。
まるで、「エリンドゥールに歯向かった者はこうなる」と言わんばかりに、ウルスラさん
の弄ばれっぷりが描かれていますわね。アリシエルさん、泣かないでくださいね。
本当に酷いのはこれからですから。

>716 ボロ負け
不死身の男に傷一つ付けられないのですから、周りのゴミモンスターを何匹潰して
も見るものを楽しませるだけの演出に過ぎないように思えてしまいますわね。
「善戦した」「一矢報いた」と言える戦いならば、負けた側にも挑んだ意味がおありでしょうが、
これでは、「必死に戦った」と言うのが限界ですわね。これなら、いっそ、
為すすべなく大魔法で木っ端微塵にされた方が楽だったでしょうに…。

>717 エロス
これからもっとエロスなことになるでしょうね。それは、もう、人格崩壊するぐらいに…。
完敗の屈辱くらいでこんなになってしまうウルスラさんではないでしょうし…。
でも、横で泣きながら見ている方が走って出て行ってしまわないか、それも心配ですわね。
719名無しになりきれ:2008/08/25(月) 14:03:26 0
んでも錬金術の研究しながらどうやって格闘技を達人レベルまで鍛えられるんだ?
普通はどう考えても両立なんか無理だろ。
720名無しになりきれ:2008/08/27(水) 11:12:11 0
>いっそ為すすべなく大魔法で木っ端微塵にされた方が楽

無理なんじゃね?そういう危ないのは室内で使えそうにない気がするから。
記憶の光景の暗殺者は、見るも無残な姿で床に突っ伏していた。
彼女が手にしたレアメタルの…恐らくは世界最硬の強度を誇るユグ真銀の曲剣は粉々に砕け散り、
纏っていた黒一色の衣装も、余す所無く切り裂かれている。
それでいて、その白い柔肌には斬り傷一つ無い事実が、否応にも相手の技量を窺わせていた。

喜劇とすら言える「予定調和の逆転劇」を目の当たりにし、人造不死者の少女は場を憚らず泣き叫び、
記憶を無くした暗殺者は時折声にならぬ悲鳴を上げ、かつての己の姿を…仇に向ける
殺意と憎悪に満たされた凄まじい形相と彼女自身が見せ付けた殺しの業に、そして…それすらも上回る仇に恐れおののき、
少女に付き添って来た淫魔は、余りの一方的な展開に呆れた様に溜息をつく。

ピエレット「……違う。そうとは…言い切れ、無い……。」

後に続く「一思いに」の言葉を遮る様に、長髪の人造生命の少女が口を挟む。
即座に全員の視線を浴びる少女の弁に依れば、術式の組み立てを完全に封じられていたのは紛れも無い事実であり、
禁呪に数えられる魔術は発動までの時間もさる事ながら、ほぼ全てが広範囲破壊の用途ばかりで
密閉空間では一端術者の周囲に隔離空間を展開し、被害を最小限に抑えた上での行使が求められるが故、
その隙すら与えられなかった彼は、もう一つの規格外の要素と言える体術の手札が無ければ
敗れはせずとも、ここまで一方的な形の逆転は事実上不可能であった…との事らしい。

その説明に頷きながらも、数人の頭の中にもう一つの疑問が浮かぶ。
肉体的な鍛錬とは一切無縁の筈の地傷星が、あの様な「闘聖」すらも顔負けの武術を事も無げに披露し、
強化術式まで施した手練の暗殺者の最終奥義さえ、いとも簡単に打ち破って見せられたのか。

その答えを語るのかの様に、記憶の中の光景に変化が訪れる……。
全身を苦痛と敗北の屈辱に苛まれながらも床に這い蹲る姿勢から顔だけ上げ、暗殺者が地傷星主従を睨み据える。
彼女が心血を注いで完成させた最終奥義を、唯の一度で切り裂いたあの乱撃には見覚えがあった。
あれは同じA級に数えられる、中央大陸でも名の知れた腕利きの冒険者「銀の雌豹」シルザ=オーランドの奥義……。
実際に彼女と組んで異形の討伐依頼もこなした事のある自分だからこそ、見間違える筈も無い。
何故、それを無表情のまま自分を見下ろすこの男が会得しているのか。それも、本家を上回る威力で。
脳裏に浮かぶ疑問を口にしようとしたその時、地傷星が口を開いた。

エリンドゥール「よもや、忘れた訳では無かろう。器が充分ならば、後必要になるのは記憶だけだと。」
ウルスラ「……ッ! まさか…お前、まさかッ!?」
エリンドゥール「そうだ。彼女の両腕の腱を頂戴したのだよ。その身に刻まれた死闘の記憶の染み付いた、な……。」
ウルスラ「やっぱりそうか……。この、薄汚い泥棒が!!」

右腕を左手の指先で触れながら語る男に露骨な侮蔑の言葉を叩き付けながらも、同時に内心ではその事実に慄然としていた。
暗殺者自身は、相手の流した血液に触れる事で記憶と知識を断片的に読み取る事の出来る外法の魔術を会得しているが
それをも上回る、肉体のどの部位からでも記憶を奪い我が物とする地傷星独自の外法魔術が既に完成していた事を知らされたが故に。
あらゆる努力を無に帰しかねない禁断の叡智を前に、暗殺者は全身から力と言う力全てが抜け落ちるかの様な錯覚を覚える。

エリンドゥール「何時に無く良い貌だな、ウルスラ。先程までの形相が、まるで何かの冗談の様だ。
……では、こちらに来たまえ。君にも…いや、君にこそ見て貰いたい物があるのだよ。」

生気が抜けた様にへたり込む暗殺者を満足げに一瞥し、地傷星は少女達に何事か命を下すと、再び背を向けて歩き出した。
723名無しになりきれ:2008/09/03(水) 00:12:05 0
>718
ゴミとまで言うからには、姐さんにもそいつら瞬殺できんの?どうやって?
724サイゼリア ◆5PlHaVo.g2 :2008/09/04(木) 19:35:36 0
>721,719 腱を頂戴したのだよ
そう言えば、どこかの国の后が、新しく入ってきた娘(姫)に
嫉妬して、その姫の美貌を手に入れるべく、髪を盗んで自分の頭にうえたところ、
拒絶反応を起こして、頭が荒野になった、なんて話を聞きましたわね。
素人がこういうことを真似してはいけませんよ、ということですわ。

天才だから、錬金術を研究しながら格闘技も闘聖クラスにまでなりました。
ということだと思いましたけれど、体ごと奪ってきました、という方が彼らしいですわね。

>720 禁呪、大魔法
予め、
>禁呪に数えられる魔術は発動までの時間もさる事ながら、ほぼ全てが広範囲破壊の用途ばかりで
>密閉空間では一端術者の周囲に隔離空間を展開し
あたりを完成させておいて、捕虜が暴れた場合は瞬時に発動できる用意、など
を、わたくしは想像したのですが…。まぁ、でも、この場合は素手で敗北させることに意味があった
のでしょうが…。

>723 愚問
そういうことを女性に聞くものではありませんわよ? そうですわね、今回は
特別に答えてあげますわ。ウフフ、殺す必要なんてありませんのよ、あんなの。
わたくしの存在を知覚しただけで逃げ出すか、そうでもなければ、子を差し出してでも
命乞いをするでしょう。「戦」に赴くときのわたくしがどういった気を発しているのか、
今度の出兵の時にでも体感させて差し上げますわ。はい、ここに血判を押してくださいな。
ウフフ、契約しましたわよ…。
725名無しになりきれ:2008/09/07(日) 18:08:43 0
姐さん何気に怖ぇな・・・
726名無しになりきれ:2008/09/11(木) 19:59:52 0
意識や感情の無い相手にゃ通用しなさそうだけど
灰一色の殺風景な回廊を無言のまま悠然と歩く地傷星の後を、
虚ろな視線をその背に向ける暗殺者に、その脇を固め、肩を貸すかの様にその身体を支えながら引き摺る
緑髪と黒髪の少女達と、少し遅れ、二人に良く似た金髪の少女に一際長い髪の少女が続く。
全員傷らしい傷は無かったが、三人の髪色だけが違う少女の衣服は血で赤黒く染まり、
暗殺者の衣装は満遍なく切り裂かれ、辛うじて身体の各所に貼り付いていると言った有様で、
見る者が見れば、先刻まで命のやり取りを行った痕跡が窺えた。

永遠にも思えた長い時間を歩き続け、ようやく先頭を歩く地傷星の足が止まる。
四大精霊を模った印章で封印された扉に、懐に忍ばせていた右半分が黄金、左半分が漆黒で彩られたメダリオンをかざし、
扉の印章が淡い光を放ちだしてすぐ、開いた右手に僅かな力を込め、扉をそのまま押し開く。
何の抵抗も無く押し開かれた扉の先の光景が、全員の視界に飛び込む……。

その部屋は…回廊と同じく灰一色の床を除き、全てが深い闇に塗り潰されていた。
広大な空間には様々な色に明滅する円形の法陣が床に描かれ、その中心にそそり立つ呪印の刻まれた柱に
両の手は後ろで、足は前で交差する形のまま、一人の女が磔られていた。
入って来た気配を察知すると共に、大海を思わせる緩やかに波打つ紺碧の髪を振り乱し、
怒りと恐怖を湛えた鳶色の瞳で睨み据え、裂けんばかりに口を開いて何事かを絶叫しようとはするが、
何らかの封印術式が働いているのか、磔られた女の口が声を発する事は無い。
その姿を満足気に見やりながら、暴れる女に向けて地傷星が無造作にただ一言言い放つ。

エリンドゥール「……時は来た。これより、貴女を地の軛から解き放って差し上げよう。その生と引き換えにな……。
地祇八相公(ちぎはっしょうこう)の筆頭にして雷霆の美姫、応元雷声(おうがんらいせい)ディアリ殿。」
ウルスラ「八相公……? 応元…雷声だって……!?」

地傷星の口から出たその名を聞き、暗殺者は驚愕の余り目を見開いた。
封印に囚われているとは言え、無意識の内に放射される魔力の質が、女が只の人間で無い事を暗に物語ってはいたが、
よもやその範疇では最低位であれ、地界の事象を司る神であろうとは思い至らなかったが故に。
不変ではあるが不死性は持たず、その実力も天界と獄界に君臨する最高位の神族、魔族には数段劣る物の、
地界で生を受けた者では、決して抗えない差を持つ存在である筈だったからだ。
戸惑う暗殺者を他所に、地傷星は無言のまま法陣の中心に磔られた応元雷声に向かい、ゆっくりと歩み寄る。

……と、突如無数の蒼い雷光が一面に迸った。強靭な結界に弾かれ、法陣の外にまで届く事は無かったが
まともにその雷光を浴びた地傷星の左腕は肘から先が吹き飛び、断面から黒煙が立ち昇る。
苦痛に表情を僅かに歪めながらも、口元には凄惨な笑みを浮かべ、終始無言のままで更に歩を進める。
互いに触れ合う程の距離に到達した所で、地傷星は残された右手で恐怖に歪む応元雷声の顔を掴み、締め上げる。

エリンドゥール「人に近しき神の叡智をこの手に……。死面追憶…デスマスク・フォー・ユー。」

魔力の篭った右手が、磔られた女神の顔面を力任せに剥ぎ取る。と同時に、声無き絶叫が室内の空気を揺るがした。
それには構わず、剥ぎ取った皮膚を己の顔面に押し当てた次の瞬間……まるで地傷星の顔に溶け込むかの如く同化し、消えていく。
続いて、筋繊維と眼球が剥き出しになった無残な姿で叫び、のた打ち回る女神に向けて再び右腕が差し出される。

エリンドゥール「貴女の記憶は、小生が全て受け継いだ。迷う事無く輪廻の流れにその身を委ねるがいい。
同胞も首を長くして待っていよう。では、さらばだ。定・位・崩・壊……ロケイション・コラップス。」

詠唱が終わり、術式が完成したその直後に、女神の身体がまるで砂の人形の様にゆっくりと崩れ始める。
女神の肉体を構成する分子の結合が魔力で揺さぶられ、振動に耐え切れず自己分離を始め、それが崩壊を招いていた。
数瞬後に女神の肉体は霧散し、その場より飛び出した蒼い電光を纏う球体も、中空に溶け込む様に消えた。

全てを見届けた後にこちらを振り返り、血飛沫をへばり付かせたまま厭らしく口元を歪めた地傷星の笑みが暗殺者の視界に飛び込む。

唐突に、今まで聞いた事も無い様な甲高い女の悲鳴が闇に押し包まれた封印牢に響く。圧倒的な恐怖に押し包まれ、
薄れ行く意識の中で、その悲鳴が他ならぬ自分の口から出た物だと暗殺者が気付く事は無かった……。
アリシエル「ねえ……お嬢ちゃん。ウルスラさん、大丈夫なの……!?」
ピエレット「解らない……。でも…あの怯え方…単純に、規格外の衝突を目の当たりにした…それだけへの、恐怖じゃ…ない……。
逃れたくて、守りたくて、消した辛いモノを呼び起こされた事への、恐怖と嫌悪……。あの顔は…そんな、顔……。」
アリシエル「……じゃあ、記憶が戻ったの!? 思い出してくれたの!? ねえ、どうなのっ!!」
ピエレット「……かも、知れない。でも…もし、そうなら…また、壊れる…かも。」
アリシエル「う、そ……。そんな……っ!」

サイゼリアさん(>724)
アリシエル「待って待って! どさくさに紛れて何してるんですかっ!?」
ピエレット「駄目…! そんな事したら、廃人に…なっちゃう……!」

>723、>725
ピエレット「出来る…間違い無く。そうでなければ…根源からの恐怖、呼び起こせない……。」
アリシエル「……よねぇ。だって、あの渡り飛龍の時なんか怖くて近寄れなかったもん。」
ピエレット「でも……普段からあの人の事、怖がってる様に、見えるの…気のせい?」
アリシエル「う……そうかも。」

>726
アリシエル「そりゃあ、そうでしょ……。人形や石像、死体に凄んでも反応ないよね? つまりはそういう事。」
ピエレット「うん……。自分の意思が無いから、何も感じない……。だから、訴えかけても…駄目。」
730名無しになりきれ:2008/09/15(月) 21:35:40 0
まあ、何はともあれ元のメンバーは揃ったんだな。
それはそうと、姐さんそろそろ仕事の方戻らないとヤバいんでないの?
731名無しになりきれ:2008/09/17(水) 02:19:02 0
重苦しい話も済んだ事だし、そろそろアリスちゃんをいぢる流れに戻りたい(;´Д`)ハァハァ
732サイゼリア ◆5PlHaVo.g2 :2008/09/19(金) 21:33:42 0
>725 怖がり
あらあら、そんなに怯えないでくださいな。
(ガリッ! ガリッ! >725 の腕に爪で血の刻印を施していく。
いつもとは違い、痛みしか与えない)

>726 感情や意識のない相手
わたくしでは、無理ですけれど、近づくだけで、
草木が「自殺」し、岩が自ら砂になるような気を発することのできる方を何人か知っていますわ。
この世に存在するものには、意識はなくても「意味」や「価値」のようなものがありまして、
それらを自分から放棄したくなるほどの恐怖を与えることができるらしいんですのよ?

>729 アリシエルさん >730 >731
どうやら、タイムリミットみたいですわね。これ以上は、契約にかかわってまいりますから、
それでは、みなさん、御機嫌よう〜♪
(壁に魔方陣を描いてその中に向かって歩いていく。呼び止める声を聞きながら、
 サイゼリアは消えていった…。)


……かぷっ、(アリシエルの耳を甘噛みしてから)
ドナテロ「……奴の具合はどうなのだ?」
アリシエル「落ち着いたみたい……。今は、疲れて眠ってるわ。」
ドナテロ「俺が聞いたのはその事では無い。……奴の記憶だ。
戻るか戻らぬかで、この先どうすべきか考えねばならんのでな。」
アリシエル「……記憶は、戻ってると思うよ。だって……。
昔の事思い出して、自分をずっと責めてたもん。」
ドナテロ「……フン。ならば、まだ使い道はあるか。潰れねばの話だが。
奴が目を覚ましたら言っておけ。その気があるなら次の稼ぎ場に付き合え、と。」
アリシエル「う……うん、わかった。」

サイゼリアさん(>732)
アリシエル「あ……。もう行っちゃうんですか?
それじゃ、リィス君にもよろし……ひゃぁんっ!?
な……なな、何するのよぅぅ! ん、もうっ!!」
ドナテロ「……。」

>730
ピエレット「ルディック、いないの…忘れてる……。」
アリシエル「そうそう。ルージとはイルクーダで別れたっきり……って、何でお嬢ちゃんがいるの?」
ピエレット「ただの、お見送り……。だから、気に…しない、で……。」

>731
アリシエル「いぢるって何よぉぉぉぉう!?
……って言うか、息荒くしながらこっち見るなぁぁぁぁぁ!!!!」
ピエレット「アリシエル……好かれてる、の?」
ドナテロ「主に…変態的趣向の性癖を持つ輩には、だと思うがな。」
アリシエル「いいから、見てないで助けてよぅぅ……。」
734名無しになりきれ:2008/09/20(土) 15:25:33 0
そろそろ終わりが近いけど、どうする?
735名無しになりきれ:2008/09/21(日) 16:56:37 0
本当だ。もう残り少ないな。
736名無しになりきれ:2008/09/22(月) 03:58:41 0
いつもお財布がさみしいアリスちゃんに相応しいテーマ曲じゃね、コレ?w
ttp://jp.youtube.com/watch?v=6QTwmsyTiic&feature=related
737二足歩行のでかいワニ:2008/09/22(月) 08:58:08 0
ひさしぶり〜、あんときはスマンカッタっす。
許せクルピラ野郎。(アリシエルの頭を加えてもちあげる。)
738人造不死者アリシエル ◆Alice7ZQAw :2008/09/23(火) 08:51:50 0
>734-735
あ、ほんとだ。それに…もうそろそろ一年に経つのね。
出来ればもう少しだけ、みんなといろいろしたかったんだけど……。

ウルスラさんも復帰して次の仕事のメドもついたから忙しくなりそうだし、
これからはあんまり頻繁に顔出せそうになくなっちゃったのよね。

だから…一旦、ここでお開きにしようかって思うの。
いつかどこかで、また会えるといいねっ!

>736
……なにこの頭がさびしい、真っ赤なスカーフのおじさんは?
しかも、さっきから「失業保険」とか「バーゲンセール」とか耳慣れない単語ばっかし出てるよね……。

あのねぇ…。確かに、このおじさんの事は何だか他人事な気はしないんだけどぉ……。
わたし……借金で首が回らないって程はお金に困ってませんからっ!!

二足歩行のでかいワニ(>737)
あの…? え、と…どちら様……?
わたしは女の子なんだから「野郎」はちょっと……ねえ。
それに、「クルピラ」って何なのよ「クルピラ」って。
よくわかんないけど、それ絶対人違い……。

……って、巨大なワニぃぃぃぃぃっ!? しかも、背後で大口開けてるぅぅぅぅぅぅ!?
やだ…ちょっと待ってそんな事されたら首が取れ……どころか、
思いっ切しお口の中へまっ逆さまになるってばぁぁぁ!!

なんで最後までこんな調子なのよぉぉぉぉぉ!?
739名無しになりきれ:2008/09/24(水) 10:00:13 0
最後まで平穏には縁遠いのなw
740リィス ◆5PlHaVo.g2
(アリシエル一行の前にリィスと、見たことのある少年を模したぬいぐるみ(?)
を抱いたティアが現れる。)
>734-735 >738 アリシエルさんご一行
リィス「みなさんお久しぶりです。うーん、そうですか。
そういうことなら、一旦お別れですね。」
ティア「またの機会にお目にかかりましょう。」
ぬいぐるみ「またねっす」

>736 カネナイジャー
ぬいぐるみ「俺は怪人デフォル面相を追っているっす。奴は、
俺をこんな二頭身のぬいぐるみに変えていったっす! 許さないっす!」
リィス「借金があるってことは信用はあるみたいですね。」
ティア「だんだだーん♪」
ぬいぐるみ「聞いてねー」

>737 ワニ
リィス「行けっ! 小小レイオス!!」
ぬいぐるみ「のわー」
(小さくなった小レイオスがアリシエルの頭にぶつかり、ワニの口から弾き出す。)
ぬいぐるみ「うおおっ! 自力で脱出ぅーーーっ!!」
ティア「首を体に戻して…っと、大丈夫でしたかー?」
ぬいぐるみ「俺の心配はないんかい?」

>739 最後まで
小小レイオス「未解決の事件残したまま終わりなんすかい!?」
リィス「事件? そんなのありましたか?」
ティア「えー、小ちゃんはこのままの方がかわいいよー。(ぎゅっ)」
小小レイオス「い、息が詰まる…。」
リィス「それでは、みなさん、またどこかで〜」