魔法少女達と冒険するスレ 3ndシーズン

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>254
>「さあ、今のあなたならこの気高い吸血鬼さんを、あの血溜りまでご案内できるはずよ!」
「はっ?」
>256
>「ふぅ………
>てな訳だ。アルナワーズ嬢の退屈しのぎに……」
「おい、なんのつも」
「りだ?」と続くはずの声はすぐの浮遊感によって遮られた。
襟首を捕まれてそのまま…投擲されたのだ。
>「死んでこい」


ヴァンが眼を開けるとそこは大空だった。
青く済んだ空のキャンパスの上をまぶしいほどの太陽と 真っ白な雲たちがゆっくりと駆け抜けてゆきます。
いまにも手が届きそうなほどの雲はぽっかりとただ浮かんでいるだけなのに、それでも深く存在感があって見ていて心地いい。
(あれほど嫌いだった太陽も、こうしてみるとよいものかもしれないな)
実にいい笑顔で普段は見るはずのない風景をみて、素晴らしいと新たなる発見に胸を躍らせる。

>260
さて、現実逃避もそこまでだ。
ヴァンはいま空中を飛んでいてこのまま着地点を予想すると…異形のラルヴァと戦っているロックがいる地点にドンピシャだ。
だんだん上に加わる力が弱まっていき、重力にしたがって下への力が強まっていき…。
「ベヘリットっ!!」
ロックと未確認飛行吸血鬼は見事に衝突してしまった。
呻き声をあげて血溜まりの地面にロックと一緒に倒れた。
ヴァンは痙攣した後…やがて動かなくなって、お亡くなりになられました。
おお、吸血鬼よ 死んでしまうとは情けない。
>「どけろ!馬鹿野郎!」
「うぅ…あまり叫ぶな、頭に響くだろう」
生きてました。
倒れたときにもろに痛打してしまった頭を押さえながら起き上がる。
と、手についた紅く滴る液体が眼に止まった。
それこそ吸血鬼が人間を襲う意味であり、ヴァンが死ぬほど追い求めていた血だった。
むしゃぶるように、舌を這わせて綺麗に舐めとる。
全身の魔力が強くなっていくのがわかる。
太陽の下なので若干の制限があるが、これで吸血鬼として本領を発揮できる力が戻ってきたわけだ。
「さて…と。で、キミとキミはなんだね?敵ではあるまいな?」
ロックと異形と化してしまったラルヴァを順番に指差しながら首をかしげる。
262フリージア ◆cOOmSNbyw6 :2007/07/13(金) 06:09:22 0
>256>260>261
異形と化したラルヴァがロックを襲う
体には傷一つ付いてないというのに耳を押さえて苦しむロック

その時である
どっからともなく吸血鬼が飛んできた
「あ、あなたはさっきの!!」
そんなことを言おうとした矢先
その吸血鬼はロックにぶつかった
「・・・・・・」
あまりの出来事に閉口するフリージア
吸血鬼に押し倒されるロック
>「どけろ!馬鹿野郎!」
>「うぅ…あまり叫ぶな、頭に響くだろう」
飛んできてそのままぶつかったところを見ると
どうやら自ら空を飛んできたのではないらしい
誰かに投げられたのか?

>「さて…と。で、キミとキミはなんだね?敵ではあるまいな?」
「こちらの方がラルヴァさん、でこっちがロックさ・・・もといロックですわ」
丁寧に紹介するフリージア
まだロックをさん付け無しで呼ぶことには抵抗があるようだ

「ところで吸血鬼さん。まだ私達の血を狙ってますの?
 事としだいによってはこの氷結のフリージア容赦しませんわよ」

氷結棍を生み出し頭の上で盛大に回転させ威嚇するフリージア
ちなみにこの二つ名あくまで自称である
周りの人からはドリルとか他の同年代より大人びているのでババァとか呼ばれてたりもする
本人に聞かせれば血の雨が降るだろうから直接は言わないだろうが
263ラルヴァ ◆sy1IQNBWp6 :2007/07/14(土) 00:35:07 0
>260>261
ギャリィィィィィ!と、耳障りな音を発して吹き飛ぶロック。
その様子に【化け物】は、少し首を傾げる。

さらに飛んできた吸血鬼に押し倒されて動けないロックへと歩み寄る。
吸血鬼が必死に血を補給している様子や、暴れるロックをしばらく眺め・・・

>「さて…と。で、キミとキミはなんだね?敵ではあるまいな?」
あろうことか、上のセリフすらシカトしてしまった。
まだ起き上がれてないロックを尻目に泉へと歩み寄り
その傍の木の根元に立って、樹に手を当てて見上げ始めた。
【化け物】の足跡や今いる辺りの大地が徐々に赤く染まってゆく。
その血を吸い上げるように、少しずつ周りの草花が伸びてきた。
264リリアーナ ◆7O/3IU/E7M :2007/07/14(土) 05:08:15 0
>「あぶないよ。」 
>レイアがリリアーナの肩をポンと叩いた。 
>「みんなこの泉を見に来るの。死んだ人に会うために。 
> でもこの泉は危険だわ。この泉の虜になって、そのまま骨になった人がどれだけいたことやら。」 
リリアーナはもう一度銀の泉を覗き込んだ。
人影が何を言っているのかを読み取ろうとするように、リリアーナはじっと水面を凝視していた。
やがてリリアーナは名残惜しげに泉から目をそらせると、レイアに向き直る。
「そうね、生の世界に背を向けて過去に生きるのは・・・とても危険だわ。
 この楽園は美しくて、幸せで、危険で、寂しいところ。
 でもそれは決して泉のせいではなくて――――訪れる人の問題なのね」
リリアーナはそっとぬれた頬を拭った。>「あの人はこの泉に誰の姿を見たのかしら?」 
リリアーナもロックに問いただしたい誘惑に駆られた。
彼の記憶が、あるいはマリアベルとの戦いの時の切り札になるかもしれない。
だが、リリアーナは実行しなかった。
理屈ではなく直感的に、聞いてはいけないことだと感じたからだった。

>250
鏡のような泉の謎が解けても、リリアーナ達の抱えている問題は解決しない。
「レイド先生〜『テレレテッテレ〜』って歌うから、何か便利なマジックアイテム出して〜!」
・・・・・・無茶苦茶である。

「あ―――――――――――― っ!!!!!」
頭から白い煙が出そうなくらい悩んでいたリリアーナだが、突如大声をあげた。
どうやら何かひらめいたようだ。
リリアーナはがしっとレイドの両肩を掴むなり、がくがく前後に揺さぶった。
「あった!あったわレイド先生、便利なマジックアイテム!! 鏡!! ギルハートの鏡よ!!
  ほら、昨日学園長室で、私に赤い石を盗ませるために使ってたアレ!!」
そう、闇の魔法使いギルハートは不思議な鏡を用いて映るはずのない部屋を映し、
あまつさえそこへ至る道をも具現化させた。
ギルハートの鏡があれば、あるいはロックとマリアベルを分けることができるかもしれない。
「あっ!でも今学園長室ってどこにあるの・・・・・・? レイド先生、場所知ってる?」

――――もともとこの塔は、学園を元にして作られている。
おそらくはばらばらになった校舎のどこかにはあるのだろう。
だが異空間を数珠のようにつないだ塔の内部。
この人数で探していては、見つかるのはいつになるやら。
「人手が必要だわ。たくさんの人手が!!」
なぜかリリアーナの頭の中で、星型の着ぐるみを着た一同が踊りはじめる。
「いや、そのヒトデじゃなくって!!」
変な考えを振り払おうとぶんぶん頭を振っていた彼女は、ヴァンの姿を見た途端ぴたりと動きを止めた。
リリアーナはヴァンと使い魔コウモリ、周囲の状況を見比べたあと、ぽん、と手を叩いた。
「そうだわ、たくさん使い魔を持ってる人に手伝ってもらえばいいのよね(はあと)」
また何か良からぬことを思いついたようだ。
265リリアーナ ◆7O/3IU/E7M :2007/07/14(土) 05:14:18 0
>263
「そうと決まれば人質・・・じゃなくて使い魔コウモリ、ゲットだぜ!!!」
リリアーナはなぜかウェストポーチから虫取り網のようなものを取り出すと、
ぶんぶん振り回しながらヴァンの使い魔を追いかけ始めた。
だがなにぶんリリアーナは消耗しており、なかなか捕まえることができない。
息が上がり膝をついたリリアーナの上に長い影が落ちた。
見上げたリリアーナはぎくりとした。影の正体は、異形化したラルヴァが立っていたのだ。
だがラルヴァは何もせず、リリアーナの脇を通り過ぎていった。
彼女の上に血を滴らせながら。
「―――― ラル君? 何見てるの?」
ラルヴァは銀の泉を覗くでもなく、大きなイチイの気を見上げている。
リリアーナはラルヴァが気になったが、今はコウモリ捕縛が最優先だと思い直す。
「もう!レ・・・レイド先生も見てないで手伝ってくださいってば!!」

>256 >250 >254
血を浴びて元気を取り戻したリリアーナだったが、走り出そうとしたとたん草花に足を取られた。
「な・・・な・・・なによこれ!?」
リリアーナは目の前でぐんぐん成長するニガヨモギやツユクサに絶句した。
そしてコウモリは、リリアーナを振り切りユユやアルの方―― 洞窟へと逃げ込もうとしている。
「逃がさないわ! ――――そこの人!!」
壁を避けるべく遠回りしていたリリアーナは、ビシィ!と目つきの悪い生徒(ユユ)差した。
「そうあなたよ! お願い、使い魔コウモリ捕まえて!そのコウモリに人ひとりの人生かかってるのよ!
 もし協力してくれないと泣いちゃうわよ、一 生 呪 っ ち ゃ う か ら !!」
目つきの悪い生徒は「何で俺が」という顔をしたが、ちゃんと蝙蝠を捕まえてくれた。
素手で蝙蝠を捕まえるあたり、動体視力と反射神経はすごぶる良いようだ。
「ありがと〜助かったわ!私はリリアーナよ、あなた見かけによらず親切ね!
 ねえ、親切ついでにあなた、私たちと協力して学園を元の姿に戻さない?
 無事成功した暁には、功績をたたえてテストや課題なんかが免除されちゃうかもよ。そうよね、レイド先生?」
リリアーナはぱちんとレイドに目配せした。
そう、人手は多い方がいいし、誰かと行動した方が彼だって安全に決まってるのだ。

「それからアル、実はロックとマリアベルを分ける魔法の鏡が学園長室に残ってるはずなの。
 で、探すにしても大変だから、吸血鬼さんに協力してもらおうと思って。
 ただ私ってアルみたいに説得上手じゃないのよね、失敗しそうなときは代わってくれる?」
コウモリが逃げられないよう使い魔用捕縛手袋をはめたリリアーナは、息を整えながら頼み込んだ。

>260-262
「ちょっとそこの変態吸血鬼! いいかげんロックから離れなさいよね!!」
吸血鬼めがけ、使い魔捕縛用手袋の片方が飛んできた。何事だと振り向いた吸血鬼の表情が凍った。
ふふん、とリリアーナが意地悪そうな(※ヴァンビジョン)笑みを浮かべている。
魔女リリアーナは、捕まえたコウモリをヴァンに見せつけるなり高笑いした。
なんとなく強そうなので、意味もなくフリージアの高笑いを真似してみる。
「お〜ほっほっほ! この使い魔コウモリを開放して欲しかったら、私達に協力しなさ〜い!
 何、そんな難しいことじゃないわ。あなたの使い魔にあるあるアイテムを探してきて欲しいだけ!!」

コウモリはご主人にしか聞き取れない声で切々と何か訴えかけているようだ。
・・・・・・・・・・・はっきりいって、これではどちらが悪人か分からない。
「お〜ほっほっほ!・・・・・・・あれ?ねえちょっと吸血鬼、私の話ちゃんと聞いてる?!」
リリアーナは不満そうな声をあげた。
だがヴァンの視線は今、リリアーナの後ろにいるレイドに釘づけになっている。
レイドの赤い目は上級悪魔との契約の証でもある。
たとえリリアーナは知らなくても、ヴァンならレイドの赤い目の意味を理解できるはずだ。

そんなヴァンに、リリアーナはさらに追い討ちをかけた。
「お〜ほっほっほ! 言っておくけどそこにいるフリージアは氷原の女王様なのよ!
 怒らせるとただじゃ済まないわよ! おとなしくした方が身のためよ!
 ・・・・・・・あ、ちなみに探して欲しいアイテムは鏡で、こんな感じね」
リリアーナはイチイの枝を拾い上げ、いそいそと地面にへたくそな絵を書き始めた。

・・・・・・・鏡の特徴については、昨日学園長室に居合わせた誰かが説明するべきかもしれない
>262
>「こちらの方がラルヴァさん、でこっちがロックさ・・・もといロックですわ」
まるで知り合いに友人を紹介するような軽いノリで紹介される。
「……ああ、失礼。
 こちらは吸血鬼のヴァンエレン・ブランカートと申します。
 いつも大変お世話になっております」
ヴァンもまさか本当に仲間の紹介をしてくるとは思ってもみなかったので、あっけにとられた後にこちら律儀に礼で返した。

>「ところで吸血鬼さん。まだ私達の血を狙ってますの?
> 事としだいによってはこの氷結のフリージア容赦しませんわよ」
先ほどのぬるい態度から一転して、氷の武器を作り出してピリピリとした鋭い視線を吸血鬼めがけて投げかける。
まだ敵意を持つか、それとも否か。
「確かに満腹にはなったがその後はどうする?
 ここは雪山だ…食べ物が非常に少ない。
 目の前にはまだ狩れる獲物が数人いるね…。
 非常食が欲しくなるとは思わないかな?」
したがって答えは…――否だ!

不意にヴァンの眼にとまったのは紅い目をしたレイドだった。
「どおりで悪魔臭いと思ったら……そうかそうか、そういうことか」
納得したといったように何度もうなずくと、なんと愚かな人間だろうと嘲笑した。
悪魔と契約なんて身投げの奴がやる行為であり、悪魔からしても慈善行動ではないのだから不相応な対価が必ず求められているはず。
ここで彼と同じ人間ならば進言のひとつやふたつなどしてやるかもしれないが、吸血鬼であるため無関心である。
人間の生き死など魔として生きるものにとってはどうでもいいことだ。

>256
>「お〜ほっほっほ!・・・・・・・あれ?ねえちょっと吸血鬼、私の話ちゃんと聞いてる?!」
「ん?あ、ごめん聞いてなかった。
 ワンモアプリ―ズ…ってお前捕まっちゃったのか!?卑怯なり、この魔女め!」
人質(?)をとってリリアーナはアイテム探しを要求してくる。
それはどんなものであるか?言葉では説明できないらしく、枝をもって地面に書き残している。
まるでナスカの地上絵のように謎めいた暗号を残した怪絵はすでにヴァンの理解を越えていた。
「ちょっと待て……鏡っていったよな?
 もしかしてこれのことかい?」
理解の越えたものには極力触れないほうがいい。
絵のことを軽く無視して、懐から取り出したるは遥か前に偶然拾った物だった。
まだ本物かわからない品物を確認させるためにリリアーナに向けて投げてよこした。
267マリアベル ◆jWBUJ7IJ6Y :2007/07/14(土) 09:43:40 O
その時、マリアベルはロックの意識の中に収まっていた。
無論、ただ何もせずにボケッとしているわけではない。
ロックが見たり、聞いたりした事はマリアベルにもわかるのだ。
…というわけでマリアベルも耳を押さえて悶絶していた。
「〜〜〜〜!?あの馬鹿が!!」
ところで、何故マリアベルがロックに体を預けたのか?
「何を躊躇うロック。お前が生き残るためには…殺すしかないんだぜ。」
そう、マリアベルはロックに一行を殺させるつもりなのだ。
マリアベルにとって一番やっかいな相手、
それは同じく闇の魔法使いであるレイドでもなく、
高い潜在能力を持つフリージアやメラルでもない。
もう一人の自分であるロックなのだ。
ではどうするか?ロックを自分の味方にすればいい。
その方法は?自分と同じ道を辿ってもらおう。
それはずばり?友を殺すこと。
一行が学園を取り戻すにはロックを殺すしかない。
ロックは自身が生き残るために戦うだろう。
銀の泉に映るものを見たのだから。
「ロック、俺とお前が求めているものは同じだろう。
 俺達二人は“母”を求めている。
 心を闇に染めろロック、そして掴めよカドゥケウス。
 その力で死者を黄昏の国から呼び戻すのだ。
 そして叫べ、“生きているとはなんと素晴らしい”と!」
ロックは葛藤していた。学園を元に戻すために、先生の命を救うために、
自分の命を犠牲にするべきではないかと。
「死より酷な事はないぞロック!!」
それに反応したマリアベルの激が飛ぶ。
「その怪物はお前に死をくれようとしたではないか!
 躊躇わず唱えよ、死の呪文!
 デスア・ブラ・カダブラ!!」

>263
ロックの口が動き始めた。
>「デスア・ブラ…」
しかし、ロックは永昌を止めた。
>「…男は背後から襲うような姑息な事はしない!!」
そう宣言するとロックは怪物の後ろで仁王立ちした。
>「怪物よ!俺と闘う気があるのなら!
 こちらを向いて、牙を剥くがいい!」
くどいようだが、ロックは目の前の怪物が実は学園の生徒であるとは夢にも思ってないのだ。

ところで、ロックは完全に吸血鬼をスルーしている。
ロックの悪い癖だ。闘う相手以外がよく見えていないのである。
しかし、この事が後にマリアベルを追い詰める事になる。
268メラル ◆1LtyyBHC/M :2007/07/14(土) 11:27:25 0
メラルが話を終えると、暫くの間場を沈黙が支配した。
しかし…だからと言ってメラルが避けられているという訳でもなかった。
その事に、メラルは表情に出してしまう程に安堵し、一息ついた。
(…これで、最悪の事態になってもみんな対処は出来るはず。後は、最善を尽くすだけ…ね。)
そして、改めて頭の中で状況を整理し始めた。

洞窟を出て、ロックと遭遇した後もメラルの態度に大きな変化は見られなかった。
少し後ろ気味の位置で、冷静に状況を見ようとしている。だが…その態度はあっさり崩れる事になった。
リリアーナがラルの使い魔にセクシーポーズをとらせ、ロックが露骨に鼻血を噴出す。
しかもレイド先生がそれを撮影している。それを見るや、メラルは額に手をやって溜息をついた。
「…先生、緊張を解す為だとは思いますが…そのやり方はどうかと思います。」
勘違いしているのは、先生が既に相手をマリアベルと確信して話していることから、
目の前の相手がマリアベルであると信じてのものである。それにしては行動が妙な気がするが、
ロックとの付き合いがろくになかったメラルには判断材料が少なすぎたのだ。が…
その考えもロックの自らと共にマリアベルを葬れと暗示する言葉に、すぐに覆る。
(なんて覚悟…。普通に考えればこれは疑いようもないわね。でも、念には念を入れさせてもらう…。)
しかし、普段は慎重である種臆病なメラルだけに盲信とまではいかないようだ。
杖に魔力を通わせ、詠唱を始めていつでも術を撃てるように構えたようだ。


そして…異形化したラルヴァがロックに近づいていき、二人の戦闘が始まった。
ラルヴァの攻撃に積極性が見られない気がするが、ロックの側はそういうわけではない。
泉の能力は厄介そうであったが、その事を考えるのは後にしたほうが良さそうだったので保留したようである。
しかし…状況が状況だけにメラルとしても非常に介入しにくかったのだが、その空気を一発でぶち壊しにする
存在がいた。そう…吸血鬼である。

ロックを押し倒してから起き上がり、血を舐め取り…妙に偉そうにロックとラルヴァに話しかけた。
それを見て、メラルが考える。
(真祖じゃないのね。まぁ、もしこんな所に真祖がいたとしても力はたかが知れてるし、
そもそも洞窟から出るわけもないんだけど。それに、そもそもあの吸血鬼…妙な飛んでき方をしてたわよね。)
そして、振り向くと…そこにはユユがいた。
「…あら。あなたは…確かユユ…だったかしら?これは心強い増援ね。
 …私はメラル。状況は…どれくらいわかる?」
メラルは名門一家の人間のユユについては情報収集だけはしていたようだ。
その成績の内情など全く知りもしないために純粋にユユの事を
優秀な能力と血筋を併せ持つ人間と見做している。
その上で、一番必要な事を聞いた。もちろん、不足分はかいつまんで説明するつもりで、である。
因みに意図的にフルネームで名乗らないのは相手がどれだけ情報を知っているかを見る為だったりする。
ただ、メラルは相手が協力する事を前提に考えている。
身近な人間の多くがそうだった為か、由緒ある名門一家の人間は常に
ある種の品格を持つべきだと考えている為である。


>「そうあなたよ! お願い、使い魔コウモリ捕まえて!そのコウモリに人ひとりの人生かかってるのよ!
   もし協力してくれないと泣いちゃうわよ、一 生 呪 っ ち ゃ う か ら !!」
なお、リリアーナの言葉に、嫌な顔を少し見せてから蝙蝠を捕まえに走るユユを見ても、
メラルはわざわざ脅されずともやるのにという意味だと思っているようである。
269ユユ ◆LZfunhEVsc :2007/07/14(土) 12:43:27 O
>258 etc
「………何で?」
隠れられた!いつもとは少し雰囲気違うかもだけど、そこまで露骨にビビられるとこう………ね?
若干へこんじゃったりする訳ですよ。心なしか肩下がってないかな……
そんな風に感傷に浸っていると、
「逃がさないわ! ――――そこの人!!」
なんて声も聞えてきた。何だろう?ひょっとして厄日なのだろうか?ビビりなオレに天罰が!?
現実逃避も程々に、やるせなく自分に指を指す。
「オレ?」
アルナワーズ嬢だったら良いのになぁ。ささかな願い事。

「そうあなたよ! お願い、使い魔コウモリ捕まえて!そのコウモリに人ひとりの人生かかってるのよ!
もし協力してくれないと泣いちゃうわよ、一 生 呪 っ ち ゃ う か ら !!」
勝手に泣いて勝手に呪えよ。コウモリなんか素手で掴めるか?お前がやってみろ。
…………ああもう、ああもう解ったよ!やりゃ良いでしょうが。
こんな時男は損だなぁ………とかボヤキつつ、テキパキとコウモリ共を掻き集める。まぁ、良いか。動いてるのが好きだし。頼み事を断れる程しっかりしてる訳じゃないし。
心中してくれ!って言われたら今なら「はいっ!」って言っちゃうかもだ。いや、無いけど。
「ありがと〜助かったわ!私はリリアーナよ、あなた見かけによらず親切ね!
ねえ、親切ついでにあなた、私たちと協力して学園を元の姿に戻さない?
無事成功した暁には、功績をたたえてテストや課題なんかが免除されちゃうかもよ。そうよね、レイド先生?」
「………代償目的は親切とは言わないよ。
別に課題やテストが苦な訳じゃなし。課されたらやるのは普通だろ?」
何で自分の美学を語ってるんだろ?本題はそうじゃないだろうに。しっかりしろよ………オレ。
「大体、アンタらに較べてのオレの力はたかが知れてだろうに………
そんなビビりに何を求めるんだ?………まぁ、やれるだけはやってみるけど」
最大限の譲歩。これが限界。コウモリ以上の事を頼まれたらさすがに無理としか言い様がない。
他人に実力をあまり披露したくは無い。あくまで弓は奥の手にしておきたい。
270ユユ ◆LZfunhEVsc :2007/07/14(土) 12:45:40 O
「…あら。あなたは…確かユユ…だったかしら?これは心強い増援ね。
 …私はメラル。状況は…どれくらいわかる?」
まだ何かあるのか!
………って別の人か。今日はこの学園に知り合いが増える日なのか?大して嬉しくは無いが。
「ああ、オレはユユ。合ってるよ。
状況?さぁ?何かヤバそうなヤツが野郎と殺り合ってるんじゃ無いのか?」
せいぜいその程度。別に知りたくもない。
それはそうと、さっきからヤバそうなアレと男を見ているが、まるで大人と子供を見ている様だ。
「アレが攻撃的になったらアイツは終わるな。
もう出し惜しみ………出来ないか。」
そう苦笑して弓を確かめる。さすがに目の前で死人を出したく無い。そんの見たら寝れそうにない。
ホントは弓使うのイヤだ。普段は優秀じゃないヤツだから、こんな時も優秀じゃなくて居たいのに。後々面倒臭そうだから。
…………なんてね。やる時はやる。そういうヤツなんだよな、オレは。
今はまだやる時じゃないけど、どうせ男の分が悪くなるのは目に見えてる。その時がやる時………かな?
271レイド ◆M07.CI9OF2 :2007/07/14(土) 15:28:46 O
まずいな…。
このままじゃマジでどっちか死んじまうぞ。
こうなったら俺が間に入って…
>256>261と、考えているて先程のヘボ吸血鬼君が突然乱入してきやがった。
いや、アイツは自分の意思で危険な所に行く様な度胸がある様には見えなかったが…。
吸血鬼が飛んで来た方向を見ると見覚えのある顔の生徒が居た。
ユユだ。アイツの仕業ですかい。
まぁ、運良く血溜まりに落ちたみたいだし大丈夫か。
>264リリアーナは俺に無茶な注文をしてくる。
俺はあまりの無茶苦茶さに苦笑いするしかなかった。
するとリリアーナは突然大声を上げ、俺の両肩をガクガクさせる。
ちょっ、そんなに揺らすなって。
頭痛くなるから。
どうやらリリアーナはギルハートの鏡を使えばマリアベルとロックを分けれると考えたらしい。
そしてソレがある場所は学園長室だが、俺もこの状態じゃ何処に学園長室があるのかは分からない。
リリアーナは人手を集めて学園長室を探す事にしたらしい。
>「そうと決まれば人質・・・じゃなくて使い魔コウモリ、ゲットだぜ!!!」
夏休み中にカブトムシやクワガタを追いかける少年の如く蝙蝠を追いかけ始めた。
その微笑ましい様子を眺めていると…
「もう!レ・・・レイド先生も見てないで手伝ってくださいってば!!」
とリリアーナに叱られてしまった。
「へいへい…今やりますよ〜。」

よし、何とか7、8匹は確保したぞ。
リリアーナはコイツを人質として使ってヘボ吸血鬼を利用しようとしてるみたいだが、そんな面倒な事はしない。
俺は捕まえた蝙蝠を一匹手に取り、顔の前に近づけた。
「俺の目を見ろ。」
空いてる手で髪を上げて俺の目を見させる。
「今からお前の主は俺だ。
分かったな?」
動物は勘が鋭い。
俺の目が赤い理由なんて簡単に察してしまう。
それ故に扱い易い。
中には俺の目を見てもビビらない奴も居るが…勘が鈍いんだか大物なんだか…。
272レイド ◆M07.CI9OF2 :2007/07/14(土) 15:30:54 O
と、まぁこの方法で蝙蝠達を俺の下僕にして、鏡を探しに行かせているとまたもリリアーナからお呼びがかかる。
今度はユユに手伝いをさせる代わりにユユのテストや課題を免除して欲しいとの事だ。
しょうがないな……校長には俺が話をつけといてやるか。
「分かったよ。無事に成功したら此処に居る生徒は皆テストと課題を無しにしてやる。
無事に成功したらの話だぞ……ん?」
>266何やらヘボ吸血鬼君が俺の方を見ている。
あ、そういやさっき髪を上げた時に目を見られたのかも。
吸血鬼だからやっぱり分かるのかな?
「何見てんだヘボ吸血鬼?。
…ああ、言い忘れてたけどお前の蝙蝠、何匹か俺の下僕になったから。
そこんとこヨロシク〜。
それにしても…気の毒な奴だな…。」
273フリージア ◆cOOmSNbyw6 :2007/07/14(土) 19:07:35 0
>266
>「確かに満腹にはなったがその後はどうする?
>ここは雪山だ…食べ物が非常に少ない。
>目の前にはまだ狩れる獲物が数人いるね…。
>非常食が欲しくなるとは思わないかな?」
その言葉に鋭い瞳を向けるフリージア
今にも戦いが始まると思ったその次の瞬間である
>265
>「お〜ほっほっほ! この使い魔コウモリを開放して欲しかったら、私達に協力しなさ〜い!
>何、そんな難しいことじゃないわ。あなたの使い魔にあるあるアイテムを探してきて欲しいだけ!!」
いつの間にかリリアーナがヴァンエレンの使い魔の蝙蝠を人質ならぬ蝙蝠質にしているではないか
「すばらしいですわ!リリアーナさん!!」
と褒め称えるフリージア
だが内心では
(危険ですわ!?素人がやるとのどが痛くなってしまいますわ
 お腹よ!お腹から声を出すのよ!!)
と高笑いを真似るリリアーナを心配していた
ちなみにこの高笑い、ウェストを細くするダイエット効果もあったりする
ただしやりすぎると腹筋が割れるので注意が必要だ

>「お〜ほっほっほ! 言っておくけどそこにいるフリージアは氷原の女王様なのよ!
>怒らせるとただじゃ済まないわよ! おとなしくした方が身のためよ!
>・・・・・・・あ、ちなみに探して欲しいアイテムは鏡で、こんな感じね」
リリアーナがのどを痛めないか心配そうに見ていたフリージアは
こちらに話題を振られたのでなるべく冷酷無比な氷の女王・・・
祖母の表情を真似、ヴァンエレンを睨みつけた
>268>270
そういえばさっきからメラルさんと話してる人誰かしら?
横目でちらりとユユのほうを見るフリージア
全校集会で見たような気もするが・・・・誰だったか思い出せない
何しろ学校にはやたら生徒が多いのである
仕方が無いことかもしれない
その会話から何とか名前だけは把握できた
どうやらユユというらしい
「ええと・・・はじめましてかしら?私は氷魔法学科のフリージア・ノクターンですわ」
とりあえず目が合ったので簡単な自己紹介をした
「お礼だなんて水臭いわ〜。私達、お友達、じゃない?」
笑いかけながら礼を言うユユに対し、ミニアルナワーズも笑顔で応える。
ミニアルナワーズとユユは顔見知り程度でしかない。
が、それでもアルナワーズには【お友達】なのだ。

その間も続く、ロックを中心にした出来事に、ミニアルナワーズは静観、もとい、観戦の構えをとこうとしない。
相変わらずユユの頭の上で寝そべったままだ。
が、事態はそうものんびりさせていてはくれない。
リリアーナがロックとマリアベルを分ける為に学園長室にあるギルハートの鏡が必要だと言い出し、各位に協力を求めている。
当然お鉢はミニアルナワーズにも回ってくる。
「いいアイディアだわ〜。彼の吸血鬼はいまこの塔、つまり学園に括られた地縛霊状態だもの。
ある意味ここにいる誰よりも学園と強力な縁があるわけだしぃ〜。
でも、交代はもうなしよぅ?キサラの時にそのカードは使い切っちゃっているもの〜。」
切羽詰っているリリアーナとは対照的に、この期に及んでもミニアルナワーズはそのペースを崩そうとはしなかった。
それどころか、徐々にフェイドアウトを狙ってか、ユユの頭から離れ距離をとり始める。

それぞれがそれぞれに対応する事柄に当たっており、ミニアルナワーズが口を出す必要もない。
ならば観戦を取りやめてまで自分が動くつもりなどさらさらないのだ。
関心がないような態度で離れて行ったが、リリアーナはヴァンエレンの説得(?)に成功。
鏡を引き出すことに成功した。
その鏡を見て、ミニアルナワーズの表情が変わる。
「あら〜。それ、私が落とした歪みの鏡じゃない〜。探していたのよ〜。」
リリアーナの手の中の鏡に飛びつくミニアルナワーズ。

【歪みの鏡】
真実の鏡を装った呪いの鏡。
映し出す真実にほんの一滴いの嘘を混ぜて歪んだ真実にしてしまい、それを映す出す鏡。
要するに恐ろしく真実めいた真っ赤な嘘を映し出すたちの悪いカースアイテムである。
アルナワーズ愛用の一品。

雪山洞窟で接触したときに落とし、ヴァンエレンが拾ったのか、はたまた全くの偶然か。
なんにしても思いがけない再会に表情を崩すミニアルナワーズ。
「こんなラッキーもあるものね。
お祝いにいいこと教えてあ・げ・る。
さっき調べたけど、あの吸血鬼さん、学園がこの塔になる前から校舎内にいたみたいなのね。
しかも召喚者のギルハートの封印と学園の変形はほぼ同時。
(中略)
召喚システムと空間の歪みが複雑に混線した具現ともいえるの。
ここまでわかる?」
複雑な呪的システムと術公式の説明がしばし続き、一旦確認するようにリリアーナを見上げる。
そして、返事を待たずに纏めに入った。
「つまり、あの吸血鬼さんは呪術的にも物理的にも学園と融合している、って事。
そして【偶然】、彼は学園のとある場所と物理的に融合しちゃっているのね。」

【偶然】を強調するが、このような事は偶然では起こりえない。
誰かしらの介入をほのめかしつつ、ニタリと笑って顎で示す。
「そう、探す必要なんてないのよ。
ただ、彼はあれでも気高い吸血鬼。脅しても説得しても無理ね。
気取られても彼は逃げてしまうでしょうね。だからレイド先生やフリージアに相談する余裕もないわ。
だ・か・ら・リリィ、あなたがやるの。
彼の服をちょっと毟ってみればいいだけなのだから、ね。」
悪魔の誘惑か天子の囁きか・・・いや、天使の囁きは嘘でした。
どこからどう見ても悪魔の誘惑を囁きかけるミニアルナワーズの表情は本当に悪魔めいていた。
>272
>「何見てんだヘボ吸血鬼?。
>…ああ、言い忘れてたけどお前の蝙蝠、何匹か俺の下僕になったから。
>そこんとこヨロシク〜。
>それにしても…気の毒な奴だな…。」
その特殊な眼の性質か。
魅入られた絶対服従するはずのコウモリたちは主を変えて、
「私を怒らせないうちに返しなさい、やれ返せ、そら返せ!」
残ったコウモリたちをすばやく隠れさせると、この場には捕らえられたコウモリしかいなくなった。
ヴァンは地団駄を踏みながら強制転向されたコウモリの返還を要求する。


レイドに捕えられて魔眼で虜にされた使い魔たちはすぐに力が弱くなり、やがて羽ばたくことさえままならなくなり地面に落ちてしまった。
使役コウモリたち基本的に主からの魔力供給で生きている。
そのために本来では短命ですぐに死ぬはずのコウモリたちは、自然の概念よりはずれて吸血鬼の不老の一部を与えられる。
供給されることによって不老を得る変わりに、主へ服従するという『契約』で使い魔は成り立っている。
では、魔力供給源のパイプが断たれた場合はどうなるのか?
すでに本来の寿命が過ぎているはずの生物は単独で存在し続けるのは非常に困難になる。
なんらかの例外がない限りは必ず『死』という生物からすべてを奪う消滅が訪れるだろう。


主従という契約が破棄されたいま、コウモリとヴァンを結ぶラインはすでに存在していない。
終始無言で息たえたコウモリたちに近づいていき、その身を大事そうに抱える。
「お前たち人間はいつもそうだ。
 なにもしてないのに、魔物と見るや際限なく殺しおって…。
 よく聞け人間。
 お前にとってはこの命は小さすぎて見えないかもしれないけどな…。
 たとえ事故だと決め付けてなんの罪悪感も持たなくてもな…。 
 お前が殺した!
 仲間を殺したお前をこの『ヴァンエレン・ブランカート』は絶対に忘れない!」
涙のたまった眼でまっすぐにレイドを睨み付ける。
布告が終わると俯いたまま洞窟がある方角へと歩みはじめた。
リリアーナに捕らわれているコウモリは主に呼応するように、指に噛み付きリリアーナが怯んだ隙をついて脱出する。
すばやく上空へと飛んでいき、だんだん姿も小さくなっていったコウモリは安全な場所へと避難していった。
276リリアーナ ◆7O/3IU/E7M :2007/07/15(日) 20:57:35 0
>269
>「分かったよ。無事に成功したら此処に居る生徒は皆テストと課題を無しにしてやる。 
課題免除の話に一通り喜んだ後、リリアーナはユユにそっと耳打ちした。
「ごめんね、私なんだかあなたのこと誤解してたみたい。
 時々あなたそっくりの人が授業や課題時間中にお昼寝したのを見かけたんだけど・・・
 うん、きっと他人の空似ってやつね!!勘違いしててごめんね〜」
リリアーナはにっこり笑うと、ユユの肩をぽんぽんと叩いた。
「それから、あの角を持つ怪人は敵じゃないから。多分。
 真に戦うべき敵はね ―――― 常に隣人の顔をして現れるのよ?」
リリアーナは意味深な言葉を残し、吸血鬼の方へと歩み去った。

ここまでが、ほんの少し前の話。

>266
そして現在。
へたくそな絵の完成を見届けないまま、吸血鬼が拾ったという鏡を投げてよこしてきた。
その鏡に、姿をくらましていたアルがフリスビー犬よろしく飛びついてきた。
>「あら〜。それ、私が落とした歪みの鏡じゃない〜。探していたのよ〜。」 
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんか・・・ハズレみたい」
一瞬期待しただけに落胆も大きい。
あまりにがっかりしたリリアーナは、失意のあまり素が出てしまった。

少し離れた場所ではフリージアとメラルが、ユユと情報交換している。
レイドはこの短時間で、捕らえた吸血鬼の使い魔コウモリを洗脳したらしい。
ゆったりと会話しつつも、ロックとラルヴァの緊張に対しても警戒を怠っていない。
(さすがレイド先生。頼もしい〜)
「レイド先生、洗脳した使い魔のうち、何匹かはクドリャフカさん捜索に充ててね!」

リリアーナは、本当はロックとラルヴァの間に割って入りたかった。
だが状況が許さない。
リリアーナの内心は大荒れだったが、今は吸血鬼との交渉が先決だ。
「じゃあ吸血鬼は、私の言う鏡を探してくれる?・・・じゃなかった、私のために鏡を探しなさーい!
 お〜ほっほっほ・・・ほッ?!・・・ゲホゲホゲホゲホ!!」
リリアーナは地面の幾何学模様を指差しつつ、盛大に咳き込んだ。
どうやらフリージアが危惧したとおり、喉を痛めてしまったらしい。

>267 >272
>「デスア・ブラ…」 
「―――― ?!」
ロックの詠唱を耳にしたリリアーナは、まるでこの世の終わりのような顔をした。
だが途中で詠唱を止め、仁王立ちしてラルヴァに決闘(?)を申し込んでいる。
リリアーナはホッとしたが、泣きそうな顔は相変わらずだった。
(まさかロックは、あの呪文をただの攻撃魔法だと思ってる?!)
だが実際はそんな生易しいものではない。リリアーナは知っている。
あれは使ったが最後、二度と後戻りできない禁断の闇魔法だ。
「レイド先生、ロックを止めて!!絶対に死の呪文を使わせないで!!」
いくら『ギルハートの鏡』を手に入れても、ロック自身が闇に堕ちていては意味がないのだ。
277リリアーナ ◆7O/3IU/E7M :2007/07/15(日) 21:25:43 0
>274
>「こんなラッキーもあるものね。 
>お祝いにいいこと教えてあ・げ・る。 
鏡を手に入れてご満悦なアルは、リリアーナにそっと耳打ちした。

(・・・・・・・・・・先に結論を言わないのは、アルの悪い癖よね)
不得手な呪的システムと術公式の説明を聞きながら、リリアーナは内心でため息をついた。
>「つまり、あの吸血鬼さんは呪術的にも物理的にも学園と融合している、って事。 
>そして【偶然】、彼は学園のとある場所と物理的に融合しちゃっているのね。」 
「―――― はあ?!」
リリアーナは憮然とした声をあげた。

>【偶然】を強調するが、このような事は偶然では起こりえない。 
>誰かしらの介入をほのめかしつつ、ニタリと笑って顎で示す。 
>「そう、探す必要なんてないのよ。 
>(中略) 
>だ・か・ら・リリィ、あなたがやるの。 
>彼の服をちょっと毟ってみればいいだけなのだから、ね。」 

アルの話が本当なら、吸血鬼自身が塔内限定の【ゲート】のような存在。
魔方陣は決められた場所への転移装置だが、吸血鬼は違う。
彼のうちにある扉を開けば、望む場所への道を拓くことができる。
――――当然、学園長室へ至る道も。

リリアーナが葛藤している間に、レイドの虜となった使い魔達は動かなくなってしまった。
それを見た吸血鬼は、使い魔達が死んだと思い込んだようだ。
だが、それはおかしな話だ。
レイドと使い魔コウモリとの間には、何の契約も存在していないのだから。
――――そう、使い魔達はあくまで洗脳されただけで、契約主はまだ吸血鬼のはず。
ではなぜ仮死状態になってしまったのか?
リリアーナが考えこんだ隙を狙って、手の中にいたコウモリが彼女の指に噛み付いた。
力が緩んだ隙にコウモリは逃げていってしまった。彼女の足元に傷跡から血が滴った。

洞窟に入る寸前の吸血鬼を、リリアーナは鋭く呼び止めた。
「ちょっと待ちなさいよ、勝手に殺さないでくれる?」
リリアーナはつかつかと吸血鬼に歩み寄った。
彼女の青い目が爛々と輝いている。どうやら本気で怒っているようだ。
「ちょっと、杖も武器も持ってない女の子に、吸血鬼が身構えないでくれる?」
リリアーナは吸血鬼が大事そうに抱えた使い魔を覗き込んだ。
「やっぱりね。
 あのね、貴方の使い魔が動かないのはね、貴方の魔力が弱っているせいなの。
 だからレイド先生に虜にされただけで動けなくなってしまったんだわ。
 ようはおなかが空きすぎて、使い魔にまで魔力が行き渡っていないの。分かった?!」
リリアーナはふう、とため息をついた。
「かわいそうに、あなたは自分の使い魔を信じきれていないのね。 
 で、あなたはどうしたいの? 使い魔達を助けたい?」
頷いたヴァンに、リリアーナは満足げに頷いた。
「じゃあ私が助けてあげる。そのかわり、貴方は何が起こっても絶対に動かないでよ!」
吸血鬼の返事も待たず、リリアーナは吸血鬼のマントを捲った。
そして抱きつくようにして一歩足を前に踏み出した。

その場にいた一同は目を疑った。
吸血鬼の中に吸い込まれるようにして、リリアーナの胸部分までがめり込んだからだ。
彼の内側から、リリアーナの歓声が聞こえる。
「あったわ、ギルハートの鏡!!・・・っきゃああああ?!」
がくん!と腰までリリアーナの身体がめり込んだ。
どうやら魔力を持たないリリアーナにとっては、鏡が重く持ち上げる事ができないようだ。
放っておけば吸血鬼の中にある学園長室に落ちてしまうだろう。
「誰か〜お願い引っ張ってえぇええ〜!!」
278フリージア ◆cOOmSNbyw6 :2007/07/16(月) 00:47:46 0
>272>275
ヴァンエレンとレイド先生がなにやら話している
が、フリージアはユユと話すためにそれとは逆方向を向いていたため
会話の内容をよく理解するとこが出来なかった

「ニンゲンハ ミサカイナク マモノヲ コロス」
ギズモはフリージアの頭の上で小さくつぶやいた

>266>274
どうやら吸血鬼が持っていた鏡は別のものだったようだ
歪みの鏡というらしい
名前からしてどうせろくでもないアイテムに違いない
美人がブスに映るとかブスが美人に映るとか・・・
とりあえず覗き込んでみるのはやめておこうとフリージアは思った

>276
>「じゃあ吸血鬼は、私の言う鏡を探してくれる?・・・じゃなかった、私のために鏡を探しなさーい!
>お〜ほっほっほ・・・ほッ?!・・・ゲホゲホゲホゲホ!!」
高笑いの失敗で咳き込むリリアーナ

「お〜ほっほっほ!リリアーナさん!こういう風におなかから声を出さないと喉を壊しますわよ!お〜ほっほっほ!」
未熟ですわねとかおばかさんとかつけるのを忘れている所を見ると本気で心配しているようだ

>277
鏡を取ろうとして吸血鬼にめり込むリリアーナ
>「誰か〜お願い引っ張ってえぇええ〜!!」
「い、今行きますわ!」
あわてて駆け寄りリリアーナの足を引っ張るフリージア
「重いですわ!!」
フリージアもある程度、力があるはずなのだが
重いものはやはり重いのだ
あまりにあわてていたためパワーのあるフリージングドール・マリオネットを使うことも忘れている
使えば簡単に引っこ抜けるのに・・・・
279キサラ ◆h9ZTufDZPo :2007/07/16(月) 02:55:53 O
―――カプセルの中―――気付いたら眠ってしまっていたようだ
ふと目を覚ますと、その先には落下寸前のリリアーナの姿
「……フリージアさん…!!僕を……!」
カプセルから出してください―――そう言おうと思ったが、その言葉は止まった
今フリージアが自分を出そうとすれば、リリアーナが落ちてしまう
キサラがいくら非力とはいえ、二人なら引っ張りあげられるだろうが―――
280ラルヴァ ◆sy1IQNBWp6 :2007/07/16(月) 10:05:13 0
>267
流れ出す血を吸った草木は伸び、櫟の樹の周りは赤い草むらと化す。
その中に立つ赤い化け物はただ樹を見上げていた。

その複眼は、ほんの僅かに理性の光を覗かせるが・・・
>「デスア・ブラ…」
「ッ?!」
背後でロックの唱える呪文、そこから感じ取れる死の気配に彼は反応した。

>「怪物よ!俺と闘う気があるのなら!こちらを向いて、牙を剥くがいい!」
「マリア・ベル・・・?オオオオォァッ!!」
自身に向けられた死の予感に、過敏に反応した身体は止まらない。
文字通り獣のような速度でロックへと迫るラルヴァ。
目の前まで走りこむとそこから相手の腰の高さまで沈み込む。
相手に背を向けるような回転に引きずられるように、やはり鱗を纏い変貌した脚が足払いをしかける!

その脚払いの結果を確かめるより先。
更に右腕をロックの胴体目掛けて拳を放つ。
281ロック ◆jWBUJ7IJ6Y :2007/07/16(月) 10:58:48 O
>>280
>「マリア・ベル・・・?オオオオォァッ!!」
>文字通り獣のような速度でロックへと迫るラルヴァ。
「ぬ!?」
そのスピードに慌てるロック。
>目の前まで走りこむとそこから相手の腰の高さまで沈み込む。
>相手に背を向けるような回転に引きずられるように、やはり鱗を纏い変貌した脚が足払いをしかける! きりめみ回転しながらロックの体が宙に浮いた。怪物の攻撃は続く。
>更に右腕をロックの胴体目掛けて拳を放つ。
ロックはバットで打たれたボールのように勢いよく吹き飛ばされた。
地面にゴロゴロ転がり、やっと停止する。
ロックはよろよろと立ち上がると口から胃液を吐き散らした。
足取りもおぼつかない。ロックは口にまだ残っていた胃液を、
唾と一緒にペッと吐き捨て杖を構えた。
「んぐっ…ペリキュラム!!」
杖から花火が飛び出した。以前リリアーナとフリージアに対して目くらましに使った魔法である。
殺傷力は無に等しいが、今は自分が回復する時間稼ぎができればそれでいい。
ロックはその場で膝をついて呼吸を整えた。
282名無しになりきれ:2007/07/16(月) 16:08:11 0
>278 >279
フリージアの胸にしまってあったカプセルが落ちた。
カプセルは転がり、ヴァンの足元で止まった。
283フリージア ◆cOOmSNbyw6 :2007/07/16(月) 22:21:48 0
>279>282
胸元でキサラが何かを言っている
だがカプセル越しなので言葉がよく聞こえない
何か重要なことだといけないのでいったんキサラを外に出さなければいけないだろう
だがしかしリリアーナの足を引っ張っているフリージアは身動きが取れない
「ギズモちゃん!」
フリージアは頭の上のギズモに命じてカプセルを取らそうとした
フリージアの胸元に細長い腕を突っ込むグレムリン
何とかカプセルに腕が届いてそのまま外に出そうとするが・・・
途中でポロリと取り落としてしまった

落ちたカプセルはころころと転がっていく
どうやら吸血鬼の足元まで行ってしまったようだ
そしてその吸血鬼にはリリアーナがめり込んでいる
「誰でも良いからカプセルを開けて差し上げて!!」
リリアーナを引っ張りながらフリージアはこう叫んだ
284ラルヴァ ◆sy1IQNBWp6 :2007/07/17(火) 10:11:59 0
>281
ロックの胴体を打ち抜くように放った拳、その違和感と
服はともかく、皮膚に損傷の無い姿を見てラルヴァは首を傾げている。
何故、体を貫けないのか不審がる眼で吹き飛んだロックに目をやると・・・

>「んぐっ…ペリキュラム!!」
目の前の棒きれ(杖)から飛び出した花火は
ちょうどロックに眼を向けたラルヴァの顔に直撃した。
獣のような呻き声を上げ、右手で顔を多い蹲る。
その左手が何かを探すように地面を叩いている。

ロックの狙い通り、立ち直るまでの僅かの隙ができた。
285メラル ◆1LtyyBHC/M :2007/07/17(火) 18:33:43 0
>「ああ、オレはユユ。合ってるよ。
  状況?さぁ?何かヤバそうなヤツが野郎と殺り合ってるんじゃ無いのか?」
>「アレが攻撃的になったらアイツは終わるな。
  もう出し惜しみ………出来ないか。」
当たり前なのだろうが…ユユは現状に関して一部誤解をしているようだ。
なので、事実とは異なる、しかし誤魔化しにはなる程度のことをまず言った。
「…間違っても殺さないで。彼、多分…魔力が暴走してるだけで、人間だから。それと…」
更に、概ねの事情は説明し…しかし、肝心な所。ロックに関しては深く言及せず、
マリアベルが無理やり"体を乗っ取ったが今はどういう状況かわからない"
と言う程度の説明に留めた。因みに自分の目については…言うまでもなく語りはしなかった。
その後で一言付け加える。
「そうそう。この件が解決した後で、この事件について下手に口外すると…多分、
 洒落にならない人間を怒らせる事になると思うから気をつけた方がいいわ。」


リリアーナが鏡を探しているようだが、そちらにはメラルは口を出さなかった。
アルがいろいろ暗躍しているのが見えたのと、そもそもメラルはそのヴァンパイア
に対しては、もうそこまで警戒する必要を感じなかったのだ。
それよりも問題はロックであった。呪文の詠唱を途中で中断したようだが、
それだけで、禍々しい魔力が周囲に漏れ出していたのに気付いたのだ。
(術も発動してないのに、これだけの魔力…。今更だけど、今の術…
…暴走してた時の私のあの術とは…比べ物にならない…。)
ロックに視線を向けていると、リリアーナの声が聞こえた。
>「レイド先生、ロックを止めて!!絶対に死の呪文を使わせないで!!」
(…死の呪文?…禁呪の筆頭ともいえる…偶発的発見をした者ですら処刑されかねない
代物の一つじゃない!それじゃ、今の彼は…)

呪文に呼応するようにラルヴァがロックに襲い掛かり、ロックが逃げの一手を打った。
リリアーナの方はなにやらややこしい事になっているようだが、力仕事では自分は役に立たない。
重力系の術を併用すればいいのだが、リリアーナへの影響が不安であった。
逆に、リリアーナ達に考えがあるのなら、ラルヴァとロックの戦闘に対しては…
少なくとも決着を引き延ばす必要がある。
「…ユユ…悪いけど…リリアーナの方は任せたわ。私は…時間を稼ぐ。」
相変わらずその小柄さに似合わぬ強い口調で言い、ラルヴァとロックの方に向け、飛び出すと…
「…ピンポイント。」
ラルヴァに向けて、杖から斥力球の術を撃つ。狙いは、体の重心から明らかに遠い…脚。
しかも、圧縮率を中途半端にして範囲を広げた為、当たってもバランスを崩す事こそあれ、
大怪我をする事はまずないだろう。そして、メラルは更に接近して行った。
かなりの近距離からロックに手を向ける。
「ウォーターバスター。」
これも、吹き飛ばすならともかく、殺傷力はろくにない技である。
雪山で使うのは、ある意味かなり凶悪なのだが、寒さに慣れている
メラルにその自覚はない。メラルは、言葉通り…他の皆が対処に動くまでの間、
時間を稼ぐ為だけの攻撃を目的にしているのだ。
286ロック ◆jWBUJ7IJ6Y :2007/07/17(火) 22:08:44 O
>>284>>285
ラルヴァの視界が回復する頃には、ロックは既に準備万端で杖を構えていた。
「デスア・ブラ・カ…」
しかし、またロックは永昌を中断した。
メラルがロックとラルヴァの間に割って入ったからだ。
>「…ピンポイント。」
メラルの術がラルヴァに放たれる。
ロックは怒りながら彼女に怒鳴った。
「これは男同士の戦いだぞ!女は邪魔をするな!」
ロックは自分で言って驚いた。
本来ロックはこんな怒り方をしない。
ロックは自身で気づいていた。
デスア・ブラ・カダブラ、つまり死の呪文。
これを唱える度に(しかも完全に唱えたわけでもないのに)、
自分の心が黒くなるような気がするのだ。そして、メラルは
>かなりの近距離からロックに手を向ける。
>「ウォーターバスター。」
不意をつかれる形となったロックは、
あっさりとメラルのウォーターバスターに吹き飛ばされた。
「ゲホ!ゲホ!」
ロックは少し水を飲んでしまった。
ロックはむせ終わると、何事も無いように(実際何事も無いのだが)立ち上がる。
「邪魔をするなと…!」
ロックはメラルに杖を向けたが、すぐに空いた方の手で杖腕を押さえた。
男は女に手をあげない!が、ロックの信条だからだ。
しかし、今は違った。
>「やるんだロック!殺せ!殺せ!」
もう一人の自分がしきりに彼女を襲いたがっている。
「何故?…」
ロックはいきなり独り言を呟いた。
いや、実際は心の声に対する返答なのだが、周りからすれば独り言でしかない。
「女の子は…」
ロックは杖を持っていない片手で頭を押さえた。
「男が命を賭けて守るものじゃないのか?」
しかし、言葉とは裏腹に杖は再びメラルを狙う。
杖先に小さな光がともる。このままでは何かしらの魔法が発動しそうだ。
287ユユ ◆LZfunhEVsc :2007/07/17(火) 22:43:20 O
>285 etc
何かゴタゴタ隣の人が説明している事に時々耳を傾けつつ、吸血鬼さんに吸い込まれている少女をさらに引っ張る少女という凄くシュールな様を見ていた。
これ絵にしたら騙し絵くらいに見られるんだろうな。絵心の無いオレが残念だ、良い絵になるだろうに。
またどうでも良い考えに耽っているオレに隣の人は何やら不穏な言葉で説明をしめた。
「そうそう。この件が解決した後で、この事件について下手に口外すると…多分、
 洒落にならない人間を怒らせる事になると思うから気をつけた方がいいわ。」
御忠告どうも。でも誰が『校舎が塔になったんですぅ』なんて与太話を信じるんだ?ソイツの頭ん中はお花畑か農作地に違いない。
………いや色々有り得ないだろう事は起こってるけど、オレが相手するのは大抵が非魔術師なので。
魔術師は好きじゃない。………なんとなく。

「…ユユ…悪いけど…リリアーナの方は任せたわ。私は…時間を稼ぐ。」

ほら、これだもん。勝手に役割決めて、勝手に突っ走る。
まぁ、少しは観戦してやろう。………あれ?何かオレも尊大な気が。まっ、良いや。
少し見てて解ったが、あの野郎も大概だ。ハンパ無く強いんだろう。
でも、それは魔力の話。魔術師君達には悪いが、戦闘の優劣は魔力の量じゃ決まらんのよ。
一対一ならモノを言うのは『速さ』。反射、詠唱、行動、思考。etc
これらの『速さ』は相手と較べ、どれだけ事を有利に運べるかが決まってくる。あくまでオレ個人の経験上の実感として。
で、力や経験といった諸々が続くと。

見たところ野郎と隣にいた人は図らずして連携し、アレの姿勢を崩す様だ。
んで、どうするんだ?マウントでもとるか?とりにいったらミンチになるんだろうけど。
駄目だ。先の展望が無さ過ぎる。こかしたトコであの腕が届く範囲は割れないんなら意味が無い。
時間を稼ぐにしても牽制して、意識こっちに向けて逃げ回った方がまだマシに思う。
力押しが通じる相手でも無いだろう。
だから、見ていられないから、少し隣に居た人を追い掛けて提案する。
「オレさ、女の子って何処掴んで引っ張ったらいいか解んないんた。
でさ、こういうのは同性の方が後腐れが無くていいんじゃ無いかな〜、とかね?
どうかな?…メラル嬢。」

それから舐められてると多分、却下されるので力を誇示してみる。
………好きじゃないんだけどね?こういうの。
足下の草を引き抜く。
集中。
(精製、開始。………形状変換、………材質改変、………魔力、付加……)
これぞ努力の結晶。『精製』。かなり難しいが、弓兵にとってカサバって邪魔な矢を現地調達できる、便利魔術。オレの体質的にも魔力を安定して使えるので、コンスタントに使える。
草だった物も今では立派に矢。
それをつがえる時、メラルの巻き添えを喰らった野郎が悪態を吐きながら、その杖に薄い光を灯らせた。
おいおい………。味方同士で潰し合いか?
仕方ないから、野郎の杖を吹き飛ばすべく、矢を放っち、野郎に作った不遜な笑みを見せる。
「オレはすっこんでろとは言わんけどね?」
そして気付いてくれるか解らないけど、メラル嬢にアイコンタクト。
(どっちもヤバそうだし、二人で対応しようや。……矢面に立つのは君の方向で)
288リリアーナ ◆7O/3IU/E7M :2007/07/18(水) 00:21:21 0
>278
吸血鬼の中――――学園長室に落っこちそうなリリアーナを支えたのは、フリージアだった。
>「重いですわ!!」
「ご、ごめん、また足引っ張っちゃったー!!」
リリアーナは掠れ声で謝った。

フリージアと二人がかりで引っ張っているというのに、鏡の重さはいや増すばかりだった。
引き上げようとすればするほど重みを増していく。
おかしな話だった。そもそも、ただの鏡がこんなに重いはずが無いのだ。
(そういえば・・・ギルハートは鏡を動かすのにこんな苦労してなかったわよね?)
――――結果、考えられることはひとつ。
「わかったわ!この鏡は持ち主以外扱えないんだわ!」
鏡を動かすには、所有者をギルハートからリリアーナに変更すればいい。
やり方は簡単だ。リリアーナの名前を鏡に書き込めばいい。
だが、実際のところ話はそんなに単純なものではない。契約解除には膨大な魔力を消費するのだ。

だが迷っている暇は無い。
片腕にかかる重みに腕が千切れそうだが、今は耐えるしかない。
(あれ・・・・・・・?)
少しだけ鏡が軽くなった気がする。まるで、誰かが下から支えてくれているようだ。
だが学園長室には誰もいない。
リリアーナは首を傾げながらも、ごそごそとペンを取り出した。
(・・・・・??? 私、こんなの持ってたっけ?)
ポケットから出てきたペンは、翼があしらわれた軸に、二匹の蛇が絡み付いていた。
だが今はそんなことを考えている場合ではなかった。
リリアーナは急いで鏡の裏にペンを走らせた。
抵抗するギルハートの残留思念がどっと流れ込んでくる。
たとえ残留思念とはいえ、前契約者はギルハートだ。抵抗も並大抵のものではなかった。
「や・・・やっぱり・・・キツイかも・・・・・」
名前を刻むたび、痛みとともに魔力がごっそりもっていかれるのを感じる。
でも、止める気など無い。
ギルハートの呪詛を聞きながら、リリアーナはせせら笑った。
「貴方は言ったわよね、私と貴方は互いに分かり合えると。
 ええ、本当にそう思うわ。
 ギルハート、私がやろうとしている事は、私の友人ロックが望んでいる事なのよ!」
リリアーナは震える腕で、最後のスペルを書き込んだ。
「――――だから、鏡は私が貰っていくわ!」
彼女の刻んだ名前から白い閃光が走り、瞬く間に鏡全体に広がった。
あまりの眩さに目を閉じたのと、鏡から『重さ』が消えたの同時だった。
289リリアーナ ◆7O/3IU/E7M :2007/07/18(水) 00:23:11 0
「取った!・・・・・・・って嘘 ――――――――っ?!」
突然鏡の『重量』が消失したのだからたまらない。フリージアを巻き込み、もんどりうって倒れてしまった。
それでも鏡だけは手放さなかったのはさすがというべきか。

「ご・・・ごめんフリージア、大丈夫だった?!」
謝罪するものの、リリアーナは地面に転がったままだった。
消耗しすぎて起き上がれないのだ。
だが蒼白な顔色とは裏腹に、彼女の目は喜びに輝いていた。
「見て! ついに手に入れたわ、ギルハートの鏡!・・・ううん、今はリリアーナの鏡、かな?」
リリアーナは得意そうに笑うと、鏡をフリージアに差し出した。
フリージアに託すのは所有者の意思なので、鏡が重いと感じることは無い。
「フリージアお願い。手遅れになる前にこの鏡にロックを映して。
 そして強くイメージするの。鏡を使って、ロックの内にある『闇の魔法使い達』を引き剥がすのよ。
 フリージアの強い精神力があれば必ずできるわ。だから・・・手遅れになる前に・・・」

>279
リリアーナは手を伸ばすと、使い魔収納カプセルのボタンを押した。
「ここは危ないわ。キサラ、レイアを連れて早く逃げて。
 マリアベルも15センチに縮んだ部外者を追ったりはしないと思うから。
 ・・・・・・ああ、私のことは気にしないで。今からこの吸血鬼と大事なお話があるから」
どうもリリアーナは、キサラのけがが治っていないと考えているようだ。
回復魔法を付与したキャンディを知らずに渡したのだから当然と言えば当然である。

>275
リリアーナは地面に手足を投げ出したまま、吸血鬼を見上げた。
「吸血鬼、魔女に二言は無いわ」
だるそうに大きなため息をつくと、ゆっくりと目を閉じる。
放っておけばそのまま眠ってしまいそうだ。
「・・・やっぱり血を吸われたら、私も吸血鬼になるのかしらね?
 だとしたら・・・ネズミ講みたいに世界中吸血鬼だらけになっちゃうわね・・・」
290フリージア ◆cOOmSNbyw6 :2007/07/18(水) 06:08:25 0
>289
>「取った!・・・・・・・って嘘 ――――――――っ?!」
リリアーナさんが急に軽くなった?
と思うと同時に盛大にすっぽ抜けた
「あ〜れ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
どんがらがっしゃん
巻き込まれるフリージア
一緒に倒れるギズモ
ちょっと痛くて涙目だ
>「ご・・・ごめんフリージア、大丈夫だった?!」
「特に問題はなくてよ」
お〜ほっほっほと笑うフリージア
>「見て! ついに手に入れたわ、ギルハートの鏡!・・・ううん、今はリリアーナの鏡、かな?」
>「フリージアお願い。手遅れになる前にこの鏡にロックを映して。
>そして強くイメージするの。鏡を使って、ロックの内にある『闇の魔法使い達』を引き剥がすのよ。
>フリージアの強い精神力があれば必ずできるわ。だから・・・手遅れになる前に・・・」

「判りましたわ!!」
力強く返事をするフリージア
そのまま鏡をロックの方向に向け
「こっちを見るのよロック!!」
さん付けなしで呼ぶのに成功するフリージア
そして念じるロックとそれ以外の邪悪な人格が別々の存在になるようにと
「鏡よ鏡、鏡さん!今こそその力を示すのよ!!」
291レイド ◆M07.CI9OF2 :2007/07/18(水) 08:16:16 O
>275段々と弱まっていく蝙蝠を見て、吸血鬼は俺を睨みつけやがった。
この野郎。
ヘボ吸血鬼の分際で俺を睨みつけるとは良い度胸だ。
「おい、ヘボ。お前は勘違いしてるぞ。
俺はお前の使い魔とは契約を交わしちゃ…」
と、説明をしようと思ったがわざわざ説明をするのも面倒なので止めた。
勝手に勘違いしてろアホ。

>276そういやリリアーナに言われて思い出したが、まだクドリャフカの捜索が残っていたのを忘れていた。
最近物忘れが激しいね…。
もう歳かな…嫌だ嫌だ。
>「レイド先生、ロックを止めて!!絶対に死の呪文を使わせないで!!」
なんだと…ロックの奴…死の呪文なんか覚えていやがったのか。
本格的に闇の魔法使いに近づいてやがるな…。
ロックは俺が止める前に詠昌を止めた。
ロックの無駄な男気が背後からの攻撃を認めなかったらしい。
>280->281が、多分マトモに殺り合ったらロックに勝ち目は無いなこれは…。
戦闘能力に差が有りすぎる。
だが、男同士のタイマンに俺が割って入るってのは…
>285->286って、俺が遠慮してたのにメラルちゃんがやってくれたよ…。
しかし…ロックの様子が何かおかしいぞ。
いくら邪魔をしたからって女子にあんな言い方をする様な奴じゃないと思っていたが…。
アイツ、もしかしてマリアベルに体を乗っ取られかけてるのか?
しまいには独り言まで始める、メラルに杖を向ける始末だ。
>287メラルに向けた杖の先が光を灯した瞬間、一本の矢が魔法の発動を阻止する。
「ヒュ〜。なかなかやるじゃないか。」
>「見て! ついに手に入れたわ、ギルハートの鏡!・・・ううん、今はリリアーナの鏡、かな?」
おっと、ついにリリアーナは鏡をゲットしたみたいだ。
事態は大分良い方向に向いてきてるな。
後はタイマンをさっさと終わらせないと…むしろタイマンじゃなくなったが。
「召喚!グラビティ!」
傷付けつけたくない相手の動きを止める時はこういう系統の武器に限るね。
俺はロックとラルヴァに向けて2発ずつ銃弾を放った。
2発当たれば40kg…マトモには動けないだろう。
>277
>「ちょっと待ちなさいよ、勝手に殺さないでくれる?」
コウモリの場合、死を弔うために行われる祭儀は仏教方式でいけばいいのか教会方式のほうがいいのか。
どっちが成仏しやすいのかということを悩みに悩んでいるときに、リリアーナから一声がかかった。
主であるヴァンの体調が万全ではないため、この使い魔にまで魔力が行き渡っていないので衰弱が始まったのだ、とリリアーナは説明する。
不審と警戒しつつも、律儀に人間の言うことを最後まで聞いているあたりはまだ希望が捨てきれないということ。
まだその使い魔は生きている。
懐の死体と思っていた仲間たちを見てみると、確かにごくかすかだが生きているのがわかった。
ほっと安堵のため息をポツリとして表情が和らいだ。
しかし、まだ生きているというだけであって、このままではいずれは死んでしまう。
このコウモリを助けたいかという問いに対して、ヴァンは黙って頷いた。


現在の状況を見てみることにしよう。
リリアーナがヴァンにめり込んでいます。
どこかおかしい説明になっているが、正確にいうと彼女の上半身はヴァンの内部にある空間にずっぽりと身を埋めている。
学園のとある一室と融合しているためにこのようなことが可能であるのだが、
一体なにをされているのかわからないヴァンはおろおろとするばかり。

>283
カプセルが足元落ちてきたようだが、リリアーナ曰く「絶対に動かないでよ!」ということなので拾うことはしない。
代わりに元気な使い魔のコウモリが洞窟から現れると、カプセルを足で掴んで主人の手の届く位置まで持ってきた。
「開けろっていったって、どうすりゃいいのよ?」
わからないことは考えてもしょうがないと、使い魔に命令してカプセルを地面に投げ捨ててしまう。


>289
>「取った!・・・・・・・って嘘?――――――――っ?!」
暇すぎて欠伸がでそうな頃合になって、ようやく目当てのものを見つけたリリアーナが飛び出てきた。
手にしていたのは鏡であり、それを一緒になって倒れたフリージアに手渡ししている。

>「・・・やっぱり血を吸われたら、私も吸血鬼になるのかしらね?
> だとしたら・・・ネズミ講みたいに世界中吸血鬼だらけになっちゃうわね・・・」
使い魔を助ける方法とはつまり、自らの血を差し出してそれを魔力の糧とせよということだった。
「安心しろ…血を吸ったからといって別に吸血鬼になるわけではない」
大昔から続いている正純な本家本元の吸血一族ならともかく、名も売れていないたかが没落吸血鬼一族にそんな真似は不可能だった。
ある程度研究と年月をかければ使えるようにはなるのだがまったく必要もないし、できなくても困る訳ではない。
さして問題もないのなら別に使えなくてもいいじゃない、というような考え方でまるで生産性がないのが没落吸血鬼たるゆえんであろう。


魔女の血の味はどんな味がするのかな?
早速確かめるべくヴァンは食事の前に手を合わせた後、リリアーナの腕に鋭く尖った二本の犬歯を突きたてた。
しばし吸血中。
これでもかというくらいに吸いまくる。
リリアーナが立ちくらみしてきて、軽い貧血気味になったところでヴァンはその口を離して一言。
「いまいち」

満腹なるまでの吸血によって魔力が湧き水のごとく溢れてくる。
さっきまで死にそうになっていた使い魔たちも、いまではすっかり元気になり空を飛んでいた。
293ロック ◆jWBUJ7IJ6Y :2007/07/18(水) 21:43:25 O
>>287
ユユの放った矢はロックの持つ杖を強く打ち、砕いた。
ロックはほっと安心したような、そして怒ったような顔をした。
「貴様ぁ!」
ロックの右手が燃え出した。
「燃え上がれ!俺の魔力!
 はあぁあ!ホウヨクテンショウ!!」
ロックがユユに向けて右手をつき出すと、そこから大きな炎の拳が吹き出した。

>>291
そこへ飛来する二発の銃弾、体にめり込むその感触にロックは懐かしい気分になった。
ああ、そうだ。三ヶ月前もこれにやられたなぁ。ははは。
ロックはがくりと膝を落とした。それでも気合で何とか立とうとしている。
「気合いだぁ!!」

>>290
>「こっちを見るのよロック!!」
「何だ?」
フリージアに呼ばれてそちらを見るロック。
>「鏡よ鏡、鏡さん!今こそその力を示すのよ!!」
フリージアの言葉に反応し煌めく鏡。
一際強く輝いた瞬間、魔法の鏡はバーンと派手な音を立てて砕け散った。
フリージアが再びロックの方に目をやると、
二人のロックがびっくり仰天した顔をして地面に転がっていた。
そう、ロックとマリアベルは今まさに“他人”となったのだ。
294ラルヴァ ◆sy1IQNBWp6 :2007/07/19(木) 10:24:16 0
激しく戦う二人の所にさまざまな乱入者が訪れた・・・。

>「…ピンポイント。」
突如接近してきたメラルの放つ斥力球はラルヴァの左足に直撃、一瞬よろける・・・が
ラルヴァはそこから自分でバランスをより崩し回転、右足で斥力球を踏みつける!
斥力の反発を利用するように跳躍したラルヴァは、ウォーターバスターを放った後のメラルの頭上を越えて・・・・・・

>言葉とは裏腹に杖は再びメラルを狙う。
メラルへ杖を向けるロックの前に立った。
その杖が輝きを灯した瞬間、真横からの矢が杖を弾く・・・。
>「オレはすっこんでろとは言わんけどね?」
殺気のない乱入者の攻撃にラルヴァはいささか困惑した表情を浮かべていた。

だが、ロックが再び動き出した事でラルヴァは迷いを捨てて動く。
>俺はロックとラルヴァに向けて2発ずつ銃弾を放った。
>はあぁあ!ホウヨクテンショウ!!」
自分に向かって飛来する銃弾二発を左腕を振り上げるようにガードする。
銃弾が鱗を食い破って肉に達する。そして左腕に計40kgの負荷が発動する。
ラルヴァはその勢いを駆って、ロックの右腕から吹き出す炎の拳に向かって自分の拳を振り下ろした。

40kgの重りも、動きを遅滞させるぐらいでラルヴァは全身の力で拳を持ち上げる。
単純な破壊だけでは駄目だと悟ったのだろう。腕力+40kgの負荷のかかった拳をロックへと向けるが・・・
>二人のロックがびっくり仰天した顔をして地面に転がっていた。
これには流石にラルヴァも眼を見開く。獲物が二体になったのだから、どうしたものだろう?
迷いは、すぐに消える。野生の勘を持ってただ打ち砕く、それが現在のラルヴァの心理。
右腕の力も借りて、ゆっくりと頭上へと振り上げた拳は二体のロックの内の片方へと勢いを持って振り下ろされる!
両手両足を投げ出し倒れたままのリリアーナ。
貧血気味で霞んだ視界に、何か小さな黒いものが映りこむ。
ふわりふわりとまるで落ち葉のような動きを見せながら、それは徐々に大きくなってくる。

「リリアーナの体の上を通り過ぎていく男達。
そして今、願いの代償を払うため、見も知らぬ吸血鬼に身体を開こうとする。
嗚呼、リリアーナの愛の劇場。終着駅はいずこ?」

朦朧とした頭にもやたらとはっきりと届くその声は、嫌というほど聞き覚えがあっただろう。

倒れたリリアーナの顔の上に着地したミニアルナワーズ。
「リリィ、起きなさい。
貧血も血を吸われたのも気のせいよ。」
リリアーナの耳元でぱちんと指を鳴らすと、今までの貧血症状が嘘のように消えているはずだ。
そして腕にあるはずの吸血痕も・・・

そう、ヴァンエレンがリリアーナを前に頂ますをした瞬間、二人はミニアルナワーズによって催眠状態に陥ったのだ。
「協力してくれた吸血鬼さんにリリィの貧乳な・・・
じゃなかった・・・あ、うぅん、リリィが貧乳なのはあっているんだけど・・・ぷぷっ・・・
この場合は魔法の使えない貧相な血でもてなすなんて失礼だとおもてぇ〜。」
くすくすと笑いながら、横道に逸れつつ、何とか本題を言い切る科白はいかにも楽しそうだ。
ひらひらと旗のように振りかざすのは、一枚のハンカチだった。
それはロックの鼻血をたっぷり吸い込んで滴っていたハンカチ。
だが、今はヴァンエレンによって吸いきられ、干乾びた状態になっている。

魔力濃厚の血を含んだとはいえ、ハンカチを吸って満腹気分にさせているのだ。
その味は限りなく薄まって「いまいち」という感想も仕方がないだろう。
それでも元気一杯になっているヴァンエレンを見ながら
「プラシーボ効果ってす・て・き(はぁと)」
と嘯きながらキサラに目配せをした。

当事者であるリリアーナとヴァンエレンは血を吸ったつもりでいても、傍から見ればハンカチを吸っていた間抜けな姿だったのだ。
それを合えて口に出さないように、と含みを持たせた目配せである。

そんなことをしつつ、リリアーナが起き上がるのを待っていた。
吸血こそされなかったものの、蓄積された疲労は実際にあるのだから。
「リリィ。寝ている暇はないのよ?
メラルも、ユユも、レイド先生も、足止めしててくれてる・・・。
ラルなんてあんな燃費の悪い・・・ううん、魔力垂れ流し状態で頑張ってくれているのよ。」
ラルヴァの足跡から茂る木々は、その限界は近く訪れるだろうと物語っている。
そして響き渡るガラスの砕ける音。
「さあ、フリージアのおかげで漸くスタートラインに立てたんじゃない。
もう少し頑張って。私は応援してるから(はぁと)」
二人のロックが現れるのを見ながら、リリアーナに手を振りつつ後ろに下がるのであった。
296リリアーナ ◆7O/3IU/E7M :2007/07/19(木) 21:27:27 0
>292
「いまいち」と評され、リリアーナは渋い顔をした。
「そりゃそうでしょ。出がらし同然なんだから。・・・ちょっとは遠慮しなさいよね〜」
ギルハートの鏡を手に入れるのに大幅に魔力を消費したのだ。血が不味いのは当然でもある。
「・・・・・・ま、良かったわね」
朦朧とした意識の中で、リリアーナは小さく呟いた。
たとえ魔物相手でも、仲間が死んだと目の前で泣かれては目覚めが悪い。
特に相手から人的被害を受けていなければ、なおさらである。

>295
今にも眠り込んでしまいそうなリリアーナの頭に、嫌なモノローグが直接響いてきた。
>そして今、願いの代償を払うため、見も知らぬ吸血鬼に身体を開こうとする。 
>嗚呼、リリアーナの愛の劇場。終着駅はいずこ?」 
こんなことを面と向かって言える生徒は、学園広しといえども一人しか知らない。
「身体を開くって・・・あのねぇアル、私は魚の干物じゃないっての。
 あんまり誤解を招くようなこと言わないでくれる?」
リリアーナのぼやきなどどこ吹く風で、アルはマイペースに続けた。
>「リリィ、起きなさい。 
>貧血も血を吸われたのも気のせいよ。」
「ちょっとアル、人の話を聞いてる?・・・って・・・・・・・・・・・あれっ?」
アルが指を鳴らしたとたん、失血の症状は嘘のようにきれいさっぱり消え去っていた。
腕の吸血痕も跡形も無い。
まるで白昼夢でも見たかのようだ。

呆然としているリリアーナを尻目に、アルは心底楽しそうに状況を説明し始めた。
>「協力してくれた吸血鬼さんにリリィの貧乳な・・・ 
>じゃなかった・・・あ、うぅん、リリィが貧乳なのはあっているんだけど・・・ぷぷっ・・・ 
>この場合は魔法の使えない貧相な血でもてなすなんて失礼だとおもてぇ〜。」 
アルはひらひら干からびたハンカチを手にしながら悪びれもせずに言った。

今の説明で、大体の事情はわかった。
アルはリリアーナが血を吸われる直前、催眠術を駆使して庇ってくれたのだろう。
確かに魔力も体力も低下している状態で血を失えば生死にかかわる。
アルは命の恩人だと言えよう。だが。
「魔法の使えない貧相な乳・・・じゃなかった!血でわぁるかったわね!!」
さすがに今の暴言はあんまりである。
リリアーナは怒りのオーラを纏いながら、ふらふらと立ち上がった。
そのとたん、アルは急に真面目な顔になった。
>「リリィ。寝ている暇はないのよ? 
>メラルも、ユユも、レイド先生も、足止めしててくれてる・・・。 
>ラルなんてあんな燃費の悪い・・・ううん、魔力垂れ流し状態で頑張ってくれているのよ。」 
思いきり出鼻を挫かれたリリアーナは、拳を振り上げたまま口をパクパクさせた。

>そして響き渡るガラスの砕ける音。
リリアーナは殴られたかのような表情を浮かべると、強く胸を押さえた。 
>「さあ、フリージアのおかげで漸くスタートラインに立てたんじゃない。 
>もう少し頑張って。私は応援してるから(はぁと)」 
「・・・一応礼は言っておくわ。ありがと、アル」

>292
リリアーナは何度か呼吸を整えたあと、まだ呆けたような顔をした吸血鬼に視線を向けた。
「あなたさっき言ってたわよね?『なにもしてないのに、魔物と見るや際限なく殺しおって』
 じゃあ魔物はどうなの?  あなただってさっき、私を食べようとしてたじゃない」
聞こえているのかどうか怪しいが、フリージアの頭を眺めながらリリアーナはなおも続ける。
「魔物がみんなギズモみたいだったら、私たちだって血なまぐさいことをしなくて済むのにね」
297リリアーナ ◆7O/3IU/E7M :2007/07/19(木) 21:28:36 0
>290 >293-294
リリアーナは、精一杯急いでフリージアへと駆け寄った。
「フリージアありがと! ところで、体のほうは何とも無い?」
鏡が砕けた時ダメージが自分に返ってきた。
だからリリアーナは、使用したフリージアの体が心配だったのだ。

役目を果たした鏡はこなごなに砕けたが、目論見どおりロックとマリアベル達を別の存在に別ける事には成功したようだ。
ラルヴァの右手が、勢いよく振り下ろされる。
(さすがに一筋縄ではいかないわね)
先ほどロックに、レイドの銃弾が命中したのをリリアーナも見ていた。
銃弾の効力は、3ヶ月前身をもって知っている。
「ロック、早くこっちへ!」
次にリリアーナはマリアベルに目を向けた。
鏡の持ち主だったリリアーナには、どちらがマリアベルか何となく見分けがつくようだ。
「マリアベル、あなたいったいここへ何をしに来たの?」
リリアーナはあえて『学園』とも『山頂へ』のどちらとも取れるような言葉を選んでいた。
「もうこんな無意味なこと止めない?
 ねえ、おとなしくギルハートが先生達にかけた呪いを解いて、学園を元に戻す気は無い?」
召喚したロックバスターを構えつつ、一応の説得を試みる。
298フリージア ◆cOOmSNbyw6 :2007/07/19(木) 22:07:33 0
>297
鏡を使った負担は思ったよりは大きかった
具体的にはフリージアの最大の魔法であるフリージングディストラクション一発分の魔力を持っていかれたのだ
「こんなにも魔力を消費するなんて思いませんでしたわ」

>「フリージアありがと! ところで、体のほうは何とも無い?」
「お〜ほっほっほ!体は大丈夫ですわ!!・・・魔力はすっからかんですけれど」

そして簡単にマリアベルとロックを見分けるリリアーナ
「・・・・やっぱり鏡の魔力で分離したから左右逆なのかしら?」
何とかリリアーナのように二人を見分けようとするが・・・・難しいようだ
フリージアにはどっちがどっちか判らなかった

「お祖母さまならこういう時どうするのかしら?」
と祖母が同じ状況に立った場合をシュミレーションしてみるフリージア

・・・・結論
両方とも問答無用で攻撃呪文で吹っ飛ばす

「どう考えてもこれは駄目ですわね」
フリージアは即効でこの考えを却下した

では先ほどのように女性の胸を見せてはどうだろうか?
「好きでもない殿方に胸なんか見せられませんわ」
これも却下である

とりあえずリリアーナを信じて見ることにするフリージア
見分けをつけるために
「とりあえず見分けが付かなくてややこしいからこれを着けてくださる?」
と自分が着けていた猫耳バンドをロックに手渡した
別に頭に着けろとは言ってはいない
首にでもぶら下げればいいのである
299メラル ◆1LtyyBHC/M :2007/07/20(金) 19:21:52 0

ラルヴァはメラルの攻撃を逆に利用し、空高く跳躍した。
(とんでもない反射神経ね…。いえ、それ以前に…こんな作戦を取れるなんて…
理性を保っている?それとも本能で?)
>「これは男同士の戦いだぞ!女は邪魔をするな!」
(そんな都合。知らないわよ。それに、男優位の考え方も気に入らないわね。)
メラルはロックを水で吹き飛ばした後で、術を継続せずに解除して次の術を準備し始める…と、
ユユが話しかけてきた。
>「オレさ、女の子って何処掴んで引っ張ったらいいか解んないんた。
> でさ、こういうのは同性の方が後腐れが無くていいんじゃ無いかな〜、とかね?
> どうかな?…メラル嬢。」
(…今更下がる事はできないわよ。多分、もう二人とも。)
考える素振りを見せつつも、結論はほぼ決めていた。しかしまだ術の詠唱は続けている。
>「ゲホ!ゲホ!」
>「邪魔をするなと…!」
>「何故?…」
>「女の子は…」
>「男が命を賭けて守るものじゃないのか?」
口調、行動。そのどれもが不自然である。ロックがメラルに杖を向け、
メラルが呪文を使おうとすると、ラルヴァがロックの前に着地、
更にユユがロックの杖を破壊した。
「オレはすっこんでろとは言わんけどね?」
(要は二人で…って事ね。でも…実際それしか無さそうね。)

ロックがユユに反撃しようとしたので、メラルが迎え撃つ為の術を放とうとして…止めた。
(確かこれ…炎の術…!あの氷の術じゃ防げない…!)
「…ユユ、避け…!」
途中で言葉を止めたのは、レイドの術がロックとラルヴァにクリーンヒットした事と
ラルヴァが炎の拳の阻止に入った事が原因だ。
(レイド先生の今の術…重力系列だったみたいだけど、私にもわかるほど明らかに傾向が違ったわね…。
動きが不自然になってるし、多分これなら私の術の効果も…。)

フリージアの声が響き、鏡の力で、ロックが…増えた。恐らくどちらかがマリアベルなのだろう。
そこにラルヴァが判別もつけずに追い討ちをかけようとしているように見えたので、制止に入る。
「…ピンポイント。」
今度は殴ろうとしている方と逆側の腕と脚辺りを狙った二連射である。特に
脚辺りを狙った方は下手をすればロックを巻き込むのだが、先ほどと同じで
当たっても大したダメージにならないよう調節はしてあるようだ。
その上で、メラルが視線をロックとラルヴァから外さずに言った。
「先生。…この状況で、ロックと…もう一人…まず、マリアベルでしょうけど…
 を…魔力で見分けられませんか?どうせマリアベルも偽装位既にしている
 でしょうけど、先生なら何とかなるかもしれませんし。
しかし、メラルの狙いは別である。メラルが狙ったのは、今の状態から、どちらかのロックが
不自然に魔力を動かそうとするかを見極める事である。最も、マリアベルがそちらにも
しっかり気を回して偽装を強化でもすれば、メラルには見抜けるわけが無さそうだが。
そして、ドサクサに紛れてレイド先生から言質を取ろうとし出したようだ。
「後、言う機会を逃しちゃったので今言いますが、テストや課題の免除は…
 自分の為にならないので私は遠慮します。
 それより、今の重力の術を個人的に教えて頂けますか?」
300マリアベル ◆jWBUJ7IJ6Y :2007/07/20(金) 20:51:00 O
>>294>>299
>「…ピンポイント。」
二連射の斥力球がラルヴァに当たる。
(少し時間が稼げたな…これだけあれば十分だ)
片方のロック、つまりラルヴァに殴られそうなロックは両掌を前に突き出した。
「ヘクト・プレ…」
この時点でラルヴァの拳がロックにコンタクトする。
「ッシャー!!」
肉に拳が食い込む前に術が発動した。
ロックの掌から見えない力、圧力波が放たれる。
今度はラルヴァが吹き飛ばされた。
(対したダメージは無いだろうな、ただの圧力だし。)
ロックはゆっくりと立ち上がった。
(やっぱり杖が無いとだめだな。)

>>297
>「ロック、早くこっちへ!」
>「お…おう!」
呼ばれたロック、つまり何もしていなかったロックはリリアーナの方へ移動した。
体に負荷がかかっているためか、ハイハイで移動する。
そしてリリアーナはこちらに目を向けた。
「…バレたか?」
マリアベルはおどけたような笑みを向けた。
ラルヴァの勘は正しかった。彼が襲いかかったのはマリアベルだったのだ。
>「マリアベル、あなたいったいここへ何をしに来たの?」
マリアベルはその表情を崩さずに応えた。
「君達こそどうなんだ?何を思ってここまで来たのか…
 俺は理解に苦しむぜ。」>「もうこんな無意味なこと止めない?
> ねえ、おとなしくギルハートが先生達にかけた呪いを解いて、学園を元に戻す気は無い?」
マリアベルは周りを、まるでたった今その素晴らしさに気づいた、
といった感じで見回しながら言った。
「悪いが俺にはこの場所が必要だ。よって、学園を元には戻せない。
 それに…あいつらの呪いを解いたら俺の邪魔するに決まっているじゃないか。」
マリアベルはやれやれといった感じで頭を振った。
「そんな武器で俺を殺すつもりか?
 もっと良い物はないのか?例えば…カドゥケウス。」
目的は不明だ。しかし、マリアベルがカドゥケウスを求めているのは明白だった。

>>298
ふと見るとロックはいつの間にかフリージアの側に居た。
してやったり!な顔をして頭に猫耳を装着している。
マリアベルは本気でロックを馬鹿だと思った。
301レイド ◆M07.CI9OF2 :2007/07/21(土) 12:51:46 O
>293->294銃弾は見事に命中してくれたが、コイツ等には40kgじゃあまり効果は無いみたいだ。
どんな気合いと身体してんだかね…

>299メラルは俺にロックとマリアベルの見分けてくれと頼むが…
>297「ロックの事に関しては俺よりもリリアーナに聞いたほうが良い。
ほら、リリアーナに近寄って行ってる方がロックだよ。
何でリリアーナがロックとマリアベルの区別がつくのか、ハッキリとした理由は分からんが…
きっと愛の力ってやつなんじゃないかね?」
俺のセリフを聞いてメラルは一瞬
「何言ってんだこの人?」みたいな顔になったがすぐにいつもの冷静な顔に戻る。
>「後、言う機会を逃しちゃったので今言いますが、テストや課題の免除は…
 自分の為にならないので私は遠慮します。」
それは良い心がけだね、流石優等生だ。
>「それより、今の重力の術を個人的に教えて頂けますか?」
そうきましたか。
意外な発言にちょっとビックリだよ。
「ああ、分かった。
でもあの術はマスターするまでに結構時間かかるぞ?
それに召喚魔法だから魔力の消費も大きい。
それでも良いなら教えてやるよ。」
>300と、メラルに告げ、ロックを見ているマリアベルに対し、6発の銃弾を発砲する。
「よそ見してんなよ。
まだ戦闘中なんだぜ?」
302マリアベル ◆jWBUJ7IJ6Y :2007/07/21(土) 23:09:41 O
>>301
「ディ・ベクトル!」
マリアベルが永昌したのは物体の持つ“方向性”を打ち消す魔法だ。
質量のある物体なら自由落下さえ阻止できる。
マリアベルが手をかざすとレイドの放った銃弾は空中で静止した。
空中に浮かんだ4つの銃弾…4つ?
マリアベルはがくりとヘタリこんだ。
放たれた6発の内、2発はマリアベルに命中したのだ。
肉体に加わる40+40kgの負荷、肉体の強化でごまかせる範囲を既に越えている。
「…良かったな。これで俺は自力では動けない。」
マリアベルはレイドに挑戦的な視線を送った。
「…しかし、俺自身が動く必要は無い!」
草むらからイチイの杖が飛び出した。そして、そのままマリアベルの手元へ。
マリアベルが用意した即席の杖は、先程ユユに破壊された一本だけではない。
このフィールド内に何本も隠されているのだ。
マリアベルは早速、杖をレイドに向ける。
「エクスペリ・アルマ!武器よ去れ!」
マリアベルはレイドに武装解除魔法を放った。
303リリアーナ ◆7O/3IU/E7M :2007/07/21(土) 23:46:02 0
ロックは無事フリージア達と合流した。
とりあえずロックに、この場に居合わせた人物達の紹介を行う。
「――――で、最後にあの怪人はラル君。
 ラル・・・えーとね、えーと・・・ラル、ラル・・・あっ思い出した! 『ラルヴァ』って名前なの!」
どうやら今の今までラルヴァの本名が思い出せなかったようだ。
リリアーナはひとつ咳払いをすると、さらに続ける。
「ま、まあそんな具合でちょっと影が薄かったけど、一応同じ第二過程の生徒なのよ。
 今はちょっと魔力が暴走してるみたいだけど、仲良くしてあげてね?」
>294
「そうよラル君、頑張って! 立つのよ〜!!」
リリアーナはロックに一通り説明を終えると、拳を振りまわしつつラルヴァに声援を送った。
「そうよ、や〜っておしまい!」
まるで覆面悪役美女のような高飛車さで、ビシィっとマリアベルの方を指差す。

>「悪いが俺にはこの場所が必要だ。よって、学園を元には戻せない。 
> それに…あいつらの呪いを解いたら俺の邪魔するに決まっているじゃないか。」 
「ふうん、じゃあ学園を元に戻すと、貴方はこの場所に存在できなくなるって事なのね。
 で、まだ私の質問には答えてもらってないんだけどな〜」
リリアーナは会話を引き伸ばそうとしていた。
少しでも長く続け、レイド達から気をそらせようとしているようだ。
>「そんな武器で俺を殺すつもりか? 
> もっと良い物はないのか?例えば…カドゥケウス。」 
「あなたに私を殺せるの? ―――― 杖も無しで?」

その間にフリージアは、ロックに猫耳バンドを渡している。
「ナイスアイディア、フリージア!」
これで誰でもロックとマリアベルを見分けることが出来るだろう。
だが、マリアベルは心底馬鹿にした顔をしてこっちを見ていた。
(何か・・・ムカツク・・・)
リリアーナはロックの猫耳がよく似合っていると思うのだが、絶対に認めそうに無い人物が約一名。
そのレイドは、マリアベルに向かって6発の銃弾を発砲した。 
そのうちの2発が命中し、マリアベルは地面に倒れた。
だが彼は杖を物体操作で呼び寄せると、レイドに向けて武装解除の呪文を唱えていた。
「彼はロックでもありマリアベルでもあり・・・か。面倒ねえ。
 ロック、あなたもイチイの杖を召喚してみたら?あ、闇の魔術は絶対使ったらダメだからね」
リリアーナはさらりとそう言ったものの、目は全く笑っていなかった。

「マリアベル、さっきの話だけど、例の赤いアレなら吸血鬼にあげちゃったわ」
嘘ではない。
さっきリリアーナは、ハンカチに含ませた赤い(ロックの)血を吸血鬼に与えたのだから。
リリアーナはカドゥケウスの場所がマリアベルにわかるか試す気のようだ。

「フリージア、例の奴、誰に渡すかはあなたに任せるわ」
リリアーナは小声で伝えた。
何を、とは言わなかったものの、フリージアにならアベコベールの話だとピンとくる筈だ。

「ねえロック、マリアベルはカドゥケウスなんか手に入れてどうするつもりなの?」
リリアーナは手のひらサイズのカドゥケウスをロックにだけ見せた。
さっきはペンだとばかり思ったが、多分これがカドゥケウスなのだろう。
(違っていたら雪山のどこかで落っことした事になる)
「ロックは知ってるんでしょう?マリアベルはなぜ10年前、この学園を選んだか。 
 この泉のある場所にくるのが目的だったのなら、ここで何をするつもりだったの?」
ロックはカドゥケウスをじっと見ている。まるで魅入られてしまったかのようだ。
「ロック?・・・・・・・ねえロック、ちゃんと聞いてる?」
リリアーナはカドゥケウスを握った手をポケットに突っ込むと、ロックから距離を取るために一歩後退した。
304ユユ ◆LZfunhEVsc :2007/07/22(日) 00:21:06 O
>293 etc

「燃え上がれ!俺の魔力!
 はあぁあ!ホウヨクテンショウ!!」

………!駄目だ、違い過ぎる。同じ種なのにここ迄の個体差が有るってのか?
打ち消せる程の力は無い。逃げられる程の威力でも無い。
(動け、動け、動け!)
いくら念じても、出来る事はせいぜい顔の前で腕をクロスさせる程度。
「………!?」
熱が消えた。何故?
答えはカンタン。ヤバげなヤツが炎を打ち消していた。
圧倒的な力量。それこそ、オレは足許にさえ届かない高み。越えられない力の壁。
……無理だ。両手が震える。絶対に勝てっこない。どうする?どうするのがベターだ?
そこで、ふと、頭に、何時かで、聞いた言葉が蘇る。
『もし、一発で仕留められそうに無い敵に遇ったらユユはどうする?』
──もちろん、にげる。──
『それじゃダメ。いいかな?
一撃で駄目なら一撃に、一発にこだわら無ければ良い。
一撃で仕留めなきゃいけないってルールは無いんだ。』
そう言って、ソイツは3矢でオレがかすりもしなかった野兎を射殺した。

だからどうしろと?相手は恐らく百戦錬磨の兵で、こっちはアンタじゃない。
勝てっこないよ、ムリ。

さっきのに呑まれて狙いがまともに定まらない。
分裂した野郎の片割れが先生に何かしてるけど、オレに何が出来る?
また杖を弾くか?それとも喉を貫くか?
……一発目に喉抜いとけば良かった。

どうにも狙いが定まらない。一応立って動けるらしい。
なら………
「なぁ、メラル嬢。あの野郎の気、引けるか?
………駄目なら駄目で良いんだ。距離とって暴れれば良いから」

かなり卑劣な手しか無い。一方を餌に別のが本命を叩き込む。
一方は文字通り、駒で使い捨てになる可能性が高い。オマケに弱いと餌にも成らない事もある。
メラル嬢がどれ程かは判らない。だから聞く。つまり簡単にするとこういう事。「餌になるのと、しくじれない最後の仕上げ、どっちが良い?」
先生は当てにしない。実力が釣り合ってないと連携しても足を引っ張り合うだけだから。
死番はオレかな?いいさ、必ず潰して見せる。
305フリージア ◆cOOmSNbyw6 :2007/07/22(日) 09:08:54 0
フリージアは悩んだ
一体誰に薬を渡すべきなのか

まず確定なのはロック
やはり自分で決着を付けたいだろうし
元々この薬はロックの物だろうからだ
「ロック!これをうけとりなさい!!」
ぽーんと試験管を投げるフリージア
くるくると回転して飛んでいき
すぽっと手のひらに収まった

次の一本はどうしよう?
やはり確実性を求めるためにこのメンバーの中では最強の人物
つまるところレイド先生にでも渡しておきましょうか
「レイド先生!例の物ですわ!!」
やはり確実に手のひらに収まる試験管
だてに普段から雪の結晶を投擲していない

さあ問題は最後の一本である
最初は自分が飲もうかとも思ったのだが
今の自分は鏡を発動させるために魔力を使いすぎた
はっきり言って戦力外であろう

この薬の効果を発するためには前に出なければならないのよね
ラルヴァさんが正気なら早いのでしょうけど・・・今は暴走中
ユユさんはさっきから見ている限り遠距離戦闘タイプですわね
アルナワーズさんもキサラさんも前衛タイプではないし
メラルさんもリリアーナさんも同様でヴァンエレンに限ってはぶっちゃけ敵ですし

・・・あれ?そういえばメラルさんって接近戦用の剣みたいな魔法が使えたような?
まったく接近戦が出来ない訳じゃないのよね
「最後の一本!メラルさん受け取って!!」

すべての薬を配り終えるとフリージアは後ろに回った
ここからマリアベルの杖を狙い石を投げて攻撃するつもりなのである
騒がしいと思ったら人間たちは化け物と戦ったり、双子になって一方はウサ耳をつけていたりとお遊戯に夢中らしい。
一人科長の外の吸血鬼は体育座りをしながら事態を傍観していた。
そんな状態の中考える。
どうして自分はここにいるんだっけか?と。
人間を騙そうとして洞窟を抜けたまでは『空腹を満たす』という明確な目的があったわけだ。
そして現在、血もいただいた(間接的にだが)ので空腹も満たされている。
目的も達成できたしええじゃないか。
これ以上欲張りすぎてヘタするとこの人数に一斉にかかられて殺されちゃうかもしれない。
「よし帰ろう」
ヴァンの脳内会議で一瞬にして可決された「逃亡」という二文字。
大きく伸びをしながらひとまずじりじりと焦がす日の光を嫌い、暗い洞窟を目指した。


>296
>「あなたさっき言ってたわよね?『なにもしてないのに、魔物と見るや際限なく殺しおって』
> じゃあ魔物はどうなの???あなただってさっき、私を食べようとしてたじゃない」
不意にさきほどのリリアーナの言葉をヴァンは思い出した。
魔物側の主張があるように、人間側にもこれが正しいと思う主張がある。
そもそも発端はいつ、誰が、誰に対して、何を行なったのか?
それがわからないほど大昔のことを誰それが悪いと責めたててなんになる?
答えの見つからない問題を解きあって人間と団欒する趣味はこの吸血鬼にはない。
「人間と馴れ合う魔物はもう魔物ではない」
誰にも聞こえないようにポツリと言った。


洞窟を目指す短いとも長いともとれる道程の中でマリアベルと目が合ってしまう。
その一瞬でマリアベルの眼が暗殺者の眼にみえた!
スタイリッシュかつアクロバティックな動きでより速く、より豪快に後方へとバック飛びの連打連打連打!
洞窟のほうまでたどり着くと、影からマリアベルのほうを見て様子を窺がっている。
「私は敵対しないし、お前が欲しがりそうなものはなにももってないぞ!」
307ラルヴァ ◆sy1IQNBWp6 :2007/07/22(日) 16:27:59 0
>299>300
>「…ピンポイント。」
>今度は殴ろうとしている方と逆側の腕と脚辺りを狙った二連射である。特に

>「ヘクト・プレ…」
>この時点でラルヴァの拳がロックにコンタクトする。
>「ッシャー!!」
暴力となってマリアベルへ振り下ろさんとした拳。
メラルの妨害によって、ラルヴァがバランスを一瞬だが崩した。
ただ、それだけでマリアベルが自身を守るには十分だった。

バランスを崩して尚、攻撃をせんとしたがら空きの体に巨大な圧力が飛んでくる。
結果としてラルヴァは吹き飛ぶようにぽー・・・ん、と飛ばされた。
受身をとることすらせずにラルヴァは地面へとたたきつけられる。ごきっ、と嫌な音を発しながら

折れたのは右腕、歪な形状となったそれを地について体を起こそうとするが
力が入らないのか、何度も地面に突っ伏してしまう。
「■■■■■■■■■ーーーーーーーーーーー!!!!」

起き上がれていない事が悔しいのか彼は咆哮をあげる。最早言葉として認識すらできない獣の声だ。
それでも14の瞳は敵意と憎悪を宿したまま、マリアベルを睨みつける。
獣の咆哮に慄くように、大地に散乱した彼の血液がゆっくりと動き出していく・・・・・・
308ロック ◆jWBUJ7IJ6Y :2007/07/22(日) 20:08:54 O
>>303
リリアーナから説明を受けたロックはやっとラルヴァを仲間だと認識した。
>「そうよラル君、頑張って! 立つのよ〜!!」
「立て〜!立つんだラルヴァ〜!」
リリアーナと一緒にロックも叫んだ。その様子は隻眼の元ボクサーそっくりである。
>「ロック、あなたもイチイの杖を召喚してみたら?あ、闇の魔術は絶対使ったらダメだからね」
ロックは適当な草むらに手をかざして探り始めた。
「…ちぃ、ちょっと時間がかかりそうだ。」
マリアベルが魔力で偽装したせいだろう、
ロックは簡単に杖を引き寄せることができなかった。その後、リリアーナはロックにマリアベルの目的を尋ねた。
「カドゥケウスは知恵と医療の力を宿した杖だ。その力は死者をも蘇らせると聞く。
 リリアーナ、奴の目標は死の克服だ。奴はきっと誰かを生き返らせたいのさ。」
ロックは深刻な顔をした。マリアベルが誰を生き返らせようとしているのか、本当は知っているのだ。
「…でもカドゥケウスをそんな事に使うのは危険が大きすぎる。
 この世界の森羅万象は様々なバランスの上に成り立っているんだ。
 人間のエゴで生死の境を外してしまったら、世界はやがて崩壊してしまうだろう。」

>>305
フリージアがこちらにアベコベールを投げてくれた。
ロックは一瞬ためらったがそれをいっきに飲み干した。
マリアベルが最初に殺したいと思うのは自分であると感じたからだ。
実際ロックもマリアベルを殺したくてしかたなかった。
リリアーナの忠告とは裏腹に、ロックは杖を見つけたらマリアベルを即死呪文で殺そうと考えていた。
309マリアベル ◆jWBUJ7IJ6Y :2007/07/22(日) 20:37:37 O
>>303
>「マリアベル、さっきの話だけど、例の赤いアレなら吸血鬼にあげちゃったわ」

「………君は正直だな。」
>>306
マリアベルは吸血鬼を見た。
>「私は敵対しないし、お前が欲しがりそうなものはなにももってないぞ!」
マリアベルが無言で杖を軽く振ると、杖先から小さな黒い玉がでた。
そして黒い玉は吸血鬼に近づくと膨れ上がり、吸血鬼を飲み込む。
すると、マリアベルの前に吸血鬼がぱっと現れた。
マリアベルはある種の転移魔法を使ったのだ。
「ずいぶん勇敢だな。俺の前に立つなんて。」
脅える吸血鬼に、マリアベルは先程静止させたレイドの銃弾を押し付けた。
彼にもマリアベルと同じだけの負荷がかかるはずである。
「まぁ、ゆっくりしてけよ。」
マリアベルは吸血鬼を乱暴に蹴った。
「リリアーナ、こいつはカドゥケウスを持てるような器ではない。
 嘘はもっとうまくつくもんだ。」
そう言ってさらに蹴るマリアベル。
「さて、お仕置きの時間だ。」
マリアベルは銀色の玉を杖から出した。
「弾けて突き立てよ!」
銀色の玉はその言葉に反応し、辺り一面に鋭い針をばらまき始めた。
要するに全体攻撃である。
310メラル ◆1LtyyBHC/M
ラルヴァの攻撃していたのは、本物のマリアベルであり…
結果、マリアベルを利してしまったようだ。ラルヴァが後方に転倒する。
怪我もずいぶん酷いようだ。
(…あの状態でここまで判断できているなんて…私の判断ミスね。
 私は…どうしてこうなのかしらね。全く…。)

>「ロックの事に関しては俺よりもリリアーナに聞いたほうが良い。
>ほら、リリアーナに近寄って行ってる方がロックだよ。
>何でリリアーナがロックとマリアベルの区別がつくのか、ハッキリとした理由は分からんが…
>きっと愛の力ってやつなんじゃないかね?」
もちろんメラルは愛の力のくだりはマトモに考えるつもりはない。
少しジト目になりつつも、頭の中では長い付き合いだからこそ
分かるものもあるのだろうと自己完結した。
>「ああ、分かった。 でもあの術はマスターするまでに結構時間かかるぞ?
>それに召喚魔法だから魔力の消費も大きい。 それでも良いなら教えてやるよ。」
「卒業までに習得出来れば構いません。」
レイドの言葉に対し…即答する。すぐに習得できないのは想定範囲内だったのだろう。

次に、ユユが声をかけてきた。
>「なぁ、メラル嬢。あの野郎の気、引けるか?
> ………駄目なら駄目で良いんだ。距離とって暴れれば良いから」
「…気を引けばいいのね?わかったわ。」
メラルが、杖を構えなおす。と、フリージアから薬を投げ渡された。
しかし、メラルにはどう使えばいいか、知る術はなかった。
もちろん対マリアベル用の代物である以上説明を求めるのは愚策である。
ロックは飲み干しているようだが、飲んだ後で外からは見えない
何かを行う事が発動条件の魔法薬だって存在するのだ。
(…リリアーナに預けるべきね。本格的な攻撃は…それから。
マリアベルには杖を砕くような手法は通用しない。
今、動けないと言っているけど…口だけの可能性もある。厄介ね…。)
「フリージア、悪いけど…これは、リリアーナに預けるわ。」
メラルは、栓つきの試験管を水球に包み、リリアーナに向けて放った。
それはリリアーナのすぐ近くでぴたっと止まり、静止した。
そしてメラルが地を蹴り、前に出る。

>「さて、お仕置きの時間だ。」
>「弾けて突き立てよ!」
(…針を大量に?…こういう時は…)
「ハイドゲイサー」
周囲数箇所の地面に魔法陣が出現し、そこから水が空高くにまで噴出し始める。
根本的な対策にはなっていないものの、水に触れた針の軌道を大きく逸らして
しまう事で、安全地帯を作る事は出来るだろう。因みに、ラルヴァとユユについては
フォローできるよう、位置は調節したようである。
(…後は…マトモに気を引けそうで、一発勝負じゃないのは…。)
メラルが、その"水柱"の影から出て、多数の斥力球と
新しく作った氷の盾で攻撃を防ぎながら接近しようとしている。
いくつかは服や体を掠めているようだが、決定的な一撃はもらっていない。
その最中、明らかに詠唱時間の長い術を詠唱しているようだが…。