>133
「清田武。階級は三等陸曹」
殺気だった他とは違い、場違いとも思えるほど落ち着いた老人の質問を
流石の清田も無視出来る筈がなかった。この旧軍の老人の態度は有り難い
「PJの資格を持っている。簡単な手術ぐらいなら簡単に出来し、その装備も
充分にある。何処か怪我をしていたら遠慮なく言ってくれ」
>136
「反乱自衛隊かどうかは知らないが…俺は直接、群長からこの命令を受けたんだ。
尤も、アンタがうちのボスと面会があるのかは知らないが」
群長は、こうなる事を予測していてこの任務を自分に言い渡したのは間違いない。
だが、何故、あの二人の女性なのだろうか。
清田にはそれがわからなかった。
>142
先程から、異様に自分に対して棘のある物言いをするこの女性に清田は
深い溜息をついた。
群長はこの女性を保護しろ、と暗に自分に言っていた。
写真の彼女は和服の似合う美人だったが、実際に会ってみるとまさか此処まで
辛辣な女性だとは思わなかった。
「何とでも言えば良いが、一つだけ言わせて貰おうか…仮に、だ。俺がアンタを
殺す気でいるならば、最初の時に草陰に隠れたまま狙撃をすれば良かった筈だ。
別に俺は俺の全てを信用してくれ、と言っているんじゃない。ただ、俺は殺し屋が
標的と行動を共にする理由がわからないと言っているんだ」
清田にも我慢の限界がある。
これ以上、こんな態度で続けられたら、本当に撃ち殺しかねない。
此方もいきなりこんな地獄に放り込まれてうんざりしているんだ。
いくら訓練を積んでいるといっても、初めての実戦が怖い筈がない。