ニードル・スパンクとその仲間

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1ニードル・スパンク
「腹が減ったな…あー、本当に腹が減った」
普通の街中、ここの風景は地球のタイをイメージに作られている。
港の方に止めてある使い古した赤いシップ、中を覗いてみるとの操縦席の背もたれにグダーッとしている男。
ニードル・スパンク、何でもやる自由業だが企業からの依頼お断りという一風変わった男だ。
「なんか食べるもんないか?砂糖ばっかりのこの生活、行く末は糖尿行になる、絶対に」
スパイクの言葉に反応した無精ひげの男、この男はスペード、もちろん本名じゃない、
あんまり人には言えない組織に居たことがあり。色々あってスパンクのところにやってきた。
スペードは何かの瓶をスパンクに投げつける、キャッチしたスパンクが瓶を見るとそこにはSaltの文字。
「糖尿病にはならねェぜ、少なくともな。」ニヤリと笑うスペード。
「いや・・・これはこれで腎臓が……だ、だれか仕事くれぇぇぇ〜!」
シップになんとも言えない絶望の雄たけびがこだました。

1:基本的にsage進行で頼む…まあ下がっているなら気が向いたらageてくれ。

2:煽り、荒らしは基本的に無視だ…

3:小説っていうか、TRPだっけ?そんな風にやっていきたいとは思ってる…だが場合によって単に質問を返すだけの時もあるかもしれない。

4:TRP風なので何気なくいった言葉も深いネタとして見られる可能性があるから、そこんとこよろしく頼む。

5・仲間になりたいって奴はテンプレ書いてくれ…だが、書いた瞬間に仲間入りってわけじゃない、
   ちゃんとストーリーの中で色々と知り合ってから仲間になりたいと思う。

6:基本的に甲斐性なしなのであんまり期待しないでな…でもやるときはやるよ、多分な。

【世界観・舞台設定】
未来が舞台、個人でもシップがあれば惑星をまたげるようになっている時代。
他星への移民計画も次々にプロジェクト化されており、火星や月などがテラフォーミングされ地球と変わらぬようになっている時代。
しかし地球以外の他惑星の生活は決して約束された幸せではなかった、
曖昧な権利に曖昧な法、犯罪が跋扈し殺しなんて日常茶飯事という場所も多い、
そしてその無作法な世界の一つである火星、この話しはそんな火星を渡り歩く男の物語である。
2名無しになりきれ:2007/01/09(火) 23:36:23
2ゲットってのはな、一朝一夕にゲット出来るもんじゃねぇんだ。
ある程度の技と勇気が試される。2ゲットできなかった奴は、そこら辺をよく考えるんだな。

特に>>3-6あたりのお前。
2とか書いて、3レス目になってんじゃねーか。
もしこのレスが3レス目以降であるならば、今日限りで俺は現役を退く。

この俺の手本をよく見ておけ。

「2ゲット」
3ゴリラ ◆vXX0cdKx3A :2007/01/09(火) 23:43:53
困ったもんだ
44様 ◆7YJhxJCxNs :2007/01/09(火) 23:44:50
火星の赤い大地にも4様の微笑みは似合いますかね ´ー`
5ニードル・スパンク ◆hQ2fWUEvtQ :2007/01/10(水) 00:02:06
「あー、このまま腐ってても仕方ないね」
吹っ切ったようにスパンクが立ち上がりシップに積んである色んなダンボール箱を引っ掻き回し、
プロフィール表を前に突き出す。そこにはスパンクとスペードの色んなことが書かれている。
「プロフィールだ、信用を保つためには秘密を捨てなければならない。そうだろ?」

【名前】ニードル・スパンク
【愛称】スパンク
【性別】男
【年齢】26歳
【性格】適当、我が道を行く、適当で調子地よくてやる気ないが時には熱い。子供嫌い
【身長】178p
【体重】65k
【容姿】癖毛でところどころ跳ねている、男前といえなくもないが全体的にダラダラしてて覇気がない。
【趣味】寝る、音楽鑑賞
【得意なこと・もの】一週間のまず食わずで耐えられる(本当は厳しい) 射撃 足技系統の格闘技
【苦手なこと・もの】子供 飢え ゴキブリ
【一言】今月は本当に食うもんにヤバい、来月もヤバいし再来月もまたヤバい、だから金くれ。

【名前】スペード(偽名)
【愛称】スペード
【性別】男
【年齢】37歳
【性格】慎重、情に熱く、基本的に優しい。スパンクには厳しい。子供好き
【身長】190p
【体重】97kk
【容姿】筋骨隆々、無精ひげで大男、子供がみたら泣きそうな顔。
【趣味】ガーデニング 料理 裁縫 
【得意なもの・こと】掃除 洗濯 料理 機械いじり 
【苦手なもの・こと】過去、前の知り合い
【一言】まァ、こんな奴らだがご贔屓にしてくれたらありがてェ、よろしく頼むぜ。

「以上だ、まあ宜しく頼む……」
「なぁスパンク、お前誰に言ってるんだ?一体全体。」
「あー…えっと、それは、アレだよ、いるだろ?ホラ、あれだ…えーと、まあそんなことどうでもいいじゃねえか。」
適当にはぐらかしブルドックの顔みたいにくしゃくしゃになってるプロフィール表のシワを、
スパンクは手で何度もなすりつけ壁に貼りつけ、少し笑う。

「さて、これからどんなことが起こるのかね?」
6名無しになりきれ:2007/01/10(水) 00:17:10
ふむ、ブラクラ風味のビバップってとこか。
7名無しになりきれ:2007/01/10(水) 17:26:29
お願い助けて!
少女が慌てて助けを求めてきた
8名無しになりきれ:2007/01/10(水) 20:28:03
そのときマシンガンがいたるところに撃ち込まれた!!
9ニードル・スパンク ◆hQ2fWUEvtQ :2007/01/10(水) 23:41:19
「なんも起こらねェな……スパンク?」
「俺がなんか起こるかって言ったか?言ったとしたらいつ言った。ああ、あれ?
 あれはお前違うよ、疑問符ついてたろ?起こるなんて断言してないって」
もう二人は限界を迎えていた、今日で三日目、シップに篭っている日数じゃない。
何も口にしなくなってからの日数である。神も仏もない、まさにそんな感じだった。
「なァ、このままいったらどうなると思う……スパンク?」
無表情でそう聞くスペードはもう全てを悟っているようだった、このままでは餓死すると。
「聞きたくない、外いってくる。」
椅子から立ち上がり一回背伸びをし、服装を整えて何でも屋のチラシを持って歩き出す。
「そうだな……死に場所は自分で選びたいもん……」
「冗談言うな、まだまだ死ぬ気はないっての……数時間で戻ってくる、客の対応任すわ。」
後ろの格納庫へ続くドアを開け、格納庫の空いているハッチから外に出る。
本来この格納庫のハッチはパラシュート降下するためについているものであり、
よく軍用のヘリで見かけるのと同じ構造で出口ではないのだが。
後ろ向きに止めて格納庫から出るほうが楽なため、スパンクたちはここから外出するのが主になっている。

外の出ると、そこは水路が縦横無尽蔵に走っている街、あちこちに小さい陸橋や橋がかかっており。
この街では車は役に立たなくなる、水路をボート船や小型のシップで移動するのが当たり前だ。
そんな複雑怪奇な街をボーッとしながら歩いていくスパンクの目にとあるものが止まる。
一回10円と記された箱に、壁に貼られているリスト、そして店主らしきものの周りには色んな雑貨用品がおかれている。
箱の中には棒、そしてその棒には番号がふられており、壁に貼ってあるリストの番号と棒の番号を照らし合わせ、
番号の横に書いてある賞品をもらえる。ようするに簡単なくじ引きみたいなものだ、もちろん圧倒的にスカが多いが、なんとなしにやるには問題ない。
「よー、どうだい景気は?」
「ん?スパンクじゃあないか、死んだかと思ってたんだがね。」
「人を勝手に殺しちゃ駄目でしょ、というかお前の方が絶対に老い先短いから、だろじいさんよ。」
簡単に挨拶を済ませて店主のじいさんに10円を差し出す、どうせ持っていてもこれだけでは何も買えない。
箱の中に手を入れ懇願しながら棒を一本引き抜く、番号は3、リストに目を移すが結果は見事にスカというやつだった。
「これ本当にあたんの?俺いままであたった試しないんだけどさ。」
そう言いながらリストの賞品に目をやる、大抵あたりは2番に書かれており、今回は米10kだった、スパンクは心の中で舌打ちをかます。

>>2
「まあしかたねえ、運って奴だもんな……それじゃあなジイサン、長生きしろよ」
そういって去りかけた時、知らない男がなんかブツブツ言いながら歩いてきた。
スパンクもこの男は何度かみたことがある、いっつもここの店にきているいわば常連というやつだ。
「あんたもやんの?やめておいたほうがいいって……あたんねえよ、な?ジイサン」
そう言ったが男は金を取り出し店主に渡す、そして手本を見ておけとスパンクに言い、一本を引き抜く。
見てみると、なんと二番だった。あたりもあたり、スパンクにとってはいま一番ほしいもの。
「……もう絶対に神は信じないって決めたぜ、別にもとからクリスチャンじゃないけど。」
スパンクは米を担いで帰っていく男をただ眺めるしかなかった。

>>3
さっきの出来事がショックで呆然と街を歩いていると、なにやらやたら毛深い男が悩んでいる。
困ったと連発するその姿をスパンクは少し眺めたあと。
男の方に歩いて行きもってきていたチラシを男の顔に勢いよく貼り付ける。
「何か困ったことがあったら、南ポートにある赤い船がマークの何でも屋にどうぞ。
良心的価格、そして家族のように親身になってご相談御受け致します。」
決まり文句をいい更に余ったチラシを全部男のポケットに突っ込み、
さっきまでのショックなど忘れたかのように、気分上々で口笛を吹きながらその場を後にする。
実際、こんなやり方で客なんてくるわけもないのだが、スパンクは気付かない。
10ニードル・スパンク ◆hQ2fWUEvtQ :2007/01/10(水) 23:42:25
>>4
そろそろシップに戻ろうかと考えたとき、この辺りの人の格好じゃない人物が
スパンクに声をかける、貧乏そうな感じはせず、顔はここ特有の「しみったれた」感じがしない。
きっと余所者なのだろう。
「ん……なんだい?俺になんかでもあんのかい?」
「火星の赤い大地にもヨン様の微笑みは似合いますかね?」
この少し恥ずかしいような台詞をいう人物をスパンクは不思議そうに見つめる。
明らかにこの土地のものじゃないどころか火星の生まれでもないってことがスパンクにも読み取れた。
この時代に星間を渡るのは一個人じゃあ結構大変なことだ。金持ちの旅行者ってところが妥当だろう。
「……あんた余所門か?微笑み……変なこと言うなあんた、まあとにかくだ、微笑む前に気をつけたほうがいいぜ。」
そういうとスパンクは手の平をあける、そこには観光者のものらしき財布があった、
「ここは物騒だぜ、な?そんなところに俺だ、ガイドの護衛、良心的価格でサクッと解決、南ポートの赤い船がマーク。是非ご利用を。」
そういって財布を返した後歩き出す、ここでは余所者というのはタカリや薬、揺すりに物取り、色んなものから狙われる。
不器用な忠告だがスパンクなりに観光者を心配した結果なのだろう。

>>6
南ポートに向かって歩いていると、古い作品ばかり扱うDVD・CD屋が見えてきた。
そこに男がなにやら熱心にDVDを見ている。
「ん、なにそんなに見てんだ?面白いもんでもあったか?」
そういい男が見ているDVD作品をスパンクが覗く、男が見ているのはCowboi bebopとブラックラグーンという
地球で放送されたかなり古い作品だ、こんなものがまだおいてあるのはこの街じゃあここだけだろう。
「あー、それね、二つともレンタルしてみたことあったな……まあ、俺はルパン三世っていうやつが好きなんだけどな。ちと古すぎて分かんないか?」
しかし、ボーッとパッケージを見ているうちにだんだんと見たくなってきたのか。店主に声をかけるスパンク。
「これさ、レンタルの場合どんぐらいすんだ?」
「……あ?それはレンタルなら……おいスパンクだろ?スパンクだよな!?」
目をカッ開いて驚く店主、スパンクは呑気に手を軽く振るが、次に飛んできたのは『ツケてる金払え』の怒声と一目散に店から離れていくスパンクの姿だった。

>>7-8
南ポートのシップが見えてきたとき、格納庫でスペードと小さい少女がなにやら話している。
少女は焦りが見え、何かに怯えている様子だ、ただごとじゃないと思ったスパンクはシップに走ってもどる。
「お願い助けて!」
事情が分からない上に少女に助けを求められて、少し困惑気味のスパンク。
「…フゥッ…なんかあったのかスペード、もしかして連れ込んだのか?だからロリコンってのは……」
「俺もしらねェんだよ、なんかいきなり来てな、まあとにかく嬢ちゃん、ここじゃ何かと人目につく、中に入って話し聞くぜ。」
そういって格納庫から操縦室のドアを開けるスペード、スパンクも乗り気ではないようだが少女を中に入れる。
「それで?一体なんなの?俺たちに助けてもらいたいの?……お金持ってんの?」
「おいスパンク、いきなり金の話しにいく奴がいるか、一応客なんだぞ。」
そう言った瞬間、後ろの格納庫で凄まじい銃声が響き渡る、後ろのドアの窓が割れ、
兆弾であちこちが音を立てる、スパンクは一瞬の判断で少女を伏せさせスペードの近くに行くよういい。
音のした格納庫へのドアに分厚くおおきい鉄板を置き、銃を取り出す、連射からしてマシンガン、このままではドアが鉛玉でボロボロになり。
鉄板に届くのも時間の問題だ、しかも正面からやってもハンドガンじゃマシンガンに勝てるわけがない、このままTHE ENDかと思われたが。
ドアを半分壊しつくした時、銃声が止まった、リロードだ、そしてこの一瞬の隙をスパンクは見逃さない。
鉄板をよこに倒しマシンガンを持っている男達に次々に銃弾を打ち込む、六人中四人に命中し、倒れる。

「スペェード!!シップを出せ、離陸だ!!」
「ハッチ閉めてないぜ!!全部荷物が」
スペードが叫ぶ、格納庫には色んな荷物があり、服やシップを補強するためのジャンク品などもたくさんある。
このまま発進するということはそれを全て捨て去るということだ。
「いいから出せ!!体中の風通しよくなるのと文無しになるのどっちがいい!俺はまだ文無しの方がいいね!!」
「全く……なんで俺達には厄介ごとは転がり込んでも金は転がり込まんのかねェ!!」

―シップが今、空へと飛び立った。
11名無しになりきれ:2007/01/10(水) 23:53:35
長くて読めねぇよ
12名無しになりきれ:2007/01/11(木) 20:21:43
面白そうなんでageとくね
13名無しになりきれ:2007/01/11(木) 20:53:25
あ、兄貴!!
14名無しになりきれ:2007/01/11(木) 20:54:36
( ´∀`)つt[]  ニードルさん、飲み物どーぞー
15名無しになりきれ:2007/01/11(木) 22:01:23
宇宙海賊!?
16名無しになりきれ:2007/01/12(金) 17:33:08
確かに長いが面白い。期待してる。
17ニードル・スパンク ◆hQ2fWUEvtQ :2007/01/13(土) 06:30:55
ニードル「あー、すまない、規制って奴にかかってたぜ」
スペード「全く、最初からツイてねェぜ、俺達はよ。」
ニードル「そんなわけで、続きはもう少し待っていただきたいってわけだ、その代わりに話しの中じゃ返せないもんを返すぜ。」

>>11
ニードル「長い、か、まあそこんとこは我慢してもらえると助かる」
スペード「それに、質問があんなら話しの中では拾わなくていいって書いてくれりャあ普通に返すぜ。」
ニードル「逆にどんなもんでもネタなら拾わせてもらう、気軽に話しつくりに参加してくれれば俺も楽ってもんだ。」

>>12
ニードル「おっと、助かる、宣伝は大事だからな、このままじゃ飢え死にするのは分かるし。」
スペード「どっかの甲斐性なしのせいでな、仕事選り好みしてるからだスパンク。」
ニードル「いいか?俺は俺のやりたいもんをやる、気が吹くまま風の吹くままって奴だ。」
スペード「こんな奴だが、宜しく頼む、よかったら一言でいいからネタでも依頼でも送ってくれ」

>>16
ニードル「そいつはありがたい、今後も小説風に続けていくつもりだから宜しくな。」
スペード「もちろん気軽にネタを書き込んでくれ、シップが爆発したとかでもま。」
ニードル「ああ、むしろ喜んで拾わせてもらうさ。だが火星が爆発はちょっと困るかな。」


ニードル「それじゃあ他の奴らすまねぇ、他の奴らは物語の中で広いたいんだ。
スペード「すまねェな、だが別に贔屓とかじゃねェ。そこは分かってくれ。」
18名無しになりきれ:2007/01/13(土) 12:22:03
火星には、年に何度かとても激しい風が吹く…

それが去ると、町には厄介事が増えるのだ…

一般的な事だとゴミ掃除。町にゴミが溢れて、大変だ。こんなときには依頼が山ほど舞い込んでくるのだが…
19名無しになりきれ:2007/01/13(土) 13:01:33
趣味があわないみたいなのでこれでさよならです
20名無しになりきれ:2007/01/13(土) 23:24:51
シップが爆発したw
21ニードル・スパンク ◆hQ2fWUEvtQ :2007/01/15(月) 11:36:26
シップが火星の風を切り裂き進む、いつも飛ぶ時は良いものだと思うスパンクだが。
この時だけはそうは思えなかった、自分で言ったこととはいえ、
荷物がマシンガンを持った男達と共にハッチから落ち、空を舞い海へと還る姿に涙するしかなかった。
「……やっぱり落ちていったな。」
「スパンク、お前のせいだぜ、お前がハッチを開けたままなんて言っちまったから……」
「いや、それは違うでしょ、その女の子のせいでしょ、ロリコンもいい加減にしておけ。」
「おい、言わせておけばロリコンロリコンってな、俺は子供が好きなだけだ!」
少女が呆然としているのを無視し下らない言い争いを始める二人組み。

>>20
そうやっていると、シップに轟音が轟き、硝煙があがり焦げ臭い匂いが立ち上る。
「おいおい!!スペードなにがあった!?」
「知るわけねェだろ、こっちは操舵任されてんだぞ!!外見てみろ!!」
スパンクが外を覗くと後ろからかなりの数の小型シップが追ってきている。
速力も明らかにあちらの方が上であり、煙は左翼から上がっていることからもうすでにかなり危ない状況にあった。
「で、どうなってんだ?」
「あー、小型シップが四機、それと発煙は左翼……どうする?」
船内になんともいえない緊張が走り、一瞬の間のあとスパンクは梯子を上っていき、スペードは手にかいた冷汗をぬぐう。
そうしている間に小型のシップから機関銃の音が鳴り響き火の手が次々に増えていく。
「おいスパァーンクッ!!もう限界だぜッ!!これ以上持ちそうにねぇ!!まだか!!」
上では既に梯子を上りきったスパンクが回転機関砲台に乗りこみ煙草を一本吹かし、ニヤリと笑う。

『いつでもいけるぜスペード……得意の操舵頼むぜ!!』

「よしきた!!」
その瞬間シップのスピードが急激に落ちる、小型のシップは速力の緩急のままにシップを通り過ぎる。
「悪いんだが、この戦法だと大抵うまくいくんだ、あんまり恨まんで……ん?」
スパンクが小型のシップをよく見る、機体の左側には蝙蝠のエンブレムが描かれていた。
「エンブレム、どこの組織だ?まあいいさ、打ち壊すのになんら変わりはないからな。」
そして機関銃がけたたましい音を立てながら火を吹き、小型のシップが爆発炎上していく。
「はははっ!!やったぜスパイク!!!奴ら火星までぶっ飛んで行きやがった!」
「あのね……ここはその火星だぞスペード君…まあお前のお陰で……」
すっかり勝利のムードを楽しんでいた二人に信じられないことが起こる。後ろから更に来る小型シップ。
そしてもう耐え切れず街の建物目掛けて落下していくシップ。
22ニードル・スパンク ◆hQ2fWUEvtQ :2007/01/15(月) 11:37:05
「全く……なんでこんなガキにここまで執着すんのかね……」
スパンクがそういった瞬間、シップが地面に激突して爆発した。


『おーい、生きてるかー?スパンク?おーいッ!!』
酷い状況だシップは爆発炎上してもうどうしようもないぐらいになっていた。
スペードは外れた操舵ハンドルを持ちながらスパンクを起こす。
「ん……なんだ?一体なにがどうなった?」
そういいボーッとしあたりを見回すスパンク、だんだんと状況が分かってきたのか。顔が青白くなっていく。
「あー、もしかしてシップ、壊れた?ガキは?もしかして奴らに持ってかれたか?」
ただ二つの質問に黙ってうなずくスペード、溜め息をついてスパンクが起き上がる。
「これからはクリスチャンにでもなるかね、このままじゃあ運命って奴に殺されかねない。」

>>15
爆発したシップを後にし、スパンク達は行き着けのバーでとりあえず適当に今後を決めることにした。
どっち道あそこではいずれだれかに見つかる、そうなればスパンク達に街の損害賠償が来る。
「それで、どうすんだこれから、スパンク。」
テーブルに少し身を乗り出しスパンクに聞くスペード、しかしスパンクは呑気に酒種を確認している。
「どうするって……何がだ?」
「おいスパンク!!いいか!?シップは壊れちまった、金は安い酒一杯分も無ぇ!!」
声を荒げるスペード、いまのこの状況に危機感を覚えているのだろう。その時、酒とコップをマスターが持ってくる。
「ニードルさん、飲み物どーぞー、また何かやらかしたんでしょ?奢りますよ。」
「ああ、悪いないつも……スペード、酒なら来たぜ。まずは飲んで落ち着け。」
コップに酒を注ぎスペードの前へ滑らせる。それを受け取り、一杯飲むスペード。
「なァ、そういうことじゃあねェんだよ。」
「分かってる、これからどうするかだろ?家に生活用品、服、全部消えた、無くしたもんはもう一度手に入れるしかないぜ。」
酒を飲み干し席を立つスパンク、それに引き摺られるかのようにスペードも席を立つ。

「スパンク、本気か?奴らの正体も分からねェんだぞ……」
「分からなかったら調べりゃあいい、見つからないなら探せばいい、そうだろ?スペード」
「そもそもの手がかりがないぜ!無茶だ。」
乗り気じゃないスペードにスパンクは一枚の写真を見せる。
「奴らの機体にあったエンブレム、念のため写真撮っておいたんだ。」

お互いにニヤリと笑い合い、薄暗くなり始めてる街路を歩いていった。
23ニードル・スパンク ◆hQ2fWUEvtQ :2007/01/15(月) 14:45:19
スパンク「あー、前回のアンカーをミスった、申し訳ない。」
スペード「前回の>>15充ては>>14だ、全く、ちゃんとしろよ相棒」

>>13
写真を見ながらスパンクとスペードは街路を歩いていく。
「そういや、あの嬢ちゃん、あの嬢ちゃんも助けんだろ?」
「どうだかな、そもそもあのお嬢様が来なければこんなことにはならなかったんだぜ……」
「おいスパンク、お前がそんなに薄情な奴だったとは知らなかったぜ。」
そうしているうちに二人は古臭く小さい家に着いた、そこには『Designer』の文字
「さて、まずはここから当たっていくか。」
写真に写っているエンブレムを見つたあと、ドアを叩く、出てきたのは若い男。

「あ、兄貴!!」
そういって目を丸くさせる、この男は何度もスパンク達と関っている。
スパンクを兄貴と親しんでおり、いまはもうないシップに描かれた鷹もこの男にやってもらった。
「い、生きてたなんて、最近全く来なかったから死んでたのかと……いでっ!!」
その瞬間にスパンクの蹴りが顔に飛び、横ではスペードが腹を抱えて笑い転げてる。
「ハハハハハッ!!おいスパンク!!どこいってもお前死んでるじゃねェか!!」
「あっ!!……スペードの爺さんも元気そうでなによりですぜ」
蹴られた鼻を押さえながらスペードに挨拶する。なんだか不満そうなスペード。
「爺さんってな……俺はまだ30代だぞ。」
「ハハハハッ、もう50代に見えるってさ、ところで今日来たのは遊びにじゃない。ここじゃあなんだ、家に上がってもいいか?」
男にそう切り出し、家に上がるスパンク、中には描きかけのエンブレムやら何やらが散乱している。
適当に椅子にすわり、男の前に先ほどの写真を渡す。

「このエンブレム、お前が描いたものなのか?」

>>15
「それで?どうなんだ、お前が描いたものなのか?」
「兄貴、悪いがそれはいえませんぜ。」
そういい写真を返す、それに対しスペードが府に落ちずに怒りをあらわにする。
「なんでだッ!こっちはそのエンブレムの奴らに被害にあってんだぜッ!」
今にも殴りかかっていきそうなスペードをスパンクは落ち着くようにいう。
「さてと、参ったね、なんで駄目なんだい?」
「客だからですよ、いくら兄貴といえども、客の情報渡すことはできねぇ」
「そうか、そこまで客を大切にしてるってわけか、じゃあ仕方ない、お前からでもいいな。
 シップの修理代頼むぜ、それと、燃えちまったその他もろもろ。ちゃんと客の尻拭いはしてもらわなくちゃな。」
その言葉に顔をゆがめる男、そして写真をもう一度よく見て、仕方ないように言う。
「リベリオン、つい最近ここいらで活動しはじめたパイレーツです。」
「宇宙海賊!?」
「そんな驚くことじゃないだろスペード、警察機構ってもんができてからは数は激減したけどな。」
「そうじゃねぇ!スパンク、これは降りるべきだぜッ!!敵いっこねぇ!」
宇宙海賊は特別なルールや決まりごとがないため、マフィアに比べて統率に欠き大規模なものではない。
だが、少なくともスペードとスパンクの二人組みを始末するぐらいは楽、スペードが降りるというのも無理はない。

「俺は行くぜ、」
「今日の昼どころの規模じゃねぇぞ!!どうやるつもりだ!?死にに行くのか?」
「悪いが、このまま生き延びてもな、船がないと、俺は始まらないんだよ。」
その言葉に、スペードは静かに、そして別れの言葉を言った。
「そうか……短い付き合いだったな。」
そういうスペードにスパンクは寂しい笑いを見せ家を出て歩き始める。横にスペードの姿はなかった。
24名無しになりきれ:2007/01/15(月) 17:30:36
さっきの海賊連中か!?
25名無しになりきれ:2007/01/15(月) 23:01:55
  /\___/\
/ ⌒   ⌒ ::: \
| (●), 、(●)、 |    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|  ,,ノ(、_, )ヽ、,,   |  < ニードル、やるじゃん!
|   ト‐=‐ァ'   .::::|    \_____
\  `ニニ´  .:::/            
/`ー‐--‐‐―´´\
2620:2007/01/15(月) 23:24:54
まさかマジで拾っちゃうとはw
応援するわ頑張れ
27拾わなくていいよー:2007/01/16(火) 00:01:56
ココはホントいい!

応援してるぞ!
28名無しになりきれ:2007/01/17(水) 17:24:06
おい、あれを見ろ!
あれを使って一網打尽に…
29名無しになりきれ:2007/01/17(水) 20:42:34

   〃∩ ∧_∧
   ⊂⌒(  ・ω・)    はいはいわろすわろす
     `ヽ_っ⌒/⌒c
        ⌒ ⌒
30ニードル・スパンク ◆hQ2fWUEvtQ :2007/01/17(水) 20:45:47
よう……今回は俺一人だ、スペードはいま色々あって一緒じゃないからな。
それじゃあ、これから物語では返せない質問や言葉に反応していきたいと思う。
おっと、その前にだ、少しばかし誤解を招くような感じになっているのかもしれないので一応説明しておく。

物語で俺はレスの順番を関係なしに拾っているが、
抜けている奴のレスを抜かそうなんて気はない、どんなものでも、
一度書き込んだら限界までは物語に取り入れるつもりだ、だから拾われてないと嘆く奴も多いかもしれないが。
絶対に抜かしたりはしない、信じてもらえるとなによりだ。

>>26
ん?というか、俺が言いだしっぺだしな。
俺はべつに「シップが爆発する」と書いてもいいといった。
そしてアンタはそれを書いた、これは俺が良いっていったことだ。
だったら仕方ない、俺が悪い、

そして応援ありがとさん。俺ももう少しぐらい頑張ってみるさ。

>>27
大丈夫だ、拾わないものは拾わないものでこうやって返事をする。
ここが良い?感謝の言葉も出ないな。
とにかくだ、ここを良いといってくれるのならそれに越したことはないってわけだ。
今後とも宜しく頼むぜ、物語じゃあ空中分裂してる俺達だがな。

>>29
そうか、笑ってくれんならそれに越したことはないな。
あと、その体制で本を読むってのは実はつらい行為だ。
なぜなら肩がこり首の脊椎が圧迫されたりするため、
普通にソファーにだらだらしながら座って読んだほうがいいってもんだ。

それじゃあ、俺はこれで、
31名無しになりきれ:2007/01/17(水) 20:50:16
         (   (
        ( (   (. )
         . -‐ ) ‐- .
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32名無しになりきれ:2007/01/17(水) 21:08:39
おい聞いたか?
移動砲台としか呼べないような、
大型砲を積んだ新型シップがあるらしいぜ!
33名無しになりきれ:2007/01/20(土) 02:09:52
どうした?スパンク。そんなもんか!?あぁ?
34ニードル・スパンク ◆hQ2fWUEvtQ :2007/01/20(土) 09:28:54
>>32
「ちッ、全く、なんであの野郎は船ぐらいであんなにも簡単に自分の命を晒せるんだ。他にも仕事はあるってのによ。」
「さあ、だれも分からないですぜ、なんせ、兄貴は普通の人間とは違いますからね。」
確かに船はスペード達にとって必要なものかもしれない、だが、船は無くても生きていける。
普通の仕事につけばいい、そう思うスペードとスパンクに何らかの温度差というものがあった、
「そこなんだよ、普通の奴には付いていけねェのさアイツに、俺も今まで付き合ってきたが、よく分からねェ……」
スパンクを見捨てたという気持ちと馬鹿な奴についていけないという気持ちが交錯するスペード。
そんなとき、外からなにやら声が聞こえる。
「おい聞いたか?移動砲台としか呼べないような、大型砲を積んだ新型シップがあるらしいぜ!」
「ああ、あれだろ、草薙重工が作ったやつ、今後検討されてる治安維持のための軍に配備されるものらしいな。」
そんな会話を垂れ流しながら声の主達はどこかに行ってしまった。
二人の話しを聞いていたスペードが立ち上がる、
「んっ?どうしかしたんですかい?」
「……そのシップがありゃあ、そのリベリオンとやらをぶっ潰せると思うか?」

>>24
「さてと、リベリオン、名前は分かったが、どうやって探すかね……」
ぼやきながらスパンクが歩いているとシップがけたたましいエンジン音を鳴らして目上を通り越す。
こんな低空で飛ぶシップは滅多にない、よく見ると、その船体にはあのエンブレムが刻まれていた。
「さっきの海賊連中か!?」
そういった瞬間に、シップからマシンガンを持った奴らが下のスパンクに狙いを定める。
「おいおい、よくそんな弾撃ちまくって金なくならないな、魔法のポケットでもあんのかよっ!!」
そういってすぐ傍の時計搭の建物に逃げ込むスパンク、銃を取り出しカートリッジに入った残弾を確認する。
マシンガンの銃声が外で響き渡り、シップのエンジン音が消える。
「なるほど、よほど生きて欲しくないみたいね。」
エンジン音を消すということはどこかに停泊させたということだ。おそらくここに乗り込んでくる気。
連中はどうあってもスパンクを殺したいのだろう。いや、口封じをしなければよほどマズイということなのだろう。
「やれやれ、追いかけられるってのは趣味じゃないんだがな。」

>>28
マシンガンの男達がとうとう時計搭に乗り込んできた。銃で牽制しながら時計塔の螺旋階段を上っていくスパンク、
「AK……カラシニコフに、ヘッケラーコックシリーズ、物騒なもん使いやがって……モーゼルじゃあ太刀打ちできねえ……」
スパンクに今できることはできるだけ身をかがめ時計搭を駆け上がるだけ。しかしこのままじゃあいずれ限界がくる。
そう思っていたとき、スパイクの目の前に指が出てきて上を指す。
「おい、あれを見ろ!あれを使って一網打尽に…」
上を見ると歯車が無造作に動いている、あれを使えば確かに奴らを一網打尽にできる。
「おいおい、いいのか?あれ落としちまったらここは……」
「なぁに、どうせここはもうすぐぶっ壊れる予定なのよ。」
それを聞いたスパンクは、モーゼルを歯車を止めている金具に向かって銃弾を放った。
35名無しになりきれ:2007/01/20(土) 16:55:29
  _、_
( ,_ノ` )y━・~~~ ニードル、お前渋いぜ
36ニードル・スパンク ◆hQ2fWUEvtQ :2007/01/20(土) 17:28:03
銃弾は真っ直ぐに歯車の金具に直撃し、時を刻むのをやめた時計搭の歯車が崩壊していく。
歯車は下にいる海賊連中めがけて何個も落っこちていき、一人を残して全員が下敷きになる。
スパンクは銃を残った一人の海賊に向けて撃つ、弾は海賊の足元に何度も着弾し火花が散る。
「ひ、こ、殺されちまうっ!!」
残った一人は一目散に逃げ出し、停泊してあるシップに乗り込みエンジンを動かす。
「じょ、冗談じゃねぇ、あんなキレる奴なんて聞いてねぇ、増援が必要だ」

「じゃあな爺さん、時計搭のことはすまなかった。」
「なぁに、いいってことさ、それよりもだ、今度できる新しい時計搭があるんだが、俺がそこの管理人になる予定なんだ。」
「ああ、分かってる、この件の礼、それといつか遊びに行かせてもらうぜ、じゃあな!」
そういって走り去っていくスパンク。

「ちっ、なんでこんなときに限ってエンジンが中々つかねぇんだ!!」
バンッ!!とコントロールパネルを叩いたのと同時にエンジンがかかる。
ホッとした表情で海賊はシップを離陸させ急加速させてその場を離れた。
大分移動し、ようやく精神的にも落ち着いてきた海賊がさっきまでの怒りを爆発させる。
「ちくしょう、あの野郎、絶対にただじゃおかねぇ。」
「へぇ、そいつは怖いな、俺は争いはあんま好きじゃないんだがね。」
後ろを振り返るとそこにはモーゼルを構えた男が一人、そう、ニードル・スパンクだった。
冷汗を流す海賊の頭に冷たい銃口が当て、スパンクはニヤリと笑う。

「さぁて、お前の大元に案内してもらおうか、ほら、請求書を送らなくちゃならないんだよ。分かるだろ?」
37名無しになりきれ:2007/01/20(土) 20:31:54
    〃〃∩  _, ,_
     ⊂⌒( `Д´) < ニードルの話、マダー?
       `ヽ_つ ⊂ノ

38名無しになりきれ:2007/01/20(土) 20:35:44
|  |
|  |∧_∧
|_|´・ω・`) そ〜〜・・・
|桃|o旦 o
| ̄|―u'         
""""""""""
39名無しになりきれ:2007/01/20(土) 22:09:20
と、そこに爆弾が
40名無しになりきれ:2007/01/20(土) 22:31:41
無限に広がる大宇宙・・・
41名無しになりきれ:2007/01/22(月) 10:55:29
爆弾が無限に広がる大宇宙か・・・・

それって何て地雷原?
42名無しになりきれ:2007/01/22(月) 17:52:08
バックドロップ!
43名無しになりきれ:2007/01/23(火) 15:39:31
キムチ鍋うめえwwwww
44名無しになりきれ:2007/01/23(火) 22:47:13
キムチ臭くなってきたw
45名無しになりきれ:2007/01/31(水) 00:09:46
まさか!?ブラザーフット!?
46ニードル・スパンク ◆hQ2fWUEvtQ :2007/01/31(水) 06:23:45
あー、いきなりなんの言葉もなしに二週間ぐらいあけたのは悪かった。
とりあえず今日中には話しを再開するつもりだ。それじゃあ、物語で会おうぜ。
47名無しになりきれ:2007/01/31(水) 14:06:55
ニードルマダー(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
48名無しになりきれ:2007/02/01(木) 00:08:18
慌てるな。今日中に書くと言ったんだから今日中くらいは待とうぜ。
今日中に来なかったらさすがに終わりだがな。
49名無しになりきれ:2007/02/01(木) 00:09:06
教授う?
50ニードル・スパンク ◆hQ2fWUEvtQ :2007/02/01(木) 01:03:30
小型のシップを占拠し、更に飛行すること数分。大元と思われる巨大なシップが見えてくる、
この程度の小型のシップなら50隻以上入ってもおかしくはない大きさだ。
どうやって最近できたばかりの海賊がこのような力を持っているかは分からない。
だが相手がどうだろうとスパンクにはスパンクなりの引けない思いというものがある。
「ほら、早く仲間の所に戻らないと、頭に大穴が開いちまうぜ?」
銃口をぐりぐりと相手の頭に押し付けるスパンクの言うがままに男は通信を入れ小型のシップの受け入れを要請する。
「ちょいと悪いな。まあ殺しはしないさ、勘弁してくれ」
男を銃で殴りつけ、着ているエンブレムのはいった服を脱がすスパンク。

>>42
「ま、こんなもんか、しかし、ダサい服だなこれはまた。」
エンブレムの入った服を着て文句をいうスパンク、しかし、確かにあんまり良いデザインとはいえない。
まあ、これもカモフラージュにはなるからしかたない。気絶している男は上から布を被せとりあえずの一時処理を終わらせる。
そうこうしている間に小型シップは収納されドアハッチが開く。相変わらずのノンビリした歩きで小型シップから出ると、
出迎えらしき兵がいる。
「おい、他の奴らはどうした!?」
「ん?ああ、全滅したぞ、なんだ、ほら、やっぱし人海戦術だとやりずらいんじゃないんかね?」
全滅という言葉を聞いて驚いた顔をして中に目をやったあと行こうとするスパンクの腕を掴む。
「おい、なぜお前だけ助かった、それと、お前だれだ?俺は見たことないんだが・・・・」
「ふう、けっこうバレるもんなんだなぁ、っていうか、顔とか憶えてるんだなお前等」
スパンクの言葉に出迎えの兵は驚く、そして銃を向けようとしたが、スパンクは敵兵に冗談回し蹴りを食らわし、
そのままバックドロップをかます、床の鉄板のお陰でいい音が響き敵は気絶した。
「近距離で突撃銃はナンセンスだ、だいたいね、銃ばっかり使うことしか考えてねえからこういうことになるんだよ。」

そういっていつもと同じようにノンビリと敵兵を後にするスパンクだった。

>>39
しばらく艦内を探索していると警報が鳴り響く、そしてその次には侵入者の言葉が聞こえてくる。
「けっこう早く見つかるもんだな・・・もう少し稼げると思ってたんだが!!」
スパンクの足が歩きから走りに変わる、後ろから鉄板を蹴っている音がすることから早く行かないと敵とはちあわせだ。
そもそも、服装は同じといってもこの状況下で突撃銃など敵の基準とされている銃を手にしていないスパンクは、
奴らからはどう見ても「仲間」とは思えないはずだ。
「えっと大将さんはっと・・・・どこにいるんだ?」
そういって通路の角を曲がった瞬間に銃声が鳴り響く!スパンクはとっさに後ろへ引きなんとか当たるのは避ける。
「ヤバえな、このまま突っ切ることもできない、しかも後ろからも敵は来てる、このままじゃあいずれやられるな。」
どうするかと悩んでいると自分のすぐ傍で爆音が響く、何かの破片がスパンクに飛んで来て肩に突き刺さる!!
「うぐっ!!おいおい、手榴弾なんか投げていいのかよ、シップに傷が付くぞ!?」
そう、爆発の正体は手榴弾だったのだ、相手のなげこんだ爆弾、その破片がスパンクの肩に向かってきたのだ。
「ふう、このままゲームオーバーってか?・・・・いや、待てよ、」

スパンクは上の証明をモーゼルで打ち抜いていき、明かりが消え薄暗い状態になる。
おそらく敵兵は構わずこのまま第2、第3の手榴弾が投げ込こんでくるはずだ、チャンスはそこしかない。
スパンクは目を閉じ全神経をある一点に集中させる、一時間も時間が経ったように思えたその時、
通路から手榴弾のピンを抜く音がスパンクの耳に入る。
「今だ!!」
スパンクは角から身を出し敵の方に全力で走り出す、この暗さだ、相手はスパンクの突然の行動に反応できるわけもなかった。
スパンクはモーゼルを一発適当に壁に撃つ、銃弾は火花を散らし一瞬あたりを照らす。
そのときに一瞬だけ見えた宙を舞う手榴弾をスパンクは逃しはしなかった。
「・・・・捉えたぜ。」
モーゼルが火を吹き手榴弾が爆発する。爆発はおもに天井を破壊し様々なものが振ってくる、
ここのすぐ上にあった倉庫の荷物が落ちてきたのだ、慌てふためく敵兵の間をスパンクはスライディングで潜り抜ける。

「ふう、まあ、運が良かったってわけだ。」
埃を払い立ち上がるスパンク、後ろには色んな残骸の山、爆発はシップの二階の全ての荷物を落とし。
敵兵を巻き込む形で通路を絶った、だがおそらく賭けだったのだろう。
「さてと、これでゆっくり大将を探せるってもんだ。」
51ニードル・スパンク ◆hQ2fWUEvtQ :2007/02/01(木) 01:07:28
本当にすまなかった、色々と忙しかったとはいえ、連絡いれるべきだったと後悔してる。
おそらく呆れてどっか行っちまった奴もいるかもしれないが。
まだ見ててくれているという奴らには真に感謝したい。

>>37
ああ、すまねぇな、もう大丈夫だ、
これからは小まめにはこれると思う。
悪かったな。

>>47
ああ、てか日付が変わっちまったな、本当にすまなかった。
こんな俺でも見捨てずにいてくれるのなら本当にありがたい。

>>48-49
あー、本当にすまん、思ったより時間かかってな。
日付が変わっちまったらしい、いや、すまなかった。
終わりかどうかはあんたらに任せる、もとはといえば俺の勝手なわがままに付き合わせちまったんだ。
見切り時は任せたぜ。ま、頑張るからこれからも頼むって言いたいのは山々だけどな。
52名無しになりきれ:2007/02/12(月) 15:47:19
レース
53名無しになりきれ:2007/02/13(火) 02:04:04 0
質問でストーリーが進むシュチュエーション質雑で合ってる?
54名無しになりきれ:2007/02/13(火) 05:48:19 0
針でスパンキングするのか?ハードだなおい
55名無しになりきれ:2007/02/24(土) 20:59:43 0
ニド・・・
56名無しになりきれ:2007/02/25(日) 02:52:36 0
スパンキング?
57名無しになりきれ:2007/03/01(木) 10:31:07 0
もう一つきか・・・はいスレ
58名無しになりきれ:2007/03/13(火) 00:30:09 O
ニードル!応答してくれ!
ニードルーー!!
59名無しになりきれ:2007/03/17(土) 04:21:37 0
もうそっとしといてやれよ

つかさ、誰かが変に期待かけたスレほど長続きしないよなwww
60名無しになりきれ:2007/03/25(日) 00:11:50 O
嘘だ!
あいつは約束を破るような奴じゃない!
61アトラス:2007/04/07(土) 12:25:19 O
荒涼とした火星の大地に、一台のシップが、ゆっくりと降りたった。
ハッチが開き、中からまだ少女と言っていい年齢の女性が降りてくる。
彼女の名は、アトラス。
地球連邦の新米エージェントである。
連邦事務局に来た仕事の依頼のため、愛機フォーチュン号に乗り、この火星にやってきたのだ。
「えーっと、どこにやったかな……
 あったあった。」
ポケットから、一枚の写真を取り出して、依頼内容を確認する。
今回の任務は、火星で行方不明になった男、ニードルを探し出すこと。
彼の友人からの依頼で、前後の状況からすると、事件に巻き込まれた可能性が高い。
写真には、ハンサムと言えなくもないが、全体的にだらしない雰囲気の男が写っている。
「まずは聞き込み調査からですね!
 捜査の基本は歩くことから!
 気合い入れていきますよ!」
アトラスは張り切って歩きだした。
目標は、すぐそこに見える町だ。
62アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/04/09(月) 14:14:57 O
《マーズタウン》に到着したアトラスは、まず保安局に向かった。
美人の受付嬢に、ニードル・スパンクのデータ確認要請を出す。
「少々お待ち下さい」
受付嬢は、アトラスの差し出した認識証を、コンピューターに読み込ませる。
モニターに登録データが映し出された。

【名前】アトラス(コードネーム)
【愛称】アトラス
【性別】女
【年齢】17歳
【性格】熱血。正義感が強い。嘘が嫌い。
【身長】156p
【容姿】短髪。幼児体型。
【趣味】訓練・ヒーロー物のアニメやマンガを見ること
【得意なこと・もの】力仕事・格闘
【苦手なこと・もの】頭を使うこと全般・長距離射撃
【一言】正義は必ず勝ちます!
宇宙に正義を広めるため、がんばりましょう!
【備考】怪力の特殊能力 を持つニューマンである

「確認しました。こちらをお使い下さい」
「ありがとうございます」
差し出された小型コンピューターと認識証を受け取った。
コンピューターは火星保安庁本部とつながっていて、住人の様々なデータを引き出す事ができる。
アトラスは早速、ニードル・スパンクに関する情報を調べ始めた。
63名無しになりきれ:2007/04/09(月) 14:19:25 O
>>61-62
ちょっと期待
64名無しになりきれ:2007/04/09(月) 14:25:24 0
成長期だからといってひたすら思いものを持ち上げたり、ハードな筋肉をつけたりするトレーニングをしてしまったら、成長が止まる
つまり怪力キャラに小さいのが多いのは必然だったんだよ
65名無しになりきれ:2007/04/09(月) 14:30:46 0
つまりああいうおちびちゃんが怪力の可能性は高いってんすね兄貴
66アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/04/11(水) 12:50:40 O
いくつかの収穫を思い返しながら、アトラスはタウンの裏通りを歩いていた。
まず、スパンクが海賊団【リベリオン】に狙われていた事。
リベリオンは最近頭角を現しだした海賊で、蝙蝠のエンブレムを使用している事。
最後に、リベリオンは強力な装備を多数持っている事。
新米エージェントには、少し荷の重い相手かもしれない。

「本部に応援を頼んだ方がいいでしょうか……」
少し弱気になったアトラスだが、上司の言葉が脳裏をよぎった。
『ちょっと期待していますよ』
少しでも期待されれば、全力で応えるのがアトラスの信条である。
「弱気になっている場合じゃありません!
 何としてでも、スパンクさんを探し出さねば!」
気合いを入れ直し、情報屋を目指し歩き始める。

そんなアトラスの前に、チンピラ風の男が立ちはだかった。
「お嬢ちゃん、なにか捜し物かい?」
「なんなら、俺たちが探すのを手伝ってやってもいいっすよ?」
続く声は後ろから聞こえた。
挟み撃ちだ。
へらへら笑う二人組の手には、ナイフが握られている。

「何者です!
 私を連邦のエージェントと知ってのことですか!」
牽制するつもりで身分を明かしてみるが……
67アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/04/11(水) 12:53:56 O
「連邦のエージェントだってよ、兄貴!
 怖いっすね〜何をされるかわからないっすよ〜」
「いやいや、そうバカにしたもんじゃねえ。
 いいか。成長期だからといって、ひたすら思いものを持ち上げたり
ハードな筋肉をつけたりするトレーニングをしてしまったら、成長が止まる。
 つまり、怪力キャラに小さいのが多いのは、必然だったんだよ!」
「つまりああいうおちびちゃんが、怪力の可能性は高いってんすね、兄貴!」
2人でゲラゲラ笑い転げる。

アトラスの方は、おちびちゃんと呼ばれていい気にはなれない。
「怪力かどうか、試してみればわかることです!
 今すぐ武器を捨てて投降すれば、無駄な怪我をせずにすみますよ!」
「そりゃこっちのセリフっすよ!」
叫んで後ろから切りかかってきた男の腕を掴み、前の男の方に向かって投げ飛ばす。
兄貴分の男は、その攻撃に反応できず、2人はぶつかって地面に転がった。
「くそっっ!!」
立ち上がろうとした2人の動きが止まる。
大口径のハンドガンで狙いをつける、アトラスを見たのだ。
「動かないで下さい。
 あなた達には、いろいろ聞きたいことが有りますから」
68名無しになりきれ:2007/04/11(水) 14:27:47 0
俺の言うとおりだったろ子分

わかってたんならとめてくださいよ兄貴
69名無しになりきれ:2007/04/11(水) 19:48:14 0
ボディービルカッター
70名無しになりきれ:2007/04/11(水) 20:02:28 0
なんという躍動する腹筋
すばらしく美しい
71バズズ ◆JnU8ds809s :2007/04/11(水) 22:21:02 0
【名前】バズズ(正式名称不明)
【愛称】バズズ
【性別】男
【年齢】28歳
【性格】クール。いい加減。嘘つき。
【身長】184p
【容姿】 長髪にカウボーイハット。無精髭。長身痩躯。
【趣味】ごろ寝・ハッキング
【得意なこと・もの】頭を使うこと・射撃
【苦手なこと・もの】力仕事
【一言】 まあ、気楽にいこうや。
【備考】情報屋。射撃の腕は超一流。何やらヘマをやらかし、とある盗賊団に追われていているらしい。

アトラスと二人組の男の格闘を、物陰から眺めていた男が一人。
西部劇のガンマンを思わせるウエスタンな格好に身を包むその男は、
体格に勝る二人の男があっという間に制圧される光景に、少し驚いた様子だった。
少し逡巡し、にやりと笑む。そして、物陰から動いた。

>俺の言うとおりだったろ子分
>わかってたんならとめてくださいよ兄貴

ぼやく二人と、銃を突きつける少女。
男はその背後からすっと忍び寄り、銃を抜き出し、少女の頭に向けた。
しまりのない笑みを浮かべたまま、男は言う。
「なんという躍動する腹筋、すばらしく美しい。
 だが、その辺にしといてやりなよ、おチビちゃん。武器を捨てて両手を挙げな」
それからちらりと二人のゴロツキに目を遣り、もう一丁の銃を抜き出して少女の肩越しに狙いをつけた。
「あー、俺様はお前らには興味がない。おうちに帰んな」
72名無しになりきれ:2007/04/11(水) 22:29:35 0
礼はいわねえぜ!だが筋トレをやりすぎると背が止まるのは本当だからな
いくぞ子分
73名無しになりきれ:2007/04/11(水) 23:44:31 0
あ、兄貴待ってくださいよぉ
74名無しになりきれ:2007/04/12(木) 12:18:31 0
うわあ!?
75名無しになりきれ:2007/04/12(木) 22:05:42 0
倒れるぞぉ!!気をつけろ
76アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/04/13(金) 17:20:39 O
>バズズさん
はじめまして!よろしくお願いします!
巨悪を打ち砕くため、一緒にがんばりましょう!
77アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/04/13(金) 17:24:19 O
>なんという躍動する腹筋、すばらしく美しい。
 だが、その辺にしといてやりなよ、おチビちゃん。武器を捨てて両手を挙げな

急に後ろから聞こえてきた声に、驚いて振り向くと
映画の中から抜け出してきたような格好の男が、アトラスの頭に銃を向けていた。
他にも仲間がいたのか。
確認しなかった迂闊さを悔やみながら、ハンドガンを地面に落とし、両手を挙げる。

>あー、俺様はお前らには興味がない。おうちに帰んな

>礼はいわねえぜ!
だが筋トレをやりすぎると背が止まるのは本当だからな
いくぞ子分

>あ、兄貴待ってくださいよぉ

「大きなお世話です!!ではなくて……
逃げないで止まりなさい!!」
78アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/04/13(金) 17:25:13 O
思わず制止したが、頭に銃口を向けられ、武器も持っていないのだから聞くはずもない。
2人組の姿は、路地の奥にあっという間に、消えていった。
怒りの矛先を、しまりのない笑みを浮かべている男に向け、睨みつける。

「あなたも、リベリオンの仲間ですね!
 例え私を殺しても、あなた達の悪事は必ず裁かれます!
 今のうちに悪行を恥じて、自首してください!」
言い終えると同時に、路地の奥から、パワードスーツが一台近づいてきた。
胴体部分に、強力なカッターが取り付けられているタイプのスーツで
ビルの解体作業などにも使われることから、《ボディービルカッター》とも呼ばれている物だ。
肩に蝙蝠のエンブレムをつけている。

銃を向けられているため、アトラスは近づいてくるパワードスーツを、睨みつける事しかできない。
79名無しになりきれ:2007/04/13(金) 19:10:54 0
ははは!!つぶれろ連邦の犬!!
80名無しになりきれ:2007/04/13(金) 19:19:37 0
グロ死体は見たくねえな

ちょ兄貴助けるんっすか?
81バズズ ◆JnU8ds809s :2007/04/14(土) 21:47:33 0
>アトラス
ああ、こちらこそよろしく。
82バズズ ◆JnU8ds809s :2007/04/14(土) 21:48:34 0
「くくく、怒鳴るなよ。あんまりカリカリしてっと背ぇ伸びないぜ?」
ロックオンしたままニヤニヤ笑いで言う男。
お世辞にも性格が良さそうには見えない。

と、そこへ。

「げ」
現れたのは、リベリオンのパワードスーツ《ボディビルカッター》。
ビル解体にも使われる強靭剛力な型だ。
明らかにこちらに向かっている。
「やべぇ、ありゃ俺の客だな・・・。保安官さーん、善良な市民が目の前で大ピンチですよ」
男が銃をしまい、そそくさと小さくなってアトラスの背中に隠れた。
たとえ男が見た目通りに銃の達人だったとしても、相手は鉄の塊。
とてもじゃないが拳銃で立ち向かえる相手ではない。
83名無しになりきれ:2007/04/15(日) 00:11:44 0
ドカーン
84名無しになりきれ:2007/04/15(日) 12:17:23 0
バズーカを食らえ!!うお!まぶし

あ、あにき
85アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/04/16(月) 16:00:48 O
>くくく、怒鳴るなよ。あんまりカリカリしてっと背ぇ伸びないぜ?
余裕の表情を見せていた男だが、パワードスーツの登場に驚いた顔を見せた。

>やべぇ、ありゃ俺の客だな・・・。保安官さーん、善良な市民が目の前で大ピンチですよ。
「リベリオンの、仲間じゃなかったんですか!?
 わかりました!
 私の後ろに下がっていてください!」

例え、自分に銃を向けてきた相手でも、助けを求められたら助ける。
アトラスは落とした銃を拾い、パワードスーツに何発か発砲した。
だが、弾丸は分厚い装甲に弾かれる。

パワードスーツの方は、彼女たちの方ではなく、近くの建物の方に向き直った。
壁に胴体のカッターが、易々と食い込んでいく。

「なにを……!」
しているのか、聞く必要はなかった。
すぐにその建物が、アトラス達に向かって倒れてきたからだ。

「うわあ!!」
「倒れるぞぉ!!気をつけろ!」
遠巻きに見守っていた野次馬達も、悲鳴を上げて逃げまどう。

『ははは!!つぶれろ連邦の犬!!』
勝ち誇った声が、パワードスーツのスピーカーから響き渡った。
86アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/04/16(月) 16:02:22 O
とっさに、後ろに回っていた男を突き飛ばし、自分も転がるようにその場を離れる。
ドカーーーン!!!
さっきまで立っていた場所に、たちまちガレキの山ができた。

すぐに駆動音と共に、ガレキの山を越えてパワードスーツが近づいてくる。
今度は直接カッターを使って、こちらをミンチにするつもりらしい。
手持ちの武器では、太刀打ち出来ない以上、逃げ回るしかなさそうだ。
逃げてばかりでは、追いつかれるのも時間の問題かもしれないが。

「グロ死体は見たくねえな 」
「ちょ兄貴助けるんっすか?」
逃げ出したはずの2人組が、いつの間にか戻ってきていた。
兄貴分の肩には、無反動型のバズーカが乗っている。
バズーカは、アトラス達の方ではなく、パワードスーツに向けられていた。
「バズーカを食らえ!!」

もちろん、パワードスーツも、黙ってバズーカに狙われている訳ではない。
その手の先から、何かが発射された。
「閃光弾です!目を閉じて下さい!!」
【何か】の正体を知ったアトラスが叫ぶ。
そして閃光弾は音もなく、爆発的に光を放った。
「うお!まぶし」

「あ、あにき」

兄貴と呼ばれた男の手から、バズーカが滑り落ち、こちらに転がってきた。
87バズズ ◆JnU8ds809s :2007/04/16(月) 16:43:37 0
アトラスの銃撃も、やはりパワードスーツには効き目がない。
分厚い鉄板と鉛玉、勝負は火を見るより明らかだ。

苦戦するアトラスを、バズズは少し離れてじっと見つめていた。
「・・・駄目っぽいな」
こっそり場を離れようかと一歩後ずさった、その時だった。

チュミミミン。
パワードスーツが近くの建物をこちらに切り倒してきたのだ。

「げ、マジかよ」
この攻撃は想定外だ。
咄嗟に【切り札】を使おうとしたが、間に合わない。

>ははは!!つぶれろ連邦の犬!!

声高に叫ぶパワードスーツ。
野次馬の誰もがもう駄目かと思った、その時だった。

>グロ死体は見たくねえな
>ちょ兄貴助けるんっすか?

「なに?お前ら!」
先ほど追い払った二人組がドスドスと駆け戻って来たのだ。
兄貴分が肩に担いでいるのは、なんとバズーカ砲。
それを倒れてくる建物に向けて構える。
だが、運悪く、見上げたその方角にはちょうど西日が照り輝いていた。

>バズーカを食らえ!!うお!まぶし
>あ、あにき

ドカーン!

西日に目の眩んだ兄貴分のバズーカ弾は、狙いを明らかに逸らした。
だが、【そのおかげで】上手い具合に建物に直撃し、吹き飛ばしたのだった。

「お・・・」
破片の舞い落ちる中、呆気に取られて彼らを見つめるバズズ。
だが、口元におかしそうな笑みを浮かべ、帽子を目深に被り直す。
「へっ・・・お前らみたいなのに助けられちまうとはな。礼を言うぜコンチクショウ」

そして、パワードスーツに向き直った。
右腰の拳銃を抜き、手の中でくるくると玩んで、じゃきんと敵に向ける。
「やれやれだ。あんな奴らに男見せられちゃ、俺も一丁見せてやるしかないじゃないの」
そして、目だけをアトラスに向ける。
「おいおチビちゃん、5秒だけ作戦会議だ。アンタ何ができる?」
88バズズ ◆JnU8ds809s :2007/04/16(月) 16:44:40 0
【うお、リロードせずに書き込んじまった。スマン。>87は無しで頼む。】
89アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/04/17(火) 08:59:33 O
>>88
【お気遣いありがとうございます!
 でも、余り問題なさそうですから、作戦会議を始めましょう!】
90名無しになりきれ:2007/04/17(火) 09:42:17 0
リボルバーバズーカたまは
91ニードル・スパンク ◆6Rg9O4BHiE :2007/04/17(火) 10:04:43 0
あー、なんていうかな、今頃出てきて本当に迷惑かもしれないが。
ニードルだ、まあ、いろいろありすぎてな、ちょいとここにこれない状況が続いちまってたんだ。
まあかなり言い訳から信じろとはいえないが信じてもらえるとありがたい。
本当にすまなかった、三度めの正直で続けさせてくれ。
そんで、なんかむちゃくちゃ優しい方々が存続してくれてたみたいだが。
えーっと、アトラスさんにバズズさん、これから展開どうするかね?てか俺はもう一度参加していいのかね?
もし迷惑だったりするんなら仕方ないから降りるが・・・

あと、トリップが違うのは紛失しちまったからだ。
だらしなくてすまん。
92名無しになりきれ:2007/04/17(火) 10:18:22 0
取り合えずお帰り

で、次にまたいろいろありすぎたときはどうする?
また黙って消えるのか?
せめて何か一言でも残してくれると心配しないですむのにな
頼むよニードル
93名無しになりきれ:2007/04/17(火) 11:47:55 O
「おはようスパンク」のスレじゃないの?
♪おはようスパンク おはようスパンク♪
94名無しになりきれ:2007/04/17(火) 12:12:35 0
>91
長い間これないときはこれないといってくれ
あと復帰おめでとう

そこだミサイル
95名無しになりきれ:2007/04/17(火) 13:42:57 0
行けドリル!!
96バズズ ◆JnU8ds809s :2007/04/17(火) 21:38:39 0
【>87の書き直し】

アトラスの銃撃も、やはりパワードスーツには効き目がない。
分厚い鉄板と鉛玉、勝負は火を見るより明らかだ。

苦戦するアトラスを、バズズは少し離れてじっと見つめていた。
戦闘における体裁きや反応、判断力。
その全てを、さっきまでとは打って変わった真剣な眼差しで観察している。

(なるほど。悪くはないが・・・【合格】には一歩足りないか)

その時。
パワードスーツが近くの建物をこちらに切り倒してきた。
「ぅおっと?」
蚊帳の外のつもりでいたバズズには、予想外の攻撃だ。
そこにアトラスが駆けてきて、バズズを突き飛ばし自身も転がる。

ドカーーーン!!!

「っひゃ〜・・・無茶しやがる」
何とか倒壊範囲からは免れたようだ。
ガレキの山を見ながら、冷や汗を頬に伝わせるバズズ。

そこへ、ガレキを踏み越えチュミミミンとカッターを振り回してパワードスーツがやって来る。
「ちっ、面倒臭い奴だね。大人しくビルでも切ってろっての。ま、ともあれ」
バズズは尻の埃を払いながら、ゆったりと腰を上げた。

「あのおチビちゃんは【合格】にしとくか」

その時、路地の向こうから先ほど追い払ったチンピラ達が駆けて来た。
その肩に担ぐのは、なんとバズーカ砲。
さすがにバズズの顔が曇る。
「あにぃ?おいおい、面倒な時に面倒な奴らが面倒なモノを・・・」

しかし、その砲身はバズズ達でなく、パワードスーツに向けられていた。
対するパワードスーツは、すかさず手の先から何かを発射した。
バズズは咄嗟に帽子で目を隠し、アトラスは叫ぶ。

>「閃光弾です!目を閉じて下さい!!」
>「うお!まぶし」
>「あ、あにき」

果たしてそれは閃光弾だった。
放たれた閃光に、チンピラ兄貴分はバズーカを取り落とす。
こちらに転がってくる。

「ヘイ、保安官」
バズズはそれを足裏で止め、下げていた帽子の唾を持ち上げ、横目でアトラスを見た。
パワードスーツは再びこちらに動き出している。
「ここからは俺様もやる。5秒だけ作戦会議だ。アンタ何ができる?」
97バズズ ◆JnU8ds809s :2007/04/17(火) 21:45:32 0
>ニードル
おかえり。
信じるとか迷惑とか前科とかややこしく考えなくても、
やりたいならやればいいってのが俺のスタンスだ。ただの遊びなんだしな。
つーことで復帰すんならこれからよろしく。
98名無しになりきれ:2007/04/18(水) 14:27:28 0
ジャマ〜〜
99アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/04/18(水) 16:36:49 O
こちらに転がってきたバズーカを、後ろに隠れていた男が足で止めた。
珍しいリボルバー型バズーカなので、バズーカにはまだ弾が残っている。
もっとも、アトラスはバズーカを使えないのだが。

>「ここからは俺様もやる。5秒だけ作戦会議だ。アンタ何ができる?」

「接近できれば、操縦者を引きずり出せると思います。
 もちろん足止め出来ていればの話ですが……
 もしできるなら、脚部の関節を撃って動きを制限して下さい!」
協力を申し出てくれた男に言いおいて、そのまま走り出す。
自分でも無理を言っているとは思うが、他に方法を思いつかなかったのだ。
まさか、バズーカを撃ってくれるよう、一般人に頼むわけにもいかないだろう。

「あなたの相手は私です!」
わざと注意を引くように動き、パワードスーツを引きつける。
さらに間接を狙って何発か銃弾を打ち込むが、やはり当たらない。

そうこうしている内に、パワードスーツの左手がドリルに変形した。
『行けドリル!』
声と共に発射されるドリルをなんとか避ける。
「うぅ……まずいかもしれないです……」
再びドリルを準備するパワードスーツを見ながら、アトラスはつぶやいた。
100アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/04/18(水) 16:41:52 O
>ニードルさん
お帰りなさい!
迷惑だなんてとんでもないです!ぜひぜひ参加して下さい!
これからよろしくお願いします!
101名無しになりきれ:2007/04/18(水) 16:47:18 0
バズーカの弾は後5発
102バズズ ◆JnU8ds809s :2007/04/18(水) 22:40:14 0
「オーケイ、任せろ」
バズズは右腰のハンドガンを抜き、くるくると回す。
それが手の中で構える格好に収まった瞬間、ノータイムで弾丸が発射された。

ぱん。

ガキン。パワードスーツの膝関節に弾丸が挟まり、バランスを崩す。
だが。

>そこだミサイル

パワードスーツの左肩が開き、この隙を狙わせまいと6連装の小型ミサイルが発射される。
「はっ、ジャマ〜〜だっつの」
バズズは弾倉に今撃った分の一発を素早く詰め、構える。

ぱぱぱぱぱぱん。

クイックドロウ(早撃ち)。
間髪入れず放たれた6発の弾丸は、小型ミサイルの全てを空中で撃ち落とした。

続いて、パワードスーツはドリルの次弾を構える。
「させるか!」
バズズはすかさずハンドガンを収め、足元に転がるリボルバーバズーカを拾い上げ、担いだ。

ずどん。

放たれたバズーカ弾頭は、発射された瞬間のドリル弾にぶつかり、爆砕した。
パワードスーツが思わず怯む。
103名無しになりきれ:2007/04/19(木) 08:36:54 0
todome!!
104名無しになりきれ:2007/04/19(木) 08:58:19 0
勝ったな・・・

兄貴・・・・
105アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/04/20(金) 18:10:42 O
男の放ったバズーカ弾は、ドリルを粉砕。
起こった爆発に、パワードスーツの動きが、明らかに鈍る。

「今です!」
アトラスはその隙に、パワードスーツの後ろに回り込もうとした。
パワードスーツも反応し、振り向こうとするが。
ガキンと鈍い音がして、その動きが止まる。
男が膝関節部分に打ち込んだ弾丸が、効果を発揮したのだ。

「とどめです!」
操縦席の鍵を叩き壊し、力任せにドアをこじ開けた所で、アトラスは硬直した。
操縦席は無人だったのだ。
まだ動いている、コンピューター部分を撃つと、パワードスーツは動かなくなった。

「勝ったな・・・」
「 兄貴・・・・」
なぜか遠くを見つめている2人組に軽く頭を下げ、手助けしてくれた男に近寄る。

「あの、助けて頂いて、ありがとうございます!
 私、地球連邦のエージェントで、アトラスと言います!
 さっきはリベリオンと間違えて、すみませんでした!」
とりあえず謝ることにした。
106バズズ ◆JnU8ds809s :2007/04/21(土) 02:39:53 0
パワードスーツを破壊したアトラスが挨拶にやって来る。

>「あの、助けて頂いて、ありがとうございます!
> 私、地球連邦のエージェントで、アトラスと言います!
> さっきはリベリオンと間違えて、すみませんでした!」

バズズは手をひらひらとさせて笑った。
「まァ、気にするな。俺様は菩薩の如く寛大なんだ。手くらい貸してやるさ」
そもそも自分を狙ってきたと思われるリベリオンの機械をアトラスに押し付けようとしていたため、
むしろバズズが助けてもらった側なのだが、手柄を掠め取って水増しすることには抜け目が無い。

「ま、んな事はいい。それよりだ」
バズズはポケットから煙草を一本取り出し、吹かしながら言う。
「おチビちゃん、ここで会ったのも何かの縁だ。
 今晩ウチに来いよ、一杯やろうぜ。住所はここに書いとく」
懐から取り出した何かの写真の裏に、さらさらとペンを走らせ、手渡した。

それは果たして、ニードル・スパンクの写真だった。
【マーズタウン×××通り○○○―△△△   情報屋バズズ】

「おっと、貞操の危機なんて【期待】はすんなよ。山も谷も無い子供を抱く趣味はねえからな」
下品な事を言ってからからと笑いながら、バズズは踵を返した。

去り際にチンピラ二人組に歩み寄り、バズーカを渡す。
「借りたぜ。弾代に仕事一回サービスしてやる、いつでも来な」
去って行く後姿から、兄貴分にピッと名刺が投げられた。



バズズの家は、周囲の建物から明らかに浮いたオールドウエスタンな装いだった。
それは内面も同様なのだが、民家には有り得ないような近代電子機器がごろごろしているので、
何だかやたらとアンバランスになっている。
バズズはシャワーを浴び、楽な格好に着替えると、周辺機器のごてごてしたパソコンに電源を点した。
何やら作業を始める。

ハッキング。
バズズの飯の種を兼ねた趣味である。
企業や銀行、個人や集団、果ては政府や保安局のデータまでも拝借して情報を集めたり、
その動向を探ったりしている。その対象はもちろん保安局も例外ではなく、
例えば地球連邦政府に送信された【ニードル・スパンク】捜索の依頼や、
その為に本日付けで派遣されたエージェントの存在まで、バズズは当初から知っていた。

ニードル・スパンクといえば、【海賊リベリオン】絡み。
とある理由からバズズの命を狙う連中である。
バズズは強いが体力はなく、その強さも銃撃戦に限定されるため、
四六時中狙われていたのでは身が持たない。己の身を守る優秀な駒を早急に欲していた。
そこでバズズが白羽の矢を立てたのが、リベリオンと敵対する運命にある、件のエージェントである。
もちろん、最低限強くて彼を守る能力がなければ【合格】ではないのだが。


作業を続けるバズズ。
そのうちに、とっぷりと日も暮れてきた。
107アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/04/23(月) 20:02:04 O
>「ま、んな事はいい。それよりだ」
>「おチビちゃん、ここで会ったのも何かの縁だ。
> 今晩ウチに来いよ、一杯やろうぜ。住所はここに書いとく」

男が差し出してきた写真は、なんと、ニードル・スパンクのものだった。
「えっ!?こ、この写真は!?」
驚いて、さらに話を聞こうとしたが。
>「おっと、貞操の危機なんて【期待】はすんなよ。山も谷もない子供を抱く趣味はねえからな」

「だっ!誰が山も谷もない子供ですかっ!!」
自分でも気にしている事を言われ、耳まで真っ赤にして抗議する。
「うー……」
笑いながら去っていく男を、しばらく睨んでから
渡された写真に書かれた文字に、目を落とした。
「バズズさん、ですか……」
さっきの台詞は、書かれている住所に来い、ということなのだろう。
なぜニードルの事を知っているのか、疑問に思ったが
少なくとも悪人ではなさそうだ。
アトラスは、バズズの家に行くことにした。
108アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/04/23(月) 20:03:14 O
「え〜と……この家のはずですよね……」
日が暮れるころ、アトラスはバズズの家に到着した。
もう少し早く来るつもりだったが、騒動の事後処理の手伝いが長引いたのだ。
「お邪魔します!」
一声かけて、情報屋のすむ場所には余り見えない、家の中に入る。

「うわぁ……」
家に一歩入ると、大量の電子機器がアトラスを出迎えた。
どんな使い道があるのか分からないが、この辺はいかにも情報屋らしい。
うっかり壊さないよう、注意しながら進む。

やがて、パソコンでなにか調べているらしいバズズを見つけた。
「あの、今日はお招きありがとうございます。
 少しですが、よかったら飲んでください」
手みやげにと思い、買ってきた酒を差し出す。
「あ、それから、これはパワードスーツの頭脳らしいです。
 バズズさんなら、なにか分かるかと思って持ってきたんですが……」
事後処理を手伝って、見返りに受け取ったデータも渡すことにした。
109バズズ ◆JnU8ds809s :2007/04/23(月) 23:51:57 0
「お」
作業を続けるバズズのパソコンに、電子音と共に動画が映し出された。
家の周りあちこちに設置してある隠しカメラは、人間と見なしたものを映し出すと
自動的にパソコンに表示するシステムになっている。玄関の扉の前に人が現れたのだ。
バズズはその人間を確認すると、玄関のスピーカーをオンにする。
>「お邪魔します!」
「おう、入れ」
バズズがキーボードを叩くと、扉のロックが自動的に解除され、
中にその人間…彼の客、アトラスを招き入れた。

作業に戻るバズズ。
ややあって、部屋にアトラスが入ってきた。
「オッス」
作業を続けながら振り向かずに手だけ振り、挨拶する。
>「あの、今日はお招きありがとうございます。
> 少しですが、よかったら飲んでください」
「おう」
かたん、とキーボードを打って作業を中断し、椅子をくるりと回してアトラスに振り返った。
彼女の持っていた酒を受け取り、舐めるようにラベルを見つめ、ひゅーっと口笛を吹いた。
「なんでぇ、上等な酒じゃないの。さすが公務員ってか」
そして、アトラスからパワードスーツの頭脳チップを受け取りつつ、
彼女に棚からグラスを二つ取るように指示した。
「あ、ついでに何かつまみでも作ってくれ。冷蔵庫に適当に何か入ってるから」
どうやら、もてなす客自身に全部やらせるつもりらしい。
そして彼自身は頭脳チップを手に椅子をくるりと回し、解析作業に取り掛かった。

作業をしながら、言う。
「ま、今更挨拶するまでもないだろうが、俺様が銀河一の情報屋、バズズ様だ。
 とはいえ、今日は商売の話じゃない。酒の肴に【お前さんの故郷の地球の話】でも聞いてみたくてね。
 ついでに【今日火星についたばかり】のお前さんを労ってやろうと思ったわけだ」
110名無しになりきれ:2007/04/25(水) 12:24:59 0
ミサイル売ります
111アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/04/25(水) 14:55:12 O
>「なんでぇ、上等な酒じゃないの。さすが公務員ってか」
「いえ。気に入っていただけて良かったです。」
酒には好き嫌いがあるので、少し心配していたが、問題なさそうだ。
アトラスは、内心ほっとした。

>「あ、ついでに何かつまみでも作ってくれ。冷蔵庫に適当に何か入ってるから」
「わかりました。お酒とつまみですね」
言われた通り棚からグラスを2個取り出し、片方に酒を入れる。
自分の飲む方には、水を入れることにした。
あまりアルコールに強くもないし、一応仕事中なのだから。

次に、つまみを作るため、冷蔵庫を開けて中身をチェック。
決して多くはない、自分の作れる料理の種類を思い出してみる。
……ハムを切って持っていくのが一番のようだ。
「お待たせしました。お酒とおつまみです」
頭脳チップを解析中の、バズズの所に持っていく。
112アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/04/25(水) 14:59:15 O
>「ま、今更挨拶するまでもないだろうが、俺様が銀河一の情報屋、バズズ様だ。
> とはいえ、今日は商売の話じゃない。酒の肴に【お前さんの故郷の地球の話】でも聞いてみたくてね。
> ついでに【今日火星についたばかり】のお前さんを労ってやろうと思ったわけだ」
「地球ですか?そうですね……最近は少し自然も戻ってきて、住みやすく……」
そこまで話した所で、あることに気づいた。

「どうして私の故郷が地球だって、知ってるんですか!?
 それに、今日火星についたばかりの事まで!」
驚いてバズズを見る。まるで手品を見ているかのようだ。
銀河一の情報屋、という言葉は嘘ではないのかもしれない。

「あの!私、この写真の人を探しているんです! リベリオンが関係しているらしいんですが、情報が集まらなくて……
 何か知っていることがあれば教えてください!」
ふと、『ミサイル売ります』の張り紙が見えた。
「ミサイルも扱ってるんですか?
 携帯型のミサイルがあれば、売って下さいませんか?」
リベリオンとの戦いで必要になるかもしれないと思い、聞いてみる。
113名無しになりきれ:2007/04/25(水) 15:15:55 0
リボルバーバズーカのリローダーあります
114バズズ ◆JnU8ds809s :2007/04/26(木) 00:36:17 0
>「お待たせしました。お酒とおつまみです」
「サンキュ」
作らせたのがさも当然といった調子で、すぐ傍のダイニングのテーブルにそれを置くように指示した。

>「地球ですか?そうですね……最近は少し自然も戻ってきて、住みやすく……」
>「どうして私の故郷が地球だって、知ってるんですか!?
> それに、今日火星についたばかりの事まで!」
>「あの!私、この写真の人を探しているんです! リベリオンが関係しているらしいんですが、情報が集まらなくて……
> 何か知っていることがあれば教えてください!」

アトラスの反応に、バズズは内心ほくそ笑んだ。
一旦作業を打ち切り、ダイニングテーブルに移動する。アトラスにも向かいに座るよう促した。
「ま、そう逸るな。今日は仕事の話じゃねえんだ。気楽に行こうぜ」
これは仕事じゃない。
獲物を油断させて食いつく時の、情報屋バズズの常套文句である。
実際、写真を見せるなど散々仄めかしておいて仕事は抜きもヘチマもないのだが。

>「ミサイルも扱ってるんですか?
> 携帯型のミサイルがあれば、売って下さいませんか?」
「ああ」
バズズは壁に取り付けたコルクボードに目をやった。
そこには『ミサイル売ります』『リボルバーバズーカのリローダーあります』など、
武器の販売の紙が所狭しと貼り付けてある。
115バズズ ◆JnU8ds809s :2007/04/26(木) 00:38:05 0
「携帯ミサイルな、色々あるぜ。ちなみに俺様のお奨めは【タバコ型ミサイル掃射機】だ」

彼の説明によると、煙草の箱に見せかけた超小型装置から20門のミサイルが飛び出すものらしい。
威力はかなり低いが人体の殺傷には十分で、不意を打つのに向いているため主に対人用である。

「さっきみたいなメカ用のもあるが、威力が十分で常備携帯に耐えうるものとなると種類は減るな。
 値もそれなりに張る。ま、後で色々見せてやるよ。それより・・・」

グラスを掲げ、バズズはにっと笑った。
「まずは乾杯だ」

ちん。


「ほう、おチビちゃん、酒のセンスがいいね」
バズズは一口含み、そう感想を漏らす。
そのまま一気に喉に流し込んだ。
「うん、旨い。もう一杯注いでくれ。で、何の話だったかな・・・ああ、この写真の男か」
バズズは写真を手に取り、上機嫌そうに眺める。
「本来なら金を取るとこなんだが、なに、俺様とあんたの仲だ。サービスで教えてやるよ」
と、そこで思い出したように訊ねる。
「ああ、その前に聞きたいんだが・・・何であんたらお上はこんな男を捜してんだ?
 地球からあんたみたいのを呼んでまでな。そればかりはハッk・・・俺の情報網に引っ掛からなかったもんでな」
116アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/04/27(金) 16:50:08 O
>「ま、そう逸るな。今日は仕事の話じゃねえんだ。気楽に行こうぜ」
「確かに、焦っても仕方がないんですが……」
バズズに促されるまま、少し落ち着かない気持ちで、ダイニングのイスに座る。

>「携帯ミサイルな、色々あるぜ。ちなみに俺様のお奨めは【タバコ型ミサイル掃射機】だ」
「タバコ型ですか……」
超小型のミサイルが有ることは知っていたが、タバコサイズの物は初耳だ。
ただ、対人用では威力に不安が残る。
「大型のメカが出てくる事も考ると、もっと破壊力のある物が欲しいです」

>「さっきみたいなメカ用のもあるが、威力が十分で常備携帯に耐えうるものとなると種類は減るな。
 値もそれなりに張る。ま、後で色々見せてやるよ。それより・・・」
>「まずは乾杯だ」
「あ、はい!乾杯!」
グラスを合わせ、コップの中の水を飲む。

>「ほう、おチビちゃん、酒のセンスがいいね」
>「うん、旨い。もう一杯注いでくれ。で、何の話だったかな・・・ああ、この写真の男か」
「そうなんです!情報料なら、必ずお支払いしますから!」
意気込んで身を乗り出してから、慌ててバズズのコップに酒をつぐ。
117アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/04/27(金) 16:51:41 O
実際の所、宿泊費や食費はともかく
情報料が経費として認められるかどうかは、微妙なところだが。

>「本来なら金を取るとこなんだが、なに、俺様とあんたの仲だ。サービスで教えてやるよ」
「本当ですか?ありがとうございます!」
経費で落ちなければ、自分で支払いしなければならないので
この申し出は、実にありがたいものだった。

>「ああ、その前に聞きたいんだが・・・何であんたらお上はこんな男を捜してんだ?
> 地球からあんたみたいのを呼んでまでな。そればかりはハッk・・・俺の情報網にも引っ掛からなかったもんでな」

「そうですね。協力していただくのですし、お話しないといけませんね」
よく聞き取れなかったが、特殊な情報網でも、任務の内容は分からなかったらしい。
保安部の情報管理能力はかなり高いので、当然とも言えるが。

アトラスは、ニードルの友人の依頼である事や、海賊がらみの事件とは知らなかった事を説明する。
「こうなった以上、一刻も早くリベリオンのアジトに、乗り込む必要があります!
 アジトの場所を教えてもらえれば、今晩にでも救出に向かうつもりです!」
人命が掛かっていると思うと、なかなか平静ではいられなかった。
118名無しになりきれ:2007/05/01(火) 17:28:30 0
グローリー
119アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/05/02(水) 14:51:04 O
「まさか、こんな所にリベリオンの本拠地があるなんて……」
茂みに隠れたままで、アトラスはつぶやいた。
バズズの情報を聞いてやって来た、マーズタウンの郊外。
さほどタウンから離れていない荒れ地に、かなりの数のシップが停まっていた。
中央にある大型のシップが、リベリオンの活動拠点になっているのだ。

小型シップの間を縫って、ゆっくり大型シップに近づく。
情報通り、見回りの時間の間らしい。
誰にも見つかることなく、無事に目的のシップに到着した。

シップがグローリー社製の物である事に、少し驚く。
グローリー社は、新鋭の星間企業で、主に軍事用の商品を取り扱っている。
一般人が取り引きしにくい相手のはずだが、どんなルートを使ったのだろうか?
もちろん、今はシップに潜入するのが先。
詮索は後回しだ。
アトラスは、手の中のスイッチを押し込んだ。

シュコンと気の抜けるような音と共に、ハッチが開く。
バズズから買い取った遠隔キーを使ったのだ。
気づかれない内に、中に滑り込み、再びハッチを閉じる。
周囲を見回しても、気づかれた気配はない。
アトラスは、慎重に廊下を歩き始めた。
120名無しになりきれ:2007/05/02(水) 19:51:32 0
こいつはグレートだ!!
121名無しになりきれ:2007/05/05(土) 17:45:21 0
蹴れ
122張り紙:2007/05/05(土) 19:34:55 O
高性能プラスチック爆薬売ります
10kgで小丘を消せるよ!(1g/10万円)
123アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/05/09(水) 15:12:02 O
左右に気を配りながら、急ぎ足で通路の奥を目指した。
途中で、念のため【保険】を幾つか、壁につけておく。
隠れる場所のないところで、挟み撃ちにされたら厄介な事になる。
そう考えると自然と足も速くなった。
少し歩くと、倉庫らしき場所に出る。
鍵はかかっていなかったようで、アトラスが正面に立つと、ドアは静かに開いた。

倉庫の中は室温管理されているようで、静かで、薄暗かった。
山のようにコンテナが積まれていたが、何が入っているかはわからない。
開けようとしたが、コンテナには鍵がかかっていた。
しかし、少しぐらついて見える部分を蹴れば、中身くらいは見えるかもしれない。
そう思って、アトラスは助走をつけるため、間合いを開けた。
「ええいっ!!」
一気に、力一杯、コンテナを蹴りつける。
歪んでいた部分がさらに広がり、隙間からポタポタと小さな袋が転げ落ちてきた。
拾い上げてみると、中にはキラキラ光る細かい粒が入っている。
この粉は……
124アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/05/09(水) 15:13:45 O
「まーた倉庫に侵入者かよ?どうせネズミか何かだろ!?」
「そう言うなよ。大事な荷物を積んでるんだ。
 一応チェックしておかないとな」
扉のすぐ外から聞こえてきた声に、アトラスの意識は呼び戻された。
あわてて袋をポケットにねじ込み、コンテナの陰に身を隠す。

入ってきたのは、リベリオンの下っ端構成員らしい男達だった。
ぐるりとライトで倉庫内を照らしつける。
「ほらー!誰もいないっしょ?
 誤作動ですよ、誤作動!」
「そうみたいだ。少し神経質になりすぎてたな。」
そうです。装置の誤作動です。早くここから立ち去って下さい。
アトラスの願いを知ってか知らずか、男達はコンテナを照らしながら、会話を続ける。
「しかし、こいつはグレートだ!
 この積み荷全部が《グッドドリーム》なんだろ?」
「ああ、中毒の連中は、こいつの為ならいくらでも金を出す。
 これで、俺たちも億万長者の仲間入りって訳だ」

《グッドドリーム》は、最近流行りだした麻薬で、無論法律で禁じられている。
リベリオンの資金源の1つは、この麻薬だったのだ。

男達が出ていくのを見計らって、アトラスも倉庫を抜け出した。
【保険】を倉庫に仕掛けて、慎重に奥を目指す。
125名無しになりきれ:2007/05/12(土) 01:01:05 O
ドッカーーーン!!
126名無しになりきれ:2007/05/12(土) 09:39:53 0
爆発
127名無しになりきれ:2007/05/12(土) 10:10:29 0
終わり
128アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/05/12(土) 13:51:00 O
豪華な飾りのついた、両開きの扉の前。
アトラスは聴診器型の盗聴機で、中の様子を聞き取ろうとしていた。
足下には、気絶させた見張りが転がっている。
見つかれば言い訳はできないだろう。
盗聴機から、かすかに中の会話が聞こえてくる。

「……後少しで……大金が……心配……」
「抑えてある……強行……我が社が……」
我が社?海賊団の裏組織の事?
もっとはっきり聞き取ろうとした時、艦内にアナウンスが流れた。
「警告。Cブロック第二ガードからの連絡が途絶えています。
 警告。Cブロック第二ガードからの……」
大慌てで盗聴を辞め、来た道を走って戻り出した。
後ろから制止の声と銃弾が飛んでくるが、足を止めるわけがない。

「いたぞ!こっちだ!!」
しばらく走ると、前からも海賊達が現れる。
アトラスは、近くの部屋に飛び込んだ。

部屋は誰かの寝室なのか、乱雑に荷物が置かれている。
逃げ道らしき物は当然無く、窓があるくらいだ。
振り返るのと、銃を構えた海賊達が踏み込んでくるのは、ほとんど同時だった。
129アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/05/12(土) 13:51:50 O
「よーし、追いつめたぞ。連邦の犬め。
 これでお前も終わりだ!」
「殺すなよ。どこまで調べたのか聞き出したいらしいからな。」
海賊達がゆっくり包囲を詰めてくる。
殺すな、と言っても、抵抗するならすぐに射殺されるだろう。
「終わるのは、あなた達の方です!
 生き残ることができたら、前非を悔いて自首して下さい!」
「んだと!?このガキャあ!!
 悔いるのはお前のほう……」
ドッカーーーン!!

アトラスの態度が気に入らなかったのか、声を荒げるチンピラの言葉は
爆発音によって中断させられた。
入ってすぐに仕掛けた【保険】。
プラスチック爆薬が爆発したのだ。

全員の注意が一瞬それるのを、アトラスが見逃すはずがない。
両腕で頭をかばい、窓ガラスにつっこむ。
すぐに、さっきの爆発に倍する衝撃と轟音が襲ってきた。
倉庫に仕掛けた2つ目の【保険】の爆発だ。

何度か地上を転がった後、立ち上がる。
海賊達の母艦は、半分ほどがきれいに吹き飛んで、燃えていた。
あまり量はなかったはずだが、さすがは高性能爆薬。
張り紙の言葉に嘘はないようだった。
とにかく、ここに長くいるのはまずい。
アトラスは、母艦と反対側に逃げ出した。
130名無しになりきれ:2007/05/12(土) 18:47:48 0
ピーポーピーポー
131アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/05/14(月) 10:45:53 O
ピーポーピーポー
サイレンの音を響かせて、護送車と救急車が何台か近づいてきた。
ずいぶん早いのが、気にはなった。
でも、こうなっては負傷者を置いて逃げるわけにもいかない。
逃げるリベリオンの構成員を、逮捕するのを協力できるかもしれないし。
そう思って、近くに急停車した護送車に近寄った。
「爆発した機体はあちらです。
 リベリオンのアジトに使われていたようなので、反撃があるかもしれません。
 慎重に突入してください。」

そこまで言ったところで、違和感を感じた。
護送車を運転している保安官が、ずいぶん緊張しているような気がする。
まるで凶悪犯を逮捕する前のような顔でこちらを……

護送車の中から、完全武装の保安官が数名飛び出してきて、アトラスに銃を向けた。
「え?」
予想外の事態に、アトラスは呆然とする。
「動くな!不法侵入および、シップ爆破の現行犯で逮捕する!」
「ちょ、ちょっと待って下さい!
 私はリベリオンの人間ではなくて、連邦の……
 は、離しなさい!何をするんですかーーっ!!」

抗議の声を上げ続けるアトラスは、車の中に放り込まれた。
132名無しになりきれ:2007/05/16(水) 13:54:40 O
カツ丼食う?
133名無しになりきれ:2007/05/17(木) 19:44:23 0
チャッチャとはけ!!
134アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/05/18(金) 12:05:41 O
「チャッチャとはけ!!」
目の前の若い取り調べ官が、机を叩いて叫んだ。
「ですから!
 私は潜入捜査に入っていた、連邦のエージェントです!
 過激派でも、テロリストでもありません!!」
負けじと机を叩いて叫び返す。


誤認逮捕された後、取り調べ室で何度も繰り返されたやりとりだ。
何を勘違いされたのか、アトラスは犯人扱いで尋問を受けている。
(調べれば、間違えている事はすぐわかるはずなのに!)

「取りあえず、今日はもう遅いから、続きは明日にしましょう。
 エージェントさんには、離れの別荘に入ってもらいましょうか」
中年の取り調べ官が、尋問の終わりを告げた。
135アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/05/18(金) 12:06:31 O
「まったくふざけた話です!
 悪人を捕まえないで、何をしているんですか!」
アトラスが連れていかれたのは、【頑丈な別荘】のような家だった。
頑丈な作りは、もちろん進入ではなく脱走を防ぐためのもの。
家の中は留置場とは違い、快適に過ごせそうではあるが
それで怒りが収まるはずもなく、さっきからぐるぐると部屋の中を歩き回っているのだ。

机の上には、湯気を立てるカツ丼が一つ置かれている。
「こんな時の定番は、やっぱりカツ丼ですねえ。
 ここに置いておきますから、夜食にでもしてください。
 なっはっはっは」
などと笑いながら、中年の取り調べ官が置いていったものだ。

緊張がゆるんできたのか、カツ丼を見ていると急にお腹が空いてきた。
「そういえば、昼から何も食べていませんでした……」

腹が減っては戦ができぬ、という言葉もあるし。
自分を納得させ、机の前に座って、カツ丼を食べる事にした。
136名無しになりきれ:2007/05/20(日) 01:16:09 O
ごり
137アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/05/22(火) 15:09:47 O
思ったよりお腹が空いていたようで、食べ始めると止まらなかった。
がつがつと、ひたすらカツ丼をかきこむ。

ごり
口の中に、奇妙な異物感を感じる。
「な、なんですか?」
引っ張りだしてみると、それはナイロンにくるまれた手紙だった。

『我々も忙しい身でして、なかなかあなたの見張りも出来ないんですよ。
 お暇なら地図にある場所に行ってみて下さい。
 おもしろい物が見れるかもしれませんよ?』
手紙の裏には、×印の付けられたマーズタウンの地図が書かれている。

(これは……この場所に行け。ということですか?)
なぜこんな事をするのかわからない。
罠かもしれないとも思ったが、考えても答えは出なかった。

「いつまでも考え込んでいても、仕方がありません!
 まずはこの場所に行ってみましょう!」
考えてわからなければ、とりあえず動いてみるのが、アトラスのやり方だ。
カツ丼を食べ終わり、ドアに手をかける。
確かにドアはロックされていない。
それだけでなく、愛用のハンドガンが返されていた。
手に取り、弾が装填されているのを確認しながら、アトラスは外に出た。
138名無しになりきれ:2007/05/24(木) 19:31:03 O
すぽっと
139アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/05/26(土) 16:16:41 O
居住区のはずれ、倉庫の建ち並ぶ場所に足を踏み入れた。
地図は、倉庫街の端、一番大きな倉庫を示している。
「この地図の場所に、何があるんでしょうか……」
あまり必要がないのだろう。
押さえられた灯の中、目的地に向けて足を進めた。

「ここのはずなんですが……」
たどり着いた場所には、一際大きな倉庫があった。
他の倉庫と違い、高い壁に囲まれ、門の前にはガードマンが立っている。
倉庫というより、要塞に近い雰囲気。
門につけられたエンブレムは、その倉庫がグローリー社のものであることを教えていた。
ただ、別に不審な所はどこにもない。
大きな企業の倉庫なら、ごく一般的な光景だ。

(本当にこの場所であっているんでしょうか?)
近くの路地裏に入り、歩きながら地図を確認する。
確かにこの倉庫に間違いない。
なら、どこかに見落としが?
考えながら歩いていると。

すぽっと足下の感覚が消えた。
「え?」
何が起こったのだろう?
頭が理解するより早く、体は下に落ちていく。
「あぁぁあぁあぁっっ!?」
間抜けな悲鳴を上げながら、アトラスは暗闇の中を落ちていった。
140名無しになりきれ:2007/05/29(火) 22:44:14 O
いてっ
141アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/05/30(水) 17:48:46 O
【いつもネタ投下ありがとうございます。
 すこし忙しくなりそうなので、レスが遅れるかもしれません。
 ごめんなさい……】
142アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/06/02(土) 12:18:27 O
穴はそれほど深くなく、下にいた人がクッションになったのか、衝撃は少なかった。
「いてぇっ!?なにしやがる!
 さっさとどきやがれ!」
「あわわっ!すみません!」
慌てて男の上から移動し、謝ろうとして相手を見た。
人工の明かりに照らされ怒っている男は、どこかで見たような気がする。
男も同じことを考えているようで、いぶかしげにこちらを見ていた。
やがて、その顔に理解と驚きの表情が広がる。
「あーっ!お前は連邦のエージェント!」
男の叫びに、アトラスも相手がだれだったか思い出す。
リベリオンのシップで追い詰められた時の、海賊の仲間の一人だ!
考えるより速く、体が動いた。
男のみぞおちに、拳をたたき込む。
壁まで吹っ飛んだ男は、あっさりと気を失った。
「どうした!何の騒ぎだ!?」
争う音を聞きつけて駆けつけてきた仲間に、体当たりをお見舞いする。
吹き飛んだ男のことは放って置いて、アトラスは奥に向かって走り出した。
143名無しになりきれ:2007/06/06(水) 01:10:34 O
おかえり
144アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/06/06(水) 10:26:41 O
やかましいくらいに、緊急サイレンが鳴り響く。
侵入が発覚したからには、強行突破しかない。
なぜ、リベリオンが企業内部にいるのか?
奥にいけば、答えが見つかるかもしれない。
階段を駆けあがって、上を目指す。

出てきた場所は倉庫のようで、大小沢山のコンテナで埋め尽くされていた。
どことなく、以前シップに乗り込んだときの事を思い出す倉庫。
あの時と同じように、荷物の中身は麻薬なのだろうか?
だとすると、グローリー社は海賊とつながっている?

「社長がもうすぐお帰りになる時に、侵入者とは!
 ガードは何をしていたのだ!」
「も、申し訳ありません……
 ですが、倉庫は厳重にロックし、侵入者を閉じこめています。
 多少の損害はでるでしょうが、後は時間の問題では……」

マイクのスイッチを入れっぱなしなのか、誰かの会話がスピーカーから聞こえる。
早くここから脱出しなければならない。
近くにある小さめのコンテナを持ち上げ、扉に向けて、力一杯叩きつけた。
アトラスの怪力とコンテナの堅さに耐えきれず、扉は大きくゆがむ。
「もう一回!」
第二撃を受け倒れる扉の隙間から、アトラスは外に飛び出した。
145名無しになりきれ:2007/06/07(木) 01:53:36 O
メカ
146アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/06/10(日) 09:47:27 O
「邪魔すると、大けがをしますよ!」
驚きのためか、まだ陣型を組めていない警備員たちの真ん中に飛び込み
一応警告しながら、手持ちの小型コンテナを振り回す。
不運にも直撃を受けた男が、壁際まで吹っ飛んだ。
とはいえ、さすがにこの人数を相手にいつまでも戦うのは無理。
敵が怯んだ隙に、廊下を走ってその場を逃げ出すことにした。

「止まれ〜!止まらんと撃つぞ〜!!」
複数の声と足音と銃弾が、後ろから追いかけてくる。
どこかで迎え撃たないと、また挟み撃ちされるだろう。
どこかに、反撃のチャンスは……
考えるアトラスの目に、【ロボ研究室】と書かれた部屋が写った。


アトラスがドアを叩き壊して少したってから、男たちが追いついてくる。
ボロボロになったドアは、見かけと違い押しても引いても開かない。
「中から何かで押さえてるんだ。
 許可する。爆破しろ」
隊長格の男が指示を出すのと同時に、ドアが内側から爆発した。
煙の中から、一台のメカがゆっくり姿を見せる。
無機質の目が、男たちに照準を合わせた。
「なんてこった……」
誰かがつぶやいた。
「あいつ、試作機を乗っ取りやがった……」
147名無しになりきれ:2007/06/10(日) 21:05:40 0
gogogogogoという不吉な音が
148名無しになりきれ:2007/06/12(火) 12:10:02 0
破滅だ
149名無しになりきれ:2007/06/12(火) 23:12:21 O
たいけつ
150アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/06/13(水) 12:22:19 O
追う側と追われる側は、完全に入れ替わった。
逃げる警備員たちを、アトラスの操るメカが追いかける。
当然だが、逃げる相手を後ろから虐殺するような事はしない。
連邦のエージェントがそんな事をすれば、身の破滅だ。
アトラスの場合、性格的にできない。
という面の方が大きいが。

警備員をしばらく追いかけていると、突然目の前に頑丈な隔壁が落ちてきた。
「な、なんですか!?」
急ブレーキをかけて減速する。
なんとか壁にぶつからずに済んだが、隔壁は四方全てに落ちてきた。
閉じこめられたのだ。

続いて振動と、体が軽く押さえられるような感触。
「別の場所に、移送されているんですね……」

しばらくして前の壁が持ち上がり、視界が開ける。
外に出てみれば、そこは中世のコロシアムのような場所だった。

「ここは……?」
居場所を探ろうとしたとき、gogogogogoという不吉な音が聞こえてきた。
音のする方を見れば、壁が持ち上がって一台のロボが姿を現す。

「ハッハァ!ようこそ、バトルゾーンへ!
 お互い悔いの無いよう、しっかり戦ってくれたまえ!!」
場違いに陽気なアナウンスが流れ、対決の始まりを告げた。
151名無しになりきれ:2007/06/14(木) 23:08:13 O
ひだん
152アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/06/17(日) 10:47:37 O
新しく登場したメカが、手にしたマシンガンから景気よく弾を撃ちだした。
何発か避けきれずに当たったが、動くのにたいした影響はない。
「やってくれましたね!反撃です!」
こちらに備えられているのは、白兵戦用の大剣と相手と同じマシンガン。
マシンガンを構え弾をばらまく。
「細かい狙いをつける必要がないので楽……あっ!」
大声を上げてしまったのは、マシンガンの威力が思ったより高く
相手のメカのちょうど人が乗っている部分が、蜂の巣になってしまったからだ。
いくら正当防衛とはいえ、人の命を奪うのは気持ちのいいものではない。

だが、敵機の動きは少しも鈍らない。
まるで被弾などしていないように、動きながら銃撃を繰り返す。
「これはもしかして……」
一撃必殺を狙い、マシンガンから大剣に武器を持ち帰る。
相手の攻撃を多少受けながらも、一気に 間合いを詰めた。
「でええぇぃっ!」
大剣の一撃で相手の右腕が武器ごと吹き飛んだ。
もう一撃、突きを繰り出す。
標本のように壁に突き止められたロボは、ようやく動きを止めた。
「ふぅ。やっと止まりましたか」
ロボから出て
、相手の機体を確認する。
予想どうりの無人機だった。
153名無しになりきれ:2007/06/18(月) 21:55:06 0
CPUをぶち壊せ
154名無しになりきれ:2007/06/20(水) 00:27:56 O
ほんとうのこと
155アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/06/20(水) 12:47:17 O
耳障りな音を立てながら、ガーディアンロボが機能を停止する。
「あーもう。倒しても倒してもきりがないですよ……」
広間での戦闘の後、先に進むアトラスを待ち受けていたのは、人間ではなく機械の群だった。
遠慮なく叩き壊せるのはいいが、数の多さにはうんざりだ。
目的地がわからないので、目にするドアを壊しながら中を確認して回る。
グローリー社とリベリオンを結ぶ、動かぬ証拠を 押さえておきたい。
コンピューターに情報が入っているだろう、と軽く考えていたのだが
どの端末を操作してもエラー表示が出るだけで、なにも分からなかった。

何度目のドアを叩き壊した時だろう。
中に人がいるのに気づいた。
白衣を着た研究者風の若い男が、驚きと恐怖の混ざった表情でこちらを見ている。
「私は地球連邦のエージェント、アトラスです。
 グローリー社と海賊とのつながりを調べるため、強制査察に踏み切りました。
 必要な情報の公開を要求します」
ロボから出て自分の立場を明かすと、なぜか青年は安堵した顔を見せた。
「そうか、連邦が動いてくれたのか……
 助かったよ。本当の事を言うと、僕たちもお手上げだったんだ」
156アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/06/20(水) 12:48:49 O
「え?……と。
 話が見えないんですが、何か緊急事態でもあったんですか?」
予想外の反応に戸惑う。
青年の説明によると、研究中の人工知能が突然暴走。
グローリー社の中枢を完全に乗っ取り、主要人物を監禁しているらしい。
「なにしろコンピューター制御もできないから、お互い連絡も取れないんだ。
 メインのCPUをぶち壊せば、なんとかなると思うんだけど……」
「リベリオンとのつながりについては、何か知りませんか?」
「さあ、僕は言われた仕事をこなすだけだったからね。
 AIの暴走さえ止めてくれれば、捜査にも協力できるんだけど」
「わかりました。メインCPUのある場所を教えてください。
 なんとか、破壊を試みてみます」
青年の出してきた見取り図を何度か見返し、最短ルートをチェック。
ロボでは通れない区画を通るので、この先は歩きだ。
ロボ用の短剣(人間が持つには大きいが)を持っていくことにする。
「これは、部屋にはいるためのIDカード。
 ……何もできないけど、成功を祈ってるよ」
「ありがとうございます。
 では、いってきますね」
手渡されたカードをポケットに入れ、アトラスは新たな目的を目指して走り出した。
157名無しになりきれ:2007/06/20(水) 19:24:07 0
ロボット軍団
158名無しになりきれ:2007/06/21(木) 00:04:22 O
こども
159名無しになりきれ:2007/06/21(木) 15:28:52 0
今にも子供がロボットに蹴飛ばされそうになっている
その距離前方3m
160アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/06/24(日) 10:16:37 O
部屋を出てからしばらくは、特に障害もなく先に進めた。
だがところどころに設置されている監視カメラが、こちらを観察しているのがわかる。
決して油断はできない状態だ。
何度目の曲がり角を曲がった時だろうか?
今にも子供がロボットに蹴飛ばされそうになっているのが見えた。
その距離、およそ前方3m。
子供は自分の身に迫る危険に気づかないのか、ただロボットの方を見つめている。
「危ない!」
迷っている暇はなかった。
駆け寄り、ロボットを突き飛ばす。
普通の人間の力なら、びくともしなかっただろう。
だがアトラスは、怪力の特殊能力を持つニューマンだ。
ロボットは突き飛ばされて床に転がった。
すかさず手に持つ剣を、動力部に突き立てる。
ロボットは動きを停止した。

一息ついて、子供に話しかける。
「大丈夫?怪我はなかった?」
子供は、うんとうなずいた。
ここにいる研究者の子供だろうか?
そのとき、通路の向こうからロボット軍団が近づいてくるのが見えた。
「……安全な所にいきましょう」
地図に書かれたロボットの入れない狭い通路に、子供の手を引いて入る。
情報どうり、ロボット軍団は追ってはこなかった。
161名無しになりきれ:2007/06/24(日) 10:41:24 0
ピガー
162名無しになりきれ:2007/06/24(日) 12:27:45 0
ほえるろぼっと

子供は重役の息子のようだ
163名無しになりきれ:2007/06/24(日) 20:52:10 0
ネタ振ってるやつ下げろ

子供は色々知識を持ったハッキングの天才
お約束というものである
164名無しになりきれ:2007/06/26(火) 23:03:20 O
シャッターがおりてきた
とじこめられた
165アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/06/27(水) 12:32:22 O
ピガーピガーと声ならぬ声を上げてロボットはほえる。
なんとか細い道に進入しようとあがくが、人間が歩くにも狭さを感じる道だ。
ロボットに入れるわけがない。
幸いにも銃を撃ち込んでくる事もなかったので、今のうちにメインCPUを目指す事にした。
「お姉ちゃんは、これから壊れたコンピューターを直しにいかないといけないんです。
 安全な場所を見つけてあげますから、しばらくそこで待ってて下さいね」
どんな危険があるかわからない場所に、小さい子供を連れて行く事は出来ない。
そう思って歩きながら話しかけると、子供はぴくりと反応した。
「あの……」
顔を上げて、子供がアトラスの顔を見る。
服装からして、男の子なのだろう。
言うべきかどうか、迷っているらしい少年の言葉を待っていると
耳障りな音が前から聞こえてきた。
慌てて音のする方を見ると、災害時用の分厚いシャッターがゆっくりと降りてきている。
「ちょっとごめんね!」
少年を抱き上げ、閉まりきる前に逃げ出そうと走る。
だがそんなアトラスの努力を笑うように、シャッターは降りる速度を速めた。
ズウンと鈍い音がして、シャッターが閉まる。
166アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/06/27(水) 12:33:46 O
振り返れば、同じシャッターが後ろの道をふさぐのが見えた。
完全に閉じこめられたのだ。
「ちょっと離れていてね。開くかどうか試してみるから」
子供を少し離れた場所に下ろし。
「えいっ!」
手にした剣でシャッターに切る。叩く。突く。
シャッターは表面が傷つくだけで、とても壊せそうになかった。
「う……ごめんなさい。
これは開けられそうにないです……」
敵は今のうちに、こちらを取り押さえる準備をするだろう。
シャッターが開いたときは、もう手遅れだ。
「シャッターを開けるくらいなら簡単だよ」
「え?」
落ち込むアトラスに、少年が声をかけた。
ポケットから小型パソコンを取り出し、引き出したコードをシャッターの機械部分につなぐ。
カタカタとキーを入力。
すぐにシャッターは、前も後ろも持ち上がりだした。
「す、すごいです……」
驚くアトラスだが、少年の話によると会社の重役だった母にハッキング技術を教わっていたらしい。
色々知識を持ったハッキングの天才だったのだ。
「コンピューターを直しに行くんだよね?
 僕も一緒に行くよ。きっと力になれるから」
そう言って少年は、にっこりと笑った。
167名無しになりきれ:2007/06/27(水) 22:13:49 0
色々な妨害があったが何とかたどり着く二人
168名無しになりきれ:2007/06/28(木) 14:57:24 0
そして目の前には巨大コンピューター
バイオ培養された巨大脳
まさか人間のじゃないとは思うが・・・
169名無しになりきれ:2007/06/30(土) 00:44:23 O
ようこそ
170アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/07/01(日) 06:55:44 O
アトラスが「危ないから」と何度説得しても、少年の決意は変わらなかった。
結局、半ば押し切られるような形で同行を受け入れる事になる。
助けられた身のアトラスとしても、あまり強いことは言えなかったのだ。

ふと壁を見ると、避難経路が書かれた地図があった。
地図には赤い字で、次のような文字が書かれている。
【【TRPG】紀行カイザーなんでもネギまニードル共同避難所
http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1177520615/
 連絡事項などがある時にもお使いください】
171アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/07/05(木) 11:44:43 O
その後。色々な妨害があったが、何とか二人は目的の場所にたどり着いた。
「それでは、中に突入します!準備はいいですか!?
 ……あれ?どうしたんですか?」
見ると少年は、隣の部屋のロックを開けて中に入ろうとしていた。
部屋を間違えたのかと思って地図を再確認するが、間違えてはいない。
「あの部屋に入ったら、きっと戦いになると思う。
 僕は自分の体も守れそうにないから、この部屋からサポートするよ。
 僕は僕にできることを。
 お姉さんはお姉さんにできることを。
お互いがんばろう。それじゃ、また後で」
少年の姿がドアの向こうに消えた。
どうやってサポートするのかアトラスには想像もつかないが、なにか考えがあるのだろう。
「わかりました。また後で必ず会いましょう」
少年に声をかけ、目的の部屋にIDカードを差し込む。
拍子抜けするくらい簡単にドアは開いた。
待ち伏せを警戒しながら、中に入っていく。

廊下ほど明るくない室内の様子は、すぐにはわからなかった。
だが目が慣れてくると、この部屋の異質さに気づく。
壁際にずらりと並べられた培養ポットと、その中の奇怪な生き物たち。
172アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/07/05(木) 11:46:02 O
そして目の前には巨大コンピューターと、バイオ培養された巨大脳。
その2つは色とりどりのコードでつなげられていた。
ふらふらと、危険も忘れて近寄る。
まさか人間のじゃないとは思うが・・・
「ようこそ。私のラボラトリーへ。
 連邦の人間を招待したのは君がはじめてだ。」
突然の人の声に、我に返る。
機械の陰から、眼鏡をつけた白衣の男が現れた。
「メインCPUを破壊して、コンピューターの暴走を止めます!
 すぐにこの場を離れてください!」
「暴走?暴走などしていないよ。
 なぜなら、これは私のプログラムどうりの行動なのだから」
男はアトラスに答えた。
「君の目の前にある脳だがね。【来訪者】のものなんだよ。
 君たちにはエイリアンと言った方が分かりやすいかな?
 それは特にコンピューターを操る能力に長けた種族の物でね。
 試験運転が終われば、地球連邦の乗っ取りに使う予定なのだよ」
「そんな事はさせません!あなたの野望は、ここで私が阻止します!」
剣を構えてアトラスが睨みつけても、男の余裕は消えなかった。
かわりに後ろから何かが割れる音がする。
振り返ると、培養ポットが割れて中の生物が這いだしてくるのが見えた。
173名無しになりきれ:2007/07/05(木) 21:36:49 0
ぐわっぱ!!
たこのようなあたまのバケモノ
まるで伝説の半漁人のようなバケモノいろとりどりだ
174名無しになりきれ:2007/07/06(金) 15:52:01 0
それは人を食うかもしれない
大空を駆けるかもしれない
ポットが開いた瞬間死んだものもいたかもしれない
175名無しになりきれ:2007/07/06(金) 19:53:33 0
っま、一ついえることは生物が飛び道具とか使ってくるわけないから
銃で撃てば楽勝ってことだ
176名無しになりきれ:2007/07/08(日) 01:11:11 O
援軍到着
177名無しになりきれ:2007/07/10(火) 21:55:15 0
ニーさま!
178アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/07/11(水) 10:23:05 O
ぐわっぱ!!ぐわっぱ!!
ポッドから出てきた生き物が口々に叫んだ。
たこのようなあたまのバケモノや
まるで伝説の半漁人のようなバケモノまでいろとりどりだ。
共通点が無いわけではない。
それは、どの生き物も地球の生物に似て非なる姿をしていること。
見た目だけではその生態さえわからない。

それは人を食うかもしれない。
それは大空を駆けるかもしれない。
ポットが開いた瞬間死んだものもいたかもしれない。
おそらく急激な環境の変化に耐えきれなかったのだろう。
それでも生き残ったものは、爪や牙をアトラスに向ける。

アトラスは剣を銃に持ち換え、狙いをつけた。
以前危険生物の駆除を行った先輩エージェントの言葉が脳裏をよぎる。
『っま、一ついえることは生物が飛び道具とか使ってくるわけないから
 銃で撃てば楽勝ってことだ 』
狙いを付けては引き金を引く。何度も何度も繰り返し。
射撃の不得意なアトラスだったが、敵の動きが鈍いのは幸いだった。
頭を吹き飛ばされ、体に大穴を開け、次々に怪物たちは倒れていく。

「お見事」
しばらくして動く生物がいなくなった時、眼鏡の男は拍手でアトラスをたたえた。
179アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/07/11(水) 10:26:14 O
味方が倒されたのに動揺を見せない相手を警戒しながら、銃を男に向ける。
「せっかく誉めてあげたのに、そんな反応をしないでくれたまえ。
 そうだ。君に援軍が到着したようだよ」
片側の壁が光ながら、外の様子を映し出した。
サイレンを回しながら、倉庫を包囲する車の群。火星保安局の車だ。
「これであなたの逃げ道もなくなりましたね!
 今すぐ投降すれば、身の安全は保障します!おとなしくお縄につきなさい!」
状況は明らかにアトラスに有利になっている。
それでも、男の余裕の表情は変わらない。
「連邦を相手にしようと考えて、火星の保安官程度が怖いとでも思うのかね?」

男の影が立ち上がった。いや、側にいたなにかが立ち上がったのだ。
2メートルを超える大男にも見えるが、その体は鱗に覆われている。
なによりそれが人間と異なるのは、頭がまるでタコのようになっていることだ。
怪物に狙いをつけ、銃を撃つ。
銃弾を受けて何枚かの鱗が飛び散るが、それだけだった。
怪物が前進する。
銃では効果が薄いと判断したアトラスも、武器を剣に持ち変えた。
「では、闘劇の第二幕を始めてくれたまえ」
緊迫した空気の中で、男の声だけが場違いに気楽なものだった。
180名無しになりきれ:2007/07/11(水) 19:39:12 0
フシュー!
その泣き声は独特であった
触手攻撃
181ムラサマ ◆FG7g61yoOs :2007/07/13(金) 21:23:47 0
【名前】ムラサマ・ウィズ・アードリィ
【愛称】ウィズ
【性別】男
【年齢】20歳
【性格】自分に厳しく、他人に優しく。几帳面ではあるが、他人にそれを強いることは無い。
【身長】172p
【体重】108kg
【容姿】黒髪、短髪。『日本人』の標準サンプル。ただし体の何割かは機械に置き換えてある。
【趣味】”ワザモノ”探し。より強く美しい刀(あるいは刀剣型の武器)を求めている。
【得意なこと・もの】戦闘、(意外にも)事務作業、掃除や洗濯といった秩序維持。
【苦手なこと・もの】だらしないもの(人を含む)、退屈、大量の甘いもの、ピエロ。
【一言】「2秒で片付けてやる。」

何となく興味がわいたので、機会があればよろしくお願いします。サムライです。
ここに来たのは特定ミュータントの殺害と一部のデータ奪取が目的。
アトラスとミュータントの戦闘を確認したら加勢するでしょう。
武装はサムライと名乗っていますが何でも屋の傭兵みたいなものです。
182アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/07/15(日) 08:32:36 O
>>181
【ムラサマさんはじめまして!これからよろしくお願いします!
 詳しい事はこちらで話し合いましょう!】
【【TRPG】紀行カイザーなんでもネギまニードル共同避難所
http://same.u.la/test/r.so/etc6.2ch.net/charaneta2/1177520615/
183 ◆8WoWKrYctQ :2007/07/15(日) 08:57:52 O
>181
グローリー社内部にいるムラサマには、少し前から警報音が響くのがわかった。
行く手を阻むロボットはあまり強くはなかったが、進む道の所々に分厚い隔壁が降りている。
進むにしても逃げ道を探すにしても、選択肢は多くはない。
まるで誰かに誘導されているように感じるかもしれない。
やがて、1つだけ開け放たれたドアの近くを通る事になる。
部屋の中からは戦いの音が聞こえてくる。
どうやら中で戦闘が行われているようだ……
184ムラサマ ◆FG7g61yoOs :2007/07/15(日) 13:24:25 0
「むぅ、予想以上に堅牢ではないか。」
ミュータントを倒しに着たのに出てくるのは機械ばかり。
足りない分は足で探すしかあるまいと思い切るが道は少ない。
やがて強化された聴覚が一つの戦闘音を聞きつけた。
「先客?いかん…報酬を貰いそびれる。」
右手にカタナ、左手に拳銃を。

かくて運命の扉は開かれた。
185アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/07/18(水) 07:54:16 O
前進する怪物を牽制するように剣を構える。
怪物の武器は長い腕の爪と接近しての牙。
鱗という鎧をつけている事も考えると、組み付かれたらおしまいだ。
「せいっ!」
先手必勝。剣を両手に持ち、必殺の気迫で切りかかる。
セラミックの刃とアトラスの怪力は、怪物の右肩を易々と切り裂いた。
これなら勝てる。アトラスがそう考えた時、怪物はフシュー!と独特の声で泣いた。
同時に首を狙って、ロープのようなものが襲いかかってくる。
「なっ!?」
一本目はなんとか振り払った。
だが二本目のそれは、アトラスの首に巻き付き絞めあげる。
ロープに見えたのは、怪物の顔から伸びた触手だったのだ。
触手に力が込められるのがわかる。
外そうとしても徐々に視界が歪み、体から力が抜けていく。
「ふむ。期待していたのだが、あっけないものだな」
怪物の後ろから聞こえる男の声が、ずいぶん遠くから聞こえてきた。
186 ◆8WoWKrYctQ :2007/07/18(水) 07:55:37 O
最初に進入者に気づいたのは、怪物だった。
開いたドアから入ってきたムラサマを見ながら、奇怪な威嚇音を上げる。
怪物を操る男も、ムラサマに気づき話しかけてきた。
「どうやら迷い込んだという訳ではなさそうだな。
 連邦の人間ではないようだし、他の企業にでも雇われたのか?
 はじめまして、ようこそ私の研究室へ。そしてさようならだ。」
最後の一言は、怪物に対しても発せられたようだった。
主の意向を受けた怪物は、アトラスを壁に投げつけてムラサマに突進する。
長い手の爪は十分な威力を持つが、もし捕まれば鋭い牙で引き裂かれる事になるだろう。
187ムラサマ ◆FG7g61yoOs :2007/07/18(水) 14:41:13 0
迫り来る怪物に対して構える。回避ではなく攻撃こそが道を作る。
向かってくる怪物に牽制しようと何発も拳銃を撃つが大した効果は得られなかった。
「チッ、こういうミュータントがいるって聞いてたら装備も変えようがあったが!」
引き付けて、間合いに入ると同時に相手の腕を完全に破壊すべく斬撃を繰り出した。
先ほど与えられていた傷をさらに別方向から切り込まれ、怪物は右腕を失う。
至近距離で怪物は顔から再び触手。
「おのれ、早い!」
捕縛!鋭い牙が俺に襲い掛かる。
「…かかったな!この距離で拳銃を叩き込めば先ほどのようには行くまい?」
同じような場所に何度も何度も何度も銃弾を叩き込み、放り投げられる寸前に刃を突き立てる。
繰り返しの銃撃で鱗は剥がれ落ち、テラテラと光る皮と肉が見えていた。
カタナは吸い込まれるように深々と突き刺さり、怪物は暫くのたくった後、完全に動きを止めた。

「頭部破壊は定石。こやつもまた例外ではなかったか…せめて安らかに眠れ。」
念のために行動にかかわる部位を軽く抉っておく。人間とは訳が違うからだ。
「ちぃ、刃こぼれが激しい…研ぎに出さねば。やはり単分子ブレードとは違うな…」
軽くぼろ布で体液を拭って静かに収刀。研究員とアトラスを交互に見て、研究員に言った。

「詰んだのではなかろうか?」

要するに、降伏勧告である。
188名無しになりきれ:2007/07/18(水) 22:49:24 0
ストリートサムライか・・・
サイボーグでもない生身でよくもまあ
189名無しになりきれ:2007/07/19(木) 19:31:27 0
さあ殺せ
190アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/07/21(土) 11:45:56 O
怪物に投げつけられたアトラスは、そのままの勢いで壁に衝突した。
打撲による激痛が背中に走り、同時に締め付けから解放された肺が新鮮な空気を求める。
アトラスはせき込みながらも、なんとか視線を怪物に戻そうとした。
戦いの中で敵を見失うことは、そのまま死を意味するのだから。
最初に目に入ってきたのは、新しく部屋に入ってきた男が怪物の右腕を切りとばす所だった。
だが近い間合いは、触手の届く範囲でもある。
「危ないですよ!触手が伸びてきま……いたた」
自分が捕まっていたのは男も知っているはずなのだが、叫ばずにはいられなかった。
助けに行こうにも、すぐには体が動きそうにない。
だが助けに行く必要はなかった。近い間合いからの銃撃と斬撃が怪物を襲う。
捕まったように見えたのは、男の作戦だったのだ。
頭を破壊された怪物は、やがて完全に動きを止めた。
191アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/07/21(土) 11:47:04 O
>「詰んだのではなかろうか?」
刀を収めた男が研究員に言った。
「 ストリートサムライか・・・
サイボーグでもない生身でよくもまあ、私の作品に勝てたものだ」
研究員は呆れたように首を振りながら前に歩いてきた。
そのまま、何も持っていない事を見せるように軽く両手をあげる。
「私の負けだな。 さあ殺せ」
「あなたをここで死なせるわけにはいきません。法廷であなたの罪は裁かれます。
 悔やむ気持ちがあるのなら、すべてを明らかにして罪を償ってください」
拘束用の道具を取り出し、研究員を取り押さえる。
一応警戒はしていたのだが、観念したように研究員はされるがままだった。
後はもうすぐやってくる、火星保安局に任せればいい。

事後処理を終えて、アトラスは自分を助けてくれた男に話しかけた。
「さっきは危ないところをありがとうございました。
 私はアトラス。地球連邦のエージェントです」
助けてくれたお礼と、簡単な自己紹介。
ストリートサムライと呼ばれた相手の事情も気になったが
初対面の人にそんな事を聞くのは失礼だと考えたので、言わなかった。
192ムラサマ ◆FG7g61yoOs :2007/07/25(水) 00:34:23 0
>サイボーグでもない生身で…
「鍛錬と薬、一部を置き換えるだけで十分にやっていける。この血肉と骨は、多少なりとも愛着もあるのでな」
まったくの生身というわけにはいかない。この世界には恐るべき力を持った者が多くいる。
鍛錬のみでは追いつかない、生物としての差を感じさせるような相手。
それに勝つためには多少の犠牲は必要不可欠なものだ。

>「さっきは危ないところをありがとうございました。
>私はアトラス。地球連邦のエージェントです」

「我輩はムラサマと言う。ここへはミュータント退治に来た……大半はアトラス殿のお陰で片付いたがな」
楽をさせてもらったよ、と感謝の意を述べる。皮肉ではなく純粋な気持ちである。
そもそもここに来たのは、さる企業の依頼だったのだが、そんなことは彼女には関係あるまい。
「そこの男の言葉通りの職業だ。聞こえはいいが単なるゴロツキと思ってくれて結構。
 金さえ頂戴できれば汚れ仕事も辞さない、『影をひた走る者』だ。依頼があれば受けるが逮捕礼状ならお断り。」
外から聞こえてくるアラート音を聞いて鮫のように笑い、きびすを返して立ち去ろうとする。

「さて、たたけば埃の出る身だ。ここらでお暇させて頂く。では、さらば。」
193アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/07/26(木) 08:47:48 O
>「我輩はムラサマと言う。ここへはミュータント退治に来た……大半はアトラス殿のお陰で片付いたがな」
「ムラサマさんですか。そんなお礼を言われるような事ではないです。
 ここに来たのも怪物を倒したのも、偶然みたいなものですし」
逆にお礼を言われるとは思っていなかったので、なんとなく照れくさい。

>「そこの男の言葉通りの職業だ。聞こえはいいが単なるゴロツキと思ってくれて結構。
>  金さえ頂戴できれば汚れ仕事も辞さない、『影をひた走る者』だ。依頼があれば受けるが逮捕礼状ならお断り。」
「『影をひた走る者』、ですか……」
アトラスも聞いたことがある、フリーの傭兵のような人々の事だ。
中には、金次第で密売屋の護衛や暗殺まで請け負う者もいる。
ムラサマの言う『汚い仕事』がどの程度のものかは分からないが。

> 「さて。たたけば埃の出る身だ。ここらでお暇させて頂く。では、さらば。」
「あ!えーと。ちょっと待ってくださいね」
考え事をしているうちに立ち去りそうになったムラサマを呼び止める。
なにか助けてもらったお礼にできる事がありますか?
アトラスがそう尋ねようとした時、数名の男が部屋に入ってきた。
194アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/07/26(木) 08:49:59 O
先頭に立って入ってきた無表情な男は、アトラスの上司ワイズマンだった。
目つきの鋭いその顔は、なんとなく爬虫類を連想させる。
「ワイズマン局長!こんな所にどうして!?」
「匿名の通報が入ってな。来訪者絡みの事件となれば、君一人に任せておくわけにもいくまい」
アトラスと話しながら、ワイズマンが合図を送ると
一緒にいた男達が、研究員の確保や来訪者の死骸の処理を始めた。
「次の任務についてアトラスに指示したい事がある。
 少し場所を変えて話し合いたいので、ついてきてくれ」
「はい!わかりました!」
ワイズマンは次にムラサマの方を見た。
「うちのエージェントを助けてくれた事に感謝するよ、ムラサマ・ウィズ・アードリィ君。
 君の戦闘力を見込んで、依頼したいことがある。
 別に逮捕しようなどと考えている訳ではないから、一緒に話を聞いてもらいたい」
言いたいことだけ言い終わると、ワイズマンはさっさと部屋を出ていこうとした。
ムラサマが断るなどとは考えてもいないようだ。
195名無しになりきれ:2007/07/28(土) 07:23:21 0
悪の野望
196名無しになりきれ:2007/07/29(日) 21:23:07 0
まともな報奨金は出るようだ

そして一時支援age
197名無しになりきれ:2007/07/30(月) 20:25:42 0
私は恐竜人類ではない!!
198ムラサマ ◆FG7g61yoOs :2007/07/30(月) 20:51:39 0
>>196-194
「もう調べ上げたのか?ふむ…仕事の依頼なら聞かずに帰る理由は無いな」
確かにそのとおりである。必要とされる仕事は達成し、現状あとは帰るのみ。
武装に若干の心配はあるが話を聞くだけでも損は無いだろう。

特に疑うことなく頷いた。マトモな報奨金も出るような話らしいが…
199アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/08/01(水) 09:18:06 O
> 「もう調べ上げたのか?ふむ…仕事の依頼なら聞かずに帰る理由は無いな」
「さすがムラサマさんです!正義の依頼を断るはずないですよね!」
うんうんとうなずくアトラス。
連邦の任務は、すべて正義のためと信じて疑っていないのだ。

アトラスとムラサマは、グローリー社の応接室に連れていかれた。
「隣の部屋の少年から話を聞いたのだが、グローリー社は
近くにある来訪者の遺跡から死体を発掘、蘇生させていたらしい。
 今時時代遅れの悪の野望も無いだろうが、調べておく必要がある。
 アトラスは明朝、遺跡の探索を行うように」
「了解しました!」
アトラスの返事を聞いて、ワイズマンはムラサマに話しかけた。
「ムラサマ君にはアトラスの護衛、ならびに存在するならばミュータントの掃討を依頼したい。
 来訪者絡みの事件となれば、連邦政府からまともな額の報奨金が出るだろう」
「私1人の任務じゃなかったんですか?」
エージェントの任務は、よほど危険と判断されない限り単独行動が基本となる。
アトラスが不思議に思うのも無理はなかった。
200アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/08/01(水) 09:18:55 O
「私は君たちが言うような、恐竜人類ではない。
 部下を無駄に死に追いやるのは冷血ではなく、ただの無能者だ」
「い、いえ別にそんな意味で言ったわけでは……」
ワイズマンはその風貌や作戦の容赦のなさから、あれは恐竜人類に違いないと陰でささやかれている。
それを皮肉って言ったのだろうが、さすがにアトラスも反応に困った。
「今回の任務の危険性を考えてのことだ。
 遺跡からは、それこそ本物の恐竜が出てきてもおかしくはない。
 両名ともに十分に注意するように」
「わかりました!……ムラサマさん。よろしくお願いします!
 一緒に悪の野望を打ち砕きましょう!」
アトラスも、ムラサマが断るかもしれない。などとは考えてもいない。
弱い人を助けるのが、強い者の義務だと考えているからだ。

「今日は疲れているだろうから、VIPルームで休んでいけばいいだろう。
 必要な物があれば知らせてくれ。今晩の内に用意させる」
ワイズマンが2人に言った。
201名無しになりきれ:2007/08/02(木) 08:41:34 0
フォッフォッフォッフォ・・・・
遺跡からは妖しい声がする
202ムラサマ ◆FG7g61yoOs :2007/08/02(木) 10:09:48 0
「弾薬代持ちとは気前がいい。後でリストを送るから、それを可能なだけ用意してくれ」
部屋に戻り、消耗した弾薬と追加の炸裂弾、小火器etc..一通りのリストを作る。
部屋を抜けてクライアントには自ら出向き、結果はどうあれ依頼の完遂を告げて報酬を受け取った。

VIPルームに通されると、遠慮なく天然の酒を注文してじっくりと味わい、そして軽く瞑想して眠る。
翌朝、迎えが来るより少し早めに目覚めると、軽く体をほぐして連絡を待った。

「貧乏ヒマ無し…労働は尊い、か」
203名無しになりきれ:2007/08/03(金) 15:03:11 0
そして日は昇る
204アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/08/04(土) 16:24:22 O
> 「弾薬代持ちとは気前がいい。後でリストを送るから、それを可能なだけ用意してくれ」
「私も銃の弾がほとんど無くなったので、補充をお願いします」
特別製の大口径の銃は、威力はあるのだが弾数に不安が残る。
飛び道具は苦手だが、危険な任務に行くのだからと少し多めに銃弾を用意してもらった。
用意された部屋は豪華だったが、疲れていたのか部屋に入った後
何をどうしたのか全く記憶が無く、目を開けたときには次の日の朝だった。

そして日が昇る。
あれだけ疲れきっていたのに不思議なもので、いつも起きている時刻に目が覚めた。
日課になっている軽い運動とシャワーを済ませ、服を着た頃には約束の時間だった。
「おはようございます!
 今日の仕事も張り切っていきましょう!」
部屋をノックし、すでに起きていたらしいムラサマと合流する。

> 「貧乏ヒマ無し…労働は尊い、か」
「そうですよ。他の人の笑顔を守るための任務なんですから」
そんな事を言いながらグローリー社の外にでると、地上車が一台止まっていた。
車には、頼んでおいたリストの物がすべて積まれていて
乗り込めば自動運転で目的地に着くようになっているようだ。
205アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/08/04(土) 16:25:33 O
お世辞にも高級とは言えないような車で、目的地に向かう。
目指す遺跡は意外に近い場所にあった。
人目につかないよう隠されてはいたが、地図を見ていればすぐにわかる。

フォッフォッフォッフォ・・・・
近づけば、 遺跡からは妖しい声がする。
「人の気配はないようですが、警戒は解かない方がいいですね」
ムラサマに話しかけたとき、遺跡の中から怪物が飛び出してきた。
人間のような外見だが、その体は甲殻で覆われ両手はエビのようなハサミになっている。
怪物はハサミを振り回しながらこちらに突進してきた。
206名無しになりきれ:2007/08/04(土) 20:02:45 0
我々はヴァルタァン!決してバルタンではない
207名無しになりきれ:2007/08/07(火) 03:16:17 O
声は遺跡の中から聞こえる
208ムラサマ ◆FG7g61yoOs :2007/08/08(水) 00:40:26 0
「―――いきなりか!」
突っ込んでくる相手にこちらも接近、3歩前で歩みを止めて居合いの構え!
隙間を狙い――
「チェストオォォォ!」
断つ!

「我々はヴァルタァン!決してバルタンではない」
「そうか。さらばだヴァルタァン…いま、我々と?」
アトラスに確認する。こんなのが何体もいてはたまらない!
209アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/08/10(金) 08:20:04 O
ムラサマの攻撃で、怪生物は一刀両断にされて地面に転がった。

> 「そうか。さらばだヴァルタァン…いま、我々と?」
「確かに我々と言っていましたね。
 それに、会話能力を持っているなんて……」
謎の生物の言葉を信じるなら、まだ奥には仲間がいることになる。
ヴァルタァンがなにを指しての言葉か分からないが、高い知能を持っていたことは驚きだ。

「あ、なんだかまだ声が聞こえますよ」
ムラサマに声をかけて遺跡から聞こえる音に耳を澄ます。
笑い声のような奇妙な声が、まだ遺跡から聞こえていた。
「敵の不意打ちがあるかもしれません。
 この先は慎重に行きましょう」
言いながら遺跡の中に足を踏み入れた。

遺跡の中は人工の明かりがついていて、ライトなどは必要なさそうだった。
よく見えるほど明るくはなかったが、探索に苦労するほどでもない。
壊されたらしい入り口から入ると、通路が奥に向けて続いている。
手前には部屋に入る入り口も見えた。
「声は奥から聞こえてきますが、手前の部屋も気になります。
 どちらから探索しますか?」
210名無しになりきれ:2007/08/12(日) 01:09:27 O
部屋の中はガラクタの山
211ムラサマ ◆FG7g61yoOs :2007/08/12(日) 02:20:01 0
「手前から虱潰しだな。複数いる可能性がある以上、挟撃になったら目も当てられん。」
手前の扉に突入し、銃を構える。敵の動きを察知すべく、気を配り、部屋を見回す。
「こ、これは!?」

どうみてもガラクタです。本当にありがとうございました。

「……――奥に、進もうか。」

何故かガッカリしているムラサマであった。
212名無しになりきれ:2007/08/13(月) 08:31:58 0
奥にはヴァルタァン人が2,3人
213アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/08/13(月) 11:14:53 O
> 「……――奥に、進もうか。」
「あ、あはは。敵がいない事が確認できただけでも良いじゃないですか」
ガッカリしているムラサマに答えながら戻ろうとして
何かを踏んづけたアトラスは思いっきりバランスを崩した。
「うわわわわっっ!?」
バランスを取り戻そうとする努力も無駄に終わり、背中からガラクタの山に倒れ込む。
「イタタ……ちょっと失敗しちゃいました」
派手な音はしたが別にダメージを受けたわけではない。
すぐに立ち上がろうとして、右手の側にある物に気がついて驚いた。
それは人間の頭蓋骨だった。
注意してみれば、他にも人の骨らしい物が沢山ガラクタと一緒に置いてある。
墓地ではないようだから、まだ新しいその骨はここに捨てられたのだろう。
「ムラサマさん、やはり奥には危険な生物がいるようです。
 注意して進みましょう」
見つけた骨の事を伝えながら、さらに奥を目指した。

隠れた施設らしくそれほどの奥行きは無いようで、苦労せずに最後の部屋に到着。
部屋の中からは怪しい笑い声と一緒に、うなり声や壁を蹴るような音も聞こえてくる。
214名無しになりきれ:2007/08/13(月) 15:13:32 0
フォッフォッフォッフォ・・・・
我々のことを来訪者と呼んでいるそうだな
215名無しになりきれ:2007/08/16(木) 20:57:30 O
手から怪光線発射!
216ムラサマ ◆FG7g61yoOs :2007/08/18(土) 09:13:45 0
1歩1歩と進み最後の部屋に到達する。
はたして、そこにいたのは無数のヴァルタァンであった。
「我々の事を来訪者と呼んでいるそうだな」
「いかにも」
複数いるということに少々面食らってしまうが、それでも倒すことに変わりは無い。

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ヴァルタァンが何か語るべき事があればそれを聞くこともあるだろう。

もし特に言うこともなければ手から怪光線が放ってくるようなので
「もはや問答無用!」といってムラサマは戦闘を開始するだろう。
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217名無しになりきれ:2007/08/18(土) 10:10:12 0
ぺんとらぺんとらすぺーすぴーぷる
218アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/08/19(日) 09:23:28 O
最後の部屋の中では、合計9体のヴァルタァンが待ちかまえていた。
フォッフォッと笑いながら話すヴァルタァン。
自分達の呼び名を知っているのだから、人間の事もある程度調べてきたのだろう。

> 「いかにも」
「ぺんとらぺんとらすぺーすぴーぷる。
 我々は宇宙船に乗ってやってきた移住者だ。
 この火星と呼ばれている星に、我々は住みたいのだ」
スペースピープルは宇宙人の意味だと思えるが
ペントラがなにを意味するのかよく分からない。
ただヴァルタァン達の目的が火星に住むことにあるのはわかる。
「……移民が目的だったんですか?
 えーと。こんな時はまず連邦移民局に連絡して……
 でも高い知能をもっている来訪者との接触は初めてだし……」
まじめに考え出したアトラスだったが、次のヴァルタァンの言葉に驚いた。
「火星に住んでいる人間の立ち退きに協力すれば、報酬を与える。
 グローリー社と名乗っていた者達に教えたのと同じ科学力を与えよう。
 断れば我らの光線を受けて骨になり、ゴミ捨て場で後悔する事になる。
 好きな道を選ぶがいい」
219ムラサマ ◆FG7g61yoOs :2007/08/20(月) 00:16:52 0
「侵略なら話は簡単だ。交渉決裂!」
視覚とリンクしたコンピュータ制御の銃撃で手近な3体を銃撃する。
目的が人間の排除である以上、それに従う道理はなく無いのだ。

続けざまに発砲し、確実にしとめた!そう思った。
しかし動揺するようなそぶりこそ見せたが、依然として9体のヴァルタァンが存在している。
「チッ、どうやってるか知らないが、こいつら実際の数より少ない!」
先手必勝とはいかないようだ。

アトラスの行動を邪魔しないよう気をつけながら距離をとる。
カタナよりも今は銃で援護に回るべきだと思いながら。
220アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/08/21(火) 20:48:13 O
> 「侵略なら話は簡単だ。交渉決裂!」
ムラサマが放った銃弾は、なぜかヴァルタァンのうち2体の体をすり抜けた。
残る1体は甲殻に当たったようで、動揺するようなそぶりを見せる。
同じように動揺しているヴァルタンが2体いたが、その体は蜃気楼のように薄く見えた。

> 「チッ、どうやってるか知らないが、こいつら実際の数より少ない!」
ムラサマの攻撃がすり抜けたことを思い出したアトラスの頭に、答えが閃いた。
「わかりました!
 ヴァルタァン達は幻を作り出しているんです!」
体に当たる光を屈折させ、別の場所に自分の体を映し出す生物の話を聞いたことがある。
もしかしたら、立体映像を作り出す能力をヴァルタァンは持っているのかもしれない。

「そうとわかれば……突撃!」
ムラサマの攻撃を受けて怯んだヴァルタァンに狙いを付け、ロボ用ソードで突撃する。
ヴァルタァンは防戦一方で、幻も消えてしまっていた。
仲間を助けるために、残った2体がアトラスとムラサマに手から破壊光線を打ち出す。
それぞれ同じ動きをする幻が2つついているので、発射の瞬間まで本体を見分けるのは難しい。
221ムラサマ ◆FG7g61yoOs :2007/08/21(火) 22:07:41 0
「幻――くっ!?」
アトラスに任せてばかりで、こちらの銃撃は空しくヴァルタァンを透過していく。
しかし、そのミスは無駄ではない。見極める助けになる。
確率は徐々に高まっていくッ!そして――

光の奔流!

破壊光線に、活路を見た。
「だが幻では再現できない要素もある!例えば音!例えば熱!」
僅かな動作音に、本体を捕捉した。
そして自分の片腕を焦がしていく熱!
「そこかッ!」
愛銃の『プレデター』が射出した炸裂弾が、ついに1体に命中した。
222アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/08/22(水) 10:01:18 O
> 「だが幻では再現できない要素もある!例えば音!例えば熱!」
> 「そこかッ!」
本体を見切ったムラサマの炸裂弾は、ヴァルタァンの頭を吹き飛ばした。

ほぼ同時にアトラスの大剣がもう1体を両断する。
だが不完全な体制から破壊光線を完全に避けるのは無理だった。
「うぐっ!」
焼け付くような痛みが走る。
なんとか直撃だけはさけたが、体にあまり力が入らない。
「敵は後1人だけです!一気に終わらせましょう!」
やはり怪我をしたらしいムラサマに話しかけ、速く勝負をつけようとした。

「フォッフォッフォッ……これで勝ったと思うなよ!」
ヴァルタァンは幻を消して代わりに体を巨大化させ始め、見る間に3メートル近い巨体になった。
「潰れろ!虫けらども!」
天井まで届きそうな体を揺らしながら、両手のハサミを振り回す。
目測を間違ったのか当たりはしなかったが、一撃を受けた壁や床が砕け散る。
「フォッフォッフォッフォッフォッ」
笑いながらヴァルタァンは、ムラサマとアトラスを叩きつぶそうとした。
223ムラサマ ◆FG7g61yoOs :2007/08/23(木) 23:41:44 0
「させん!」
炸裂弾をありったけ叩き込む。超精密射撃――コムリンクの成せる技ではあるが――だ。
マガジンが空になるとそのまま銃を放り投げてカタナを抜く。
調息。脳内でヴァルタァンを斬る事の出来る箇所を推測し、一気に駆けた。

「関節を断って解体してくれる!」
要所要所でバイオウェアによりブーストされた関節が、筋肉が、暴力的な切断を行う!
「二之太刀不要!」
刃を垂直に立て、踏み込み、袈裟に切る。
単純な動作だが人間相手なら次は無い。それでスライスされるのだから。
相手は来訪者。しかし、この攻撃が無効だとは思わない。

「つまるところ、本質は単純――そこに在らば、斬る。」
一撃でカタナは折れた。だが、同時に相手の片足だけが、ゆっくりと地面に転がった。
モノフィラメントで構築された軍用ナイフを左右に逆手で構え、距離をとる。

「人間や『火星人』をなめてくれるなよ、『来訪者(ヴァルタァン)!」
火星人というのはアトラスやその他亜人、あるいは火星生まれのゴロツキを指すスラングである。

脳内麻薬の分泌が終わり、ゆっくりとクリアーな気分になる。
そのままアトラスの攻撃の支援に回るつもりだ。
こういうガチンコ勝負の際にこれだけの傷を負わせれば、後は短期決戦か持久戦と踏んだからだ。
224アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/08/24(金) 12:24:08 O
> 「人間や『火星人』をなめてくれるなよ、『来訪者(ヴァルタァン)!」
「そのとうりです!
 私たちの大切な場所を荒そうとする輩に、負ける事などできません!」
カタナを折りながらもヴァルタァンの片足を切って捨て
距離をとるムラサマと入れ替わるように、アトラスは大剣を構えて突撃した。
「破ッ!!」
気合い一閃、火事場の馬鹿力を込めて切りかかる。
ヴァルタァンは腕で攻撃を受け止めようとしたが、残った片足では攻撃を支えきれなかった。
鈍い音がして、ヴァルタァンの体は地面にぶつかりながら吹き飛び壁に衝突する。
一方アトラスも力を使い果たしたのか、荒い息をつきながらがっくりと膝をついてしまった。

「フォッフォッ……お前たちも道連れだ……」
ヴァルタァンの右手が輝き始めると、遺跡を揺るがすように地震が起こった。
壁や天井に亀裂が走り、ぱらぱらと破片が落ちてくる。
このままだと、まもなく遺跡は崩壊するだろう。
225名無しになりきれ:2007/08/27(月) 22:46:23 0
私が死んでも代わりがいるもの・・・・
それがヴァルタァン最後の言葉であった

そして・・・上げる
226ムラサマ ◆FG7g61yoOs :2007/08/28(火) 08:47:33 0
「いかん、力尽きたか」
アトラスを抱え上げ、急いで外に向かう。

私は死んでも変わりはいるもの。そういったヴァルタァンを一瞥すると
「いいやヴァルタァン、お前はお前だよ。我らと戦い、そして倒れした」
強かった、と思う。間違いなく一人では負けていたろう。
「さらばだ。彼方より現れし来訪者」

急いで駆け抜ける。とはいえもう一人を担いでいるので早歩きくらいの速度ではあるが。
227アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/08/30(木) 11:10:44 O
ヴァルタァンの最後の言葉を聞きながら、アトラスはムラサマに担がれて脱出する。
外に出てしばらくすると、轟音と振動が地下遺跡の崩壊を教えてくれた。

「ムラサマさん、私たち、勝てたんですね……」
相変わらず体に力が入らないので、担がれながら話しかけた。
気を抜けばすぐに意識を失いそうなほど疲れていたが、まだ倒れるわけには行かない。
「車は自動操縦に切り替えてくれれば、保安局まで戻ってくれるはずです。
 あんまり速くはないですけど、こんな時には便利ですよね」
時間はかかってもそれほど問題は無いだろう。
帰ったらワイズマン局長に報告する内容を、考える時間も必要なのだ。

「……ヴァルタァンと名乗る来訪者……か。
 二人とも任務ご苦労だった。
 しばらくゆっくり休んで、今回の事件の疲れを取るといいだろう」

事件の報告を聞き終わったワイズマンは、二人の前にそれぞれ紙切れを置いた。
そこには破格ともいえる金額が、報酬として支払われると書かれている。
「これは多すぎます、局長。私は正規の額で十分です!」
228アトラス ◆8WoWKrYctQ :2007/08/30(木) 11:11:59 O
「相変わらず堅い考え方だが、これには事件の口止め料も入っている。
 お偉方を安心させる為にも、受け取っておけ」
ワイズマンは、ムラサマにカタナを渡す。
「君には折れたカタナの代わりに、これも報酬として渡そう。
 地球から取り寄せた物で、銘は聞いたが忘れてしまった。
  ともかく今回の事件、口外は一切無用でお願いする」
笑いながら言ったのは、職業柄ムラサマが口が堅いのを、知っているからだろう。
守秘義務を守れない者は、長生きの出来ない時代なのだ。

「ムラサマさん。本当にお世話になりました。
 もし困ったことがあれば、いつでも訪ねて来てください。
 必ず手助けしますから!」
アトラスはムラサマに深々と頭を下げた。
始めて出会ってから、そんなに時間は立っていないのに、別れる時には寂しい気持ちになる。

一時的にでも、一緒に戦った仲間との別れなのだから。
229アトラス ◆8WoWKrYctQ
「それでは局長、私もこれで失礼します」
ムラサマと一緒に出ていこうとしたアトラスを、ワイズマンが呼び止めた。
「ゆっくりするのは構わんが、ニー様の報告書も速く提出してくれよ。
 おまえの友達が、提出が遅いと怒り狂っていたぞ」
聞いたアトラスの顔から、音を立てて血の気が引く。
そもそもアトラスの任務は、失踪したニードル・スパンクを探し出すことで
海賊や来訪者のことは完全に任務外の仕事。
いくらワイズマンの命令とは言え、せめて報告書くらいは作成しておくべきだったのだ。

「すっ、すみませんでした!すぐに報告書を作成します!」
慌てたのか、扉にぶつかりながら飛び出していくアトラスを見送り
ワイズマンは、手元のコンピューターに視線を落とした。
そこには、ヴァルタァンの最後の言葉が記録されている。
『私が死んでも代わりがいるもの・・・・』
「代わりがいる……か。
 代わりとやらが来るのは、何年か後になるのか、それとももう来ているのか」
ワイズマンの独り言に、画面の中の文字は何も答えはしなかった。