1 :
1:
今から約XXXX年、嘗て先進国だった日本は突如現れた魔人達によって大半を支配されるようになった。
が、意外にも日本人は端っこに小さく作った新・日本国で悠長に平和な毎日を送っていた。
しかしそんな平和な日々もそう長く続かず時期、魔人達はその平和な新・日本国に対して攻撃を仕掛け、侵略を始めていく。
無論、弱小化した新・日本国は魔人達の猛攻に苦しめられていた。
更にそんな日本に大事件が起こる。
魔帝に日本の天皇の娘、愛子妃殿下を攫われてしまったのだ!!
愛子妃殿下が攫われたのを知った天皇は新・日本国の狭い領土にチラシをばらまいた。
――『愛子妃殿下、魔帝に攫ワレル!』
――『魔帝カラ愛子妃殿下ヲ取リ戻シテクレタ者ニハ賞金 一 兆 円を献上スル!』
そしてそのチラシを読んだ勇敢な戦士達は様々な思いを胸に魔界帝国に向かい歩き始めた。
その先にある過酷な地獄のような道のりをも知らずに…
アイタタタタタタタタ
3 :
1:2007/01/04(木) 10:50:32
まあ
>>1の下手な文章を読んでくれたら分かるのだが、このスレの世界観はパラレル日本版『魔界村』といった感じだ。
分からないなら検索してくれれば良いが、
魔界村というのはトコトン敵や罠が意地悪で数々のプレイヤー達がクリアならずして諦めていったゲームだ。
そこでせっかく世界観は魔界村をぱくったって事でついでにルールも魔界村風にしてしまおうかと思う。
ルールはなんでもあり形式を少々弄ったこんな感じだ。
4 :
1:2007/01/04(木) 10:51:48
■怒涛のネタフリキャッチング
勿論ネタフリは全部なるべく 敵 有 利 にキャッチング。名無しさんは敵キャラNPC投下もありです。
■運命の決定書き
他のキャラクターの行動結果を必要に応じて断定的に描写してかまいません。
が、戦闘においては少し変えさせて貰います。
魔人から人間に対する戦闘の決定リールは有りですが、
基本的に人間から魔人に攻撃する場合は決定リールは 無 し の方向で。
但しNPCの場合は両方とも決定リールありです。
■自在の変換受け
例えば「○○に銃弾が命中!」のあとに次の人が「と思ったがぎりぎり避けた!」のように
後に書き込む人(後手)がその前に書いた人(先手)の物語展開を自由に変えて受けることができます。
後からレスする人は前の人のネタフリを拾いやすいように変換できます。
振られたネタをそのまま拾うもよし。予想外の拾い方をするもよし。
後手に書き込むあなたの自由です。
これにおいては人間サイドも、魔人サイドも使って良いです。
■ターン制の不採用
順番制はないので好きな時に書いて下さい。但しチャット状態はついていけない人が出るので禁止です。
■レスアンカーの不採用
基本的に使わなくていいですが必要ならば使用してかまいません。
■荒しは徹底スルーですが…
よほどな事が無い限りはキャッチしておきましょう。
■グロ表現について。
グロはやりすぎなければ有り。但し、やる時はsage欄に報告する事。
■最強厨は敵キャラのみ有効!
敵キャラさんはこのスレでは良い意味で暴れ回ってどんどん人間サイドを追い詰めて貰えるとありがたいです。
…但し、次の事は絶対に頭に入れといてください。
最終的に人間サイドの者達は、 姫 様 を 助 け ら れ る という事です。
なにこのパクリスレ
>>1に質問なんだが、今の皇太子が天皇になってからの話か?
7 :
1:2007/01/04(木) 10:57:50
まあこんな滅茶苦茶な感じだ。要するに敵有効型TRPGというものをやってみようと思う。別名SM型TRPG。
人間側に不利にできているが、正義の味方というのは追い詰められて勝利ってのが醍醐味だと俺は考えている。
是非どんな逆境でも耐え抜いてみせる!という強い意志を持った勇者と、
とことんいじめ抜いてやるという良い意味で捻くれた敵に是非来て欲しいと願ってる。
ルールに対しての質問、等は遠慮無くどうぞ。
テンプレはこんな感じ。
【名前】
【年齢】
【性別】
【種族】魔人or人間
【職業】
【特技】
【装備・持ち物】
【身長・体重】
【容姿の特徴、風貌】
【性格】
【一言・その他】
>>6 いや、特に時代設定は決まってない。一応未来という設定だが。
愛子様にした理由は単純に名前が思い浮かばなかっただけ
GMは?
9 :
1:2007/01/04(木) 11:00:55
>>9 駄目じゃん! またgdgdになっちゅうよ!
魔神になったら絶対敵?
立て逃げ同然だ罠
自分の世界を繰り広げたいけど対価としての責任や代表運営はしたくないんだな
>>10-14 そこまで言うならGMやるけどはっきりいって文章下手な上GMの仕事全くやった事ないぞ?
それでもいいならやらせてもらう。
>>11 敵
>>15 やるとか言いながらやらないとはこれいかに?
17 :
1:2007/01/04(木) 11:42:28
>>15 せかすなよ。
どうやるのか分からんから色々と読んでるから。
開始前からやっちゃった香りが
準備終わってからスレをたてろよ
20 :
1:2007/01/04(木) 12:29:37
>>19 いや、TRPG系避難所で建てた方が良いって言われたから
救いようのないソウロウだな
多人数参加の継続小説だったら「リレーノベル」だろうが。
TRPGとつけばかっこよくなると思っているから困る。
【名前】 綾小路筆麻呂
【年齢】33歳
【性別】男
【種族】ピン芸人
【職業】歌手の森真一の付き人
【特技】宴会の司会
【装備・持ち物】ズラ
【身長・体重】チビ・デブ
【容姿の特徴、風貌】 キャインーズの天野のような風貌
【性格】つまらないギャグで他人を笑わせようとする。
「布団がふっとんだ。さあ、皆笑って!」
【一言・その他】歌手森真一のドサ周りで、いつも地方を周っている。
寒いギャグが多いが、客が高齢なので、ごまかしている。
世界観だけ残してルールを少し変えていいか?
世界観も修正して良いかと
世界観はとりあえず日本パラレルだけ残してみますか?
一応トリップ付けさせて貰います。
28 :
名無しになりきれ:2007/01/05(金) 23:45:16
取りあえず自由にやってみたら?
そうですか、なら自由にやってみたいと思います。
ただ今日はちゃんとルールとかをまとめたいのでこの辺で。
明日必ずまた来ます。
では、おやすみなさい。
30 :
名無しになりきれ:2007/01/05(金) 23:52:20
烈怒有馬だ!!
31 :
名無しになりきれ:2007/01/06(土) 11:39:14
☆ チン マチクタビレタ〜
マチクタビレタ〜
☆ チン 〃 ∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヽ ___\(\・∀・) < 新GMまだ〜?
\_/⊂ ⊂_ ) \_____________
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
| 愛媛みかん |/
おはようございます。
こちらはこちらの案はこんな感じです。
◆世界観
パラレル日本
◆ストーリー
日本を侵略しようとする魔界との戦争。
ストーリーの方はスレ名の魔界も一応絡ませたいなと思い
オーソドックスに戦争系に。
これは単純に書きすぎてますが本編に入ったらちゃんとしたプロローグを投下します。
◆ルール
ルールの基盤は基本的に初期のTRPGと同じで。
・スレッド形式は自由投下型
・レス順番無し
・名無しのNPC投下、参加は有り
・決定リールは可
・レス投下期限は4日
そしてちょっとお遊びでこんなルールを…
・*0のレス番号の人が一つずつルールの追加、除外ができる。
(ただし荒らし目的の物、あまりにも無茶な物、基盤であるストーリー、世界観を壊す物は却下。)
最後にGMの方は…コテと両立させてくれるならやろうかと思います。
では、ご意見つっこみ等ありましたら是非お願いします。
あれでいいと思います。
では、こちらもテンプレとプロローグをまとめてきます。
・*0のレス番号の人が一つずつルールの追加、除外ができる。
(ただし荒らし目的の物、あまりにも無茶な物、基盤であるストーリー、世界観を壊す物は却下。)
これはあまりお勧めできないかな。
名無し投下の可不可とか、レス順番制の有無とか、
決定リールとか、後手キャンセルとか、投下期間とか、
この辺はひとついじるだけで全体のバランスが(というよりコテのストレス具合が)
下手したら致命的なくらいに激変するよ。
かといって他にいじれそうなルールはあまり無さそうだし。
そうですか。なら除外しておきますか。
一応ただのお遊びでつけようと思ってたルールなので。
それからルールに書き忘れてましたが後手キャンセルは有りの方向で。
では、作業に戻らせてもらいます。
参加OK?
版権、越境は禁止だよね?
>>39 禁止にする気はありません。
参加したいと思うなら誰でも受け止める気です。
ただし荒らしさんの越境はオール無視する予定です。
ネタキャラも有り?
>>40 >参加したいと思うなら誰でも受け止める気です。
・・・大丈夫か・・・大勢きたらどうするんだ?
>>41 無論有りです。
先ほど言ったとおり、来る者は拒みません。
>>42 そこら辺は頑張ります。
これからプロローグ投下します。
再度つっこみ所等があったらつっこんでください。
突如謎の漆黒の亀裂が走った。
それから三日後、世界がその謎の亀裂の正体を少しも掴めていないという状況の中、
巨大な亀裂から異形な姿をした『魔人』と名乗る怪物達が現れ、日本を始めとした全世界に高らかに地球の侵略を宣言。
そして『魔人』達はその次の日から宣言通りにハワイ島に大規模な攻撃を仕掛け『侵略』を開始した。
『魔人』達の侵略がじわじわと進む一方。
世界は侵略軍に対抗する為、六大陸に急遽『地球防衛軍』を設置。
とことん『侵略軍』と戦うことを決意。
こうして、『人類』と謎多き生物『魔人』との戦いは始まった。
2137年、常識では考えられない能力、道具が発達した混沌とした世界となっていた地球のとある一つの国に、
突如謎の漆黒の亀裂が走った。
それから三日後、世界がその謎の亀裂の正体を少しも掴めていないという状況の中、
巨大な亀裂から異形な姿をした『魔人』と名乗る怪物達が現れ、日本を始めとした全世界に高らかに地球の侵略を宣言。
そして『魔人』達はその次の日から宣言通りにハワイ島に大規模な攻撃を仕掛け『侵略』を開始した。
『魔人』達の侵略がじわじわと進む一方。
世界は侵略軍に対抗する為、六大陸に急遽『地球防衛軍』を設置。
とことん『侵略軍』と戦うことを決意。
こうして、『人類』と謎多き生物『魔人』との戦いは始まった。
>>46 世界的目線で書かれてますが基本的に日本で特殊軍隊を作って
日本を拠点として世界の彼方此方で戦争みたいな感じにしようと思ってます。
さて、こちらのキャラのテンプレも投下させてもらいますね。
【名前】魚民 京都(うおたみ けいと)
【年齢】19
【性別】男
【種族】人間
【職業】元某情報サイトの副管理人
【特技】主に動物と話すこと、そして存在している水を操ること等々。
【装備・持ち物】
眼鏡にシャツ ネクタイのトップス ロングコート ロングコートには軍のワッペンバッチがついている
軍の拡声器 軍旗
古びたアタッシュケースの中にはi-Pod、Macのノートパソコン等々の電子器具、
道具箱等が入っている。
【身長・体重】身長183cm、体重75kg
【容姿の特徴、風貌】
目は細めで地味イケメン
焦げ茶の緩いパーマをかけた髪を刈り上げている
【性格】
現実的で感情論ではあまり動かないクールでどこか機械的な男
意外と常識知らずな所がある。
【一言・その他】
元某情報サイトの副管理人だが軍隊に入るために辞めた。
現在では中隊の副隊長。
前に出るよりどちらかというとサポート型らしい。
武器はブローニングハイパワー9ミリという銃と、
無銘大磨上(正宗)を強化し、ナイフの大きさに加工した小刀。
何故、重要文化材である無銘大磨上を持っているかは一切不明。
ところで一つ質問なのですがレス投下は参加者がある程度集まってからの方が良いでしょうか?
書いちゃえ書いちゃえ
50 :
名無しになりきれ:2007/01/06(土) 20:53:22
あげるぞよ
-場所:日本国東京付近-
静かな暗闇に包まれた東京に、近づいてくる無数の羽根音。
そしてそれに混じり響く身の毛のよだつような笑い声。
その正体を見てみれば約数千匹もの魔界帝国から来た赤き悪魔達が東西南北、
四方から軍の真っ暗なラッパを吹きながら東京へ襲撃の為向かっている最中だった。
「キドクたま!キドクたま!もうつこちぜすきまちぜ!
〈訳:貴族様!貴族様!もう少しで付きますぜ!〉」
赤い低級悪魔達がその中に疎らに居る数匹の上級、中級魔族達に報告する。
この中級、上級魔族の中には隊を率いる為などの仕事目的の真剣な者も居れば、
単に『人間』という食料を食らう為についてきた魔人、
新しい妖術の『実験体』を捕らえるためについてきた魔人等等、様々な目的を持った魔人達が混じっている。
即ち今回の襲撃は魔人達にとっては『お遊び』に近い雰囲気といった感じだ。
-場所:東京 東西南北防衛ゲート前-
一方そんなお遊びモードに近い雰囲気の魔人達に対し、
東京の東西南北に聳え立つ巨大な防衛ゲート前では緊迫した軍隊が構えていた。
迷彩服に身を包んだ一般兵も居れば、アンドロイド、サイキッカーや魔術師など、
様々な技を持った者達も戦闘の時を待っている。
すると迷彩服の兵の一人が天を差して叫んだ。
「侵略軍…!侵略軍が来たぞ!」
兵の一人の指先には無数の赤い悪魔。そして悪魔達は地上に降臨する。
銃を構える防衛軍。鳴り響く銃声。
それを合図に防衛軍と侵略軍は戦闘に入った。
気合入ったプロローグだなあ……
-----------------------------------------------------------------
◆防衛ゲート
東京の東西南北に立っている巨大なゲート。
このゲートを壊すか破らなければ東京に侵入する事は出来ない。
◆赤い悪魔
飛行能力、そして火の玉を吐く悪魔。
素早い動きが特徴。だが雑魚。
【ミッション】
・侵略軍
ゲートを破り、東京へ侵入。
・防衛軍
侵入阻止。
参加希望ですがこんなキャラはまずい?
【名前】クリスタル
【年齢】3500歳
【性別】女
【種族】魔人
【職業】魔界上級貴族
【特技】念動力、黒魔術
【装備・持ち物】魔術媒体にもつかう水晶玉。冬でもミニスカワンピ。
水晶玉は普段はハンドバッグに入れている。
【身長・体重】150cm、軽め。
【容姿の特徴、風貌】白髪赤眼のアルビノ。ウェーブのかかった髪を腰まで伸ばす
【性格】脳天気。楽しいこと大好き
【一言・その他】見た目、言動からは想像もつかないが、れっきとした上級魔族。
強大な魔力と念動力を操る戦闘スタイルで戦う。
『お遊び』のどさくさに紛れて東京に潜り込むつもりである。
目的は観光と人間の生態観察。
コウモリ型の使い魔【コウ】を連れている。
【名前】孫 悟空
【年齢】 20歳
【性別】 男
【種族】 人間?
【職業】 大学生
【特技】 スポーツ
【装備・持ち物】 そこらで拾った鉄パイプ、財布、携帯電話
【身長・体重】 そこそこ高い、筋肉質だから結構重い
【容姿の特徴、風貌】 オレンジ色のシャツと青いズボンを着用、髪型は突飛。
【性格】 楽観的
【一言・その他】ごく一般的な大学生。
成り行き上魔人と戦うことになったが、本人は余り乗り気ではない。
魔人が現れてからは、同じ大学の友人の笹塚とベジータとJUM、恋人である薔薇水晶のことを常に心配してるようになった。
おはようございます。
今日は夕方ぐらいまで書き込めなさそうです。
>>54-55 お二人さんようこそ。
歓迎します。
>>56 よろしくです
エピの投下はもう少しかかりそうだけど、
攻め込む場所は固定した方がいいかな?
ちなみに、スレ立てた人が言ってた敵側有利ってルールは生きてる?
>>57 すみません。遅れました。
今の人数では固定した方がいいと僕は思います。
>>58 残ってません。
基本的に1さんが考えたルールは全部無視してしまってます
赤い悪魔達が遠くの空からやって来る。
今頃ベジータ達は何をしてるんだろう……
皆で近くのシェルターに避難してるのかな……
この防衛線が破られても、下級の奴らならベジータが何とかしてくれる。
でも、強い奴らだったら……
オラ、死ぬ気で頑張るぞ。
男の名前は孫悟空。
薔薇大学の法学部に通う二年生。
高い時給のバイトを見付けたら、こんな危険なバイトだと思わなかった。
だが、背に腹は変えられない。
孫悟空には夢がある。
愛しのばらすぃーの誕生日にちょっと高級なネックレスをプレゼントする。
その目的の為にはこんな小さなことでは悟空はへこたれない。
辺りに銃声が聞こえる。
周りを見ると防衛軍の者達が魔人達に向かって発砲している。
それに対して魔人達は火の玉を飛ばして反撃。
戦いは始まった。
悟空は足下に落ちていた投げるには手頃な石を拾うと、思いきり魔人達に向かって投げつける。
石はけっこう凄いスピードで飛んでいき、魔人に当たった。
だが、魔人には効いた様子は見られない。
「オラ、バイトを間違えちまったぞ……」
参加キボン
【名前】 刻 零(きざみ れい)
【年齢】 17歳
【性別】 男
【種族】 人間?
【職業】 殺し屋
【特技】 居合い 料理 家事
【装備・持ち物】 居合刀(羅刹)
【身長・体重】 身長172cm、体重52kg
【容姿の特徴、風貌】 色白で美形だが目つきが怖い、黒いロングコートを羽織り黒髪の長髪で常に片目を隠している ぶっちゃけ怖い人
【性格】 冷血で無気力、死人の様な眼をしている。キレると怖い
【一言・その他】
裏社会に生きる殺し屋、普段は外国で暮らしているが帰国たし際に事件に巻き込まれる
人間離れした身体能力と動体視力を持つが必要以上の殺生は好まず、生きていく上で最低限の金だけを稼ぎ生計を立てている。
東京を目指し前進する赤い魔物の群。
その魔物達の一団の中に、よく見ると小型の小屋が一軒、混ざっているのがわかるだろうか。
小屋の主は魔界の上級貴族クリスタル。
この小屋は、彼女が魔軍を操るための指揮所なのだ。
最も、クリスタルの頭の中は今は東京見学の事で一杯で、魔軍の指揮の事は頭から抜け落ちている。
「ねぇねぇコウくん。東京タワーと金閣寺、どっちを先に見学したい〜?」
どこから手に入れたのか、怪しい東京観光ガイドブックを見ながら、
お気楽な口調で使い魔に話しかける。
「いや、マスター。金閣寺って東京には無いんじゃ‥」
「えー!だってここに書いてあるもん!」
クリスタルの指さす場所には、確かに写真入りでデカデカと、
【東京名物、金閣寺にようこそ!】の文字が踊っている。
「金閣寺って京都だったと思うんだけど‥」
コウが写真を見ながらつぶやいたとき、
>キドクたま!キドクたま!もうつこちぜすきまちぜ!
東京到着を知らせる伝令の声が、静かだった室内に響いた。
周りの羽音や、笑い声がうるさいと魔力で音を遮断していても、
さすがに伝令の声だけは聞こえてくる。
「マスター。もうすぐ人間との交戦域に入りますよ。
部隊に指示をお願いします。」
そうねぇ、とクリスタルは考え込む。
すでに指示を与えた指揮官もいるのだろう。
周囲の魔物達の動きが騒がしくなる中で、
クリスタルは人差し指を頬に当てたまま、考え込むポーズを崩さない。
また東京巡りでも考えているのかと、さすがにコウが不安になりだしたとき、
クリスタルは、にこにこ笑いながら指示をだした。
「じゃあ〜、まずは部隊を2つに分けようかな? 片方は空から、もう片方は地上から攻めてね。
どちらも連携しながら前進しなきゃダメだよ。」
コウが了解しました、と告げるのと同時に、
主の意志を受けて、魔物の群はさっと2つに分かれる。
戦場に向かう部下を、水晶玉を通して見つめながら、クリスタルは微笑んだ。
「私たちは最初は観戦してよ。
コウくん。なにか美味しい紅茶入れてくれる?」
「はい、マスター」
室内に紅茶の香りが広がる中で、クリスタルは水晶を見つめる。
水晶の中では早くも戦いが始まろうとしていた。
「それじゃあ‥突撃〜!」
気の抜けそうなかけ声を合図に、戦いは始まった。
さあ、盛り上がってまいりました!
男と別れるのに悲しみは対してなかった。
-場所:VirtualUnderground中心部『繭』-
「失礼します。」
そう言うと青年は自動ドアを潜る。
自動ドアを潜ればそこには真っ黒な世界が広がってる。
そしてそこには青い若干の光を帯びた数々の文字と記号が
大量にいくつもの列を作ってでたらめにその壁に張り付いていた。
『京カ。久しブりダナ。』
青年の脳に語りかける機械的な声。
すると途端に一つの黒い球体が部屋の中心に浮き出てきた。
そこには緑の文字で先ほど青年に言った一言がタイピングされている。
青年はそれを見ると表情も変えずにその球体に向かって言った。
「お久しぶりです。管理人。」
すると黒い球体に書かれていた文字は消え、次の言葉を打ち始める。
『話ハ、全て知ってルヨ,君ハ軍に入る為ニ此処を去るヨうだナ。』
「はい。」
『私ハ止めナイ。』
「はい。」
『・・・タだお前ニ一つ問いカケたい。お前ハなんの為ニわざわザ自ら軍ヘ入隊を希望しタ?』
「はい。軍への入隊を希望した理由は人と接触し、人を理解し、
それによって蓄えられた知識を利用して僕という『人間』を完璧に構成する為です。
ここに流れてくる『情報』を読むだけでは僕は完璧な『人間』になれないと僕は考えました。」
『物事ハ「経験」が大事ダと。』
「はい。簡潔に言うとそういう意味です。」
『・・・そうカ…。オ前の言い分ハよく分カっタ。下がレ。』
「はい。」
そう言うと青年は球体に背を向け部屋を出よう足を動かす。
暫く僅かな機械音と革靴の歩く音が響く。
そして次の瞬間男はピタッと足を止めた。
「管理人。」
『なんだ?』
「…感謝…します。貴方に出会えた事に。」
そう、自分の恩師に感謝の言葉を残し、魚民 京都は部屋から出た。
-----------------------------------------------------------------------------
-場所:日本国東防衛ゲート上-
たわいもない別れから数ヶ月が立った。
鳴り響く数十発の銃声。
「グヘッ!」
「「グヘッ!!」」
「「「グヘッ!!!」」」
赤い悪魔達は遠くから放たれた弾に貫通され次々と倒れていく。
まるで雨のように鳴り響く銃声。
防衛ゲートの上を見てみれば、
防御壁を貼り、その中でMacの洒落たノートパソコンのキーをカチャカチャと打つ魚民が居た。
耳にはi-potがリズム感の良い音を漏らしている。
ノートパソコンの画面を見てみればそれはまるでシューティングゲームの様な映像が映されている。
しかしこれは『現実』だ。
魚民のこの薄っぺらなノートパソコンは
東京の中心部にある軍施設のタワーに装備された数十機の遠隔銃に繋がっており、
キーを一つ二つと打つだけでそいつは作動し敵を遠くから次々と打ち抜くように出来ているのだ。
無表情で次々と雑魚を『掃除』していく。
赤い悪魔達はそれと同じぐらい赤い血を流して倒れていく。
しかしそれに魚民は何も感じやしない。理由は簡単だ、それが『戦争』なのだ。
せんそう ―さう 0 【戦争】
(名)スル
(1)武力を用いて争うこと。特に、国家が自己の意志を貫徹するため他国家との間に行う武力闘争。
国際法上、宣戦布告によって発生し、戦時国際法が適用される。いくさ。
(2)激しい競争や混乱。
「受験―」「交通―」
[goo辞典より]
>>63 さっ
暫く立って、ふと魚民は顔を上げた。目線はある一件の浮遊する家。
先ほどから何度も射撃したのに傷一つもついてない事に気付いたのだ。
魚民は少し考えると再度射撃した。
そして耳に入る発射された数十発の銃弾の突き進む風のきる音。
それは緩やかな軌道を描き一つの家に突き進んでるのが分かる。
しかしそれは家に当たる直前やはり消えた。…どうやら大物が一人その家には居るらしい。いや、一匹か?
京都は先ほどのアクションが終わった後三秒ほど硬直すると素早くナイフを取り出し、
門の上から大きくジャンプし落下した。
着地ポイントは無論あの『家』だ。
周りに上級魔族がまばらな今、正しく一匹でも多くの上級〜中級魔族を排除するチャンスでもある。
魚民のジャンプ、行動は正確だ。計算通りの軌道を描き魚民は屋根に着地した。
正確に言えば屋根に着地した訳じゃない。
屋根から2mm程度離れたところに浮遊させた厚さ三ミリ程度の空気上の水蒸気を集めて作った氷の床に着地したのだ。
むやみに屋根に着地してトラップに掛かってしまったら後もこうもない。
魚民はしっかりと更に氷を造り足場を完璧に固定するとナイフを抜き、
魔力をナイフに込めると家の天井に突き刺した。
そしてグッと力を入れ円状に斬ろうとする。
>60
「キッ!キッ!お前弱い!」
赤い悪魔は怪しげに笑う。
そして赤い悪魔は悟空に向かってその鋭い爪を振るい始めた。
赤い悪魔は自分が強いと思った人間からは逃げるが弱いと判断した人間にはとことん攻め入る。
右へ左と振るわれる爪。
すると更に背後から来た赤い悪魔がしっぽを掴む。
こうしてどんどんどんどん孫悟空の周りに赤い悪魔は集まっていく。
「「キッ!キッ!キッ!」」
>68
>「キッ!キッ!お前弱い!」
いくららスポーツが得意といっても、ただの人間が魔人に勝つことはできないのだろうか?
「本当に弱いかどうかは試してみたらどうだ?」
悟空は構えた。
赤い悪魔が爪を振るう。
悟空は冷静のその軌道を見切り、確実に避けていく。
背後から二人目の悪魔が現れて悟空の尻尾を掴んだ。
尻尾を掴めば力が抜けるとでも思っているのであろうか?
赤い悪魔達は防戦一方の悟空達の周りに集まって次々と攻撃してくる。
だが、悟空はその攻撃を全て回避したのであった。
「じゃあ、今度はオラの番だっ!」
悟空は前方から爪を振るってきた悪魔を前蹴りで吹き飛ばすと、前方に大きく跳躍して悪魔達の囲いから抜け出す。
それを見計らってか、近くにいた兵士達が次々と重火器を悪魔達の群れにうち放つ。
下級の悪魔達では重火器には勝てないようで、すぐに悪魔達は全滅した。
「口程にもない。オラの出る幕はなかったみたいだな」
例え出る幕があったとしても、今の状態では何もできなかっただろうが。
GMがはしゃぎすぎかと。
GMの仕事は自分がキャラとして楽しむことじゃないよ。
GMキャラは本来コテの動きをサポートするための部品だから、
>65-67をめちゃ張り切って書いて>68が簡素、っていうのもちょっとアレかと。
>67
戦闘が始まってから、どれほどたっただろうか。
最初それに気づいたのはコウだった。
「マスター。この場所が攻撃を受けてるみたいです」
「ほんと?どれどれ?」
水晶玉の視点を切り替えると、小屋に飛び来る銃弾が移る。
「応戦しますかマスター?」
「コウくん。今回の遊び、目的は何だったっか覚えてる?」
「え?人間達を倒してゲートを壊す事でしたよね?」
唐突な質問に、コウが戸惑いながら答えると、
おし〜いと言いながら、クリスタルは笑った。
「目的はゲートを壊すだけ。
あそこに居る人たちを、無理に相手にしなくてもいいんだよ。」
「でも、直接行っても邪魔されますよ」
「うん。だからね、注意をそらせばいいんだよ。
この家とか、赤いみんなを使って。
少しでも戦力が分散されれば、ゲートに行きやすくなるんだから」
屋根の近くに、人間が近づいたのを感じる。
おそらく、かなりの腕前の。
天井にナイフが突き刺さる。
突破されるのは時間の問題か。
「コウくん。相手が飛び込んできたら、こっちは飛び出すよ?」
「はい、マスター」
クリスタルとコウは、家を飛び出す。
目的はただ1つ。
ゲートの破壊だけ。
>>71 ご指摘ありがとうございます。
そうですね、少々テンションあがってしまってました。
孫悟空さんに失礼なことしてしまいました。
申し訳ないです。以後気をつけます。
ゲート戦の法はあと一人6レス程度で終わらせようかと考えております。
悪魔でも目安ですのでそんなに意識しないで結構ですが…
魔界の避難所はないの?
あると便利かも
避難所があったらそっちへ書き込むんだが、一応思ったことな
やっぱGMって大変だわ
参加コテをよいしょせんといかんしな・・・
その労力にホント、尊敬するよ
ここは立て逃げ再建だしな
応援してるぞGM
77 :
名無しになりきれ:2007/01/11(木) 20:36:37
/\___/\
/ ⌒ ⌒ ::: \
| (●), 、(●)、 | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ,,ノ(、_, )ヽ、,, | < 新GMやるじゃん !
| ト‐=‐ァ' .::::| \_____
\ `ニニ´ .:::/
/`ー‐--‐‐―´´\
今からでも参加おk?
80 :
名無しになりきれ:2007/01/12(金) 17:47:29
sda
>>72 屋根の天井は綺麗な円を描き切り裂かれた。
魚民は即座に切り裂かれた面を蹴ると室内に侵入する。
しかしそれとほぼ同時に室内の魔人達がドアを開け出て行く音が聞こえた。
室内の机に着地する魚民。
「…しまった。」
そう言うと魚民は家のドアを開けると出て行ったと思われる魔人の遠くなった後ろ姿を見ると、
低身長、女、ウェーブの掛かった髪。
魔人の後ろ姿を記憶し、ブローニングハイパワー9ミリを出し、2、3発撃つが、結果は分かり切っていた。
「………しょうがない。」
そう呟くと拳銃をコートに仕舞う。だが、諦めた訳じゃない。
魚民は息を吸うと獣でも人間でもない大きな低く、かつ重みのある鳴き声を響かせた。
〈低身長、女、ウェーブの掛かった髪の女魔人達の足止めを求む。報酬は軍持ちで歩合制。〉
すると途端に空全体に盛大に羽根音が響き、次の瞬間、東京方面から何百匹もの鴉がやってきた。
そして鴉たちは女魔人を見つけ出すとまるで餌を見つけたかのように一片に襲いかかってくる。
それと同時に魚民は家を出て女魔人に近づくと首もとに向けてナイフを投げつけた。
------------------------------------------------------------------
鴉の大群×100?:
ただの一般的な鴉。報酬(即ち上級な餌)の為に働く。
>>70 >「口程にもない。オラの出る幕はなかったみたいだな」
「ちょぉぉぉぉぉおぉぉっと待ったぁあぁあああ!!」
悟空と兵隊達が赤い悪魔を排除した後、突如響く醜くく浅ましい声。
すると次の瞬間、悟空の周りに居た兵隊達の、身体の一部が鈍い音を響かせ消えた。
「う、うわぁあぁあああ!!」
絶叫する兵隊達、そして上空には一匹の身長2mの他の赤い悪魔達とちょっと違う黒い槍をもった悪魔が一匹。
「クックックック…クゥゥゥアッハッハッハァアア!!驚いたか!?小僧!俺様の神的スピードに!!」
そう言うと赤い悪魔は羽根を優雅に動かしながら悟空を舐め回すように見る。
「…小僧。さっきまでの戦闘見てたぞ?なかなか筋は良さそうだな?ん?
……だがまだ俺様の敵ではねぇなぁあああああ!アッハッハッハァアア!!」
そう叫ぶとぐるんぐるんと槍を廻し悟空に向けた。
そして再度じっと
「……よし、決めたぁあああ!俺の部下ぶっ殺したお詫びにとっとと気絶して捕まれやぁあああ!小僧!
『魔将軍アスタロット』様に捧げて俺に彼女はメッロメロォ!!」
そう叫んだ途端、赤い大悪魔の槍が赤く輝きそこから炎の光線が一直前に悟空に向かって伸びていく。
どうやらこの大悪魔は上空から光線で悟空をいたぶろうと考えているらしい。
------------------------------------------------------------------------------------------
赤い大悪魔×1
赤い悪魔達を従える中級魔人。
素早いスピードと中級炎魔法を使うのが特徴。
『魔将軍アスタロット』に惚れているらしく、男を片っ端から捕獲し貢いでいる。
この大悪魔を倒すと赤い悪魔達は魔界に帰る。
すみません。少々訂正
----------------------------------------------
そう叫ぶとぐるんぐるんと槍を廻し悟空に向けた。
そして再度じっと見回すとにまっと嗤った。
「……よし、決めたぁあああ!俺の部下ぶっ殺したお詫びにとっとと気絶して捕まれやぁあああ!小僧!
『魔将軍アスタロット』様に捧げて俺に彼女はメッロメロォ!!」
そう叫んだ途端、赤い大悪魔の槍が赤く輝きそこから炎の光線が一直前に悟空に向かって伸びていく。
どうやらこの大悪魔は上空から光線で悟空をいたぶろうと考えているらしい。
-------------------------------------------------------------------------
84 :
兵士:2007/01/12(金) 21:01:56
「ちくしょう! よくも仲間を!」
背負った大型火炎放射器を赤い大悪魔に向けて噴射!
-札幌市 南区上空-
「くっそー・・・見失った! 一体何処行きやがった,あのえっちなおねぃさんはぁ!」
魔の手が及びながらも特殊な能力を持った人間達の手により,北方の国際都市・札幌は自治を保っていた。
しかし今日,またしても突然の魔人達の侵攻があり,一時は劣勢を極めたが何とか持ち返し,今に至る。
敵は撤退しただけでなく,東京のゲート破壊に向かった魔人達も少なくはなかった。
だがこの空中浮遊でお目当ての人物を捜している少年の”捜し物”は見あたらない。
恐らくどちらかに行ったのだろうが相手は下級魔人・・・いや,東京を襲っているという赤い悪魔達とはちょっと違う悪魔達から彼女は慕われていた。
呼び名は『アスタロット』,更に階級は下級魔人達の間から聞いた分には『魔将軍』と言うらしい。
彼はそのアスタロットに何か執着があるらしいが・・・。
「俺の親父を目の前で串刺しにして,母さんを八つ裂きにした・・・憎むべき敵!
テメェは神魔界と東京,どっちに行ったッてんだ・・・!
まぁいい,奴の事だからまだまだ侵略の手を緩める事はしねぇだろうな。
・・・そうなったら今から東京まで軽く飛びますか!
首を洗って待ってろよ,魔将軍アスタロットとか言うえっちなおねぃさん!
この俺,北方防衛青年団(自称)団長の麻木葱牙様がこてんぱんにしてやるっ!!」
彼のセリフにある通り,その女は彼の両親を彼の目の前で惨殺した。
ただ,他にもたくさんの人間を惨殺,あるいは攫っているらしく,他にも彼に関連するものが殺された・・・あるいは攫われてしまったのだろう。
彼は東京が襲われている事ももう既に彼女と戦う間に聞いた。
その事を考えてか,彼は彼女が行ったと思われる方角―――南南西へと進路を取り,瞬時にESPの空中浮遊をかけたまま移動していった。
その頃,東京の別のゲートを狙って沢山の牛に似た悪魔を率いた女が上空に待機していた。
「ちょっとぉ,クリスタルの方はまだなのぉ?
幾ら拡散してから攻め込んで強すったって暇なのよネぇ・・・ふぁ〜ぁ」
欠伸をして退屈そうに空中で成り行きを見ているその女は露出がヤケに多かった。
紫色の下地に金の装飾が施された服と装甲。
その服は下が水着のような感じで切れており,金縁で保護されている。
更に胸の辺りもちょっと開けたような形の縁をしており,ノーストラップのものと思える。
そして着目すべきは人外と思える外見。
青白い肌,金色の瞳,黒くなった目,黒い角,赤い膜の翼,長めの尻尾。
どれを取ってももう既に悪魔であるとしか言いようがない。
その女の元に一匹,翼を生やした牛に似た黒い悪魔が寄ってきた。
「ゴフッ! アスタロット様・・・賊が1匹追いかけてきたようです・・・!」
「・・・賊? 追いかけてきたって・・・ああ,変に起こってあたしに殴りかかってきたあのボウヤのことネ。
いいわ・・・他のギュウキ達に『分散してゲートを壊す班』と『ボウヤをこてんぱんにしてアタシのコレクションに加える班』に分かれて行動するように言いなさいヨ」
「承知致しました・・・ゴフッゴフッ」
------------------------------------------------------------------------------------------
魔将軍アスタロット×1
魔界の中でも秘境が存在するという『神魔界』と言う地域から来た女性。
基本サドで,とにかく虐殺大好き。
葱牙の両親を惨殺した上に,親友の中で美青年がいれば気絶させて持ち帰り,コレクションに加えてきた。
上級冷気魔法,独自の術に長けるが,肉弾戦でも持ち前のダイナマイトボディを駆使して相手を魅了しつつ戦える。
ギュウキ×約1500体
アスタロット配下の下級魔人(皇魔族)。
真っ黒な肌に牛の頭,アスタロットと同じような目に5本の角,黒い翼を持つ。
棍棒を武器として相手に殴りかかる戦法しか持っていないため,炎系魔法で焼かれると美味しい焼き肉になってしまう。
>83
空から大型の悪魔が現れた。
悪魔は他の隊の皆を皆殺しにし、今度は悟空を狙ってくる。
悪魔の光線が悟空に当たった。
悟空は気絶してしまう。
残念、悟空の冒険はここで終ってしまった。……と思う。
>81
「脱出成功だね!上手くいってよかった〜」
「魔界貴族が戦わずに逃げ出すとは、思わなかったんじゃないですか?」
言い終わったコウの耳に、低く重い鳴き声が届いてきた。
>低身長、女、ウェーブの掛かった髪の女魔人達の足止めを求む。報酬は軍持ちで歩合制。
「マスター。安心するのはまだ…」
早いとコウが言った時には、クリスタル達はすでに、鴉の襲撃を受けていた。
「痛い痛い!この子達何〜!?」
「ただの鴉です!慌てず一掃して下さい!」
「もぅ、しょうがないなぁ〜。えいっ!」
クリスタルが気合いと共に右手を突き出すと、周囲に真空刃が生み出された。
たちまち、鴉たちの体は切り刻まれ、肉片と化して血しぶきが舞散る。
ごめんねー、とクリスタルが呟いた時、コウが叫んだ。
「マスター!!!」
とっさに、防護壁をはる。
クリスタルの首まで、後少しの所で、ナイフは虚しく壁に弾かれた。
ナイフを投げたのはまだ若い男。
さっき屋根から侵入してきた男に違いない。
「もう〜!危ないじゃない!
いきなりあんな物投げて来て、刺さったらどうする気なの!?」
クリスタルは魚民を指差して、見当違いの怒りをぶつけた。
>>86 孫悟空が炎に巻き込まれた。気絶する悟空。
「クゥッハァァアァァァアァ!!やったぜ!やっぱ俺最強!」
そう絶叫すると赤い大悪魔はぐるぐると黒槍を回す。
「んじゃ早速…」
そう呟くと赤い大悪魔は地面に着地した。
孫悟空の頭を鷲づかみにする大悪魔。しかし、次の瞬間大悪魔は炎に包まれた。
「「ウラァアアアアアアアアラァアアアアアアアアアアアアアアア!!」」
そう絶叫すると孫悟空を地面に投げ空中で赤い大悪魔は暴れ回る。
「「イテェ!インテェ!!誰だおm…ッ!!」」
赤い悪魔の首元に何かが飛び赤い悪魔の首は取れた。
墜落する赤い悪魔、そしてその悪魔を墜落させた者の足下に落ちた。
戦場に似合わない黒スーツを着こなした男はそれに目もくれず孫悟空の元へ歩み寄る。
「…孫悟空。」
そう呟くと胸ポケットから書類を一枚取った。
そこにはこう書かれていた。
―−特殊部隊 隊長任命 孫悟空
そして孫悟空はある場所へと運ばれた。
>>87 ナイフは刺さらなかった。男の対処の方が早かったのだ。
「………。」
だまって振り向いた二人の魔人を見ると予備のナイフを取り出す。
>「もう〜!危ないじゃない!
> いきなりあんな物投げて来て、刺さったらどうする気なの!?」
「どうもしない。」
そう呟くと飛び上がり防御壁を越え上空からクリスタルに向けて凄いスピードで落下した。
地面のコンクリートが砕け散る。
そして即座に魚民はコウにナイフを投げつけると、
それに目もくれずクリスタルに回し蹴り→殴りかかるの行動を行う。
クリスタルの身が魚民から離れる。そしてその瞬間悪魔達が来た方面から退却ラッパの音が響く。
「「退却〜!退却〜!!グギャッ!あqwせdrftgyふじこ」」
「…!!!」
一瞬それに気を取られクリスタルから目を離してしまう魚民。
そして再度クリスタルに目を向けるとクリスタルはそこにはいなかった。
クリスタルだけじゃない、魔人全員が消えていた。
「………。」
黙ってナイフを仕舞う魚民。ひとまず終戦…という事だ。
兵隊達がぞろぞろと退却するのに紛れて魚民も退却しようとする。
が、しかし背後から悟空を持った男に声を掛けられるのはすぐだった。
ゲート防衛戦は侵略軍のはたから見れば気まぐれな退却で終わりを告げた。
場所:『魔界帝国』
黒と赤が混ざった空。様々な個性溢れる異様な建物達が立っている荒野に浮かぶ白い罅。
そこから先ほどまで東京に居た魔人達が次々と這い出ていく。即ちこれは魔界と地球を繋ぐ罅だ。
ここから魔人達は人間を殺しに堕ちていく。
「いやはや、すみません!東京襲撃を中断させてしまって!」
白い罅を這い出て来た魔人達を迎えたのは怪しげな緑目のジェントルマンだった。
ジェントルマンは帽子を取って綺麗にお辞儀すると魔人達に向かって更に叫んだ。
「これから将軍、ジェネシス様の緊急報告が有ります!
上級魔族様がたは正装等をご用意されていますのでそれに是非お着替えなさってくだされ!
中級魔族はご自宅で正装にお着替えなさってくだされ!
初級の雑魚共は…取りあえず氏ねェェエエエエェエエエ!!」
そう叫んだ途端ジェントルマンの身体はパーツごとにバラバラに飛び散った。
赤い悪魔達はけたたましい絶叫を上げると爆発する。
そして暫くすると上級魔族達に飛び散った破片達が一人一個ずつやってきた。
「それでは、ご案内しますぞ。上級魔族様。」
そうジェントルマンの上級魔族達の上空に高級衣服店がずらりとやってくる。
魔族達は一斉に動き出した。
場所:東京中央 地球防衛軍アジア本部
東京の中央に聳え立つ整った銀の巨大な筒状の搭。
これが言わずも知れた地球防衛軍アジア本部だ。そこはアジア一の軍事設備が爪込められている。
そんな搭のとある一室。
そこに老人から子供まで役職も統一性の無い数人の人間が何も知らされずに集められていた。
「暫くお待ち下さい。」
そう言うと黒スーツの男は部屋を出る。
室内には一つの巨大なスクリーンと水、ソファーと机、観葉植物というたわいもない物が揃っている。
そのソファーの一つに包帯グルグル巻きの孫悟空は寝かせてあった。
そしてそこには魚民の姿もある。
収集された人たちは個々、それぞれの事を考えながら、時間を潰し始めた。
----------------------------------------------------------------------------
侵略軍:
正装にお着替え、広場に集合
防衛軍:
適当に時間つぶし。
−魔界騎士団司令部−
「岸本…貴様っ!!」
岸本と呼ばれた女は顔色一つ変えずに淡々と作業を続ける。
「悪く思わないでください『元』隊長…と言っても無理そうですね。しかしあなた方が変に諦めが悪いのがいけないのです
」
この部屋の壁には西洋風の甲冑が…正しくは全身を甲冑に包まれた人間がずらりと立ち並べられていた。
今叫んだ男も既に拘束された甲冑を胴体手足に装着されている。
「ですがこの戦争が終わって生き残れれば、あなた方も魔界帝国の一員として未来が約束されるでしょう」
その最後の一人に兜を被せる。
「くくく…『正装』は整ったようだな」
「ええ」
これで兵備…もとい正装は整った。
もしかしたら油断があったのかもしれない。
敵の中隊の規模は我々よりも少数で、然程目立った特殊能力や兵器があるわけでもなく、敵の隊のおおよそを占める装甲兵
士達の動きも鈍くて弱かった。
副官と思わしき仮面の女(?)はそこそこやるようだが、中隊長と思わしき一際大きな装甲兵士は、最初隊員達に向かって「
ユケ」と言ったきり、黙って高みの見物を決め込み、全体に支持を出しているのは全て、黒衣を着て大鎌を持った死神のよ
うな格好で鉄の仮面を付けた金髪セミロングの副官だ。
奴を抑えさえすればこの戦は確実に勝てる。隊長も同じ事を思ったのか、私を奴に向かわせた。
私の進路を阻むべく、まず最初に立ちふさがったのは重装備を施した魔人だった。
「おっと、ここから先へは通さないぜ。俺の名はフルメタル小隊隊長、フルメタル少尉だ。俺はその辺に転がっている雑魚
供とは違う。この」
これは実際にそいつが言った台詞だ。敵のすぐ目の前で長々と口上を述べながら、何か武器を取り出そうとした辺りで、額
に銃弾を撃ち込んでやった。
その後は何人かの甲冑兵士が私の進路を阻もうとするも、こちらの兵の応戦によりほとんど寄せ付けず、それでも立ちふさ
がってくる敵兵もいたが、軽く対処できる相手だった。
仮面女まで50mくらいまで来たところで、横から何か飛んでくる音が聞こえ、目だけを向けると視界に鋭い光が差し、次
の瞬間目の前に斧があった。
間一髪のところで避けると私のいた地面に金の斧が刺さっていた。ヘルメス神は魔人側の味方ですか。
さらによく見るとその斧は鎖で100mほど彼方の投斧者と繋がっていて、投斧者が鎖を引くと斧が戻っていくと思ったら
、こちら側…斧のほうに投斧者が飛んできた。
飛んできた投斧者は、向こうの隊で数少ない軍服らしい軍服を着た異形の魔人だった。
乱れた白い長髪に大きな赤い眼、肌が灰色で耳が尖り口が裂け、牙が発達していて猫背で構えている。
「やるじゃないか…さすがに兄貴を殺るだけの事はあるな」
この戦場で私が倒したのは幾人かの装甲兵士と馬鹿な魔人だけだが…それはともかく、こいつがその馬鹿な魔人とは違う事
はわかる。飛んだ伏兵がいたものだ。
斧の魔人と白兵戦を開始し、左手で短剣を構えて斧による連続攻撃を受け流しながら、右手で拳銃を構えて反撃の機会を窺
うも、相手の動きは素早く隙がない。
私の隊の兵も何人か加勢しよう銃を構えていたが、私達の戦闘距離が近すぎて撃てない様子だった。
何度か距離を取ろうとしてもこいつはすぐに間合いを詰めてくる…いや、むしろ敵の中隊長から離されている。
…中隊長に付いていた副官がいない?
「しまった!」
仮面の女はこちらの中隊長の方に向かっていた。
「余裕じゃないか?」
「くっ…」
斧による打撃を間一髪で避けるも、よそ見していた事が災いして持ち構えていた短剣が弾かれ、拳銃は破壊された。
隊長の方を見ると、仮面女から距離を取りながら銃撃で応戦していた。
「岸本中尉!」
味方の部下の声に振り返ると魔人が斧を振り上げていた。避けきれない。
しかし魔人は斧を自分の後ろに向けて振り下ろす。部下の撃ち放った数発の銃弾が魔人の斧に弾かれ地面に兆弾した。
そして部下が銃弾の補充を行う間に魔人はその方向へ斧を投げ放ち、瞬きする間にその部下の首は無くなっていた。
次に魔人が斧の鎖を引くと今度は魔人が飛んでいく事はなく、斧がブーメランの様に宙に弧を描きその軌道上で敵味方問わ
ず兵士達の首を刈っていった。
斧はそのまま隊長の戦っている方角へ向かったが、軌道上には副官の仮面女もいる。
しかしこの魔人は先程から私に気が向いてないように見える。ここは退避するべきか、仕留める好機と見るべきか。
仕留める好機と見て私は弾かれた短剣に手を伸ばすと、その手を踏まれる。
見上げるとそこには敵の装甲兵士があった。
「くっ…」
空いた手で持っている武器を取り出そうとしたら腕がつかまれる。そこにも装甲兵士がいた。
「諦めるんだな」
魔人が私の方を見ずに言葉をかけた。斧は仮面女が大鎌に当ててこの魔人の下に戻ってきた。
再び魔人は斧を隊長に向かって投げた。
「…何故私を殺さない?」
「くくく…」
よく見ると魔人は空いた方の手で無線機のような物に向かって何か言っている。
そして装甲兵士達がもう2人こちらに向かってきた。
「お前達、ちゃんとその女を押さえておけよ?」
そう言って魔人は鎖を引き、隊長の避けた斧の下へ飛んでいった。
その後の私は装甲兵士に捕まったまま身動きできずに、事態を眺めている事しかできなかった。
何回か味方の兵が私を救出に来ようとするも、投げ斧によって首や身体を刈られていった。
敵の弱い装甲兵士も統率の取れた動きで防衛軍を着実に仕留めていった。
頭を打ち抜いたはずのあの馬鹿…フルメタル小隊長と名乗っていた魔人は戦の中で立ち上がり、防衛軍に向かってランチャ
ーを構えるも、どこからともなく手榴弾が投げ込まれて遠くへ飛ばされていった。
敵の中隊長はずっと立ち尽くしたまま高みの見物を決めて込んでいたが、遠くから重火器による攻撃が来るとその方向に向
けて頭部からレーザー光線を発射した。
そして隊長は我々を見捨てて撤退した。
今この戦場には侵略軍の中隊長の装甲兵士、副官の仮面女、あの斧の魔人と兵の装甲兵士が数人立ち、私が生きたまま捕ら
えられているだけで、残りは防衛軍と侵略軍の死体だけだ。
「残存兵士はこれだけですか」
仮面女は私の方を見て、次に辺りを見渡し先ほど私と白兵戦を交えていた斧の魔人を見る。
「デスメタル曹長」
仮面女が合図を送ると、デスメタルと呼ばれた魔人が倒れている装甲兵士の兜を取って私に見せる。
中身はどう見ても魔人ではなく人間だった。
「我々の部隊は魔界騎士団に属し、このコントロールアーマーを装着した人間を兵として使います」
その後、私は魔界騎士団司令部という所に連れてこられて、例の仮面女…サイコメタルと名乗った魔人に私はこの隊の説明を受けている。
あの装甲騎士達はコントロールアーマーという甲冑型洗脳装置で操られている人間だったらしい。
「もっとも装着者の抵抗意識を受けて動きが格段に鈍くなります。先の戦で貴女もわかったと思いますが、我々の隊の魔人は兵力の数を然程必要としません。
なのでこの人間達は戦力というよりコントロールアーマーの試験者ですね。現在も技術部でコントロールアーマーの改良が進められています」
確かに…先の戦で防衛軍は、斧使いの魔人と目からビームの中隊長だけで壊滅させられていたようなものだ。
やはり力の差が歴然としている。
「我々と互角に渡り合える人材は、通常コントロールアーマーを着せて装甲兵士として扱います。貴女のように軍に引き入
れた人間を高級職に付かせる事は珍しい事です」
地球防衛軍と魔界帝国軍、どちらにつくのが賢いか…そんなものはプライドを持たないのならば明らかだ。
「貴女は私に代わり中隊長補佐に選ばれました。光栄に思ってください」
私は侵略軍についた。人間でありながら魔人側に身をおく事を決めた。
そして私は兵の補充、試験者を集めるために元隊長を騙して人材を確保し
>>91に至った。
95 :
名無しになりきれ:2007/01/13(土) 21:04:25
n n
(ヨ ) ( E)
/ | _、_ _、_ | ヽ
\ \/( ,_ノ` )/( <_,` )ヽ/ / good job!!
\(uu / uu)/
| ∧ /
岸本中尉、グッジョブ!
96 :
神聖カイザー:2007/01/13(土) 21:23:53
>>1 おらぁ!ハイパーバーニングナックルゥア!!
悟空は目を覚ました。
「ここはどこだ?」
体を包帯でぐるぐる巻きにされてて身動きができない。
視界に入るのは天井だけ。
「オラは腹が減ったぞ」
>89
>どうもしない
質問に特に答えることもなく、男は戦いを挑んできた。
コウに対してはナイフが、クリスタルには鋭い連撃が襲いかかる。
「わっわっ。危ない!」
「おっと」
2人それぞれ攻撃を避けると、大きく男との間合いをあけた。
クリスタルの得意なのは遠距離戦なので、相手の戦い方に合わせる必要はない。
「邪魔するなら、容赦しないんだから!」
東京見物が、出来なくなると考えたらしく、
やる気十分のクリスタルも、反撃の呪を練り始める。
しかし‥
>退却〜!退却〜!
唐突に鳴り響く退却ラッパに、男が一瞬反応する。
その隙に、コウは帰還の魔石の力を解放した。
場所は変わって魔界帝国
>いやはや、すみません!東京襲撃を中断させてしまって!
演説を聞きながらも、クリスタルの機嫌は、治る気配も見えなかった。
「後もう少しで、金閣寺に行けたのになぁ‥。」
「仕方ないですよ。
それとも、命令違反で吊し上げを受けた方が良かったですか?」
「それはそうだけど〜」
>これから、将軍ジェネシス様からの緊急報告があります!
「ジェネシスくんから緊急報告かぁ。なんだろ」
「よほど急ぎの用事なんでしょうね」
>上級魔族様がたは正装をご用意されていますのでそれに是非お着替えなさって下され!
「やったぁ!着替えを用意してくれてるんだって!
何を着て行こうかな〜」
「あまり着替えに時間をかけたら、遅刻しますよマスター。」
近くで赤い悪魔が虐殺される中、主従はのんきに話続ける。
>それでは、ご案内しますぞ。上級魔族様。
「うん!よろしくね!」
上空を見上げながら、クリスタルは機嫌良く言った。
「うーん。この服は少し色が気に入らないなぁ。
でもこっちの服は、形がイマイチだし‥あれがいいかも!」
「マスターっ!いつまで迷ってるんですか!
もう他の皆さんは、行っちゃいましたよ!」
結局、適当にコウが集めた服を着込み、
クリスタルが広場に到着したのは、一番最後だった。
>>95 軍への忠誠を示した事で、私は魔人達から歓迎されていた。
「なるほど…こういう使い道があるか」
関心していたのは重装備の魔人フルメタルだ。こいつ無駄にしぶといな。
「ところで聞いたか?リヒトホーフェン・サーカスのやつら、東京ゲートの破壊に失敗したんだとよ」
「ふっ、ゲートの破壊か…その程度の事もできないのかあの雑魚供は」
「あなたも前回の任務で全く役に立ちませんでしたよ、フルメタル軍曹」
誰もが突っ込もうとしたところを、サイコメタル少尉が皆を代表して言う。
「…え?ちょっと待ってくれ、俺『軍曹』?」
「度重なる任務失敗につき、あなたに降格処分が下りました」
「待ってくれ、俺はこいつに殺されて一回殉職したと言ってもいい。二階級特進ならまだしも降格とかありえないだろ」
「またその影響で小隊長から分隊長へ格下げです」
「聞いてくれ」
「その小隊長ですが、フルメタル軍曹に代わる形でデスメタル准尉に務めてもらいます」
「くくく…准尉か。下士官止まりと思ってたが可能性がでてきたか?兄貴には悪いが感謝するぜ」
「……」
ちなみに中隊長様は相も変わらず全身を甲冑で覆い、黙したまま肩膝を立てて座っている。
こうしていると本当に中に誰か入っているのか疑問に思う。いや、入ってくるところから見てたはずなのだが…もしかしたら動く甲冑なのかもしれない。
そんな事を思って見ていると中隊長様はゆっくりと動き出して立ち上がる。それに合わせてこの場にいる他の部下達も姿勢を正す。
「ユクゾ」
ナイト中隊長のその一言で我々の進軍が開始される。
中隊長を先頭に補佐の私が隣に付き、その後方に小隊長3人を先頭としてリモコンを持った各分隊長と装甲兵士達、他数人の魔人達が続く。
―ここは東京都内のとあるテニスコート
そこで二人の青年が今からテニスをしている。辺りに他の人間の気配はない。
黒髪の男からサーブが放たれる。そのボールは物凄いスピードで相手のコートにをバウンドし、速度を落とさず跳ね返りざ
まに、そのコートに立つ白髪の青年に向かう。
白髪の青年はこれにラケットを構えるも、このまま踏ん張ってボールを受けてもラケットを弾かれるのは目に見えている。
白髪の青年は足を地から離して飛んできたボールにラケットを当てる。そのままボールの力に抵抗せずにしばらく押される
形で受け入れる。
そのまま白髪の青年は後方に飛んでいく。―ちなみにこのコート、フェンスがあちこち壊れていて、白髪の青年の後ろには
フェンスはない―そして球威が落ち始めて来たところ(まだ空中)でボールを打ち返す。
打ち返されたボールは速く、そして縦横無尽に不自然不規則な動きで宙を舞う。だが点を入れるには相手コートに一度付け
るか相手(のラケット)に当てなくてはいけない。黒髪の青年はコートの中心に立ち、その時を待つ。
ボールはコートの隅の角に付く。瞬間、黒髪の青年はラケットをそこに移動してラケットを構えてボールを返す。
ボールはそのまままっすぐ白髪の青年の顔面に向かって飛ぶ。
白髪の青年はそのボールを銃弾でも避けるかのように軽く首を傾げて避けると、後ろから迫っていた魔人にボールが直撃す
る。
ボールをくらった魔人は破裂し、そのテニスコートにも血の雨が降る。
そしてそれまで黙していた二人の青年の内、黒髪の青年…天宮環から口を開く。
「聞いたか」
「ああ、俺達の他の部員達も徴兵されるらしいな」
「テニスで人を殺すのは…俺達だけでいい」
「環、俺達が相手をしているのは異形の魔人だ。人殺しをしてるんじゃない」
「やつらに降伏する人間が出ないとも限らないだろ」
「……」
白髪の青年…神城楔は言葉を失う。
「だが、だからこそ俺達がもっと頑張らなくちゃならない。そろそろ軍の集合時間だ、行こう」
「あ…ああ」
二人は東京中央…地球防衛軍アジア本部に向かう。
>97
「あ...。目を覚ましましたか?」
孫悟空が目を開けると孫悟空の隣には大村桃矢が救急箱を持って立っていた。
「よかった僕の治療が効いて...
あんなに大やけどしてたから死んじゃったかと思いましたよ。」
そう言うと大村桃谷は孫悟空の隣に座り
孫悟空の包帯を取る。
「あれ...凄い!全然火傷跡が無い。」
そう言うと悟空の肌のあちらこちらを見る。
そしてあっと言った表情になると大村は悟空に向かって笑顔を見せていった。
「自己紹介が遅れてしまってすみません。
僕は大村桃矢と言う者です。よろしくね。」
そう言うと孫悟空に握手を求めると孫悟空の隣に座り周りをきょろきょろ見回す。
大村は基地に来るのは初めてらしい。
「それにしても凄いなあ...
ここ地球防衛軍アジア本部ですよね。
一般人が滅多に入れて貰えないところに招待されるなんて...僕感激だなあ。」
そう言いながら紙コップの水を少し飲む。
103 :
名無しになりきれ:2007/01/15(月) 21:17:24
n ∧_∧
(ヨ(´∀` )大村桃矢 グッジョブ!
Y つ
104 :
名無しになりきれ:2007/01/15(月) 21:19:40
おらぁ!バーニングナックルゥア!!
「ハァ〜・・・それにしても,戦況の方はどうなの?」
「ゴフッ! 報告します・・・戦況は徐々に防衛軍に傾きつつある模様。
一人の青年がクリスタル様に襲いかかってきたというので・・・ゴフッ!」
「この分じゃ,アイツは大丈夫かしらねぇ〜?」
アスタロットはまだ待機していた。
ギュウキに戦況を聞きながら全然闘いに出る様子のないアスタロットだったが,退却ラッパの音で彼女の態度が豹変した。
それは周囲の魔人達に退却を促すラッパの音であった。
「・・・何? ちょっと待って・・・この音,退却指令ヨ!
まさかクリスタルの奴,しくじったんじゃないでしょうねぇ!?
それと赤いデーモンちゃんはどうなったのヨ!?」
「大変ですゴフゥゥ! ゴフッゴフッ・・・! クリスタル様は回避に成功したようですが,紅蓮悪魔様はお亡くなりに・・・!
どうやら別の男が堕としに来たようです・・・ゴフッ!」
「あぁぁ・・・いつもいい美男子をプレゼントして貰って,折角好感持ってたあのコなのにぃ・・・;;
・・・仕方ないわ,ボウヤの事は諦めて,退却ヨ。
ギュウキ部隊全員に退却指示を出しなサイ,早ク,早クっっ!!!」
さらに赤い悪魔死亡の報を受けて動揺するアスタロット。
彼女はこの場の悪魔や魔人に従い,退却を決めた。
葱牙がこの場に付いたのは,退却が終了して数分経ってからの事である。
「はぁ・・・着いた; けど,アイツ等また居なくなった・・・一体何処へ?
やっぱりこっちじゃなくて,魔界に戻っちまったのかな・・・;
仕方ないや,取り敢えず防衛軍の本部にアスタロットって言うえっちなおねぃさんに仲間を奪われ両親を殺された事,伝えねーと・・・」
時既に遅し,アスタロット達が居ない事を確認すると葱牙は地上へ降り,防衛軍の本部へと足を進めた。
彼の所属する札幌北区防衛隊は札幌市独自の防衛戦力なのだが,実は裏で地球防衛軍本部と通じているのだ。
詳細な情報が入って,増援が欲しい時には必ず彼等のような市内の区1つ1つに配備された防衛隊が幾つか出動する事になっているのでもある。
そして各部隊の隊長達は防衛隊本部や支部への立ち入りが許可されているが,特殊なICカードが必要だった。
その1枚を持っている葱牙も,隊長の一人である事を証明するものだ。
彼はICカードで秘密の入り口付近のリーダーに触れると,地下に一瞬開いた大穴から本部のエントランス付近まで一気に降りた。
<魔界帝国>
一方で退却してきたアスタロット。
広場に集められるというので,正装をしなければならなかったのだが・・・。
「んもぅ・・・どうすればいいのヨぉ,アタシ正装なんて,これしかした事無いシ・・・;;
アナンシ,いい服何か無いかしらぁ?」
「う〜ん・・・スーツってのも何か駄目だし,やっぱり魔導士服の正装で行くのがベストなんじゃない?
それもアスタロット様の大好きな露出の多いモノで。
革製だから多分風邪引く事も,お腹壊す事もないだろうし」
「成る程ねぇ・・・じゃあアタシ,アナンシのアドバイスに従うわぁ」
数分経ってから,黒いマントの下に紫色の本革で作られたブーツ・手袋・水着のような服を着たアスタロットが着替え室から出てきた。
そして,タンスを少し扉側に押して,秘密の入り口を開けた。
其処には暗い中で証明に照らされた何本もの試験管があり,その中には緑色の透き通った液体が入っている。
何本もの空きがあったのだが,その他には金髪ブロンドや黒髪,様々な人種の美男子達が目を開き口を開けた起立状態で入っていた。
その美しさを保つためか,試験管の中を度々気泡が通り過ぎる。
「・・・大切な集会なの,また後で来るからしっかり休んでてチョーダイねぇ・・・んふふ・・・!」
その部屋の美男子達に語りかけるようにそう言った後,アスタロットはタンスを元に戻して広場へ向かった。
―東京都内の廃ビルの裏
本来いるはずのない赤い悪魔がそこには群れており、向かいに茶髪の青年が腕を組んで魔人達を見下ろしている。
その青年の目の前には数枚のカードが浮かび上がっており、さらに一つ目の魔人がそれらを護るように佇んでいる。
「俺のターン!邪気眼の使い手の攻撃、エターナルフォースブリザードォォォ!!」
一つ目の魔人の眼が大きく見開かれると、青年の目の前にいる赤い悪魔達が次々に凍り付いていく。
「この俺に楯突くなど百年早いわ!!」
赤い悪魔が氷塊が砕け散ると一つ目の魔人も消えていった。
しかしこの都内にも雑魚とはいえ僅かながら魔人が沸いてくるようになったか。全く地球防衛軍の奴らも当てにならんな。
学生も徴兵するほど人員にも不足しているようだし仕方がない。この俺も出向いてやるか。
先日開発に成功した我が社のカードシステムを使って侵略軍など捻り潰してくれる!
そしてその青年…竜宮光輝もアジア本部に向かった。
>102
>「自己紹介が遅れてしまってすみません。
>僕は大村桃矢と言う者です。よろしくね。」
「オッス、オラ悟空」
| |
| |∧_∧
|_|´・ω・`) そ〜〜・・・
|桃|o旦 o
| ̄|―u'
""""""""""
場所:魔界帝国 世羅の集会所
魔界帝国には数カ所集会所や演説所が存在する。
その中で最も派手な石の彫り物の壁が聳え立ち、如何にも豪快な雰囲気に包まれた集会所、
それが『世羅の集会所』だ。
「諸君!お静かに!ジェネシス様の緊急報告が始まります。」
壇上に出てきたジェントルマンが叫ぶ。それにより騒がしかった数万人の魔人達は一片に静まりかえる。
そして静まって少し立つと一つの乾いた足音が集会所に響きだす。
その正体は魔界四大将軍の一人、ジェネシス。
その姿が現れただけで一回は静まった会場内に数万人もの大量の魔人達の歓喜の声が響き渡った。
黒々とした肌、そして赤い燃えたような長髪に包まれた圧倒的な美貌、
そして若いながらに圧倒的な権力と魔力を持ったその男は、
魔人達の中ではまさに『カリスマ』の四文字を持つ。
ジェネシスは圧倒的な歓喜の声に満足げに一度微笑むと演説台にたった。
はたまた静まりかえる魔人達。
「…諸君!わざわざ我れ将軍ジェネシスの報告を聴くために出向いてくれてご苦労だった。
私は長話は嫌いだ。だから早速本題に入らせて貰う。
君たちに集まって貰ったのは地球のヨーロッパ地区にある『フランス』への本格的な侵略を手伝って貰うためだ。
参加の拒否権は一応ある。
が、今回の『フランス』侵略は我が魔人達の偉大なる母兼ね父でもある『魔帝』様直々のご命令だ。
拒否すればそれなりに報復が訪れる。しかし成功すれば富と名誉が手に入る。
――頭の良い同胞達ならどちらが自分にとってどれを選択すれば自分が得をするのか分かるだろ?」
そう言った途端に魔人の一部が歓喜の声、拍手を送る。
此処ではどんなに高慢だろうが脅しを掛けようが不条理だろうが強い力を持つ者には逆らえない。
正しく『弱肉強食』。弱き者はその身を消し去られるほど散々こきを使わされ強き者はどんな富も名誉も手に入れられる。
それが『魔界帝国』の基本的なシステムだ。
ジェネシスがにんまりと嗤う。
「どうやら頭の良い同僚が多いようだな!愉快愉快!
皆の者!私はたった今機嫌が良い!三日間期限をやろう!その間に旅の準備やコンディショナーを完璧に整えるが良い!
配属される隊等詳しい事は後使い魔が伝えるだろう!質問もそのさえにしてくれ!
私は久々の戦に身体を鈍らしてる故少々ウォーミングアップに忙しくなるだろうからな!
…まあすでに数百匹の魔人達が『フランス』へ向かった故準備が整った頃には…
私達が来た時には侵略がほぼ完成してるかもしれぬがな!
アハッハ!その時は宴よ!お前等にも『フランス』の名物の二つや一つ…奢ってやるわ!」
そう叫び高笑いするとジェネシスの演説は終わった。
魔人達の間に使い魔が来るのはすぐだった。魔人の使い魔は行動から何から何まで早い。
――華の都『フランス』に歴史上最大の魔の手がやってくるのもそう遅い話でも無かった。
場所:東京中央 地球防衛軍アジア本部所属飛行船
-フランスです。-
-あなた方にはこれからアジア防衛軍の『特殊部隊001』としてフランスに飛んで貰います。-
一方、防衛軍の方もそうトロトロしていなかった。
あれから数時間後、男が部屋に再度現れると今この部屋に居るメンバーが特殊部隊に選ばれたこと、孫悟空が隊長に任命された事、
そして『フランス』が完全侵略の危機にさらされてるという事が話されると即座に軍専用の『巨大飛行船』に乗らされた。
心の準備も何も出来てないまま船に乗らされた者達の間に言葉は無い。
その者達の心中は様々だ。ある者は歓喜しある者は不安がっている。
長々しい沈黙が暫く流れていくウチに船に備わった古びた時計が鳴り響いた。
重々しい音色が響き渡る。
するとメイドが特殊部隊達が集まる部屋にやってきた。
「お食事の用意が出来ました。最高級のフランス料理でございます。
お食べになられる方は食堂へどうぞ。」
--------------------------------------------------------------------------------
【侵略軍】
旅路の準備と言ってますが自由にやっちゃっていいです。
血が騒いで三日も待たずに襲撃に早速参加!てのもありだし適当に伏線を張るのもあり。
なんでもありあり。
【防衛軍】
こちらも自由に勝手にしちゃってください。
拒否した事にして街に出るのも良し、食堂に向かうのも良し、拒否も良し。
※フランスの正式データ、防衛軍が何故侵略に感づいたのかは後、お話しさせて貰います。
>113
>「お食事の用意が出来ました。最高級のフランス料理でございます。
>お食べになられる方は食堂へどうぞ。」
「おぉ。オラはこれを待っていたぞ」
事態が分からないまま変な場所に連れてこられ、ただのバイトの癖に隊長に任命され、食事だってろくに支給されてない。
悟空にとっては非常に腹立たしい状況に救いの女神の手が。
仮定の話だが、このまま食事が支給されていなかったら、悟空は上級の魔人に匹敵する力を持つ姿に変わり、見境なく暴れていたことだろう。
悟空は誰よりも早く食堂にたどり着くと、空いていたテーブルに座って食事が運ばれてくるのを待つ。
その間に考えることは食べ物のみ。
ベジータなんかのことは思い切り頭の中から投げ捨てている。
「キターッ!」
悟空の目の前に豪勢なフランス料理が並べられ、悟空に食べてくれっと誘惑してくる。
悟空の目は血走り、口からは涎が洪水のように。
悟空は涎を飲み込み深呼吸をしてナイフとフォークを持つと、一心不乱に食べ始めた。
天界よりやってきたEAGLEは、フランスの地にいた。
「ふむ、優雅な午後です」
そして、街のカフェテラスで優雅なティータイムを楽しんでいた。
EAGLE。
天界でも有数の実力者であり、天界の国々の統治者である天帝の一人でもある。
地上の惨状は天界でも問題となっていたが、現在は天界でも色々と問題が起こっているため、
派兵については天国(天乃帝国)ごとに任されている。
EAGLEは自国の政治・治安維持や地上の危険など様々な事を考慮した結果、
妻に国の留守を任せ、単身地上に降り立つことを決めたのだった。
しかし、さすがに強力な魔人達と単身で戦い続ける事は厳しいため、現在は人間の防衛軍と合流することを考えていた。
だが、EAGLEは、考えたはよいもののどうしたものか途方に暮れていた。
EAGLEは天帝の割に、そうした事には非常に疎いのである。
というのも、実力だけで地位を勝ち取った彼自身に政治能力は無く、
頭を使う場面は殆ど妻に任せており、基本的にマスコット王様なのだ。
知識の浅さに自覚はあるので勉強は頑張っているのだが、決定的に才能が無く知識はいつも空回り。
修行に明け暮れていたために、一般常識すらあまり持ち合わせてはいなかった。
そうした色々があって、取り敢えずはフランスの優雅な午後を楽しむに至っているのだった。
「ふむ。地上の珈琲は実に美味しい」
香りを楽しみつつ、ゆったりと珈琲を啜るEAGLE。
しかし、生来勉強熱心な彼は、遊んでいるばかりではない。フランスの情報はしっかり調査済みである。
「この国には古来からの兵法による中世騎士団と近代兵器を扱う近代騎士団が存在し、
とても仲が良くそのコンビネーションで数多の魔人を退けてきたとか。ふむ、悪くない」
何でもかんでも美談に結び付ける傾向のある頭の中で変換された情報を元に、今後の行動の指針を考えるEAGLE。
「まあ、指し当たってその辺りにコンタクトを取ってみましょう。この珈琲を飲み終わったら、そろそろ動きますか」
そしてもう再び珈琲に口をつける。そして感嘆の声を上げる。
「美味い!!ふむ、やはりもう一杯飲んでからにしましょう」
いいから早く行けよ。
↑
上の奴は偽者。
避難所の奴と鳥が違う。
>116
うるせえwいっぺん氏ね
>117
お前がな
>>110-113 アスタロットも広場でジェネシス将軍からの報を受け,フランスへの進撃を心に決めたのであった。
もちろんメインは金髪蒼目の美男子狩り。
ただし,フランスの華の都・パリの観光もしたいと思っているらしく,洋服の事も色々と考えているようだ。
やはり所詮女は女,アスタロットもフランスと聞いて行かない訳がなかった。
寧ろ,前々から行きたいと思っていた場所まで行けるのだ・・・彼女はあこがれを抱いていたジェネシス将軍に好感を持った。
部屋に戻り,いつもの服装に着替えると早速アスタロットはフランス侵略に向けてのプランを考え始めた。
「んっん〜ww ジェネシス様太っ腹ぁw
アタシね,パリってところは凄い綺麗な場所だから,前々から行きたいと思ってたのよねぇw」
「あ・・・それ,東京で見つけてきた奴だっけ・・・;
よく人間達の言葉までわかるようになってきたね,アスタロット様・・・」
「まぁ聴いたり見たりしてるうちにちょこっと覚えちゃっタw
それよりもぉ・・・3日の猶予があるのよ,どう過ごすぅ?
アタシは人間に化けて昼間はお買い物とかで楽しんで・・・夜になったらそのまま美男子狩りw
それで3日目の夜にみんなと合流して,ジェネシス様達と一緒に最後の砦を落としに行くノ。
美味しい所も楽しみも持っていけるから良いんじゃなぁイ?」
「た,確かにね・・・でも,向こうの言葉って前に侵略しに行った東京の辺りとは違う言葉で喋らないと通じないんでしょ?」
「う〜んと・・・フランス語,だったっケ?
それもある程度は拾ってきた観光ガイドブックに載ってるみたいなノ,読仮名も載ってるし繰り返し練習してれば覚えそうネw
後は買って置いたドレスで着飾って,金髪蒼目の美女に大変身して町中に繰り出せばもう問題ないワぁw
運がよかったら,あのボウヤもゲット出来るか・も・ネ・・・んふふww」
(本当に大丈夫なのかなぁ・・・;;)
そして暫く観光ガイドに載っているフランス語を繰り返し繰り返し音読して練習した。
小一時間程経って,少しは覚えたのか読まずとも意味をアナンシに言って貰うとある程度返せるようになってきた。
それで満足したのか,彼女はまたタンスの裏の隠し部屋へ入り込む。
「・・・はぁ〜いv お待たせ,アタシの頼もしい美男子ちゃんw
今日は・・・この子にしようかしラw」
アスタロットが左見右見して,今夜のお相手であろう美男子を選んでいた。
幾つかの美男子達の試験管から盛んに気泡が上がりアピールしているようにも見えるが,今日アスタロットが選んだのは葱牙と同じような年頃の―――黒髪で短髪の,何処か学校に一人は居そうな好青年だった。
彼の試験管の下について居るスイッチの1つを押すと,青年の目に再び生気が宿り,瞬時にその身体は一番奥にある今まで入っていた試験管の5倍程の幅がある試験管の中に移った。
その試験管内にも液体が満たされているのだが,絶えず気泡が上がり,先程とは違って透明である。
ただ,試験管の下の方から水色の照明で照らされているので,何処か海にでも潜っているかのような色に見えるのが現実だが。
「それじゃ,お相手・・・よろしくねんv あのボウヤのお友達なんだもの・・・ねぇ? ユキヒト君」
「・・・はぃ,アスタロット様・・・」
液体の中にずっと放置されていたからなのか,あるいは最近鼠による実験で証明された―――大気と同じ濃度の酸素や他の気体が溶け込んだ液体なのかわからないが,青年はアスタロットに向かって返事をした。
その後,アスタロットは近くに隠されていたエレベーターで試験管の上に上がり,そこから中へ潜る。
それからはアスタロットが彼と会話をしたり,抱き合ったりなど,大人のやりとりが続いていた・・・。
(容量オーバーのため
>>119続きッス・・・;)
一方,所変わって此方はユーラシア大陸上空。
防衛軍の特殊部隊にこそ選ばれなかったものの,彼はやはりアスタロットが其処に来るのではないかと考え単身フランスへと飛んでいた。
魔人達がフランスを襲撃したとなるとヨーロッパ中で激震が走るだろう。
いや,それ以上にそれが魔人のものではないと思い込まれればフランスは他の国々に不信感を抱き,その内大反れた事があれば・・・第3次世界大戦の勃発にも繋がりかねない。
それを止める手伝いとでも言わんばかりに,彼は副隊長に部隊の指揮を任せ,魔人達の侵略に対して戦おうとしているのだ。
時が経って彼は入国審査所に降り立つ。
ESPが使える人間はごく僅かなのだが,昔から捜査などでよくその力が使われるためか,空から降りてきた葱牙に対して審問官はパスポートとビザの提示を求めるだけであった。
カタコトの英語ではあるが,『Here you are』と彼は一言言うと,こっそり貰ってきた入国許可証にビザ,ポケットから自分のパスポート(行く前にスタンプ捺印済み)を取り出して審問官に提示する。
暫く審問官が見た後に,特殊部隊ではないが防衛軍の一派である事を悟ったのか,パスポートに捺印して彼に返し,通行を許可した。
―――華の都・パリ。
その言葉に似合うように人々は賑わいを見せ,空は果てしなく純粋な蒼のグラデーションを見せる。
其処を雲がうっすらと通っていくが,時折それが眩しい太陽光を遮るので日陰にずっと留まっていなくても時々涼しくなる。
彼はまず銀行に行って今持っている所持金の2/3をユーロに両替した。
EU発足から数年経って,イギリスを除く加盟国の殆どでこのユーロという共通の通貨が導入されて以来,両替の手間も省け手数料も安くなり,より快適に旅を楽しめるようになっている。
両替も終わり町を散策していると,通りに面した喫茶店で美しいブロンドの髪と純白の衣装を纏った,それこそ王族であるような姿の男性を見かけた。(←EAGLE氏の事です
(あの人,変わってるな・・・普通ならワイシャツとかワンピースとかそう言った辺りの普段着なのに,あんなに真っ白くて綺麗な衣装だなんて。
もしかして,どっかのロケの合間を縫ってきたのかな?)
軽く考えて葱牙はその場を後にする。
ただ,この喫茶店が・・・後に彼と宿命のライバルが出会う場所となろうとは・・・今は思いも寄らない事であった。
クリスタル達が、『世羅の集会場』にたどり着いた時、
丁度、ジェネシスが現れて、演説が始まった所だった。
>ヨーロッパ地区にある『フランス』への本格的侵略を手伝って貰うためだ
「フランスだってコウくん。やったね!」
「いや、静かに聞いてて下さいよ、マスター」
>今回のフランス侵略は『魔帝』様直々のご命令だ
「魔帝様の命令かぁ‥」
「何か、取っておきたい物が有るのかもしれませんよ」
ひそひそと、会話を続ける主従をよそに、
無駄を嫌うジェネシスらしく、やがて、演説は早い終わりを迎えた。
「マスター。期限は三日ですが、どうしますか?」
やってくる使い魔を横目で見ながら、コウが質問する。
「うーん。せっかく、フランスに行くんだから、早い方が良いよね!
すぐ出発しよ!」
「フランスには、『青髭の老人』がいます。
こちらの動きが、筒抜けになっていないか、心配なんですが」
コウの疑問に、クリスタルは笑顔で答えた。
「だ〜いじょうぶ!
観光に行くんだから!」
「侵略に行くんですよ!!」
「今度は『家』に細工もしたし、大丈夫〜」
コウの心配をよそに、『家』はフランスへと、2人を乗せて動き始めた。
―地球防衛軍アジア本部所属飛行船
その飛行船内のテニスコートで俺達は打ち合っている。
「フランスに行くのは久しぶりだな」
そう言って撃ち放たれたボールはコート外をも巡回して、何周もグルグル回りながら意思を持ったような動きをする。
環はそれをコートの中央から見ている。
「テニスの試合ではなく殺し合いに行くのだがな」
外周からコート端ギリギリの所に落下しようとしたボールに、環は一瞬で追いつきボールを返す。
「ちょっ、加減しろよ!此処飛行船内だぞ」
環の打ち返したボールは壁にめり込んでいる。
「…此処では訓練にならんな」
環はベンチに戻ってラケットを仕舞う。
軍に入ってから、いつの間にか環はテニスを楽しむ事を全くしなくなった。もはや環にとってテニスはスポーツではなく、戦争の力でしかなくなっている。
「あー…じゃ、じゃあ飯に行こう。高級なフランス料理が出されるって話だ」
「俺はいい」
環は部屋に戻ってしまった。
「―というわけで三日後には増援が来る予定です」
先日、将軍の使い魔と名乗る魔人からの伝令があった。
我々ナイト中隊を含めた魔界騎士団の一部隊は、一足先にフランスに派遣されている。
この国には『馬人』という化け物がおり、パリの『騎士ギルド』には我々の部隊と似た時代錯誤の装備をする『中世騎士団
』というものがあるなど、魔人達が紛れていても目立つ事がなく潜入できる。
もっとも先んじてこの国に来ているの魔人は我々を含めて数百程度しかいないとの事だ。さすがにそれだけで戦争を仕掛け
ても力不足だろう。
増援が来るまでの我々の任務は『騎士団ギルド』に紛れて、内部抗争させるように扇動する事。
もともとギルド内の『中世騎士団』と『近代騎士団』には確執があるようなので、ちょっと揺さぶりをかければいけそうだ。
同じ人間ならば近代兵器を用いている方が強いだろう。だが我々の部隊『魔界騎士団』の魔人達は中世武器を持ってして、その近代兵器と渡り合えるという。我々は先に『中世騎士団』側に味方して『近代騎士団』を倒すようだ。
先に強い方から倒しておきたいだけで深い理由はないのかもしれないが、もしかしたら『魔界騎士団』も『中世騎士団』と
同じで、伝統の騎士道を外れた近代兵器を使う『近代騎士団』が気に入らないからかもしれない。
まあ、私はどちらでもかまわないのだが。
「とりあえずデスメタル准尉はそのままではあきらかに魔人とわかるので何か顔を隠して、武装も替えておいてください」
苦笑いするデスメタルにサイコメタルが自分が付けているのと同じ鉄の仮面を渡す。どこから出したんだか。
「あとサイコメタル少尉の大鎌も彼らには受け入れにくいと思うので」
「大丈夫です。私は武器を変えられますから」
そう言うとサイコメタルの持っていた大鎌は溶けたように形を崩し、剣の形に成って固定される。
先の戦では見る事は無かったが、これはまたすごい能力だ。
「あ、フルメタル軍曹。あなたも重火器は止してください」
しかし改めて見るとこの隊は昔の武器は使えど、騎士らしい格好の魔人はほとんどいないな…他の魔界騎士団のメンバーは
ちゃんとしてるのだろうか?まあこれもどうでもいいのだが。
いろいろ指摘してこの隊もまずまず騎士らしく見えてきた。これで騎士団に味方する準備は整った。
さてまずは内部抗争の扇動だな。
大村は混乱していた。とにかく混乱していた。
>-フランスです。-
>-あなた方にはこれからアジア防衛軍の『特殊部隊001』としてフランスに飛んで貰います。-
「フランス...?特殊部隊...?」
否定する気力も勇気も無く飛行船に乗ってしまった大村。
大村は飛行船内のソファーに座り込んで、同じ言葉を繰り返すばかりだ。
戦場へ行くのと観るのとでは違う。
(どうしよう...なんで僕はこんな所へ来てしまったのだろう。)
どろどろとした感情が渦巻く。
(大体なんで僕が...なんで...なんで...)
それはいずれ他の者への苛つきへと変わっていきそうになった時、
時計のチャイムが鳴り響く。
>「お食事の用意が出来ました。最高級のフランス料理でございます。
>お食べになられる方は食堂へどうぞ。」
「あ...はい。」
思わず返事をする大村。そしてほぼ無心状態で立ち上がった。
途中廊下を歩いている途中神城楔とすれ違う。
(あ、さっきの僕と同じぐらいの人...)
一瞬目で追う大村。
さっきから気になっていたのだ。
(...ご飯...食べないのかな)
ふとそう思うが声も掛けずに通り過ぎる。
そして食堂に着いた。そこには先ほどのスーツの男もいた。
そして隊長に任命された男もいた。
>「キターッ!」
そう言うとかぶりつく男。それを見つつフランス料理が並ぶ席に着く。
暫く静かにご飯を食べる大村。
(普段通りに食べたら美味しかったんだろうな...)
そんな事思いながら口の中にほおばる。
そして暫く黙々と食べ続け、スーツの男を見ると遠慮しがちに言う。
「あの...」
スーツの男が大村を見た。
「...ひ、一つ質問いいですか?...ど...どうして僕らが選ばれたのですか?
ぼ、僕はただの中学生で...」
大村はびくつきつつ男に話しかける。
―地球防衛軍アジア本部前
「ふん、一足遅かったか」
まあいい。奴らがフランスに向かったことはわかっているんだ。すぐに追いついてやる。
その後、俺は会社からヘリを出してフランスに向かった。
突然呼ばれて突然所属先変更、突然飛行船でフランスへ。
常にお上に誠実な魚民はなんてことも無いといった表情で本を読んでいた。
本の内容は人間の上下関係を描いたちょっぴしどろどろしたモノだ。
無我夢中で読みふける魚民。その姿は23といういい歳した青年なのに興味深いモノを見つめる子供のように感じられる。
時計の重々しい音が鳴り響く。
「お食事の用意が出来ました。最高級のフランス料理でございます。
お食べになられる方は食堂へどうぞ。」
「……。」
魚民はため息を一つつくと本を閉じた。
軍隊は体力を使う。体力を使う仕事をする場合、食事をしっかりと取らなければ力は出ない。
魚民は本をいつも持ってるトランクに入れると立ち上がり食堂に向かう事にした。
>>114 場所:飛行船食堂
魚民が入った食堂には自分以外に数人の人間が居た。
その中で目に入ったのはやはり孫悟空だ。
何せこの男はこれから自分の上司となる男。嫌でも目についてしまう。
席に着き、目の前の豪華なフランス料理をマナー良く食べながら目の前の自分より若い上司を観察する。
じっと…じっと…
場所:飛行船食堂
暫く沈黙が走ると、大村が声を掛けてきた。
>「...ひ、一つ質問いいですか?...ど...どうして僕らが選ばれたのですか?
>ぼ、僕はただの中学生で...」 (
>>125)
「…さあ?…そんな事私に聞かれても分かりません。」
そういうとスーツの男は大村を見つめた。威圧感のある瞳は魔人より恐ろしいような気さえさせる。
「ただ…私の上司はこう仰ってましたよ。
此処に居る…いや、この船に居る貴方方が…この世を救う『鍵』になるかもしれない…と。
…突然呼ばれて戦場に行かされる訳だから腹立たしい気持ちをお持ちの方も…不安な気持ちでいる方も多いでしょう。
しかし、今の現状は『侵略軍』の圧倒的優勢。…身のふり構ってられない状況なのです。
なんせ国同士の『くだらない』戦争とは違います。負けて失うものは『富』でも無く『物質』でも無く…
『自分自身』。」
そう言うと大村から目をそらし再度目の前のロースをナイフで切り始める。
「…ただ…ご安心下さい。一般人の方々はまだ戦いの場に出す気はありません。出ても足手まといになるだけですしね。
軽い『戦場体験』とでも思ってくださって結構。
…ま、戦闘経験のある方、戦闘能力がすでに備わってる方は別ですが。」
そう言うと切ったロースを口に入れる。
スーツの男はやたら冷静に受け答えしているように見えるが
何故か心のどこかでぽっかりと何かを失って悲しんでるように聞こえる。
男は暫く黙々と食べてからふと気が付いたように顔を上げた。
「…そういえば…『スープ』が遅いですね…。」
『ゴシカァン!!』
!!
「……なんですか?この音は…。」
場所:飛行船-調理室-
調理室に何かが倒れる。
「うわぁあ…!!」
退くは三つ星レストランのシェフ達。
そしてそのシェフ達の目の前には目の前にあるコンソメスープの味見をした途端変貌した五人のシェフ達。
その姿は異常なまでの筋肉につつまれており、見るものを圧倒させる何かがあった。
ぎょろりとした目で周りのシェフ達を見つめる変貌したシェフ達。
そしてそのシェフは目の前に置いてあったスープ皿に手を叩きつけた。
『クシカツ!!』
「「「「「ドーピン●コン●メスープだ…」」」」」
「へ…?」
思わずまぬけな声を出す三つ星シェフ。
そして厨房は血祭りと化す。
侵略者VS防衛軍、フランス戦はすでに始まっていた。
----------------------------------------------------------------------------
シ●タ×5
マッチョなシェフ。元ネタは魔人探偵脳噛ネウロで検索。
麻薬、マッチョになる薬など様々なモノを複合したコンソメスープを飲んだ途端真の姿を現す魔人。
結構強い。ただ今飛行船内をふらふら。
頑張ってどうにかしてください。
「さて。ふむ、そろそろ本当に行きますか」
珈琲を飲み終わり、EAGLEは漸く腰を上げた。
次のアクションは決まった。取り敢えず、地図を頼りにギルドの本部へ向かう。
しかしどうせ間違いなく道に迷うから、途中でギルド員とおぼしき騎士を見つけて、案内してもらう。
「ふむ、万全ですね」
行き当たりばったりなのか用意周到なのか良く分からない行動計画を胸に、EAGLEは喫茶店をあとにした。
ちなみに、彼がいくら常識がないとはいえ、飲食店を出る時に金を払わない程ではない。
念のため。
「おーい、待って待って!白い服のお客さん!お勘定、お勘定―!!」
「え?」
って、払ってなかったのかよ。
念を押した甲斐がねえよ。
妻が持たせてくれた財布からお金を支払い、やっと行動を開始したEAGLE。
歩いては地図を確認、歩いては地図を確認を繰り返していたのだが、5分で迷子になった。
しばし地図を穴が開くほどに眺め回し、結局諦めて荷物に突っ込む。
そして言う。
「ふむ。まずは予定通りですね」
嫌過ぎる予定通りだ。
「まあ、あとは適当に歩いていればそのうちなんとかなるでしょう」
歩きながら、EAGLEは思い出す。
少年時代、彼を完膚なきまでに叩きのめしたあの男のことを。
その邂逅を、EAGLEは神に感謝していた。あの敗北がなければ、きっとここまで強くなれることはなかったのだから。
あの頃は子供ながらに自分の強さに満足し、それ以上の世界があることなど想像もしていなかった。
いや、敢えて想像せず目を逸らしていたのだと、EAGLEは過去の自分を顧みる。
とにかく、そんなEAGLEをあっさりとぶちのめし、さらなる高みへと目を向けさせてくれたのが、その男だった。
それきり会うことはなく、名前すら知らないままなのだが、『金色の隼』と彼は呼んでいる。
『金色の隼』を目標にしてライバルと定め、血の滲むような鍛錬を積んだ。
あれから何年経っただろうか。いまやEAGLEは、『金色の隼』に劣らない戦闘力を身に付けたと自負している。
あとは、その成果を彼に見せ付けることが、今の目標だ。
もっとも、あの頃の弱かった自分のことなど、『金色の隼』はきっと覚えてなどいないだろうが。
「はて」
EAGLEは足を止めた。
「ふむ、考え事をしていたら今何のために歩いていたんだか忘れてしまいました」
さっさと騎士を探せ、騎士を。
場所:フランス-パリ-
可憐なる西洋風の建物が建ち並ぶ都パリに立つエッフェル塔のてっぺんに1人の蒼い衣服の老人が一人。
その老人は両手を大きく広げて何かを受け取ってるかのような仕草をする。顎には長き自分の背丈より長い『青髭』。
その上空から降るのは『蒼き薔薇の花弁』。
蒼い薔薇が大量に巻き付くエッフェル塔の下ではパリに住む人間達が何事も無いかのように歩き回っている。
「……世も物騒になった物ですね…」
言わずも知れた騎士ギルトのリーダー格、『青髭の老人』がそう呟く。
その周りには誰もお付きの者は居ない。
『青髭の老人』が従える『騎士団』も今頃西部にある訓練所で剣を振るっている。
まさに見た目無防備な世界の重宝。
ふとそんな『青髭の老人』が目の前を見るとそこには侵略軍の大軍が再度やってきた。
その姿はどこかへとへとだ。
「…お主らも懲りぬ奴ですね……何度来たって無駄ですよ…。
何故ならこのパリのエッフェル搭の蒼い薔薇はフランス人、
そしてフランスの大地を数百年守ってきた『ガーディアン』の中で最も強きもの。
貴方たちごときの温い軍隊ではそう崩す事は無理でしょう。
あ、ついでに先ほどから『海』からも進入しようとしている魔人も居るそうですが…
これまた無駄。何故ならそこにまでこの蒼き薔薇の蔓は届いてしまうのだから…ふぉっふぉ」
そう言うとにっこりと優しげな笑みを浮かべる。
しかし魔人達は諦める訳にはいかなかった。
三日間も余裕を貰っておいて『フランス』に指一本触れられないという現状を将軍ジェネシスに見せる訳にはいかないのだ。
弱り切った身体を精一杯持ち上げ絶叫する空の魔人達。そして再度パリの大地に突進していく。
「…おやおや…大した者ですね…」
そう呟く青髭。
するとエッフェル搭に巻き付いていた青い薔薇の蔓が一片に鞭と化し上空にいた魔人達を凄まじい勢いで払っていった。
数本の蔓は遠くまで伸びている。恐らく他の地区から進入しようとした魔人達も今頃伸ばされた蔓の餌食となっているのだろう。
絶叫を上げ再度彼方へ飛ばされる魔人達。
どんどん飛ばされる魔人を身ながら欠伸をする老人。
「ふぁぁ…大変ですね。私もあなた方も。」
そう言うと老人は遙か上空を見て笑みを浮かべた。
それは上空で大変な事となっている飛行船の未来を見抜いての笑みか、それとも…
ここに向かう数組の魔人達に気付いての事か…。
>127
前の席から痛いほどの視線を感じる。
何か不満でもあるのかと悟空は思ったが、そんな小さなことを気にするより、美味い食事を食べていた方が良い。
もし、文句を付けてくるのならば、華麗にやりすごせばいいと悟空は思っている。
悟空はまだまた食べ続けている。
水晶球から見えるのはのは、青い薔薇と青い空。
そして、返り討ちにあう魔人達。
「綺麗な薔薇だよね〜。
確か、青い薔薇ってすっごく造るの難しいんだよ。
なんとか持ち帰れないかなぁ。」
「マスター!そんな事言ってる場合じゃありませんよ!
あの薔薇のせいで、先行部隊が足止めされてます。何とかしないと‥」
コウの心配を、クリスタルは軽く笑い飛ばした。
「だーいじょうぶだって。
こっちも、いろいろ準備して来たんだから。
まずは‥ステルスモード発動!」
クリスタルの言葉に会わせ、定められた呪力が発動した。
それは、『家』を見えなくする力。
たちまち、『家』は、周囲の景色の中にとけ込んだ。
「最初は、これで様子見しよ。
後は、地上ぎりぎりを低空飛行。
一般人が普通に行き来してるから、地上付近は攻撃しにくいはずだよ」
「では、低空飛行に切り替えます」
すぐに、『家』は地上付近まで、高度を落とす。
それは、飛んでいるのではなく、道を走っているかのような。
「さてと。見つからずに、フランスに入れるかな〜?」
まるで、かくれんぼをする子供のように
クリスタルは楽しそうに笑った。
>110>111
金髪に蒼白の肌、危険な光を湛える赤い瞳―――妖しい美貌を持った青年貴族は、
ワイングラスに注がれた赤い液体を口に運びながら、将軍の演説を聞いていた。
青年貴族とは描写したが、彼は一万年もの時を生きる、歳経た魔人である。
将軍が話を終えると、この青年貴族は懐から銀色のベルを取り出し、優雅な手つきでそれを鳴らした。
すると、鐘の音に応じて、何処からともなく彼の従者が現われた。
現われた従者もまた、主と同じく、蒼白の肌と赤い瞳を持っている。
「お呼びでしょうか、ご主人様」
「……」
青年貴族は無言でベルを懐にしまい、今度は万年筆と紙を取り出し、要件を書き連ねていった。
そうして出来上がったメモを受け取った従者は、その内容を確認した。
「は、かしこまりました」
従者は一礼し、また何処へとも無く消えていった。
主の方は、残った赤い液体を飲む乾した後、ゆっくりとした足取りで、その場を後にした。
135 :
兵士:2007/01/21(日) 18:01:27
>128
>「……なんですか?この音は…。」
「何の音だ? よし、ちょっと見てくる、大丈夫だとは思うが、お前らはここを動くんじゃないぞ」
俺は口ではそう言いつつも、その音にただならぬ何かを感じ、
念のため武器のセーフティを外しつつ小走りで状況を見に行った。
すると……
「なんだ貴様らぁっ!?」
調理室は人が死んで血が飛び散る残虐な光景になっていた。
これが戦場ではなく、ただの厨房だというから異常さが際立つ。
俺は咄嗟に魔人に対して携帯用小型火炎放射器を構えたが……だめだ! ここでこの武器は使えない!
ここは一度逃げて警報を鳴ら……っ
『ゴシカァン!!』
意識が無くなる寸前、魔人の「フゥ〜フゥ〜……クワッ」という笑い声を聞いた気がした……
−騎士ギルド−
使い魔の伝令から三日が経ち、空から海から大軍の増援がやってきた。
「しかしジェネシス将軍の増援部隊が、外部から攻撃を仕掛ける時に反撃されるだろう事は予測していたが、まさか騎士ギルドではなくあんな薔薇の蔓に阻まれてしまうとは…」
予想外だった。フランスの防衛システムも、増援の魔人達の弱さも。
「彼らを期待する事はできませんね」
まあ、我々の部隊は中世騎士団に入り込めて順調に事も進んでいるし、計画に支障は出ないが。
外部からの魔人達に対して騎士ギルドが向かうまでもなく対処してるし、中世騎士団にした装甲兵士達に近代騎士団を襲撃させている。
そろそろ内部でも戦い始まるだろう。
「なあ、兄貴が戻ってないんだが」
デスメタルの言う兄貴というのはフルメタルの事だな。新しい武器を仕入れるのにあの馬鹿はどこまで行ってるんだか…
「探してくるか?どっかで死んでるかもしれないしな」
確かにあの馬鹿から魔人部隊が騎士ギルドに潜入している事が割れたら計画に支障が出るな。
「では頼んだデスメタル准尉」
俺は武器の仕入れに出、剣と鎧で騎士に見えるだろう装備を整えたのでギルドに戻ろうと思ったのだが、ちと遠くに来すぎ
たようだ。
ギルドに向かったつもりがどこかで道を間違えて海に出る。そしてそこでエッフェル塔から伸びる蒼い薔薇の蔓にやられる
増援の魔人達の弱々しい様を目撃した。
そのエッフェル塔の上にいる青髭のジジイ…確かあいつは俺らの潜入した騎士ギルドのリーダーだったな。奴が薔薇を操っ
てるのか?
そう睨んだ俺はギルドに戻る前にあの邪魔な爺さんをちょっくら倒してくるかとエッフェル塔に向かった。
はずなのだがまたどこかで道を間違えたようだ。ん?
>>130剣を持ってるな。あいつも騎士ギルドの奴か?
<フランス・パリ郊外>
「あ〜ぁ・・・来たにしても,侵略軍の姿はエッフェル塔に突っ込んでいって沢山堕ちてるのが見えるし,俺は彼奴を捜しに来たのに姿さえ見つけられない。
どうしよう,アイツ・・・本当に来るのかなぁ?」
当てもなく葱牙はパリ郊外の街を彷徨う。
所々に仮装した男の子や女の子が混ざっており,魔人かと思ってしまう。
ただ,彼にはESPで邪気を感じる力があるので支障はない。
(楽しそうだなぁ・・・こんな無邪気な姿を守れるのか,ちょっと心配になってきた・・・;)
見たとしてもそう思うだけ。
本物の敵は殆どがエッフェル塔に突っ込んでおり・・・他は何処かわからない場所に固まっているように感じられるからだ。
葱牙は少々見学がてら,エッフェル塔に近寄ってみた。
近づくにつれて蒼薔薇の花弁がひらりひらりと舞ってくる。
エッフェル塔の鉄骨には無数の蒼薔薇とその蔓が巻き付いていた。
そして・・・葱牙はそれを操って居るであろう老人の姿も目にする。
「・・・あれ,上に人が・・・蒼ずくめで目立つなぁ;
え〜と・・・オペラグラスオペラグラス; あった・・・良く見たら爺さんだな,髭も蒼いけど・・・随分長い。
中世貴族みたいなカッコしてるなぁ〜・・・あの人,異能者なんだろうか?
それにしても,このでかい薔薇操って魔人共をべしべし打ち堕とすなんて・・・すげぇ実力だぜ・・・。
きっと何処か,ここら辺の防衛軍の隊長さんみたいな人なのかな?」
葱牙はその強さに憧れ,暫くその場に経ってその光景を見続けていた。
所変わって繁華街。
此方にはあの後早めに就寝,起床して出発し,金髪美女に化けてフランスに潜り込んだアスタロットの姿があった。
もちろんアナンシにも人間に化けさせる術を掛けて連れとして一緒に歩かせている。
ただし,アナンシの方はちょっと乗り気では無さそうだ・・・。
それもその筈,これまでアスタロットが買った衣服や装飾品,お土産などをギュウキだけでなくアナンシに持たせて行動しているからである。
しかもギュウキの方は体格のごつい中年男に化けさせられていた。
それを見た一般市民達や観光客達はちょっと敬遠するようにすぐ離れ目線を逸らす。
「さーてと♪ お買い物はこの辺にして・・・そろそろ魔界まで荷物持っていって貰えるかしラねぇ?
そろそろ日も沈んできたから,路地裏に誘い込んで美男子狩りに移行しようと思ウんだけどぉ」
「ぉ・・・重いです・・・ゴフぅ・・・;;」
「そろそろ・・・腕が痺れてきたの・・・; 出来る事ならもっと早めに魔界に帰して欲しかったよぉ・・・;;」
「あらそぅ? まとめて行った方が二度手間にならないし良いでショ?
大丈夫,美男子狩りはアタシ一人でやるからw」
手足ががくがく震えるアナンシとギュウキ達を尻目に,アスタロットは近くの路地裏へ入り込む。
其処には家も建っていないのに扉が開いており,アスタロットの部屋に直接繋がっていた。
ギュウキ達は重い足取りでそこに入り,荷物を置くと元の姿に戻る。
それを確認してアスタロットは扉を閉め,何事もないかのようにまた繁華街へ繰り出す。
街灯の明かりが灯り,辺りが暗くなった頃・・・彼女は行動を開始した。
美男子達にアプローチしては路地裏に誘い込み,其処で姿を隠して凍結系の術を放つ。
瞬時に氷塊に閉じこめられた美男子はまたアスタロットが開いた扉を経由して部屋へ運ばれ,その後ギュウキ達が試験管にそのまま突っ込む。
そうしてアスタロットは今夜だけで10人程の美男子を部屋の試験管にコレクトしたのだった。
そして月が南中になる頃,彼女は部屋へ戻り・・・また同じように美男子を選んで夜のお相手をして貰う。
明日はどうなるのかわからないが,それでも夜にはアスタロットの餌食となって試験管に突っ込まれる人が多くなるのがオチであろう。
・・・ついでに言うと,アスタロットは夜のお相手が済んだ後になってから魔人達の軍がエッフェル塔で大苦戦している報を聞いたのであった。
それを聞き,アスタロットは新たにギュウキのみではなく,皇魔獣ティアマントとシムルグ,サイデールの大軍隊を差し向ける事を伝えた。
それで相手の精神力を削るつもりなのであろう。
アスタロットも,侵略の事は努々忘れては居ないようだった。
----------------------------------------------------------------------------
皇魔獣ティアマント
双頭の龍の形をした魔獣,普段はアスタロットが普段仕える上司・マステリオンの居城の東門を警護している。
片方の頭からは炎を吐き,もう片方は凍気を吐いて,相手を骨まで焼くか魂まで凍らせるかのどっちかにしている。
更に翼を持っているため飛行が可能。
出展:神羅万象チョコ1章4弾にノーマルカードで登場
皇魔獣シムルグ
外側は紺色,内側は白い羽の翼を持つ鳥型の魔獣。
尾羽の代わりに長い尾が生えており,その尾の先に鋭い棘が生えている。
出展:神羅万象チョコ第1章第4弾にノーマルカードとして登場
サイデール
ギュウキと同じような武器防具を身に纏い,相手に向かって猪突猛進していくサイ型の下級皇魔族。
そのスピードは暴れ牛に匹敵する。
出展:神羅万象チョコ2章第2弾にノーマルカードとして登場
140 :
名無しになりきれ:2007/01/21(日) 21:13:33
○○は俺の嫁〜
きめぇよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
嘘はダメだよ!好きなキャラに嫌われる覚悟でウソついてください
なるほど、あってる。しかし・・・それじゃエロゲっぽいかな?
私はなんとなく裏面も見てみた。基本的に告白状を出すツンデレは後ろに何か待ち合わせ場所のヒントぐらい書いておくから (しかも分かりにくく)
141 :
神聖皇帝カイザー:2007/01/21(日) 21:31:30
このスレ…我々が頂く!
142 :
病ム飯:2007/01/21(日) 21:45:02
恵田ー奈留(V)o\o(V)ー素振りZARD!
>>137 「おやおや」
公園で噴水を眺めていたEAGLEは、甲冑を着込んだ輩が通りすがるのを見掛けた。
ちなみに、闇雲に歩いても仕方がないとみて、公園でのんびり待つ作戦にしたらしい。
そもそもギルドの騎士が公園にやって来る用事があるのかは不明だが、まあ現れたので結果オーライだ。
いや、いいのか、結果オーライで?
「ふむ、ふむ。またもや予定通り」
運が良かっただけである。
単に。
現れた騎士は少なくとも純粋な人間種族ではないようだが、
実際この国にはそういったヒトも多いことを知っているEAGLEは、特に不審に思っていないようだ。
「もしや、そこ行く騎士様」
EAGLEは笑顔で手を振りながら近付いていく。
そして言う。
「私は通りすがりの正義感に燃える騎士志望の若者なんですが、
貴方は騎士ギルドの方でしょうか?だとしたら、
私のことをギルドの方々に紹介して頂けないでしょうか。こんなご時勢ですから、世界の為に何か役に立ちたいんです」
144 :
名無しになりきれ:2007/01/22(月) 15:06:01
どうでもいいや
だったらなんでこんな所にいるんだ?こいつも迷子か。いや、俺は迷子じゃなくて道を間違えただけだが。
しかしこういう何も知らなそうな奴は利用しやすい。
「ならば『中世騎士団』に入るといい。俺もそこに所属している」
さて、どういう理由を付けるか。
「『近代騎士団』の奴らは俺達魔界…じゃなくて、中世騎士団に勝つ為の近代兵器を手に入れる為に魔人達に魂を売った、
騎士の風上にも置けないような屑だ。そんな奴らに正義の中世騎士団は近々制裁を加えるべく有志を募っている」
良し、我ながらなんて上手い理由付けだろう。
おっと、念の為疑われそうなところを否定しておくべきだな。
「勘違いするな。中世騎士団に魔人の騎士達が入り込んで、近代騎士団を襲撃する事で騎士ギルドを内部から崩壊させる
事を目論んでいるなどの計画はないし、断じて俺はその魔人などではない」
完璧だな。
>>128 >「…さあ?…そんな事私に聞かれても分かりません。」
「...え!?」
思わずスーツ男の顔を見る大村。
途端に男に睨まれたような気がした。
「あ...え...」
思わず身を小さくする。大人に睨まれるのが人一倍苦手なのだ。
>「ただ…私の上司はこう仰ってましたよ。
省略
>『自分自身』。」
「自分...自身...。」
それを聞いた途端に更にぞぞっとする。
男の目つきのせいもあったのだろう。
男から目をやっと反らすと慌てて目の前にある料理を口にほおばる。
改めてなんてところに来てしまったんだと思う。
それを見通してか男は一つ朗報を教えてくれた。
>「…ただ…ご安心下さい。一般人の方々はまだ戦いの場に出す気はありません。出ても足手まといになるだけですしね。
>軽い『戦場体験』とでも思ってくださって結構。
>…ま、戦闘経験のある方、戦闘能力がすでに備わってる方は別ですが。」
「そ.....そうですか....」
料理を口に入れながら申し訳なさそうに言う大村。
しかし内心正直少しホッとしていた。
少し軽くなった気分で料理を口に入れていく。
しかしそういう気分はそう長時間続かない。
>『ゴシカァン!!』
突如鳴り響く奇妙な音。
>「……なんですか?この音は…。」
黒スーツの男が後ろに振り向く。
すると近くにいた兵士が様子を見に席を離れる。
そして暫くすると再度鳴り響く轟音。
>『ゴシカァン!!』
「え...!?え...!?」
それにますます動揺し立ち上がる大村。
近づいてくる足音。近づいていく度に心臓の音が荒れていく。
そして次の瞬間ドアが開く。
そこに居たのは...
「で...出たーーーーーーーーーーー!!!」
絶叫し机の下に潜り込む。
理由は簡単だ。ドアを開けたそこに、
筋肉質な上血まみれのシェフがそこに存在していたからだ。
>148
ドアを勢いよく開けてくる筋肉質の料理人。
何故かは分からないが血まみれである。
「すんませ〜ん。おかわり頼むだー」
だが、悟空はそんなことは全然気にしないで料理のおかわりをシェフに頼む。
先天性なお気楽思考の成せる技だ。
シェフはドアの付近から悟空の所まで歩いていき、悟空の顔面を殴打した。
またもや悟空は反応しきれずにあっけなく気絶する。
こんな男が隊長で本当によいのか?
>>145 「ふむ、ふむ」
中世騎士の言葉を頷きながら咀嚼するEAGLE。
中世騎士団と近代騎士団はツンツンかつデレデレな関係にあると見込んでいるEAGLEだが、
それでも魔人と聞けばやはりキナ臭くはある。
ただ相手の悪口を言いたくなるツンデレなのか、本当に魔人が潜入しているのか。調べてみる価値はありそうだ。
これで、騎士団への用事がひとつ増えた。誘いに乗らない手はない。
「分かりました。近代騎士団が本当に魔人に魂を売らんとするなら、止めない手はありませんね」
>「勘違いするな。中世騎士団に魔人の騎士達が入り込んで、近代騎士団を襲撃する事で騎士ギルドを内部から崩壊させる
>事を目論んでいるなどの計画はないし、断じて俺はその魔人などではない」
「ふふふ、分かっていますよ。貴方が魔人なわけないじゃないですか。
これは本当は内緒なんですが、実は私は天界からやってきた天帝なんです。貴方が魔人なら一発で見破っていますよ」
天帝。天界に存在する国々、天国(天乃帝国)の統治者。
その戦闘力や階級は、魔界でいえばだいたい上級魔族にあたる存在である。
「天帝として太鼓判を押しましょう、貴方は断じて魔人などではない」
EAGLEは自信たっぷりに言い切り、そして手を握る。
「私も貴方のお手伝いをしましょう。近代騎士団が魔人と契約しているなら、
内部に魔人が潜伏しているやもしれません。必ずや、全員炙り出して息の根を止めてみせましょう。
そして近代騎士団の目を醒まします。私の名はEAGLE。是非、貴方がたのギルドへ案内してください」
>>150 ふっ、見抜けてないじゃないか。まあ、俺は元々顔立ちも整ってるしこの完璧な武装だ。魔人と見破る事ができないのも仕方がないか。しかし天界?天帝?よくわからないが魔界帝国に敵対する勢力が地球防衛軍以外にもあるのか?
これを持っていけば、上手くすれば出世のチャンスかもしれないな。
「いいだろう。俺の名はフル―」
待て、ここで本名を名乗るべきか?無駄に自信ありげな態度だし、名前で魔人とバレるかもしれないな。
「じゃなくてフモッフだ。まあ歩きながら詳しい事を話してくれ」
そして俺はEAGLEと歩み始め、天界について、その装備品について、他EAGLE個人についての情報を聞きながら騎士ギルドに向かって行った。
はずなのだが着かないな、騎士ギルド。
152 :
任天堂信者:2007/01/23(火) 18:42:51
任天堂信者ですが、今から自爆します!!!
153 :
猫:2007/01/23(火) 18:44:01
ミヽ
{ ミ\、 ,,.-‐''彳)
i;i:i;i: : :ヽヽ、 _,.,.,.,.,.:-;-;-;-;-; 、,.,.,.,. , ィ'/"ミ /
i;i;i;三彡\ヽー'';:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;`''ー';:ー':;:/三ミ /
i;i;i;三彡: :\;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;;;;;/: : :三ミ'
ii;i;i;三三彡: :ヽ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;/彡三三ミ;
i ミi;i;i;ミ三彡`;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:i ミミi;i;i;ミi
{ 彡i;i;i;ミ彡ミヾ;:;:;:;:;:;;;;;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;;;:;:;:;:;:;:;:;彡i;i;i;:彡゙''ー、,
ミ 彡: :i;ミヾ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;;;;;;:;:;:;:;:;:;:;:;;;;:;:;:;;;;:;:;:;:;:;:;彡 : 彡 彡
三ミ ミ : ミ;;; ;;;ミ ;:;:;:;:ヾヾ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;://;:;:;ミ: : : 彡 三
彡 :::::::ミミ彡 ミ ;;;;;; ;;;; ;;;;;;;; ;;; ;;; ;;;; 彡: :彡 ミ
彡 彡;;;;;彡 ミ,,,_ ;;; ;;; '' ;; __,,; :;:;;;ミ ミ_____
 ̄ 彡 ミ;; ,,;; ;;;;;;,, ゙''ー-、 ';; ;' , -'" ,,;;;; ;ミ ミ
彡 ミ,、、,;;; ;;;;;;;;;;;;,, ヽ イ ;;;;;;;;; ;;;ミ ,,.ミ
__彳. 、ミ `''ー、 i i '''',;;''" `'';;,,;;i,.,.i,.,シ._:::::::___:::::
/ i '' ゙'';;,,,,ヽ,.,シ 二ニニ=ヽ. ∵∴! ノ ∵ノ三ミ i:V i ゃ .i:V i ( ゅ i:V
|:::i 2 ふ.|::|:::i 3 あ |::|:::i 彡ヽ、,.,.__`Y"__,/ミ 6 お |::|:::i 7 や.|::|:::i 8 ゆ |::
|/二二二Vl/二二二Vl/二二二Vl/二二二Vl/二二二Vl/二二二Vl/二二二Vi
: V i W i:V i E ぃ.i:V i R i:V i T . i:V i Y . i:V i U i:V i I .i:V
|:::i て.|::|:::i い. |::|:::i す .|::|:::i か..|::|:::i ん .|::|:::i な .|::|:::i に . |::|
|/二二二Vl/二二二Vl/二二二Vl/二二二Vl/二二二Vl/二二二Vl/二二二Vi
 ̄V i S i:V i D i:V i F . i:V i G i:V i H i:V i J . i:V i K i
猫です! ごめんなさい、誤爆しましたぁ〜
む、っぅぅ
テストテスト
>>133 蒼い薔薇が急に消えた家に動揺し蔓を振り回す。
「これこれ、慌てることはありません…」
エッフェル搭の上でしげしげと微笑む青髭。しかしその瞳の奥は静かに『先』を見据えていた。
低空飛行を始める魔人クリスタルの家。家がぐんぐん誰にも気付かれずフランスの大地へと近づいていく。
そしてついに家はフランスの大地に着地した。が、次の瞬間だ。
「敵確認!全員『敵』を囲めぇ!」
突如響く叫び声。すると瞬く間に周りに居た人間達は隠し持っていた武器を取り出し
『騎士ギルト』の騎士の一員としてクリスタルの家を囲んだ。
上空に逃げるにも上空にもいつの間にかペガサス等に乗った騎士団が家を見下ろしている。
「どうですか?予言者、青髭の予言は…マドモアゼル〈訳:お嬢さん〉。」
蒼いローブを靡かせ老人はいつの間にかクリスタルの家の屋根に立っていた。
「貴方方が此処に着地する事はすでに『予言』済みですぞ?
いやはや…当たって良かった…予言した着地場所から半径10kmしか一般市民の立ち入り禁止をしてなかったものだから…
『予言』が失敗して立ち入り禁止地域じゃない所に着地したらどうしようかと思いましたよ。」
そう言うと笑いながら長々しい青髭を撫でる。
そして青髭は家の中に居るクリスタルに優しげに、そして奥に力強さを込めながら言った。
「さて…我が蒼い薔薇を避けてよくここまで来ましたね。
誉めて差し上げますよ?
褒美として選ばせて差し上げましょう。
誇り高き優秀な『騎士』達の剣でズタズタにされるか…
大人しく出てきて私と暖かいフランス皇室御用達のお紅茶でも飲みながら魔界のお話でも聞かせて貰うか…」
場所:フランス西部-中世騎士専用訓練所前-
フランス西部のとある地域にいかにもヴェルサイユの薔薇に出てきそうな豪華な西洋風建物が一つ。
そこを封じる門の前。門番を任せられた見習い兵二人はぼーんやりと青い空を見つめていた。
「あ〜あ…今頃…俺たちの先輩は『青髭』様と一緒にパリかぁ…」
「羨ましいよなあ…俺たちも行きたいぜ…パリ…」
すーとフランスの空を横切る鳥たち。
此処は戦争中という事を感じさせないほど『平和』だった。
フランス西部の小さな町である此処は今のところは滅多な事が無い限り魔人達が襲撃に来る事は無い。
…今の所はだが。
訓練中の中世騎士団の勇ましきかけ声が響き渡る。
「…頑張ってるな…先輩達…」
「ああ…って…ん?」
見習い騎士の一人がウロチョロしている一人…否、二人の人間らしきものを見つける。
「おい、あれ。」
「ん?って!あ!あれフルメタルじゃねぇか!おい!!」
叫ぶ見習い騎士達。中世騎士団は『同志』=『家族』という思想や上下関係を大事にする思想が主だ。
なので当然のように顔を見ただけでそいつが何処所属の誰なのかがすぐわかる。
フルメタル達に駆け寄る見習い兵士達。
「おい!フルメタル!なに無断外出してるんだよ!
デスメタルが探してたぜ。きっとお前の上司がカンカンに怒ってるだろうよ!」
「全く…あんまり自分の仲間に迷惑掛けるなよ。あんまり無断外出とか酷いと飯抜きとかにされちまうぞ。
しかも…なんだ?お前は、敵か?」
そう言うとEAGLEに向けて剣を向ける。
中世騎士団といっても礼儀正しき者ばかりでも無いようだ。
魚民の視線を気にせず食べ物にがっつく隊長。
…どうやら男は食べ方からして見て『獣タイプ』の人間だなと思った。
世界は魚民の目から見てみれば『動物園』に酷似している。
臆病に一目を気にする『小動物』のようにか弱い男。常に上の命令に忠実な『忠犬』。
そして差し詰め自分は水の中の世界しか知らない『魚』といったところか?
>>148 >「で...出たーーーーーーーーーーー!!!」
大村が絶叫する。目の前には筋肉質な男。
「…『魔人』…。」
そう呟き立ち上がるとコートから拳銃を抜くと頭目かげて引き金を引く。
しかし筋肉質の魔人の頭は固かった。全く効かず弾は跳ね返り机の下に潜ってた大村付近に軌道を変え貫いた。
「!!…ごめん。」
机の下の大村に思わず謝る魚民。その間に魔人は孫悟空に渾身の一撃を浴びせた。
孫悟空はそれをもろに受けると倒れる。
「隊長!!」
思わず魚民は叫ぶと、再度きっと筋肉質の魔人を睨み接近、拳を一発浴びせる。
『ドガッ!!』
鈍い音が響いたのを確認。そしてもう一発殴ろうと拳を握るが、
魔人はその拳をつかむと軽々と魚民を持ち上げ、机上に投げつけた。
「っ!!」
盛大に音を立て落ちるフランス料理。
そして筋肉質の魔人はそれを満足げな笑みを零すと孫悟空を掴み、廊下に出た。
「…逃がさない…。」
そう呟くとふらふらと立ち上がり、机の下の大村を見ると大村に向かって拳銃を投げ渡した。
「護身用。自分の身ぐらい守って。」
そう一言さらりと言うとナイフを抜き魔人が出て行った廊下に出る。
159 :
名無しになりきれ:2007/01/23(火) 23:40:03
チョー魔界村
動揺するように、動きが乱れる蔦の間をすり抜け、家はフランスに降り立った。だが。
>敵確認!全員『敵』を囲めぇ!
「マスター!囲まれてますよ!」
コウが叫び、クリスタルが、あらあらとのんきなことを言っていると、
いつの間に移動したのか、屋根の上から、青髭の声が聞こえる。
その内容は、遠回しな降伏勧告と言ったところか。
「どうします?強行突破しますか?」
コウの質問には答えず、クリスタルはドアを開けた。
緊張した騎士達が、一斉に、剣を向ける。
「は〜い。降参しま〜す。」
両手を上げて、明るく答える、クリスタル。
「マスターッ!?何考えてるんですかっ!」
「え〜。だって抵抗しても大変そうだし〜。
それに、皇室御用達の紅茶だよ?飲んでみたいよね〜」
「だからって…ムギュ」
まだ何か言おうとしたコウを、ハンドバッグに詰め込み、反論を封じる。
「それじゃあ、エスコートをお願い出来るかな?
別に、私の家でお茶会してもいいけど、騎士さんみんなの分はないかも」
クリスタルは、逆に青髭を家に誘ってみた。
ドアから見える、家の中のファンシーな内装は、とても指揮所とは思えない。
>>151 フモッフと名乗った中世騎士に連れられ、歩き出すEAGLE。
道中、天界や武器や彼自身について、色々訊ねられる。
「ふむ、地上人が我々についてはあまり詳しくないのは無理のないことです、お教えしましょう。
天界とは、天空の遥か彼方のまた彼方にある、雲上の世界。神に最も近い世界です。
地上に大きな災厄が迫ったとき、天界の住人である天使は地上に降りて、神の御名において正義の刃を奮うのです」
その天界に現在ゴタゴタがあって結局あまり兵力を割けないのはまことにお恥ずかしい話ですが、と言って首を振るEAGLE。
そして続ける。
「そして、私は天帝。天界に存在する国々、天国の統治者の一人です。
天界は国々があるとはいえ、天法(天界の法律)を司る『天界評議会』とそれに連なる機関が実質的な権力を持っており、
国々の統治者は、評議会の定めるあれこれに基づいて自国を管理する管理者でしかありません。
そういう意味では、天界でいう皇帝や王は、地上でいうところの領主という存在に近いでしょう。
あ、基本的に天界やそれに関わることは公にしたくないので、皆には内緒にしておいてくださいね?」
そして、装備品のことを訊ねられたEAGLE。
「ふむ」
EAGLEは背中の剣を鞘ごと外し、しゃきんと掲げた。
「この武器は聖破剣アルマゲドン。聖なる騎士にのみ抜剣することが許された聖剣です。
この聖剣には魔なるものを探知する力があり、魔人や魔物を感知すると震動を……」
ヴゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……ン。
ヴゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……ン。
「……」
震動する鞘。
フモッフと鞘を交互に見るEAGLE。
「……フモッフ……さん?」
ずかずかとフモッフに近付くEAGLE。震動はそれに従い大きくなる。
「フモッフさん……!」
EAGLEは険しい表情でさらにフモッフににじり寄る。
「フモッフさん!!」
「気をつけてください。やはり魔人が国内に潜伏しています」
そう言って、鞘を背中に戻すEAGLE。
それでも目の前の魔人の存在を知らせようとひときわ強く震動してみた聖破剣だったが、やがて諦めて震動を止めた。
猫に小判、機械音痴にカーナビ。
>>157 尚もしばらく二人で歩く。
「決してけなす意味ではありませんが、ふむ、地上の街並みは似たような風景が多いですね」
それは同じところを何度もぐるぐる回っているからだ。
だが、そんな事に気付くほどEAGLEの迷子力はヤワではない。
「ふむ。あのカフェ、この国ではあちこちにチェーンのあるメジャーなところのようですね。
見掛けたのはもう6件目ですよ。どうりで美味しかったはずです」
チェ−ンじゃなくて同じ店だ。
その6件全部。
そんな感じでぶらぶら歩いていると、豪華な西洋建築の前に立っていた騎士達が、二人を見つけて駆け寄ってきた。
その様子からするにフモッフの仲間らしい。中世騎士の仲間の騎士といえば、ほぼ間違いなく中世騎士だろう。
「ふむ。つまりここが中世騎士ギルドの本部ですね?この街並みを迷わずに辿り着くとはさすがです。
ちなみにあの方々の言っているフルメタルというのはフモッフさんの愛称ですね?私は愛くるしくて素敵だと思いますよ」
そんな暢気な事を言っているうちに、その騎士達がEAGLEを見咎め、剣を向けた。
「おやおや」
取り敢えず、開いた掌を肩の上に挙げ、無害をポーズで示すEAGLE。
「ふむ、私は怪しい者ではありません。
彼の紹介で、こちらのギルドに入れて頂きたくてやって来た、通りすがりのしがない正義漢ですよ」
>>156 出動要請を受けた騎士団に私達の部隊も混じって様子を見ていた。
>>160「おや、あれはクリスタル様ですね。ナイト様どういたしますか?」
囲まれている魔人はサイコメタル曰くクリスタルという魔人で、魔界でも上級貴族にあたるらしく、魔界帝国側にとって不
利になるような情報を握っているかもしれないから、降参するようなら口封じに始末するべきではと判断を仰いでいる。
「ミル」
ナイト隊長の発したこの言葉は、元副官のサイコメタル曰くこれは『様子を見る』という意味らしい。
なお私達の周りは魔界騎士団の装甲兵士で統一されており、他の騎士ギルドの者達にはこの会話は聞かれていない。
また、この装甲兵士達には先程近代騎士団の訓練所を襲撃させている。
>>157 俺ギルドには本名で登録してたんだった。俺とした事が…まあ特に怪しまれてもいないし平気か。
こいつはどうするか…話を聞いた限りじゃやはり魔界に敵対する勢力が他にあるらしいしな。生きたまま連れて帰るのが利
口なやり方か?話された内容もよく覚えきれてないしな。
「いや、こいつは俺達の…」
その時左方向から光が発したかと思うと次の瞬間、門番二人の首が消えた。
血を浴びながら落ちる二つの首、そして門に刺さる金の斧とそれに繋がれた鎖、鎖は訓練所の屋根の上へと続いていて、そ
の先には鉄の仮面を付けたデスメタルが笑いを押し殺している。
「装甲兵士達に近代騎士団の訓練所にある機械馬を破壊させまくって、騎士も何人か殺らせた。あいつらキレてこっちに襲
撃に来るぜ」
デスメタルの目線の先には、機械馬に乗った近代騎士団が憤怒の表情でこちらに向かって来ている。
「天界やら天帝やらの話だったら俺も遠くから聞いてて覚えてる。そいつももう殺っていいだろう」
デスメタルが鎖を引くと斧は門から離れてEAGLEの首にめがけて飛ぶ。
「ん……?」
殴られて気絶していること一分弱。
悟空は目を覚ました。
「ここはどこだ?」
豪勢なフランス料理を食べていたと思ったら、不思議な風景が目の前に。
体は誰かに担がれている感触を覚え……
「あぁ、オラは近隣の国のスパイに拉致されたのか……」
友人にはもう二度と会えないかも知れない。
このまま一生を寒い国で過ごすのか……
最後に皆の顔を見たかった……
脳裏に恋人の顔が浮かんでくる。
「やっぱり……オラは諦められねえよ」
友人達に二度と会えなくなるのは嫌だ。
理不尽な国のスパイと思われるマッチョに対してだんだんと怒りが沸いてくる。
「ふざけんなよ……」
悟空は上半身を勢いよく反らして、スパイの腕の中から脱出。
床に降り立ってマッチョと向かい合うと、ご都合主義的に変身した。
「クリリンはオラの知り合いの坊主だあああ!!!」
訳が分からないことを叫ぶ悟空。
黄金の頭髪が逆立ち、瞳はエメラルドグリーンの鋭い瞳に変わり、黄金の炎のようなものをその身に纏う。
その幻想的な美しい姿に見た者は大いに驚嘆するだろう。
強さもまた格段に違う。
通常の状態ならば下級魔人と五分の強さだが、この姿に変わったならば上級の魔人に匹敵する強さを持つという。
「オリャアッ!」
そんな強さを持つ悟空のとった行動は……敵から逃げることだった。
「バイトの俺が戦いなんかやってられるかっ!
警察の世話になってたまるかっ!」
今やフビライが死んだ後のイル=ハン国みたいな状態だな、このスレ
『ゴシカァン』 『ゴシカァン』 『ゴシカァン』
肉が肉を殴打する音である。それにつられて眠りから眼を覚ます男が一人。
仮眠室に置いてあるベッドから、ぬたりと起き上がる。
「…夢か。ああ、あの串カツ美味そうだったな。せめて食べてから起きたかったもんだ。」
『ゴシカァン』はまだ止まない。そして男の鼓膜をしつこく揺らし続ける。
男の額に青筋が浮く。彼の周囲の空気が、ざわ、と波立った
ここから出て、『ゴシカァン』の正体を探ることにする。
虚ろな視線はしばらく虚空を漂い、仮眠室の出入り口にたどり着いた。
立ち上がる。ぬたり、ぬたりと出入り口に近づく。そしてその取っ手に手を掛けようとした刹那
いきなりドアが開く。その向こうには、やたらと筋肉質なシェフ。
「ああ、ハロー。出前を頼んだ覚えはないんだけど…」
『ゴシカァン』。男はベッドまで吹き飛ばされ、再び眠りに就くこととなった。
場所:飛行船-食堂-
惨状広がる食堂の中、一人の男が電話をかけている。
「『001』に任せてるようじゃどんどん死人が出る。俺は『0ST』の出動を要請する」
『0ST』、またの名を『特殊部隊000』。この飛行船に乗せられた寄せ集めとは違う、この男直属の魔人殲滅部隊だ。
「…何?彼らだけに任せる?貴様正気か?」
電話の相手から増援を送り込む事を拒否されたようだ。
「黒スーツ、お前からも言ってやれ」
その場にいた黒スーツの男に呼びかけるが否定される。
「私は上司の言葉を信じます。この船に居る方々が…この世を救う『鍵』になるかもしれない…と」
何がお前達をそこまで信じさせる?男は信じられなかった。この惨状とそれに脅える、逃げ出すの特殊部隊を目の当たりにして、何の手も打たずに彼らに任せようとする判断が。だが…
「それが世界の選択か」
男は寂しそうに最期のロースを口に運び、再び電話を耳元に当てる。
「ラ・ヨダソウ・スティアーナ」
そう言うと男は通話を切り、食堂から出て行った。
〜日本〜
おかしい。
これはおかしい。
―何がおかしいかって?
そりゃお前、このゲーセンに人が居ねー事だよ。
いつもなら常連が集まってる時間帯なのに。
俺しか居ねぇ。
うっとうしい常連が上げる奇声も、耳が痛くなる位の音量で流れる筈のゲームのBGMも聞こえない。
・・・寂しいじゃねーか。
俺はカウンターの近くに置いてあるテレビを見てた。
店長もいねーし暇なんだよ。
ふとニュース番組が目に止まる。
―物騒な魔人が人を沢山殺してる
なんか他にも色々言ってたが聞こえなかった。
俺はピンと来た。
何故ゲーセンに常連が来なくなったのか。
何故俺がこんな退屈かつ寂しい時間を過ごす事になったのか。
通販でかった大量のナイフと財布、携帯、ボールペンとメモ張を持って俺はゲーセンを出た。
どーせ誰も来やしねーんだ。
店員なんざ居なくたって問題ねぇだろよ。
―魔人を退治する
これ以上人を殺されると、人が減って世界が寂しくなる。
魔人共を退治して平和になりゃゲーセンにも人も戻ってくるだろ。
そう思って俺は出かけたんだ。
魔人退治に。
「さて・・・どこ行きゃいーだろ?」
>>164 「む!?」
EAGLEの目の前で、二人の中世騎士の首が落ちた。
現れたのは、仮面の騎士。この禍々しい殺気、仮面を被っていても間違いなく魔人だと分かる。
装甲兵士に近代騎士団を襲撃させ、怒った彼らがこちらに向かっていると告げる魔人。
詳しい事情は知らないEAGLEだが、その言葉が単純に近代騎士が彼を狙っているという意味ではないことは伺えた。
彼を狙っているのでないのなら、近代騎士がこの建物に攻撃に来る理由とは何か。
そこまで分からないEAGLEではなかった。
「成程……卑劣な真似をしてくれます」
二人を殺害した鎖斧が、今度はEAGLEの首を斬り落とさんと飛来する。
EAGLEはすかさず背中の剣を鞘ごと持ち上げ、すんでのところでそれを受け止めた。
空いた方の手で素早く宙に五芒星を描く。
「精霊召喚!!」
五芒星が青く輝き、蒼いドラゴンが宙空に姿を現した。
水竜の精霊、<追放するものドロマー>。
「ドロマー!あちらから向かってくる騎士団を食い止めてください」
ドロマーは騎士団を見やり、目皺を寄せる。
『あの軍勢か、流石に殺しきれぬぞ』
「いえ、無茶を言うようですが、一人も殺さないでください」
『馬鹿を言うな。普通にやっても勝てる量と質じゃない』
「5分だけ持たせてくれれば良いです。街中を水浸しにしてもかまいませんから、全力で止めてください!」
『……了解した。5分持たずとも恨むなよ』
渋々、騎士団に向かって飛び立つドロマー。
幾ら頭に血が上っている騎士団とはいえ、突然街中に現れたドラゴンに襲われては応戦せざるを得まい。
ドロマーは激しい水流によって敵を押し流す戦術を得意とした竜の精霊であり、殺さずに戦うにはそこそこ向いている。
だが、彼自身も言っていた通り、流石に近代兵器で武装した騎士団を相手にしては長くは持たない。
その上街をあまり壊すわけにはいかないし(これに関しては騎士団も同じなのでイーブンだが)、不殺の条件まで付いている。
「さて。ドロマーが頑張ってくれている間に貴方をさっさと仕留めて、その首を持って彼らの誤解を解くとしましょう」
潜入した魔人の死骸があれば、魔人にかく乱されていた事実を信じてくれるかもしれない。
賭けになるが、他に手段はない。
「貴方には言いたい事や訊きたい事は山ほどありますが、取り敢えずは」
鞘を背中に戻し、武術の構えをとるEAGLE。
遥か後方からは、ドロマーの咆哮と水流の音が聞こえている。
精霊召喚は強力だが、使用には莫大な魔力と気を消耗するため、
使用中はEAGLEは一切の魔法が行使できないうえ、戦闘力にも制限がかかる。
割と厳しい勝負になるかもしれない。
「申し訳ないのですが、早々に昇天していただきます。速攻で片付けますよ、フモッフさん!」
フモッフ。
=魔人フルメタル。
彼のことを、EAGLEは未だに味方だと思い込んでいた。
なので、フルメタルに対しては無防備な背中を晒したままである。
「ギャリック光殺砲!!」
額に二指を当て収束させた気を、回転する鋭い槍状にして仮面の魔人に向けて放った。
>>170 デスメタルは鎖を引き、斧を軸に半円を描くように飛び、対象地点に着地すると同時に再び鎖を引き、今度は斧を手元に寄せる。さっきまでデスメタルのいた位置をギャリック光殺砲(?)が通り抜けていった。
デスメタルは着地位置からまだ接近せずに、再び斧をEAGLEに向かって投げた。軌道上にあの竜もいるな。
どうやらこいつは俺とデスメタルの関係に気付いてないようだし…不意打ちを食らわせれば一撃だろうか。
…しかしそんな卑怯なやり方は俺の美学に反するし、なんだかこのままこいつを殺ってデスメタルがテンテレナンタラについて報告する形だと俺に手柄が無いよなぁ。
そんな事を考えている間にも時間は進んでいた。
>160>163
>「それじゃあ、エスコートをお願い出来るかな?
> 別に、私の家でお茶会してもいいけど、騎士さんみんなの分はないかも」
「ものわかりの良いお嬢さんだ。本来ならこんな良い美人なお嬢様は責任持って私がエスコートするのですが…
…ちょっと待ってくださいね。」
そう言うと人差し指で頭の横部分を押しながら周りを見回し、一人の騎士を指さす。
「……ちょっと…そこの騎士さん、私は少々野暮用ができてしまったので…
私の代わりにお嬢さんを責任持って『騎士ギルト本部』へエスコートなさい。」
そう言うと岸本中尉を指さした。
岸本を『侵略軍』の者と知っているのか、それとも単なる『偶然』か。
それを明かさぬまま岸本を真っ直ぐに見ると優しげないつも通りの笑みを浮かべ髭を撫でながら言う。
「…ちょっと訓練所の方に『鼠』が出てきたらしいのでね…
さてはて…何処から忍び込んできたのやら」
そう言うと微笑み顔を変えずに両腕を広げる。
そして次の瞬間、青髭は一瞬の強風に吹かされると消えた。
無論、向かう場所は『騎士ギルト』の訓練所だ。
遠くから、戦いの音が聞こえてくる。
(始まっちゃったかな?)
>……ちょっと…そこの騎士さん、私は少々野暮用ができてしまったので…
>私の代わりにお嬢さんを責任持って『騎士ギルト本部』へエスコートなさい。
指示された騎士に、見覚えがあった。
確か、魔人側に寝返った、人間のはず。
よく見ると、他にも、侵略軍が紛れ込んでいる。
(ちょっと予定より早いけど、仕掛けちゃおうか?)
青髭が消えたのを確認し、クリスタルは拝むように、両手を顔の前で合わせた。
「ゴメンね、騎士のみんな。
用事ができちゃったから、お茶は、また今度!」
瞬間、音もなく家が燃え上がった。
火の玉と化した家は、再び浮き上がり、エッフェル塔に向けて猛進する。
塔を道連れに、自爆する 気なのだ。
騎士達の間に、動揺が走る。
(あ〜あ。しばらく、ゆっくり観光したかったのになぁ‥‥まあいいか。)
「我が声を聞きし者、黄泉路を戻れ」
クリスタルの呪に答え、黒い煙が立ち上る。
煙はたちまち、東京で倒されたはずの、赤い魔人になった。
魔人は、大鎌を振り回し、騎士達に襲いかかる。
「ふっ!」
舞空術で飛び上がるEAGLE。
そこに再び投擲された鎖斧を、半身を捻って回避する。
「そんな素直な」
軌道の攻撃がこの距離で当たるものですか、と言う前に『それ』に気付いたEAGLEは、
すかさず背中の聖破剣のグリップを掴み鞘ごと抜き出して思い切り鎖を叩く。
斧攻撃の延長線上には、近代騎士達に苦闘しているドロマーがいたのだ。
斧はドロマーにあたる寸でのところで軌道を曲げ、聖破剣を支点として推進力を遠心力に変換し、
ひぅんひぅんと回転して鎖を剣に巻き付かせる。
「くっ」
やむなく剣を手放すEAGLE。
『ふむ、師匠』
『なんですか?』
『今からご教授いただくドラゴン召喚とは、中々面白そうですね。
強力なドラゴンと連携攻撃ができれば戦術の幅は広がりそうです』
『それは止めておいた方がいいでしょう』
『ふむ、何故です?』
『【ドラゴンレジェンド召喚】は精霊魔法では最も高位に位置するもの。
ドラゴンは非常に強力ですが、使用に際しては莫大な魔力や気を持っていかれるため、
ドラゴンを出すなら術者は戦闘するべきではありません』
『ふむ。つまり、連携すると逆に効率が悪いということですか?』
『その通り』
『ふむ……世の中都合の良い話はないものです。
まあ、どうせ私が変身すればドラゴンの力を借りるまでもなく全ての戦闘は終わるでしょうが』
『傲慢は敵ですよ、EAGLE。世界は貴方が思っているより遥かに広い。
それに、遠隔操作できる強力なドラゴンの存在は、戦術以上に戦略の幅を大きく広げてくれますよ。
まずは、5体のドラゴンの特性から教えましょう……』
まだまだ未熟だった修行時代の、師匠との会話が脳裏に浮かぶ。
「貴方の言うとおりでした、師匠。何もかも。…ですが」
近代兵器で武装した軍勢を殺さずに抑えるなどという離れ業はドラゴンぐらいにしかできない。
そして、この場で魔人を倒すのはEAGLEをおいて他にいない。
「今は、やるしかありません」
敵は強い。
こちらは魔法や変身が使えず、気も残りわずか。
5分の制限時間つき。
逃がしても差し違えてもイコール敗北。
そして倒せたとしても、内戦を止めるという勝利条件を満たせる可能性は高くない。
絶望的な戦場だ。
だが、同時に彼にとって、絶対に負けてはならない戦場だ。
「私はEAGLE。地上の平和を護る正義の刃。天帝の誇りにかけて、貴方を倒す!」
EAGLEの体からオーラが吹き上がった。
空を蹴るようにして思い切り突進し、デスメタルに拳や蹴りのラッシュを浴びせかける。
念の為にあいつらを連れてきて正解だった。
俺は食堂の外に出た魔人に見つからないよう、注意を払いながら廊下を歩き、ある部屋の前に着きドアをノックする。
「天宮、神城、いるか?」
部屋から呼ばれた二人が出てくる。今はジャージ姿だ。
「食堂で魔人が出て船内にも散っている。黒スーツ達は001に任せると言っているが、様子を見て危険と判断したら助けを出してやってくれ」
そう言い渡すと男は別の部屋に向かい、テニス軍人の二人は食堂に向かう。
>174
EAGLEは次元の狭間に吸い込まれた。
>>174 デスメタル…やはり斧を失うと弱いか。
結局俺は考えがまとまらずに、どちらの味方をするでもなく戦況を観ていた。
剣に斧を取られたデスメタルは、EAGLE相手に防戦一方で反撃もできない様子だった。
しかしよく見てみると何か合図を出しているように見える。
・加勢しろ
・リモコンで装甲兵士達を呼べ
そうか、俺の分隊の奴らはまだそこの訓練所にいたのか。
・俺が後ろから不意打ちを与える
・俺がリモコンで装甲兵士9人を呼び寄せる
いずれにしろEAGLEを殺るか殺れないかは俺の手に委ねられている…
ベッドの上で伸びた男は、ぼんやりと先日の事を思い出していた。
即ち、この飛行船に乗ることになった経緯。
狭く、暗く、汚い部屋。防衛軍本部のとある一室。
ぼんやりした双眸の男と、カイゼル髭の強面が向かい合って立っている。
ぼんやりした方の名は、灰道標司。ただ今この場面を回想しているはずの人間。
対するカイゼル髭は、その灰道の上官である。
「灰道。貴様にはこれからフランスに向かってもらう。良いな?」
上官が吐き捨てるように言った。威圧的な声である。
明らかに灰道を蔑視しているようだ。だが、灰道は全く意に介さない。
「はいはい…。」
「『はい』は一回だ!なぜ貴様はそうもだらしがない!」
雷が落ちる。しかし、この轟くような大声を聞いても灰道は動じない。
上官の顔に、ちら、と視線を向けるもすぐさま眼を逸らす
「飛行船の話は聞いているな。あれに乗って行くのだ。」
「はい。」
「なんでも貴様は『秘密兵器』だそうだ。
敵にはもちろん、防衛軍の者にも正体を悟られないようにしろ。以上だ。」
「はいはい。」
がっつーん、と、灰道の脳天に鉄拳が落ちた。
そこからの記憶はいまいち曖昧なものとなっている。
果たしていつの間に飛行船に乗り込んでいたのか。
あの上司が灰道を運んで、この仮眠室に放置していったのか。
結局のところ、いくら考えようと真実は分からないのだが。
(そして今に至る… だったっけ?)
回想を終えた灰道は、ぬたりとベッドから起き上がる。
その気配に気付いたのか、部屋から出ようとしていたシェフが歩を止める。
一瞬の静寂の後、振り返り様に灰道へと殺到する。
「単純だねえ。ありがたいことだ…」
灰道、臆することもなく、ゆっくりと身構える。
大村に拳銃を渡し魚民は廊下に出た。
すでにそこにはシ●タは居ない。魚民はナイフを持ったまま悟空を掴んだシ●タを探しに走る。
広い飛行船の中をすみ無くどんどんと。ふと、暫く探すと一人の老人が倒れてるのを見つける。
そいつの元に駆け寄ると殴られた後を見つける恐らくシ●タがやったのだろう。
「…おい、起きろ。」
そう言いビンタする魚民。するとそれとほぼ同時に何やら盛大なもの音が響く。
ふともの音がする方を見るとそこから黄金の光を放ちながら何やらこちらに向かってくる者が。
「…隊長?」
一瞬そう呟いた途端一片に魚民の横を通り過ぎる。
「…!おい!」
そう叫ぶと魚民は孫悟空を追う。先ほどまでと打って変わった尋常なる気配を放ちながら悟空は逃げる。
「待てってば!」
そう叫び悟空の肩を捕まえた途端、悟空と魚民の前に何と先ほどのマッチョな魔人が二匹立ちふさがっていた。
「…ちょっとたんま…。」
しかしそんなたんまも聞くはずもなく、マッチョは遠慮無く手に持った棍棒を振るい上げた。
>>179>>176 一方、食堂の男に頼まれた、天宮、神城は、船内に助けを求む人がいないか走り回る。
廊下はとても魔人が忍び込んだと思えないぐらいの静けさだった。
鳴り響く二人の足音、手にはテニスラケットにボール。戦闘準備は常に万全だ。
そんな中、ふと天宮が歩くのを止める。
「どうした?神城。」
天宮も足を止める。そこは『仮眠室』の前だ。
半開きになってるドアの前に立つ二人。耳を済ませばそこから何やら音がする。
「…敵か?」
「多分。」
そして次の瞬間盛大な音を立てて何者かが仮眠室のドアを突き破り、二人の元へ吹っ飛んだ。
「うわっ!」
慌てて避ける天宮と神城。そして目の前で吹っ飛んだそいつを見て、
天宮と神城は目を見開くのである。
「お前は…」
---------------------------------------------------------------------------
ただ今のシ●タ情報
:孫悟空、魚民の所に二匹
灰道の所に一匹。
後の二匹はただ今行方不明。
>180
食堂で出会ったガラの悪い男に肩を掴まれ、悟空は立ち止まる。
そこで初めて気付いた。
ここがとある北の国ではなく、バイト先の飛行船の中だと。
悟空は友人達との永遠の別れが無いことに安堵し、二人の魔人が側にいることに気が付かなかった。
魔人が振り下ろした棍棒が悟空の頭に当たる。
砕けた。
悟空の頭ではない。魔人の棍棒が。
「よく気を探ってみたら…こいつらは人間じゃねえな……」
気を探って人間じゃないと判断した悟空の行動は素早い。
手刀で棍棒を振るった魔人の頭をかち割ると、即座にもう一人の魔人の首に抜き手を突き入れる。
秒殺だ。
この程度の魔人では、今の悟空の相手にはならない。
悟空の興奮は冷めていつもの姿に戻ると、ガラの悪い男がこちらを見てることに気付く。
「あ…あの…オラはあんまりお金持ってないんで、カツアゲなら他を当たってください。
例えばベジータとか」
その頃、ベジータはとある男性教師に尻の穴を掘られていた。
「アッー!」
場所:-魔界帝国-
「…何?『フランス』襲撃を早めろ…と。」
魔界帝国のとある建物の真っ暗な一室。ジェネシスは魔帝がよこした伝達人に聞き返した。
「…『魔帝』様が仰ったのか?」
「…はい。」
ジェネシスはそれを聞き軽く頭を抑えると理解しがたいといった表情をした。
「…まだ例の『モノ』も不完全だというのにか…
まあ確かに『アレ』は今の7割調整完了の時点で使っても『人間共』に太刀打ちはできまいと思うが…。」
「はい、そうお考えの上、『魔帝』様は『フランス』への襲撃を早めろと…。」
そう無機質に言う使いの者をじっと見つめるジェネシス。
そしてジェネシスは椅子に座ると、フッと笑った。
「…そうか。私には何故そんなに『フランス』襲撃を急いでおられるのかはわからぬが…
『魔帝』様の命令は絶対だ。
…『襲撃』の時間を早める。
至急。集会所に集めよ。」
「………はっ。」
ジェネシスのその言葉を聞いた途端使いの者は消える。
暫く真っ暗な部屋の中、ボンヤリと天井を見るジェネシス。そんな中、ジェネシスの耳には足音が一つ響いた。
「…貴方…。」
「…『セレン』か…。」
真っ暗な部屋の中、ジェネシスの後ろに一つの白い足が浮かぶ。
その白い足より上の様子は伺えない。ジェネシスは諦めの表情を浮かべると言った。
「…襲撃を早めるようにと仰せられたよ。…なんだか腑に落ちん。
もしかしたら…私は『魔帝』様に嫌われてるのかも知れぬな。」
「…何を言ってるの?ジェネシス。貴方が『魔帝』様に嫌われてると感じる理由が分からないわ。
若いながら『将軍』の地位を手に入れ、『魔帝』様にこんな素敵な『モノ』を…。
これを『魔帝』様に気に入られてると言わずにして何を気に入られているというの?」
「…まあな。だが、変な気分なのだ…なんていうかこう…胸が締め付けられてるというか…なんというか…」
ジェネシスは胸元を掴むと立ち上がった。
そしてゆっくりと斜め上を見る。そして暫くその一点を見つめるとジェネシスは言った。
「……『セレン』。電気を付けてくれないか?」
その一言を放った途端部屋に電気がつく。そしてそこにあったのは…。
まるで標本のように針で壁に取り付けられてる一匹の魔界の蝶であった。
黒と緑、そして赤の混じった羽根は気味悪さを放ちつつ虚ろな目でジェネシスを見つめている。
そのまま暫くジェネシスはその蝶を見つめるとジェネシスはその場から離れた。
場所:日本
楸 刹が魔人を探して暫く立ち…。
ぽつぽつと雨が降り始めた。
次第にその雨は急激に強く人間達を打ち付けていく。無論楸 刹にも。
そんな中、一人の少女が傘を持ってまるでダンスをしながら歩いている。
クマ、クマ、クマ♪
皮を剥がされたクーマー♪
怪しげな歌を唄う少女。髪型は三つ編み、そして赤い目。
その少女は暫くその歌を唄っていると突如ピタッと足を止めた。そして次の瞬間少女の首が飛ぶ。
それを見て周りの人間が絶叫する。
人々が絶叫する中、少女の首の断面をよく見てみると何やらブラックホールみたいなものが出来ているのが
目の前に居た楸 刹は気付いただろうか?
「なんだあれ…」
「気持ちが悪い…」
それに気付いた数人の大人達はざわめき後ろへ下がっていく。しかし数人の大人達の様子だけは違った。
突如歌い出す数人の大人。
ジェネシス様がお呼びだー♪
皮をはがされる前に『集会所』へー♪
そして目の色が変わった大人達はみるみるうちに『魔人』へと変化すると、
ブラックホールへ身を投げ込んでいったかと思うとそのブラックホールは消えていった。
電気屋のテレビに映る速報。どうやら世界各地でこの現象は起きているらしい。
暫くざわめく街、そしてその中一人の女がゆっくりと楸 刹に近づく。
そして次の瞬間、薬を染み込ませた布で楸 刹の口元を抑えた。
自らの居城に戻ったエイブラハムは、ワイングラスに注がれた赤い液体を口へ運びながら、窓から見える魔界の空を眺めていた。
そして、グラスに注がれていた分を全て飲み終わると、少し考えるような動作をとった後、先の『世羅の集会場』のときと同じように鈴を鳴らした。
鈴の音に応じて現われたのはメイドであり、世羅の集会場でメモを渡した従者とは違う人物である。
見た目が若いのはともかくとしても、健康的な肌の色を持ち合わせていることが、吸血鬼としては特徴的だった。
「ご主人様、こんばんは!お出かけですね?」
「……」
エイブラハムが何か言葉をかける前に、メイドは消え去った。そして、すぐに再び現われた。
再び現われたときには、巴里へ出かけるのに必要な道具が一式と、数名の従者の姿もあった。
旅に必要な荷物と荷物持ち、雑用を任せられる部下などは、全てエイブラハムがパリへ行く際に必要としている物である。
この妙にハイテンションなメイドは、特に命令を受けたわけでもないのに意思を汲み取って、瞬く間に主の要求を満たしたのだった。
集まった奴隷どもを見渡し、エイブラハムは口を開いた。
「よ」
よくぞ来た我が精鋭たちよ、とでも言うつもりだったのだろうが、
「今日は巴里へ出かけるんですよね、ご主人様!
皆さん、侯爵様はこれより花の都・巴里へとお出かけになられます!
貴方達を呼んだのは他でもない、侯爵様が巴里へとお出かけになられる際の護衛、及び荷物持ち等の任務に当ってもらいます!
その際、地上の人間達との抗争が発生するでしょう!
―――良いですか!侯爵様の従者として、くれぐれも主君の顔に泥を塗るような真似をしてはなりません!」
「……」
奴隷達に指示を出すメイド。
エイブラハムは確かに何かを言おうしたのだが、メイドの大声でそれはかき消され、しかも彼女は主が伝えるべき事を全て代わりに言ってしまった。
主は、これ以上何か余計な事を言うのもバツが悪いと思った。
しかし気を取り直して、彼は再び何かを言おうとする。
「……ま」
「あと、侯爵様は貴方達の今のその格好を、巴里の街には相応しくないと考えておられます!
きちんとした格好に着替えてきなさい!そんな格好で出かけるつもりですか!?」
まずは、と言おうとしたところで、先ほどと同じようにかき消された。
メイドはともかくとして、荷物持ちの奴隷には意思が感じられない、まさしくアンデッドの奴隷どもである。
奴隷どもは普通のゾンビと大差無い薄汚い格好をしており、服はボロボロで、肌も汚れている。
確かに、侯爵が「巴里に相応しくない」と考えたところで、何ら不思議は無い。
部下の吸血鬼達は、メイドの命令に従い、扉を開けて部屋から出て行った。
その直後、鈍い音が響き渡った。
主君に頭を殴られたメイドは、頭を抑えて地面にうずくまっている。
ほどなくして、先ほどまでゾンビと大差無かった連中が、サングラスに黒いスーツといういでたちに変身を遂げて部屋に戻ってきた。
汚れた肌はシャワーを浴びて綺麗にしてきたようだし、下っ端の吸血鬼が放つ独特の血の臭いも特殊な香水で誤魔化している。
力の抜けた前傾姿勢だったのが、背筋をピンと伸ばして真っ直ぐ立っており、
骨と皮だけでだった肌は生気を帯びてつやつやになっているし、何故か体積も増えて骨隆々とした健康的な体格になっていた。
そこに居るのは痩せ細った幽鬼の集団ではなく、立派なボディガードに見える兄ちゃん達だった。まさに劇的ビフォーアフターである。
エイブラハムはそれを満足げに眺めている。
「「よし」」
丁度、奴隷達の様子に満足したエイブラハムの言葉と、ゆっくりと起き上がったメイドの言葉がぴったりと重なった。
メイドとエイブラハムは、互いに見詰め合った。
>182
そんな事があったのが数分前。
今は再び将軍に呼び出され、ここ『世羅の集会所』に来ている。
冷静なエイブラハムは、先ほどの出来事もあって不機嫌ではあったが、それを表には出さず、ただ沈黙を守り、集会が始まるのを待っていた。
そして、頭に二つほど大きなコブを作ったメイドが、傍らに控えている。
このメイドは主の考えることは何でもわかるので、「静かにしていろ」「黙れ」と言われるであろう事も理解している。
あのやかましいメイドが静かなのは、単にこういうことなのだ。
しかし、このメイドは常に何か喋ってないと死ぬと言われているような女だ。
喋る事ができずに、急激にストレスが溜まっているのが表情でわかる。
その姿は、夏の晴れた日に朝礼で校長先生の長話を聞かされている生徒のそれに酷似していた。
>>183 ―どこに行けばいいかわからない
いきなり困った。
そもそも魔人がどこにいるかも知らないまま、魔人退治に出掛けたのだ。
「・・・・・・・」
不意に雨粒が皮膚を叩く。
初めは弱く少ない、だが次第にソレは数と強さを増していった。
「クソ・・・雨なんざ幸先悪ぃ・・・」
手で頭を庇い、走る。
―とりあえずコンビニかどこかで傘買わねぇと
少女が踊っていた。歌いながら。
「あ?」
んだコイツ頭イカれてやがんのか。
路上でクマクマ言いながら踊ってやがる。
―相手にしなくても良かった。
ただ、少女のその赤い目だけが気になった。
「??」
止まった。
ようやく自分のイカれた行動に気づいたんだな。
そう、思った矢先少女の首が吹っ飛んだ。
「はぁ!??」
訳が分からん。
周りが悲鳴で染まる。
―誰がやったんだ?
考えても答えがでない。
それほどいきなりだった。本当。
「?んだありゃ・・・」
ふと、首の断面に違和感を感じる。
黒い穴が見える。
・・・・・・・・・・・・・首に穴??おかしーだろ。
周りの大人達が反射的に後に下がる中、数人が歌いだす。
『ジェネシス様がお呼びだー♪
皮をはがされる前に『集会所』へー♪ 』
歌の途中気付く。
数人が魔人へと変貌している事に。
「・・・・のやろ!ここで会ったが百年目!てめぇら纏めてぶっ倒してやるぜ!!」
懐から通販のナイフを大量に取り出す。
だが、魔人達は気にもせず、少女の首に飛び込み消えていった。
―啖呵切りを、無視され佇む。
「・・・逃げやがってチキン共め」
ナイフをしまい、笑う。
しかし心は笑っていなかった。
無視されたことに対する怒りのせいで。
(この俺を無視・・・。次にあったら後悔してもし尽くせないほど後悔させてやる)
街に展示されたテレビが速報を流す。
同じよな事があっちこっちで起きてるらしい。
―全くおかしな世界になりやがって。なにもかもあの魔人のせいだぜ
一度深く考えて、あまりのカオスぶりに頭がいたくなったのでそういう結論に落ち着かせる。
近づく女に気付かなかった。口元に当てられる布。
「!!何しやがる!」
力尽くで女を振り払い、距離を取る。
そして身構えた・・・・・・はず。
「・・・あ、あり・・・?」
ふらつき、視界がぼやけ、夢と現が交差する。
(この野朗・・・。何か使いやがったな・・・・)
自分では言ったつもりのその言葉も、口が動いていない。
その一瞬後、その場に倒れこんだ。
>>173 どうやら彼女も伊達に貴族をやってるわけではないようだ。
捨て身の特攻とはなかなか誇らしい。ついでに置き土産を残してくれました。
ここは騎士ギルドの方々の実力を見定めようと、私は赤い魔人を牽制するフリをしながら少しずつ離れていった。
騎士達―紛れている魔界騎士団を除く―は赤い魔人に攻撃を始めた。
>>178 剣を鎖に絡め取られたEAGLEだったが、
それで武器を自由に振るえなくなったのは敵も同様のようだ。
「はあああああああああっ!」
ラッシュをかけるEAGLE。
防戦に徹する敵。
有利ではあるが、なかなか決定打には至れない。
決めの一撃に使える余力はせいぜい一発分、それで仕留め損ねれば長期戦にならざるを得ない。
しかし、5分で倒せなければ負けなのだ。そのタイムリミットもそろそろ近い。
何か戦況を変えるファクターがあれば。そう考えたとき、EAGLEは思い出した。
「フモッフさん!」
攻撃を続けながら叫ぶ。
「なんとかして敵の体勢を崩してください!貴方の力が必要です!
魔人は恐ろしいかもしれませんが、貴方は騎士、勇気を出して戦わねばならない時もあるのです!」
拳、蹴り、掌底、膝、肘、裏拳、踵。
打撃の嵐は続く。
「ここで勇気を振り絞れば貴方は英雄です、フモッフさん!」
そして翌日。
アスタロットは出発前に『魔帝』がフランス侵攻を早めると伝えた報をいち早く耳にする。
それを聞いたアスタロットの目の色が変わった。
部屋に戻ると,アナンシ達に早々に彼女から指令が下る。
「ふっふん・・・良い事聞いちゃったぁw
アナンシ,予定を急遽変更ヨ! パリを早めに堕としに行くことになったの・・・w
サイデール部隊とギュウキ部隊,後ファイヴァにアグレアやシムルグ,ティアマントを出来る限り神魔界から呼び集めテちょーだい。
侵攻に対して厄介な蒼薔薇を燃やしにいくわよぉ・・・ふふふww」
「随分やる気だね・・・一体どうしたの?」
「・・・あのボウヤ,パリに来てるんですっテw
物のついでにボウヤも捕まえて,更に魔帝様の御意志を遂行しようと思ウの。
特にあのコ・・・洗脳すればいい鴨になるワぁw 手駒にもなるシ」
「ゴフゥ! アスタロット様,各部隊出撃準備,整いました・・・」
「ごくろーさまw さ,アナンシ・・・とっとと行っちゃいましょw
蒼薔薇を燃やさせている間に,昨日お昼をとったカフェの辺りまであのボウヤを誘導してチョーダイ。
其処まで来たら,奇襲攻撃し掛けたりして,あのボーヤと一戦交えて来るワw」
「あぅぅ・・・わかったよぅ; 何だったらマシュラにーちゃんも呼んどこうか?」
「そうねぇ,あのコのマインド・スパイダーも使えるシ,一応連れて行きましょ。
それにあのボウヤ以外にも良い人材の洗脳が出来れば,こっちの勢力も更に広がるわぁ・・・ww」
長い会話の後に,アスタロットは炎属性の魔物を中心に組んだ超大量の魔物の大軍を引き連れてエッフェル塔の麓の路地裏から一斉に奇襲を掛ける。
炎を纏った獅子型魔獣・ファイヴァやティアマントの左の首が吐き出す炎,右の首が吐き出す冷気が薔薇を少しずつ蝕み始めた。
アスタロットの従える数は半端ではなく,どんなに薔薇の蔓がギュウキ達を振り払ってもサイデール達が噛みつき向かってきた蔓を懸命に食い止め,ファイヴァに着火させたりする。
それだけでなくシムルグは蔓の根本へ素早く潜り込んで鋭い棘で蔓を根元から何度も突き,その蔓を大元から斬ってしまおうとしていた。
魔人達の増援に現れた大量の魔物達。
しかしその先頭は愚か,中にアスタロットとアナンシの姿はない。
なぜなら彼女は作戦通り,あのEAGLEが居たカフェの辺りへ葱牙をおびき寄せていたからであった・・・。
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炎魔獣ファイヴァ
神羅万象チョコ2章第4弾にシルバーカードとして登場。
聖龍石を沈められマステリオンの復活を待つばかりとなった魔創卵のエネルギーから生まれた闇の炎の魔獣。
牙は取り外しが自在だという。 ブーメランになるとも噂されている。
焼け焦げた酷い匂い、あたりは炎に包まれ、あちこちに石炭のように燻った死体が無造作に並んでいる。
この光景はまるで地獄絵図のようだ、こんな光景がいまパリのものだと言われてもピンとくる人間はいないだろう。
この光景の中心に、一人の男がいる、獅子の頭を椅子代わりに双頭の龍を首に足を置いている。
「全く……下らねぇ、小せえ人間の相手ばかりしてやがるから弱くなるんだ。」
無残に双頭の龍の体に唾を吐いたあと、龍の体が炭のように崩れ去っていく。男はエッフェル塔を守るためにきたというわけじゃない。
「ハッ、魔帝か……面倒くさいことしやがって。つまらねぇ。」
そして男は立ち上がり戦闘の跡である証の焦土と化し全てが燃え尽きた地を後にする。
スタンスを大きく開き、上半身をほぼ完全に脱力させる。
『逃げ』に徹するために編み出した、灰道独自の構え。
シェフの大振りな拳が眼前に迫る。だが、灰道は動かない。
禍々しく、巨大な拳を前にして、根が生えたように動かない。
当たる。当たった。当たった? 否!
風を切った拳が鼻頭に触れんとした刹那。
灰道の身躯は柳のように、僅かに後退しながらぬたりと揺れた。
同時に、がくん、と上体が下がる。拳は灰道の頭上を掠って行った。
シェフが空振りに気付くより先に、灰道の右脚が動く。
シェフの身躯に触れるすれすれの位置に大きく踏み込んだ。
右脚に己の身躯を引き付けつつ、さらに上体を低くする。
続いて左脚を出す。シェフの股下を通す。
限りない低姿勢を維持したまま、やはり左脚に身躯を引き付けていく。
一瞬にして、シェフと灰道の位置が入れ替わった。
灰道、くるりとシェフの方へと向き直る。
「後の正面、だ〜〜あれ?」
シェフが振り向く。その顔には、驚愕の色が張り付いていた。
眠たげな顔からは想像できない、灰道の電光石火の動き。シェフにはそれが理解できない。
突如として心に湧いた不快感を振り払うかのように、再び拳を放つ。
何の偽りもない、単なる右ストレート。
灰道は避けない。代わりに隠し持っていた聖書で受ける。
それだけではない。インパクトの寸前、ふわり、と後に跳び退る。
抵抗のなくなった灰道の身躯は、拳の勢いに押されるがまま吹き飛んでいった。
ビンゴ、である。飛ばされた先には、仮眠室の出入り口。
背中でドアを破壊したものの、見事に仮眠室から脱出してしまった。
床に叩きつけられるも、素早く受身を取る。
灰道、体制を整えると同時に視線に気付く。すぐそばに視線の主らしき男が二人、呆然と立っている。
>「お前は…」
呼びかけられた。もしくは、問いかけられた。
しかし灰道は答えない。もしくは、無視しているだけなのか。
気まずい沈黙が流れる。ふと、灰道が口を開いた。
「後は任せた。寝起きはテンションが上らなくて困る。」
それだけ言い残すと、ふらふらと歩き出した。
『ゴシカァン』の正体は分かったのだ。あのシェフである。
もう関わる気はない。次の行動に移る。すなわち、食料の摂取。
灰道、男二人とシェフ一匹を尻目に、いい匂いのする方向(=食堂)と歩を進める。
場所:魔界帝国-世羅の集会所-
世羅の集会所に再度集結された魔人達に壮絶な演説をするジェネシス率いる軍の副隊長。
その言葉一言一言に魔人達の闘志は煽られ会場の熱気も増していく。
黄金の鎧を身に纏ったジェネシスは相変わらずの冷笑でその様子を見ていた。
世の中には色々な人間が居るように魔人にも色々居る。
周りの空気に影響され暑くなる者、そして常に冷静にその様子を見つめる者…。
そうして見ているうちに、副隊長の話は終わった。
副隊長の話が終わるとジェネシスは頷き立ち上がると皆の前に出て口を開いた。
「…君たちに委ねられた使命は『敵』である人間を倒すだけでなく、
先ほど副隊長も申されたがフランスの『騎士ギルト』を徹底的に潰すことだ。
確かに『騎士ギルト』は世界でも十本指に入る強さを持った軍なのかもしれない。
だが!悪魔でも人間世界でだ!私達魔人が全力で潰しに掛かればあっという間に潰れる!
もう既に先手もうってある。フランスの東西南北に繋ぐ道を造った。
四方から同時に徹底的に潰しに掛かればフランスなぞあっという間に我れらの掌の上だ。
…恐れることを忘れ全力で取りかかれ!我らは一刻も早く『世界』を手に入れなければならない!
人間達に一刻も早く示すのだ!我らこそ『神』という事を!!」
そう言うと世羅の集会所に東西南北にフランスへ繋がる罅が浮き出る。
魔人達はかけ声を上げるとその罅から身を投げた。
それを暫く見つめるとジェネシスは自らの部屋に戻っていく。
『先客』の相手をする為にだ。
場所:騎士ギルト付近
クリスタルとの接触を終えた青髭は騎士ギルトに向かっていく。
軽々と老いを感じないスピードで青髭はフランスの街の屋根に飛び移りながら…。
するとふと青髭が自分の目線の先に生物がいるのに気づき立ち止まる。
「…!…お前は…」
その生物の正体は二匹の『魔人』だった。二匹の『魔人』は青髭を見ると互いを見て頷いた。
すると青髭の周りから一片に奇妙な『蝶』が吹き出る。
それに青髭は一瞬目を見開き驚いたような表情をすると今までにないほどの険しい顔つきとなった。
「…なるほど…なかなか『無礼』な事をしてくれますね。。」
『蝶』の大群が一瞬そう言った青髭をあざ笑うような鳴き声を奏でる。
そして『蝶』達が消える頃には、二匹の『魔人』と青髭は消えていた。
沈黙が走る街。そして空に赤い一つの罅が…
場所:騎士ギルト訓練所内
フランスの東西南北に浮き出た罅の事は即座に騎士ギルトの上層部にも伝わる。
西洋風の会議室に座る中世騎士、近世騎士の上層部の者達。そこには青髭の姿はいない。
正直、この魔界からの本格的な襲撃の速さに上層部の者達は苦渋していた。
『青髭』の「三日の期限」を置いての襲撃開始、という予言が外れたのだ。
世界の『青髭』の予言の予言が外れ暫く、上層部の者達は険しい顔で会話に勤しむと、
立ち上がる。
――そして訓練所内にアナウンスが響き渡った。
『緊急出動!緊急出動!魔人達が四方から襲撃開始した模様!
至急、全騎士、四方に散らばり徹底阻止せよ!』
--------------------------------------------------------------------------------
魔人:フランス四方から徹底侵略開始。
騎士:阻止。
しかしデスメタルも戻るのが遅いな。
斧と鎖を利用して屋根から屋根へと渡っていたが…あのペースだったらそろそろ見つけられそうな気もしなくもないのだが
。
いや、道中見つかれば怪しまれそうだが奴ならどうとでもできるだろう。
やはり騎士ギルドの奴らは強い。フルメタル以上のしぶとさじゃないかと思ってたあの赤い魔人がついに滅びた。
スピードもあったし、強い炎も出してきたがやはりこの数相手じゃ話にならないか…
「中尉、訓練所に残した隊員から連絡が」
>>193…ついに外からも動きが出たか。『中』からも襲撃を受けている事に防衛軍は気付いているかな?
サイコメタルから通信機を受け取ると訓練所に残った隊員に向けて指示を出す。
魔人達の攻め入る混乱に乗じてさらに装甲兵士達を暴れさせる。人間同士でも争うがいい。
>>188 俺にある選択肢は
1…デスメタルの言う通り加勢。EAGLEに不意打ち
2…デスメタルの言う通り加勢。仲間を呼ぶ。
3…1と2の両方を使う。
4…デスメタル、やはりお前は邪魔になる。裏切りでEAGLEに加勢。
……
訓練所から装甲兵士達が出てくる。
フランスの周囲に、魔界からの道がつながる。
「魔界からの道が!
本格的侵攻はもっと後じゃなかったんですか!?」
バッグから這いだしてきた、コウが叫ぶ。
「事情が変わったのかな?
それとも、青髭くんの裏をかく作戦だったのかも」
燃える家の中で、クリスタルは窓から外を眺めながら気楽に答えた。
火の熱は、魔力で遮られて、2人には届かない。
「コウくん!」
突然、クリスタルはコウをつかんで、窓から飛び出した。
「いきなりなんですかマスター!」
「誰か戦ってるんだよ〜支援したげないと」
騎士ギルトの上に、クリスタルは着地する。
戦うEAGLEと、デスメタルを見下ろした。
防戦一方のデスメタルを、EAGLEがラッシュをかけて追い込んでいる。
>ここで勇気を振り絞れば貴方は英雄です、フモッフさん!
「追い込んでるのにどうして助けがいるのかな?」
「急いで決着を付けたい理由があるんじゃないですか?」
先に来ていると思っていたが、周囲に青髭の気配は無い。
「楽しそうだから加勢したげようか。
ちゃんと避けてねっ!」
クリスタルは、念動力を使って岩を持ち上げ、EAGLEに背後からぶつけようとする。
――――――数時間が経過した。
蒼薔薇を失ったエッフェル塔の周囲にはファイヴァやサイデール,ティアマント達の無惨な姿。
その中心には一人の男。
その男がエッフェル塔付近を後にする頃,あのカフェ付近であの2人が出会おうとしていた。
街灯の明かりも少々暗めになってきている。
カフェの白い椅子とテーブルには,以ての外誰もいない。
パラソルは畳まれ,店の扉にも『CLOSED』の看板がドアノブから吊り下がっている。
まず先に到着したのは葱牙の方だ。
人間に化けたアナンシを追いかけてカフェの辺りまで来たが,彼はここでアナンシを見失った。
・・・否,アナンシは瞬時に糸を出してカフェの屋根へ上がり身を隠したのである。
蜘蛛の力を持つ魔人とだけあって,流石に上へ上がるのだけは早いらしい。
そんなこととも葱牙が気付かぬ内に,こっそりと忍び寄る影。
―――刹那,鋭い氷の刃が無数に上空から降り注ぐ。
「! なんだっ!? 上から刃物なんて一体誰が降らせてんだよっ!?」
何とかバックステップやら反復横飛びやらで素早く避ける葱牙。
それだけでは間に合わないと判断した葱牙はついに,ESPの使用で攻撃を防ぐ手段にでた。
青白い光の球体が瞬時に彼を包み,それに当たった氷の刃は砕け散って道路に落ちた後,すぐに溶けて消えた。
暫くして氷の刃が消えると彼は上の方を見やり,敵が何処かの屋根から仕掛けたのかと考え,すぐにシールドを張ったまま空中浮遊を使って,近くの店の屋根を調べる。
するとカフェの屋根には人間の姿のままのアナンシの影があった。
「・・・さっきのチビ助! いつの間にあんな場所へ・・・?」
屋根の上にいるのを見つけた彼は人間に化けたアナンシがただ者ではないと考えるも,それでもなおちょっと疑問に思う。
どうしてこんな場所にさっさと行けたのか,いつそこに行ったのか・・・それが引っかかる。
しかしその隙をついてまた氷の刃が襲いかかる。
無論,シールド張りッ放しのお陰でノーダメージで済んだのだが。
襲いかかってきたのは丁度背後の方向。
振り向けば其処に,彼の忘れ難い敵の姿が見えた。
「あらら,きっかりこの月禍氷刃で動きを封じてから仕留めようかと思ったけど,案外素早いのねぇ,ボウヤw」
「・・・あん時のエッチなおねぃさんか・・・!! って事は,あのチビ助・・・アンタの連れだったんだな!
それで単独行動をしている俺をおびき寄せて,1対1で仕留めようって訳か・・・なかなか考えたけど,俺ぁ一筋縄じゃいかねーぞ!」
攻撃の主はアスタロットだった。
カフェの向かいの建物の屋上から,この氷の刃を放ったらしい。
まだ半月ではあるものの,月明かりに照らされて彼女の装甲が煌めく。
紫色に金の装飾,紅いピアスと言った,毒々しいカラーが更に目立っている。
葱牙はESPだけでは歯が立たないと感じたのか,背負っている剣に手を掛けた。
剣の刃はアスタロットも浴びている月光を受け銀色に鈍く光る。
刃渡りは1mほどの長剣で,中国の王族が持っていたような,銀の装飾が施されたものだ。
いざという時のために,彼は剣道を習ってこの剣を振るえるようにしていたのだ。
「来るなら来い,その青白いけど綺麗な肌に傷付けてやるよ!
それと同時にたたっ斬って地に堕としても良いんだぜ! エッチなおねぃさん!!」
「あら,まだ名乗ってなかったからその呼び方が定着しちゃったのかしラ?
アタシはジェネシス様の元で働く上級皇魔族,魔将軍アスタロット・・・以後お見知り置きを。
さぁーて,ボウヤにはあの子同様にアタシのコレクションに加わって貰おうかしらねぇ?」
彼女の発言の後,両者が動いた。
葱牙の剣とアスタロットが右手に凍気を集めて作り出した氷の剣が,カフェ付近の上空でぶつかり合い何度も火花を散らす。
葱牙の方こそ金属製なので火花如きで溶ける事はないが,アスタロットの方も彼女が絶えることなく凍気を送り込むせいで氷が溶けてもすぐ再生する。
何度も何度もぶつかり合うが,流石にESPシールド張りッ放しの葱牙の方に疲れが見え始めた。
50回程剣がぶつかり合う音が響いた後に,そのシールドは遂に消えた。
葱牙自身の精神力が限界に来始めた証拠だ。
その隙をアスタロットは見逃さない。
すぐに彼女は左手から凍気を放って,葱牙を氷漬けにした。
しかしそれが地に堕ちた衝撃で,葱牙の顔の辺りの氷が砕けて,頭だけがでている状態になる。
彼自身も精神力が限界に来ている上,こうなると念力で持ち上げて何度も地に落として氷を割り脱出するしか方法がない。
しかしそれも,今の彼の精神力ではかなわない事だった。
直ぐさまアスタロットとアナンシ,どこからか現れたギュウキがアスタロットの出した扉をくぐって氷漬けにされた葱牙を部屋へ運んだ。
タンスの裏の隠し部屋の階段を上り,2回に相当する部分からアスタロット達は試験管の空き場所を捜す。
丁度親友の隣に良い空き場所があったのか,入り口の傍に葱牙の入った氷塊が置かれる。
そう,まずは抜いた剣を鞘に戻した方がいいと考えたからだ。
そうすれば脱出しようにも抜く手間が掛かって,でられないと思ったからである。
右手の辺りの氷を上手く割った後に彼から剣を奪うと,アスタロットが彼を傷付けないように鞘の穴を捜し出して其処にしまった。
「くそ・・・これから俺をどうする気だっ・・・!」
「へへ,心底良かったと思うんだね。
アンタ,アスタロット様の目に止まった美男子の一人なのさ。
だからこの試験管の中で保存して,毎晩気に入った美男子一人を選んで二人で寝るんだよ?
それが出来る美男子なんて,地球にも早々居ないもんだからねぇ・・・ひっひっひw」
「ゴフ・・・それにいつまでも生き長らえられるようにこの試験管内の液体は錬金術を使って生成したもの。
足掻いて苦しむよりは,素直に息を吐き出す方が楽です・・・ゴフゥ」
「何だと!? そんな馬鹿げたことするだなんて・・・その為に俺のダチまで氷漬けにしたのか!?」
「そうよぉw ま,此処でゆっくり休んで他の子達と同じ状態になって貰えれば,それで良いんだけドw
じゃ,ギュウキ,アナンシ,後は頼むわネ。 アタシは増援連れてフランス侵略の手伝いをしてくるわぁ」
アスタロットはそう言い残すとすぐに1階へ下りて部屋の扉から再びフランスへ急いだ。
それを見送った後にアナンシとギュウキが協力して葱牙の入った氷塊を試験管内に突き落とす。
ただし,逆さにしておくと保存状態が悪くなるので,頭を上にして入れるのがマナーらしい。
一度は液中に顔が浸かるも,氷塊の浮力のお陰ですぐ水面に顔がでた。
それでもすぐに蓋をされてしまい,でられる状況ではなくなってしまった。
しばらく経って氷が溶け,体の自由こそ取り戻したものの,そのせいで少々水位が上昇し,息継ぎ出来るような空間が消えてしまう。
要はそれを計算して液を予め少なくしてあったとでも言うべきなのであろう。
だがそれでも葱牙は諦めない,息苦しい水中にいながらも何度も試験管の硝子を殴って破壊しようとする。
実を言うと,彼は肺活量が自慢のひとつであり,長い時で10分程素潜りで水中を泳いだ経歴がある程凄いという。
無論ギネスブックへの申請はしていないため,彼の記録は非公認であるが。
それでも試験管は割れず,そろそろ彼自身の限界が来たようにも思える。
顔が少々紅くなり,口からの気泡の漏れ具合も多くなってきた。
もう目も開けていられないぐらい苦しいものの,最後まで彼は諦めなかった。
その痕跡として,殴った場所に小さく亀裂が出来ていた。
だがその亀裂はそれ以上大きくなる事はなかった。
最後の一発をぶち込んですぐに大きく気泡を吐き出してしまい,彼の意識が朦朧としたためである。
他の青年達と同じ姿勢になった辺りで,最後の気泡が立ちのぼった。
場所:魔界帝国-ジェネシス宅VIPRoom-
暫く立って楸 刹が目を開けると何やら自分が赤い透明な液体の中に沈められているのが分かった。
周りを見ると自分以外の人間も居る事が分かった。
そしてその人間達は全て虚ろな目をして天井をがりがりと引っ掻いている。
まるで出してくれ、出してくれと言うかのように…。
「随分趣味の悪い部屋ですね…将軍『ジェネシス』」
水の中で聞こえる僅かな老いぼれの声。
天井を見てみればどうやら楸 刹が居る場所は部屋の『床』だという事に気付くはずだ。
そしてその『床』の上にボロボロになって鎖で縛られ兵士に囲まれた『青髭の老人』と、
将軍『ジェネシス』と呼ばれた赤髪の男、
そして中には自分を連れてきた女がセクシーなドレス姿でジェネシスにべたついていた。
目線は楸 刹に向けている。まるでざまあみろと言ったかのようにあざ笑う女。
ジェネシスはその女に目もくれず青髭の老人の嫌みに答えた。
「趣味の悪い?フッ…まあそう言わないでください。『青髭』。
愛しの『妻』の『餌』の有効活用とでも仰ってください。
『インテリア』にも使える上餌ともなれるなんて。人間とはなんと素晴らしい『物質』だと思いませんか?」
「…ほざけ…」
青髭が今までに無いほどの恐ろしく苛つきを示した顔でジェネシスを睨む。
しかしジェネシスはなんとも無いと言った表情で青髭を見下すと立ち上がった。
女の手がジェネシスから離れる。しかし女はそれにかまいもせず『床』となった人間を見つめる。
ジェネシスは青髭に近づくと、顔を近づけた。
「老人。私は『無駄』は嫌いだ。だから大人しく答えて欲しい。
貴方が予言をする為に必要な『三つの神器』を隠した場所は何処にある?
私にはどうも怪しいと思うのだよ。貴方がこうやってあっさりと捕まったのが…。」
将軍ジェネシストは青髭に尋問を始めた。
200ゲットなんかやる
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>>196 「むっ!?」
それを本能で察知するのと、反射的に舞空術で飛び上がるのは殆ど同時だった。
回避が一瞬遅く、背後から飛来した岩はEAGLEの右足首にぶつかるが、よろけつつも何とか飛び上がる。
「く……!」
ズキズキと痛む足。
折れたかもしれないが、奇跡的に察知できたことを思えば安い怪我だろう。
「新手か?」
攻撃方向に振り返ると、屋根の上に魔人が立っていた。
魔力を探知するのは不得手なEAGLEだが、それでもビリビリと伝わってくる強大な魔力。
そして、こちらは確かな武道家としての勘が、その強さを確かに感じ取る。
これは、まずい。間違いなく上級魔人クラスだ。
「……やれやれ、女性に手を上げるのは趣味ではありません。出来れば早々に立ち去って欲しいのですがね?」
屋根よりやや上方の空から声をかけるEAGLE。その頬には、疲労とは別の汗が一筋伝っている。
相手が上級クラスともなると、さすがに変身無しでは戦えない。
それどころか現在は、変身できない上に魔力はゼロで体力も気も消耗し、利き足にはダメージ。
ドラゴンを精霊界に還せば、召喚リスクとして使用できなかった魔法や、ドラゴンに与えていた分の魔力や気を還元できるため、
変身する分のエネルギーは何とか掻き集められるかもしれないが(ドラゴンが戦闘で消費したエネルギー次第ではあるが)、
今ドラゴンを還してしまっては元も子もない。
思案するうちに、予想外の出来事が起こった。
『EAGLE!無事か!』
あさっての方角から、ドロマーがEAGLEの元に飛んできたのだ。
「ドロマー!騎士達の足止めはどうしたのですか!?」
『意味がなくなった。奴らの伝令がやって来て、大声で騒ぎ出してな』
「意味?……伝令?」
嫌な予感がよぎるEAGLE。
その渋い表情とは対照的に、ドロマーはあっさりと告げた。
『この国は今、魔人達の四方八方からの総攻撃に見舞われているらしい』
「なんですって!?」
『その放送が流れてからは奴らも大慌てだ、しかも魔人臭のする中世風武装の騎士達がやって来て奴らを襲い出してな。
進軍どころじゃなくなったようだし、攻撃の手を止めて傍観していたら儂のことは後回しにするようにしたようだから、
取り敢えず撤退してお前の様子を見に来た』
頭を片手でくしゃくしゃと掻くEAGLE。
「それは……激烈にマズいですね、色々と」
『儂はお前の事情は何も知らん。さあ、次は何をすればいい?』
「ああ……そういえばドロマー、あの軍勢を相手にしていた割には意外に元気ですね」
『儂を誰だと思っている』
実際のところは、騎士達が水流をぶちまける戦法に苦戦するうちに、
早い段階で放送が入ったため、水流に対応される前に戦闘を切り上げることができたのだ。
街中なので道が広くないことや、敵も大掛かりな武器を使えなかったことも幸いしていた。
「では、ご苦労様でした。あとは私が何とかします。ミッションコンプリートです。帰還してください」
『いいのか?分かった、まあ頑張れ』
EAGLEが再び宙に魔方陣を描くと、その中にドロマーが吸い込まれていった。
ドラゴンに割かれていたエネルギーや魔力が、EAGLEの体内に戻る。
EAGLEは途端に渋い顔になった。
「ドロマー……、カラ元気だったんじゃないですか……」
戻ってきたエネルギーが、予想より遥かに少ない。見た目とは裏腹に随分と消耗していたようだ。
だが、変身するだけのエネルギーはなんとかありそうだ。
「まあ、やってみますか。はっ!!」
気合いとともに、EAGLEの気が一気に膨れ上がった。
髪がざわっと逆立ち、もともと銀色の髪がさらに鮮やかな銀に発光する。
銀色の高密度のオーラを纏い、先ほどまでとは別人のような巨大なエネルギーが大気を振動させる。
スーパーガイア人。
地上人の中でもとりわけ強く純粋な者だけがなれるという、伝説のバトルフォームだ。
天界人と地上人とのハーフであるEAGLEが、修行によって身に付けた力のひとつである。
「さて……」
手を翳すと、鎖に絡まれて地面に落ちていた鞘から聖破剣がすっと抜け、吸い寄せられるようにその手に向かって飛んできた。
ばしっと握り、クリスタルに向けて構える。
「この形態になったからには容赦はできません。覚悟していただきます」
もはや戦況は最悪に近い。
だが、やるべきことは先程よりも分かりやすい。
この国にいる、そして向かっている全ての敵を倒せ。
「いきます!!」
変身によって神聖の気も膨れ上がったことにより扱えるようになった聖破剣を、虚空を斬るように振るう。
刃から三日月型の退魔の波動がクリスタルに向けて放たれた。
>>196>>202 「ぐっ!!」
やばい…もたついてたらデスメタルがやられた。
…なんだ?俺はどうしたかったんだ?仲間を裏切って功績を挙げようとしてたのか?
…それは不意打ちよりも、多勢で攻めるよりもはるかに卑怯ではないか?
気付くのが遅すぎる。俺のやるべき事は決まってたじゃないか。
俺は落ちていたEAGLEの聖破剣アルマゲドンと、それに絡み付いたデスメタルの金の斧を拾い上げる。
本当に悪かったデスメタル…お前のやろうとしていた事と仇は必ず取る。
ヴゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……ンと聖剣が振動する。
俺は岩の下敷きになってるデスメタルを背にEAGLE…そしてクリスタルに立ち向かった。
>>204修正
>>196>>202 「ぐっ!!」
やばい…もたついてたらデスメタルがやられた。
…なんだ?俺はどうしたかったんだ?仲間を裏切って功績を挙げようとしてたのか?
…それは不意打ちよりも、多勢で攻めるよりもはるかに卑怯ではないか?
気付くのが遅すぎる。俺のやるべき事は決まってたじゃないか。
俺は落ちていたデスメタルの金の斧を拾い上げる。
本当に悪かったデスメタル…お前のやろうとしていた事と仇は必ず取る。
俺は岩の下敷きになってるデスメタルを背にEAGLE…そしてクリスタルに立ち向かった。
>203-204
岩はEAGLEの足に当たっただけで、致命傷とは言い難い。
逆に、魔人の方に当たったようにも見えたが、まあ死んではいないだろう。
クリスタルはEAGLEを見上げた。
空を飛ぶなど、人間離れした技を使うあたり、相当な使い手だ。
そしてEAGLEは、見た目も力も別人のように変身した。
「やっと本気を出してくれたみたいだね〜」
クリスタルは、放たれた退魔の波動を魔力の壁で防ごうとするが、打ち消せない。
「うわわわっ!?」
屋根から飛び降りるようにして、波動を避けた。
フルメタルが金の斧を手に近づいてくる。なぜか殺気が感じられた。
(加勢してくれそうな雰囲気じゃないよね〜まあいいや)
魔界では、味方同士の戦いなど、別に珍しくもない。立ち向かう者は敵だ。
クリスタルは落ちている騎士の首を、血で服が汚れるのも構わず抱き上げて、話しかける。
「こんな所で死んじゃうなんて無念だよね?私がもう一度チャンスをあげるから」
クリスタルの黒魔術に操られ、二体の首無し騎士が立ち上がった。
「あなた達の命で、この子達は生き返れるの。だから、代わりに死んであげて?」
首無し騎士は、EAGLEとフルメタルに襲いかかった。
>>206 「むっ」
クリスタルを追って着地したEAGLEに、騎士のゾンビが襲い掛かる。
EAGLEは眉を顰める。
「哀れな…。死してなお侮辱されるとは。
せめて、汝らの御霊に母なる神の慈愛が与えられんことを」
EAGLEが剣を顔の前に立てると、その刃を白い光の球が包んだ。
「この一撃で、貴方の魂を解放します」
魔法剣技・ホーリーブレイク。
「はあっ!!」
光球に包まれた剣を上段に構え飛び上がり、下降する勢いで思い切り首無し騎士に斬りかかった。
>181
>「よく気を探ってみたら…こいつらは人間じゃねえな……」
そう呟くと悟空はあっという間に目の前にいた魔人を倒した。
早い。魚民以外の戦闘初心者でも圧倒的に分かる強さを見せつけた孫悟空は少し立つと元通りに戻り魚民に気付いた。
それにおどつくさっきまで圧倒的な力を見せつけた男。
>「あ…あの…オラはあんまりお金持ってないんで、カツアゲなら他を当たってください。
> 例えばベジータとか」
「…カツアゲ?」
困惑気味の表情を魚民は見せる。どうやら自分は悟空に何やら勘違いされているらしい。
魚民は何か言おうと口を開いた。しかしその瞬間飛行船が大きく傾いた。
「!!」
後ろに倒れる魚民。
警報機が鳴り響く、一体何が起こったのかよくわからない。
魚民は状況を把握するために目を閉じ耳を使う。千里眼ならん千里耳だ。魚民は眼は悪いが耳は恐ろしいほど良い。
暫く集中して聞いてみると何やら物音は『コントロールルーム』からする。しかもそこから魔人の音も…
「…コントロールルーム…まさか…」
魚民は少し考えると、悟空を無理矢理引っ張りコントロールルームまで壁を掴みながら駆けていった。
-----------------------------------------------------------------------------------
場所:飛行船-コントロールルーム-
問題のコントロールルームについてみるとやはり魚民の予想通りの出来事が起きていた。
先ほどまで行方しらずだった魔人二匹がやってた事、それはコントロールルームの破壊。
魔人はすでにコントロールルームの破壊を三分の一ほど済ましていた。
脳を破壊された船は当然の如く墜落の道を辿る。
即ち今この飛行船は『墜落』しようとしている。
しかも二匹の魔人は散々コントロールルームを殴ってたせいかコントロールルームのエネルギーを吸い、
二b以上の巨人となっていた。
----------------------------------------------------------------------------------
大シ●タ×2
音声による攻撃も出来るようになった上戦闘能力もけたたましく上がったシ●タ。
>208
>「…カツアゲ?」
「え?違うんですか?」
悟空のことを昼食時から睨んでいた男は、そんなことは知らないといった表情を見せる。
カツアゲをされると思ったのは悟空の勘違いだったのだ。
地面が急に坂道になったかのように傾く。
悟空は突然のことにバランスを崩し、盛大にシリモチを着いた。
「何があったんですか?」
隣で転んだ男に事態を聞いた。
男も何も知らないのか、返答は無い。
目を閉ざして精神を集中させているだけ。
腹減った。
何も答えない男のことを放置し、食事のことを悟空は考え始める。
悟空にとって、食事は最大の楽しみの一つ。
最後に食事を取ってから、何日が過ぎたか分からない。
そう考えていると悟空の空腹感は更に増していく。
男が突然立ち上がり、座っていた悟空の足を掴んで走り始める。
「ちょっと!痛いぞ!デギャアアア!!」
男は一心不乱に走っていく。
悟空のことを気にせずに走っていく。
悟空は頭や体を床や壁にぶつけられ、かなり酷い状況になっている。
ようやく男が立ち止まった。
悟空の頭は血まみれになっている。
壁や床にぶつかっていた時、鋭利な部分で頭を斬ってしまったのだ。
「あんた……酷かったよ」
悟空は男にそう言うと、再び気絶した。
私達の隊はフランス東で魔人達と戦ってるふりをしながら、騎士団を不意打ちで倒していき、侵入経路を開いていく。
「…中尉」
「どうしました?」
騒がしい戦場の中で部下からの呼びかけに耳を傾ける。
「デスメタル准尉の身に何かあったようです。
>>123で彼に与えた鉄の仮面が破損しました」
何故それがわかるのかは良くわからないが、だいたい想像はつく。まあ、そういうシステムの物という事なのだろう。
「戻るのも遅いし気になりますね」
「……」
仮面で表情は伺えないが、サイコメタルにしては落ち着きがない様子だ。
「サガセ」
私が支持を出そうとしたところで口数少ないナイト隊長から珍しく命令を出した。しかも隊ではなく個人に対してだ。
サイコメタルも一瞬驚いた様子だったが、軽く会釈すると忍者のように一瞬でいなくなった。
私はまず訓練所に行ってみましたが、いきなり大当たりでした。
「生きておられたのですかクリスタル様」
まず目についたのが、先程会っていた貴族様。
その次にそれと対峙している銀髪の剣士。
そして背景化して動かない
岩の下敷きになってるデスメタル、
近くに落ちてる仮面の欠片、
倒れている首無しの騎士2体とフルメタル、
近くに落ちてる金の斧
状況が飲み込めない。
一つ予想できるのはクリスタル様が対峙している剣士は倒すべき敵であるだろう事。
「一段落着いた後、事情をお聞かせ願います」
私はクリスタル様の下に控え、銀髪の剣士を見据えた。
212 :
名無しになりきれ:2007/02/05(月) 19:19:43
コウガタソハァハァ
213 :
名無しになりきれ:2007/02/06(火) 11:56:53
あずべる
>207>210
EAGLEの斬撃を受け、騎士の死体は再び動かなくなる。
ゾンビがどんなに打たれ強くても、聖なる攻撃の前には無力だ。
「む〜。せっかく生き返らせてあげたのに〜」
ぼやきながら、次の攻撃に移ろうとした時、
>生きておられたのですかクリスタル様
鉄仮面を付け、大鎌を持った魔界騎士が援護に来たようだ。
>一段落着いた後、事情をお聞かせ願います
「ありがと、助かったよ。
出来るだけ、EAGLEくんを近づかせないようにしてくれると嬉しいな」
サイコメタルに話しかけた後、EAGLEにも声をかける。
「魔界からどんどん攻め込んで来てるみたいだけど、止めに行かなくていいのかな?
速く行かないと、フランスが占領されちゃうよ?」
言い終わった後、EAGLEに向かって連続で衝撃波を放つ。
場所:魔界帝国-ジェネシス宅VIPRoom-
尋問された青髭は暫くしげしげとジェネシスの顔を見る。
そして一言斬り捨てた。
「知りませんよ。」
そう言った途端に青髭はジェネシスの拳を受け吹っ飛んだ。
それからは観るも無惨な『拷問』だった。蹴り、殴り、蹴り、殴り。
ジェネシスは容赦しなかった。
しかし青髭の方も口を開こうとはしなかった。
それから何十分たっただろう。青髭は散々な姿になっていた。
機械みたいに今だ正常な表情のジェネシスはまた何十回目かの問いかけを青髭にする。
「三つの神器は何処にある?」
しかし青髭は以前黙ったままジェネシスを見つめたままだった。
ジェネシスは再度殴りかかろうと拳を振り上げる。しかしその時だ。
「ジェネシス様!」
使いの者が部屋の中に入ってきた。ジェネシスはそのまま静止し使いの者を観る。
青髭も観た。そして、床の中に居る者達も。
そして使いの者は報告する。
「騎士ギルト側が『三つの神器』のありかについて吐きました!」
「…なんですと…。」
眼を見開く青髭。ジェネシスはにんまりと笑った。
「…ご苦労。…すぐにその場所を魔人達に伝えよ!上級魔族達だけでいい!」
「はっ!」
そう叫ぶと使者は消える。青髭の信じられぬといった表情をしていた。
自分が信じていたチームに『裏切り者』が出てきたのだ。
冷笑するジェネシス。そして背後から青髭の頭を踏みつけると女に言った。
「おい!…床に居る数匹の餌と一緒にこいつを『牢獄』に閉じこめておけ。
私は『新たなる身内』に早速指示をしてくる。」
そう叫ばれ女はにっこりと嗤うと青髭の首根っこを掴み、引きずり、
楸 刹と数匹を指さし、床から浮かび上がらせ、兵士達と共に少し言ったところにある『牢屋』に投げ込んだ。
『牢屋』の中には大量の食事が置かれている。腹ぺこだった数人の人間はそれを観ると頬張り始める。
しかし数人の人間は食べなかった。
何故なら察したのだ。この『食事』を取って太らされた後は自分たちは家畜と同じ。
『食われる』と。
------------------------------------------------------------------------------------------
上級魔族緊急指令:
『騎士ギルト中世騎士訓練所』、『騎士ギルト近世騎士訓練所』、『騎士ギルト本部』にある
青髭の予言の儀式の必須品である、三つの神器の強奪。
神器の場所等は避難所にて後発表します。
>198◆s20LXVlK5.
アスタロット、麻木葱牙は突如現れた時空の波に吸い込まれ魔人等居ない原始時代に飛ばされた。
そしてそこでアスタロット、麻木葱牙は大量の原始人に襲われ迫害され二度と、
この地球に、魔界に、現れることはなかった。
視界を赤いフィルターが覆っている。
一瞬、自分が死んだものかと錯覚するが周りに閉じ込められた人間が、その錯覚を払った。
(んだこりゃぁ・・・)
自分は何か液体に沈められていた。
液体の中だというのに、呼吸が出来る。
魔界特有の特殊な液体なのだろう。
自分の状況を確認する途中、不意に聞こえた老人の声に気付き視線を上へ向ける。
(・・・上?)
一つ気付く。
楸から見ると天井のソレは、彼らからは床として存在した。
とどのつまり、ここはでかい"水槽"だった。
その床に、鎖で繋がれた老人と一人の男、そして見覚えの有る女が立つ。
女がこちらに視線を向け、嘲笑した。
その"舐めた"笑いが楸を苛立たせる。
―ザケやがって
ただ見てるだけにはいい女だが、中身が腐ってやがる。
いい女だが、いい女じゃねぇ。
女の嘲笑に対して、楸は天井越しにただ殺気を出して睨めつけた。
彼らの会話が耳に入る。
ジェネシスという名の男、案の定性根の腐った女の発言、そして三つの神器という言葉。
(ジェネシスって確か創世とかそんな感じの意味だったっけな・・・)
魔人がそんな名前を持つのを、不快に感じる。
下級の魔族しか見たことのない楸にも、ジェネシスの存在の大きさは分かる。
実際知恵も、力も、野望もジェネシスに比肩する魔人はそういない。
ただそれでも、やはり彼にとって魔人はただ世界を混乱に落とす存在としか受け取れなかった。
そんな男が、創世などと。
ジェネシスはどうやら老人に三つの神器なるものの、在り処を問いただしているようだった。
だが、老人は答えない。
老人が口を開いた。
『知りませんよ』
老人がジェネシスの拳を受け、吹っ飛ぶ。
口を開かせるための暴力はそれだけだけで終わらなかった。
(おいおい、年寄り相手に・・・男がやっていい事じゃねぇだろうが)
老人をいたぶるジェネシスへの憤りを感じ、老人達に近づこうとするが・・・。
(うぜぇ!んだこの壁!)
自分達と彼らを遮る壁が邪魔だ。
殴りつけるも、自分の拳に痛みが残るだけだった。
ジェネシスの暴力は続き、神器の在り処を問い続けた。
押し黙る老人にジェネシスが再度拳を振るおうとする寸前、使用人のような者が部屋に入ってくる。
騎士ギルド側が神器について吐いたとの事だった。
ポーカーフェイスだった老人の顔が、驚きで色づく。
騎士ギルドの存在を知らない楸には状況がよく分からなかったが、老人の耐えた痛みが、おそらくだが無意味なものとなったのは分かった。
反面ジェネシスは喜びを浮かべ、なにやら慌しく周りへ指示を出し始める。
『おい!…床に居る数匹の餌と一緒にこいつを『牢獄』に閉じこめておけ。
私は『新たなる身内』に早速指示をしてくる。』
女はそれを聞いて笑うと、青髭の首元を掴む。
そして突然、何か見えない力が楸の体を引っ張り天井の上に出す。
これはチャンスってヤツだ!
天井に出た楸はすぐさま懐のナイフに手を伸ばそうとするが、体が動かない。
見えない力で抑えられているかのような感覚。
舌打ちすら出来ず、そのまま牢に投げ込まれた。
牢に置かれた沢山の食事。
楸は目もくれなかった。
―アイツらの用意した料理なんざ食えるか
裏があんの、見え見えだってんだよ。
それでも食事を口に運ぶ人は居た。
長い間閉じ込められていたのだろう、皆、やつれている者ばかりだった。
食事を頬ばる数人に、少しばかりの同情の視線を送った後、拷問を受けやつれた老人を見つける。
酷く疲労して見えた老人に、声をかける。
「・・・おいじーさん、大丈夫か?生きてるか?」
>>211 新手の騎士がやってくる。
格好からは人か魔かはEAGLEには判別できないが、
魔人を守り自分に対峙する事からして、明らかに魔に属する者だ。
「次から次へと……まあいいでしょう、どうせ全員叩き潰っ……」
一瞬、EAGLEの逆立った髪の毛が倒れかけた。
オーラも澱む。
「ふっ!」
すぐに気合いを込めて持ち直した。
早くもエネルギーが尽きかけている。
魔人の大軍勢が向かっている以上、こんなところで力尽きるわけにはいかないのだが、
もはや変身形態を保つだけでも苦しい。
だが、やらざるを得ない。
例え死すとも、一人でも多くの魔人を道連れに。
いや、全ての魔人を道連れにせねばならない。
だから、まだ死ぬわけにはいかない。
「だらっ!!」
ひときわ大きくオーラを立ち上らせ、EAGLEは新手の魔人、サイコメタルに突進する。
>>214 >「魔界からどんどん攻め込んで来てるみたいだけど、止めに行かなくていいのかな?
>速く行かないと、フランスが占領されちゃうよ?」
クリスタルが言い、衝撃波を放つ。
「くっ!」
サイコメタルに気を取られ過ぎていた。
突進方向から放たれた攻撃に反応が一瞬遅れ、横っ飛びでかわそうとしたところを直撃し、弾き飛ばされる。
「ちぃっ!」
間髪入れずに放たれる次弾。
吹っ飛んでいる最中だったが、全力の舞空術で真横に方向転換し、何とか回避した。
次々弾。
今度は避けらず、クロスアームでブロックする。
そして叫ぶ。
「止めに行きたいのは山々ですよ、貴方さえいなければ!」
聖破剣を振るった。クリスタルに向けて放たれる退魔の波動。
が、それは次の衝撃波に受け止められ、その次の衝撃波に破られた。
再び吹き飛ばされるEAGLE。
「むぐっ…!」
攻撃に転じる暇がない。
さらに連続して放たれる衝撃波を、EAGLEは走り回ってかわしたり、
剣やガードで受け止めるのが精一杯だ。
「このっ、調子に…… !?」
眼前の衝撃波をジャンプでかわそうと足に力を入れた時だった。
右足が反応せず、がくりと耐性が崩れる。
超ガイア人化による身体強化で騙し騙し動かせていた右足が、
ついにエネルギー不足でダメージを誤魔化せなくなったのだ。
よろけた体勢で直撃するEAGLE。
「ぐああっ!!」
クリティカルヒットし、為すがままに吹き飛ぶ。
訓練場の壁に激突し、壁を粉砕。
なお勢いは死なず、訓練場の中で跳ねたり壁を壊したりを繰り返しながら、
扉の開け放たれていた武器庫の内部に突っ込み、
地下室への階段を塞ぎ隠していた鎧像にぶつかって倒したところでようやく勢いが止まり、
そのまま現れた階段を地下へと転がり落ちていく。
「う……ぁ」
地下室の中。
朦朧とする意識でふらふらと数歩歩き、EAGLEは倒れ、気絶した。
エイブラハムは遅れて地上へと現われ、巴里の付近の料理店で、人間に紛れて少数の眷属のみを連れている。
上層部の指示を受け取るために、優雅な食事を楽しむジェントルマンの皮を被って潜伏し、待機しているのだ。
決して、どうしたら良いかわからなくて、まごまごしていたわけではない。
今、エイブラハムはジェネシスから遣わされた使者から伝令を受け取った。
「……」
新たな命を受けたエイブラハムは、3種の神器が急遽必要であるという状況を、他の上位魔族に速やかに伝えるべく、再び紙と筆を取り出した。
今度は表地に文面を書き、裏地には呪文を書いた。
エイブラハムの手紙は古い魔界の言語で記されており、これを解するものは2000年以上の齢を重ねた者か、特別な言語に詳しい者のみ。
この手紙を折り畳んで鳥の形にすると、エイブラハムは近くに居た悪霊を魔力で支配し、これを手紙に宿らせた。
すると、手紙は鳩の姿になり、巴里の街へと飛んでいった。
原理はともかく、見た感じは東洋の術で言う「式神」に似ている。
「ご主人様、そろそろ動きません?」
傍らのメイドは、吸血鬼の再生能力と十分な時間をもってしてもなお癒えぬ瘤を抑えつつ、主に進言した。
「……」
すると主の方は、そんなことはわかっていると言わんばかりに、飲みかけのワインを一気に飲み干した後、席を立った。
それにしてもこの侯爵、台詞が無い。
そして律儀にも、勘定を済ませて店を去った。
>>214>>219 「見失ってしまいましたね」
訓練所に消えたEAGLEのほうに向いて、その場で倒れた仲間を見やる。
「この状況をお聞きしたいところですが、指令が出たようなのでクリスタル様は先に御行きください。
私はこの二人を先に連れて帰ります」
落ちていた金の斧を拾い上げてデスメタルに乗っている岩に目掛けて投げると、
鎖を伝って、その能力で斧で岩を切り裂くように変形させまくる。
一瞬後、その岩はバラバラに崩れ、その下から出てきたデスメタルを肩に背負い、
地面に伏していたフルメタルを脇に担ぐとそのまま東へ向かって歩いていった。
>>215 「―との指令です」
ナイト隊長に対してもこの指令が出ているらしい。
「コイ」
そして私にもついてくるように促す。他のお供は必要ないといった態度だ。
サイコメタルがいなくなってた二人を抱えてここに戻ってきたので、一応彼女にこの戦場を一任しておく。
「中世騎士訓練所はクリスタル様が探っていると思います」
あの人生きていたのか。まあそうすると私達は近代騎士訓練所かギルド本部だが…
隊長様は近代騎士訓練所に向かうようだ。
そして訓練所に着いて任務に取り掛かったわけですが、私はあまり戦力にならず。
しかし我らが隊長様は凄いですね。機械騎士の攻撃をもろともせずに大剣一振りで次々に破壊しています。
…任務忘れてませんよね?
【プロローグ】
僕が産まれたところは真っ黒な世界だった。
真っ暗真っ暗真っ暗真っ暗真っ暗真っ暗真っ暗真っ暗真っ暗真っ暗真っ暗真っ暗
真っ暗真っ暗真っ暗真っ暗真っ暗真っ暗真っ暗真っ暗真っ暗真っ暗真っ暗真っ暗!!
とにかく真っ暗な所だった。目眩がするくらい。そして僕は毎日その世界で数を数えられた。
淡々と、まるで目眩がするくらい。
1・・・2・・・3・・・4・・・100・・・100000000...
数えるのは大変だった。でも楽しかった。
何故なら僕が数えてる世界は一秒単位に様々変わっていったからだ。
泣いたり、笑ったり、苦しんだり、殺したり、生かしたり、産まれたり。
そして僕はそれを見ているうちに数えてるその生物の根本に住み着いてるモノをじわじわと目に焼き付けていった。
それは今でも僕の瞳に焼き付いている。僕の瞳を見れば君もその存在に気付くだろう。
醜くて、ドロドロで、そしてそこに確かにある微かな光の存在を…。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
僕の先ほどまで眠っていた脳に、眼を伝って映る光景。
それはピッカピカに電気がスパークしている破壊されたコントロールルーム。
そして…
「うっひゃひゃ!なーんですかこれ!すんごいマッチョじゃない!どんなドラッグ使ったの!?」
僕の絶叫にマッチョ君のそばに居た男二人が僕の方を見た。
僕はそれを見てニマッて笑う。金髪の色素の薄い髪を指でクルクルと巻く。
「失礼♪なんかすんごい音がしたから見に来ちゃった。餓鬼が来る所じゃ無かった?」
あの二人に大した期待はしていない。
灰道としては、時間稼ぎくらいになれば良いと考えている。
稼いだ時間で何をするか。無論、食事。
食堂らしき場所にに着いた。が、何だかやたらと散らかっている。
どうやら何者かが、盛大に暴れていったようだ。
肝心の料理は床に散乱させられ、とても食べれられる状態ではない。
くぅ、と腹の虫が鳴いた。どうするか。
とりあえず厨房へ入ってみた。こちらは料理の代わりに血が撒き散らされていた。
それを見た途端、灰道の目の色が変わる。尋常ならざる、人ならざる色へ。
近くに落ちていた包丁を無造作に取り上げ、血の主を探す。
いた。いや、あった。コックの死体。全身に打撲傷がある。
触れてみると、まだ温かい。どうやら亡くなってからそれほど時間は経っていないようだ。
灰道、手にした包丁で、コックの首筋を切りつける。血が吹き出した。
「いただきます。」
ゆっくりと血濡れの首に口を近づけていく。
が、その唇が触れる寸前、視界が大きく揺れた。眩暈?
違う。この飛行船が揺れているのだ。一体全体何がどうした?
バランスを崩した灰道は無様に尻餅をつく。同時に額に青筋が浮いた。
目標変更である。即ち、この謎の揺れの原因を探ること。
再び包丁を握りなおすと、コックの右腕の付け根に刃を当てた。
ゆっくりと、力を込めて、ごりごりと切断していく。
切れた。灰道の顔に笑みが染みていった。
切り取った右腕を担ぎ、ぬたり、と立ち上がる。
なぜこのような行動をとったのか。もちろん、「食料」の確保である。
一見物静かで人畜無害な灰道。しかしその本性は、恐るべき食人鬼であった。
「おいたをしてるのは誰かな…」
灰道、食堂を出て、ふらふらと揺れの原因を求めてさまよう。
こんな姿を他人に見られて無事で済むのだろうか?
>219-221
>ぐああっ!!
逃げ回っていたEAGLEに衝撃波が直撃。EAGLEは訓練所の中に吹き飛んだ。
>見失ってしまいましたね
「そーだねー。ダウンしちゃったのかな?」
しばらく待ってみても出てくる気配はない。
こちらから迎えに行こうかとクリスタルが考え始めた時、コウがパタパタと近づいてきた。
「マスター。エイブラハム様からお手紙です」
「エイブラハムくんから?珍しいね」
受け取った鳩を手紙に戻す。
手紙の内容は、『騎士ギルトから三つの神器を強奪せよ』との命令書。
クリスタルは本部の塔を見上げ、次に、EAGLEが消えた訓練所の壁の穴を見た。
本来なら本部の神器強奪を優先したい所だが、この訓練所内にも神器があるようだ。
EAGLEが神器の存在に気づいているかどうか分からないが、放っておくわけにも行かないだろう。
>この状況をお聞きしたいところですが、指令が出たようなのでクリスタル様は先に御行きください。
>私はこの二人を先に連れて帰ります
「うん。上司の人にもよろしくね〜」
去っていくサイコメタルの背中に声をかけてから、訓練所の方に近づく。
「マスター、待ち伏せを警戒した方がいいですよ」
「う〜ん。そんな事するかなぁ?」
穴から中をのぞいて見るが、人が居る気配は無い。
「そうだ。エイブラハムくんにお返事を書いておこう」
空中で指を動かすと、軌跡がそのまま文字となる。
中世騎士ギルトを捜索する。との内容を無駄に長い文章で書き終えると、文字群は一列に並んでエイブラハムの所に飛んでいった。
無事に届いてね〜。と見送るクリスタルの耳に、訓練所内を探索していた、コウの声が聞こえた。
「マスター。怪しい地下室を発見しました」
「ほんと?コウくんご苦労さま〜」
嵐が通り過ぎたような部屋の奥、散らかされた武器庫の中、倒れた鎧の後ろに階段があった。
EAGLEの姿はどこにも見あたらないが、わずかに人の気配を階段のしたから感じる。
「怪しいね〜。何か隠してますって感じ」
「さっきの男は、すでに下に降りたようですね。
神器の事を知ってるんでしょうか?」
「行ってみればわかるよ」
クリスタルは魔力で明かりを灯し、階段を降り始めた。
暗くても見えるが雰囲気に合わせたのだ。
「EAGLEくん。今度はかくれんぼか、おにごっこで勝負かな?」
暗闇に声をかけながら、下を目指す。
>>209 傾く船内、その中をどんどん走る魚民。
>「ちょっと!痛いぞ!デギャアアア!!」
あらゆる所に当たりまくる孫悟空。しかし魚民はそれに構わず走っていき、
コントロールルームに駆け込んだ。そして目の前に居る巨大なシェフ達を見る。
>「あんた……酷かったよ」
なんだかボロボロになってしまった孫悟空が魚民に言う。
しかし魚民は悟空を一目見ると一言言った。
「右を殺れ。…いや、殺さなくても良い。この部屋から出させるだけで良い。
くれぐれもコントロールルームには触れさせないように、な、頼むよ、隊長。」
そしてにこっと魚民は笑うと次の瞬間シェフの顔面眼かげておもいっきし孫悟空を投げた。
絵に描いたかのようにシェフの顔面に向かう孫悟空、それをかぽーん顔で見つめるシロタ(左)。
シロタ(右)は孫悟空が自分の射程距離に入ると持っていた棍棒で地面に叩きつけようと棍棒を振り上げた後、
棍棒を持ってない方の拳を握ると三発ほど悟空の腹、頭、胸の部分に向かって殴りかかる。
一方シ●タ(左)はそれを唖然と見て、隙が生じていた。
そこへシ●タ(左)の頭に魚民の蹴りが入る。傾いていた船の中故シ●タは倒れるのと同時に傾いていた方向へ流れていく。
コントロールルームの壁にシ●タの頭が当たる。シ●タは魚民を見たが遅かった。
魚民はすでに天井高く飛び上がっていた。そして一瞬で目つきが変わったかと思うと思いっ切りシ●タの胸元を踏みつぶした。
そしてナイフを抜く。シ●タの首もとに突き刺すつもりだ。しかし、途端にシ●タ(左)は息を吸う。
「「「クワッ!!!」」」
そしてシ●タ(左)は声の衝撃波を出した。その声の衝撃波に魚民は吹っ飛ぶ。魚民だけじゃない。
どうやらこれは味方、敵関係なく衝撃を受けてしまうタイプらしい。
コントロールルームの破壊もそのせいで若干進む。
コントロールルームは真っ暗になり電気の閃光が走る。傾きも進む。
事態は常に悪化中。しかし敵側してみれば防衛軍側の悪化は良好。
シ●タ(左)はニヤリと妖しく笑うと立ち上がった。魚民は攻撃をもろに受け暫く蹲っている。
このまま飛行船はフランスに着けず全滅か?
しかし、その時だコントロールルームの自動ドアが開いた。
光が差す。そしてそこから響くひょうたんな声。
>「うっひゃひゃ!なーんですかこれ!すんごいマッチョじゃない!どんなドラッグ使ったの!?」
魚民がはっとし声がする方を見る。
>>223 するとそこには薄金髪の可愛らしい小娘が茶目っ気たっぷしに髪をクルクルと弄りながら立っていた。
>「失礼♪なんかすんごい音がしたから見に来ちゃった。餓鬼が来る所じゃ無かった?」
小娘は脳天気に部屋の中に居る人間に尋ねる。
彼女も恐らく防衛軍の人間だろう。という事はそれなりに戦える…のか?
この筋肉もなさそうな女が?
「…女…逃げろ。」
よろつきながらようやく魚民は立ち上がるとシ●タと向き合う。
しかしその時すでにシ●タの眼は魚民を見てなかった。シ●タが見ていたのは完璧に女の方だ。
するとシ●タは「うほっ!いい女」という一言を残し魚民そっちのけに小娘に襲いかかる。
>217
場所:魔界帝国-牢屋-
―――騎士ギルトに裏切り者が出た。
これは青髭にはショッキングだった。
しかも神器の場所は騎士ギルト上層部の騎士達しか知らない。
だからパリで上級魔族を取りしまっていた時のあの女騎士が密告した訳では無いだろう。
要するに騎士ギルトの裏切り者は上層部の人間という事だ。
どうりで青髭の予言がこうも筒抜けな訳だ。
青髭はため息をつく。すると一人の男が青髭に近づいてくる。
>「・・・おいじーさん、大丈夫か?生きてるか?」
青髭が死んだような眼で男を見た。その男は若いアジア系の青年だった。
青髭はフッと嗤うと言った。
「…大丈夫ですよ。私は…こう見えてもフランスの騎士ギルトを率いる『青髭』…
ちょっとやちょっとで死にやしませんよ。」
まるで自分に言い聞かせてるかのようにそう言うと青髭はひょいっと立ち上がりぐぐっと気伸びした。
そしてストレッチを少しすると、青年、楸 刹を見た。
「…それにしてもお若いのに大変な事になってしまいましたね。
しかも…お若いのに随分肝が据わっている。ほれ、見てご覧なさい、周りを」
そう言われ周りを見てみれば楸 刹、青髭以外の人間は死んだような表情をしていた。
兎に角最後の晩餐とばかりにどんどん詰め込む者、それさえ出来ずにただ死期を待つ者、
兎に角不安で不安で暴れ回る者…。
牢屋の中はすっかり『魔界帝国』に似合う世界となっていた。
「…全く、人間とは随分情けなくなったものですね。…私も人のこと言えませんが。」
そう言うと青髭は寂しそうに笑い。コロンと寝転がった。
「……ところで、貴方はどの様な経緯でこちらへ?通学の帰り道に拉致られたのですか?
…いや…貴方は学校とかには行ってなさそうですが。」
230 :
兵士:2007/02/10(土) 20:52:27
ここは……どこだ?
そうだ…………俺は確か、あの悪魔に殴られて……
ヘルメットをきつめに被っていたのが功をなしたらしい。
体が思うように動かない。意識がはっきりしない。
状況を確認しなければ……
俺は軽く周りを見渡すと、安定しない足取りでフラフラと廊下へ出て行った。
>224
「おい……お前、何をしている? その持っているものはなんだ?」
調理室を出て歩いていたら、誰かの腕を持った怪しい男を発見した。
さっき、厨房に右腕が無いシェフの死体が一人あったような気がする。
まさか、こいつがやったのか……!?
灰道の唇の端には紅いもの。
皮を剥がれて筋肉がむき出しになった「腕」を振り回しつつ、灰道は歩き続ける。
若干揺れがひどくなったような気がするが、構わず歩き続ける。
彼には自身が危機に晒されている実感など全くない。
ただ、口の中に広がる甘美な鉄の臭いだけが、彼の脳を支配している。
>「おい……お前、何をしている? その持っているものはなんだ?」
何処からともなく、声。ちら、とその声のした方を見かけると、部屋から兵士らしき者が出てきた。
灰道、兵士の全身を舐め回すように見る。彼の癖、もとい挨拶であった。
「……ご飯、かな。」
そう言い放つと、兵士にゆっくりと近づいていく。ぬたり、ぬたり、と。幽鬼の如く。
そんな折、どすどす、と床を踏みつける音が聞こえた。
何者かがこちらに向かって来ている。誰だ?
ふい、と振り返ると、いた。いつかの筋肉質なシェフである。
どうやら例の二人の攻撃を掻い潜って逃げてきたらしい。
しかしさすがに無事とはいかなかったようだ。全身傷だらけである。
「役に立たない連中…」
そう呟いた灰道は、もはや血濡れの肉塊と化した「腕」に、深い、深い、接吻を施した。
それが合図となってかならずか、シェフがこちらに突進してくる。
灰道、微笑む。灰道、相変わらず動かない。
その隙にシェフが灰道の首を鷲掴みにし、窒息させようと力を加えていく。
それと同時にしだいに灰道の頬が膨らんでくる。はち切れんばかりに大きくなった頃…
灰道の口から、ぷっ、と何かが噴き出した。紅い霧。血である。
先の接吻。そのときに「腕」から血を吸い出したのであった。
血の霧を顔面に浴びたシェフは思わず手を離し、眼を覆う。
「兵士クン、よく見とけ… きっと役に立つ。」
直後、灰道の蹴りがシェフの股間に命中する。金的蹴り。
堪らずシェフが蹲ったのを認めると、「腕」を無造作に放り出す。
そして、ポケットに隠していた包丁を取り出す。先程厨房から盗み取ってきたものだ。
それをシェフの左眼目掛けて閃かせた。プシュ、と気の抜けた音が響いた。
眼を覆っていた手ごと、左眼を貫いたのであった。驚くべき流麗な動きで。
そのまま引き抜かずに、抉る、抉る。シェフの哀れな悲鳴が木霊した。
灰道は楽しそうだった。子どものように、安らかな微笑を湛えていた。
シェフが振り回す拳をものともしない。まるで動きが全て分かっているかのように、軽く避けている。
一通り抉り終わり、包丁を抜き取る。だが、まだ終わりではない。
空きっぱなしのシェフの口を目掛けて、空いている左手を伸ばす。
そして掴んだのは、舌。そのまま、ぐい、と引き寄せる。
もはやシェフはあまりの痛みに抵抗する力すら失ったようだった。
シェフの顔面が灰道の顔に近づいてくる。何をするのか?接吻?否。
灰道は大きく口を開けると、シェフの舌をくわえ込む。そしてそのまま噛み千切った。
シェフは口から大量の血を吐き出し、そのまま倒れこむ。立ち上がる気配はない。静かに痙攣するのみだった。
鮮やかと言うにはあまりに惨い、灰道の「戦闘」が終わった。
「後始末頼んだからね…」
包丁をポケットにしまい、「腕」を拾い上げ、何事も無かったかのように歩き出す灰道。
床はまだ、グラグラ、と揺れている。それでも歩き続ける。その姿は、この揺れを楽しんでいるかのようにも見えた。
灰道、仮眠室へと戻る。もはや揺れの原因はどうでもいいようだ。とりあえず、生物を惨殺したのに満足したらしい。
>227
悟空は気絶している。
戦うことなど到底できない状態にあるのだ。
投げられた悟空はシェフの攻撃を受け、生死の境をさまよっている。
悟空は果たして生き残ることができるのだろうか?
>>226 EAGLEは気絶している。
戦うことなど到底できない状態にあるのだ。
徐々に階段を下りてくるクリスタル。
EAGLEは果たして生き残ることができるのだろうか?
>>229 >「…大丈夫ですよ。私は…こう見えてもフランスの騎士ギルトを率いる『青髭』…
ちょっとやちょっとで死にやしませんよ。」
青髭はやつれた目をして笑った。
その笑いも、乾いて見えたのだが。
(青髭・・・?・・・名前じゃねーよな)
青髭とは愛称なのかとか、騎士ギルドは何なのかとか聞こうと口を開きかけたが、止めた。
空気を読んだ・・・訳ではない。
単に青髭が先に口を開いたからというだけ。
>「…それにしてもお若いのに大変な事になってしまいましたね。
しかも…お若いのに随分肝が据わっている。ほれ、見てご覧なさい、周りを」
>「…全く、人間とは随分情けなくなったものですね。…私も人のこと言えませんが。」
周りの状況は確かに凄惨だった。
おおよそ人が持つ負の感情をそのまま描いたような・・・、それこそ地獄絵図に近いものに見えた。
「・・・ま、しょうがないだろ。人間そんな丈夫にゃ出来てねぇ。
あんな水槽にずっと閉じ込められてりゃ、狂う気持ちも分かるぜ。
俺は来たばっかだからよ、大して辛い目にゃあってねぇのさ」
そう言うとそのまま寝転ぶ青髭に、合わせて床へ腰を降ろす。
>「……ところで、貴方はどの様な経緯でこちらへ?通学の帰り道に拉致られたのですか?
…いや…貴方は学校とかには行ってなさそうですが。」
「・・・・・・・・・」
――通学?
俺は22だぞ!!
「じーさん、悪いが俺は学生じゃねぇ。もう成人してる」
学生に見られたことに対する不満を浮かべ、話を続ける。
「魔人っていんだろ?人間を殺しまくってんのを黙って見過ごすわけにもいかねぇと思って、魔人を倒すために街に出たんだが・・・
ちょっとドジ踏んじまったっつか、不意打ちされてよ。気付いたらここにいたって訳さ。」
自身の事情を一通り話すと今度はこちらから、青髭に尋ねた。
先の部屋で浮かんだ疑問を。
「それより、じーさんに聞きてぇ。
水槽から見てたが、さっきの部屋で何してたんだ?
あのジェネシスとかいう男は何者で、三種の神器ってのは何だ?
答えられんなら答えて欲しい」
>234
階段を降りて行くとEAGLEが倒れているのが見える。
生きてはいるようだが、完全に気絶しているようだ。
「丁度良い機会ですよマスター。止めを刺しましょう」
う〜ん。とクリスタルは考え込む。
「やっぱりいいや。今回はそっとしておこう」
「えーっ!?こいつは敵なんですよ!敵!!
目が覚めて後ろから攻撃されたり、神器探しを邪魔されたりしたら、どーするんですかっ!」
「だって動かなくなった玩具を壊すなんて、つまんないんだもん」
言いながらクリスタルは、ハンドバッグの中をのぞき込む。
「いいですかマスター。
ここは自分の気持ちより任務を優先して‥‥何してるんですか?」
「んー?邪魔されないように縛っとこうと思って」
取り出したロープで、EAGLEの顔以外の場所をぐるぐる巻きにし始める。
エビフライ縛りにするつもりなのだ。
237 :
名無しになりきれ:2007/02/12(月) 15:45:28
銀色大神
>>228 >「…女…逃げろ。」
「へ?」
ちょい男前な青年男性が苦しそうに僕に警告した。
さらに観れば下には一匹の猿…そして二匹の腐臭がする魔人っぽい奴が二匹。
なるほろ、これは要するに。
>「うほっ!いい女」
マッチョの一匹が僕に襲いかかる。
そ、これは要するに。
「襲撃って・・・ことかにゃv」
そう言った途端にマッチョは僕に拳を振るった。
ゴシカァアン!!パァアン!!
響く快音。端から見れば僕はやられたように…見えただろう。
でも、マッチョが撃ったのは…
「ど〜こ観てるのぉ?へへへ」
僕はマッチョの背後で笑った。そしてゆっくりと僕の方に振り向くマッチョ。
…まるで花弁のようにその手には風船の割れカスがひっついている。
これぞ、奇術師お得意の瞬間移動マジックv
撃たれる直前風船と自分の身をすり替えたのら〜。
僕はニンマーと笑うとおもいっきし男を背後から蹴り飛ばした。
ドガァア!っと凄い音を立てながらコントロールルームの入り口を抜けて奥にある部屋の壁に見事シュートォ!
…は無理だったけどコントロールの入り口にその巨体をはまらせる事に成功した。
そのままブラリと動かなくなるマッチョ。恐らく気絶したのだろう。
「…ちょっとやりすぎちったかな?」
そう言ってぽりぽりと頭を掻いた後、僕はちょい色男に手を振った。
「お〜い!だいじょうび〜?って…だいじょうびっぽいね。立ち上がってるし。」
僕はそう言うとたったったっと小走りでもう一人の倒れてる奴に近づいた。
それをじっと見るマッチョ男。
「君!邪魔!!」
そう言うと僕はまたもやけっ飛ばした。
コントロールルームの壁に激突しますます斜めに床がなるけどそんなの
どこでも歩ける靴を持った僕に関係にゃいんだな。うん。
僕は僕よりちょっと大きい男のほっぺをべしべしっ!と往復ビンタした。
「お〜い!起きろよ!情けないぞぉ〜!!
男はな、気合いだ〜ガッツだ〜根性だ〜。」
てね!
>239
「んっ…」
頬に何かが連続して当たる感触を覚え、悟空は意識を取り戻す。
目をゆっくりと開けると、目の前には女の子がいた。
彼女が自分を介抱してくれたのかと思っていたが、さっきから頬が痛み続けている。
また、新たに頬に衝撃が走った。
よく見れば、女の子は自分を殴り続けている。
「って、痛いんだけど」
悟空は女の子のビンタを受け止め、起き上がる。
お腹が大きく音を鳴らし、悟空はお決まりの台詞を言った。
「オラは腹が減ったぞ」
悟空の脳の大半は食欲で埋め尽されているのは、母校では当たり前のことである。
『EAGLE……EAGLE……』
頭の中に響くような声で、EAGLEは目を醒ました。
ぼんやりとした白い光に満ちた空間。
「ふむ……ここは?」
『貴方の意識の中です』
目の前にすうっと人影が現れた。
「あ、貴方は!?」
驚くEAGLE。
その姿は、10年に渡ってEAGLEの成長を見守り続けた師匠だった。
しかし。
彼女は長年不治の病を患っており、2年前にこの世から去っている。
もはや存在しないヒトなのだ。
「……そうか、私はあの魔人に殺され、こちら側に来てしまったというわけですね……」
首を振る師匠。
『貴方はまだ生きています。
しかし、貴方の意識はこのまま目覚めることはないでしょう。何故だか分かりますか?』
「分かりません……」
俯くEAGLEに、師匠はあくまで優しく声をかける。
『ここは貴方の意識の中。自分を誤魔化すことはできませんよ、EAGLE。
怖いのでしょう?あの魔人が。いや、あの魔人に再び敗北してしまうことが』
「違っ……」
EAGLEはすかさず言いかけ、しかし諦めたように首を振る。
「……いえ、違いませんね。私は確かに怖い。目が覚めたら、再び戦わねばならないことが。
私の体を見てください。全身打撲に肋骨も3本骨折、利き足も折れています。
魔力も気も体力も空っぽ。目覚めてもただ殺されるだけなら、
いっそこのまま安らかに死んでしまえばいいと思っていることは、否定できません」
泣き言。
天帝になってこのかた、人前で吐いたことのない種類の台詞である。
いや、厳密には師匠を亡くして以来というべきだろう。
この状況で修行時代の幼い彼が再び顔を出すのが、
彼の弱さ幼さと呼ぶべきかどうかは、見る人に判断を委ねることにする。
「しかし!」
EAGLEは両手を広げ、師匠を強く見据えた。
「しかし!私はフランスを守らねばならないのです。
恐ろしくとも目覚めて戦わねばならない、それでも今の私に戦う力はない。
起きても死ぬだけです、死ぬだけならまだしも負けるのです、二度も同じ相手に、立て続けに!!
それでも、私は眼前の敵を破り全ての敵を破る義務があるのです!!
義務がなくともそれをしたい、しかしできない!!
私は……私は一体どうすればよいのですか、師匠!!」
『少し落ち着きなさい』
師匠は静かな、しかし芯の篭もった声で言う。
EAGLEは噛み付くような視線を師匠に向け、しかし口は噤んだ。
『まずひとつ。貴方は間違っています、EAGLE』
「何が間違っているというのです?」
挑発するように尋ねるEAGLE。
対し、師匠は表情を崩し、柔らかく笑った。
『貴方が、自分がひとりだと思っていることですよ』
「……!」
目を丸くするEAGLE。
師匠はゆったりと歩み寄り、彼の双肩に手を置いた。
『全ての敵を倒す必要はないのです、貴方はひとりで戦っているのではないのですから。
貴方がそこまでの重圧を背負う必要はないのですよ。
貴方が守ろうとしている人間達だって、自分達の地上を守るために頑張っています。
彼らだって平和と正義の心は貴方に少しも負けませんし、貴方のドラゴンを退けたほどの強い力も持っています。
彼らを一方的に守ろうと思ってはいけません。貴方は彼らと一緒になって魔界を退けるのです。
だから、どうです?彼らのことも、少し信じてみませんか?ちょっとだけ頼ってみませんか?』
EAGLEは黙っていた。
呆気にとられたような間の抜けた表情で、彼の師匠の話を聞いていた。
そして、笑った。
「……あはは」
「今回も私が間違っていました、師匠。
私ひとりで魔界の軍勢に勝てるわけがない。今思えば、恥ずかしいくらいの思い上がりでした。
……しかし」
EAGLEはぶるりと武者震いが身を駆けるのを感じた。
「私と人間達が力を合わせれば、魔界の軍勢などに負けるはずがない」
『そのとおりです』
にっこりと微笑む師匠。
『それが分かれば、貴方はもう何も恐れる必要はありません』
「ええ。何故小さな敗北を恐れる必要があったのでしょう。
あの魔人に一矢でも報いてから死ねば、後の”仲間”たちに繋がる。
そして、仲間達があの魔人を倒せば、それはひいては私の勝利でもある」
『そのとおり』
再び瞳に光の宿った弟子を、満足そうに見つめる師匠。
弟子は師匠に改まって向き直り、深々と頭を下げた。
「ありがとうございました、師匠。本当に。
そしてお会いできて本当に良かったです。私はそろそろ行かねば」
『お待ちなさい』
「え?」
『貴方は今酷く疲弊しています。もう少し休んでからいきなさい』
「いえ…、そういうわけにも」
『言ったはずです、貴方はひとりではないと』
悪戯っぽく笑う師匠。
『私も貴方の仲間です。一度きり、これ限りですが、手を貸しましょう』
「え?」
『体を借りますよ。そして見ていなさい、貴方の師匠の最後の戦いを』
すうっと、師匠の体が消えた。
>>236 「やれやれ、こういうプレイは嫌いではないのですが」
タイミングを同じくして、クリスタルに縛られている最中のEAGLEがぱちりと目を醒ました。
その体が一筋の光に変化し、縄からするりと飛び出す。
クリスタルから少し離れた地点に着地し、再び人の形を成した。
しかし、その姿はEAGLEではなかった。
老婆。
笑顔の形に定着した皺がどこか愛らしい、背の低い老婆だ。
「お初にお目にかかります。私の名はバルカローラ・ミカエラ」
バルカローラは微笑みの皺をさらに微笑ませ、クリスタルに声をかける。
「どうです?魔人さん。
緊縛プレイも楽しいものですが、もっと楽しい遊びは他にもあります。
……例えば、この地下室の奥の神器探し競争とか」
声に悪戯っぽい響きが宿る。
「どうです?先に見つけた方の勝ち。宝探しの上に競争なんて、楽しさ2倍ですよ。
ああ、ついでにもうひとつ」
バルカローラはクリスタルに向けて右手を翳した。
一瞬で人間大の火球が現れ、まっすぐに猛スピードで放たれる。
「『死んだら負け』。
ふふふ、これで楽しさ3倍ですね。それでははじめましょう」
老婆の背中に6枚の翼が生え、羽ばたかせて地下室の奥の迷路へと消えていった。
いまだにぐらつきの止むことのない飛行船の廊下を、灰道が歩く。
噛み過ぎてペースト状になった舌を飲み込んだ。
味は悪くない。ただ、もう少し血にまろやかさがほしいところか。
そんなことを思いつつ、「腕」にへばり付いている肉片を齧りとる。
もはや「腕」を覆っていた肉は全て食らい尽くされ、骨が残るのみとなった。
灰道の興味の対象に骨は含まれない。
酷く絶望したような顔つきになり、腕骨を、ぽい、と放り出した。
腕骨は床に当たって、カラコロ、と寂しげに鳴いた。
仮眠室に着いた。一番近いベッドに潜り込む。
灰道、言うまでもないが、先のいざこざの所為で血塗れである。
しかしそれを全く気にする様子は全くない。
血を見ないと落ち着かない。そんな性癖のお陰で、リストカットじみたことをしたこともあった。
だが今は、体中血で染まっている。それが灰道を再び昂らせた。
血塗れの自分を想像し、もう自慰でも始めそうなほど興奮した彼であったが、なんとか押し留まる。
灰道、ふう、と大きな溜息を飛ばして、ゆっくりとまどろんでいった。
ところで、灰道が防衛軍に引き込まれた理由。
超能力ではない。灰道程度の能力者、世界には五万といる。
そもそも、灰道は滅多なことでは能力を使わない。
面倒だとか、疲れるだとか、テンションが上らないとか。理由は様々であるが。
それならば。冴え渡る近接戦闘技術か。それも、否。
やはり灰道ほどの使い手ならば、そこらに大勢いる。
灰道自身の戦闘力はそれほどでもない。ただ、その異常な残虐性で敵を圧倒しているだけ。
ならば、なぜか。防衛軍が灰道を抱えるメリットは、ない。
あまつさえ、灰道の存在は、人類にとってメリットになりえない。
そこで時の防衛軍上層部は考えた。全ては単純なこと。
つまり灰道を、秘密兵器として、つまり、秘密裏に――
この戦争を舞台として、死亡するように画策した。
人食いの証拠を巧妙に隠し続けてきた灰道を殺すための策。
まだ彼が味わったことのない魔人の肉を餌として釣ったのだ。
要は灰道を捨て駒にするつもり。食って、食って、そして食われれば良い、という考え。
灰道、そんなことは露知らず、睡魔に引きずり込まれていく。
場所:魔界帝国-牢獄-
>235
>「それより、じーさんに聞きてぇ。
>水槽から見てたが、さっきの部屋で何してたんだ?
>あのジェネシスとかいう男は何者で、三種の神器ってのは何だ?
>答えられんなら答えて欲しい」
「あの部屋で何をやってたって?ご覧の通り『拷問』ですよ。『三種の神器』の場所を吐かせるためにね。
…そんで三種の神器についてですが……。まあ……良いでしょう。
それに貴方には言っておいた方が良い…そんな『予感』がしますしね。
…三種の神器とは私、予言者が予言をするさいに行われる『予言の儀式』の時に使用される祭器の事ですよ。」
そう言うと青髭はどっこいしょと人差し指を一本出すと、
埃だらけの床に『首飾り』、『鏡』、『指輪』の三つのアイテムの絵を描いた。
「三種の神器は『首飾り』、『指輪』、『鏡』とありましてね、
嘗て、ベルサイユ宮殿でマリー=アントワネットが愛用した物達がそれらです。
ほら、歴史の時間で習ったでしょう?ドレスだの贅沢をして最終的にはギロチンに送られちゃった女王様ですよ。」
そう言うと青髭は自分の首をとんっと軽くチョップする。
そして青髭は更に地面に描いてあった絵に言葉を書いていく。
「…そんな女王様がお使いになっていたせいかそれらの神器達からは、
『魔人』が好む、『虚言』、『狂乱な運命』、『自惚れ』の『魔力』が泉のように溢れてましてね…。
予言の儀式の際では我が魔力を求めやってくる悪魔等を引き寄せる素晴らしき『囮』の役割を果たしてくれますが、
それらが魔人達の手に渡ってしまえばそれらの神器は
人を殺す為の『大型新型兵器』の材料と成ってしまうか…もしくは魔人達のパワーアップに一役買う『食料』となるか…
どちらにしろ人間達を不利な状況に追い込む材料になる事は間違いないでしょう。」
そう言うと青髭は地面に書いてあったものを全て消した。
そしてふぅ、と一つため息をつくと、ふっと笑うと立ち上がり、食料が置いてある場所を品定めをするように見回し、
肉を二本選び出し持ち出すと、楸 刹に一本を渡した。
「これなら食べても大丈夫ですよ。」
そう言うと楸 刹の横に座り青髭は肉を囓り始める。
そして楸 刹に一言尋ねる。
「…聞かなきゃよかったと思ってますか?
こんな死ぬ可能性が高い状況の中でこんな事。」
そう言うと手元にある肉をもう一囓りした
>>222から近代騎士訓練所でナイト隊長が機械兵士を破壊し、私は隊長に隠れて残ってる人間騎士を相手にして数も減ってきた。
もっとも隊長と違って私のほうは手こずっていたが…
隊長も機械兵士の数にウンザリしてきたのか、剣で叩き切っていたのを目からレーザーを放ち一掃する戦い方になった。
だがこの戦い方では確実な破壊に至らない事もあるので、結局剣を使って二度手間になる事もある。
しかし、数を減らしてきたのはいいが神器とやらを壊していないだろうか?
どうやらそう簡単に壊れる代物でもないようだ。赤いランスを持った機械兵士に当たった時だっただろうか?
そいつに放った隊長のレーザーが跳ね返された。それにその機械兵士は気付くと戦闘を回避するように動いている。
あの中にある神器がレーザーを跳ね返し、それを護る為にできるだけ戦闘に関わらないようにしている。
「隊長、あの赤いランスを持った奴がおそらく神器を持っています」
ナイト隊長はその赤いランスに目を向けレーザーを放つ。いや、今跳ね返されたんですよ?
もちろんそのレーザーも跳ね返され今度は隊長の鎧を貫いた。鎧の強度が落ちてるような気が…
そう思っていたが他の機械兵士の攻撃をその鎧で受け止め反撃の剣で破壊する。
気合で装備の強度を上げる能力であると聞かされたのは後の事。
「神器持ちの機械兵士におそらくレーザーは聞きません。接近戦に持ち込んでください」
今ちょっと部下の立場として失礼な物言いだったかと懸念したが、隊長はそれほど気にしていないようだ。
やはり奴は隊長が近づくと逃げる。だが外に行く気配は無いようだ。
ここは私が奴を足止めするしかないようですね。
>243
ロープで縛っていたEAGLEの体が光に変わり、老婆の姿になる。
>お初にお目にかかります。私の名はバルカローラ・ミカエラ
「はじめまして、バルカローラちゃん。
私はクリスタル。よろしくね〜」
あいさつを返すクリスタルに、バルカローラは、神器探し競争を提案した。
>どうです?先に見つけた方の勝ち。宝探しの上に競争なんて、楽しさ2倍ですよ。
>ああ、ついでにもうひとつ
「危ないっ!」
コウを掴んで後ろに転がり、飛んできた火球を避け、そのままゴロゴロ転がって壁にぶつかる。
火球はクリスタルの頭上の壁に当たり、炎と熱をまき散らした。
「うひゃー。危なかったー」
>『死んだら負け』
ふふふ、これで楽しさ3倍ですねそれでははじめましょう
「だから止めを刺そうって言ったんですよ!
強そうなのが出て来ちゃったじゃないですかー!」
翼を羽ばたかせて遠ざかるバルカローラの後ろ姿を見ながら、コウが叫んだ。
「六枚羽かぁ。かなりの実力者なのかな?
天界が動いてるなんて驚いたねぇ」
「そんな事言ってる場合じゃ‥‥天界側が来てるんですか!?」
「普段は、天界の人はあんまり魔界の相手してくれないから、珍しいよね〜。
地上に来てるのは、EAGLEくんだけかな?」
「バルカローラもいるじゃないですか」
「あの人はもう死んじゃってるよ。EAGLEくんの体を借りてるだけ」
死んでるのに、私に勝てるかな?死人を操るのは私の得意技なのにね。とクリスタルは笑った。
「よ〜し。それじゃあ私も、楽しい楽しい神器争奪戦を始めちゃうよ〜!
スタート!!」
クリスタルもバルカローラを追って、迷宮の奥に走りだした。
途中、呪を唱えながら、壁を触る。
壁から生み出された石槍は、先行しているバルカローラを目指して飛んでいく。
>>249 飛来する石槍を、速度を落とさず槍の軌道に巻きつくような螺旋飛行でかわすバルカローラ。
後ろにも目がついているような精微さだ。
槍はバルカローラを追い越し、正面のT字路の壁に向かっていく。
「ふふふ、元気で結構です。その元気がいつまで続くか、見物ですね」
バルカローラは右手をついと挙げ、ぱちんと鳴らした。
「【摂理魔法】アンプリアメンテ」
同時に、先程の槍が正面の壁に刺さる。
否、刺さったどころではない。
粉砕した。
摂理魔法。
万象を支配する理法を、神の御声によって一時局所的に変更する、
天界でも最も高度な部類に属する魔法である。
天界の永き歴史のなかでも、行使できる者は5人に満たないといわれている。
もちろんEAGLEでは使えない。
「アンプリアメンテは、【範囲内における全ての攻撃の破壊力を10倍にする】摂理。
範囲は地下室全域に指定しました。
この地下室には数々のトラップが仕掛けられていますが、
それでも私や貴女のレベルでは聊かスリルが足りないでしょう。このくらいでなくてはね」
トラップの破壊力が10倍。
そして、バルカローラとクリスタルの攻撃力も10倍。
単純な殺傷力はもとより、こんな巨大な破壊力が乱発されれば、地下ゆえに崩れ出さない保障は全くない。
敵と同じだけ自分も危険。あまりにクレイジーだ。
バルカローラは壁の崩れたT字路を右に折れ、直進。
再び右手をついと挙げる。
「徐々に増やしていきますよ。【摂理魔法】アパガドス」
ぱちんと指を鳴らす。と、飛行の風切り音をはじめ、全ての音が消失した。
耳が痛くなるほどの無音空間が訪れる。
「アパガドスは【生物の音声を除く、範囲内の全ての音を消去する】摂理。
勿論範囲はこの地下室全体です。
さて……そろそろ最初のトラップに見舞われる頃ですかね?」
バルカローラの笑みに、僅かに先程までとは違った色が宿る。
「こうして貴方の迷宮に挑んでいると、あの頃を思い出しますよ。『青髭』……」
>>238 人間を見かけで判断するのは良くない。
魚民はつくづくそう思った。
魚民を通り抜け女に襲いかかる魔人はあっという間に風船を殴ったかと思えば、
蹴り飛ばされ、扉に嵌り、挙げ句の果てにはもう一匹の魔人も足蹴り。
一見単なる気まぐれな行動に見えるがこの女は相当やり手だ。
魚民は唖然とした表情で悟空を叩く女を見つめた。
防衛軍はどうも変わり者が集まってるらしい。そう思った瞬間、妙な気配を察した。
「………おい。」
魚民が二人に呼びかける。
魚民は一つの異変に気付いたのだ。魚民の目線は先ほど蹴り飛ばされたマッチョの一人。
そのマッチョは先ほど以上に目をギョロリとさせて息が荒い。
そして心なしか身体の色が赤みが掛かっている。
「わ…私は……!私は…!」
頭を抱えフラフラと立ち上がるシロタ。
「「私は!!食の千年帝国を作るのだ!!!!」」
「!?!? おい!お前等!耳を塞げ!!」
魚民が察し叫ぶ。そして次の瞬間、シロタは全ての力を込め、
声の衝撃波を出した。
その瞬間、コントロールルームが破壊され部品がぶっ飛ぶ。
青白い電気は更に加速し、船は垂直に傾き、
船は、『墜落』への歩を静かに加速させる。
灰道、寝ぼけ面で床に這い蹲っていた。
一体全体何が起こったのか。さっきまで自分はベッドの中で寝ていたはずなのだが。
ゆっくりと見回してみる。壁からベッドが生えていた。無論、そんなことがあるわけはない。
ベッドは床に固定されていた。そのため、船が垂直になることで、ベッドが壁に張り付いているように見えるだけ。
しかし寝起きの灰道には、その程度のことを理解することもできない。
混乱した灰道は隠し持っていた聖書を開き、適当に目に付いた文を解読しようとする。
が、それすらも不可能。極度の混乱で散漫した精神では、アルファベット一つを確認するのも難しい。
それ以前に、教養の足りない灰道では、英語で書かれた聖書を読むことはできない。
灰道、解読を諦め、聖書を枕にして再び眠りに就いた。
>251
>「………おい。」
悟空は声のする方に振り向く。
振り向いた先にいる男は悟空達ではなく、別の方向に向いていた。
悟空も自然と男が見ている先に視線を向ける。
マッチョなシェフだ。
よく見てみれば見る程、変態に見える。
何か赤くなってハァハァしているし。
>「わ…私は……!私は…!」
シェフが頭を抱え立ち上がる。
体の内部に気を集中させているみたいだ。
それにしても続きの言葉は何だろう?
やはり蠍座の女なのか?
>「「私は!!食の千年帝国を作るのだ!!!!」」
違ったみたいだ。
>「!?!? おい!お前等!耳を塞げ!!」
体の中に溜った気が咽に集中され、声と共に衝撃波として発せられる。
悟空はその予兆を見付け、少女の手首を離して耳を塞いでいた。
発生した衝撃波によって室内は完全に破壊される。
気絶する前にここがコントロールルームと聞いていたので、完全に破壊された今、この飛行船は直に落ちるだろう。
「仕方ねえな」
悟空はこの傾いた部屋の中、床を壁に登るかのように走り、少女と男の手を掴んだ。
次の瞬間、悟空は飛行船の中から、フランスの上空から消えた。
「ふぅ、ここなら安全だろ」
ここはどこだか分からない。
近くにいくつかの強い気があったので、その場所に瞬間移動したのだ。
「そんで、オラは大丈夫だけど。
おめえらは大丈夫か?」
悟空は何が起ったか分からないであろう二人に聞いた。
>250
飛来した槍をバルカローラが回避する。
同時に、異質な力が空間を満たすのを感じて、クリスタルは足を止めた。
直後、直進した槍は、進行方向正面の壁を粉砕する。
「また力加減を間違えたんですか!?
迷宮と一緒に神器まで埋めちゃう気ですか!」
「う〜ん‥‥牽制のつもりだったんだけどなぁ。
摂理変化系の魔法かな?破壊力アップ?」
疑問の答えの代わりに、新たな異変が与えられる。
音の消失。
発する声は聞こえても、それ以外は完全なる無音の世界。
通常ではあり得ないはずの世界を構築するのは、バルカローラの尋常ならざる魔力の証。
「‥ひょっとして僕たち、とんでもない化け物を相手にしてるんじゃ‥」
「う〜ん。摂理魔法を使う人と戦うのは1000年振りだしね〜」
2000年振りだったかな?言いながら踏み出す一歩が、わずかに沈み込む。
同時に音も無く、天井がクリスタルの上に崩れ落ちた。
「マスター!トラップです!!」
コウの声を聞いて、クリスタルはとっさに魔力障壁を張る。
その姿はすぐに降り注ぐ石に覆い隠された。
「マスター!ご無事ですか!?」
コウは側に駆け寄るが、クリスタルの姿が見当たらない。
「コウく〜ん!こっちこっち!」
声のした方を見ると、下に空いた穴の中で、クリスタルが手を振っている。
天井の罠が床を砕き、下のフロアを出現させたのだ。
「御無事でしたか」
「うん。ちょっと擦り傷があるくらいかな」
笑うクリスタルの頭から赤い血が流れる。
「岩が障壁を抜けてきたんで、ビックリしちゃったよ。
痛かった〜。怪我したのって何年振りかな?」
「そんな事覚えてませんよ‥でもこれだけの威力になると、罠も侮れませんね」
「そうだね。道案内の人でも探そうか」
その言葉と同時に、ぼんやりとした人影が現れた。
罠に倒れた盗賊の亡霊をクリスタルが呼び出したのだ。
「教えて。この先道はどうなってるの?
この場所の近くに大きな罠はない?」
亡霊はうめき声を上げた。
「ふ〜ん。なるほど‥
コウくん。ちょっとあっちの道を見張っててくれる?
バルカローラちゃんが来たら、合図が欲しいな」
「了解しました」
コウがその場を離れると、クリスタルは隠されたスイッチに手を触れた。
合図と同時に押せば、巨石の罠がバルカローラを押しつぶす事だろう。
眠れない。どうにも体がふわふわとしていて、不安定なのだ。
精神的なものではない。事実、物質的に、体が床に密着していない。
灰道の額に汗が滲む。そろそろ状況が飲み込めてきた。この船は、堕ちている。
このままのんびりと寝ていたのでは、船ごと己の体も粉々になる。
となれば、この船からなんとか脱出するしか他はない。どうするか。
灰道、仮眠室を飛び出し、本来壁であるはずの床をひた走る。
垂直になった船の内部を走り回るなど、普通の人間では到底できないことではある。
しかし、灰道にはできる。極度に研ぎ澄まされた精神が、それを可能にする。
わけも分からず右往左往している兵士達を、殴って、蹴って、包丁を突きつけて、どかす。
ついでに倒れこんだ兵士から、銃やらサバイバルナイフやらを失敬しておく。
そうしてなんとか駆けずり回っている内に、ついた。物置である。
灰道、目に付いたものを片端から取り上げてみる。
懐中電灯、非常食らしき乾パン、煙玉、小型の爆薬など。それらを、見つけた手提げ鞄に入れてゆく。
さきほど兵士たちから頂戴した物も、同じくその手提げ鞄に放り込む。なぜかしっかりと携帯している、聖書と包丁もだ。
そうしているうちに、見つけた。目当てのパラシュートである。灰道はこれを使って脱出する算段。
灰道はパラシュートの使い方など知らない。それでも、なんとかなろう、という考え。
一通り脱出の準備を整えた灰道は、物置から脱出すると共に、近くの窓ガラスの破壊を試みる。
出口を見つけてそこから上品に降下するよりは、窓を破って飛んだほうが早いのだ。
しかし、そうも上手くことが運ぶはずも無い。飛行船の窓は、ほとんどが強化ガラスなのだから。
さすがの灰道にもこれには焦る。急いだつもりが、逆に遠回りになっているのではないか、と。
銃を取り出し、窓に弾を撃ち込む。一、二、三発。割れない。もう一発。駄目だ。ひびは入ったが。
これ以上の無駄撃ちは避けたい。やむをえず、銃を手提げ鞄に戻す。そして。
「つえぇぇぇいっ!!」
掛け声と共に、窓に向かって右の肘撃ちを叩き込む。会心の一撃であった。
粉々になったガラスは太陽の光を反射し、毒々しく煌きながら、空へと流れていった。
なんとか窓の破壊に成功したものの、灰道の肘も無事ではすまない。
あちこちガラスの破片が刺さり、出血を起こしている。力も入らない。
しかしここで立ち止まるわけにはいかない。いよいよパラシュートを身につけ、鞄を握る手に力を込める。
灰道、覚悟を決めて窓から外へ飛ぶ。ひょい、と。身軽に。黒い食人鬼が大空を舞った。
>253
>「そんで、オラは大丈夫だけど。
> おめえらは大丈夫か?」
そこにはジェーンは居なかった。
++++++++++++++++++++++++++++++++++
ジェーンは船内に居た。
目はぱっちりと開いたまま動かない。
ジェーンは役目を終えたのだ。
ジェーンは未来から送られた人形だった。
未来の人間が、過去を変えるために作った人形。
そしてジェーンは、高熱に解けていった。
>226
「なるほどー。クリスタル様は中世騎士ギルトに行かれるのですね」
エイブラハムとその従者は、クリスタルが飛ばした文字列を受け取った。
「どうなさいます、ご主人様?」
主は、笑みを浮かべて答えた。
この返事はまったく好都合である。彼は元から中世騎士ギルトは他人に任せ、後回しにする予定だった。
とはいえ、近世騎士の操る機械兵では、エイブラハムに抵抗する術を持たない(少なくとも、彼はそう考えている)ので面白くない。
となると、狙うは騎士ギルト本部。
本部とあらば、他の二者に比べて警備も厳しく、こちらとしても楽しめるのではあるまいか。
行動方針を決めたその直後、このエイブラハムは従者達にハンドサインで指示を出した。
従者の長であるメイドが敬礼をし、執事の格好をした者達がそれに応じると、エイブラハム自身は手を振って、巴里の街の雑踏の中に消えた。
残された従者達は、騎士ギルト本部の建物へと向かった。なんと徒歩で。
ほどなくして、騎士ギルト本部の塔の周囲に赤い霧が発生した。
霧は瞬く間に辺り一帯を包み込み、視界が著しく悪くなる。
そして、霧の中から執事風の男達が現われ、その後ろには主君ではなく、何故かメイドが将の如く控えていた。
「変ですね。入り口が見当たらないですよ、ご主人様」
主君の姿はそこには無く、それに答える声も無い。
しかしこのメイドは、彼女は言葉を解すことなく主の意思を汲み取り、その望みを満たすことに長けている。
迷っている時間は思いのほか少なく、すぐに執事達に指示を出した。
「……さあ、この辺りで思う存分暴れなさい!」
その号令に、執事達は雄叫びをあげて応じた。
暴れてれば、入り口がパカッて開いて、中から何か出てくるだろう、と思ったのだろう。
恐らくは天の岩戸のエピソードを参考にしているのだろうが、この騎士ギルト本部の建物は、多分天の岩戸とは関係無いだろう。
メイド自身の頭は、決して良くはない。
>>247より続く対機械兵士
ナイト隊長から離れると私は敵の攻撃にさらされる。だからと言って隊長の影に隠れていると神器持ちの機械兵士足止めができない。
とりあえず外へ報告に行こうとする人間兵士を銃殺する役目を果たしていたが、そろそろ弾切れしかけてきた…
早く神器持ちを破壊する算段を考えなければならない。
隊長がもう少し早く動ければいいのだが…いかんな。どうしても隊長に頼る方向に戻ってしまう。
何かもう一齣あれば…
>>245 「拷問…」
やはり、と。
(…水槽から見てる限りでもありゃなぁ…)
拷問と聞いて浮かんだネガな思考を慌てて振り払う。
今は三種の神器の話を聞くの方が先だ。
拷問を受けてまで話さなかった神器だが、どうやら話をして貰えるらしい。
何でも話をしておいた方がいいという"予感"がしたからとか。
「……そりゃ、ご機嫌な予感だぜ」
そう呟くとチャかした笑みを浮かべた。
――で、三種の神器についての話を聞いた訳だが…
まぁ、本筋は分かった。
本筋は。
只予言の儀式云々とマリー・アントワネットが分からなかった。
俺はオカルト方面や世史等に全く興味がなかった。
興味だけではなく、知識もなかった。
マリー・アントワネットについては、青髭がさも認知して当然な口調で言うものだから、ついこちらも知っている風な相槌をうってしまったのだったが。
(こっから戻れたら調べとくか…確か、マリー・アント…、アント…アントネワットだったな)
(とにかく、大事なのは三種の神器が首飾りと指輪と鏡だって事と、それを魔人に渡したらやべぇって事だな)
三種の神器に宿った思念などどうでも良かった。
もし、魔人に渡したらヤバいなら渡さなきゃいい。
それだけだと。
三種の神器の話を終えた青髭は立ち上がって、料理の置かれた場所から骨付き肉を掴んだ。
その内の片方をこちらに差し出す。
「おう、サンキュ」
青髭が大丈夫と言うなら、大丈夫なのだろう。
初対面だが、青髭には俺をそう信頼させる何かを持ってた。
受け取ってかぶりつく。
くそ、魔人の癖して美味いもん作りやがって。
…料理に国境はないって話を聞いた事があるが、こりゃ国境どころじゃねぇよな。
青髭が尋ねてきた。
「聞かなきゃ良かった?」
そう言うと、薄く笑みをもらす。
「思う訳ねーだろ、そんなこと。
知らないよりゃ、知ってた方がマシだって。
それに…」
肉を剥がれて骨だけになった料理を壁に向かって投げ捨て続ける。
「可能性高いっつっても、死ぬつもりねーし。
第一、魔界で死ぬなんざまっぴらごめんだ。
俺は死ぬなら太陽に照らされて死にたいね。
………じーさんだってこのまま諦めて死ぬ気なんかねーよな?」
>>261 問いの答えを黙って青髭は聞き入る。
力強い言葉だった。この暗闇の世界には到底似合わぬぐらいに。
そして今度は楸 刹が青髭に問いかける。
>「………じーさんだってこのまま諦めて死ぬ気なんかねーよな?」
「……無論です。自分がここで死ぬのも、
こんなに勇ましき勇者をここで死なせるのもごめんです。」
青髭は静かに楸 刹の言った事に頷くと微笑んだ。
力強い『言葉』は時に人の心をも元気づけるものだ。
実際、青髭の少々重くなっていた心にも若干軽くなっていた。
暫くして青髭は楸 刹に脱出の為の策を話し始める。
「恐らくもうそろそろ私達を迎えに、魔人達が牢屋へやってくるでしょう。
…本来それは絶望的な出来事ですが、
今回はその時がまさに私達の絶頂のチャンスです。
牢屋が開いた瞬間、一片に強行突破し、
城内に魔人が私をフランスから魔界へと連れて行く際に使った『罅』から脱出しましょう。
『罅』の場所は私が連れ去られていく際に覚えているのでご安心を。
…無論、追っ手もやってくるでしょうが…
恐らくジェネシス直属の部隊はたった今、フランス襲撃に向かっているので、
強さはともかくいつもよりは数は少ないはず。
ま、数は少ないといっても何十人はくだらない人数は居ると思うますが…。」
そう言ってるそばから牢屋に二、三匹の魔人がこちらの方へ来る足音が響き渡る。
数人の人間達が軽く悲鳴を上げる。ある者は机の下に隠れる者も居た。
しかし青髭は以前、楸 刹をじっと見、にっこりと笑うと、
青髭の首に掛かっていたペンダントを渡した。
「お守りです。不利な状況ですが、
そう言う状況の時こそ人は『進化』し『奇跡』を起こす。
では、行きましょうか。」
そう青髭が言うと兵士達の姿が現れた。
がっしりと装甲を固め、斧を持った二人の兵士は人間を見下ろすと、無機質に言葉を発した。
「時間ダ。オ前等ヲ殺シテ食料ニシテヤル。」
それを聞き真っ青になる人間達。
それを見て兵士は笑うと鍵穴に鍵を差し込む。
青髭は楸 刹の腕を掴んだ。
「離さないで居てください。」
鍵が回されカチリと錠が開く音が響く。
そしてドアが開いた瞬間、青髭は楸 刹をぐん!と引っ張り鍵を開けた兵士を即座に蹴り飛ばすと、
風のようなスピードで牢屋部屋から出た。
斧を持ったもう一匹の兵士は青髭を追いかけ牢屋部屋から出ると叫ぶ。
「オイッ!逃亡者ダ!引ッ捕ラエヨ!!」
すると青髭達の前に数匹の弓矢を持った子鬼達が現れると、青髭達に向かって弓矢を引く。
それとほぼ同時に後ろから追いかけていた斧を持った兵士は斧を振り上げ、楸 刹達の首を取ろうと走ってきた。
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敵NPC
子鬼弓兵×13
雑魚
斧兵×1
中級クラス。パワータイプ。
一方、騎士ギルト内の近代騎士、中世騎士の亀裂は岸本の策も働き、急速に悪化。
そしてそれはいずれ、騎士ギルト内の『崩壊』に繋がろうとしていた。
場所:中世騎士訓練所前
中世騎士訓練所前に集まる数十名の近代騎士達。
その目は無表情ながら怒りに満ちていた。
数十名の騎士団の中のリーダー格的存在の男に近代騎士の一人が何かを耳打ちすると、
コクリと頷き何やら刃無き剣を抜いた。
「近代騎士の何者かが我が軍に陰湿な攻撃をしてきた。しかも、複数。
…伝統などと幼稚なモノを掲げてきた爺くせぇ奴等めが…調子乗りやがって…
青髭の爺も居なくなった今、今こそ俺等の力!奴等に見せつける時が来た!!
『皆殺し』だ!!野郎共!!
例の食堂から武器庫から!例の『隠れ地下室』まで!
徹底的に中にいる人間をぶち殺せ!!
俺等、近代騎士の力を見せつけてやろうじゃねぇか!!」
そう叫んだ途端周りにいた武装派近代騎士達は雄叫びを上げた。
リーダー格が掲げていた刃無き剣から炎の刃が吹き出し、
果たして近代騎士達は中世騎士訓練所に乗り込んでいった。
場所:近代騎士訓練所内
近代騎士訓練所内にも『崩壊』の兆しが出てきた。
突如、近代騎士訓練所に響く壮絶な爆音が響く。
「な、なんだ!?」
「おい!あれを見ろ!!うわぁあああqあwせdrftgyふじこlp!!」
外にいた兵士達の首が曲がる。兵士達が見たもの、それは七匹の上級魔人達。
ジェネシスの要請を受けこの上級魔人達は神器のある訓練所にやってきたのだ。
どんどん近代騎士訓練所に乗り込んでいく上級魔人達。
普段なら上級魔人達でも太刀打ちできるほどの力を持っている騎士達。
しかし今、内乱、青髭の拉致、魔人達のフランスの盛大な襲撃のせいで、混乱状態に陥っていた。
いくら個々の能力が素晴らしくても団体能力が低下している軍隊に勝ち目など無い。
上級魔族達はドンドン中へ入っていき、
赤きランスをもった機械兵士、即ち岸本付近へと進んでいく。(
>>259)
>>258 暴れ狂う執事達、 エイブラハムの読みは当たったようだ。
暫く色んな所を殴ったり蹴ったりしていると、突如地鳴りが響き始め、
魔法陣が赤、白と2つほど浮き出てきた。
そして一緒に出てきた石版にはこう書かれている。
――選ぶがよい。試してやろう。我が王国の姫を守る茨達が…。
どうやら2つのうち一つ道を選ばねばならぬようだ。
『罠』なのか、それとも『真実』なのか。
それを知るのは青髭のみ。
覚悟を決め、魔法陣を潜ってみればそこには、
選んだ魔法陣の色の薔薇の茨に埋まった部屋が広がることだろう。
そして、まるで、中に入ってきた者を歓迎するかのように音楽が響くのだ。
美しい、罪にぬれた女のアリアが…。
>>265 ようやく増援が来ました。
「こちらです。あの赤いランスを持った機械兵士がおそらく神器を持っています」
魔人達の視線がこちらに向く。
「気をつけてください。神器の力なのか、あれはナイト大尉のレーザーを跳ね返しました」
報告を終えるとまたナイト隊長の影に隠れる。もう銃弾はフェイクしか残ってない。
もはや私に戦力はなくなったと言えるだろう。
268 :
オザワ:2007/02/20(火) 23:00:51 0
,-‐-.、 ⊂⊃ _.,-‐-、
/ `` ‐。 /⌒ヽ_´ \
// ⊂二二二( ^ω^)二⊃ ヽゝ \ <良コテのみんながんばるお〜
/ (/(/(ソソノ(/ / † ノ へ/ゝソソヽ\,\
(/(/丿`' ⌒ ( ヽノ .⌒''ヽ)\.)
ノ>ノ
レレ
うるせえ
俺の邪気銃を食らえ!!
うお!?まぶし
>>268 むっ、1人殺られたな。
>>269 確かに私はこの方々と比べれば階級は低いかもしれないが、忠告を聞かないと―
>>270 言わんこっちゃない。跳ね返されると言ったのに…
この増援の魔人達、頼りにして大丈夫だろうか?
場所:上空
>253
>「そんで、オラは大丈夫だけど。
> おめえらは大丈夫か?」
「…大丈夫……。!…ジェーンは?」
はっと気付いて周りを見て見るがジェーンの姿は無い。
しかし戻る訳にはいかなかった。
すでに飛行船完璧に炎上しているだろうからだ。
「…行っても最早助からない。」
魚民はそう言うと大分離れている所にある炎上した飛行船を見つめた。
しかし魚民は悲痛と言った表情を浮かべることは無かった。
戦争に犠牲者はつきものといった魚民の冷めている考えと、
何故かまた逢えるような変な感覚が魚民の悲しみを凄いスピードで吸収していったからだ。
暫く呆然として居ると、魚民は悟空が助けなかったら自分は死んでいたという事にようやく気付いた。
魚民に悟空に礼を言わなければという思考が働く。
が、何故か声が出なかった。妙な空気が流れる。
そして数分立たないうちに魚民は一つ何やら伸びていく音を聞き取る。
「…隊長。」
そう一言言うと魚民は音がする方を見た。
場所:フランス付近上空
飛行船から脱出した面々が暫く空中を飛行していると
突如薔薇の蔓が無数にやってきた。そしてその蔓は飛行船を包み込む。
普通なら蔓は炎上するが、その蔓だけは違った。
蔓は緩やかに何重にも巻き付くと飛行船の炎上を止めていく。
そして、時期、その蔓は飛行船脱出者に伸びてくると、脱出者に丁寧に巻き付き、
次の瞬間脱出者を地面へと引きつけていった。
一定のスピードを保ちながら、数分後、
脱出者達はフランスのパリ、エッフェル塔の前に到着する。
蔓の正体、それはエッフェル塔に絡みついたフランスの守護神である『青い薔薇』だったのだ。
『青い薔薇』はまるで何事も無かったかのように脱出者を助け終えると蔓を仕舞う。
パリに居た人間達はまるで物珍しそうにその様子を見ている。
そして、それからすぐに、脱出者の元へ一人の人間が歩み寄ってきた。
近づいてくる女は薄金髪の髪の毛を束ね、青い目を持ちまさにフランス美人といった感じだ。
しかし、その身に纏うものは鎧。そして左手には濃い緑のランスを持ち、白馬に跨っている。。
美人な『女騎士』は防衛軍達の前に馬を止め、降りると、膝まつき丁寧に礼をした。
「お待ちしておりました。『防衛軍』の方々。
私の名は中世騎士団を取り仕切る団長、フィア。
数年前、青髭様から騎士ギルト『壊滅』の危機に陥ったとき、
フランス付近の上空に壊滅の危機を救う『救世主』が訪れるだろうという言葉を思い出し、
今がその時と察しここであなた方が上空に現れることをお待ちしておりました。」
そう言うとフィアは端正な顔を上げ、立ち上がり、防衛軍の顔を見た。
「…到着して早々ですが、『騎士ギルト関連』の建物へご案内します。
『三つの神器』を奪おうとする『侵略軍』の魔の手から、なんとか神器を守ってくださいませんか?
最早、フランスにいる騎士達では守りきることは不可能です。お願いいたします。」
----------------------------------------------------------------------------
防衛軍:『三つの神器』防衛。建物は自由に選択してください。
鋭利になった空気が何度も頬を掠っていった。
パラシュートが開く前に、風の刃で細切れになってしまうのではないだろうか。
そんなありえそうもないことを考えつつ、灰道はただ堕ちていく。
そういえば、パラシュートはどうやったら開くのだろうか。
落下していったら勝手に開くものなのだろうか。
そんな都合の良さそうなことを考えつつ、ぼんやりと眼を瞑ってみた。
生への執着が薄まってきたころ、何か柔らかいものに包まれた感触に気がつく。
眼を開ける。蔓?夢でも見ているのだろうか。
急に安堵と諦観の念が湧き上がってきて、灰道は大きな溜息をついてみた。
妙な蔓に絡めとられ、そのままゆっくりと地上へ向けて降下していった。
やっと足が地面についたと思えば、灰道を助けた蔓はどこかへと退却して行った。
見回してみる。すぐ近くに塔らしきものがそびえていた。もしやかの有名なエッフェル塔か。
その周りで呆然とした顔を下げているのは、防衛軍の面々。
灰道に殴られた顔のあざをさする者もいた。
それを見て妙にいたたまれない気分になり、近くの茂みに身を隠す。
暇つぶしに防衛軍の連中を観察している内、一人の女が現れたことに気付く。
美味そうな女騎士である。灰道にはそうとしか表現しようがない。
いかにも誇り高そうなその女は、何やら防衛軍に向けて話し始める。
その丁寧な口調に、思わず灰道は苦笑する。急にあまり美味くなさそうに感じた。
とりあえず、鞄に詰めてきた乾パンを齧ってみたりした。不味い。
そろそろ防衛軍としての責務を果たすべきか。
乾パンの欠片を吐き出すと、茂みを出て、フィアと名乗った女騎士に駆け寄る。
血を纏い、禍々しい気を吹き散らかす男が、清麗な女騎士の眼の前に立ちはだかった。
「姉ちゃん、キレイだな」
灰道が呟いた。何のことはない、気を逸らすための一言。
いきなりのことにフィアが呆然とする隙をついて、灰道はその顔に弱めの頭突きを見舞った。
頭と頭が衝突した瞬間、フィアの感情、思考、記憶、その類のものが一気に流れ込んできた。
『騎士ギルト関連』の建物三つの名称、そしてそこまでの道程も。適当な情報を選り分け、灰道は全てを理解した。
目指すは騎士ギルト本部。本部というからには、何か面白い物でもあるのだろう。
興味を惹くものは全て盗ってくる。神器とやらはそのついでで良い。
フィアが何か言いかける前に、さっさとその場を離れる。目指すは騎士ギルト本部。この女騎士はどうでも良い。
>257>272>273
「そういや、あの女の子がいねえな」
男に言われて初めて気付く。
確かにこの手に掴んだと思ったのだが、何時の間にかいなくなっている。
墜落する飛行船の中に置いてきてしまったのだろうか?
飛行船は墜落し、炎上する。
もし、あの中に置いてきてしまったのなら、もう助かることはないだろう。
その子が特殊な力を持っていないのならば。
>「…隊長。」
男に隊長と呼ばれ、悟空は振り向く。
男は悟空の方を見ておらず、別のものを見ていた。
悟空も男の見ている方に視線を向ける。
「おぉ、あれは何だ?」
墜落中の飛行船に向かって植物の蔓が延び、飛行船に巻き付いていく。
蔓は燃えるけともなく、炎上する飛行船をしっかりと受け止めた。
悟空はその蔓がどこから出てくるか目で追った。
エッフェル塔。
そこから蔓が出てきている。
飛行船の火災は蔓の力によって鎮火し、飛行船は地上に降ろされる。
中にいた人達も無事かも知れない。
悟空はそう思い、飛行船の中に人がいるかどうか、気を探り始めた。
「おし。まだまだ、皆、生きている!」
飛行船の中には生き残っている人達が、周りには大きな気が、エッフェル塔にはとても優しい気がある。
そこで悟空は気付いた。
自分達の周りには大きな気を持った奴がいない。
いるのは普通の一般人だけだ。
「そうか……エッフェル塔が誘導してくれたのか」
ご都合的な考え方だが、墜落する飛行船に巻き添えにならないように、エッフェル塔がこのフランスの街角に誘導してくれたのだろうと、悟空は信じた。
「さぁ、大丈夫なら掴んでいてくれ。
オラ達もエッフェル塔に行く」
悟空は男に手を差し出して、あることに気付く。
「そういや、自己紹介がまだだったな。
オラは孫悟空。
薔薇大の二年生だ」
>>262>>263 俺が話しを終えると、青髭の表情が少しばかり晴れたように見えた。
理由は俺には分からかったが。
>「……無論です。自分がここで死ぬのも、
こんなに勇ましき勇者をここで死なせるのもごめんです。」
「勇者?それはちょっとオーバーだぜじーさん」
言葉とは裏腹に、表情はどこかニヤける。
――人間褒められて悪ぃ気はしねーよな
そのまま会話は流れにのって、青髭は脱出について話始めた。
(おぉ…もう脱獄について考えてるのか)
紳士的な見た目に似合わぬ行動の早さに少しばかり感嘆する。
まぁ、青髭が脱出について話を切り出さなければ自分で切り出そうとは思っていた。
ただ、どうやって?と、聞かれるとおそらく返答に困っている自分が見えるが。
青髭があらかた脱出についての旨を説明し終わると魔人の足音が響く。
――こちらに来る
「じゃ、じーさん。俺はさっき言われた通りに…」
不意に青髭が俺を見つめニコリ、とする。
そして首にかけたペンダントを外すとこちらに差し出した。
>「お守りです。不利な状況ですが、
そう言う状況の時こそ人は『進化』し『奇跡』を起こす。
では、行きましょうか。」
断りをいれようかと一瞬迷う。
本当にいいのか、大事な物ではないのか、と。
(いや…)
青髭は渡すべきだと判断してくれたから、こうして差し出したのだろう。
『進化』と『奇跡』の言葉の意味する事は分からないが、きっとコレは俺の為になる。
――誠意は受け取るべきだ
俺はペンダントに手を伸ばし、口を開く。
「…あんがとよ」
「うおぉお!!」
青髭に引っ張られ俺は魔人共から逃げる。
青髭は風のように走った
いや、例えじゃなくて、本当に。
それぐらい早かった。
(100メートル何秒とかそういうレベルじゃねーなこりゃ…)
>「オイッ!逃亡者ダ!引ッ捕ラエヨ!!」
そういうと目の前に弓を持った子鬼のような魔人が現れる。
「…ハ!!」
昂ぶりから笑みを漏らして、ナイフを手にする。
同時に後の斧兵がこちらに追いついた。
(おいおい、挟み撃ちかよ。卑怯ってんじゃねーの?)
ま、どーでもいいけど。
視線を斧兵へ戻し、手にしたナイフを放った。
キラキラと輝く銀色の光は、斧兵の"目玉"へ向け滑走する。
>266
二つの魔法陣が出現したのを確認すると、メイドは右手を挙げて執事達の動きを制した。
すると、あれほど騒がしかったのが、風の音しかしなくなった。
メイドは懐中時計を取り出して眺め、部下達の方も見ずに、右手でゴーサインを出した。
「仕掛けが起動したみたいね。まずは、セオリー通り―――こうしましょう」
メイドはまず、斥候として執事を差し向けており、自身は外で待機する戦法をとった。
執事達の集団は二つに別れ、それぞれ赤と白の魔法陣へと飛び込んでいった。
このような慎重な戦法をとったのは、執事はもともと魔術で死体を蘇らせただけの下級アンデッドで、
主もしくはその眷属が巴里の街で殺人を行えば、すぐに調達できる代物だからだ。
居なくなろうが次々生産ができ、たとえ敵にコントロールを奪われても簡単に始末できるので、主は何ら困らないのである。
暫くして、メイドは懐中時計を懐に隠し、再び口を開いた。
「っと。一応、コレを試してみるだけ試してみましょ」
メイドは眼を鋭く光らせると同時に体勢を変え、人差し指の先から一筋の針のようなものを放った。
光のようにも見えたが、これは高い貫通力を持った、実体を持つ針である。
常人の視覚では見えない大きさと距離ではあるが、建物の最上階の辺りに小さな傷が付いたのを彼女は確認した。
「そろそろ奴隷達から犠牲者が出る頃ね」
懐中時計を取り出して、きっちり3分経ったことを確認した。
不気味な赤い霧は晴れない。
278 :
名無しになりきれ:2007/02/24(土) 19:18:19 0
このスレ、やる気あるのかい?
>>274 >「姉ちゃん、キレイだな」
灰道の突然言われた言葉に誉められるのが苦手な女騎士、フィアは
思わず動揺する。
「…は!?!?、ってうご!」
そして頭突きを噛まされた。
フィアの記憶、思考、感情が一片に灰道の元へ流れ込む。
しかし灰道はその時一瞬妙な違和感を覚えただろう。
その脳内に刻まれた感情、思考、記憶の一部分に妙な灰色の霧が掛かったような…
まるで読まれることを恐れてるような妙に読みずらい所があったからだ。
しかし灰道は騎士ギルト本部へと駆けてゆく。
「待て!男!これに乗ってけ!空から行った方が数倍早い!」
そう言うと慌てて指笛を吹くと灰道の前にペガサスが一匹やってきた。
ペガサスは灰道を加えると背中に乗せ、目的地に凄いスピードで連れて行く。
>>274 場所:騎士ギルト本部に繋がる魔法陣前
二分ちょっとすると騎士訓練所が見えてきた。
そしてその付近を見てみれば灰道の目に妖しげな魔力を持った魔法陣が2つ光り輝いてるのが見える。
>>277 場所:騎士ギルト本部内-赤-
エイブラハムの執事達が見た物、それは巨大に上へと続く螺旋階段と、
それに巻き付く七つの半径三メートルにもなる巨大な紅い薔薇の怪物。
その薔薇の怪物は花弁の間に目玉が差し込まれまるで魔界の花みたいだった。
そして何処からともなく聖女のアリアは語る。
――赤は博愛…その裏血の赤、罪の赤…罪の数だけ炎に愛されその身を滅ぼせばよい…。
そう語られると紅い薔薇達は凄まじい炎の球を吐き散らかした。
周りを漂う赤い霧は時間がたつにつれ執事達の身を重くしていく。
そしていずれ執事達は最上階に行けずに燃やされていく運命を辿る。
しかし執事達は最上階に溢れんばかりの邪気を発した何かを感じた。
それが『指輪』だという事を察したはずだ。
場所:騎士ギルト本部内-白-
一方、白に入った執事達が見た物、それは巨大に上へと続く螺旋階段と、
それに巻き付く無数の小さな白い薔薇の花弁が舞うまるで雪国のような世界。
その薔薇たちは非常に美しいが、触れれば凍傷になってしまうほど冷たい。
そして何処からともなく、ここでも聖女のアリアは語る。
――白は平等、その裏無の白、孤独の白…可憐な舞に見とれ孤独の寂しさで凍え死ぬがよい…
そう語られると白い薔薇の花弁達は吹雪となった。
周りを漂う白い霧は時間がたつにつれ視覚を失っていく。
そしていずれ執事達は最上階に行けずに凍えてゆく運命を辿る。
しかし執事達は最上階に溢れんばかりの邪気を発した何かを感じた。
それが『指輪』だという事を察したはずだ。
結論:どちらに行っても『地獄』。指輪の場所に行くまでには相当な気力が必要。
>275
>「そうか……エッフェル塔が誘導してくれたのか」
「エッフェル塔…」
悟空が言ってたように見てみると何やらエッフェル塔に蔓は繋がった。
そして魚民は思い出す。フランスには『守護神』と呼ばれる青い薔薇が居たと言うことを。
青い薔薇はまるで人間の意志があるかのように『自由』に蔓を伸ばしたり縮んだりする。
>「さぁ、大丈夫なら掴んでいてくれ。 オラ達もエッフェル塔に行く」
悟空に言われ、魚民はしっかり差し伸べた手を掴んだ。
エッフェル塔に近づいていく…
空から見たフランスは魔人達の総攻撃を受け壊滅間近な所もあれば、
まるで平和そうな所もあった。
すると突然孫悟空が気付いたかのように突然自己紹介を始めた。
>「そういや、自己紹介がまだだったな。オラは孫悟空。
> 薔薇大の二年生だ」
それを聞き少し黙ると静かに魚民も言った。
「…魚民 京都。19歳。居酒屋の魚民に京都って書く。
……よろしく。」
何故か魚民は孫悟空に目を合わさず言った。
どうも人間と接するのはまだ苦手らしい。
>281
>「…魚民 京都。19歳。居酒屋の魚民に京都って書く。
>……よろしく。」
京都は悟空から目を反らして言う。
最初は睨みつけるように見ていたのに。
きっと、ばらすぃーみたいに照れ屋さんなんだと、悟空は解釈した。
「よろしくな、京都」
悟空は屈託のない笑顔で京都の肩を掴み、その場から消えた。
「おー、ここがエッフェル塔かー」
悟空はエッフェル塔の真下にいる。
京都の肩を掴んだ瞬間、不意打ちの如く瞬間移動をしたのだ。
「そんじゃ、飛行船にいた奴らと合流でもしようぜ」
エッフェル塔の近くにいくつもの強い気が集団で固まっている。
この気は飛行船の中にいた人達と同じ気質を感じた。
そこに行けば合流でもできるのだろう。
悟空は合流する為に走っていく。
合流した後は何をするか、隊長の癖に知らないままで。
>255
コウの合図を見たクリスタルは、罠を発動させるボタンを押しこんだ。
地下室全体を揺るがすような振動が響き始め、しばらくして、ひときわ大きな揺れが起こる。
「止まったみたいだね〜」
「これでバルカローラが潰れていてくれれば嬉しいんですが」
巨石の罠は数枚の壁を押しつぶし、行き止まりの壁に半分以上めり込んで止まっていた。
バルカローラの姿はどこにも無い。
「罠にかかってはいないようですね」
「う〜ん。どこに行ったんだろ?
あ。コウ君、あそこ」
クリスタルの指さす先に、下へ降りる階段が口を開けている。
道案内代わりの亡霊によれば、この先は宝の保管室。
目指す場所はすぐそこだ。
>264
静寂の空間内に地上の喧噪が聞こえ出した。
「騎士団の応援が来たんでしょうか?」
「どうかな。まぁ誰が来ても問題ないよ。
私たちとバルカローラちゃんが秘宝に一番近いんだから。
じゃ、お宝を取りに行こ〜」
下へ続く階段を降りて行く。
上級魔族が住む場所にしては、明らかに妙な…本棚が部屋の9割を占める部屋で、
テレサはベットに寝転んで一人本を読みながら報告を聞いていた。
服装は寝巻き姿で、威厳の欠片もない。
その報告を伝えているのはベットの前にある、
鏡である。その鏡自体から声を出し、上の方には目もある。
「だから、ついさっきテレサ様にも指令が届いて…」
「ふんふん、この、異世界の魔王さんの本、虚言と奸計を司るだけあって
勉強になるところもあるなぁ。で、何?よく聞こえなかったんだけど。」
「テレサ様、…これで説明、584回目でっせ!」
鏡の淵の、黒く綺麗な装飾品が真っ赤に染まり、文句を言った。
しかしテレサは余り気にしていない様子でこう言った。
「だって、聞いちゃったらすぐ行かなきゃいけないじゃない。
だからこれ読み終わるまでは聞かない。」
それに、冷たい目で突っ込みを入れる鏡。
「それ、聞いてるって事になってまっせ。早く行ったほうがいいんちゃいまっか?」
「あ。…そっか。じゃ、とりあえずゴーストロードとエレメントマスター呼んでよ。
出来る限りゆっくり。」
明らかに時間を稼ごうとしているが、鏡は容赦がない。
「もう隣に来てまっせ。」
それに舌打ちすると、隣から声が。
「姉御〜。うちの若い衆が早く人間にとり憑いて遊びまわりたいって大騒ぎなんですわ。
体手に入れる久々のチャンスですし、抑えるのも限界がありまっせ?如何しましょ?」
「ねぇ、テレサぁ。暴れていい?良いでしょ?人間みぃ〜んな捕まえて、グチャグチャに壊してあげるんだ♪」
それを聞き、テレサは即答する。
「好きにしていーよ。いつもどーり暴れていいって。他の子達にも伝えてあげて。
ただしコピーミラージュか私の指示が出たときだけは別ね〜。
後、屋敷警備とか交代ローテに入ってる子たちは守り〜。」
「よっぽどの事がない限り指示なんか出さないのに、テレサ様も性格悪いでっせ。」
それを聞いて、隣で盛り上がる声が聞こえる。
「ありがとぉ、テレサぁ。…さぁて。何人捕まえられるかなぁ?」
「了解でっせ、姉御。」
そして唐突に声が収まって静まり返った。数秒後、下の方で歓声が聞こえる。
「じゃ、私、母さん達や城の方に参戦するって伝えてから行って来るから、大鎌出して道あけて。
後、屋敷の管理とかはいつもどーり任せたよ〜。」
「了解でっせ。テレサ様。」
鏡面から純粋な黒色の大鎌が現れ、それが宙を浮いてテレサの前に来る。
テレサは本を置くと、鎌を手に取って言った。
「んじゃ、遊んでくるね。あ、それと…本の片付けよろしくね。…ゲート!」
テレサが鎌を持ち、魔力を込めて縦に一閃すると、空間に裂け目のようなものが出来た
そして、そこにテレサが入ると、瞬く間に裂け目が消滅してしまった。
数時間後…。城の中を寝巻き姿の上級魔族が鎌を持ってぼやきながら歩いていた。
彼女のそういった行動にはもはや慣れているらしく、見回りの魔族などは
わざわざ何かを言うわけではない。
「あーあ、寝過ごしたって言っただけであんなに怒られるなんてね。
母さんも固いなぁ。それとも、言い訳だってバレてたのかな?
これからまた将軍とか副将軍とかその辺のお偉いさんに
絞られるんだろうなぁ。ま、仕方ないか。殺されるのだけはごめんだし。」
そして、参戦の意思の報告のために、目的の部屋へと向かっていった。
場所:魔界帝国-牢獄付近-
>266
楸 刹の放ったナイフは斧兵の目に直撃した。
それと同時に弓兵の放った矢が青髭が貼った光のバリアによって、
跳ね返され弓兵の体に刺さっていく。これは騎士道の基礎的な技の一つだ。
青髭は、それこそ特別な技やど派手な奥義技を覚える事はしないが、
そう言う『基礎』の技においての技術力は半端無い。
跳ね返った矢は見事に弓兵の胸に辺り弓兵はほぼ壊滅状態になった。
瀕死の弓兵は「ヒィ!」と叫ぶとワープし、城の何処かへと消える。
しかし、斧兵の方はそんな雑魚達とは少々勝手が違う。
「「うごぉぉぉぉおおお!!!!!!!!!」」
凄まじい大声を出し斧を落とす斧兵。目に刺さったナイフからドクドクと緑の血が流れる。
その血はどんどん流れていくと地面に落ち、地面を溶かしていく。
「キ…貴様…人間ノクセニィィイィ!!!」
そう言い楸 刹を凄まじい眼光で睨みつける斧兵。
そして斧兵は自分の足下にある斧を再度持ち上げると、辺り構わず斧を振り回した。
壁、床、様々な物が切り刻まれ、城全体が大きく揺れる。
「楸 刹!!」
そう叫ぶと青髭はすぐさま楸 刹の腕を掴み揺れの中走り始める。
揺れの間に巧みに上へ上がる階段に踏み込んでいく青髭。
しかしそれを斧兵は見過ごす訳じゃなく、暴れ回っていた手を止めると体に似合わぬ凄いスピードで走り出し、
すでに上のフロアへ足を踏み出そうとしている青髭と楸 刹の足下ねらって粘着性の高い唾を吐いた。
そして斧兵は階段を上っていき、先ほどナイフを投げつけた楸 刹の肩めかげて、
斧を大きく振り下げる。
「「ごがぁああああああああああああああああ!!」」
城中に斧兵の遠吠えが響き渡る。
>>284 一方青髭によって瀕死の危機に陥ってる子鬼の一匹が、テレサの前にワープしてきた。
「た…!助けてくだせぇ!!上級魔族様!!
牢獄に閉じこめていた老人一匹と若者一匹が…っ!!逃げ出してしもうて…!!
どうやら城の三階にある地球と魔界を繋ぐ※『移転通路』へ向かっていて…!
ハァ!ハァ!も、もう、おら、もう駄目だぁ…死ぬぅ〜!死ぬぅ〜!助けてぇ!!」
そう言うと子鬼はテレサの足下へ張り付いていく。
-------------------------------------------------------------------------------
※『移転通路』→地球と魔界を繋ぐ罅。(フランスに現在は繋がってます)
>285
「た…!助けてくだせぇ!!上級魔族様!!
牢獄に閉じこめていた老人一匹と若者一匹が…っ!!逃げ出してしもうて…!!
どうやら城の三階にある地球と魔界を繋ぐ※『移転通路』へ向かっていて…!
ハァ!ハァ!も、もう、おら、もう駄目だぁ…死ぬぅ〜!死ぬぅ〜!助けてぇ!!」
歩いていたら、子鬼の一匹がワープしてきて、足に張り付いてきた。
「老人と若者…ねぇ。ま、私だけでもどうにかなる気はするけど、
普通に倒したんじゃ面白くないよね。だから…それっ!」
テレサの言葉に呼応するようにして空間に渦巻くような歪みが出現した。
「魔界病院に繋げといたよ〜。そっちでもしっかり報告すれば
一応助けてもらえるはずだから、も少し頑張ってね〜。」
足にしがみ付いた子鬼を比較的易しめに歪みの中に放り込むと、
歪みに向けて気楽に声をかける。
「そうそう、私ならともかく、他の上級魔族の足にしがみ付こうとしたりしたら、
大抵はあっさり消されると思うから気をつけてね〜。」
子鬼が消えると、すぐに歪が消えていく。それを確認してから、
今度は空間に魔方陣を作り出し、※風のエレメントを10体ほど召喚する。
そして、それに向けて、指示を出す。
「牢獄の人間が逃げ出して移転通路に向かおうとしてるんだって〜。
みんなで散って、城の中の人に伝えてきて〜。よろしくね〜。」
「「了解しました。」」
指示を聞くとすぐに風のエレメント達は散っていった。
そしてテレサが鎌を構えて振るう。
「ゲート!」
またも空間の裂け目を作り、そこに入っていく寝巻き姿のテレサ(本性)。
"移転通路"前の通路に唐突に出来た歪みから、テレサが出てきた。
と、すぐにそのだらしない服、魔族としての姿から
服装、姿共に今時の女子高生という奴そのものに変身した。
ただし鎌はそのままだ。
「この辺でいいかな?…たっぷり遊んであげよっと。」
そして、体をほぐし始めた。
==========================================================================
※風のエレメント
純粋な風の属性魔力を凝縮して集めた物を体とする魔法生物。
異世界から召喚する事も、作り出す事も可能である。
なお、複数属性を凝縮した物は先に作り出しておかない限り
基本的には召喚は不可能であると言われている。
>280赤
メイドの言ったとおり、赤い方の魔法陣から犠牲者が出始めた。
「うわーだめだー」
アンデッド・モンスターは火に弱いとされることが多い。
この執事達も例外ではなく、燃え盛る炎の中で、尽く灰になってゆく。
救援も来ない。まさに捨て駒だった。
一方、白い方の魔法陣に飛び込んだ執事達は、赤い魔法陣を潜った方の部隊に比べると、損害は無いに等しい。
アンデッドの奴隷達には、冷気による攻撃はあまり効果的ではないためである。
凍傷を負うが、負った先から治癒してゆく。アンデッド、特に吸血鬼は弱点を突かない限り、そう簡単には倒れない。
今の彼等を阻むものは冷気ではなく、視界の悪さと、強風だけである。
それだけでは、アンデッドを倒すには至らないのだ。
「白が正解のようね。少なくとも、わたし達にとっては」
そして、この不死の奴隷達が知覚したものは、須らくこのメイドが知ることとなる。
更に悪い事に、このメイドはあらゆる面において執事達よりも優れているので、白い魔法陣の冷気は全く効果を為さない。
逆に、赤い魔法陣の仕掛けであれば、このメイドにも少しは有効な対処ができただろう。
が、赤い魔法陣の仕掛けを知ってしまった以上、わざわざ赤い魔法陣に飛び込んで危険に身を晒す真似はするはずがない。
メイドは白い魔法陣に入っていった。
走っているところをいきなり後から呼び止められ、灰道は急に不機嫌になる。
「男」などと無作法な呼び方をされたことが気に入らない。
頭突きなどと言う無作法な行いをしたのにもかかわらず、それほど気に留めていない様子が気に入らない。
そして何より。フィアの中の何か得体の知れないものが、読心に抵抗したのが気に入らない。
振り向き様、冗談交じりに、フィアの顔に銃口を向けてみる。
「お話なら後にしてくださいませ?」
皮肉っぽく口の端を歪めて、言い放った。
しかし不意に、フィアの姿は灰道の視界の底辺へと沈んでいった。
いつの間にやら灰道の背後に降り立ったペガサスが、灰道をそのシャツごと銜えて持ち上げていたのだ。
ペガサスは、放り投げるようにして灰道をその背に乗せると、大地を蹴って空高く飛翔した。
そしてそのまま空を滑走してゆく。灰道は舌打ちを一つして、銃を鞄にしまった。
なるほど、そういうわけか。灰道はフィアの考えが読めた気がした。だとしたら、感謝せざるを得まい。
ほどなくして、空気が赤く染まり始める。本部に近づくにつれて、その赤は濃度を増していった。
しかしその赤は、よく見ると粒子状となっていることがわかる。灰道は霧だと察する。
まさか赤い霧が自然発生するわけもない。魔人か。灰道の眉間に、きりり、としわが寄った。
しばらくして、騎士ギルトの訓練所らしきところが見えてくる。ペガサスが高度を落とすのに合わせて飛び降りた。
霧の所為か、若干地面が湿っている。地面は灰道の足を、ふわり、と受け止めた。
直立して、あたりを払うように見回す。特にどうと言うことはない。訓練所らしい訓練所。
しかし、どうにも訓練所にはそぐわないものが目に留まった。赤と白の魔法陣。
ペガサスは動かない。やはりここが入り口か。いや、そうでなくては困る。
この魔法陣をどうにかしろというわけか。まさかどちらか選べというわけか。
黙考する。赤は、自分の大好きな血液の色。選ぶならこちらか。
白はどうか。自分のイメージカラーは黒。さらに言えば、自分の苗字には「灰」が入っている。
白、黒、灰、と並べたら何か縁がありそうなものだが。そういうわけで、白を選ぶ理由もないわけではない。
灰道、とうとうその場に座す。座り込み、どちらを選ぶべきか、心が決まるするまで考えるつもりのようだ。
>282
>「そんじゃ、飛行船にいた奴らと合流でもしようぜ」
>エッフェル塔の近くにいくつもの強い気が集団で固まっている。
「…ああ。」
魚民はそう言うと孫悟空の後を追っていった。
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場所:パリエッフェル塔前
魚民達がエッフェル搭前につくとそこにはすでに灰道の姿は無く、
ぼさ、と立っている女騎士フィアのみが居た。
女騎士の鎧に付けられた騎士ギルトの名前入り紋章が目に入り、魚民は話かける。
「…騎士ギルト…フィ…ア…?」
その言葉にフィアははっとすると魚民、そして悟空を見た。
「あ、ああ…防衛軍の者か。」
フィアはそう言うとまるで何事もなかったかのように、
二人に騎士ギルトの事を話す。
そして、暫くその話を聞いた魚民は静かに言った。
「…事情は分かりました。一刻を争ってるならすぐ行きましょう。
案内お願いします。」
そう言うと、悟空と魚民は灰道が乗っかったペガサスに乗馬すると、
騎士ギルト付近に飛ぶ。そして暫く上空を漂うと、
魚民は取りあえず『近代騎士ギルト』に降りた。
黒塗りされた建物の前に降りた魚民はその大きな機械の音に顔を顰め、耳を押さえるが、
赤いランスの機械騎士の元へと走っていく。
>289
三種の神器を守ってくれと言われたが、魔人達が何で神器を狙うかが理解できない。
白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫。
魔人達の世界には無いのだろうか?
悟空の家ですら洗濯機と冷蔵庫はある。
白黒テレビは持っていないが、最新のテレビはあるぞ。
魚民がペガサスから降り、悟空も降りる。
黒い建物とうるさい機械の音。
目の前には機械兵士が立っている。
「おっす」
悟空は機械兵士に挨拶する。
日本語は通じるのだろうか?
>283
神器の安置室は簡素な造りになっている。
正方形の部屋の真ん中に 首飾りが置かれ、それを守るように、血塗れのギロチンが置かれていた。
首飾りを取るためにはギロチンの向こうに手を伸ばす必要がある。
「手を差し込んだら刃が落ちてきますね」
「やっぱりそうかな〜
念動力で取ってみようか? 」
試してみるが首飾りは動かない。
「小細工は効かないみたいですね‥」
「小細工じゃないけど試してみたい事ならあるよ」
やってみよ〜。と言ったクリスタルは、黒魔術を使用する。
ギロチンの隣に、みすぼらしい服を着た、首無し女の霊が現れた。
「マリー・アントワネットですか‥」
「そ。未練も怨みも強そうだよ〜」
そりゃそうでしょうね。とコウは呟いた。
クリスタルはマリー・アントワネットの霊に語りかける。
「マリーちゃん。悔しかったでしょ?
あなたの地位を奪い、あなたを殺した人間たちに、復讐したかったよね?
大丈夫。私たちが代わりに復讐してあげるよ」
だから、あなたの首飾りを渡してほしいな。
言いながら、首飾りを手に取った。
苛ついてくる。なぜ黒の魔法陣は無いのか。黒があれば考えるまでもなく選択できるのだが。
しかし黒は無いのだから仕方ない。赤と白。このおめでたい組み合わせから選ばなければならない。
考えれば考えるほど、関係のないことばかりが浮かんでくる。煩わしかった。
馬に聞いたら適切な助言が返ってくるだろうか。例のペガサスの方を振り向いてみる。
しかし灰道の視線は空振りした。ペガサスはどこにもいない。もしや主の元へ帰ったのか。
不機嫌そうに、がりがり、と後頭部を掻き毟って、首を戻した。
こうなれば、コインを投げて、その裏表で決めるのはどうだろうか。ポケットから硬貨を取り出す。
しかしそうなれば、裏表にどうやって赤白を対応させればいいのか迷う。硬貨の出番はあっけなく消えた。
こんな下らないことに時間を割くわけにはいかない。そろそろ決めなくては。
そういえば例のペガサスの色は白だった。だったら白でいい。赤と白の二色を選ぶのに大した理由は必要ない。
とりあえず決定である。立ち上がり、尻に付いた草と土を払い、意味もなく赤い霧を大きく吸い込んでやってから、白の魔法陣に飛び込んだ。
>292
白い魔法陣の空間に侵入してきた者にいち早く反応したのは、今にも螺旋階段を登ろうとしていたメイドだった。
彼女は小さいが通りの良い、はっきりと聞こえる声で言った。
「あら―――吸っちゃったんですね」
眼を細めて微笑を浮かべ、数秒ほどまじまじと灰道の方を眺めると、不意に踵を返した。
「まあ良いですわ。皆、食事の時間です。散らかさず、上品に食べなさい」
すると、10人程度の執事達が現われ、素早く灰道を取り囲み、距離をとり始めた。
身なりこそきちんとしているが、眼や肌に精気が無く、一目でゾンビの類であることがわかる。
「わたしは、ご主人様からのお使いがありますから、ここで失礼しますわ。
貴方とは何かと縁があるみたいですし、またお会いしましょう」
メイドは軽く会釈をすると、螺旋階段を登っていった。
この執事達の時間稼ぎがどれだけ功を成すかは神のみぞ知るところだが……
>291
ギロチンの刃は、揺れはしたものの落ちることはなく、クリスタルは首飾りを手に入れた。
「‥さすがに強い魔力を感じますね‥」
「そーだねー。みんなが欲しがってるのも納得。」
言いながら階段を上って、きた道を引き返す。
地上の騒ぎが大きくなっているのをみると、騎士たちは相当な混乱状態にあるようだ。
「他の所の応援に行きますか?一度魔界に戻りますか?」
「まずは、外に出ないとね。後のことは後で考えよ」
主従は階段を上り、外を目指して歩き続けた。
魔法陣に入るないなや、猛烈な寒気が肌を刺す。全身の毛が、びりり、と逆立った気がした。
これも魔人の所為なのか。それとも、この本部自体の仕掛けなのか。どちらとも言えない。
>「あら―――吸っちゃったんですね」
女の声である。声のした方を向いてみれば、メイドがいる。明らかに場にそぐわない。
しかし灰道としては、女の味を想像することが先に立つ。とりあえずフィアよりは美味そう。
「吸っちゃった」という言葉に関しては、完全に思考の外に追いやられている。
>「まあ良いですわ。皆、食事の時間です。散らかさず、上品に食べなさい」
どこからともなく、黒服の男達が出てきて灰道を囲む。皆一様に、肌の色が悪い。
この寒さで風邪でもひいたのかと、灰道はてんで見当違いな心配をする。
病人を相手にするのは気分が良くない。しかし敵として現れたのであればしかたない。
黒服を呼び出したメイドは去った。寒気は未だ衰えず、灰道を攻撃する。
灰道、寒さで鈍った頭脳を駆使し、これからの行動を思案する。
無理に黒服を構う必要はない。なにせこの寒さである。牽制して、離脱する。
次に、この寒気に関して。魔人が引き起こしたことならどうしようもない。
しかしここの仕掛けならば、どこかにこれを解除できる何かがあるはず。
希望的観測ではあるが、こうでも思わなければやっていけない。
メイドは食べる。神器は奪う。「ご主人様」は知らない。これにて決まりである。
銃を右手に構え、ナイフを左手に携え、包丁を咥える。
そのまま、じりじりと、階段の方へ近づいていく。なめくじと見紛う程の遅さ。
黒服が動きを見せ次第、撃ち抜く算段。同時に階段へと駆ける。
要は黒服の行動次第。動かないなら動かないで、作戦を変える。
灰道の眼光が辺りを払う。
>295
顔色の悪い執事達は、灰道の方へ襲いかかる訳でもなく、一定の距離を保ちつつ、螺旋階段を登るのを妨害している。
にらみ合っている間にも、メイドは螺旋階段をどんどん登っていく。
どれだけ待っても、執事達が攻撃を仕掛ける気配は無い。
これには、おそらく灰道よりも先にメイドの方が異常だと思ったらしい。
暫くすると、上の方からメイドの声が響き渡った。
「いつまでも命令を待ってるんじゃありません!自分でものを決められないと駄目な大人になるよ!」
どうやらこの執事達は、単にメイドから何も命令が無かったので、途方に暮れていただけであったようだ。
同時に、この一喝を合図に、一斉に襲いかかる。
この執事達は、駄目な大人になりたくないらしい。
彼等の武器は専ら鋭い爪と牙であり、特別な魔法などを操る力は無い。
が、噛み付かれると吸血鬼のエキスを注入される。
297 :
名無しになりきれ:2007/03/12(月) 23:10:14 O
やる気あんのか?
距離が縮まらない。踏み込むまでにはには至らない、微妙な距離。
このままでは寒気に体力を奪われる一方。強行突破か。銃を握る右手に力が入る。
>「いつまでも命令を待ってるんじゃありません!自分でものを決められないと駄目な大人になるよ!」
不意なメイドの声。灰道、思わずぎくりとたじろぐ。駄目な大人という表現に冷や汗が流れた。
17歳、ニート。好きな食べ物は人間。着実に駄目な大人へと歩を進めているではないか。
そう思っている今現在、とうに外道へと身を落としていることには目を瞑る。
どうすればこの状況から脱却できるのかと真面目に考えようとした刹那、黒服の執事が動く。
四方八方から、一斉に。灰道も我に帰る。
襲い掛かるその数約10人。極めて危険な状況ではある。しかし今の灰道にとっては好都合。
一人ずつを相手にするよりは手間が省けて良い。心の中でほくそ笑む灰道。
極限まで集中する。10人を一度に相手取ることを可能にするほど集中する。
徐々に執事達の動きが緩慢に見えてくる。これで準備は整った。
左手のナイフを尻ポケットに入れる。同時に、最も階段に近い執事に向かって、ずい、と踏み込む。
執事の臭い息がかかる。灰道は鼻をならす。空いた左手で執事の腕を掴み、引き寄せる。
そのまま屈み込むようにして、全身を執事の身体の下に潜らせる。
次いで腰を急激に浮かせ、執事を跳ね上げる。同時に手を離す。
孤を描いて宙を飛んだ執事は、他の者を巻き込みながら床に倒れ込む。
合気道系の投げ技。ゴロツキとの喧嘩の際、効率良く相手を捌くために編み出したもの。我流である。
完璧な動き。そのまま執事達を置き去りにして階段へと跳ぶ。
しかし、階段に足がかかる前に強烈な眩暈に見舞われる。ぐらり、と身体が揺れる。
『集中』が切れた時には、このような症状がでることも度々ある。
だがこれほどの眩暈は初めて。原因は別にあるのか。
先の「吸っちゃったんですね」という言葉が頭をよぎる。が、振り払う。
体勢を崩したものの、何とか階段のへりにしがみつく。後はよじ登るだけ。
しかし、痛みが左の足首に発生した。先程投げられた執事による、逆襲の爪。
しつこい。銃で執事の眉間を撃ち抜き、なんとかその腕を振り払う。
硝煙を吹いている銃を階段上に放り投げ、両手に満身の力を込め、身体を引き上げる。
そして、銃もナイフも包丁も鞄に収め、執事たちに一瞥をくれて、階段を上る。
当然追っては来るだろうが、今は構っていられる場合では無い。歩くのみ。
>294
外に出てまず目に入ったのは、騎士ギルト本部に立ち込める赤い霧だった。
「エイブラハム様が本部に向かっているみたいですね」
「それじゃあ、本部はお任せだね。近代騎士訓練所に行こ〜」
お気楽に宣言して空に飛び上がる。
慌ててコウも主人の後を追った。
すぐ近くにある近代訓練所についたクリスタル達は、屋根の上に着地して様子を見る。
すでに他の魔族や人間達がいるが、神器は無事のようだ。
「じゃ〜またがんばるから、コウくんはバッグに入っててね!」
戦闘能力の無い使い魔をバッグに詰め込んで、戦闘準備を終わらせる。
機械兵士達を観察すると、赤いランスを持つ兵士から、特に強い魔力を感じ取った。
首飾りと同じ用な力である事を考えると、その機械兵士が神器を隠している可能性は高そうだ。
「まー、間違ってたら別の場所を探せばいいよね」
闇を固めたような魔力弾を造りだし、機械兵士に向けて放つ。
さっさと仕事を終わらせるつもりなので、周囲にいる相手は眼中にないのだ。
>299
挨拶の代わりに機械兵士から返されたのは、爆発。
悟空の挨拶が機械兵士の自爆プログラムを作動させたのかと思ったが、先にこちらに向かってくる気を感じた。
機械兵士にその気が当たり、爆発を起こしたのだろう。
悟空は壊れた機械兵士のランスを拾うと、気を探る。
気は悟空の正面からやってくるのを感じた。
正面を重点的に探ってみる。
「見つけた!」
やってきた気と同質の気が、目の前の建物の上から感じられる。
悟空はその気を完全に捉えると、瞬間移動をした。
「おめえ……いきなり何をするんだ?」
悟空は女を睨みつける。
だが、爆発に巻き込まれたことによって、昔のお笑いのような黒こげパーマになった悟空が睨みつけても、迫力なんかはない。
むしろ、笑いを誘ってしまう。
>300
放ったエネルギー弾は機械兵士に命中、爆発した。
「よし。命中♪」
後は動かなくなった機械兵士から、鏡を回収し、魔界に帰れば仕事は終わりだ。
近代ギルトは簡単だったね〜と言いながら、機械兵士の所に行こうとした時。
>おめえ……いきなり何をするんだ?
突然、目の前に黒こげの青年が現れ、睨みつけてきた。
瞬間移動を簡単に使いこなすなど、侮れない相手のはずだ。
普通の魔族ならそこを警戒している所だが、クリスタルの目は、黒こげパーマの頭に集中していた。
「ぷっ‥‥あはははははは!」
笑っちゃ失礼かなと思いつつ、一度笑いだしてしまうと止まらない。
「ごめんごめん。あんまり面白い頭してたから、つい笑っちゃった。」
しばらく笑って、気が済んでから、クリスタルは青年に謝った。
笑顔のままで謝って誠意が伝わるのか、なんて事は考えない。
「はじめましてだよね?私はクリスタル。
神器をもらいに来たんだけど、おとなしく渡してくれないかな?
速く終わらせて観光に行きたいんだ」
弱いものいじめは好きじゃないしね。と付け加える。
>301
女は悟空の姿を見ると、その視線の先を黒こげのパーマに移し、大笑いし始めた。
悟空は自分の頭が黒こげパーマになったことに気が付いていない。
何故、大笑いしているのか、頭を掻きながら疑問に思い始める。
>「ごめんごめん。あんまり面白い頭してたから、つい笑っちゃった。」
そんなに自分の髪型が面白いのだろうか。
それなりに目立った髪型をしているが、ここまで笑われたのは初めてだ。
>「はじめましてだよね?私はクリスタル。
> 神器をもらいに来たんだけど、おとなしく渡してくれないかな?
> 速く終わらせて観光に行きたいんだ」
髪型が元に戻った悟空は考える。
神器を狙っていることから魔族だと分かるこの女は、何で電化製品を求めにフランスまで来たのだろうか。
悟空はしばらく考えていると、ある結論が出た。
魔界には電化製品を売るような店が、一軒もないのだと。
「分かったよ。
オラもフランスの観光をしたいし、一緒に神器を買いについていってやるよ。
あっ。でも、オラは金は日本円しか持ってないから、金は自分で出してくれよな」
悟空は神器について、勘違いをしたままであった。
>298
ある程度の高さまで登ったところで、メイドはくるりと振り返った。
もちろん、下からは執事の集団が迫ってきている。
「M・M・B(マジカル・メイド・ビーム!)」
すると、メイドが眼から謎の光を放った。
「ぐぺぽっ」
スポットライトのような光で照らされた執事は真っ白な灰になり、彼が立っていた辺りの床も真っ黒に焦げている。
吸血鬼は太陽の光を浴びると灰になると言われているが、これは単なる熱光線ではないようである。
とはいえ、人を殺傷するには十分な威力があることは間違いない。
見れば、メイドは随分な高さまで上り詰めており、此処まで登って来いと言わんばかりの視線を向けている。
>302
>分かったよ。
> オラもフランスの観光をしたいし、一緒に神器を買いについていってやるよ。
> あっ。でも、オラは金は日本円しか持ってないから、金は自分で出してくれよ
「おー!すごーく良い返事!!
じゃあ、お仕事が終わったら、一緒に観光に行こ〜」
当然神器を渡すのを嫌がると思っていたのに、予想外の返事を聞いて、クリスタルは喜んだ。
神器が何なのか勘違いしているようだが、そんな事は小さな問題だ。
壊れた機械兵士の側に行き、露出した鏡を取り出す。
「はい。お仕事終了〜。
これから鏡を届けてくるから、ちょっと待っててもらえるかな?
それとも一緒に行って、ご褒美のお金でも受け取る?」
仕事ついでに勧誘もしてみる。
お金や地位目当てに魔人に味方する人間も多い。
余りお金を持っていないようだし、バイト程度のことならしてくれるかも。と考えたのだ。
>304
>「おー!すごーく良い返事!!
> じゃあ、お仕事が終わったら、一緒に観光に行こ〜」
クリスタルは壊れた機械兵士の近くに行き、壊れた機械兵士の中から何かを取り出した。
その何かを見てみると、強い気の力が込もった鏡だった。
>「はい。お仕事終了〜。
> これから鏡を届けてくるから、ちょっと待っててもらえるかな?
> それとも一緒に行って、ご褒美のお金でも受け取る?」
「えっ?!もしかして、それが神器ってやつなのか?」
悟空の中ではフランスの神器は、日本製の高品質の家電製品だと決定していたのだ。
「まっ、いっか。オラも一緒に行ってご褒美を貰いたいぞ」
無理矢理に頼まれた防衛軍の仕事より、悟空は目先の金を選んだのであった。
>「えっ?!もしかして、それが神器ってやつなのか?」
やっと神器の正体を知った青年が、驚きの声を上げた。
一体神器を何だと思っていたのだろうか?
>「まっ、いっか。オラも一緒に行ってご褒美を貰いたいぞ」
「よーし。じゃあ早速行ってこよ〜」
勧誘も成功しご機嫌のクリスタルに、バッグから這いだしてきたコウが、そっと話しかけた。
「危ないですよ。マスター。バカの振りをして魔界に潜り込もうとしてるのかも」
「大丈夫♪心配無い心配無い」
使い魔の不安を一蹴し、クリスタルは魔界城へ直通する道を造るべく、意識を集中した。
2つの神器の力を引き出せば、普段出来ない事も出来るはずと思ったのだ。
思った通り、ゲートが完成する。
「じゃあついて来てね」
青年に言って、クリスタルはゲートに足を踏み入れた。
一歩、二歩。踏み出せば、ただそれだけで世界の壁を越える。
クリスタルは魔城に戻ってきたのだ。
城内は妙に騒がしかった。
時々聞こえてくる声からすると、餌の人間が逃げ出したらしい。
「そういえば名前聞いてなかったよね。何て呼べばいいのかな?」
騒動は気にせずに、ついて来ているはずの青年に話しかける。
307 :
名無しになりきれ:2007/03/18(日) 13:58:55 0
魔道力!!ジャムルフィン
>306
「うへぇ。凄いことをするんだな」
クリスタルは平然とした顔で、空間に魔界へと繋がる穴を空けた。
こんな凄いことができる彼女は、きっと、上級の魔人に違いない。
>「じゃあついて来てね」
クリスタルはそう言うと、先に空間の穴に入って行く。
向こうに繋がっているのは魔界。
中に入ったら死を覚悟しなければいけないのは、一般人の悟空にも分かることだ。
だが、中に入ってお金を貰えれば、ばらすぃーにちょっと高級なネックレスを買うことができる。
そう考えた悟空は、ほんの少しだけ躊躇しながら、空間の穴に入って行く。
その時に悟空は願った。
魔界に満月が出ていますように、と。
悟空が空間の穴にを通って城の中に入った途端、喧騒が伝わってきた。
魔界なのだから、皆が血気盛んなのんだろう。
現にクリスタルは平然としている。
>「そういえば名前聞いてなかったよね。何て呼べばいいのかな?」
そういえば、悟空は自分の名前を言っていなかったことに気付く。
「オラの名前は悟空。孫悟空だ。
そんで、あだ名はカカロットだ」
左足首の鈍痛。寒気。眩暈。三つの要素が死を手繰り寄せる。
よろめいて壁にもたれ掛かる灰道。分が悪い。
寒さで身体が軋む。執事の爪を食らってから、どうにも意識が朦朧とする。
足音が近づいてくる。ふうっ、と大きく息をついてから、再び歩き出した。
>「M・M・B(マジカル・メイド・ビーム!)」
階段の上方から、ふざけたようなセリフが飛ぶ。同時に、閃光。
じりっ、という音。左の耳たぶが焦げ付いた。顔をしかめる。熱?
後ろを見れば、追ってきていた執事達が、ざらざらと音を立てて砂に姿を変えている。
原因は『熱』か、『光』か。あるいはまた別の要素か。まだ特定には至らない。
それでもはっきりしていることは、あの閃光が灰道にダメージを与えられるということ。
そろそろメイドの戦闘能力を測るべき。どうするか。
人外らしきメイドに通用するかは分からないが、テレパシーでの交信を試みる。
精神を集中させ、メイドの脳に波長を合わせる。
「俺は、これから、銃でお前を撃つ。」
たったこれだけの意思を発信しただけで、どっと疲れが出る。がくり、と膝が折れた。
誤算。予想以上に体力を奪われていた。身体が精神についていかない。
しかし、ここで疲労と戯れているわけにはいかない。次の行動に移る。
鞄から乾パンを取り出し、メイドに向けて、思い切り投げつける。
軌道は良好。このまま飛んでいけば、頭か肩くらいには確実に当たるはず。
銃で撃つと言ったにも関わらず、撃たない。その代わりに乾パンを投げつけるという謎の行動。
もちろん乾パンの方には何の細工も施されていない。
不適な笑みを浮かべて、灰道は階段を、上る、上る。
>308
>「オラの名前は悟空。孫悟空だ。
> そんで、あだ名はカカロットだ」
「ふ〜ん。じゃあ、悟空くんだね!」
いきなりあだ名で呼ぶのもアレかな、と名前で呼ぶ。
名前と全然関係ないあだ名が気にはなったのだが。
騒がしい城内をしばらく歩き、謁見の間にたどり着いた。
「ちょっと待っててね。
中でご褒美もらってくるから」
悟空に言って中に入る。
この時、クリスタルがすっかり忘れていて、使い魔のコウが覚えていた事があった。
魔人の中には人間を食料としか見ていない者も多い。
悟空が一人で城内にいると、他の魔人に襲われるかもしれないのだ。
コウは、人間達の住む場所とは違う、血の色をした満月を見た。
人間が食料になるのは別に珍しくもない。
死人の列に一人名前が加わっても、何も問題はないだろう。
クリスタルに続いてコウも、なにも言わずに謁見の間に入っていった。
>310
>「ちょっと待っててね。
>中でご褒美もらってくるから」
クリスタルは大きな扉の前で立ち止まり、褒美を貰ってくると言って、扉を開けて部屋の中に入っていった。
この部屋の中に魔界の中でも偉い人物がいるのだろう。
クリスタルが中に入ってから少し経過し、悟空は扉の前に座って天井を見上げる。
空には血のように赤い月が、暗い空に浮かんでいた。
魔界に浮かぶ月は、地球の月に比べて少し違う感じがする。
地球上で満月を見た時、悟空は大きな猿となって暴れだした。
魔界の月を見ても、その大きな猿へと変化する兆候が見られない。
ベジータが言うには、満月にはブルーツ波という不可視光線が発せられているらしい。
魔界の月には、そのブルーツ波という不可視光線が発せられない為、悟空の尻尾も反応しないのだろう。
だが、魔界の満月にはブルーツ波が出ていない代わりに、魔界の強力な魔素が発せられている。
人体に強力な魔素を加えられることで、人は魔物になるという。
月から出た魔素を浴びただけでは、普通の人間は魔物にはならない。
直接、人体に魔素を大量に埋め込むことが必要だ。
悟空は月から出るブルーツ波を目から吸収し、尻尾に反応させて変身する特殊な人間。
魔界の魔素を悟空が目から吸収し続けた時、何か変化が起るかも知れない。
いや、もう何かが変わり始めているのかも知れない。
>309
テレパシーを受け取ったのか受け取っていないのか、メイドは灰道の方を見据えた。
瞳の色が変わり、向けられる殺気が更に強くなっている。
彼女が投げられた乾パンを指差すと、乾パンにぷつぷつと穴が開き始め、砕け散って粉になった。
床には無数の細い針が刺さっている。これで貫いたのだろう。
「では、こちらも。わたしはこれから、この針で貴方を貫きますわ」
彼女は焼き鳥の串ほどの太さと長さを備えた針を一本取り出して構えている。
針が深紅のオーラを纏っており、それがしばらくすると、金属色の針が赤色に変わった。
「あ〜あ。やっと遊びに行けると思ったのになぁ‥‥」
神器を持ち帰り、任務を達成したはずなのに、クリスタルの気持ちは沈んでいる。
「仕方ないですよ、マスター。
まだ神器は残ってるんですから」
コウの言葉通り、騎士ギルト本部にある指輪は、まだ争奪戦が続いている。
クリスタルは、エイブラハムを援護して最後の神器を持ち帰るように、との指令を受けたのだ。
「エイブラハムくんも速く持ち帰ってくれればいいのに‥‥」
無茶な要求を言いながら、謁見室を出ると、淡く金色のオーラを放つ悟空が座っていた。
魔界の月の魔素を受けて超化されたのかもしれない。
悟空本人の様子が前と変わらないところを見ると、まだ自分の変化に気づいていないようだ。
「お‥お前その力は‥‥」
おどろきで次の言葉が出てこないコウの代わりに、クリスタルが悟空に話しかけた。
「お待たせ〜!遅くなってゴメンね!
はいこれ。約束のご褒美」
手に持つ金塊を差し出した。
「え〜と。またパリに行かなきゃならないんだけど‥‥手伝ってくれないかな?
手伝ってくれたら、もう一個金塊あげるから!」
またバイトの誘いをかけてみる。
>313
>「お‥お前その力は‥‥」
>「お待たせ〜!遅くなってゴメンね!
> はいこれ。約束のご褒美」
クリスタルが部屋から出てきて、悟空に金塊を差し出す。
「ほっ、本当にこれを貰っていいんか?!」
生まれてこの方、悟空は本物の金塊というのを見たことが無い。
悟空は恐る恐る手を伸ばしてクリスタルから金塊を受け取り、その金塊の重みに打ち震える。
悟空の喜の感情に合わせて、いつの間にか身に纏っていた黄金のオーラも激しく燃え上がった。
>「え〜と。またパリに行かなきゃならないんだけど‥‥手伝ってくれないかな?
>手伝ってくれたら、もう一個金塊あげるから!」
「やるっ!!やります!!」
ちょっとしたバイトをやることで、目の前の金塊が二つに増える。
そしたら、悟空の祖父の孫悟飯を喜ばせることができるし、ばらすぃーにとても良いプレゼントが買える。
プレゼントを渡したら、その場でプロポーズだ。
そんなことを考えている悟空の顔は、凄く緩んでいた。
>314
>「やるっ!!やります!!」
金塊を手に、顔が緩みっぱなしの悟空が、力強く宣言した。
防衛軍はちゃんと働いてる人たちに、給金を上げていたのだろうか?
「それじゃあ、行くよ〜行っちゃうよ〜」
またパリに向かうのは、来た道を戻るだけなので簡単だ。
隣の部屋に行くような気軽さで、クリスタルは再びパリにやってきた。
「うーん‥‥どっちかなぁ‥‥」
赤い霧に包まれた騎士ギルト本部前。
赤と白の魔法陣の前で、クリスタルは悩んでいる。
「赤かなぁ‥でも白も捨てがたいし‥悟空くんはどっちに行きたい?」
迷っている内に、どちらでもよくなってきたので、悟空に任せることにした。
>315
先程クリスタルが空けた、魔界と地上を繋ぐ空間の穴を通り、悟空達は再びフランスに戻った。
>「赤かなぁ‥でも白も捨てがたいし‥悟空くんはどっちに行きたい?」
赤と白の魔法陣を見つめて悩んでいたクリスタルは、悟空に赤と白のどちらを選ぶか聞いてくる。
赤と白。
日本では試合をする時には、赤組や白組と分かれる。
この二つの魔法陣が何を意味するかは分からないが、この二つの魔法陣は日本の例と同じように、対になっている。
悟空はそう思った。
「オラは白がいいな」
魔法陣が対になっていようが、選ぶ悟空には関係が無い。
悟空は適当に白を選んだ。
その悟空の言葉と同時に、悟空が取り込んだ魔素の影響も薄れ、通常の状態に戻った。
>312
状況判断である。
テレパシーを発信すると、メイドが妙な殺気を醸してこちらを振り向く。
乾パンは彼女に指差されると、あっけなく砕け散る。
カリカリ、という音がしたので足元を見ると、幾本もの針らしきものが床に刺さってる。
メイドはなにやらぶつくさ言い放って、赤い串を取り出す。
これだけである。どうせ乾パンを処刑するならば、「M・M・B」によるものが良かったのだが。
あの技が危険だということは分かっている。故に、見極める必要がある。
とりあえず「M・M・B」の方は諦めて、メイドに関する考察をする。
彼女は、そこそこ神経質であり、もしかしたらヒステリー持ちである。
そしてこちらを一応警戒している。真剣なものではなく、念の為といったレベルで。
銃での攻撃は効く。しかし、致命的なダメージには至らないはず。
テレパシーは通じたと見て間違いない。ならば、他の能力も通用するはず。
他の能力。即ち、悪意のある精神的干渉である。
床の針には、恐らく毒が塗られている。たとえそうでないとしても、注意を払うべき。
ここまで考える。しかしこれは飽くまで推測の域を出ない。
メイドの行動のどこにブラフがあるかまでは読めない。
しかし。これらの事項が事実と一致するならば。それならば。
「怒ったか? 怒るなよ。怒ると顔に皺が寄る。
それ以上醜い顔になるのはおすすめしない。今だって見られたもんじゃないんだから」
こんな挑発の言葉を投げつけてやる。
続けて、テレパシーを応用したノイズを断続的に送りつける。
脳を破壊するほどの威力はないが、人を苛々させるにはもってこいのものだ。
これならば灰道自身への精神的負担は軽い。それでいて、メイドの集中を掻き乱せる。
この二つの行動により、メイドの無駄な攻撃を誘い、疲弊させる。
もっとも、彼女の実力が完全に測れない以上、この戦法は賭けである。
しかし、この寒さと左脚の痛み。そして眩暈。まともに戦うには不利過ぎる。
今の灰道にはこれしかない。メイドの動きを観察しつつ、階段を、上る、上る。
>316
>「オラは白がいいな」
悩むクリスタルと違い、悟空はあっさりと魔法陣を決めた。
同時に、悟空が発していた闘気が消える。
テンションが落ちたからか、それとも、吸収した魔素が消えたのか。
「よ〜し!ご褒美はすぐそこだよ〜!気合い入れて行こー!」
悟空のやる気を引き出すためにも、ご褒美を引き合いに出す。
自分のやる気を引き出す意味もあったのだが。
気合いを入れ直して、クリスタルは魔法陣に入った。
「寒〜い!どうしてこんなに寒いの〜!?」
螺旋階段の前で、クリスタルは悲鳴に近い声を上げた。
こうなれば、少しでも速く神器を手に入れ、魔界に帰ろう。
決心して螺旋階段を見れば、エイブラハムのメイドと、誰かが戦っているのが見えた。
「あっ!エイブラハムくんのメイドさんだ〜!
お〜い!応援に来たよ〜!」
両手をぶんぶん振り回して、居場所をアピールする。
>318
クリスタルが先に白い魔法陣に入り、その少しした後に悟空も魔法陣の中に入っていく。
>「寒〜い!どうしてこんなに寒いの〜!?」
魔法陣から出た途端、凍るような冷気が悟空の肌に突き刺さる。
「ここって、フランスだよな」
この場所がフランスにあるとは到底思えない。
もしかしたら、フランスではなくロシア辺りに連れてこられたのではないかと、悟空は思った。
>「あっ!エイブラハムくんのメイドさんだ〜!
> お〜い!応援に来たよ〜!」
クリスタルは目の前にある螺旋階段の上で戦っている、メイドに向かって手を振る。
「そういや、バイトって何をするんだ?」
バイトの内容を知らない悟空は、現場に来て、初めてバイトの内容をクリスタルに聞いた。
>317
柔和な表情が、メイドの光が鋭くなった。
挑発に乗ったかと思いきや、
「そうやって挑発して、わたしに攻撃させて、戦力を量る―――見え透いた策ですわ。
アレを吸って1分も正気を保っているから、少しは期待していたのだけど―――」
まるで灰道の考えを見透かしているかのような口ぶりである。
しかし、表情には出ていないが、精神感応の効果は微弱だが現われており、必至に苛立ちを抑えている。
先に冷静さを失った方が負けであるという判断力が残っているためだ。
このメイドのことだから、多分長続きはしないのだろうが、彼女は敵の集中力を削ぐために恐るべき事実を告白した。
「貴方が先ほど思い切り吸い込んだ赤い霧は、ご主人様のエキスです。
わたしが敢えて何もしなくても、あとほんのちょっと待つだけで、貴方はご主人様の眷属になるの。
いくら何でも、もうそろそろ辛いのではなくて?」
なんと、赤い霧の秘密を明かした。
これは、彼女よりも更に強大な敵である「ご主人様」の手の内の一つを明かしたことになる。
思わぬ収穫ではあったが、もちろん、彼女の主が赤い霧しか能の無い敵ではないことはわかるだろう。
差し迫った敵であるメイドそのものは、まだメイドビームと針以外の技は見せていない。
実は、他に強力な攻撃手段といったら肉弾戦しか無いのだが、それは決して悟られまいとしている。
「古の軍師・司馬仲達は、敵方の軍師である諸葛孔明から挑発を受けたけど、乗る事はありませんでした。
それは、待っていれば勝てることを知っていたからです―――今この状況と同じように。
ほら、勝ち目どころか、逃げ場まで無くなっていきますよ―――援軍だって来ていることですし、ね」
クリスタルの到着を敢えて知らせ、動揺した隙に何らかの行動に出るつもりである。
危機感と焦燥感を煽って集中力を途切れさせれば、テレパシーによる精神攻撃を無効化できると踏んでの行動でもあった。
メイドはクリスタルの声に反応して目配せをし、柔和な笑みを浮かべている。
321 :
名無しになりきれ:2007/03/29(木) 10:26:55 O
糞ストーリーテラーは?
>319-320
>「そういや、バイトって何をするんだ?」
悟空に言われて、バイトの内容を説明していなかった事に気づいた。
「そういえば言ってなかったね。
あそこでメイドさんと戦ってる人の、邪魔をしてくれれば良いんだよ。
もちろん。やっつけちゃっても良いよ」
エイブラハムのメイドと戦う男の方を指さす。
「それじゃ、挟み撃ちするね!」
さらに、メイドの目配せに大声で答え、男を挟み込む位置に動こうとした。
323 :
名無しになりきれ:2007/04/04(水) 15:58:24 0
世界は崩壊する
「マスター。
足止めしてるうちに、空を飛んで神器を取りに行けば良いんじゃないですか?」
カバンの中から、コウがクリスタルに助言した。
「あ、そっか。
コウ君、あったまい〜い!」
確かに、メイドと交戦中の男が、クリスタルを追いかけるのは難しいだろう。
状況を打開する妙案である。
「ちょっと神器を取りに行ってくるから、足止めよろしく〜」
悟空とメイドに声をかけ、クリスタルは空に飛び上がった。
螺旋階段にそって飛んでいくと、塔の最上階が見えてくる。
最上階の入り口の前に降り、罠が無いのを確認して、中に入った。
調度品の無い、殺風景な部屋の真ん中に、美しい女性の像が置かれている。
その指には、最後の神器である指輪がはめられていた。
「最後は簡単だったね〜
よいしょ。‥‥あれ?」
クリスタルは、像から指輪を抜き取ろうとしたが、なかなか抜けない。
「んんんんんーーーーっ!!!」
力任せに思いっ切り引っ張ると、スポンと音がして、指輪が抜けた。
だが、力を入れすぎていた為か、クリスタルの手が滑る。
指輪は勢いよく、開いていた扉から、螺旋階段の下に落ちていった。
「あーーっ!!」
クリスタルは慌てて扉から下をのぞき込んだ。
赤い霧の中、落ちていった指輪はどこにあるのか全くわからない。
飛び降りて探そうか、と考えたとき、霧の中からコウが飛び上がってきた。
神器の指輪をくわえて。
「やった!コウくん、えら〜い!」
「マスターの事だから、たぶん落とすと思ってたんですよ」
こんどは落とさないで下さいと、念を押しながらクリスタルに指輪を渡す。
「わかってるって。心配性だなぁ、コウくんは」
クリスタルは呪を唱え、黒猫を呼びだした。
「ヤマトくん、お使いだよ〜」
黒猫の首輪に指輪を結びつけると、猫はすぐに赤い霧の中に走り出した。
「御自分で届けなくて良かったんですか?」
「いーのいーの。
それよりお仕事終わったんだし、美味しいもの食べにいこ!ね!!」
シェフが死んでいなければいいですね。
その言葉を呑み込んで、コウは主の後に従った。
魔界に神器が集まるかどうかは、クリスタルにはどうでもいいことなのだ。
仮に世界が滅ぶとしても、自分も共に滅びるとしても。
問題なのは、楽しい時間を過ごせるかどうか、だけなのだから。