639 :
名無しになりきれ:2007/10/06(土) 02:43:48 O
まんこ♪
それ以前の問題で、このスレ立てたのカイザーじゃねーし。
641 :
名無しになりきれ:2007/10/06(土) 03:21:31 O
クラナド最終回終了
↓
特 報
↓
えいえんは、あるよ
↓
ONE〜輝く季節へ〜制作決定
というサプライズを期待してる。
遥か遠方の山の頂。
真紅の龍が地上に舞い降りる。
その背に乗るのは、赤いローブをまとった謎の騎士。
その口から発せられる、低く冷たい声。
「……エクス……カリバー……」
この騎士の目的を知るものは未だ誰もいない。
643 :
名無しになりきれ:2007/10/06(土) 15:57:07 O
遥か遠方の公園。
自動車整備工場からある人物が歩いてくる。
つなぎをまとった男。
その口から発せられる、低く冷たい声。
「……やら……ないか……」
この男の目的を知るものは未だ誰もいない。
644 :
名無しになりきれ:2007/10/06(土) 20:44:50 O
遥か遠方の公園。
自動車整備工場からある人物が歩いてくる。
つなぎをまとった男。
その口から発せられる、低く冷たい声。
「……やら……ないか……」
この男の目的を知るものは未だ誰もいない。
遥か遠方の公園。
自動車整備工場からある人物が歩いてくる。
つなぎをまとった男。
その口から発せられる、低く冷たい声。
「……やら……ないか……」
この男の目的を知るものは未だ誰もいない。
遥か遠方の公園。
自動車整備工場からある人物が歩いてくる。
つなぎをまとった男。
その口から発せられる、低く冷たい声。
「……やら……ないか……」
この男の目的を知るものは未だ誰もいない。
「ここもだめか……未来は暗いようだな」
クラナド最終回終了
↓
特 報
↓
えいえんは、あるよ
↓
遥か遠方の公園。
自動車整備工場からある人物が歩いてくる。
つなぎをまとった男。
その口から発せられる、低く冷たい声。
「……やら……ないか……」
この男の目的を知るものは未だ誰もいない。
臨戦態勢を解かぬカイザーに驚いたような顔を見せるネクスト。
だがその表情には嘲りの色がありありと見えていた。
「おいおい、君の敵を倒してあげたのにずいぶんと敵対的じゃないか?」
両手を広げながら一歩カイザーへと詰め寄る。
「あまり文学って面じゃないが、物語って書いたことあるか?
なに、たいしたことじゃなくてもいい、日記でもいい。」
突然不可解な質問をし、答えを得るより前に、カイザーたちの反応など意に返さぬように言葉を続ける。
「一つの物語を書き終えて、新しいページに新たに書き始めようとした時・・・
新しいページにインクが滲んでいたらどうする?
前のページのインクが写ってしまっていたら。当然消すよな。
これがお前の二つの質問に対する答えだ。
魔王を倒した時点でこの世界の物語は終わったんだよ。そしてページは既にめくられた。
今更何をしようと戻りはしない。」
「な、何だと?では、魔王は・・・!私たちのしてきたことは・・・!」
ネクストの言葉に一番衝撃を受けたのはミランドラだった。
長い長い魔王を倒す物語の世界。
魔王を倒してしまい、物語が完結してしまった。
だが、魔王さえ蘇らせれば魔王を倒す物語は継続していく。
そう知らされていたのだから。
「見苦しく足掻く姿は退屈凌ぎになったよ。だがもう終わりだ。」
あざ笑いながら文字通り『もう用無しだ』といわんばかりに手を振るネクスト。
そう、全ては無駄だったのだ。
断腸の思いでカイザーを殺すことを決断したことも。
そのために命を賭して散って言った者達も。
「き、貴様ああ!人を!命を何だと思っているんだ!」
ミランドラの慟哭の咆哮が玉座の間に響き渡る。
縋ってきたもの全てが突如として消え去ったその絶望の底から響く声だ。
血の涙を流しながらネクストに飛び掛るミランドラだったが、突如として発生した光柱によって右腕だけを残して消えてしまった。
光柱は玉座の間の床と天井を穿ち、その穴からは月の光が差し込んだ。
残された右腕の断面は炭化し血すら流れることは無かったのだが、その右腕だけがカイザーを指し示す。
しかしミランドラの魂は消えていなかったのだ。
右腕だけとなっても最後の力を振り絞り、カイザーに回復の魔法をかける。
「シミの分際でうっとおしい!」
ミランドラの残った腕を踏みにじりながらそれを中断させる。
ひとしきり踏みにじった後、ほの暗い視線をカイザーに戻した。
「理解できないって顔しているな。なに、理解できたくていいのさ。
だがな、お前達の時代が始まる時にも前の時代を消したネクストはいたはずなんだぜ?
神話時代の終焉を告げ、お前達の時代をはじめる時はお前達の時代の者がネクストとして現れたはずだ。
そして今、お前達の時代、伝説の時代は終わり、俺達の時代が始まるのさ。
さあ、俺達の時代の為に、薄汚いシミどもは全部消えてなくなれ!」
その声と共にネクストは手に持った剣を横薙ぎに振るう。
その刃は煌くと無数の刃に増え、カイザー達を全方位から切り刻まんと襲い掛かる。
648 :
名無しになりきれ:2007/10/07(日) 01:17:01 O
中華おっぱいの名前は「王 留美(ワン リューミン)」
649 :
名無しになりきれ:2007/10/07(日) 02:38:43 O
エロゲーで育った全ての人類に報告させて頂きます
私達はソレスタルリューミング
中華おっぱい「王 留美(ワン リューミン)」を保有する私設武装組織です
私達ソレスタルリューミングの活動目的はこの世界から貧乳を根絶することにあります
私達は自らの利益のために行動はしません
貧乳根絶という大きな目的のために私達は立ち上がったのです
只今を持って全ての人類に宣言します
フィギュア、同人誌、みさくら語、どのような理由があろうとも私達は全ての自慰行為に対しておっぱいによる介入を開始します
貧乳を幇助するスレ、組織、企業なども我々のおっぱい介入の対象となります
私達はソレスタルリューミング
この世から貧乳を根絶させるために創設されたおっぱい組織です
650 :
名無しになりきれ:2007/10/08(月) 04:45:11 O
>647
>「理解できないって顔しているな。なに、理解できたくていいのさ。
>だがな、お前達の時代が始まる時にも前の時代を消したネクストはいたはずなんだぜ?
>神話時代の終焉を告げ、お前達の時代をはじめる時はお前達の時代の者がネクストとして現れたはずだ。
>そして今、お前達の時代、伝説の時代は終わり、俺達の時代が始まるのさ。
>さあ、俺達の時代の為に、薄汚いシミどもは全部消えてなくなれ!」
>その声と共にネクストは手に持った剣を横薙ぎに振るう。
>その刃は煌くと無数の刃に増え、カイザー達を全方位から切り刻まんと襲い掛かる。
ネクストへ踏み躙られたミランドラの腕を見る。
「ミランドラ。お前の無念、俺が引き受けた…!!」
カイザーの身体から、激しい光と共に凄まじい衝撃が発せられる。
その衝撃で、カイザーへ向かってきた刃は全てが吹き飛ばされ、反対方向へと飛ばされてゆく。
そして、駆け出す。
この世界、過ごしてきた過去、魔王との戦い、全てを無駄にしない為に。
「さっき、貴様は世界を物語に喩えたな。」
剣を振り上げる。
「確かに、魔王を倒して一つの物語は終わりを告げた。」
振り上げた剣から鋭い光が発せられる。
「しかし、多くの人々がその物語の続きを知りたがったらどうする?」
鋭い光は薄暗い部屋を吹き飛ばすかのように照らす。
「そう、魔王を倒す物語の『続編』が作られるのさ。」
狙いを定める。
「何があっても、俺達の物語はこれで終わらない!
俺が終わらせはしない!!
ブレンテル流、闘気の剣!オーラスマッシャー!!」
剣をネクストへ向けて振り下ろす。
652 :
名無しになりきれ:2007/10/09(火) 01:19:11 O
653 :
名無しになりきれ:2007/10/09(火) 02:25:03 O
オワキャノン オワタンク オワタム
@\ @\ \冂/
\ (^o^)\ > @ヽ、 @ヽ、 E^o^ ヨi /7
_()二)_(/~'ー,~~7.(≦) \ \ \ \ ()) 「/~'ー'~~ 7/ ̄ |
==ニ)]_] _迂〕 ,叉「」瓦〈‐|_| \ (^o^) \ > ===二]匚ト〈‐〈iテ〈〈c iエコ
Li 弐ノ 「ioiヲ_上.]|二| _(/~'ー,~~7_(≦) ノヲ 弐ノ[]v/□ || ╋|
|^ーi| | る! (88),叉「」〉(88)_,)ノ | j | |.|| ┃|
◇-||◇┤ /三/,o/~/三/0 \ 几0(几)L二!
∠三0/i二i0 (三(ー―(三(0⊆0) ∠三ヲ/i二iヽ
証言者:元法王庁聖騎士団団員:ジョヴァンニ・ヴィスコンティー
私はあの時、城の外部で結界装置を守っていました。
既に主である魔王がいないというのに不気味な威圧感を醸し出していて・・・
戦いの場から離れていて尚、私の手にはじっとりと汗が滲んでいました。
今思うと、本能的に察していたのかもしれません。
地震とまでは行きませんが、鈍い地響きが続いており、【何かが起こる】という、ね。
そしてそれは起こりました。
まるで太陽の光が100集まったような眩しさでした。
城の中心から広がるように無数の光柱が飛び出たのです。
後から調べて驚きました。
城を形作っていたレンガや石がまるでガラスのように溶けていたのですから。
城を貫いた光が収まった後、大きく大地が揺れ城を突き破るように【それ】が現れたのです。
ええ、一瞬にして威容を誇った魔王の城が瓦礫の山と化したのです。
法王庁聖騎士団の一員として、多くの戦いをしてきました。
人と、怪物と、魔族と、あらゆる敵と戦ってきました。
しかし、【それ】は今まで見た何にも似ていませんでした。
陽光に煌く白銀の身体。
人と獣の合わさったような歪な巨体を持つ【それ】。
しかし、なぜか私は【それ】を美しい、と思ってしまったのです。
##################################################
向かってきた刃を弾き飛ばし、吠えるカイザーにネクストは薄ら笑いを浮かべて答える。
「おいおい、さっきまで戦っていたミランドラと同じ事を言っているじゃないか。
消え行くことを知った奴は皆等しく滑稽だな。」
放たれたオーラスマッシャーを迎え撃つように剣を振るうネクスト。
だが、カイザーの一撃はすさまじく凌ぎ切る事はできなかった。
軌道をわずかに変えられた剣はネクストの左腕を切り落とす。
しかし、それで十分だったのだ。
まるで痛みを感じていないかのように返す刃でカイザーの首を落さんとする。
剣はわずかにカイザーの首を掠り、宙を斬った。
確実に首を落すことのできる間合い、タイミングであったにも拘らず・・・。
カイザーを救ったのはネクストの右腕に巻きついたブルーウィップだった。
左腕を落され、右腕を絡めとられたネクストの胸板に矢が突き刺さる。
狙いは違わず、心臓を貫いている。
「流石に遠隔スレイブユニットでは面倒だな。喜べ、世界を一新する力で葬ってやる。」
血を吐きながら倒れるネクスト。
謎の言葉の意味はすぐに分かることになる。
床を貫き無数に放たれる光柱。
そう、ミランドラを消滅させた光だ。
城を穴だらけにした後、【それ】は姿を現した。
魔王の城地下に潜んでいた城とほぼお同等の大きさをもつ【それ】は巨体を震わせ、城を突き破る。
白銀に光る装甲を持つ巨大な機械生命体。それがネクストの真の姿であった。
人と獣の合わさったような姿。下部には培養層のようなものが無数に備え付けられている。
ここから邪魔物は生み出され、世界を破壊して行ったのだ。
しかしそれらも真の姿を現したネクストの力の前ではほんの余興にしか過ぎない。
圧倒的質量、存在感が全てを物語っているのだから。
瓦礫の山と化した魔王の城の一部が爆発するように四散した。
そこから現れたのは巨大な龍。
降り注ぐ瓦礫からカイザーとブルーを守り、今宙を舞いながらネクストと対峙する。
龍も巨体であったが、ネクストと比べれば流石に見劣りをしてしまう。
しかし沸き立つ気炎はその差を感じさせないほどのものであった。
「猟師さん・・・あなた・・・」
「・・・」
龍は答えない。
そう、この龍はリプトの成れの果てなのだ。
刻印の力を完全解放し、人であることすら捨てネクストの前に立つ。
【お前達の望みどおり、繰り返される世界を終わらせてやるというのに何が不満なのだ?】
ネクストの機械音が空に響くが、その響きの中には嘲りの意図が溢れていた。
『戦イノ無イ世界ト、世界ノ終焉ハ違ウ!カイザー。ブルー。我ガ仲間・・・。
今コソ戦イニ終止符ヲ!ソシテ我ラノ世界ヲ!』
頭の上に乗せたカイザーとブルーにリプトは龍の力を分け与えた。
それはすなわち空を翔る力を!
大空を覆うネクストとの最後の戦いが始まったのだ。
「ありがとな、リプト。
リプト、ブルー。この冒険…お前達に会えて、本当に良かったぜ。」
カイザーの身体は淡い光を纏いながら浮かび上がる。
「さて、魔王を倒した後の物語を作らなければならないんだ。
さっさと部外者を追い返さなければな。」
カイザーの両手に激しい光が集まる。
「俺達の世界…その全て、貴様にぶつけてやる!」
光は一つの巨大な球体となり、ネクストよりさらに上へ飛んで行く。
ネクストの頭上へ到達したとき、球体は蒼い光へと変わる。
そして、それはカイザーにも意図していないことであった。
「これは、水の精霊の力…!
世界の魔力が尽きようとしているのに…!!」
『護ろう、魔王と倒した時と同じように。
―――我々の生きて来た過去を、未来へ繋げるために。』
蒼き光の球体は大きく膨れ上がり、あのネクストよりも巨大になる。
「水の精霊…ああ!行くぞ!!
ブレンテル流、聖弾の技と水の精霊の力!!
―――ホーリー・シューティング・アクエリアス!!」
水の精霊の力を込めた光が、ネクストへ向けて落ちてゆく。
657 :
名無しになりきれ:2007/10/10(水) 03:39:15 O
ついに真紅とカイザーの二人だけかw
つーかぶっちゃけ自演臭いから実質一人だなwww
658 :
名無しになりきれ:2007/10/10(水) 16:48:45 O
世界は永遠に続く
659 :
名無しになりきれ:2007/10/10(水) 21:41:30 O
660 :
名無しになりきれ:2007/10/11(木) 13:13:50 O
糞つまんねースレだな、おい
【世界をぶつける?愚かな!その世界を一新させる力を持つ者に言う台詞か!】
カイザーの叫びにネクストの電子音が響き渡った。。
上空に駆けたカイザーを補足し、ネクストの砲門に光が収束する。
魔王の城を打ち抜いた光柱の源。
全ての砲がカイザーに向け、その恐るべき破壊の光を発射した。
カイザーの放った巨大な青き光の塊。
ホーリー・シューティング・アクエリアスはネクストに向かって落ちていく。
が、そこで異変が起きた。
ネクストの周りは既に世界が侵食され、世界法則が変わっているのだ。
水の精霊の力は次の時代にあるべき姿で顕在化する。
そう、青き光の塊は巨大な水の塊へと変貌したのだ。
そしてカイザーとネクストの攻撃は激突する!
ネクストの光柱はカイザーのホーリー・シューティング・アクエリアスであった水球を貫き進む。
だが、カイザーに命中したのは数十を超える砲数に対し、ほんの数発分だけであった。
しかも直撃を受けたにも拘らず、カイザーはほんのりと暖かい光に包まれた程度にしか感じなかっただろう。
その原因はホーリー・シューティング・アクエリアスにある。
本来のホーリー・シューティング・アクエリアスならば光柱はいとも簡単に打ち抜き、カイザーもミランドラと同じ末路を辿ったであろう。
だが、新たなる世界法則に犯され水の塊になった事がカイザーの命を救ったのだ。
レーザー兵器は本来大気中ではその威力を大きく減じられる。
それが巨大な水の塊などをくぐったとあらばもはやその威力を保つ事など不可能だ。
更には水の屈折率が光柱の進行を逸らしたのであった。
事態はそれだけでは終わらない。
高出力のレーザーで貫かれたのだ。
その高熱エネルギーと接触した水の固まりは一気に沸き立ち、水蒸気爆発を引き起こした。
爆発は乱気流を生み出し、長大な術のために集中していたブルーはそれに巻き込まれて吹き飛ばされる。
後に残るのは一帯に立ち込める高濃度、高温の霧。
乱気流の中、その巨体ゆえにとどまる事のできたリプト。
霧の向こうに見える巨大なシルエットに追撃を加えんと大きく息を吸い込んでいた。
ドラゴンブレス!
あらゆるモンスターの中でも最大級の攻撃力を誇る一撃を加えんと大きく口を開ける。
それを狙っていたかのように霧から飛び出る巨大な腕がその顎を鷲掴みにした。
『ギャアアアアアアアアア!!!!!』
そのまま霧の中に引きずり込み、顎を上に向ける。
機械生命体であるネクストに取って外気がどれほどのものであっても影響は殆ど無いが、ドラゴンといえども生命体である。
高熱の霧の中に引きずり込まれ、苦悶の叫び声があがる。
それと同時にドラゴンブレスは放たれたのであった。
顎の向けられた先の上空にはカイザーがいる。
【クハハハ!仲間の攻撃に晒されるのはどんな気分だ?】
カイザーの足元は濃い霧で殆ど視界が利かない。
その霧から突如としてリプトの放った龍の吐息がカイザーに襲い掛かるのであった。
【さて、このまま握り潰そうか、引きちぎろうか・・・】
高熱の霧の中でネクストはリプトの龍の身体をがっちりと掴み、徐々に力を加えていく。
>カイザーの足元は濃い霧で殆ど視界が利かない。
>その霧から突如としてリプトの放った龍の吐息がカイザーに襲い掛かるのであった。
霧を吹き飛ばし、突如として眼前に現れたドラゴンブレス。
だが、もう一つ、迫るものがあった。
それはとてつもなく巨大な岩石。
ドラゴンブレスト岩石は追突した。
ドラゴンブレスの勢いは止まらなかったが、進むべき方向が変わり、カイザーの横を擦り抜け上空へと飛んで行った。
岩石は数百個と言う数に四散する―――が、地面に落ちずその空間に漂い続けていた。
『世界の力は、まだこんなものじゃないだろう。』
「大地の精霊。
分かってるさ。奴にだけ都合のいい、あんな理不尽な力に屈してたまるか。」
カイザーは下へ目線を向ける。
先程の攻撃によって霧が僅かに薄れ、下で起きている状況が分かった。
「それよりも、リプトを助けるぞ。
攻撃するから協力頼む、リプトに当てるなよ。」
『当然、奴に近づきすぎるとどうなるか分からん。
その前に直撃コースを見つけよう。』
カイザーは両拳を握り、光を集める。
それと同時に、カイザーの周りを四散した岩石が回転し始める。
「ブレンテル流、弾丸の技と大地の精霊の力…」
一つ一つの岩石に光が宿り、鋭い閃光を発する。
「聖闘気圧縮弾・クロム!!」
カイザーが拳を叩き付ける様に突き出すと、
光を宿した岩石の欠片の全てが、閃光の如き速さでカイザーの拳の指し示す方向へ飛んで行く。
狙いはネクストただ一人のみ。
663 :
名無しになりきれ:2007/10/12(金) 23:26:34 O
LEXmark X5490
ドラゴンブレスに覆いかぶさるように現れたのは巨大な岩だった。
岩は四散しながらもブレスの起動を曲げる事に成功した。
【ど、どこからそんな岩を・・・!】
ネクストに大地の精霊の知識はあったが、これほど大規模な力を発揮できるとは予想外だったのだ。
しかし、予想外の事は更に続く。
四散した岩の破片の一つ一つに光が宿り、ネクストに向かって飛んでくるのだ。
近づけば法則の変化によりその飛来する力は消失する。
だがそれでも岩は止まらない。
そう、新たなる世界法則下による慣性の法則が岩の飛来する力を引き継いだからだ。
ガガガガ!っという衝突音が空に響いた。
ネクストの城規模の巨体ゆえに避ける事は事実上不可能なのだ。
とはいえ、ネクストを覆う装甲により傷つく事は無かった。
そう、装甲部分は・・・
僅かにむき出しになっている間接部分に回転する岩がめり込む!
【ちぃいいい!こんな原始的な攻撃で!】
思わぬダメージに苛立ちが募り、注意がそれたその瞬間、リプトが吠えた。
身体を捩じらせ身体を掴むアームを振り切ると、そのまま首をもたげてドラゴンブレスを放ったのだ。
超至近距離からの強力な攻撃は攻撃したリプトの体も巻き込んだ。
爆炎が上がり、リプトは血を噴出しながら落ちていく。
一方、ネクストは・・・装甲全体が高熱による融解が起きはじめていたが、内部にまで損害が及ぶ事は無かった。
【爬虫類の分際でっ!だが・・・それよりも!】
落ちていくリプトを見ながらも、注意は上空へと向いていた。
自分の攻撃で大ダメージを負ったリプトよりも、先ほどから上空で攻撃を仕掛けるカイザーを優先させたのだ。
【いけっ!ファンネル!】
声に呼応するようにネクストの背中部分から数十枚の板が外れる。
板はコの字型に折れ曲がり上空へと飛んでいく。
高熱の霧が晴れつつある中、突如として数十のファンネルがカイザーの周囲に飛来する。
ファンネルは素早い動きで位置を変えながら全方位からカイザーへ光線による攻撃を始めた。
【砲より銃の方が効果的なこともあるものだ。】
上空でカイザーに一斉攻撃を始めるファンネルを見ながらネクストもゆっくりと上昇していく。
>身体を捩じらせ身体を掴むアームを振り切ると、そのまま首をもたげてドラゴンブレスを放ったのだ。
>超至近距離からの強力な攻撃は攻撃したリプトの体も巻き込んだ。
>爆炎が上がり、リプトは血を噴出しながら落ちていく。
「リプト!!くそっ、今助けに…」
仲間の救出に向かおうとした瞬間、ネクストが次の行動に移ろうとしている事に気付く。
>【いけっ!ファンネル!】
>高熱の霧が晴れつつある中、突如として数十のファンネルがカイザーの周囲に飛来する。
(あの形状から察するに、アレの攻撃方法は一つ。)
>ファンネルは素早い動きで位置を変えながら全方位からカイザーへ光線による攻撃を始めた。
「その光線の攻略法は分かっている!
水の精霊!!」
カイザーの身体の周りに厚い水の膜が発生し、それを光線が通過する。
それにより、光線の威力は弱まる。
が、急造した防御膜であった為、光線の威力を完全に殺す事は出来なかった。
威力の弱まった光線の直撃と、光線が通過した事による水蒸気爆発で、カイザーは軽い火傷を負う。
直後、水蒸気爆発によって発生した霧が激しい突風によって周囲へと吹き飛ばされる。
その突風は霧を吹き飛ばすだけではとどまらず、カイザーの周りを囲んでいた機械兵器を全て爆発させた。
(奴には効く技と効かない技があるみたいだな。
今回のケースから考えると、物理攻撃は効くようだが、今一確証は掴めないな。
ならば、取る行動は一つ)
カイザーの四股の10cm程先で魔力の渦が巻かれ、それは瞬時に球体となる。
球体はそれぞれ、赤、青、緑、黄に分けられている。
「―――火の精霊、」
赤き球体は、燃え盛る炎へ変わる。
「―――水の精霊、」
青き球体は、先端の鋭い氷の塊へ変わる。
「―――風の精霊、」
緑の球体は、風切り音を発するカマイタチへ変わる。
「―――大地の精霊、」
黄の球体は、硬き隕石へと変わる。
カイザーが合図を出す。
「出し惜しみはしない!4大属性の力、全て喰らえ!!」
それぞれの力が、ネクストの四股へ向けて突き進む。
破壊され落ちていくファンネルの破片を吹き飛ばすように現れるネクストの巨体。
「出し惜しみはしない!4大属性の力、全て喰らえ!!」
もはや体格差などというレベルではないネクストを前にしてもカイザーは怯む事は無かった。
炎を、氷を、カマイタチを、隕石を生み出し放つ。
城レベルの大きさの為、日は陰り気流を乱す。
そして恐るべき威圧感を与える。
だが逆に言えば回避能力の低さをあらわしているのだ。
距離にして百メートル以上の間合いがあるのだが、それでも目を瞑っても当たるだろう。
激突の瞬間、カイザーにはネクストの体がぼやけて見えたかもしれない。
四肢に向かって突き進んでいた四大精霊の力は命中する事は無かった。
ネクストの身体に当たる前に炎は四散し、氷は砕けた。
カマイタチはかき消され、隕石は塵と化す。。
そしてカイザーは強烈な衝撃波の奔流に呑まれた。
【ちいぃ!砕け散れ!馬鹿が!】
超振動兵器。
その巨体を高速で振動させる事によって、全ての物を砕き、四散させる圧倒的な破壊力と衝撃波を生み出すのだ。
突き進んできた炎・氷・カマイタチ・隕石を砕いた超振動兵器だったが、思わぬ副作用も生んでいた。
四散した炎は振動によりプラズマ化し、ネクストの身体を包んだ。
ただでさえリプトのドラゴンブレスによって灼熱化していた装甲は限界近くまで熱に晒されたのだ。
それだけならまだネクストは持ち堪えられただろう。
しかしそこに砕けた氷が作用した。
氷の鋭い先端をもってしても破れなかったであろう装甲だったが、氷が砕けた事により周囲の温度を急激に下げたのだ。
刹那の時間に繰り広げられた急激な温度差によって起こされる現象・・・。
金属疲労、そしてその状態での超振動兵器使用がネクストの装甲を蝕んだのだった。
ボロボロと剥がれ落ち、剥き出しになったネクストの身体。
これ以上の超振動兵器を使う事は自分にもダメージを負う事になる。
ネクストはその作動を停止した。
時間にしてほんの数秒の超振動兵器作動ではあったが、カイザーも衝撃波に飲み込まれたのだ。
その隙を逃すつもりは無い。
剥き出しの身体の随所から突起物が現れ、怪しく光りだす。
【くそう・・・座標設定が・・・構うか!死ね!】
ネクストの機能にもダメージは及んでいる。
直撃させる事が難しく、苛立ちが募る。
だが、直撃しなくてもそれは十分に威力を発揮するものだった。
カイザーの周囲の空間が歪む。
それは黒く巨大な球体となり周囲の空間を引きずりこみ始めた。
局地的な超重力場を生み出したのだ。
※擬似ブラックホールです。
カイザーはそこらじゅうから引っ張られている状況。
バランスを崩せば一気に飲み込まれます。
何もしなければ周囲の空間を飲み込み、十数秒で消滅します。
消滅した後は、飲み込まれた空間の反動で真空刃が大量に発生します。
>カイザーの周囲の空間が歪む。
>それは黒く巨大な球体となり周囲の空間を引きずりこみ始めた。
>局地的な超重力場を生み出したのだ。
「くっ!何だ、この力は…!?」
吸い寄せられる力が働く。
少しの油断があれば、すぐにでも引きずり込まれてしまうだろう。
リプトから得た飛翔の力で、吸い寄せる力に抗おうとするが、徐々に吸い寄せられてゆく
「…何か手は…」
その時、カイザーの眼前に五芒星の魔法陣が浮かび上がる。
「これは、光の波動…!!」
『あの物体はネクストではありません。
今なら、私の力は邪魔されず、力はダイレクトに伝わります。』
「光の精霊…」
『…例え消えゆく運命だとしても、護らなければならないものはあるでしょう。
騎士は、その想いに真っ直ぐであれば良い。
さあ、行きましょう。我々の未来を見るために!』
「ああ!ブレンテル流、勇気の技!!」
五芒星は強い光を放ち、辺りを照らし付ける。
この光は勇気の象徴、絶望に立ち向かう勇気。
「翔けろ不死鳥!
この世界を永久に…翔けろッ!!
―――シャイン・フェニックス・バード!!」
魔法陣から強大な光の不死鳥が飛び出してゆく。
光の不死鳥は、まるでブラックホールを包み込むかのように向かってゆく。
証言者:ビルマーヤ
当時私は一介の司教だったが、ミランドラ枢機卿からナガワの街を任されていた・・・。
盗賊ギルドの長クダンからの指示通り、小さなあの玉を前にしてどれだけ経っただろうか?
私だけではない。地上に出て、町の者達皆が固唾を飲んで見守っていた。
それが世界の命運を担うもの、と言われていたのだから。
そしてナガワの街だけでなく、近隣の町でも同じ状況だったのだろう。
唐突にその玉が眩く光りだした。
私も聖職者として生きてきて、それまでの人生、そしてそれからの人生で多くの聖なる光は見てきた。
しかし、それはどの聖なる光とも違う。
そう、聖なる光ではないのだ。
喜び・悲しみ・怒り・楽しみ・妬み・満足・憎悪・・・そして慈しみ・・・
ありとあらゆる感情の交じり合った、人そのものの光だったのだと思う。
その光を前に、私は知らず知らずのうちに祈っていた。
神にではなく、世界の平和を・・・人の営みを・・・
その気持ちは私だけでなく、その光を見た者全てが感じ、自然と祈っていた・・・
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光の精霊の具現、不死鳥は空を駆け巡り超重力場を飲み込んでいく。
光すら飲み込む擬似ブラックホールと光の象徴の不死鳥。
共に打ち消しあいながら対消滅を繰り返す。
数秒後にはカイザーを引きずり込もうとする重力場は不死鳥とともに完全に姿を消したのだった。
【な・・・何故だ・・・!こんな終わった時代の奴らが・・・!】
ネクストにとっては信じられない事だった。
終わった世界の幕引きをするだけであるのに、幕は一向に閉まろうとはしない。
それどころか激しい抵抗を見せ、自分の攻撃を凌いでいく。
【何故だああ!!!】
ネクストの体中から突き出される銃身がいっせいに火を吹いた。
光でも重力場でもない。
単純な銃の集中砲火。
だが、物理法則を纏う弾丸は、この世界の住人であるカイザーでは見切ることも防ぐ事も、ましてや反応する事すらできない。
***その瞬間、世界は蒼く染まった。***
天も地も無く、全てが蒼一色の世界。それはカイザーに劇的な変化をもたらした。
銃弾の一つ一つがはっきりと見ることができる。その回転、そしてその軌道が!
『聖騎士さん、もう大丈夫ですわよ。ここはブルーアース!私の・・・私たちの世界です!』
ブルーの声がカイザーに届くが、その姿はどこにも無い。
ただ判っている事は、ネクストの世界法則侵食が無効となったという事だ。
「サア、我ガ友ヨ!征コウ!我ラノ世界ノ未来ノ為ニ!」
蒼一色の世界でしたから猛スピードで上がってくるのはリプトだった。
血を引きずりながら、猛スピードで上昇。
その姿はまるで一本の赤い矢のように。そのままネクストの左腕を貫き破壊した。
『世界の人たちの想いの力を知りなさい!人海獣リヴァイアサン!』
色彩が蒼のみなので遠近感がつかないが、まるでにじみ出るように巨大な龍が姿を現した。
リプトとはまた違った海龍のようなその巨大な龍は全人類の想いの具現。
ネクストの迎撃する銃や砲をものともせずにそのまま右腕を噛み砕く。
【馬鹿な!馬鹿な!ありえん!こんなことぉおお!】
両腕を破壊され、火を噴くネクストは絶叫しながら背中から火を噴いた。
爆発的な加速を持って更に攻撃しようとするリプトとリヴァイアサンを跳ね飛ばし、カイザーへと向かっていく。
その巨体で、圧倒的質量で押しつぶす為に!
>天も地も無く、全てが蒼一色の世界。それはカイザーに劇的な変化をもたらした。
>銃弾の一つ一つがはっきりと見ることができる。その回転、そしてその軌道が!
「――――ッ!
これは…これなら!!」
剣を一振り、それだけで銃弾は掻き消され、塵となって地へ落ちてゆく。
>『聖騎士さん、もう大丈夫ですわよ。ここはブルーアース!私の・・・私たちの世界です!』
>ブルーの声がカイザーに届くが、その姿はどこにも無い。
「…ブルー?
この現象、お前の力なのか?」
ブルーの声が響き渡る、しかし姿は見えない。
>「サア、我ガ友ヨ!征コウ!我ラノ世界ノ未来ノ為ニ!」
>『世界の人たちの想いの力を知りなさい!人海獣リヴァイアサン!』
紅き力と蒼き力、二つの想いは終焉を消し飛ばさんとばかりに力強い。
仲間の攻撃はネクストの両腕に絶大なダメージを与える。
>【馬鹿な!馬鹿な!ありえん!こんなことぉおお!】
>両腕を破壊され、火を噴くネクストは絶叫しながら背中から火を噴いた。
>爆発的な加速を持って更に攻撃しようとするリプトとリヴァイアサンを跳ね飛ばし、カイザーへと向かっていく。
>その巨体で、圧倒的質量で押しつぶす為に!
その時、空間が揺らぐ――――
世界の動きは極端に遅くなり、カイザーの周囲だけが通常通りの速さで動いていた。
『今だ、カイザー。
我らの力、6つの精霊の力を集合させるのだ。』
「…しかし、魔力が消えかかっている今、お前達の力を使ったら…」
『消滅…でも、それは既に一つの未来で経験している。』
「…何を、言っているんだ?」
『今、我々の力を使わずとも、ネクストの思い通りに事が進めば我々は消滅する。
ならば、最後ぐらい盛大に散らせてもらおうか。』
『だからせめて、未来―――私達の世界の未来を見てから無に還らせて下さい。』
「俺達の世界の未来…」
『聖騎士カイザー。
魔王を倒し者―――もう一度、その奇跡を世界へ!』
――――そして、世界の動きは元に戻る。
暖かい複数の力を感じ、カイザーは目を瞑った。
「―――ありがとう。」
そして、目を開く。
接近するネクストを視界に捉える。
「世界の未来、俺達の明日―――この一撃で決める!!
全ての力よ集え!今こそ奥義を使うべき時ッ!!」
「火、水、風、大地、光、闇―――全ての力、一つに!!」
カイザーの周りに、6つの輝きが生まれる。
おそらく、それらを平和な日々で見る事が出来たなら、誰もが美しく感じただろう。
それぞれが違う色で6色に輝き、違う色同士が呼応し合い、更に美しい色へ高め合ってゆく。
やがてそれらの色は一点へ集まって行く。
カイザーの掲げた、剣へ。と
別々の色だった精霊達は剣の中で一つに混ざり合う。
しかし、一つに混ざり合っていても、色の区別は出来る。
この色は赤、この色は緑…人々が名前を付けた色として認識ができる。
「―――最後だろうが始まりだろうが、俺達は俺達の手で未来を掴む!
ネクスト!貴様一人に受けきれるか、俺達の世界が!!」
カイザーの身体が力強く輝く。
その輝きの名は聖闘気、人の力が目に現れた姿。
そして、その輝きも、また…剣へ。
光の精霊の色とは違う、もう一つの色。
それは、7色目の色
―――――人間の、心の色。
七色の輝きを発する剣を両手に強く握り締め、カイザーは敵を見る。
「どんな絶望があっても、人はそれを輝きに変える事が出来る。
―――ネクスト!俺達の未来に始めから貴様は存在しない!!」
狙いを定め、剣を振り上げる。
「ブレンテル流!剣の奥義!!」
七色の輝きは強く、強く輝く。
この大空を駆けるように、とても大きな美しい輝きを生み出す。
「――――漣皇・波動収束牙聖剣ッ!!!」
七色の力が、ネクストへ向けて降り掛かる。
【ガああアああァあああ!!!!】
「――――漣皇・波動収束牙聖剣ッ!!!」
爆煙を引きずりながら進むネクストとカイザーの振り下ろした七色の力が真っ向から激突する!
凄まじい力と力のぶつかり合いは蒼い世界全体を震わせた。
しかし、ネクストは止まらない。
当然の結果だ。
カイザーという人一人が放つ力と、城規模の質量を持つネクストでは桁が違う。
ネクストはまったくスピードを落さずに突き進む。
そして一秒に満たぬ間に、技の放出直後で硬直したカイザーがいた地点を過ぎ去った。
突進を始め数キロを移動し、ネクストはようやくその突進をやめた。
炎と爆発に蝕まれながらも突進をし終えたのだ。
一方、カイザーは・・・・微動だにせず【そこ】にいた。
ネクストの引きずった煙が晴れ、その姿を現したカイザーはそこにいたのだ。
技放出直後の硬直時間、確かにネクストはそこを突進した。
防ぐ事もよける事も不可能だったはずだ。
それは火、水、風、大地、光、闇・・・そして人の心の力。
その質量差の為突進をとめる事はできなかったが、ネクストの身体を穿ち貫いていたからだ。
カイザーはその穴を素通りし、その突進を回避したのだった。
【畜生!畜生!・・・こんな事が合ってたまるか・・・!】
身体の中心を貫かれたネクストは体中から爆発を起こし、自壊していく。
邪魔物を生み出す下部の培養槽郡は全て割れ、あらゆるところでスパークし炎が吹き出る。
【くははははは!世界の終わるところを見られないのは残念だがもういい!
世界を滅ぼす炎で全部死にやがれ!!】
崩壊し爆発すると思われたネクストが突如と笑い声を上げた。
そしてネクストの身体に膨大な力が集まってくるのが感じられるだろう。
巨大な身体の崩壊が止まり、逆に中心に向かって収束していく。
収束した身体は熱を帯び、見る見るうちに巨大な炎の玉と化していく。
「コレ以上ハ何モサセナイ!」
『猟師さん、いけませんっ!』
ネクストの変化にリプトがドラゴンブレスを放つ。
ブルーがネクストの本質に気付き制止するがそれは間に合わなかった。
ブレスが火球に触れた瞬間、ブレスは黒く変色し爆発。
その変色はブレスを伝ってリプトにまで及び、その頭部が粉々にはじけ飛んだ。
『っ・・・・!』
ブルーの声にならない叫びとともにリプトの姿は蒼い世界ににじみ消える。
ネクストが自滅して転化したのは世界を滅ぼす火球。
人も物も世界法則も、世界全てを滅ぼす呪われた火球だったのだ。
恐るべき勢いで膨張する呪いの火球だが、カイザーにはひどくゆっくり感じられただろう。
それもそのはず。
カイザーの感じる時間の流れが間延びしているのだ。
その間延びした時間の中、カイザーはブルーの声を聞いただろう。
『神託だろうが、世界を滅ぼす炎だろうが、そんなものなんだというのです。
私たちの世界を・・・あなたを生かす揺ぎ無いものがありますもの・・・私はあなたを・・・』
最後まで聞き取れぬその声とともに、カイザーも蒼い世界に滲み、消えていった。
カイザーが気付いたとき、そこは空の青、雲の白、眼下に広がるのは大地に茂る森の緑、魔王の城があった場所は抉られた様に黒く影を落している。
色彩のある世界だった。
「カイザーさん。あれは・・・」
声をかけられて振り向くとリプトが人の身体で宙に浮いていた。
呪いの炎によって龍の身体と力を破壊され、僅かに残った龍の血によって龍人形態となっていたのだ。
そのリプトの指し示す先には蒼い巨大な球体が浮いていた。
その球体の頂上部に人影が見える。
それはいつもの冒険者の扮装ではなく、ナガワの街の宴の後、カイザーと夜空を見上げたときと同じ服装。
ワンピースすがたのブルーだった。
「私の中には世界を滅ぼす火球となったネクストがいます。
あれは世界を滅ぼすまで止められない炎・・・だから、世界を滅ぼさせる事にしました。
でも、私たちの世界は滅ぼさせはしない・・・
気にしないでください。このブルーワールドを発動させた時点で、もう私は・・・。
聖・・・いえ、カイザーさん、リプトさん。
あなた達と一緒に旅をして、私は初めて人の温かさを、強さを、そして・・・愛を・・・知りました・・・。
信じられないくらい楽しくて・・・幸せでした。・・・ありがとう・・・・。さようなら・・・。」
穏やかで自愛に満ちた笑みに満ちたブルーはくしゃっと笑って別れの言葉を述べ、蒼い球体へと溶けていく。
いつもの表情とは違う、しかしそれこそがブルー本来の笑顔・・・。
ブルー唯一のオリジナル魔法、ブルーアース。
ブルーボールに集められた人々の膨大な思いの力を糧として、自分自身を一つの世界に術だったのだ。
つまり、今までカイザーも、リプトも、ネクストも、ブルーの中で戦いを繰り広げていた事になる。
世界を滅ぼすまで止まらない炎ならば、ブルーという世界を滅ぼさせて共に果てようとしているのだ。
「まったく!私たちのお姫様はどこまでも・・・!」
リプトはブルーの意図を理解し、搾り出すように呟く。
だが動く事はしなかった。
このまま行けば確かにブルーワールドという世界を消滅させ、役目を終えた火球は消えるだろう。
しかしブルーを救えばブルーワールドは消滅し、火球は世界を滅ぼす。
ドラゴンブレスで証明されたように、それを止める術は無い。
だからこそ、見極めているのだ。
猟師の目で。その両目から血の涙が溢れるほどに!
「カイザーさん!今ならまだ分離できます!」
見極めた瞬間、リプトは巨大な蒼い球体に向かって空を駆けていた。
もはや龍の力も殆ど消失した自分ができる事は、未だ溶けきっていないブルーを分離する為の正確な座標を指し示す事だけなのだから。
>「カイザーさん!今ならまだ分離できます!」
>見極めた瞬間、リプトは巨大な蒼い球体に向かって空を駆けていた。
>もはや龍の力も殆ど消失した自分ができる事は、未だ溶けきっていないブルーを分離する為の正確な座標を指し示す事だけなのだから。
「ブレンテル流、速攻の剣。」
カイザーは、剣を振り上げた。
リプトが座標を示すしか無いのと同じように、カイザーはリプトが指し示した場所へ直撃させる事しかできない。
奥義を使った反動は大きく、残された力は僅かしか残されていない。
おそらく、次の一撃で残された力も使い切ってしまうだろう。
だからこそ、外す訳にはいかない。
次にカイザーが放つ技。
それは、カイザーが一番最初に覚えた技。
最も多く使った技。
だからこそ、身体の奥底にまで刻み付いている技。
「―――疾風聖波烈斬」
剣を振り下ろすとともに、光の波動の刃は飛んで行く。
一寸の狂いも無く、リプトの指し示す方向へ。
ブルーとブルーの世界を分断させる場所へ、飛んで行く。
最も最初に覚え、最も多く使った技。
身体の心まで刻み込まれたその技は、この局面で昇華する。
光の波動の刃が世界を断ち切るほどに・・・!
そして寸分も違わず、巨大な蒼い球体の本の一部を削り取った。
削り取られた破片は形を変えながらふわりと浮く。
そしてカイザーの両手に抱えられる頃には、ブルーアースと同じ蒼一色だがその姿はブルーそのものへとなっていた。
「・・・・っ!ばっ・・・!」
カイザーの腕の中で目を覚ましたブルーは驚きのあまり言葉が出てこない。
自分が分離され、生きている事に。
しかしそれよりも何よりも、カイザーの腕の中にいる事に。
一方、削り取られた蒼い球体のあちこちにヒビが入り始める。
僅かといえども世界が削られた事により、世界を滅ぼす炎と滅ぼされる世界のバランスが崩れたからだ。
「馬鹿ですか?馬鹿なのですか?せっかく私が助けて差し上げたというのに!・・・でも・・・ありがとう・・・」
一頻り怒った後、気が抜けたようにブルーは涙を零し、カイザーの胸に顔をうずめる。
ヒビは亀裂と化し、蒼い球体、ブルーアースは粉々に砕け散った。
世界を滅ぼす炎の残滓は僅かばかりの衝撃となり周囲を薙いだが、殆ど影響はないといっていいだろう。
その代わり、苦だけ粉となったブルーアースの粉末が陽光に煌きながら世界に散っていく・・・。
ネクストは完全に消滅し、世界は守られたのであった。
「・・・ほんとうに・・・もう・・・」
カイザーの胸に顔をうずめていたブルーが、長い時間をかけようやく顔を上げる。
顔にヒビが入り、泣き腫らした目は腫れているが、その美しさを損なう事はない。
「まったく、せっかく格好よく別れを告げたのに、助けられてしまって格好がつきませんわ。」
カイザーから離れ、ぷりぷりと怒りながら文句を言う姿は以前とまったく変わらない。
しかし、ブルーの全身に入るヒビはどんどん大きくなっていく。
「ブルーさん・・・」
「あら、リプトさん?そんな哀れむような声を出さないでくださいますか?私は別に世界のために命を張ったわけではありません。
どうしようもなくか弱い私の下僕であるあなた方の主人の責務を全うしただけなのですから!」
怒涛の勢いでリプトを圧倒し、ふ〜と一息をつく。
ブルーは隠しているつもりだが、二人からはしっかり判っただろう。
自分を落ち着ける為に何度かの深呼吸を繰り返していた事を。
そして一際大きく息を吸い込み、意を決したようにカイザーのほうへと向き直る。
既に『世界』となったブルーは本来の『世界』に融合し、世界の一部になる。
それを伝える為に。
だが、その決意はカイザーと目が合った瞬間もろくも崩れ去るのだった。
「・・・わ・・・わだじ・・・ば・・・」
声が震え、涙がとめどなく溢れ続ける。
だが涙を拭くこともなく、ただ呼吸だけを整えもう一度口を開く。
「私は・・・もっと、生きていたい・・・あなた達と・・・一緒・・・に・・・でも、もう私は世界、なの・・・
本当は・・あの炎と一緒に消えるはずだったのに・・・覚悟したのに・・・あなた方が・・勝手に助けるから・・・」
嗚咽と共に搾り出される言葉は、大泥棒でもない、世界を救うものでもない。
ただ一人の人間としての言葉。
それ以上何も言えず、リプトとカイザーと抱き合い、泣き続けた。
「本当に・・・ありがとう・・・。
私たちの世界が・・・私たちの未来が守れた事を見届けられたのだから。
私は・・・もう一緒に行けないけど・・・いつまでもあなた方を見守っていますから・・・
この世界として・・・ね・・・。」
カイザーとリプトの胸の中でブルーはこの言葉を残し、ブルーは世界の一部となり消えた。
カイザーは、リプトと共に一つの墓の前に立っていた。
それは、造り立ての質素な墓。
「…ま、こんなもんだろ。
あいつが見たら地味とか言い出して怒りそうだが、貧乏人にはこれが精一杯だ。」
しゃがみ込み、花を墓の前に手向ける。
ブルーはこの世界の一部となると言っていた。
しかし、カイザー達には実感が沸くはずもない。
実感が沸くとすれば、仲間の一人がいなくなったという現実のみ。
「さて、そろそろ俺は行くぜ。」
カイザーは立ち上がろうとする。
その瞬間、自分の道具袋に腕が触れた。
何か突起状の物体が中に入っている事に気付く。
それが何かを確かめようと、カイザーは道具袋を開いた。
「―――巻貝……か。
あの戦いで、よく砕けずに済んだな。」
その綺麗な貝殻を見て、思い出した。
ブルーは、困った事があればこれを吹けと言っていた。
自分が飛んで行ってなんとかする…と。
「…借りた物は返すぜ、色々ありがとな。」
一瞬だけ、この貝を吹こうか迷ったが、やめた。
「いつでも、見守っている…だったな。」
カイザーは、先程置いた花の横に巻貝を置く。
「今度こそ行くぜ。
リプト、今回の戦い、お前達がいなければ勝てなかった。
何かあれば、いや何も無くてもいいが、俺の住んでいる国へ訪ねてくれ。協力する。
じゃ、縁があったらまた会おうな。」
こうして、カイザーは歩き出した。
戦いの終わった世界を一歩ずつ進んでいく。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
少しの歳月が流れた。
邪騎士によって傷を負った世界も、少しずつ活気を取り戻している。
そんな中、一つの村で事件は起きた。
村に何体もの魔物が現れ、暴れまわっているというのだ。
その村に一人の男が駆け付けた。
「まったく…魔力が減ってるっていうのに、貴様らも元気だな。
だが、こう見えて俺も暇じゃない。さっさと片付けさせてもらうぞ!」
白銀の闘気、聖なる剣、首に輝くペンダント
そして、6色の光
「ブレンテル流、闘気の剣!!」
その男の名は―――
―――きっと、あなたも知っている。
カイザーたちの活躍で世界は救われ、時代は続く。
魔力は枯渇してしまったが、それでも人々は力強く生きていった。
・
・
・
・
・
・
それからどれだけの時が過ぎただろうか?
星霜の彼方、悠久の果て・・・
カイザー達の魔力に溢れ、剣と魔法の世界は伝説でしか語られない。
しかし人の生活はそこにある。
そして、闘いも・・・
「喰らえ!オーラスマッシャアア!」
「ぎゃあああああ!!!」
青年の放った技に貫かれ、異形の化け物が断末魔と共に消滅した。
「お疲れ様です。では結界をときますよ。」
「まったく、人が宇宙に行く時代って言うのにこういう化け物って本当にいるんだもんなあ。」
息をつきながら青年が見上げる空には、七色の虹がかかっていた。
そしてその更に上空。
この日、人類は始めて地球を飛び出し、宇宙空間へと足を踏み入れた。
人類初の宇宙飛行士は、宇宙から自分達の星を見て、感動と共に言葉を残す。
「・・・地球は蒼かった・・・」
伝説の彼方のものとなったカイザー達の生きた時代だが、確かに今の時代へと、未来へと繋がっているのだった。
そう、世界は人々の想いと共に続いていく・・・
677 :
名無しになりきれ:2007/10/21(日) 01:13:17 O
fin.
という夢を見たカイザーだった
「魔王倒したと思ったら宇宙とかwwwテラSF厨wwwww」
物凄く熱いのは果たしてツッコミ所なのだろうか
まあそこそこ面白かったけどさ
後半の真紅ひでえw
なんだかんだで無事完走?
容量的にもいい感じだな
地球は蒼かったはよかったな
ブルーアースか
しかし1GM1コテでこのクォリティとは
やはり主役とボスがちゃんとしているスレは強いな
ボスとしてはともかく、GMとしては自分の世界に酔いすぎ。
ブルーとリプトなんてGMが本性表わしてすぐ消えたし
686 :
名無しになりきれ:2007/10/22(月) 23:34:25 O
(゚д゚) プゥ↓カイザー
ノヽノ) =3゚д゚)ノ
くく へヘノ
687 :
名無しになりきれ:2007/10/22(月) 23:35:21 O
訂正
↓真紅
(゚д゚) プゥ↓カイザー
ノヽノ) =3゚д゚)ノ
くく へヘノ
688 :
名無しになりきれ:
↓真紅
(゚д゚) プゥ↓リプト
ノヽノ) =3゚д゚)ノ
くく へヘノ