〉もしかして100周年で新しいお星様の精霊がきたでちゅかね?
助けてもらって興奮していたあーちゃんも、新しい星に興味があるみたい。
ドラゴンの手の中でカタカタと動いている、半径30cmくらいのお星様。
こうやって見ると、前から村にあった星にそっくりだ。
…双子星?
あたしは、社に安置されている星を見る。
いつの間に側に行ったのか、魔王様が星をつんつん突っついていた。
二つの星は、まるで呼び合うみたいにカタカタ動いている。
よく見ると光かたまで一緒だ。
あたしは、『世界の秘密大図鑑』を取り出した。
もしかしたら、星のことが何か載っているかもしれない。
星の精霊、星の精霊…あった!
図鑑によると、空から星の精霊が降ってきた後の展開は二通り。
一つはみんなの無茶なお願いに困った精霊を、仲間が迎えに来て一緒に帰ってしまう。
二つ目はみんなの純粋な願いを叶えるため、精霊の仲間が手助けに来てくれる。
さて、今回はどっちなんだろう?
「管理人さんは、精霊の声が聞こえたりしますか?」
あたしはドラゴンに尋ねてみる事にした。
その時、軽やかな音を立てつつドラゴンの手の中で星が割れ始めた!
666 :
名無しになりきれ:2007/02/20(火) 22:48:29 0
ぱか!!
さあ願いをいえ!どんな願いでも・・・は無理だがなるべくかなえてやろう
>>660 ズドーン!
大きな音をたてて星は落ちます。
しかし、そこはドラゴンです。
きっちりキッカリ受け止めました。
>>662 すごい、と褒められたドラゴンは誇らしげな顔を見せます。
「当然である。我輩はドラゴンの中でも立派な一族の一人(一匹?)なのであるから!」
ちょっと興奮して言った後、あーちゃん達を見つめて言います。
「とにかく無事で良かったのである。我輩が管理人をしている星の社で、怪我人が出たら我輩悲しいのである」
>>661 掌でカタカタと動くお星様を見てドラゴンは言います。
「このお星様は多分、100周年だからやってきた新しいお星様である。管理人の仕事に就く時にそんな感じの事を言われたのである」
今思うと、このお星様を受け止める為にドラゴンは管理人になったのかもしれません。
何だか運命を感じたドラゴンです。
>>665 あーちゃん達とお星様を覗いていたドラゴンはある事に気付きました。
社に置いてあるお星様と光かたがそっくりなのです。
気のせいではないかと、確かめる為にチラッと視線を社のお星様に戻すと……
「な、何をやっているのであるか!?」
何と魔王さんがお星様をツンツンつっついていたのです。
「お星様にイタズラしてはいけないのであるー!」
ドラゴンはイタズラを止めようと、魔王さんの方へ行こうとしましたがフィーナちゃんから声をかけられ、動きを止めます。
>「管理人さんは、精霊の声が聞こえたりしますか?」
どんな時でも質問を無視しないのがドラゴンのモットーです。
「いつも聞こえるわけではないであるが、お星様の方から声をかけてもらう事はあるのであるよ」
普段ドラゴンは精霊から話を聞く事は出来ないのです。
でも、時々、人間より耳と感覚の良いドラゴンは精霊からお話を聞きます。
ほしふり村に来たのもお星様に導かれてでした。
>>663>>667 ドラゴンが質問に答えていると突然、お星様がドラゴンの掌でカタカタカタカタ激しく震えだし、割れてしまいました。
(ど、どうしたのであるか!?)
ドラゴンにも何が何だか良く分かりません。
割れたお星様の中から光る玉のようなものが出てきました。
おそらく精霊さんです。
精霊さんは何か願いを叶えてやろうと言いました。
精霊の声を聞いたドラゴンはあーちゃん達にこの事を伝えました。
「じゃああらためて・・・コホン」
と咳をするあーちゃん
「ミクミダがひらがなをしゃべれるようにしてほしいでちゅ」
とさっき言いそびれたお願いを改めてした
だが精霊は「その願いは私の能力を超えている」と断った
「・・・・えぇ!?それは本当でちゅか!!」
ミクミダのカタカナしゃべりはそこまで重大なことなのだろうか?
それともこの精霊の能力が低いのだろうか
精霊にしかそれはわからないことだ
「次の方どうぞ」と精霊は促した
ドラゴンは、あたしの質問に丁寧に答えてくれた。
よかった、おとなしいドラゴンで…
とりあえず、これ以上怒られないように魔王様を引っ張って来る事にした。
戻ってきてみると、お星様の精霊にあーちゃんが願い事をしている。
使い魔がひらがなをしゃべれるように。
かわいらしいお願いだなぁ、なんて思いながら見守っていると。
〉その願いは私の能力を超えている
えーっ!?
そんなお願いも叶えられないの!?
もしかして、あんまり力の無い精霊?
生まれたてだから?
〉次の方どうぞ
唖然としていると、精霊は次のお願いを待ちだした。
次は、あたしか…
あんまり大きな願いは叶えられそうもないし、無難なものがいいかな。
よし。
健康と金運でもお願いしておこう。
あたしが願い事を言おうとすると、その前に魔王様が願いを言った。
「世界人類が平和でありますように」
そ、その願い事は魔王としてどうなの?
と言うより、そんな大きなお願い大丈夫なの?
「変なお願いをしたら、精霊が怒りだしたりしませんか?」
ドラゴンにこっそり尋ねてみる。
672 :
名無しになりきれ:2007/02/24(土) 09:39:20 0
にっこり精霊
673 :
名無しになりきれ:2007/02/24(土) 20:35:32 0
邪気の無い願いだったからか?
多くは望みません
地位と名声と財産と女を与えて下さい!
675 :
名無しになりきれ:2007/02/25(日) 22:35:11 0
>674
674は女にされた
どうやら金持ちの有力者と結婚しろということらしい
そこで猫の侵攻が…
魔王様のスケールの大きい願い事を聞いて、精霊はにっこり笑ったようだ。
魔王様の邪気の無さが、良かったのかもしれない。
精霊はゆっくり点滅し始め、それに答えるようにもう一つのお星様も光を放ち始めた。
な、何が起きるんだろ…?
少し離れた所で誰かが、流れ星だ!と叫んだ。
声に釣られて、あたしも空を見上げた。
一筋の星が流れる。
また一つ、また一つと流れ星は増えていく。
やがて星は、まるで雨のように沢山流れ始めた。
まるで、ほしふり村のみんなを祝福するかのように。
〉多くは望みません
地位と名声と財産と女を与えて下さい!
随分贅沢な望みを口にする声が聞こえ、しばらくしてそっちの方から女の人の悲鳴があがる。
なにがあったのかわからないけど、願いが叶ったのかもしれない。
あちこちで聞こえる願い事の中で、あたしも星に願いをかける。
世界中なんて魔王様みたいな事は言いません。
どうか、あたしの周りの人たちの幸せが続きますように。
…ただ。
あたしの中で、一つの疑問が深まった。
なんでミクミダはひらがなを喋れないんだろ?
あーちゃんに、心当たりがないか聞いてみる事にした。
「多分でちゅけど・・・・」
あーちゃんはもともとミクミダは魔法のりんごから作られたものであることを語った
そしてそのりんごを生み出したのはいたずら好きの魔女であること
その魔女の魔力の影響ではないかと言う内容のことを話した
「多分魔法の実力の差なんだろうと思うのでちゅ」
そういってあーちゃんは星の精霊を見た
魔法のリンゴから作ったのか…
無生物を使い魔にするのは、かなり難しかったような気がするんだけど。
あーちゃんは、小さくてもかなりの実力者みたいだ。
〉多分魔法の実力の差なんだろうと思うのでちゅ
なるほど、それならわかるかも。
相手の魔力を上回らないと魔法に効果がない、なんて事は普通にある話だし。
あれ?
そうするとその魔女は、星の精霊より魔力が強いって事?
「その魔女、どこにいるか知りませんか?」
興味を引かれてあーちゃんに尋ねるあたしの肩を、魔王様がちょんちょんと突っついた。
「なんですか、大事な話をしてる時に!」
振り向くと、魔王様は隣に居るつばひろ帽子を被ったおばさんを指さした。
誰だこの人は。
疑問を口にする前に、魔王様が答えた。
「柳の魔女」
えーっ!?
とてもそんな凄い魔法を使うようには見えないよ!?
魔女のコスプレしてるおばちゃんじゃないの!?
「魔女って、この人の事なんですか?」
失礼な質問のような気もするけど、あーちゃんに確認してみた。
「そうでちゅ!!カレー好きでいたずらも好きな魔女でちゅ!!」
ついでに言うとお得意さんでもある
「ひよこにされた人もいるでちゅから気をつけるでちゅ」
とあーちゃんは警告する
ひっひっひ
と笑う魔女
あんたをひよこにしたらおいしいカレーが食べられなくなる
だから安心おしとあーちゃんに言うのであった
願い事はなんですか?
ひよこに…
あーちゃんの言葉は、警告としては十分すぎるものだった。
まだ若いのに、残りの人生をひよこになって過ごすなんていやだ。
あたしは、魔王様の陰に隠れる位置に移動する事にした。
〉願い事はなんですか?
星の精霊が、魔女にも願い事を聞いている。
律儀に聞かなくていいのに…
「そうさねぇ…あたしゃ前から王子様達にイタズラしてみたかったのさ」
いきなり何を言い出すんだ、このオバサンは!
お願い!そんな願い聞かないでー!!
あたしが魔女を止めようとした瞬間、星の精霊は一際大きく光を放った。
あまりの眩しさに、あたしは思わず目を閉じる。
…しばらくして。
ゆっくり目を開けると、魔女はどこにもいなかった。
代わりに黄色くて小さい何かが、もこもこ動いている。
あたしは、それに近よってみた。
黄色い何かはひよこだった。
そっと持ち上げてみると、手の中でもぞもぞ動いている。
…なんでこのひよこ、鉄仮面なんかしてるんだろう…
この趣味の悪い形は、第三王子の仮面だよね…
もしかして!
王子達全員ひよこに変えられちゃったの!?
よく見ると。
ひよこは合計4羽いた。どーしょー…
魔女は箒で上に飛んでいるようだ
飛んで追いかける4ひよこ王子
684 :
名無しになりきれ:2007/03/06(火) 13:42:31 0
激しい空中戦
「・・・・・すごい戦いでちゅ」
ひよこなのに良くそこまでとあーちゃんは思いました
「あ、魔女が落ちてきたでちゅ」
686 :
名無しになりきれ:2007/03/10(土) 13:25:33 0
ズドーン!!人型の穴が開いた
落ちてきた魔女
ひよこになった王子達は、羽ばたいたかと思うと一斉に飛び上がった。
見上げると、空を飛んで逃げる魔女を王子達が追いかけて突っついている。
四匹は見事なコンビネーションで魔女を攻撃し、魔女はアクロバティックな動きで逃げ回る。
それは激しい空中戦だった。
見た目の緊張感はゼロだけど。
ひよこって空飛べなかったよね…王子達も魔法が使えるんだろうか?
それとも、いつもの怪しい拳法で空を飛んでるとか?
非現実的光景に、思わず関係ないことを考えてみる。
〉あ、魔女が落ちてきたでちゅ
あーちゃんの言葉に我に返ると、王子の攻撃をまともに受けた魔女が墜落する所だった。
ズドーン!!
大きな音がして、落下点に人型の穴が開いた。
いや、あれ死んだんじゃないの?
さすがに心配になって、穴の側に行く。
「アイタタタ…全く無茶をするね、最近の若い子は」
悪態をつきながら、魔女が穴から這いだしてきた。
魔法でダメージを軽減したのか、とくに外傷もない。
「相手構わずいたずらするから、そんな目にあうんですよ。
観念して、王子達を元に戻してあげたらどうですか?」
忠告すると、魔女は笑って言った。
「なぁに。
祭りが終われば、呪いは解けるようになってるのさ。
ほんのもう少しの辛抱さね。
ほら、耳を澄ませて聞いてごらん?」
あたしは言われたとおり、周りの音に注意を集中した。
聞こえてくるのは、太鼓や笛の音。
楽しそうな人々の笑い声。
後は、風の音くらい?
さっきから聞こえて来るのと、特に何も変わらない音ばかり。
なによ、別になにも聞こえないじゃない。
あたしが魔女にそう言ってやろうとした時、どぉーんと大きな音がした。
振り返ってみれば、さっきまで王子と魔女が戦っていた空に大輪の花。
広場から、花火が一発上がったのだ。
空に大輪の花が咲いた
まだ5時前なのに・・・・
なにか魔法が掛かっているのだろうか?
「綺麗でちゅね・・・・」
あーちゃんはうっとりとそれを眺めた
691 :
名無しになりきれ:2007/03/13(火) 17:39:56 0
それを眺める王子ひよこ
692 :
名無しになりきれ:2007/03/15(木) 11:43:21 0
新規募集
そして祭りは終わりを迎える
またのんびりした日々は続く
永遠に
な、なんでこんな時間から花火が上がってるの?
普通は、花火なんてお祭りの最後に打ち上げない?
そんな事を考えている間も、まだ明るい空に次々に花火が打ち上げられる。
炎系の魔法を改良して使っているのか、空が明るくてもはっきりと花火を見ることができた。
〉綺麗でちゅね・・・・
花火を見上げながら、あーちゃんがつぶやいた。
確かに。
あたしは他のみんなと一緒に、花火を眺めた。
あーちゃんや、ひよこ王子達。
魔女に魔王様。
この村に来て知り合った人達や、まだ顔も名前も知らない人。
みんなみんな、花火を眺めている。
なんだか、みんなと心がつながった気がした。
最初来たときは、この村に長居する気なんて無かった。
魔王様を連れ帰るついでに、王子達の秘密を探ってすぐ帰るつもりだった。
はっきり言って、また面倒事に巻き込んでくれた魔王様に八つ当たりしたかったぐらいだ。
でも。
今はこの村にきて、良かったと思う。
少しでも良いから、出来るだけ長くこの村に居たいと思っている。
どうしてこんな気持ちになったのかは、わからないけど。
「いやいや、合同祭を閉めるのにぴったりだねぇ。
ウイグル村長も奮発したもんだ」
魔女が、感心したように言った。
もうお祭りも終わりか…
まだ時間は早いから残念な気もするけど、しかたがないかな。
「この村は、お祭りが終わるの速いんですね。
大抵は夜中遅くまで、祭りを続ける所が多いのに」
素直な感想を言うと、魔女はケラケラ笑った。
「何を言ってるんだい?夜中まであるに決まってるじゃあないか。
合同記念祭だから、職人の連中が大奮発して花火を沢山作ったのさね。
このまま、夜まで打ち上げ続けようってのさ」
なるほど、そうだったのか。
ちょっと安心して、また花火を眺め始める。
このまま夜まで、ずっと花火を見てるのも悪くないかな。
お祭りが終わった後の生活なんかに、思いを馳せながら。
…そういえば。
あーちゃんは店番大丈夫なんだろうか?
(その頃のミクミダ)
ミクミダ「マスターハヤクカエッテキヤガレ!!」
開店15分前である
(精霊前)
「・・・・!?」
何かに気がついたあーちゃんはあわてた様子でこういいました
「大変でちゅ!店が始まる時間でちゅ!!」
あーちゃんはあわてて店に走って帰りました
祭りは終わりでも村での生活はまだまだ続くのです
696 :
名無しになりきれ:2007/03/16(金) 11:59:02 0
ほしふり村の生活はまだまだ続きます
697 :
名無しになりきれ:2007/03/16(金) 22:04:11 0
祭りで気に入ってそのまま居ついた住人もいたり・・・・
眠っていたあたしは、ほしふり村に朝を告げる鐘の音で目が覚めた。
毎朝毎朝、ハマーさんが同じ時刻に鳴らしている鐘。
助かっている人も多そうだけど、まだ慣れてないあたしには音が大きすぎる。
高台から家を離しておいて良かった…
そんな事を考えながら、あたしはベッドの上に身を起こした。
寝間着代わりのローブを脱いで、適当な服に着替える。
ほしふり・しもふり合同祭の後、あたしと魔王様はしばらくこの村に住むことにした。
あたし達の他にも、お祭り後に村に住むことにした人はいるみたい。
そんな人たちに配られたのが、怪しい魔法のキノコ。
地面に埋めると3日程で家くらいのサイズになる。
後はちょちょいと手を加えれば、お手軽マイホームの完成というわけだ。
3日も待ってられないので、魔王様に植物の成長を速める魔法を使ってもらったけど。
で、今日は住民登録をするために役場に行く日。
着替え終わって、自分の部屋を出る。
魔王様の姿はない。
ああ、昨日作ってた菜園の様子でも見に行ったんだな。
納得して、キノコの家のドアを開けた。
そこで見たのは、一面の雪景色の中で雪だるまを作る魔王様だった。
バタンとドアを閉めて、今見た光景を分析する。
確か昨日までは、雪なんて降ってなかったよね?
それに、まだ雪が積もるような季節じゃないし。
疲れてるのかな…
気を取り直して、また外に出た。
寒い。
この寒さは、どう考えても幻じゃない。
なんでこんな異常気象が…
しばらく考えても、答えは出そうになかった。
わからないことは人に聞くのが一番。
朝ご飯もかねて、あーちゃんのカレー屋さんに行ってみよう。
もしかしたら、こんな事もほしふり村では当たり前の事かもしれないし。
一度部屋に戻って服を着込み、【世界の不思議大全】を持って準備万全。
「魔王様、朝ご飯を食べに行きますよ!」
犬みたいに付いてくる魔王様を確認して、あーちゃんの店を目指した。
…寒い。
しかも、雪が積もっていて歩きにくい。
これじゃほしふり村じゃなくて、ゆきふり村だ!
心の中で文句を言いながら、暖かいカレーに向かって進む。
こんな雪の中で、店を開けてくれているんだろうか?
そんな不安が、ふと脳裏をよぎった。
ガタンガタンと揺れる看板
どうやら今日は店を開ける時間を短くする予定のようで
表に掛かっている連絡表にはいつもより短い営業時間が書かれている
ついでに朝カレーやってまちゅとも書かれていた
「それにしてもすごい雪でちゅね・・・」
ミクミダ「マッタクダゼ・・・ホントニ客クルノカヨ」
「それを言っちゃおしまいでちゅ・・・・あ!お客しゃんでちゅ!いらっしゃいでちゅv」
見るといつ見ても大きな魔王さん(あーちゃんのパパじゃないほう)とフィーナさんであった
「ご注文はなんでちょうか?」
701 :
名無しになりきれ:2007/03/18(日) 13:27:25 0
だが雪もっと降る
702 :
名無しになりきれ:2007/03/19(月) 10:34:28 0
開かない扉
703 :
名無しになりきれ:2007/03/19(月) 19:35:36 0
閉じ込められたっぽい
しばらく歩いて、あたし達は無事にあーちゃんの店にたどり着いた。
表に出ている連絡表を見ると、雪のためか今日は店を早く閉めるようだ。
それから、メニューに朝カレーが追加されたらしい。
カレースープを頼むつもりだったけど、朝カレーを食べようかな。
「おはようございます」
あいさつしながら、店のドアを開けた。
〉あ!お客しゃんでちゅ!いらっしゃいでちゅv
中に入ると、あーちゃんとミクミダが出迎えてくれた。
さすがにこの大雪だと、他のお客さんはいないみたい。
〉ご注文はなんでちょうか?
「魔王様はいつものカレー。
あたしは朝カレーをお願いします」
やがて、注文したカレーが届いた。
いつ食べてもあーちゃんのカレーは絶品だ。
「ご馳走様でした」
カレーを食べ終え代金を支払ったあたし達は、役場に行くことにした。
窓から外を見ると、空を覆い尽くしている雲から雪が降り続けている。
雪はもっと降りそうだ。
また雪道行進か。
嫌だなぁ…住民登録はまた今度にしようかなぁ…
外に出ようとドアに手をかける。
なぜか、ドアはびくともしなかった。
あれ?さっきは簡単に開いたのに。
もしかして、壊しちゃった?
天井近くまで雪が積もっている
異常気象にもほどがある
これはいったん外に避難しないと店が物理的につぶれて危険かもしれないとあーちゃんは判断した
「どうやら営業している場合ではなさそうでちゅね」
ミクミダ「ドウスルンダ?」
「屋根裏部屋の窓から脱出でちゅ」
ぽんぽんとあーちゃんが手を叩くと天井が割れ階段が出てきた
「さあ登るでちゅ」
ドアの隙間から、ポロポロと雪がこぼれ落ちてきた。
それも上の方から。
うわ、なにこれ。
もしかしてドアが開かないのは、雪に埋まっちゃってるから?
さっきまでは、そんなに積もってなかったのに!
…それに。
ひょっとして閉じこめられた?
あーちゃんもその事に気づいたみたいで、屋根裏部屋から脱出するつもりみたい。
でもこの店、階段がないんだけど…
不思議に思っていると、あーちゃんが手を叩くのに合わせて階段が現れた。
なるほど。
普段は邪魔にならないように、収納してるのね。
〉さあ登るでちゅ
言われるままに階段を上り、普段なら見晴らしの良いだろう窓を開ける。
いや、今も見晴らしは良いんだけど。
なにしろ見渡す限り、雪。雪。雪。
雪以外に見えるものは、近くの家の屋根くらいだ。
これはどう考えても、自然現象じゃない。
誰かがほしふり村に雪を大量に降らせているのだ。
でも、だれが?
何のために?
答えを探すために、あたしは困ったときの虎の巻。【世界の不思議大全】を開いた。
この本なら、大雪を引き起こせるのが誰なのか書いているだろう。
…書いてたらいいな…書いてますように…
707 :
名無しになりきれ:2007/03/22(木) 12:30:28 0
雪の女王のしわざだ!!
空からおーほっほっほという声が聞こえてきた
「なんでちゅか・・この声は?」
ふと空を見ると・・・派手なおばさんが飛んでいた
「・・・・あーちゃんびっくりでちゅ」
その派手なおばさんはわらわは雪の女王と名乗った
あまりの派手さで声も出ない
目の上ブルーなおばんが
その時のあたしは、相当間抜けな顔をしていたに違いない。
なにしろ急に空から笑い声が聞こえてきたかと思えば、ド派手なおばさんが飛んできたのだ。
驚かない方がどうかしてる。
〉・・・・あーちゃんびっくりでちゅ
あーちゃんもポカンとした顔で、おばさんを見上げている。
その目の上ブルーのおばさんは、わらわは雪の女王とか名乗りだした。
魔王様の命令で、大雪を降らせに来たらしい。
ん?魔王様?
あたしが見ると、隣にいる魔王様はぶんぶん首を振る。
そうすると、前からいた方か…
あたしは以前、遠見の魔法で見た姿を思い出した。
体長3メートルはありそうな、紫色の大トカゲ。
あんな奴に、せっかくのあたしの新生活をだいなしにされてたまるか!
何としてでも、魔王(ややこしいので、以後バラモスブ□スと表記)に大雪を止めさせてやる!
決心して雪の女王の方を見ると、もう女王はどこにもいなかった。
まあいいか。
雑魚に構わず、頭を何とかするだけの話だ。
「魔王様!バラモスブ□スの城に乗り込みますよ!
あーちゃんは危ないから、ここで待ってて。
すぐに帰ってくるから」
あたしはあーちゃんに声をかけた。
「バラモスブ□ス・・・・ってお父ちゃまのことかぁ!!」
「人の迷惑考えずになにやってるんでちゅかぁ!!」
突然ぶちぎれるあーちゃん
「あーちゃんもいくでちゅ!!息子の商売邪魔した報いを受けさせてやるでちゅ!!」
あーちゃんの気力が150まで上がった
ミクミダ「アワアワアワ・・・・」
いきなりぶちぎれたあーちゃんに驚くミクミダ
「お前も行くでちゅよ」
とミクミダの足を引きずりながらフィーナを追うのであった
712 :
名無しになりきれ:2007/03/25(日) 12:03:29 0
でもってお城(近!!)
〉バラモスブ□ス・・・・ってお父ちゃまのことかぁ!!
あたしが話しかけたら、急にあーちゃんは怒り始めた。
え?もしかしてバラモスブ□スって、あーちゃんのお父さんだったの?
じゃあ…あーちゃんってば魔王の息子!?
〉人の迷惑考えずになにやってるんでちゅかぁ!!
あたしが驚いている間にも、あーちゃんは怒り続けてる。
さすが魔王の息子だけあって、怒ったときの迫力は十分だ。
〉あーちゃんもいくでちゅ!!息子の商売邪魔した報いを受けさせてやるでちゅ!!
あーちゃんは行く気満々だ。
確かにバラモスブ□スも、息子の説得には応じてくれるかもしれない。
説得で済むかどうか怪しいくらい、ぶちきれてるけど…
「じゃあ、みんなで一緒に行こう。
魔王様。4人分の転移魔法をお願いします」
あたしの頼みに答えた魔王様が、両手を大きく広げて呪文を唱える。
そして。
あたし達は、バラモスブ□スの城の前に立っていた
高い高い山の上。
前人未踏かと思えるような、寂しい風景。
ほしふり村を一望することができる場所に、城はそびえ立っている。
…やけに村に近い場所に城があるなぁ…
やっぱり、息子の事が心配だったんだろうか?
だとしたら、あーちゃんの説得はきっと上手くいくだろう。
あたしは城の入り口に近づき、門を押してみた。
不思議なことに巨大なその門は、あまり力を入れなくてもゆっくり開きだした。
誘われてる?
バラモスブ□スも侵入者に気づいたのだろうか?
それとも、単に不用心なだけ?
考えていても仕方がない。
奥にいるバラモスブ□スの所に行けば、全てがはっきりするのだから。
安穏とした新生活を手に入れるため、あたしは城内に足を踏み入れた。