SF系TRPGスレ

このエントリーをはてなブックマークに追加
567百千万億 二千六百年 ◆zvjRkFOdKw :2006/08/26(土) 16:50:29
>537(路地裏にて)

身を隠す、それには路地裏が一番いい。そしてそこにはExemもいる。
なによりつもいは追われる身、あんなメールもした以上はもうTsukuyomiは敵なのだ。
路地裏へと足を踏み入れ仲間になってくれるExemを見つけようと探し始める。
この時不思議と追われているという重圧はつもいになく、
ただ自分はなさければならない事があると思い続けていた。
だが、それは非常に難しいことだった、Exemとはろくに話しもした事がなく。
相手の立場にもなってみたことがない、そもそもつもいはあまり話しも上手な方ではない。
いや、口下手と断言できる、交渉しようにもその仕方が分からない。
だが引くわけには行かない、とりあえず会うだけ会ってみようとつもいはExem達を探し始めているのだ。
だがやはりというべきか歩みは踏みにじられる、予想は的中した、BE姿のつもいを見た瞬間に逃げるもの、襲い掛かってくるもの。
BEを最初から敵と思い接するExemにはつもいの言葉が届くわけがない。かといってBEを解除したら危険が格段に増す。
お互いの性質上かまるで何かの壁の遮断されているように・・・・つもいの努力は届かないのだ。
「黙れ、貴様等は敵だ!」
逃げ去っていくExem、このパターンはもうお決まりになってきている。
BEに散々狩られてきた彼等からすればつもいこそが化け物、そんなものだ。
国と国ですら戦争は起こる、同じ種族ですら闘争があり、肌の違いで優劣を決める。
人間同士ですらそうなのに、違う種族となれば最早無理難題を通り越し不可能の域に達している。
「思ったよりも、難しいのかもしれない・・・・」
この当たり前の言葉が出たのはすでに十人のExemと会ってからだった。
路地裏に腰を下ろし考え込むつもい、土台無理な話しだと普通の人は言う。
だがつもいはまだ諦めている様子はない、ただどうすればいいのかを考えるのみ。
だがいくら考えても良い案は出ない、気が付くと腰を上げ歩いている、体は行動を起こさなければと思っている、
だが方法が考え付かない、そしてとうとう最初の地からずいぶんと離れたところへと来ていた。
「ずいぶんと遠くに来てしまったようだ、しかしこれだけ歩いていても良い案が思いつかず・・・情けないっ!」
辺りを見回すと大型のExemを見つけたつもい、どことなく陰のある後ろ姿は印象に残る。
何やら孤児院の方を見て何やらしているようだが、はっきりとは分からない。
だがそのExemからは邪気があまり感じられないことから悪意ある行動をしているとは思えない。
そして何よりも、その哀しい雰囲気を出している後ろ姿が少し、ほんの少し自分に似ているように
つもいは思った、もしかしたら、自分と同じく居場所が無いのかもしれないと。
気が付くとつもいはそのExemに近寄っていた。なぜだかは分からない、だが自然と、近寄っていたのだ。
「君は、何をしているのだ?もしも、良かったならば、私に教えてはくれまいか?」
つもいの存在に気付きExemは距離を開ける、知らない人物、しかもBE装着者がいきなり話しかけてきたのだ。
どう考えても怪しすぎるし警戒の色を出すのは当たり前。だがつもいは誤解を解こうと続ける。
「私はTsukuyomiの人間でもなければ、君の敵になろうというわけでもない、
 言葉が通じるかは分からないが、私の言っていることは事実だ。どうか信じてほしい。」
少し手振りを加えながらも必死で説明をしようとしているつもい。
必死さが伺える、実際必死だった、つもいは焦っていた、もしかしたら今後協力者は出ないのかもしれないと。
もちろん向こうはつもいが必死なのかとかは知ったことではない。
だが彼のその動きにはどこか真摯な態度が多く含まれ、それほど悪いイメージはつかないだろう。
最も、それが真に通じるかどうかは、Exem次第なわけだが・・・
568赤木 ◆WHN5o4DexM :2006/08/26(土) 18:49:15
(TSUKUYOMI 本社 長官室)

「百千万億二千六百年、無事に脱出した模様です」

黒き鎧を纏う「監視員」の報告を聞き、赤木は手の上で揺らすワイングラスを
その口に流し込む。赤いワインの色は、血の色を連想させる。
または、赤い雨。そう、あの時の彗星のような。

「盤上の駒は、多い方がいい。だが、その全てが思い通りに動くわけではない。
・・・たとえば、百千万億二千六百年・・・彼のようにね。」

百千万億二千六百年の裏切り、それはTSUKUYOMIにとっては
大きな打撃である事には変わりはない。
だが、戦いは面白い方がいい。彼も、こんな狭い檻の中では自分の本分を
見出せないのだろう。
赤木は真っ赤に光るワインを口の中で燻らせながら目を閉じる。

「引き続き、百千万億二千六百年に対する監視を続けろ。
こちらからは接触はするな・・・」

赤木の命令を受け、飛び去った監視員はもうそこにはいなかった。
今頃、相沢が抹殺命令を受け動き出している頃合いだ。
だが、このTSUKUYOMIにあの男を簡単に倒せる人間など存在しない。
それに、彼にここで退場して貰うのは惜しい。

盤上の駒は、強い物ほど輝く。

―そして、もう1人。布津野 珠美。―

赤木は精鋭部隊直通の電話を掛け、シークレットミッションを通達する。
その内容、それは「深夜 新宿中央病院にて戦闘アリ」。
そして、「フツノ タマミヲ ・・・・・(略」の文字。

赤木のノートパソコンには布津野の率いる組織”AMATERASU”からリークされた
データ。
興味深いデータの山に赤木はワインを飲み干すとそのままワイングラスを
かじり出し笑う。

「うん、ちょっと・・・びっくり。」


569東屋 実咲 ◆AHL7KHofQw :2006/08/26(土) 22:39:50
>>543

>その指はシーツを切り裂き、胸を穿ち、骨を断ちめり込んでいく。
「う・・・うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
あまりの激痛に狂ったように叫ぶ東屋・・・それと同時に胸に刺さる指を引き抜こうとするも
血で濡れた布津野の指はよく滑り、離れないでいる・・・
「はぁ・・・はぁぐ!・・・」
苦しむ東屋を布津野は語る。
>「どう?感じる?これが死の感覚よ。〜進化は狂おしいばかりの生への渇望から生まれる!
「し・・・んか・・・」
目の前が真っ暗になり、指を離そうとしている腕も力なく落ちた・・・
>血の溢れる東屋の口に布津野が唇を被せる。
 直接体内にルルドの息を送り込んで生命維持をしているのだ。
「んむぅ!・・・んふ・・・」
突然の口付けに驚くも特にそういった抵抗も出来ず、そのまま布津野の息を受け入れてしまった。
激痛は変わらないのに・・・何故か暖かみのある感覚が東屋を包む。
しかし・・・その感覚も長くは続かなかった・・・
ドクン・・・ドクン・・・ドクン・・ドクン・ドクンドクンドクドクドクドク
心臓はすでに停止寸前のはずなのに鼓動が聞こえた・・・その鼓動は次第に早く激しくなり、東屋の体を揺らす。
EXeMウィルスが東屋の体に侵食し、それを体が拒んでいるのだ・・・
布津野はこの光景を見て・・・少々のあせりを感じていた・・・
このままでいけば・・・彼女に待っているのは死か、それとも布津野が望まない進化の二つである。
しかし、布津野は忘れていた・・・東屋実咲とゆう人物が自分の予想を幾度と無く裏切っていたのを
死神を手懐け、新世界を赴く者に懐かれ、そして、目覚める筈の筈のない状況で目覚めたことを・・・
570東屋 実咲 ◆AHL7KHofQw :2006/08/26(土) 23:40:32
「・・・!!!」
目覚めるとそこはさっきまでいた病室ではなく
まっしろな部屋にいた・・・東屋はその部屋の真ん中で椅子に腰を掛けている。
目の前には丸い机・・・左右には、それぞれ灰色と黒の二色のドアが存在している。
「・・・ここは・・・どこ?」
立ち上がり、周辺をまた見回す。
それで気がついたことが三つあった。
一つ、今、自分は真っ白なジャージを着用している。
二つ、髪の毛の色が真っ白になっている。
三つ、左右のドアに加え、自分の真後ろに白いドアがあった。
しかし、どの情報もここの所在を掴む手がかりにはならなかった。
「・・・外に出れば・・・何かわかるかも」
おもむろに左の黒いドアへと進み、迷いも無くドアノブに手を触れる。
そして、回そうとした瞬間、
「そっちは開かないほうがいいよ。てか、ゆっくりしようよ」
後ろで声が聞こえる。その声に反応し振り返ったとき、東屋は驚いた。
そこに自分がいたからだ・・・しかし、ジャージの色や毛の色などは灰色であった。
灰色の自分はコンコンとドアをノックし、こっちを見ていた。
「え・・・」
「何さ、その目は、お化けでもみる見たいじゃん・・・まぁ俺がドッペルゲンガーならその目は正しいけどね
 まぁ座りなよ。君だけが動いても何も変わらないよ」
灰色はそのまま中央の椅子に座り、東屋を手招きする。
「誰なんですか?あなたは・・・」
ドアノブから手を離し、灰色に質問をぶつける。
「誰って・・・君じゃん」
灰色はそう言って、クスクスと笑う。
そんな人をおちょくった態度に腹を立て、中央の椅子に戻り、強い口調でもう一度尋ねた。
「私・・・そんな人を小ばかにした態度とか嫌いなの!ちゃんと答えてよ」
今度はふざけた答えが出来ないように睨み付ける。
それを見た灰色は「うお!すげ!」と漏らしたが、東屋が怒っているのを見ると真剣な表情になる。
「まぁ・・・そんなにおこんなよ。俺だってちゃんと答えたんたぜ。
 あぁ〜詳しくねぇ〜・・・そんじゃあ単刀直入に・・・
 俺はな・・・あのベルトの意思さ・・・正確に言えばAIってやつか・・・」
「ふざけないでよ!」
「だから、ふざけてねぇよ!・・・あぁ・・・そうか・・・
 お前さぁ〜ここが何処なのか理解してないだろ!
 教えてやるよ!ここはお前の頭の中だ!そして、俺はお前がここに連れてきたベルトの意思なんだよ!」
「え・・・」
予想外の発言に凍る東屋、それを見て灰色は話を続ける。
「ま・・・そりゃあ驚くわな・・・自分の頭の中に自分がいることがな
 しかし、これが現実だ。理屈はいらない・・・認識しな!」
「・・・うん、わかった・・・ならさ、あなたベルトなんでしょ?
 なんで・・・」
「勘で選んだ・・・それだけ、あとはぁ〜姉貴が怖かったから」
東屋が質問しようとした内容を話す前に判断し、その答えを先に話す。
今、東屋が質問しようとしたのは、何故自分なのかとあの時何故止めたのかの二つ。
これで灰色がベルトの意思だとゆうのが証明された。
「・・・それだけなの・・・」
あまりにもあっけない答えになっとくがいかず、確認をする。
「そう・・・それだけ、悪い?それより・・・来たよ怖いのが」
灰色が黒いドアを指差した時、黒のドアが開いた。
そこから出てきたのも自分なのだが、灰色のときとはかなり雰囲気が違っていた。
ジャージ、髪は黒色なところまでは同じなのだが、目の色が違っていた。
赤黒く染まった眼から殺気が滲み出ていた。
黒は何も言わず、そのまま中央の椅子に座った。
「貴様らか・・・我をここに呼んだのは・・・」
「いいや・・・正確にはこいつだ。俺も呼ばれてきた・・・さて、人間の東屋実咲・・・わかるだろ?あっちの存在が
 ここからは選択のための時間だ・・・安心しろ、現実では一瞬の出来事だからな・・・」
571東屋 実咲 ◆AHL7KHofQw :2006/08/27(日) 00:21:48
真っ白な部屋に、白、黒、灰の東屋実咲が揃った。
人間、EXeM、BEとそろぞれの立場、性格が違うが・・・同じ東屋実咲を形成するものだ。

しばらくの沈黙が続くが、灰色がその静寂を破った。
「さて・・・俺らがここに集まったのは、今俺らにとってやばいことが起きているからだ。」
「フン!我には関係が無いな、貴様らがくたばれば、この体は我が使うことが可能になる・・・都合がいい」
「おいおい!そんな無責任なことをいうなよ!この中の一人でも居なくなったら、東屋実咲は東屋実咲ではなくなるんだぜ?
 そんな自分の存在すら固められないようなやつが、クラスAになれるわけがねぇよ。
 あの女に殺されるのが落ちだな・・・まぁ・・・俺らがこんな話しても、白いのが選択するんだからよ
 俺らが選択できる道は三つ、一つ目は人間としての死、二つ目は黒いのに全てを委ね、あの女に殺される、三つ目は、ここにいる三人が手を取り合って前に進むこと」
「・・・確かにそうだな・・・白!すぐに決めろ!ぐずぐずするなら2と判断する」
「・・・」
東屋はうつむいたまま・・・黙っていた・・・
「白いの・・・時間があるとは言ってもなぁ〜そんなに余裕は無いんだぜぇ〜
 早く決めちまえ・・・俺は2の選択だけは避けたいんだ・・・」
「2なのなら行動を起こすぞ、白!」
「おい!勝手なことすんじゃねぇよ!黒!」
黒の襟を掴む灰色、それを放し
「弱体化したベルトの分際で我をどうにかできるのか?滑稽だ」
「あぁ!?やんぞ!!!ゴラァ!!!」
「寝言は寝て言え」
取っ組み合いになる灰色と黒・・・東屋はまだ・・・黙っている・・・
「・・・うるさい・・・」
「あぁ!?」
「・・・うるさーい!!!
 なんなのさっきからさぁ〜・・・私じゃないのに私に命令するな!!!
 ここで一番偉いのは私なんだ!あんたには勝手には絶対にさせない!!!」
「・・・その選択でいいんだな」
「・・・やっとその気になったか・・・やれやれ、世話の焼ける主だ。」
「・・・悔しいけど・・・泣きたいけど・・・私は生きたい、生きて・・・走ったり、猫と遊んだり」
「力は俺らに任せろ・・・ちゃんと守ってやるからよぉ〜お前はお前らしく生きるべきなんだ・・・
 さぁ・・・行けよ、自分のドアにな・・・」
「うん・・・」
選択が終わり、それぞれがそれぞれのドアから部屋を去る。
572東屋 実咲 ◆AHL7KHofQw :2006/08/27(日) 00:55:19
再び眼を開けるとそこには布津野の顔があった。
布津野の顔に自分の顔が写る。
瞳が・・・爬虫類のような瞳になっているのに気がつき・・・もう人類ではなくなったことを認識する。
肩から落ちたベルトを拾い、腰に巻く
「ふぇんひぃん(変身)」
√レv──wヘ√レvヽwヘ√レv EXPLOSION ──wヘ√レvヽwヘ√レv─
√レv──wヘ√レvヽwヘ√レv EVOLUTION ──wヘ√レvヽwヘ√レv─
爆発と共に変身するのは今までと変わらない・・・
いつものように爆風が落ち着いたときにはもう変身が完了している。
しかし、その姿は少しばかり変化していた。
布津野のカラーリングと対になったようなカラーリングが施されていた。
きっと調べついでにバージョンアップしてくれたのだろう。
「これで・・・いいんですね・・・」
自分の心臓に突き刺さっていた指を握りながら、布津野に尋ねる。
573墨田 ◆lcSIPurDMU :2006/08/27(日) 01:36:54
>565
あと数10mで中野区。『以前』の墨田が通っていた高校がある地域だ。
何の感慨もなくそこへ向けて足を踏み出す墨田の耳に、奇妙な声が届く。
>「「ごーかっく!!!」」

声のするほうを見上げると、兎の耳に海水パンツという出で立ちの男が脚を振り上げて飛び掛ってくるところだった。
その異様さに多少面食らったものの、半歩だけ下がって打ち込まれた踵を避ける。
道路を小さく陥没させた踵の主、花道は墨田を見るとにやりと笑った。
それを見た墨田になんだか駄目な意味での寒気が走る。

墨田は大きく飛び退きながらステルスを起動し、手の中に武器を生み出す。
今回は薙刀ではなく、柄の先に円盤が付いた、うちわのような形のハンマーめいたものだ。
まずそれを目の前に地面に打ち付け、大きくすくい上げる。
砕けたアスファルトと砂埃が舞い上がり、視界を塞ぐとともに周囲に雑音を生み出した。
(ウサ耳つけてるから耳が良いって事にはならねぇだろうけど、一応、な)

次いで手近なマンホールを蹴り開け、中に大き目のアスファルト片を落とす。水がはねる音がした。
そのまま中には入らずその場を離れ、手近なビルの屋上まで跳躍し、貯水タンクや室外機の隙間を抜けながら、
次のビルそのまた次のビルと、足音を殺してしかし迅速に飛び移って行った。
「変態の相手してる暇はねーんだわ、悪ぃな」


中野区、中野坂上駅。
まさにここが墨田の母校の最寄り駅である。そして――走れば数秒で新宿。
そう、墨田が目指しているのは新宿中央病院跡である。
布津野は策を弄したところで勝てる相手でもないだろうが、
それでも何かしらの情報は得られるかもしれないと、漠然とした考えからだ。

「見つかったらほぼ間違いなく殺されるだろうなぁ…」
墨田は呟きながら線路へ下りた。
風が吹き抜けるゴーという音が、地下鉄の線路内に延々反響していた。
574赤木 ◆WHN5o4DexM :2006/08/28(月) 13:55:26
― TSUKUYOMI 最深部 “エリアZERO”―

鍾乳洞のような洞窟が広がる中、1人赤木は闇の奥に見える壁画らしき物を見つめる。
其処に描かれているのは“天空から舞い降りる使者とそれを待つ人間の姿”。
異形の姿をした天使が、人間に何かの種を渡そうとする描写。
壁画の年代は、測定不可能なほど古いがその壁画は古代とは思えないほど鮮明なものだ。

「ウイルスはただの“きっかけ”に過ぎない」

無数の壁画の中の1枚。そこに描かれた姿、それはEXEMと鎧を身に纏った
人間との戦いにも見える。
現代ではなく、過去の戦い。それも、我々が知る由もない太古での争い。
片や、もう1枚の絵には黒い鎧を人間に手渡す異形の生命体の姿が。
その異形はまるで神話の世界に出てくる日本の神々を思わせる衣装を身に纏っていた。

・・・闇の中、ランプに照らされる赤木の顔は一瞬、光に照らされ不気味に輝く。

「精鋭部隊と、”オロチ”を1人。新宿中央病院に派遣した・・・きっと−彼女−の助けになるだろう。



現代のアマテラス、のね。」




575ゴーストクロー ◆.bamFlliGk :2006/08/28(月) 19:19:40
百千万億が話を終えてもまだ、二人の距離は開いたままだった。
(信用できるのか)
その振る舞いから、実直な人間であろう事は伺えるものの
互いに互いの真意を掴めぬまま、息苦しい緊張が流れていた。
(TSUKUYOMI、EXeM……解らない事ばかりだ)
傍目から見れば、実に奇妙な構図だろう。
一人は赤い装飾に彩られた、黒い甲冑のヒーロー。
また一人は、体表を甲殻に覆われた、文字通りの怪物。
この現実離れした邂逅に、当の本人達こそ戸惑うばかりなのだから。
それを思うと、今は人の言葉を紡ぐ事の無い口元にフッと笑いが漏れる。
(似た者同士か)
そこにある物は少なくとも、敵意ではなさそうだった。
不意に、孤児院から何かを言い争う声が聞こえる。
……孤児院保護の任を受けている条咲指揮下の監視員と、
実験材料として孤児を引き取りに訪れた本部派遣員との間に、
小さな衝突が起こっているのだ。
緩みかけた空気は、再び緊張に張りつめられた。
(事情はわからないが、どこかの機関か)
百千万億の様子を見る。
あるいは、彼なら状況を理解できるかもしれない。
その反応を見る事で、ひとまずの信用が置けるか否かも判断できるだろう。
人差し指を立て、百千万億に注意を促すように、
そのままTSUKUYOMI派遣員達の声がする方角を指し示す。
576阿久津 ◆Oa4ipRdfjI :2006/08/28(月) 20:24:32
>>541
>「そう…交渉成立ね、明日の深夜一時現地集合にしましょう。
(中略)
んじゃね、阿久津さん、崎島くん…後は若いお二人で親睦深め合ってね」
そう言うと条咲は此処の代金を払うと出て行き、リムジンに乗り込むと去って行った。

ぽつねんと取り残された2人。気まずい沈黙が店内のBGMによって強調されている。
阿美は条咲から手渡された携帯電話をじっと眺めた。
TOKYOでは携帯電話は高級品だ。2年前までは誰もが当然の如く所持していた筈だった。
しかし大津波以降は、基地局も激減して携帯電話は廃れていったのである。
勿論、阿美も高校生の頃には自分の携帯電話はちゃんと歳相応に持っていた。
友達とメールしたり、付き合っていた彼氏と長電話もしたりした。
今となっては遠い日の思い出でしかない。

アドレス帳には条咲の連絡先が記載されていた。その他には一切の連絡先は無かった。
そんなアドレス帳に何となく淋しさを感じたが、これは阿美の携帯ではない。
布津野を倒した後には条咲に返却しなければならないのだから。
(明日で終わらせる…もう、怯えながら逃げ続けるのは嫌……)

阿美はギュッと胸元を押さえ込む。刻印が少し広がった気がした…

          ∵ ∴ ∵

>>547
親睦を深める。条咲はそう言ったが、正直何をすればいいのやら。
携帯電話を弄りながら必死にこの後どうするかを考えたがいい案は浮かばない。
阿美は途方にくれた内心を表に出さないよう努めたが、早くも限界が来た。
もとより人と触れ合う機会が少なかったのもあって、中々話しかける事が出来ない。

そんな時、突然崎島が阿美に話し掛ける。
>「…孤児院の事が気になってるんじゃないんですか?」
完全な不意打ちだった。一瞬、心臓が止まるんじゃないかと思う程に驚く。
>「行きましょう、その孤児院。病院に行くまでの間まだ時間ありますし、僕でよければお供させて貰いますよ?」
「え?…でも…あ……ぁ」
崎島は唖然としている阿美の右手を握ると、そのまま引っ張ってカフェを飛び出す。
華奢だが強くて、熱くて、優しい手。
阿美は自分でも気付かない内に、その手を握り返していた。
そっと、ぎゅっと……

涼やかなベルの音が稟と響いて、駆けて行く2人の背中を見送った。
577名無しになりきれ:2006/08/28(月) 20:46:17
瞳の家にはTUKUYOMIの全ロリペド職員が大集結していた。
578布津野 珠美 ◆0ol//9//Sw :2006/08/28(月) 23:07:43
>569>572
東屋の胸を貫き、ルルドの息で生命を維持する。
こうすることで東屋の進化を促しているのだ。
だが、暫くしても進化がなされるどころか、逆に拒絶反応がその身を揺らし始める。
・・・急ぎすぎた?
布津野の胸に小さな疑念がよぎる。
だが、最早時間がないのも事実。
学校で見かけた赤木の顔が脳裏をよぎり、小さく歯軋りをしながら叫ぶ。
「・・・!生きなさい!貴女にはその義務がある!」
拒絶反応に揺れる東屋の身体を強く抱きしめながら布津野の声が室内にこだました。

一層拒否反応が激しくなり、大きく体が波打つ。
その次の瞬間、東屋の目が見開かれた。
既にその瞳は人のそれではなく、それを見た布津野が歓喜に震える。
そして変身。
>「これで・・・いいんですね・・・」
「ええ。痕のついた身体も捨てがたいけど、今のあなたは何より美しいわ・・・!」
心臓に突き刺さっていた指を握りながら尋ねる東屋の髪をいとおしそうに撫でながら答えた。

その後、東屋に着いて来る様にいい、施設内を進む。
途中、更衣室や個室を案内して自由に使うようにと伝えた。
そしてさらに進む。
その道中、布津野はAMATERASUについて語った。
人類による人類の暁を手に入れるための機関である、と言うことを。
そしてその為の計画がこれから発動される事を。

二人が辿り着いたのは様々な機材が並ぶ実験室だった。
その中心に布津野は立ち、意識を集中させる。
崎島、白川・・・墨田?
墨田に仕込んだ自分の細胞の応答がない・・・
(流石は隅田君。気付いたようね。でも貴方は必ず来る・・・!
見ていなさい、今こそ人類の進化は始まる!!)
TUKUYOMI本部にいるであろう赤木に叩きつけるような決意を固め、口を開く。
だが、声は出なかった。
声ではなく、思念を放出しているのだ。

布津野の強力な思念は機材により増幅され、地上のスピーカーから放出されるのだ。
新宿区だけでなく、周辺の区域までに渦巻き響き渡るような思念波。
力の弱いBE装着者やEXEMはその強烈過ぎる思念波に引き摺られ、操られるように新宿中央病院跡へと集ま
るだろう。
そして訳も判らず闘争本能を限界まで開かれ、戦い続けることになる。
ある一定レベルのEXEMやBE装着者は操られる事はないものの、その鋭い感受能力によって確実に感じるだ
ろう。
新宿中央病院跡で戦わなければという意識が植え付けられる。
そして、体内に布津野の細胞を仕込まれたものには、より確実にその思念波届けられることになる。
特に阿久津を蝕む体組織はその勢いを増し、身を締め付ける事になる。

「さあ、これでこの周辺のBE、EXEM、遺伝子変異生物たちは上に集まって生存競争を繰り広げる事になるわ。
そして深夜には淘汰に打ち勝った者が下まで来て、夜明けには・・・
実咲は好きにしていいわ。計画の推移を見守るもいいし、計画に参加し、進化の礎になるのもいい。
今の貴女なら十分礎になれるだけの力はあるでしょうからね。
ま、どちらにしても夜中まで時間があるから好きにしていいわ。私も準備に部屋に戻るから。」
思念を出し終わった布津野が東屋に声をかける。
布津野は今の東屋の能力を、その強さを把握している。
そう、舞台さえ整っていれば東屋は布津野を完全に殺しきる事ができる程強力なのだ。
これほど強くなるとは正直思っていなかった。
だからこそ、計画を無理矢理でも早める決心がついたのだ。

既に外は夜の帳が下り、EXEMやBE、遺伝子操作生物が集まってきている事だろう。
淘汰の果てに勝ち残った者を迎える為に。布津野はその時を待ち、自室へと歩いていく。
579百千万億 二千六百年 ◆zvjRkFOdKw :2006/08/29(火) 01:13:40
>>575(ゴーストクローとの会話or派遣員と監視官との間に乱入)


必死に訴えても距離が縮まらない、すでに何度もこれを味わっているため
今回も無理かという思いがつもいの頭を過ぎる、
やはり所詮無理なのか、そう思い去ろうとした時、少しだけ、そう、
ほんの少しだが口元に笑みが見えた、邪悪な笑みではなく、ふとこぼれてしまったような自然な笑み。
つもいは行くのやめ、ただその姿を見る、Exemがこんなにも自然に笑う、
普通の人間なら当たり前だが、Exemでは初めて見る感情だった、普通に笑う。
それだけで今回の接触は価値があるようにつもいには思えた。
そして同時に何か根拠のない自信がわいてきた、理解し合えるかもしれない・・・と。
「君は・・・」
だが、全部言い切れずにこの言葉は断ち切られることとなる。眼前のExemが何かを指し示している、
するとその方向が騒がしい、そう、優しく普通の騒がしいではなく、なにやら物騒な騒がしいだ、
見てみると孤児院がある、彗星衝突、Exem発生から孤児の数は多くなり、
もうすでに二年経った今でもその悲惨な傷跡を子供たちに残している。
その孤児院でなにやら話していたのはTsukuyomi!つもいは腰を低くし身をかがめる、
「なぜ孤児院に用がある!?・・・・クッ!私が追われる身でなければっ!」
そう、つもいは追われている身、Tsukuyomiuの連中には今は出来るだけ関りあいになりたくはない。
しかも、相手は五人、本来なら向かい何をしているとつもいは問いただすだろう、だができない!
ここであっさりと捕まるわけにも、見つかるわけにも行かない、じっと見ているしかないのだ。
すると一人の子供がTsukuyomiに無理矢理連れて行かれそうになる、
そう、孤児院には戸籍を持っているものは少なく、死んでも安い命、いや、
本来は命に高い安いはないと言われている、確かにそうだ、だが現実はそうではない。
命に値が付くし体にも値が付く、特に、この汚れた時代には・・・それが最早常識だ。
ではTsukuyomiはその安い命を使って何をするのか、答えに行き着く時間は長くなかった、
そう、実験だ、非人道的、生物倫理や道徳を完全に無視したもの。助けに行かなければあの子供は地獄を見る。
だが、冷静に考えるとここで助けるわけにはいかない、むしろ、一刻も早く持って行ってもらいたい。
酷いかもしれない、だが、危険な道へと足を踏み入れる必要もない、所詮は赤の他人。
つもいもそう思った、いや、思いたかった、だが、できなかった・・・
「・・・馬鹿だった、見捨てるなど・・・それでは、奴等(Tsukuyomi)と何も変わらんではないか!!」

自らを奮い立たせるように槍を頭上で振り回し、Exemの方に向き直り一言、そう、
今はまだ仲間でもない、自分の身勝手な行動に巻き込むわけにもいかない、協力を訴える資格もない。
「行かねば・・・教えてくれたことを感謝するっ!」
そしてスラスターを噴射させて風を追い越し孤児院の前へと行くつもい。
突然の登場にTsukuyomiの派遣員も、孤児院の人も、条咲直属の監視員も。
そしてつもい本人も驚いている、そう、理論的でもなく、冷静に考えたら、
どう考えてもこの結果には結びつかない。いくらお人よしでも普通はこんな状況で出てこない。
追跡命令が出て数時間、現在進行中で追われているであろう状況では・・・・だからこそ、
つもい本人も驚いている。槍を握る手甲が滑る、甲冑の中は熱気がこもり、
体はまるで石にでもなったように緊張している、そして周りに居た全員もつもいを見て動きを止めた。
まるでそこまで時間が止まったように・・・・
580百千万億 二千六百年 ◆zvjRkFOdKw :2006/08/29(火) 01:29:37
「・・・・つ、百千万億だ!全員!戦闘準備!」
最初に動き出したのは・・・最初に動き出したのはTsukuyomu本部から派遣員だった!
派遣員の数はこれだけで五人、幸いなことに、条咲直属の監視員はまだ状況をつかめていない。
派遣員達がBEを纏っていく、一人、また一人と、だが、つもいはこの瞬間を見逃さなかった!
「チームの牽制も無しにBEが装着できるなど・・・笑止!」
スラスターを噴射させ一気に加速する、一人をそのまま槍で拾い、もう一人にぶつける。
「二人ぃっ!」
二人は体制を崩しコンクリートへ打ち付けられ打撲、装着どころじゃない、
そしてすぐさま槍の全体に装備されているスラスターを巧みに使いスピンする、まるで独楽のように。
そしてその場にあったドラム缶を槍で拾い投げる、回転のスピードによって凄い衝撃が加わり、
槍で叩き投げたドラム缶は一直線に三人目の胴体へと飛んでいく、この時最初の二人以外は変身が済んでいた、
だが時速100Kに近いスピードで飛んでくるドラム缶を受け止められるわけがない。
「三人っ!!」
そのままドラム缶を食らい気絶してしまう、眼にも付かせない動きでここまで次々とBEを倒しているつもい、
その動きはこの中にいるだれもが止められるようなものではなかった。
四人目をあっという間に槍でなぎ倒す、あと一人で派遣員は全滅する、条咲直属の監視員もあるが、
おそらくそこまで戦闘には特化していないBEのはず、実質勝利は目前だ。
だが、その時最後の派遣員の声が響く、四人目からすぐさま五人目へと振り向くつもい、すると、
そこには信じられない光景が広がっていた!
「武器を捨てろ、じゃないと、この子供の命はない」
そう、つもいの目に映るのは刃を子供の首へと押し当てた派遣員。信じられない光景、
いくらTsukuyomiが酷いと思ったとしても、まさかここまでとは予想が付かなかったつもい、
派遣員の目はしてやったという目。プライドもなく、ただ濁りだけを見せる眼、
まさかこんな形でTsukuyomi離反が正解と確信するとは、何という皮肉。その堕ちた姿に思わず叫ぶつもい。
「貴様ぁぁっ!それでも民を守る一人の人間か!恥じを知れっ!」
「聞こえなかったのか?武器を捨てた後にBEを解除しろ、でないと・・・」
刃を子供の首へと更に強く押し当てる派遣員、子供の顔は恐怖に引き攣っている。
「それだけは止めろぉ!・・・・わかった、従おう・・」
槍を地面へと落としBEを解除する、もちろん孤児院の人達もこんな状況の中動けるはずもない。
監視員に協力を訴えるなど馬鹿げている、完全な敗北の宣言、
派遣員は子供に押し当てる刃を決して緩めずに近づいてくる、何かしようとしたら即首を掻き切る気なのだろう。
「百千万億 二千六百年であってるな?さて、ではまずは四肢を封じないと。」
空いた手にBE装備の剣を持ち、つもいの腕を突き刺し、足にも突き刺していく、
無境に無慈悲に何度も手や足を突き刺していく、その度に血飛沫が舞い、
あまりの余りの苦痛につもいは顔を歪め叫び、その血で塗られた光景に子供たちは泣きだす。
「・・・わ、私を、どうするつもりだ」
「始末命令を受けてるんだ、これも仕事のうちだ、あと、子供はいい研究材料になるから安心するんだな・」
「フッ、やはりそうか、貴様のようなっ!貴様のような下種に・・・一体何人が蹂躙されたと」
「なんとでもいえ、どうせもう死ぬんだ」
そして、派遣員の一撃が無残にも、放たれようとしている。
(私は、ここで果てるのか、こんなところで・・・志半ばに、無念。)
自らに迫る死の鼓動、一秒が一時間にも思えるような果てしなく鼓動がつもいを包んでいた。
581気絶していた戦闘員:2006/08/29(火) 02:20:25
うう…ハッ!貴様よくもやってくれたな?クックック…ついでだ!
(孤児院の職員と条咲の直属の部下を刺す)
凶悪な裏切り者が襲ってきたんだ…仕方のない事故だよなぁ?
喜べ…明日の朝刊のトップを飾れるぞ?孤児院襲撃!見直される孤児院の安全!
クックック…我がTSUKUYOMIに孤児を保護する口実まで与えてくれるとはなぁ?ん?
(下品に笑う)
582HB:S・ウルフ:2006/08/29(火) 07:23:19
>581
TSUKUYOMI戦闘員が大口を空けて笑った瞬間額に小さな穴が生まれた
TSUKUYOMI戦闘員「うぐ、なにが・・・・・・(バタン)」
地面に脳漿と血が飛び散る
S(スナイピング)・ウルフ「処理完了・・・これより帰還する」
翔華戦闘員「エウィーーー! 」
外道は外道により殺される定めにあるのだった
583名無しになりきれ:2006/08/29(火) 15:30:10
>>581>>582
という夢を条咲は見た
584白川 ◆dMMbM6zhZs :2006/08/29(火) 16:09:39
−聞きたいことが出来た−

夕日の迫る湾岸線を走る中、俺は疑念を消せずにいた。
・・・バイクを反転させ、本部へ向かう。
まだ時間はある、だが俺にはわからない事がある。
まずはそれをはっきりさせなければ・・・

−TSUKUYOMI本社内 会議室

俺は急ぐ。今まで組織に対して疑問などなかった・・・だが、今は違う。
俺の知らないところで何かが動き出している。
その何かが、何なのか。俺は知らなければならない。
エレベーターに乗ろうとする条咲さんの後姿に、俺は声をかける。
何かが起こっている。俺の知らない何かが。

「条咲さん・・・聞きたいことがあります。
詳しい話は、リムジンの中で・・・」

今は、この人くらいしか真実を知りそうな人はいない。
それに、TSUKUYOMIで俺が信じられる人も。

585崎島 瓜夜 ◆.wQUI50w5o :2006/08/29(火) 21:30:52
暫く阿久津さんと手を繋いで歩きます。
といっても僕が時折孤児院の場所を聞いたりして阿久津さんが答えたりするだけで他の会話は一切なし。
学校とかも任務とかでほとんど行ってない上、
家族も兄さんとずっと一緒に暮らしてたという全く女の子に縁のない生活を送っていた僕にとって女の子と二人きりってのは…
結構きつかったかもしれません。でもさっきよりは居心地はよくなったかな?
…そんな事考えながら黙々とひたすら前へ前へと歩いていき早二十分ちょっと。
僕と阿久津さんの前に一つ真っ白で質素な二階建ての施設が見えてきました。
「…彼処が孤児院?」
阿久津さんの方を見て聞きます。すると阿久津さんは一回頷きました。
そして…

「………あれ?」

僕は瞳の家の前の異変に気付き僕は立ち止まりました。門の前に誰か倒れている。
明らかに様子がおかしいです、まだ孤児院とは少し距離があるため、人間が若干小さく見えますが誰かが倒れてい…る?
途端に阿久津さんが孤児院の方へ走り出しましす。
「…!?阿久津さん!」
僕は叫ぶと孤児院の前へ走り出した阿久津さんを追いました。
孤児院の前に近づきます、そして段々近づくうちに僕の目が正しかった事を物語っていきました。
そこに倒れていたのはTSUKUYOMI直属の派遣員…中には条咲さん直属と思われる人もいます。
「……これは一体……。」
僕は唖然として一瞬立ちすくむと、倒れていた派遣員の一人に近づきました。
…EXeM感染生物?…いや…これは…どうやら違う…。
僕は近くに転がってるドラム缶を見ました。…どうやらこの派遣員を倒した武器はこれのようです。
…凹んだドラム缶をよくよく見てみると、どうやら槍が突き刺さったような後があります。
その後をなぞってみると黒い鉄粉が付きました。そう、これはBEの…黒刃が刺さった後。

……やっぱしこれはBE装着者による物だ。

僕は立ち上がりました。
すると途端に子供の声が響きます。
『阿久津お姉ちゃん!』
見てみると五、六歳の男の子や13歳ぐらいの女の子阿久津さんの周りに集まっています。
…どうやら子供に被害は無い……って事は孤児院の子供達を狙った訳じゃない…ますます分からない…一体全体……。
すると僕は途端に気配を感じ振り返ります。
586警官:2006/08/29(火) 22:21:45
崎島の後ろに立っていたのは警官だった
「ペドはちょっと署まで来なさい」
587条咲綾子 ◆2TlaRARhhA :2006/08/30(水) 01:03:45
真っ暗な部屋の一室
そこの地べた条咲は座っていた。

xxxBlackbutterFly*Flyinxxx

電子音が鳴り響く。
そしてそこにはBEを装着した条咲が居た。
触覚が映えた口元だけ露出しているヘルメット、
胸から太股までの装甲、
ストッキング、
装甲ブート。
全て真っ黒な武装に包まれた条咲の前には、
テレビが一台。
そこから条咲直属の部下の声。

「百千万億二千六百年が
孤児院『瞳の家』の前で見つかりました!」

「・・・そう。」

静かに条咲はそう言うと、
背中から何やら濃いピンクの蝶が二三匹でてくる。
そして蝶は開いた窓ガラスから孤児院へ向かう。
暫く蝶は猛スピードで羽ばたき、
そして孤児院の前の百千万億を見つけ、
百千万億見つかれないように鱗粉をつけた。

その名は追尾粉。

条咲が崎島を体育館へ案内した時に使った物だ。
この鱗粉を纏えばもう逃げられない。
どんなに逃げても条咲には場所を知る事が出来る。

「・・・・。」

静かに笑う条咲。
孤児院へ行った蝶が戻ってくる。
そして条咲の装甲に染み込むと。
条咲は変身を解除した。

xxxOutxxx

機械音が鳴り響く。
そしてそこには今度はいつもの条咲の姿。

「・・・運命ってやつかしら。」

冷笑する条咲。
そして条咲は部屋から出ると
エレベーターに乗り込んだ。
588条咲綾子 ◆2TlaRARhhA :2006/08/30(水) 01:05:33
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
エレベーターは下へ行く。
暫くして扉が開く。
そしてそこに居たのは白川。
条咲は緩やかな表情を浮かべた。

「あら・・・ひさしぶりね。白川くん。
・・・何か用かしら。」

>「条咲さん・・・聞きたいことがあります。
>詳しい話は、リムジンの中で・・・」

「・・・・・・わかったわ。」

そう言うと条咲は白川について行った。
会社から出て
少し離れたところのリムジンの助手席に乗り込む。
車内は白川と条咲、二人だけだ。
早速白川が何か話そうと口を開く。
しかし条咲は声を出す前に
白川の口元を指で触れた。

「・・・話は車を出してからにして頂戴。」

そう言うと冷笑する条咲。
そう言われ白川はしぶしぶと車のアクセルを踏む。
589条咲綾子 ◆2TlaRARhhA :2006/08/30(水) 01:07:39
訂正:装甲ブート。→装甲ブーツ
590墨田 ◆lcSIPurDMU :2006/08/30(水) 01:51:27
旧東京メトロ丸の内線軌道内を走り抜け、新宿駅へ出る。
世界第一位の利用者数を誇っていたこの駅も、いまやEXeMの寝床だ。
そこからサブナードを経由して西武新宿駅付近へ。

「こっからはどうしたって上行かなきゃなんねぇか」
先ほどの花道の襲撃を受けて、少しでも見つかりづらい地下を経由して移動してきたが
ここから中央病院跡までは地下鉄などは通っていない。
下水道は方向感覚を失いやすく、多少の危険はあるが地上を行くほうが早いだろう。

地下から出て北へ向かう。
左手の空は茜色、そこから墨田の頭上を通って東の空へ、だんだんと紫がかった闇が広がっていた。
瞬く星がよく見える。2年前には考えられなかった光景だ。
星の輝きは見る間に数を増し、逢魔ヶ時も終わりに近付いている。
残光が西の空の端をかすかに赤く染め、やがてそれも消えた。

>578
そのとき、墨田の脳裏をきぃんと言う甲高い音が走りぬけた。
思わず足を止め、真正面を見据える。
「……今度は呼び出しか?どんだけ女王様気取りだよ」
ぎりりと歯を噛み締めて、墨田は再び進みだした。
布津野の思念に引かれて、ではない。自らの意思でだ。

中央病院周辺は大変な喧騒に包まれていた。
エグゼム達が戦闘を繰りひろげているためだ。相手もまたエグゼムである。
が、墨田はそれらには取り合わずに破れた窓から病院内へ侵入した。
布津野の存在を知らなければ外のエグゼムたちと同様に互いに殺し合っていただろうが、
何もかも布津野の掌の上にあると知っている墨田の怒りは布津野の思念よりも強かった。

ここで足を止めてふと考える。
「…………まぁ大体そういうのは地下だよな」
このまま地下に向かえば布津野と会う可能性は非常に高い。
今遭遇すれば二度目にして最後の敗北となる可能性も非常に高い。
だが、虎穴にいらずんばの言葉どおり、何かを得ようと思うならリスクはつきものだ。

「何もなしでただリスクがあるだけ、って言うのが一番ありそうだけどな…」
墨田は呟きながら地下へ向かっていった。
591白川宋 ◆dMMbM6zhZs :2006/08/30(水) 15:01:02
>588
>「わかったわ・・・。」

俺はリムジンの運転席に乗ると、さっそく話を切り出そうとする。
「条咲さん・・・それで、むっ!?」

>「・・・話は車を出してからにしれ頂戴。」

条咲さんは俺の口を閉じるように、指を唇に指差す。
言われてみれば、確かにそうだ。こんな話を他の誰にも聞かれたくはない。
俺はアクセルを踏みながら、聞く。
「百十億、あいつが裏切ったことは上から聞きました。
・・・でも、俺には信じられない。あれだけ、TSUKUYOMIに尽くしていた
男が。自分の正義に忠実だった男だ、何かがある。」

思い返せば、最近のTSUKUYOMIは何かが違ってきている。
感染者への対応、そして徹底した秘密主義の上に、大量の失踪者の謎。
TSUKUYOMIを離脱した人間の消息が次々と分からなくなっている現状。

「条咲さん、貴方なら何かを知っているはずだ。TSUKUYOMIに、今何が起こっているのかを。」

TSUKUYOMIが何なのかは俺にはまだ分からない。
だが、俺はEXeMを倒す為に組織に入ったんだ。
EXeMに対しては非情になれる・・だが、仲間さえ手に掛けなければならないのか。

592白川宋 ◆dMMbM6zhZs :2006/08/30(水) 15:05:59
俺は思い出したように、首に掛けたペンダントを取り出す。

(茶色いペンダントの中には1枚の写真。幼い少女が写っている
額にアザのある屈託のない笑顔の可愛い少女、そしてそれを取り囲む少年と両親の姿)

この写真を開く度、俺は10年前の辛い記憶を思い出す。
今、この娘が大きくなっていたら、19歳くらいだろうか。
今でも聞こえる、あの声が。

− 助けて たすけて タスケテ −

生きていたら、だが。俺は、彼女を救えなかった。
15歳だった俺は、あまりにも無力だったから。

条咲さんに、その少女の写真を見せる。俺の思いを分かってほしいからだ。

「俺はかつて、救えるはずの命を救えなかった・・・それは俺に力がなかったからだ。
だが、今の俺には力がある。今、救える命を俺は救いたい。
その為に、TSUKUYOMIに入ってベルトの力を手に入れた。
だから、知りたいんです。組織が何をしようとしているのか。本当のことを。」


593 ◆hXvyVozAPo :2006/08/30(水) 17:01:28
その頃某猫は30分で食べきれればただの激辛ラーメンを完食していた
594条咲綾子 ◆2TlaRARhhA :2006/08/30(水) 17:17:01
>「百十億、あいつが裏切ったことは上から聞きました。
>・・・でも、俺には信じられない。あれだけ、TSUKUYOMIに尽くしていた
>男が。自分の正義に忠実だった男だ、何かがある。」

「・・・・。」

>「条咲さん、貴方なら何かを知っているはずだ。
>TSUKUYOMIに、今何が起こっているのかを。」

「・・・何が起こってるか・・・ね・・・。」

そう言う条咲。
表情はいたって涼しげ。
そんな条咲を一目見て、
白川はペンダントを取り出す。
そこには幼い少女の写真が填めてあった。
それを見つめる条咲。
その目は無機質にも見えたし何処か切なそうにも見えた。

>「俺はかつて、救えるはずの命を救えなかった・・・それは俺に力がなかったからだ。
>だが、今の俺には力がある。今、救える命を俺は救いたい。
>その為に、TSUKUYOMIに入ってベルトの力を手に入れた。
>だから、知りたいんです。組織が何をしようとしているのか。本当のことを。」

「・・・・。」

しばし黙り込む。
窓の外は夕焼けで赤く染まってる。
暫くその様子を見たあとふっと笑い白川に言った。
595条咲綾子 ◆2TlaRARhhA :2006/08/30(水) 17:19:33

「貴方は崎島くんや阿久津さんに随分似てるのね・・・
・・・誰かを救いたい・・・
・・・そんな願いを馳せてBEを装着する・・・。
・・でもね、その考えがまず間違えなのよ。
・・・・BEは所詮黒い刃・・
・・それが白になる事はまずない。」

静かにそう言うとまた黙り込む。
窓をじっと見つめる条咲。
頭に浮かんだのは幼い頃の自分だ。
父親に貰ったフランス人形を毎回毎回ばらしていた。
その度に父親は条咲の頭を撫で言ったのだ。

これでいい・・・と。

そして白川の方を見ると少し微笑み言った。


「辞表を出しなさい・・・白川くん。」


その発言に目を見開く白川。
条咲は笑顔のまま固まると
言葉を続けた。

「・・・私は貴方を今までずっと見てきたわ。
だから・・・薄々察してた。
貴方はTSUKUYOMIに向いてない。
・・・・貴方が今後この会社に居ても貴方の望むような結果は無いわ。
私は何も答えやしないし事は貴方の理想と反対方向へ歯車を回す。
・・・ううん、本音言わせて貰うと・・見たくないのよ。私が。
・・・・貴方が堕ちてしまうところを。
だって私は貴方の事が好きだから・・・。」

そう言うと条咲は優しげに白川を見つめた。
そして次の瞬間、白川の顔を撫でると
条咲の唇が白川の唇に近づいた。
596白川宋 ◆dMMbM6zhZs :2006/08/30(水) 17:31:54
>595

条咲さんの言葉を聞き、俺は確信した。
やはり、TSUKUYOMIという組織は思った以上に根が深い。

>「辞表を出しなさい・・・白川くん。」

思いがけない言葉に俺の目は見開く。
だが、その言葉を反芻しその意味に気が付く。

>「貴方はTSUKUYOMIに向いてない。
・・・・貴方が今後この会社に居ても貴方の望むような結果は無いわ。
私は何も答えやしないし事は貴方の理想と反対方向へ歯車を回す。
・・・ううん、本音言わせて貰うと・・見たくないのよ。私が。
・・・・貴方が堕ちてしまうところを。
だって私は貴方の事が好きだから・・・。」

振りかかる唇を避けるように俺は前を向く。
条咲さんの妖気のような力に圧されそうになるのが怖かったからだ。
この俺を恐れさせるとは、流石は条咲さんだ。
キスしとけばよかったとか、そういうのはない。俺はそんなにいやらしい人間ではないのだ。

「仲間の仇を討つまでは辞められない、それが俺の今ある唯一の信念です。
・・・それが終った時、俺は答えを出します。」

仮面を被ったまま、俺は条咲さんへ向け語り掛ける。

―本当は知っている。 何もかも・・・BEが何故作られたのか、そして俺がTSUKUYOMIに入った本当の目的とは何か。
だが、確かめたかった。条咲さんだけは、まだ人間の心をもっていると。

湾岸線を抜け、車は何処かへと向かう
597阿久津 ◆Oa4ipRdfjI :2006/08/30(水) 18:47:31
>>585
手と手を繋ぎ、2人は歩く。その間に阿美はどこか懐かしい気持ちを感じていた。
自分の手を引く手の温もり、ずっと昔にもこんな風に手を繋ぎ歩いた誰か…
(あれは…誰だったっけ……!?どうして思い出せないの!?)
阿美の表情が固まる。
当たり前のように思い出せた筈の幼い頃の記憶…それが音を立てて崩れていく!
あの男と…そう、赤木と会った時からだ。まるで自分が作り物のような感覚を覚えたのは…
(…私は…誰?本当は誰なの!?)

ドクンッ!!

再び布津野の刻印が少し広がる。既に首筋にまで達した呪いの証に、阿美の中の何かが蠢く。

   呼び合っているのだ。

同じであり、同じではない存在より生まれ落ちた忌避すべきモノ同士、惹かれ合う運命なのだ。
堪らず阿美は立ち止まった、丁度同じタイミングで崎島も立ち止まる。
>「…彼処が孤児院?」
尋ねる崎島に異変を悟られぬよう、阿美は耐えたが1度頷くので精一杯だった。
(何か…いる!?)
先程までとは違う何かを感じて、阿美は走りだした。
子供達の身に危険が迫っているならば、戦うしかない。しかし今戦えば……抑え切れない!

      ∵ ∴ ∵ ∵ ∴ ∵

>「…!?阿久津さん!」
後方から崎島の制止が聞こえたが、阿美はそれを振り切って走る。
大切な者を傷付ける存在は……
(殺してやる!殺して殺して殺して殺して殺して…存在を消し去ってやる!!)
阿美の唇が吊り上がり、残虐な笑みを浮かべた。見付けたからだ、敵を…いや、獲物を!
(ズタズタに引き裂いて!メチャメチャに砕いて!バラバラに刻んで!!!)
阿美は全く気付かない。布津野の刻印が、上半身の半分以上にまで侵食している事に!
>「阿美お姉ちゃん!」
声が聞こえた、小さな子供達の声。
その声が、阿美を暗い深淵の底から引き戻す。

          ∵ ∴ ∵

「………!?」
気が付くと周りに子供達がいた。そして、布津野の刻印もいつの間にか消えている。
(…え?私は一体何をしようと…してた?)
「お帰りなさい!変な人が来ててびっくりしたんだよ!それでねそれでね!」
「ずるい!僕が話すんだぞー!」
「へへーん!早い者勝ちだもんねー♪それでね、おっきい黒い人がやっつけたんだよ!」
598ゴーストクロー ◆.bamFlliGk :2006/08/30(水) 23:53:07
白刃が、百千万億にとどめを与える事は無かった。
唐突に現れた怪物の姿は、彼らの注目を引くのに十分であった。
(やれやれ、勢い込んで来たはいいが)
百千万億の死は免れたものの、刃を突きつけられた
人質を傷つけずに助け出す事は、至難の業だろう。
ふと、人質の子と視線が合う。怯えた瞳には、僅かな敵意が見て取れる。
(……迷う事はないか)
男は、考える事をやめた。EXeMは心の無い怪物だ。今はそれでいい。
(許せよ)
心の中で悪戯っぽく笑うと、わざと百千万億を踏み越え、
様子を伺っていた派遣員との距離を詰め始める。
後退しながらも、油断無くこちらを見据えている。
奴も自分をただ行きずりの怪物と見ているのなら、
無意味に人質を殺すような真似はしない。それが活路となる。
(どうした、まだ動かないか)
内心、狙いを悟られる事を恐れながらも、足を止める事はできない。
腕を伸ばせば届くほどの範囲に踏み込んだ瞬間、派遣員は一気に動いた。
こちらの注意を引くように、人質を投げ出してきたのである。
狡猾なればこそ、怪物の前に子供を差し出して自衛を計るのは自然な行動だ。
(やった!)
同時に、痛みが走った。反射的に視線を下ろす。
刀が脇腹を裂き、血が溢れていた。人質を囮にした、不意の一撃だった。
(ギリギリまで近付かせたのは、これを狙ってか)
逃げて行く派遣員を横目に、自分の詰めの甘さを呪った。
だが、これでいい。
(後は、あんたの役目だろう)
捕らわれていた子は、百千万億のもとへ駆けて行く。
……自分が百千万億に近付けば、皆は彼も怪物の仲間と見るだろう。
孤児には、EXeMによって親を失った子もいる。それは変えようもない。
子供達の畏怖と敵意の眼を背に、男は孤児院から離れていった。
気のせいか今は、それがさほど辛くないように思えた。
(今夜はどこで休もうか……)
血は、しばらく止まる気配を見せなかった。
599EXeM:2006/08/31(木) 01:46:22
サギョッシュ!!
600名無しになりきれ:2006/08/31(木) 01:54:30
はぐはぐっしゅ!
601百千万億 二千六百年 ◆zvjRkFOdKw :2006/08/31(木) 19:03:27
>598

もうすでに諦め目を瞑っていたつもいが何時まで待とうとも、
凶刃が振ってくる事はなかった。妙だ、おかしい、そう思い目を開ける。
すると目の前には先のExemがいた、助けに来てくれたEzemにつもいは驚きを隠せない。
「なぜっ、私が浅はかに行動しただけなのに・・・」
襲っていると言う考えはなかった、だとしたらもう暴れまわっている、
確かに彼は子供を守ろうとしていた、周囲の人の彼を見る目が
化け物を見る目になっていることにつもいは胸を痛める。

そうしている間に彼はうまく子供を救出するが同時に傷を負ってしまった。
つもいの方に駆け寄ってくる子供を保護しながらつもいは思っていた。
(私のせいだ・・・彼が傷を負ったのは、私の軽率な・・・)
自責の念に駆られているつもいを後にExemが去っていく、
おそらくつもいが自分の仲間だと思われないように去ったんだろう。
つもいは呼び止めようと思ったが、同時にこうも思った。
(ここで呼び止めては彼の気遣いを無駄にするということ・・・すまない。)

そして歯を食い縛り、自分の愚かしさと情けなさにただ黙るしかなかった。
そしてそのままつもいは倒れる、長時間神経を張っていた疲れがどっと押し寄せたのだ。
意識が薄れゆく中こちらに二つの足音が向かい、
なにやら叫んでいるのをつもいは聞き意識を失った・・・・

602天文台:2006/08/31(木) 19:50:30
「博士!彗星です!謎の彗星が接近しています!」
「なんだと!まさか2年前の悪夢が再び起ころうというのか!」
603銀河 ◆A0aBdOeAP2 :2006/08/31(木) 21:00:11
誰だよ
604東屋 実咲 ◆AHL7KHofQw :2006/08/31(木) 21:03:24
布津野の案内が終わったので、売店にて下着とジャージ・・・それとバッシュを購入(布津野名義で)し、更衣室へ入る。

「やっぱりさぁ〜このままじゃ息苦しいよね〜」
ベルトの解除ボタンを探り、そして、押す
√レv──wヘ√レvヽwヘ√レv EXTINCTION ──wヘ√レvヽwヘ√レv─
機械じみた女性の声が更衣室に響き、変身を解除させる。
予想はしていたが・・・やっぱり全裸だった。
「・・・やっぱりねぇ〜そんなに都合がいい訳じゃないし・・・」
へらへらと笑いながら着替える東屋、その姿はさっきまで生死の境目を行ったり来たりしていたものだったとは誰も思うまい。

下の部分が着替え終わったとき、自分の姿が鏡に写ったのが見えた。
胸元にはあのときの傷が刻印のように残っている。そっと撫でてみても痛みは感じなかったが・・・
何か大切なものを失った感覚が胸を走る。
「死ぬことを受け入れられなかったからかな〜・・・こんな空しさは・・・」
そう言って、視点を鏡から外し、Tシャツを着る。そして、その上にジャージを・・・
「でも・・・生きているってことは・・・死ぬことになるんだよね・・・
 確かに、あの人のお陰で助かったけど・・・でも、それはただ単に丈夫になった・・・てこと・・・
 結局は・・・みんな死ぬんだよね・・・」
そう自分に言い聞かせ、東屋は更衣室を後にした。
605榛原 ◆fAnDqHclsQ :2006/09/01(金) 23:59:45
「いやぁ〜、ここもほんまに久しぶりやなぁ、」
あたりを見回すと瓦礫のような家やビルが並んでる、瞳の家の辺りの家々や。
ワイがいたときはもっと綺麗な気もしたんやけどな。多分ワイと同類の方がまた暴れたんやろなぁ。

ワイは座れるような瓦礫に腰掛け、クソみたいに重いトランクを地面に落としタバコ出して一服する。
銘柄はゴールンデバットや、こんな時代や、いい煙草なんて手に入るわけないからなぁ。
こない葉のカスみたいな安モンで精一杯背伸びしとる。

マッチで煙草蒸かしとると、なんや小さいガキんちょが二人ワイのこと恨めしそうに見とるやないか。
死んだような目しよって、ほんまにこんなんばっかりや日本は、いやんなるわ。
ガキに付き合うとる暇なんぞない、煙草を足で踏み消し立ち上がる、
ワイは視界からガキ二人外す、さっさと目的地に向かわなあかんのや、

ガキはまだ恨めしそうに見とったが、ワイにむけられる視線はすぐなくなった、そらそうや、
ガキ二人はたまたま落ちてた金で食いモン買うために必死で走っていったんやからな。
走ってくガキにワイはつい大声で叫んだ、
「強く生きるんやでガキ!死んだら全部終わりやからなぁ!……死んだら全部オシャカやで。」
もちろんそのガキはワイの言うことなんか素知らぬふりで走っていったわ。

おっとっと、そやそや、ワイもこんなこと言ってる場合やないで、早う届けモン届けなきゃあかんかった。
「思えば一年ぶりぐらいやなぁ、ガキの一年言うたら相当変わっとるんやろうなぁ〜」
昔をちと思い出しながら、ワイは瞳の家へと向かった。

+++++++++++++++++++++++++++

三十分ぐらい歩いてそろそろ瞳の家が見えてきたらなんや、瞳の家の前になんか集まっとるやないか。
取り込み中みたいやし、急に出て行ってもなんや気まずいなぁ、
なんちゅうか、疎外感みたいなもの感じてしまうわ。
そやけど布津野の計画は迫っとるし、今渡しとかなまた先に持ち越しや、それは勘弁やで。

どうないしよかと迷っとるとドラム缶いじっとるボーズが目に止まる、
そや、あのボーズにちと様子聞いてみよう、ワイはさらにボーズとの距離を縮める、
するといきなりボーズが振り向いてきたんや。それも何となくやない、
ワイの気配察知して即座に振り向いたんや、

「こんちは、いい天気やなぁ、ところで話し180度変わるんやけどな、
 ボーズは瞳の家に住んでるんか?」

突然のボーズの行動にちょっとビクリながらワイは愛想よく言ったつもりや、
しかし相当胡散臭かったんか固まってワイを凝視しとる。
ちと自分に自信なくしながら更に続ける。
「ワイは榛原っちゅうもんや、怪しいもんやない、
 瞳の家に用があってきただけや、そやからそない顔せんといてや。」
そんでワイはできるかぎり笑ってみせたわ、ちと苦笑入っとるかもしれへんが。
606崎島 瓜夜 ◆.wQUI50w5o :2006/09/02(土) 14:42:33
>「こんちは、いい天気やなぁ、ところで話し180度変わるんやけどな、
> ボーズは瞳の家に住んでるんか?」

「あ…いえ……。」

怪訝そうに答えます。
振り返ってそこに居たのは黒髪に四角いサングラスにスーツの男、いかにもあやしい…。
もしやこの男が此処を…?僕は少し心の中で構えます。下手すれば実力行使してでもTSUKUYOMIに差し出さなきゃなりません。
…が、その男は僕が怪しんでるのを察したかのように慌てて名乗ります。
>「ワイは榛原っちゅうもんや、怪しいもんやない、
> 瞳の家に用があってきただけや、そやからそない顔せんといてや。」
「榛原…さん?」
僕は聞き返しました。って事は阿久津さんの知り合いか何か…かな?
どちらにしろどうやら敵じゃないようです。僕はホッとします。
「そうですか……よかった……。あ、先ほどは怪しんですみません。僕はTSUKUYOMIの崎島 瓜夜という者です。
…ちょっと色々あってここに来たらこうなってて…」
そう言うと僕は微笑みました。そしてその後僕は榛原さんに訪ねます。

「あの…つかぬ事をお尋ねしますが……何故このような状況になってるか知りませんか?
先ほども言ったように僕たち此処に来たのついさっきなもので状況がイマイチ読めないんで……
なんでも良いんです。知ってることならなんでも…」
607瞳の家のある風景:2006/09/02(土) 19:57:40
脱ぎたまえ!!

イヤです

なら御脱ぎなさい

同じです
608榛原 ◆fAnDqHclsQ :2006/09/03(日) 00:12:29
名前呼んでくれたボーズについつい嬉しなって笑いかける。
多分相当ニコニコしとるんやろうワイにボーズはびっくり仰天なこと言いおったわ!

>「そうですか……よかった……。あ、先ほどは怪しんですみません。僕はTSUKUYOMIの崎島 瓜夜という者です。
>…ちょっと色々あってここに来たらこうなってて…」
「そか、TSUKUYOMIの人なんか……TSUKUYOMI!?」
こ、こない少年がBEだっちゅうんか!?ど、どないしよ、ワイの正体見破られることはないとは思うけど。
もしバレてしもうたら殺されてまう!とりあえずワイは驚きをちと変えようとどんどん付け加える。

「そないな年で、そらえらいエリートさんやな!給料とかどんぐらいなんや?高いんやろ?
 ええなぁ、ああ、金が足りん、地獄の沙汰も金次第ちうけど、ほんまやで。この時代は地獄さかいになぁ。」

とりあえずごまかすには十分なこと言ったところでワイは煙草一本出して蒸かす。
もちろん煙であんまし表情見えんようにするためや、ワイ顔に出やすいからなぁ。
サングラス越しで目の動きが見えんゆうことも幸いやった。
ボーズはワイを疑う様子もなく笑いかけ、えらい素直な感じで聞いてきおったで。

>「あの…つかぬ事をお尋ねしますが……何故このような状況になってるか知りませんか?
>先ほども言ったように僕たち此処に来たのついさっきなもので状況がイマイチ読めないんで……
>なんでも良いんです。知ってることならなんでも…」

このような状況言われてワイは周りを見る、確かになんかあったみたいやな。
なんでもいいから知っとること教えてくれ言われて、ワイは頭をかいてばつ悪そうに笑い言うたった。

「あー、ボーズ、悪いけど、ワイはなんも知らんのや、すまんなぁ
 ワイもここに住んどるワケやないし、実は一年ぶりぐらいなんや、そやからちと分からんわ。
 情けない話しやけど、ほんまに悪いわ、」

そういって下向く、なんちうか、一応出て入ったのに理由あっても、自分で最低かと思うわ。
そやけど腐っててもしょーもない、すぐさまワイは何やら騒いどるガキ達のほう親指で指す。
「多分、あの子らの方がワイ達より知っとんで、」

>「へへーん!早い者勝ちだもんねー♪それでね、おっきい黒い人がやっつけたんだよ!」

男の子の声が聞こえてくる、あのお嬢ちゃんに話しかけとるみたいやな。
何の話しか分からへんけど、思うたとおり、なんか知っとるみたいやで。
「ほらな?やっぱ知っとんで、とりあえずあの子達に話し聞こうやないか。えーと、崎島くん。」
ワイはよく義兄弟がやるような感じで崎島くんの肩に手回す、ワイは目一杯崎島くんに笑いかけた
609条咲綾子 ◆2TlaRARhhA :2006/09/03(日) 15:07:40
条咲の口づけはあっさりかわされた。
前を向く白川。
そして自らの決意を語る。

>「仲間の仇を討つまでは辞められない、
それが俺の今ある唯一の信念です。
>・・・それが終った時、俺は答えを出します。」

その言葉を聞き何故かホッとする表情を見せる。
そして寂しそうな笑みをこぼすと一言呟いた。


「そう・・・」



その表情は今まで見せた中で一番人間らしい表情だった。

車は一定のスピードを保ち走り続ける。
夕焼けの空が火事を起こしてるみたいだ。
条咲は再度その火事に目を向ける。
そしていつも通りの表情で言葉を続ける。

「・・・貴方は賢い上に強いわ。
その上揺るがない信念を持っている。
・・・・・もしかしたら貴方なら救えるかもしれないわ。
貴方がTSUKUYOMIを辞めたとしても、辞めなかったとしても・・・ね。
・・・でもね、これだけは覚えておいて。
貴方がもし、本当にTSUKUYOMIの壁として塞がったとき・・・
真っ先にその壁を潰しにかかるのは私よ。」

静かにそれでかつ今までに無いほど揺るぎなく言葉を連ねる。
そしてすっと白川見た。

「・・・何故なら私も揺るがない信念を持っているから。
TSUKUYOMIという、巨大な組織の中に大切な物を持っているから。
私はどんな事があってもTSUKUYOMIの狗であり続ける。
だから私は今後貴方にTSUKUYOMIの事を聞かれてもこれ以上何も言わないわ。
・・・そして例え敵が貴方でも・・・
私は私の全てを駆けてでも、貴方を潰す。」
610条咲綾子 ◆2TlaRARhhA :2006/09/03(日) 15:09:32

そう言うと条咲は前を見た。
一瞬眩しそうに目を細める。
そしてぽつりと言った。


「・・・その時は・・・・
貴方も全てを駆けてくれるという事を約束してくれない?
貴方の全てを駆けて私を、殺してくれると。」


白川の表情を条咲は見なかった。
白川は答える。
その答えを黙って聞くと一つ笑った。
そして車は止められる。
条咲は白川の車から出るとその車を見送り、
奥歯に挟んでおいた物を取った。
それは青酸カリ入りのカプセル。
条咲は白川を殺すつもりだったのだ。
TSUKUYOMIを辞めると言ったら、
そしてあの唇を受け止めてしまったら。
しかし白川は今生きている。
それは憎むべき運命というか感謝すべき運命というか。
条咲は寂しそうに笑うとその青酸カリ入りカプセルをしまう。

そして条咲は歩き出した。
殺風景な夕日の下を。
夕日はそんな条咲の姿を慰めることも何もしなかった。
611白川宋 ◆dMMbM6zhZs :2006/09/03(日) 20:42:50
>609
「そう・・・」

条咲さんは人形のような表情の中で、一瞬だけ人間らしい感情を見せてくれたような
気がした。作り物ではない、素の表情。
だが。

「貴方がもし、本当にTSUKUYOMIの壁として塞がってきたとき・・・」

―真っ先に潰しにかかるのは、私よ・・・か。

彼女にも、揺るぎのない信念がある。
それが、TSKUYOMIの狗として生きることであっても彼女にとっては
それが全てなのだろう。

「・・・貴方も全てを駆けてくれるという事を約束してくれない?」

条咲さんの言葉に、俺はゆっくりと頷く。
目は前を向いたまま、俺の心は変わらない。

「そうなった時は・・・容赦しない。それは俺も同じだ・・だけど」

そう言おうとした時、彼女は車を降りていた。
真っ赤に染まる夕日を背に、歩く条咲さんへ向け俺は呟いた。

「だけど・・・出来れば殺したくなどない。
俺が本当に倒すべきなのは・・・」
612白川宋 ◆dMMbM6zhZs :2006/09/03(日) 20:51:43
俺は何かに誘われるように、新宿へと向かう。
1人だけでもいい、俺一人でもあの女を倒す。
必ず、倒さなければならない・・・

:新宿駅近辺

車を降り、俺は中央病院跡地へと1人で向かう。
部下は連れてきてはない、これは俺の独断での行動だ・・・彼らに迷惑をかけるつもりはない。
新宿・・かつては都庁があり東京の繁栄の中心にいた街だ。
だが、今は何もかもが違う。全てはあの彗星と、あの怪物のせいだ。
そしてそれに1枚噛んでいるのが、TSUKUYOMI。

・・・不意に、俺の体を強烈な思念が襲う。

「・・・これは、あの女の!?・・そういう事か、あの時に俺に何かを
仕掛けていたというわけか・・面白い。
お前の挑戦、受けて立とう・・・!!」

俺は闘争心に心を煮えたぎらせ、新宿駅に降り立った。
新宿、この場所からあの女の気配を感じる。
だが確実に奴は、いる。俺は復讐心だけでここまで来た。

もしかしたら、その復讐心さえ誰かに仕組まれたものかもしれない。
だが、今はそんな想いを抱く事でしか前に進めない気がした。

と、不意に携帯していたEXeMセンサーが振動し始める。>573

「これは、まさか他にもクラスAが・・?」

しかも、その反応も新宿へ向かっている。

「千載一遇か・・・」

俺は新宿中央病院へ向け、歩みを進め始める。
そこに待っているのが、残酷な結末だとその時の俺を知る由も無かった。

「死」とは、不意に訪れるもの。それを知る時がこんなにも早く来るとは・・・
613崎島 瓜夜 ◆.wQUI50w5o :2006/09/03(日) 23:03:30
>「あー、ボーズ、悪いけど、ワイはなんも知らんのや、すまんなぁ
> ワイもここに住んどるワケやないし、実は一年ぶりぐらいなんや、そやからちと分からんわ。
> 情けない話しやけど、ほんまに悪いわ、」

「そうですか……。」
そう言うと僕は少しシュンとします。…手がかり無し…。少し気が重くなります。これじゃおちおち安心して此処を出ることが出来ない。
…しょうがない…と言えばしょうがないですがね、僕は頭を二三回掻き、榛原さんに苦々しく笑い礼を言います。
すると榛原さんは少し考えたかと思うと子供達に指を指して言いました。

>「多分、あの子らの方がワイ達より知っとんで、」
「…え?」
僕は阿久津さんの周りを囲む子供達を見ました。男の子の一人が阿久津さんに競うように話しかけます。
>「へへーん!早い者勝ちだもんねー♪それでね、おっきい黒い人がやっつけたんだよ!」
「……!?黒い…!?」
そっか…なんでこんな事に気づかなかったんだろう。榛原さんがすかさず僕に言います。
>「ほらな?やっぱ知っとんで、とりあえずあの子達に話し聞こうやないか。えーと、崎島くん。」
僕は榛原さんを見ました。自然と明るく笑顔が零れます。
「ありがとうございます!榛原さん!」
そして頭を一つ下げ顔を上げにこっと微笑みました。そして僕は男の子の方に近づきます。
男の子はこちらに気づいたらしくキョトン顔で見ました。
僕は膝まつき男の子と目線をあわせます。…実は子供とあんまし接したことがないけど…僕は少しとまどいつつその男の子に訪ねます。
「…さっき言ってた黒い男の人について教えてくれない?」
そう言うと暫く男の子は僕の顔を見ます。
そして暫くして一言ぽつんと言いました。

『…てんとう虫。』

「え……?」
『お兄ちゃんのほっぺにてんとう虫がついてるよ?』
そう言うと僕のほっぺを指さしました、僕のほっぺにテントウムシ?
僕はほっぺにそっと触れます、すると途端に音が聞こえました。
[…バサッ…]
そう、テントウムシが飛び出す羽音。
「あ…。」
僕は立ち上がり右側を見ます。
僕の視界にテントウムシが入りました。僕と男の子はテントウムシを目で追います。
そしてテントウムシはゆらゆらと羽ばたくと一人の倒れている男の掌の甲に止まりました。
僕はゆっくりとその男に近づきます。
614崎島 瓜夜 ◆.wQUI50w5o :2006/09/03(日) 23:04:14
後ろ結いの赤髪、僕よりも全然大人な人…死んでる?
僕は膝を折り曲げるとその男の人の首もとを両手で触れ目を閉じました。
[トックン……トックン…]
聞こえる…僕は目を開きました。聞こえる、この人…生きている!
僕はとっさにその男の腰元を見ました。そこにあるのは、僕と同じ、黒い刃…BEのベルト。
この男が……恐らくこの男がここにいたTSUKUYOMIの派遣員とかを倒したんだ!
僕は赤髪の男の肩を持ち揺らします。
「大丈夫ですか…?起きれますか…?」
返事はありません、どうやら気絶しているようです。
僕は立ち上がりました。…TSUKUYOMIに報告しなきゃ…と。
しかし僕は躊躇います、もし…この男の人をTSUKUYOMIに差し出せばただじゃすみません。
少なくとも此処にいた派遣員と条咲さんの部下を負傷した罪が問われます。
僕はちらっと瞳の家から数m離れたところを見ます。そこには監視員が望遠鏡を持って僕を見つめています。
そして僕はこの人の顔を見ました。渋いけど…その顔はとてもこういう風な事をするようには見えません。

………。

僕はその男の腕を首に駆け、持ち上げました。

そして僕より少し離れたところにいた榛原さんに近づきます。そして榛原さんを真っ直ぐ見ると言いました。

「…一般の人らしいです。すみませんがこの人を病院につれていってくれませんか?……なるべく早く。」

…やっぱし差し出せない。

榛原さんは了承してくれました。
僕は微笑むとその男を渡します。僕はふと昔兄に言われたことを思い出しました。
『テメェは甘い!』
…苦笑いしてしまいます。確かに甘いかも…。この人下手したら敵かもしれないのに。
でも、僕は信じたい。どんな悪人だろうか感染生物だろうか…そして自分も…。それが弱点になったとしても。

[キィィ…!!]

リムジンのブレーキ音が背後から響きます。僕と阿久津さんは振り返りました。
そしてそこから二人の黒スーツの男が来ると言います。

『条咲司令官の使いの者です。早いですが向かいに参りました…布津野の方に動きがあったもようで…。』

そう言うとその二人組は礼をしました。気づけば外は夕焼け色では無く暗闇に近い色なってしまいます。
僕は真っ直ぐにリムジンを見つめると榛原さんに一つ礼を言いリムジンに乗り込みました。
615崎島 瓜夜 ◆.wQUI50w5o :2006/09/03(日) 23:05:08

高級な皮の椅子の中、僕はポケットから携帯を取り出し見つめます。僕の新しい力がインストールされてる携帯を。
そしてギュッと力強く握りしめました。

…信じよう、この新しい武器も、仲間も…布津野も。

阿久津さんが乗り込みます。
僕は静かに深呼吸をするとリムジンが発車されます。
向かう場所は布津野の元、悪意の巣、新宿中央病院へ……。
616榛原 ◆fAnDqHclsQ
>「ありがとうございます!榛原さん!」
そう言われてワイは心から微笑んだ、ブラックエッジはワイの天敵やけど。
このボーズは少なくともええ奴や、悪い奴と良い奴の区別ぐらいつく。

ワイはトランクを地面に落として座り煙草の火をもみ消し崎島くんに任せることにした。
ガキ達はワイより崎島くんの方が親しみやすいやろうし、話すには適任やろうと思ったからやで。
すると、なんやテントウ虫がどうたらこうたら言ってるやないか。しかも追っていってしまうし、
本来の目的見失っとるやないか、ハラハラして待っとると、今度はなんや、気絶しとる男もろうてきたやないか。

しかも、どう見ても一般人やない、ベルトしとる、BEだとすぐさまに分かったで。
どうやらこの状況には恐らくこの男が関係しとる、仲間割れってとこか、正直いって面倒事は嫌やで。
まあボーズもBEならこの男が怪しいんは重々承知やろ、BEの本部かなんかに引渡しやろうなぁ。

>「…一般の人らしいです。すみませんがこの人を病院につれていってくれませんか?……なるべく早く。」

なんやて!?……こ、このボーズ、ワイの予想をことごとく潜り抜けたわ!
それも、ボーズは一般人だと思っとるわけやない、BEって知っとる。
顔見ればわかるわ、表情隠すの下手すぎやでホンマに!ワイはごめんやで、
関っとってもロクなことないで、そやけど、そう思っとったんやけど、ワイは崎島君に近寄り男を受け取ってしもうたわ、

「……ほんまに、甘ちゃんやなぁ、甘すぎるで、ボーズ、
 そやけど、ワイ、お前みたいな甘ちゃん、嫌いやないで……こいつはワイに任せときっ!」

受け取る時についガッツポーズしてしまう、なんでやろうか、やっぱ嬉しいからなんかなぁ。
ホンマ、このご時世にとんだお人好しやで……こないな清清しい気持ちは久しぶりや。
ワイはずいぶんと長い間、暗闇に居すぎたみたいやな……。

[キィィ…!!]

『条咲司令官の使いの者です。早いですが向かいに参りました…布津野の方に動きがあったもようで…。』

「そのせいかいな、さっきから頭になんやアノ感覚が来るんは。」
だれにも聞こえないぐらいの独り言を漏らす。現実は残酷や、
ボーズは布津野のとこへ行くちゅうことは、次会ったときはワイとボーズは敵同士いうことや、
ホンマに悲しいわ、そやけど、ワイは今は笑って送ることにしたわ。