890 :
れんタン:
幸せや喜びは、生まれて来てこそ。何が何でも誕生を信じ意味を持たせようとする、紋切型の幸福論。
生まれる事と生きる事。其れらは素晴らしくて美しい。
異論は認めない。そんな奴は、人でなしの罪人。
其れは最早イデオロギーさえも超越した、人類の絶対的責務。或いは、人類を"有"に縛り付ける鎖。
予め用意された公理の如くして、皆が盲信し、馬鹿の一つ覚えに吹聴してみせる。
無論、"彼ら"とて病気で子供を失った、言わば同胞<はらから>に違いは無い。
然し、彼らは骨抜きだった。現世での救いと癒し、傷の舐め合いを求め、
思考を放棄しイデオロギーに迎合。軈て取り込まれ申し子へと転じた存在。
其の声に、聞く価値は無い。何故ならば彼らは主体者を放棄し、 イデオロギーの随行者に成り下がったのだから。
其の発言は、如何なる人間<マイク>を介しようと、 本質的にはイデオロギーという唯一人の発言者に依って為されているのだから。
私達が最も忌み嫌う"奴"の発する言葉など、如何して聞く必要が在るだろうか。まったく…。
世界で最初に此の思想を流布した人間は、神をも騙し得る最高のペテン師ね。