>243
>「悪いが、お前との感動の再会に夢中でな、お前の連れの顔も何も覚えちゃいない。狙撃者の格好だって知らない。
指示を出せ、狙撃者探しの間、お前に付き合ってやる」
「連れは賠尾市で助けた看護婦だ。それとさっき話したデパートの屋上で知り合ったご婦人。それと研究員が一人だ。
スナイパーは迷彩服に身を包んだ二人組だろう、な。」
相手がスナイパーだとしたらどう行動する?
最低限、夕日をバックに取る。
研究所に向かう自転車の前輪のみを撃ちぬける角度から、逆算し位置を割り出す。
だとすれば、狙撃ポジションの最大候補は・・・
「民家か。そうだな、俺が掩護射撃をする間にあの民家に―
>260
>「…Amen.」
その言葉に振り返るとガスマスク姿の男が特大のナイフをユダの喉と胸に突き立てている所だった。
「ユダ!」
叫ぶのと同時にガスマスクが壁に叩きつけられた。
(・・・ありゃ・・・死ぬほど・・・痛いぞ・・・)
等訓市の研究所で同じような一撃を食らったが、ボディアーマーにインサートされた
セラミック防弾プレートが砕け、相当なダメージを受けた。
突き刺さった銃剣を男に投げつけたユダが親指で出口を指す。
胸と喉から血が流れているが、さほどダメージを受けているようには見えない。
軽く頷き、FN-FALを片手に壁にもたれ掛るガスマスクとユダの間をすり抜け、サナトリウムを走り出る。
やはり一人は不安だ。
感ぜん武装の狙撃チーム相手なら尚更である。
遮蔽物を最大限に利用しながら目的の民家への距離を詰めていく。
最後の数百メートルは全力でジグザグに走った。
両手にそれぞれシグと安全ピンを抜いた手榴弾を持ち、足音を殺して階段を上がる。
つまり爆発を押さえているのは、俺の手一つと言うわけだ。
仮に撃たれたとしても着弾の衝撃で手榴弾が手から離れ、爆発する。
「動くな!銃を捨てろ!俺が手を離せば手榴弾が爆発するぞ!」
双眼鏡を持つスポッターの方にLAMで照準を付ける。
高く掲げた手榴弾に二人が凍りつく。
「ゆっくりだ!ゆっくりこちらを向け!今回はいきなり撃ったりしないから安心しろ!
話しを聞きたいだけだ!所属、姓名と目的を名乗れ!」
目的は聞くまでも無いだろう。
あの二人の抹殺だ。プロが誰かに銃口を向ける時は殺す時だけなのだから。
所持品:FN−FALパラモデル(20)、シグP226(15)、15連マガジン×1
煙草、ライター、手榴弾
服装:ワイシャツにネクタイ姿、軍用ブーツ 手を離せば爆発する手榴弾
現在地:民家・2階
状況:雑賀らに手榴弾と拳銃を着き付けて尋問開始。
>262
「で、どうする?」
おどけたように手を上げる赤坂が、隣の雑賀の表情を盗み見る。
尤も、雑賀の顔はフェイスガードで覆われていて窺えはしないのだが…
「さぁ…素直に答えてやるとするか」
銃の全てを床に置き、雑賀は手榴弾を手に持ち、拳銃を突きつけて脅す男を正面に見据える。
「俺の名前は雑賀誠一郎一等陸尉、隣は赤坂圭吾一等陸尉だ。所属は二人とも特殊作戦群の狙撃チーム。
目的は…そうだな。目的はあの二人の確保だが、それが無理な場合は完全抹殺。遺体は大型テルミット手榴弾で
焼却する予定だ……俺個人の意見ではなるべく確保したい。聞きたいことがあるしな。でも、あんたが邪魔をすると
殺さなければいけなくなる。まぁ、邪魔をしないでくれといって邪魔をしないわけでもなさそうだしな……両者共に譲れないといった感じだな」
大きく溜息を付き、やれやれと首を振る。
「まぁ、いい。もうそろそろ試射が始まる頃だろうな…」
その意味深な言葉の直後、三人がいる民家の屋根の上を不気味な飛翔音が通り過ぎた。
そして、それは村の郵便局にぶち当たり、建物の半分を粉々に吹き飛ばしていた。
その振動と凄まじい爆音は、幾等郵便局とこの民家が離れているとはいえ、一瞬だけ相手の注意を向けるには充分であった。
雑賀はその瞬間を見逃しはしなかった。
咄嗟に男との間合いを瞬時に詰め、男の腹部に右拳を深く減り込ませる。と同時に男の手から手榴弾が零れ落ちる。
それを雑賀と同時に間合いを詰めていた赤坂が咄嗟に拾い上げ、部屋の外に投げ捨てる。
投げ捨てられた手榴弾は部屋の外で炸裂し、衝撃が此処まで伝わってきたが、二人はそれに構わなかった。
赤坂が男の銃を握る手を後に捻り上げ、雑賀が男の膝の裏を蹴って体勢を崩させる。
そしてそのまま赤坂が全体重を掛けて男を組み伏せ、ナイロンハンドカフを取り出して腕と足をきつく縛り上げる。
「今のは特科の203mm自走榴弾砲だな。まだ全てが展開し終えていないが、それも時間の問題か…」
耳を澄ませば、村の周囲を囲う山の向こうで飛行する何機ものヘリのローター音や重車両、人々の喧騒が聞こえてきそうだ。
雑賀は床の銃を拾い上げると、手足を縛られている男の腹を蹴って転がし、仰向けにする。
「そういえばさっきの借りを返していなかったな?」
腹を蹴られて咽る男の腹にG3A4のマスターキーを突きつけ、引き金を引く。
12ゲージの大口径から吐き出されるのは、非致死性弾であるゴム製のスラッグ弾だ。
しかし、幾等死に至らないとはいえ、この至近距離で撃ち込まれれば相当なものだろう。
だが、一発だけではない。フォアエンドを素早く引いてショットシェルを排莢し、次弾を薬室に送り込むと、また引き金を引いていた。
それをもう一度繰り返し、装填されていた全てのゴム弾を男の腹に立て続けに撃ち込む。
「さぁ、長居は無用だ」
ショットシェルを装填し、T-76をライフルケースに仕舞って背負うと、手足を縛られ転がっている男を無視して
民家を後にした。
名前:雑賀靖一郎
年齢:23歳
性別:男
装備:戦闘服(空自仕様)、88式鉄帽、NBG、新型ボディアーマー、ニー・エルボパッド、レッグホルスター/ポーチ、 ABAフェイスガード、
所持品:新型ボディアーマー「前面パネル:マガジンポーチ(30連弾倉×10、12連弾倉×4)、アッパーポーチ(.338LapuaMag×73)
背面パネル:無線機、グレネードラック(閃光×2)、ユーティリティーポーチ(双眼鏡、レーザー側距儀、ライター、ナイロンハンドカフ×29)」、
弾帯「水筒、銃剣、バットパック(地図、コンパス、ライト、30連弾倉×1、12連弾倉×2、ファーストエイドキット)」、
レッグポーチ「.338LapuaMag×20、12ゲージショットシェル×25、レザーマンツール」、レッグホルスター「H&K Mk23(10)、12連弾倉×2、消音器」
G3A4(90)+マスターキー(3)、ナイロン製ライフルケース(T-76 Longbow Tactical、5)
現在地/状況:民家の外/小川の腹に全ゴム弾を撃ち込み、立ち去る。
>263が家を出て行った後に、一体のゾンビが民家に迷い込んだ。
「二階から肉のにおいがするぞヴァア〜…」
ゾンビは旨そうな>262の匂いに釣られてフラフラと階段を登っていった…
>252
>「じゃあ、ミリアさん、アンタがポイントマン勤めてくれ・・・」
「言われずともそうさせて頂くわ。貴方のような種無しに務まるとは思えないし」
さり気無く酷い事を言ってのけ、集団の先頭に立つ。
>255
>「出来れば、一息つけそうなところで手当てもしたいんだが」
「では、次の階辺りで手当てと休憩を兼ねましょうか。
桃華ちゃんのようにこういう修羅場に慣れていない人は、神経を磨り減らせてしまうしね…」
戦闘に関して素人以前の問題である桃華は、既に腹を決めた顔をしているようだが、
修羅場での緊張は経験した事は無い筈だ。そういった状況下に長い間置かれれば、何時か限界が来る。
適度に休憩を入れて神経を休ませるべきだろう。
>253
そんなことを考えている間に集団の背後に忍び寄る気配を感じ、咄嗟に銃をその方に向ける。
暗闇から躍り出たのは、三体のハンター。フラッシュライトに照らし出されたその異形は不気味だ。
(いきなりハンターが三体も…卑怯ね)
その内の一体に瞬時に狙いを定め、3発の357SIGを撃ち込む。
3発もの銃弾を受けたハンターはそのまま吹っ飛ばされて転がるが、仕留めるには至っていないようだ。
それに構わず次の一体に瞬時に照準を変え、同様に3発の銃弾を叩き込む。流石に今度は良い当りだ。
3発ともハンターの首辺りに集弾したようで、どす黒い血を首から噴出させてその一体は絶命。
もう一体に狙いを定めようとするが、流石に其処までは手が回らない。
「ちゃんと避けなさいよ!」
ハンターの爪が川崎に振り下ろされるが、自分が彼の背中を蹴って無理矢理回避させる。
行き場を失った爪はそのまま自分に向ってくるが、半身を捻って寸での所で受け流す。
「…やるわね」
ハンターは優雅に着地をし、直ぐに此方に向き直る。
そして少し遅れてすっとドレスの胸元にハンターの爪の三本の亀裂が入り、はらりと胸元が顕になる。
「貴方も物好きね。でも、代償は高くつくわよ」
咆哮を上げながらハンターは再度跳躍して襲い掛かるが、敢えて自分はそれを銃で迎え撃たない。
ハンターの爪が絶妙のタイミングで振り下ろされる。その先には自分の心臓がある。
しかし、ハンターは突如横合いから凄まじい衝撃を感じ、二度三度転がって壁に叩きつけられる。
「惜しいわね。ここは私の間合いよ」
ミリアは横合いからの上段蹴りを放ったままの体勢でそう言った。
どうやら、絶妙のタイミングで放たれたミリアの上段蹴りによるカウンターが炸裂したようだ。
高く掲げた脚を元に戻し、呻いているハンターの顔に銃弾を一発撃ち込む。
「貴方も逝ってらっしゃい」
今度は先程空中で撃ち落としたハンターに向き直り、銃弾を撃ち込む。
そのハンターは腹に3発の銃弾を受けて呻いていたようだが、額に撃ち込まれた一発で動かなくなった。
「さて、これで御終いね。さっさと下に行きましょう?」
そう言いながら胸元が大きく裂かれたドレスをナイフガンで引き千切る。裂けた布がひらひらとしていて鬱陶しいからだ。
これで上半身は裸も同然。
今のミリアはスリットの入ったスカートを穿き、アームロング、オーバーニーソックスを身につけているに過ぎない。
飾り気の無い白いスポーツタイプのブラで豊かな白い乳房を覆っているので、多少激しい動きをしても揺れる事は無いだろう。
別に自分は露出狂ではないが、この状況下で服装などどうでも良いことに違いない。
しかし、このまま下着姿になった方が余計に動き易いかもしれない、という考えがふと頭を過ぎる。
(って、流石にそれじゃ本当にに露出狂じゃない…恥じらいも何も無いわね)
内心で突っ込みを入れつつ、集団の先頭に立って先を進む。
名前:ミリア・ウォルスクラ・伊勢崎
年齢:24歳
性別:女
服装:白いチャイナドレス(スカート部分のみ)、アームロング、オーバーニーソックス
持ち物:ショルダーバック[催涙ガス・ペン、ライター(起爆装置)、煙草(C4爆薬)、ソーイングセット、睡眠ハンカチ、
手帳、財布、化粧ポーチ(超小型カードリーダー、鍵開けキット)、光ディスク]
腕時計(各種計測機器内蔵)、ピアス型通信機、ネックレス(ワイヤーカッター)
装備:レッグホルスター[357SIGカートリッジ仕様P226(9発)+LAM&サイレンサー、ナイフガン(22口径、5発)]
マグポーチ[357SIGカートリッジ20連弾倉×4]
現在地:階段を移動中
状況:先頭に立って階段を下りる。
>262
ゆっくりと立ち上がり、レッグホルスターごとUSSOCOM Mk23を下に置く。
G3A4はバイポッドを展開したままのT-76の横に置いたままだ。
赤坂のMk46も畳の上に置いたままであり、彼もレッグホルスターごとUSSOCOM Mk23を置く。
銃剣も抜いて男の目の前の畳に突き刺す。赤坂も彼に倣う。
「これで武器は全てだ…」
銃剣を突き刺したところでじりじりと後に下がり、手を挙げる。
「所属ね…所属も何も、俺とこいつはただの自衛官。国家公務員だ。それ以外に何と言えば良い?」
「俺達は安い給料分の仕事をしているに過ぎねぇよ」
二人揃って減らず口を叩く。
「それと姓名についてだがな、名前を訊ねる時は自分から名乗るべきじゃないのか?」
「マナーがなってねぇなぁ…」
「それと目的についてだがな、それも言える訳が無いだろう?…俺達の立場になって考えてくれないか?」
「自分が嫌なことは他の人にもするなって言われなかったのか?…躾がなってねぇよ、躾がよぉ」
手を挙げたままの二人は、目の前の男の問いに答えるどころか、完全に舐め切っている。
「まぁ、目的は其方の想像に任せるよ…多分、大体合っていると思うしな」
そう言いつつも、赤坂のフェイスガード下の目は隙を窺っている。
しかし、残念な事に目の前の男には隙が全く無い。
「じゃあ、逆に聞き返すが、あんたは一体何故あの二人に関わる?…あんたがそれに答えるかどうかで、
この村から脱出出来るかどうかも変るが……答えるも答えないも自由だ。ま、気が向いたらでいい」
名前:雑賀靖一郎
年齢:23歳
性別:男
装備:戦闘服(空自仕様)、88式鉄帽、NBG、新型ボディアーマー、ニー・エルボパッド、レッグホルスター/ポーチ、 ABAフェイスガード、
所持品:新型ボディアーマー「前面パネル:マガジンポーチ(30連弾倉×10、12連弾倉×4)、アッパーポーチ(.338LapuaMag×73)
背面パネル:無線機、グレネードラック(閃光×2)、ユーティリティーポーチ(双眼鏡、レーザー側距儀、ライター、ナイロンハンドカフ×29)」、
弾帯「水筒、バットパック(地図、コンパス、ライト、30連弾倉×1、12連弾倉×2、ファーストエイドキット)」、
レッグポーチ「.338LapuaMag×20、12ゲージショットシェル×25、レザーマンツール」、
現在地/状況:民家二階/小川の尋問をのらりくらりとやり過ごす。
足を駆られ、浮いた身体に蹴りを叩き込まれる、鈍痛が腹部を襲うが・・・問題ない。
それよりも、昂揚感の方が上だった。ゾクゾクと背筋を駆け上がる、この感覚!素晴らしい!
ドクドクと流れ出ていた血液も今は止まり、傷も塞がりつつある。
>「Domine, in unione illius divinae intentionis, qua ipse in terris laudes Deo persolvisti, has tibi Horas persolvo」
ガスマスクの男が何かを呟いているが、その意味はわからない。
わからないが、俺にはどうでもいいことだ、コイツは良い、とてもとても良い。
小川やシノザキに匹敵する人間なのか、まだわからない。しかし、戦闘能力だけで言えば、彼らを超えていることは確かだ。
いいぞいいぞいいぞいいぞいいぞいいぞいいぞいいぞ、彷徨い続けたかいがあった。
>「… Beata viscera Mariae Virginis, quae portaverunt aeterni Patris Filium.」
チャキリ、と金属の音を立たせガスマスクの男が銃剣を構える。
俺はテーブルに向かって歩き、自分のベレッタを手に取り、そして、それを見せるように掲げ、遠くに向かって放り投げた。
カラカラと乾いた音を立てて、ベレッタが床を滑る。
(こうだろ?こういうのがしたいんだろ?)
口を笑みの形に歪め、ギチギチと鱗を擦れ合わせ音を立てている爪を構え、右手で軽く挑発する仕草をする。
(でもまあ、時間があまりないんでね。短期決戦と行こう)
所持品:ベレッタM92F(残弾5)
現在地:サナトリウム食堂
状況:上半身裸 喉と左胸に刺し傷(回復中) 格闘戦を承諾。
>265
松田の出血に気付いて、オロオロと駆け寄る。
良く見ると顔色も相当悪い。なんでもない振りしてるけど、かなり酷そうだ。
「な、何やってるの怪我なんかして!で、…だ、大丈夫なの?」
「……そう簡単に死にゃしませんよ。頼むから揺さぶらないでください。」
慌てて腕に掛けていた手を離すと、くしゃくしゃと頭を撫でられた。……また子ども扱いなのね。
「まあ、凄腕の連れが2人も増えた事ですし、役立たず達は高見の見物と洒落込みましょうか」
ちょっと『達』って何?、『達』って!!!
>「では、次の階辺りで手当てと休憩を兼ねましょうか。
>桃華ちゃんのようにこういう修羅場に慣れていない人は、神経を磨り減らせてしまうしね…」
「はい、すみませんが宜しくお願いします」
ぺこりと頭を下げた。
………でもまあ、当たってるかも。松田はともかく、あたしはやっぱり役立たずよね。
現にこうしてお姉様に気を使わせてるし、ゾンビを倒せるような武器だって持ってないもの。
昔誘拐されかけて以来、習い始めた護身術だって化け物相手じゃ意味ないっぽいし。
………いやだ、ちょっと落ち込んできたかも。
>253
なんて落ち込んでいる場合じゃなかった。
さっきの赤いのがまたやって来た。今度は3匹も!!
でも今回はあたしは叫ばなかったわ。なにせ心強い味方も増えたしね。
何も出来ないから、せめてお姉様達の動きや敵をじっくり観察する事にしたの。
今はダメでも、いつか何かの役に立つかもしれないしね。……それまで生きていればの話だけど。
お姉様と川崎さんの戦い振りは見事なもので、まるで化け物を交えた舞踏みたいだった。
どう訓練したらこんな風になれるのかしらね?
あ、でも服が破れてる…って!お姉様?!何を………。
>「さて、これで御終いね。さっさと下に行きましょう?」
「きゃあああぁぁぁああ?!」
思わず悲鳴をあげてしまった。ああ、さっきは我慢したのに。で、でも!
「何をなさってるんですか!化け物にサービスしたって全然意味がありませんわ!!」
やだ、びっくりしすぎて自分でも何言ってるのかわからなくなったわ。
慌てて肩のショールを外して、問答無用でお姉さまの上半身に巻きつける。
なんとなーく恨みがましい視線を感じるけれど、知った事じゃありませんわ。
長さが足りなくてビスチェ風になったけれど、動きの妨げにはならない筈だし、無いよりはマシよね?
「何か文句でも?第一、お姉様に見とれて遅れを取ってたら、末代までの笑いものですわよ!」
びしい!と男性陣に向かって指を突きつける。
松田は失笑してるけど、川崎さんの表情は分からない。肩が震えてるみたいだけど、笑ってるのかしら?
ま、残念にくらい思ったかもしれないけど…い、怒りのあまり震えてるわけじゃないわよね?
はっとお姉様と目が合った。も、もしかして余計な事しちゃったかなー?
「つ、次行ってみましょうか〜」
ギクシャクと歩いて松田の傍へと戻った。
>266
武装解除された二人組が減らず口を叩くのをニコニコ笑って眺める。
「拷問を受ける時には何処までも卑屈になるんだ。そうすれば相手も同情するし
何よりも自尊心をくすぐる事が出来るんだ。それがチャンスなんだよ。」
それにしても、この二人の装備の素晴らしい事!
アメリカの特殊作戦統合軍だかなんだかが使うMk23ピストルを始めとして、対B.O.W戦で
効果を発揮する308口径のバトルライフル、とてつもなくデカいスナイパーライフルときた。
スナイパーライフルで使用する弾薬が338ラプアであればいい。
もっともMk23ピストルは現場での評判は今一らしいが。
>「じゃあ、逆に聞き返すが、あんたは一体何故あの二人に関わる?…あんたがそれに
答えるかどうかで、 この村から脱出出来るかどうかも変るが……
答えるも答えないも自由だ。ま、気が向いたらでいい」
「ああ、そうだね。まずは後ろから撃った事を謝罪しよう。私は非常に感じやすいタイプでね。
相手の目を見たら撃てなくなってしまうんだ。
ま、冗談だがね。躾に関してだが、戦場では卑劣な方が大抵生き残る。覚えておくと良い。
人間はどこまでも卑劣になれるし教育にも限界はある。だけど、私は丸腰の女性に
銃を突きつける行為をした事は無いな。人間には超えては行けない一線があるんだよ。」
ため息を吐くと部屋に備え付けられた電話を手に取る。
携帯の番号を黒電話で掛けるのは始めてだ。繋がるのかどうかも怪しい気がする。
「もしもし?鈴木だ。スナイパーは押さえたよ。安全だと思うから目的地に向かってくれ。
ワクチンが出来れば状況も変わるだろうし・・・」
研究員の一人に短く告げると電話を切った。
「聞いての通り私は鈴木だ。名前は他にも色々あるがこちらの方が通りが良くてね。
勤め先から酷いリストラに合ったばかりさ。ああ、それと私が関わる理由が残っていたかな?」
マスク越しに見つめる瞳に茶目っ気たっぷりにウィンクしてみせた。
「用があるのは看護婦の方だけだよ。彼女をこの状況から助けなければならない。
出来れば国家や企業からもね。非常に個人的な理由だよ。利益は全く無い。」
いや、失うものの方が遥かに多い。
そう考えると再びため息を吐く。
「ところで君、そう君だよ。以前何処かで会わなかったか?君の声には聞き覚えがあるんだが。」
狙撃手の方を顎で指す。
3週間前に一度会ったはずだ。あの地獄のようなデパートの屋上で。
所持品:FN−FALパラモデル(20)、シグP226(15)、15連マガジン×1
煙草、ライター、手榴弾
服装:ワイシャツにネクタイ姿、軍用ブーツ 手を離せば爆発する手榴弾
現在地:民家・2階
状況:雑賀らに手榴弾と拳銃を突きつけながら会話中。
>266,269
ゾンビが何体か民家の中に入ってきた。
>269
>「ところで君、そう君だよ。以前何処かで会わなかったか?君の声には聞き覚えがあるんだが。」
「ああそういえば…会っているな。今、思い出したよ」
雑賀は88式鉄帽とABAフェイスガード、バラクラバを脱ぎ、素顔を顕にする。
「珍しいだろ?青い瞳を持つ自衛官というのは…そういうあんたこそ、あの時は所属不明の部隊と一緒だったな」
恐らく、あの部隊が謀反を起こした例の部隊なのだろう。
しかし、イマイチこの目の前の男との接点が分からない。
「仕方が無い。アンタは名乗った。ならば此方も名乗らせて貰おうじゃないか…」
バラクラバ、ABAフェイスガード、88式鉄帽を被り直しながら、雑賀が口を開く。
「俺の名前は雑賀誠一郎一等陸尉、隣は赤坂圭吾一等陸尉だ。所属は極秘裏に編成された特殊作戦群。
マニアの間で噂になっている、陸自初の本格的な特殊部隊だ。まあ、税金の無駄とか色々と言われているがね。
特殊作戦群は元はデルタフォースやSEALsを手本に編成された対テロ・ゲリラ部隊だが、三週間前の事件でちょっと変った。
運用思想に対B.O.W戦闘も考慮されてね。殺傷能力の高い重火器が加わり始めたよ…御蔭で糞重い銃を振り回さなくちゃいけない」
雑賀が使用しているG3A4は緊急措置として、H&K社から二週間前に輸入したものだ。
反動の強い.308口径やラプアマグナムに慣れる為に、射撃レンジで何千発と撃ち込みをやらされた。御蔭で肩に青痣が出来ている。
「それとアンタがあの看護婦に関わる理由が、もし、真実だとしたら、非常に男らしいな。感動するよ。
そしてこれは俺の頼みだが…出来ればそのまま撃たないで貰いたいな。俺は来年の夏頃には父親になる男なんでね。
奥さんの出産費用や子供の養育費、その他諸々の費用を稼がなくちゃいけないし、子供の名前も考えなくちゃいけない。
俺が此処で死んだら、後に残されるのは身重の奥さんだけなんだ」
別に情けを掛けてくれ、という訳ではない。
「…まあ、俺の身の上話はどうでもいいとして、さっきワクチンがどうのこうのと言っていたな?
もし、それが本当だとしたら、此方で脱出の手筈を整えてやることも出来る。勿論、看護婦とあの婦人には手を出さない。
信じてくれとは言わないが、早い所回答を出した方が良い。なんせ…」
>270
開いたままとなっていた部屋の扉から、不意に一体のゾンビが鈴木という男に襲いかかろうとしていた。
「この村は死者で溢れ返っている。早くしないと、陸自と空自の砲爆撃が始まる」
が、そのままゾンビは襲いかかる事無く、その場で崩れ落ちていた。
既にゾンビの額には、雑賀が咄嗟にレッグポーチのホルダーから取り出していたレザーマンツールが突き刺さっていた。
「更に言うが、陸路も完全に封鎖されている。村を出入することは叶わん。
周辺の森にも二重三重の地雷原が構築され、森を抜けた所にはキルゾーンが設けられている。
おまけにAH-1S、AH-64Dも飛んでいる。仮にそれらの攻撃ヘリの目を掻い潜れたとしても、ガンポッドとロケットポッド搭載型
OH-1が、自慢の索敵サイトで周辺全域をカバーしている。逃げるのは不可能に近い」
取り敢えず、相手が此方の言葉を信じるかどうかは分からない。
だが、此処はもう流れに身を任せるしかない。
名前:雑賀靖一郎
年齢:23歳
性別:男
装備:戦闘服(空自仕様)、88式鉄帽、NBG、新型ボディアーマー、ニー・エルボパッド、レッグホルスター/ポーチ、 ABAフェイスガード、
所持品:新型ボディアーマー「前面パネル:マガジンポーチ(30連弾倉×10、12連弾倉×4)、アッパーポーチ(.338LapuaMag×73)
背面パネル:無線機、グレネードラック(閃光×2)、ユーティリティーポーチ(双眼鏡、レーザー側距儀、ライター、ナイロンハンドカフ×29)」、
弾帯「水筒、バットパック(地図、コンパス、ライト、30連弾倉×1、12連弾倉×2、ファーストエイドキット)」、
レッグポーチ「.338LapuaMag×20、12ゲージショットシェル×25、」
現在地/状況:民家二階/小川に一通りの事を教える。
>>270に続いて村中至る所からゾンビが姿を現す。
いつしかそれはゾンビの行列となり民家に押し寄せる…
かなりの大群だ。
>272
辺りの民家からも次々とゾンビが湧いてくる。
もはや逃げ場はどこにもない!!
…しかし
コテに対しての決定リールは許されない。
彼らを傷つけてはならない。
彼らの動きを封じてはならない。
彼らの行く手を塞いではならない。
ゾンビたちは成す術もなく民家を見上げていた…
>246
>「え?あ、名前ですか。赤木慎作ですよ。はい、よろしく。」
軽く私も自己紹介する。だがアンプルに関しての返答は、あまり期待できそうに無い。
>「アンプル…ッスか?話だけなら聞いてますけど、詳しくは・・・」
予想通りの答えに、落胆しなかったといえば嘘になる。
でも彼は、私たちのことに関しても何も知らされていないようだ。
研究所で、別の―あるいは上司の―人間に聞けば、何か情報が得られるかも……。
其処まで考えたとき、鋭い何かの音と共に突然自転車から放り出された。
>235
突然視界が反転したかと思うと、次に目を開けたときにはアスファルトの上だった。
どこからか狙撃されたのだと頭で理解するまで、暫く時間が必要だった。
あちこち痛むものの、幸い身動きが取れないような怪我はしていない。
「山田さん、赤木さん。大丈夫ですか?」
倒れたまま、目だけ動かして二人の様子を伺う。私の声に、山田さんがこっそり手を振り返してきた。
てっきり彼女が撃たれたのだとばかり思っていた私は、とりあえず元気そうな彼女にほっとする。赤木さんも無事のようだ。
さらに視線をめぐらせると自転車が見えた。どちらも車輪だけが目茶目茶に壊されている。
――――雑賀さんだと直感で思った。
3週間前、あの揺れるヘリから追跡者を狙い撃ちしていた彼なら、このくらい何でもない。
だが、すぐにその考えを否定した。そう、そんな筈は無いのだ。彼らは今、サナトリウムの地下にいる筈なのだから。
それに雑賀さんなら、わざわざ自転車など狙う必要も無い。
「もしかしたら、自衛隊以外の組織も村に入っているのかもしれないわね……」
だとしたら、面倒なことになったと思う。村中に溢れている感染体だけでも頭が痛いというのに。
「山田さん、赤木さん、こっちへ早く!」
今すぐ危害を加えるつもりは無さそうだが、狙撃手の気が何時また変わるとも限らない。
身を隠すため道路脇の用水路へ滑り込む。大人3人が並んで歩けるほどの幅だが、今は農閑期のため水は無い。
狙い撃ちされずに移動するにはもってこいだった。
>269
突然赤木さんのケータイが鳴り出した。確かあれは、鈴木さんからの預かり物だったはずだ。
戸惑いながらも彼は電話に出た。何かしら。いい知らせだと嬉しいのだけれど。
所持品: 黒いワンピース、黒革靴、写真、風呂敷包み(着物、小物一式)モップの柄
現在地/状況:研究所付近用水路/ 狙撃手から身を隠す
>271
>「それとアンタがあの看護婦に関わる理由が、もし、真実だとしたら、非常に男らしいな。感動するよ。
そしてこれは俺の頼みだが…出来ればそのまま撃たないで貰いたいな。俺は来年の夏頃には父親になる男なんでね。
奥さんの出産費用や子供の養育費、その他諸々の費用を稼がなくちゃいけないし、子供の名前も考えなくちゃいけない。
俺が此処で死んだら、後に残されるのは身重の奥さんだけなんだ」
「戦争映画で真っ先に死ぬ人間の台詞だな。」
青い目をした自衛官に苦笑しながら手榴弾の安全ピンを押し込み、ピンの先を曲げた。
目の前の自衛官の方がよっぽど男らしく、人間的だ。
子供を育て、家庭を維持する事ほど男らしい事は無い。
もちろん、妻の助けも必要だが。
だが、俺は年上であるにも関わらず人間狩りという遊びに興じ、それ以外に楽しみらしい楽しみも無い。
同じ殺人を生業とする人間でも、軍人と殺し屋では世間の評価は大きく違う。
種の維持と固体の維持。
俺は結局、後者を選ばざるを得なかった。はみ出し者として世間に背を向けた。
遺伝子の欠落だろうが異常だろうが、生きて行かざるを得ない。
だからこそ彼女に固執するのだろうか?
同じように人間でなくなった彼女に。
そう、約束だけではない。
それ以外の何かが、まともにしてくれるかもしれないという感情があるのではないか。
女に救われるという下らない幻想を抱くのは捨てたんだろう?と自分に言い聞かせた。
>272
思考を中断させたのはゾンビの呻き声だった。
30口径に撃ち慣れるための訓練よりも、この村の包囲網の方が気になった。
布陣は完璧、脱出ルートを探すのも時間が掛かる。
「ワクチンの事はよく解らない。ただ、この状況で必要なのは事実だろうね。武器を取ってくれ。
それと、頼みが一つ。左手が変異した感染者がいる。そいつには手を出さないで欲しい。」
その言葉は内臓が飛び出すほどのパンチで遮られた。
なんとかシグの引き金を引くが、当たったのはスナイパーライフルのみ。
もう一度引き金を引こうとするより早く、もっと強烈な一撃が叩き込まれる。
丸くなり、両手で頭を庇うが、続けて2発背中に食らった。
「ちゃんと・・・学習・・・したみたいだな・・・」
すっかり油断しきっていた。
立場が違えば同じ事をしただろう。
げぇげぇと吐きながらうめくが、両手を背中の後ろに、両足を拘束され身動きが全く取れなくなった。
シグからマガジンと初弾が抜かれるのをなす術も無く見守るしかなかった。
二人分の足音が遠ざかり、続いて銃声。階下のゾンビを全て殺してくれれば良いのにと思う。
両手を後ろで縛られての弾込めがどれだけ大変か知っている人間は、非常に少ない。
まずは拳銃を拾う。これはまだ良い。
マガジンを装填する事、これが一苦労だ。隣の部屋に逃げ込んだ俺は、縛られた両手ではマガジンが装填できない事に気が付く。
そこで一計を案じマガジンを床に立て、上から拳銃に被せる形で装填しようとした。
アイディア自体は悪くないが、状況が状況だ。
(・・・くそ、早くしろ!落ち着いて・・・また倒れた!ゆっくりだ・・・ゆっくり・・・畜生!)
3,4回立て直すうちにゾンビが這いずってくる。
その度に顔を蹴り飛ばし、距離を取る。
もう後は無い。連中が外のゾンビを全部殺してくれた事を信じて窓から飛び降りる手段もあるが
骨折したらどうしようもないし、プロだったら弾の消費を最大限に抑えるはずだ。
5度目の挑戦で何とかマガジンを装填し終える。続いてスライドを握り、グリップを床に押し付けて初弾を装填した。
後ろ手に縛られた時は床をフルに使うのがコツだ。覚えておくといい。
それと全体に油断しない事。
銃を持った途端、気力が沸いてきた。
そしてなんとか理想的な射撃フォームも解った。
俺は腰を45度に曲げ、目の前の鏡に写った、吐き出したそれで汚した自分の顔を見て苦笑する。
シグに取り付けられたLAMのレーザー照準機だけを作動させ、手を上下左右に振る。
鏡越しに照準が合った事が解り、引き金を引いた。
通常とは違う構えの為に、肘が曲がってはいけない方に捻り上げられる。
なんとか一体に止めを刺すが、ぞろぞろと階段を上る音が聞こえてきた。
「クソッたれめ・・・」
俺は短くうめくと続けて引き金を引いた。
取り合えず、全弾撃ち切ったら加熱したバレルでナイロンカフを焼き切るとしよう。
・・・それまで命があれば、だが。
所持品:シグP226(13)、15連マガジン×1 、煙草、ライター
服装:ワイシャツにネクタイ姿、軍用ブーツ 手を離せば爆発する手榴弾
現在地:民家・2階
状況:間抜けな格好で射撃中。
>261
先生は伸ばされた舌を掴み、易々と包丁女を引き寄せる。
>「よ〜っし、オッサン離れやあああ!!!」
咆哮を上げる先生は俺が飛び退くと同時に一気に引き寄せた女の顔面へ拳を叩き込み、
流れるような動作で女を肩口に抱え上げた。そのまま階段下へ向けてデスバレーボムを敢行する。
鈍い音が響いて、女は床の上で一輪の花と化した。
(下品な言動がどうのこうの言っといて幼児への情操面への影響は無視かい、先生…)
もっともそんなことを気にしていては生き延びることは出来ないのだろうが。
(つーか耐火ドアこじ開けられるんじゃねぇか?)
階段を登って、跳ね飛ばされた包丁を拾い上げる先生を見ながらそんなことを考えていると、先生が一同に声をかけた。
>「あ〜・・・・・・ほな、いこか〜。みんな〜。ウチとオッサンが前後を固めるさかい、一列になってや」
「俺が殿だな。……ホラー映画だと真っ先に死ぬポジションだね」
まぁ、いざとなればすてがまりの一つも決めて見せるつもりではあるが。
現在地:スペンサービル10階〜9階階段
状況:下へ
>79
一体のグリーンゾンビが、楠木が振り回すテーブルに手をかけた。
その隣にいたゾンビ一体がじりじりとにじり寄って来る。
ホールで逃げ回るのは、もう限界のようだ。
>278
ナンテコッタ、社会人一年生の俺がこんな騒動に巻きこまれるなんて…
真面目に勉強していい大学を出て、大企業に入社したんだからもう安心と思ってたのに…
ホールはもはや地獄のような有様だ。
頭に花を咲かせた人に噛み付かれる招待客や銃を撃ちまくる招待客…
そして流れ弾に当たって倒れる招待客…
ああ、もうムチャクチャだ、一体俺はどうすればいいんだ?
おや?あそこにいるのはバイトの楠木君じゃないか。
机を振り回して懸命にゾンビたちと戦っている。
しかしそれももう限界だろう、ジリジリとゾンビ達に取り囲まれつつある。
どうしよう、助けるべきか…
いや無理だ。
スマン、バイトの楠木君。
運良く扉の近くにいた俺は、一目散にホールから逃げ出した。
現在地:50階廊下
状況:バイト君を見捨てて自分だけ逃げる。
>164
さて、次はどの子を・・・・・・・ええっ!?
たたた、タイラントの生体反応が消えている。そんな馬鹿な!
奴の心臓に埋め込んだ自爆装置から送られてくる信号が途絶えたということは、文字通りの心停止状態だ。
装置は外気に触れただけで爆発する仕組みになっているから、切り離すことはまず不可能。
・・・・・ということは、やっぱりやられたのか。
なんて早い退場なんだ。外のクズ共の中に、そんなハンク級のソルジャーがいるのか?
>172
僕が次の自信作を開放しようとした時に、その声は聞こえてきた。
部屋の外からだ。だんだんと近づいてくる。
怯えきった少女の、助けを呼ぶ声だ。それも、とろけそうなほどに可愛い。
「このフロアにまだ生き残りが・・・・ホールから逃げてきたのか? くそっもう少し下準備の時間があれば、カメラを
仕掛けておけたのに!」
顔が、顔が見たい! あのパーティー会場にいた美少女全員の顔を、僕の天才的な頭脳はしっかりと記憶している。
この声が当てはまる娘も、僅かながらいる!
あの娘か? あの子か? それともあの・・・・・ええい、もどかしい!
入り口のドアに突進し、強化ガラス張りの覗き窓で通路の様子を見る。
・・・・・生き物の姿はない。ドアの鍵を外す。
声は部屋のすぐ外だ。すぐに戻ればいいだけの話しさ。
僕はカプセルシューターを構えて、ゆっくりとドアを開けた。
美少女は、僕の頭脳の次にかけがえのない地球の財産だ。
一刻も早く、保護しなければ・・・・長い間、部屋に一人で篭りっきりというのも体に悪いしね。
所持品:携帯電話、ポケットサイズの端末、ワクチンケース(改良型デイライトx6、抗ウイルス剤x12)、カプセルシューター(抗ウイルス剤x12)
現在地・状況:スペンサービリ45階クリッペンルーム、>172の声に誘われてドアを慎重に開ける。
状態:健康、緊張状態、やや興奮気味
>280
「開けてくれてありがとう。お、じ、さ、ま」
ドアを開けて、隙間から上体を通路に表したクリッペンの鼻先に、グリムローズの花のような笑顔が唐突に出現する。
逆さまに、である。
見れば、彼女のスカートの中から、何本かの緑の蔦が伸びて天井にしっかりと根を張っていた。
覗き窓から姿が見えるはずがない。彼女はずっとそこでぶら下がっていたのだから。
短い悲鳴を洩らし、咄嗟にドアを閉めようとするクリッペン。
それよりも僅かに早く、グリムローズがドアに手をかけて押さえつける。
「クリッペン様は、本当に未熟なレディにはお優しいのですねえ。私の正体など、とても見せられたものではありませんわ」
左手に扇を持ったまま、右手一本でジリジリと隙間を広げていく。見た目からは想像もできない腕力である。
「ああ、そうでしたわ。このままの声では、はしたないですわね」
言葉の途中で、喉の奥がゴリゴリと鳴り、元の落ち着いた女性のそれに戻る。
「さ、主の庭園を荒らす困った虫には、ここで儚くなっていただきましょうか?」
彼女の緑の双眸が、無邪気に怪しく煌いた。
現在地・状況:スペンサービル45階、クリッペンルーム前、部屋のドアに手をかけ>280とせめぎ合う。
状態:健康、逆さま
282 :
516:2005/08/29(月) 00:14:00
スペンサービル状況
55F建て、地下+地下鉄有。
50Fの出入り口は南側にある合計8基のエレベーターと北側の階段、業務用のエレベーターのみ。
北側階段と業務用エレベーターは主に関係者が使用しており、非常口でもある(本スレ>39、ミリア談)。
おそらく下の階もこれに準ずると思われる。
ただし、テナントも入っているため、下の階では、これ以外のエレベーター等の設備は充実してると思われる。
地下の配電盤を動かさない限りエレベーター&電源回復は望めないと思われる。
業務用エレベーターは墜落。使用不可。
ビルは防火シャッター等で完全に封鎖。無線、携帯の類いも使用不能。
第3部開始時間は「正午より開始された特殊災害共同救助会議終了後パーティ云々」……と本文にあるので、おそらく夕方。
九武村とほぼ同じと思われる。
反デュラン派突入チーム内訳
(装備)
難燃性素材のツナギにボディアーマー、MP5/10サブマシンガンとシグ229、ガスマスク、暗視鏡
但しロックが掛かっているため、本人以外が使える武器はシグ229のみ。
(目的)
レッドチームは50階のパーティー会場に突入、デュラン暗殺済。(生存者はマクナブ、川崎のみ)
ブルーチームは、直通エレベーターで20F警備室を占拠。(5名生存)
イエローチームは地下鉄構内にハンターの亜種と坂口を配置。(5名生存)
九武村スペンサービルの屋上―
そこに一機のヘリコプターが着陸し、一人の男が降り立った…
彼の名前は霜村良夫。人は彼をこう呼ぶ
―忘却の囚人―と。
刑務所での地獄を必死の思いで生き延びた彼は、ヘリに乗って岩城市から脱出した。
ヘリは自動操縦で空を飛び、彼を安全な場所まで送り届けてくれるはずだった…が…
…しかし、その先で彼を待っていたのは安全な人間の世界などではなく、
またもや新たな戦場であった…
名前:霜村良夫
年齢:28歳 性別:男
装備:拳銃、5発装填予備7発 囚人服
現在地:スペンサービル屋上ヘリポート
>267
男は此方の意思を察してくれたようだ。彼はべレッタを投げ捨てる。
それを見計らい、咄嗟に傍にあった椅子の脚を蹴って宙に浮かせると、
サッカーのシュートよろしく、それを蹴りつけて男に向って飛ばす。
男は当然、それを自慢の爪で切り裂くか避けるか、取り敢えず何かしらの動作を行う筈だ。
相手は相当の手練だ。その動作すらも刹那の時間で済ますだろう。
だが、此方の技量も舐めて貰っては困る。
その僅かな、刹那の時を生き続けてきたのだ。まさに瞬間の人生。
男に向かって飛ぶ椅子と重なる様にして間合いを詰め、右手の銃剣で椅子ごと両断する振り下ろしを、
そしてコンマ数秒遅れて左手の銃剣を逆手に構え水平の薙ぎ払いを繰り出す。
左手の薙ぎ払いは右手の振り下ろしを回避された場合の保険だ。
相手から見れば、此方が繰り出した両断と薙ぎ払いが組み合わさって十字架の様な斬撃に見えるだろう。
名前:イスカリオテ
年齢:26歳
性別:男
服装:戦闘服、アサルトベスト、ガスマスク、ヘルメット 、ニー・エルボパッド、
所持品:FN FIVE-SEVEN(21発)、5.7×28mmマガジン×4、バヨネット×2、無線機
現在地/状況:サナトリウム食堂/椅子をjudasに向って蹴りつけ、接近して十字架斬りを繰り出す。
>276
「ああぁうぉおう……」
一体のゾンビが小川の上に倒れこんだ!
相手は狙撃力に長けた、いわばプロの殺し屋だ。
実際に何者なのかまでは断定できないが
仮に国家の平和を掲げた軍人だろうと、本質に目を向けてみれば、
行為自体は殺し屋のそれと何ら変わりは無い。
冷え切った血と心を持ち、生きとし生ける者全てを憎み
ただ冷徹に与えられた任務、即ち殺戮を繰り返すだけの機械。
今、俺達に照準は合わせているのは、恐らくそんな人間だ。
最早人間とすら呼称出来ないまでに心をどす黒く塗り潰され、汚し尽くされた哀れな者だ。
だがそんな奴等に目を付けられてしまった俺もまた、ひたすら哀れではあるが。
あ〜〜〜・・・
っつか冷静に考え進めるのもイイけどよ。それじゃ人間味が無い気がするぜ。
とりあえず今は死んだフリしてる状態だけど、いつまで待つのこれ?っつか?あ?
もしかして本当に死んでるとか思ってどっか行っちゃってくれたりした?もしそなら超ラッキーなんですけど。
でもよ、普通は本当に死んでるかどうか確認とかしね?いや普通。
足を撃ち抜いたりして確認しね?普通に。っつーかするっしょ?普通するっしょ?
もし足とか撃たれたら有り得ない。もうヤバイょ?どのくらいヤバイかっていうとマジヤバイ。
じゃあ立ち上がって逃げるか?っていうとそれも危ねーから無理。
そういう時はコソーリ外の動きを覗いて判断するもんだけど、うつ伏せに倒れてるから、それも無理。
だって相手プロじゃん?首とかちょっとよ?ほんのちょっと?だけでも?
いやヤバイって!ちっと動いただけでもホントマジヤバイってマジ撃つから!!><
>「山田さん、赤木さん、こっちへ早く!」
>274
って、あ!ちょ、叫んじゃ駄目でしょ!バレるでしょ!殺されるよ?^^;
素早い身のこなしで用水路に滑り込む桂木さん。ヤバイ。
凄 す ぎ る 。
ってか桂木さんの声に反応して起き上がっちゃったので、もう逃げるしかねぇ。
超音速ダッシュで俺も用水路に滑り込んでいくぜ。
ズザーッと中へ入っていくぜぇ〜。
着地し終え、肩で息をする俺とは対照的に、先に身を潜めてた二人は余裕綽々の表情だ。
こりゃ俺の立場が無いが…もしかして二人共、本当に超人なのか?
「・・・あっ!」
とりあえず山田さんに声を掛けようと思ったら携帯鳴り出しやがるヤバイ。
音とか聞こえて居場所がバレて撃たれるからヤバイ。マジヤバイ。空気読め携帯ヤバイ。
電話を黙らせる為にも、一応出ておく俺ヤバイ。
>269
「もしもし?鈴木だ。スナイパーは押さえたよ。安全だと思うから目的地に向かってくれ。
ワクチンが出来れば状況も変わるだろうし・・・」
鈴木って誰だ?とは思ったが声の感じからして例のスーツ姿の男だろう。ヤバ…
いや、ヤバイ状況からは脱したみたいだぜ!これで堂々と正面から研究所に戻れるってか!
「す、す、スナイパーは取り押さえたっぽいスよ、急ぎましょう」
お二人さんに声を掛けると、俺は用水路から地上へと這い上がった。
名前:赤木慎作
年齢:32
性別:男
所持品:ボールペン、古びた新聞の切れ端(>199)、蜂の毒、自転車
服装:ちょっとだけアレが掛かった白衣
現在地・研究所付近
状態: 研究所に向かって走る
>284
ガスマスクの男は椅子を投げる。目暗ましのつもりか?
俺は左手でその椅子を両断しようと自らも椅子に向かって突き進む、それが失敗だった。
男の姿は元の位置にはいない、当然だ。普通はいるはず無い。俺の視界から消えるはずだ。
でも、男はいる、元の位置ではなく、その椅子の直ぐ真後ろで銀色に輝く刃を振り上げていた。
どうする?爪で弾くか?いや、それでは駄目だ。俺の身体はもう動いてしまっている。
止まって左腕で防御体制?いや時間が掛かり過ぎる、次の瞬間には椅子ごと頭が半分だ。
椅子ごと男を刺し貫く?いやいやよろしくない、それでは爪が届く前に叩き斬られる。
このまま横に飛び回避?それが出来るものならとっくにやっている!馬鹿にしてるのか?
ならば、どうする?このままだと・・・何もせずに頭を西瓜のように割られるのがオチだ。
それはいけない、よろしくない。さすがに頭を縦断されては俺が死んでしまう、それはよくない。
まだ、小川ともシノザキとも殺り合っていない。ならばどうする?どうする?どうする?
ならば?ならば?ならば?・・・ならば・・・こういうのはどうだ?
俺は動きを止めることなく、目の前まで迫っていた椅子を右手でつかむ様に受け止めた。
急に動きを止めた椅子に男は戸惑いの様子を見せるが、その銀色の刃が止まる事はない。
刃は椅子に食い込み、切断し、そして、椅子を受け止めていた俺の右手まで切り落とした。
刃が掠め、顔に赤いラインが引かれるが、それは致命傷に至らない。真っ二つに両断するには数歩足りない。
そう、それでいい。それでOKだ!俺は口に出さずにソレだけを考え、口をますます歪める。
横から迫る薙ぎ払いは掴んで止める暇は無い、ならば?こうするまで!
薙ぎ払いは寸分違わず俺の首に吸い込まれるよう軌道を描く、止めるには、そこに邪魔を入れればいい。
左腕を瞬間的に自分の首元に移動させる、刃は左腕を切り裂くが切断には至らない。
硬い鱗を叩き割り、肉を切り裂く刃は、左腕中ほどでその動きを止めた。
左手の刃は椅子と俺の右手を斬り落とし床に突き刺さり、右手は俺の左手を切り落とすことなく止められた。さあ、どうする?
見えた、確かに見えた。男のその無表情なガスマスクの中の表情が!
鮮血の吹き出る右腕を矢弓のように引き絞る。ギリギリと腕が音を立て、そして心臓が脈打つ度に、右腕から鮮血が吹き出る。
(・・・さあ、もう一度いこうか?)
それを一切合切気にすることなく、俺は声にならない声で呟き、遠慮の無い『右』ストレートを男の腹部に叩き込んだ!
所持品:(なし)
現在地:サナトリウム食堂
状況:上半身裸 喉と左胸に刺し傷(回復中) 右手切断 左腕半切断 ガスマスクの男の腹部に右ストレートを打ち込む。
>287
完璧に殺した、と思ったのが間違いだった。
男は自らの右手を惜しげも無く差し出し、左腕も半ばまで此方の刃を食い込ませ、そして
その苦痛を楽しむかのように口元を歪に歪めている。
彼にとって、右手を失うぐらいは大した痛手にはならない。
むしろ、肉体が中途半端に傷つけば傷つくほど、彼の中のウィルスを刺激しかねない。
(…神よ)
腹部に砲弾でも直撃したかのような衝撃が走り、2m以上もある自分の長躯が紙の様にひらひらと舞い上がる。
右手の銃剣ばかりではなく、左手の銃剣も衝撃で弛緩した為に零れ落ち、床に突き刺さる。
それとほぼ同時に天井をぶち破って二階に打ち上げられる。
まるで、本当に内蔵が爆発したようだ。現に、幾つかの内臓器官は多大な損傷を受けているのだろう。
一階の天井をぶち破ってそのまま二階の天井に激突して、ようやく重力に引き戻される。
「ゲェェッ……ゴボォっ……!!!」
二階の床に叩きつけられると、一気に血塊を吐き出す。
口内や鼻の穴から溢れたそれは、マスク内で血溜まりとなり、隙間から止め処なく滴り落ちる。
「げぇ、げぇ、うごぐぼぉ!?」
自らの吐血の御蔭で溺れそうになり、首を掻き毟りながらガスマスクを脱ぐ。
「っ………!!!!」
ようやくまともに酸素を取り入れる事ができ、安堵の息をつくが、内臓器官に損傷を受けている事に変りは無い。
普通の人間ならば、このまま死に至るほどの致命傷だ。だが、自分は違う。
デュランのクロノスに及ばなくとも、自分は少なからずウィルスによって肉体を強化された、準B.O.Wだ。
クロノスほどではないが、身体能力は通常の人間と比べるべくも無い。ハンター級を素手で屠るなど、容易い事だ。
「………」
しかし、死に至らなくても暫くの間は戦闘行動は無理だ。この傷を癒さなくてはならない。
取り外したマスクを被り直し、手足を床の上に投げ出したまま大きく息を吸い込み、目を閉じる。
暫く、この場で留まって体力の回復を図ろう……彼は逃げはしない。いずれ見(まみ)えるのだから。
年齢:26歳
性別:男
服装:戦闘服、アサルトベスト、ガスマスク、ヘルメット 、ニー・エルボパッド、
所持品:FN FIVE-SEVEN(21発)、5.7×28mmマガジン×4、無線機
現在地/状況:二階物置き部屋/天井を破って二階へ。その場で体力の回復を図る。
状態:内臓器官に幾つかの損傷
>281
一瞬、何がなんだか理解に苦しんだ。
あの時、デュランの横にいたオバンの一人が、僕のすぐ目の前で逆さまに立っていたんだ。
「ひっ!」
騙された! くそクソクソクソ! オバンが若作りしてミルキーボイスなんか出すんじゃない!
というか、もう人間じゃない。コイツがデュランの虎の子のクロノスなのか?
素体となった人間の人格と知性を損なうことなく、tウイルスがもたらす驚異的な肉体変化の恩恵を受けた奴ら。
・・・・正直、この目で見ても信じられない。そういう風にtウイルス株を品種改良した科学者の頭脳ももちろんの
ことだけど、あんな劇的な変化に人間の精神が耐えられるなんて・・・・
だからこそ、僕はデュランが秘密にしている研究成果なんて、ハッタリだろうと思ってたのに・・・・
「この! この! 手を離せオバン!おばあああああああん!」
いつまで驚いてばかりもいられない。僕は不様にも顔を真っ赤にしてドアを閉めようと全身に力を込める。
ぴ・・・・・ピクリとも動かない。
なんて力だ・・・・・このオバン。
「うわあああああっくそ! 来るな来るなくるなくるなクルナクルナ!!!」
自分でも何を叫んでいるのかわからないまま、僕はドアから離れて奥の端末にすがりつく。
やってやるさ! やってやろうじゃないか! 僕のB.O.Wこそが、傘最高の水準だってことを見せてやる!
開放開放開放開放開放開放おおおおおおお!!!
火を噴きそうなスピードでコンソールを叩き、部屋中カプセルを開放させていく。
「どど、どうだオバン! 僕の可愛い女神たちが今にも目を覚ますぞ!」
ドアのすぐそばにあったカプセルが開き、もう一体だけ残っていたタイラントがゆっくりと起き上がる。
いけ! いけ! とっととそのオバンを殴りつぶせ!
現在地・状況:スペンサービル45階クリッペンルーム内、部屋中の全てのカプセルを開放状態に、タイラントがいち早く起き上がる。
状態:健康、興奮状態
人がいるのは五階まで。上階から逃げてきた人の話しの中には、グロテスクな怪物の目撃談まであった。
今のところ、この吹き抜け構造のテナントフロアにそういった事件はなく、人々も暗がりで身を寄せ合って己の不運を
嘆いている。時々、ストレスの暴発による暴力沙汰が起こる程度だ。
「不運・・・・か。何も知らない人達に、自分達の幸運がわかるはずないか」
私は暗鬱に呟き、止まっているエスカレーターを駆け下りる。
一階、玄関ホールの中央にある噴水の縁に腰掛けた女性に、私はここまでの状況を報告する。
「先生、やはりおかしいです。上階に予定にはないB.O.Wが放されています。それ以外は、あの草案通りですね。
・・・・・外は・・・・もう・・・・」
「キリカ、起こったことを悲しんでいる時ではないわ。これは、私達では止められなかった。すべてはこれからなのよ」
この品の良い老婦人の名は、キャロライン・フランセイス。私の恩師だ。
飛び級で大学に入った生意気な少女だった私を、色々と人間らしくしてくれた尊敬できる偉大な生物学者である。
先生が大学を離れ、ある企業の研究室に勤めることになった時、私は真っ先に助手に志願した。
・・・・・・・まさか、こんなことになるとは思いもしなかったけれど。
「・・・・・でも、私達には何の力もありません。持ち込んだ薬だって、役に立つかどうか・・・・」
「そう、そうね。私達は無力よ。でも無意味じゃないわ。これから起こることを未然に防いでくれる人間を、ここに招待
することができたわ」
「先生が前に仰っていた・・・・殺し屋・・・ですか?」
「ええ、一人で究極の困難を乗り越えられる人間が、世界に何人いるのかは、ちっぽけな私にはわからないけど、彼は
間違いなくその一人よ。私の知る唯一のね」
先生は、目を閉じて懐かしそうに語る。
・・・・・信頼しているのだろうか? その、何年も前にたった一度だけ顔を合わせたという殺し屋を。
「さ、行きましょうか。彼とを待たせてはいけないわ」
杖をついて立ち上がる先生の体を、私はいつもどおりに横からそっと支える。
私は・・・・絶対に、先生をこんな所で死なすわけにはいかないんだ。
半ば自棄になりながら階段を下っていたが、擦れ違う人間の数が少なくなってきた。
だが、直ぐにその原因は分かった。
「…お前さんの所為か」
>228
一階と二階の間の踊り場で彼に出会った。話に聞いていた通り、彼はどうこからどう見ても化物だ。
「Herr 坂口。無用な混乱はなるべく避けてくれ…」
と言っても無駄だろう。そもそも、彼の様におよそ人間では無い人間を、このような場所に放った時点で
このような混乱は予測出来る。既に沢山の人間が彼から逃れる為に、敢えて化物の巣の中に入って行っただろう。
其の中にあの少女の母親がいないとも限らないのに……
「で、お前さんはこれからデュラン・スペンサーをぶっ殺しに行く心算だな?
俺はお前さんを止め様とは思わんが、殺すのはなるべくデュランだけにしておけ。間違っても、その他の人間を殺すなよ」
擦れ違い様に軽く、彼の天然の外殻に覆われた左肩を叩く。
「そもそも、今回のこの作戦で何の罪も無い一般人まで巻き込まれているんだ。
出来れば、行く先々でそういう奴等に出会ったら助けてやって欲しい。特に、子供やその親をな。
それで一つ頼みがあるんだが、柴村真紀という女の子に出会ったら、なるべく守ってやってくれ」
そうとだけ彼の背中に向って言うと、早々にこの場を後にした。
名前:ブランデンブルク
年齢:27歳
性別:男
軍装:武装SS外套、40年型野戦服、35年型スチールヘルメット、トーク、マフラー、アサルトパック 、黒革手袋
持ち物:MG3(108発)、7.62mm×51NATO弾200連弾薬箱×2、HK33+照準器&LAM(20+1発×3)、5.56mm×45NATO弾20連マガジン×3
ワルサーP38(8+1発)、9mm×19弾8連マガジン×5、長銃剣、雑嚢(StiGr29柄付き手榴弾×2、43年型山岳帽)、L型ライト
現在地:一階階段踊り場
状況:坂口と出会い、頼み事をしてからその場を去る
状態:左腕負傷
>200
>「いい走りだったな。陸上でもやってたのか?」
階段からひょっこり現れたのは、先程救ってくれた男性だ。
化物ではない、ということにほっと息を吐く。
「まあ、ね…ちょっと中学の時にさ、短距離をやってたのさ」
助けられた事から来る気恥ずかしさか、ちょっと照れながら答える。
>「しかし、見目麗しいお嬢さんが処女膜がどうのと叫びながら走り回るのは、オッサンどうかと思うよ?」
「な、な、な、な、な…!?」
男性の思わぬ言葉に、暗闇でもはっきりと分かるぐらいに顔を朱に染める。
まずった。流石にあんな大声で叫んで逃げれば、やはり聞こえるものだろう。
暫く、『処女』ということを叫んで逃げ回ったことの恥かしさを噛み締めていた。
>225
男性の名はシノザキというそうだ。ジャナーナリストの端くれだとか。
彼の年齢は知らないが、見るからに猛者である女性が「オッサン」と言うぐらいだからオッサンなのだろう。
>224
ようやく恥かしさから開放され始め、落ち着きを取り戻してきた矢先にそれは訪れた。
「…はぇ?」
気が付けば、床に押し倒されて何かに馬乗りにされていた。
勿論、その何かと言うのは人間とは決して思えない、恐ろしい形相をした女性?だった。
其の手には血で染まった真っ赤な包丁が握られており、自分に付きたてようと振りかざしていた。
(し、し、死ぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅうぅんんんかぁぁぁぁぁぁぁ!?)
このままでは、自分に待っているのは絶対的な死だけだ。
何とかして逃れようとするが、恐怖で凍りついた身体は指一本動かない。
>225
しかし、薫という女性の見事なシャイニング喧嘩キックが化物の横っ面に決まり、奴を吹き飛ばしてくれた。
>「真紀、香織、自販機か長椅子盾にして隠れとき」
「はいぃぃぃ!」
情けない声を出して何とか立ち上がり、距離をあける為に急いで移動する。
言われた通りに長椅子を盾にして、背を自販機に預ける。
これならば正面からの攻撃に注意するだけだ。勿論、幾等怖いとはいえ、流石に小さい子は庇わなければ。
真紀を自分の後に隠し、そっと長椅子の隙間から様子を窺う。
>251>258>261>277
薫先生とシノザキの見事な連携で、あっと言う間に化物は倒されてしまった。
自分は終始彼等のその強さに半ば見惚れていたが、
>「あ〜・・・・・・ほな、いこか〜。みんな〜。ウチとオッサンが前後を固めるさかい、一列になってや」
薫先生の言葉ではっと我に返り、盾にしていた長椅子をその場に置いて真紀と共に言われた通りにする。
前を屈強な薫先生が、後をシノザキが固め、守られながら階段を下りる。
「………」
自分は無言でポケットからカイザーナックルを取り出し、手に嵌める。
今度は鞄から三段ロッドとスタンガンを取り出し、スカートのゴムに挟み、何時でも取り出せるようにする。
このまま守られているだけでは駄目だ。
此処では自分の身は自分で守らなければならないのだ…流石に小さい真紀は無理かもしれないけど。
名前:田所 香織
年齢:18歳
性別:女
服装:セーラー服
所持品:カイザーナックル、財布、携帯電話、スタンガン、三段ロッド、鞄(煙草、ライター、ソーイングセット)
現在地/状況:10階〜9階階段/移動中
状態:武装完了
>286
這い上がった赤木の目の前にはゾンビがいた。
ゾンビは赤木に掴みかかった。
>290
「シャー!」
何時の間にかリッカー一体が二人の直ぐ近くにいる。
リッカーは様子を窺っているようだ。
>268
「ウィーー‐‐‐ン……」
壁を小型自走機械が走っている。
機械にはカメラが搭載され、それが最後尾の川崎の姿を捉えた。
途端に、機械からけたたましい警告音が鳴り響き、何処かで重い鉄の扉が開く音が聞こえた。
桂木と山田に上空から大量のカラスが襲いかかった。
>250
シュッ!
闇の中から伸ばされた巨大な手が川崎の頭を鷲掴みにした!
>286
更にもう一体のゾンビが背後から抱きついた。
墜落して大破したヘリの残骸…そして階下へ降りる階段の付近には二つの死体が転がっていた。
しかも明らかに戦闘服を着込んだ兵隊。
このビルに何かおかしな事が起こっている…そのことだけはすぐにわかった。
あの刑務所での、ゾンビや化け物どものことが頭をよぎる…
「まさか…ね。」
口に出して否定し、その下らない予感を振り払った。
しかしポケットの拳銃を取り出して弾が入っているのを確認する。
どちらにせよ良くないことが起こっているのは確かなんだ、油断はしない方が良いに決まってる。
俺は拳銃を片手に握り締め、ビル内へ通じる階段をゆっくりと下って行った。
>299
「アァ〜…」
突然横合いからグリーンゾンビが現れ、抱き着こうとする。
>288
追撃し、息の根を止めるか?
見上げた天井には穴があき、そこからパラパラと天井の破片が落ちてくる。
我ながら随分と勢いよく打ち上げたものだ・・・。
普通の人間ならば、アレでお陀仏だろう。なんせ、遠慮なく殴ったんだ。
しかし・・・アレは、あの男は人間ではないらしい。
上から聞こえるゴボゴボという血を吐く音、それが奴の生を明らかに表していた。
さあてね、どうしようか?
自分の右手を見る。切断面から血液が心臓の鼓動に合わせてドクドクとリズミカルに溢れ出していた。
自分の左手を見る。黒緑の液体が斬られた所から溢れ出している。爪が動くことから神経は切断されてはいない。
喉と左胸の傷はほとんど塞がっていた。
「あー・・・あー・・・あー・・・あー・・・」
少々掠れてはいるが声は出る、左胸もほとんど問題なし。
戦闘を続行するにあたって問題なのは、右手だけ、か・・・いや、右手は無くても特に問題は無い。
しかしでも、まあ・・・やめておこうか・・・。まだ宴会は準備段階、その段階で奴を殺すには勿体無い。
俺は食堂に転がっているベレッタを器用に取り、ホルスターに入れた。
右手は・・・どうしようか?
切断された右手を拾い上げ、右手の切断面を右腕の切断面に数秒間くっ付けてみる。
その右手はくっ付く気配は見せたものの糸を引きながらボトリと音を立てて床に落下した。
細胞を修復し元に戻すには、血と肉が足りない・・・ということは、宴会が始まるまで右手はこのまま、か・・・。
>296 293
俺は右手をベルトに入れ固定する。そして小川が見ていた窓を見た。
・・・小川は奇襲に成功したのだろうか?それとも失敗したのだろうか?
まあ、成功していようと失敗していようと、あの男が簡単にくたばるとは思えない。
ということは、だ。
あっちを援護に向かったほうが良いということかね?
自転車の残骸、群がる大量のカラス、そして・・・ゾンビに掴まれている餌。随分と賑やかな様でなによりだ。
向こうのほうがなんやら面白そうだし、一時保護しておいてやろう。今は休戦中だしな。
さあて、じゃあ、その前に・・・。俺は床に落ちている銃剣を拾い上げ、天井に空いた穴目掛けて放り投げ、声をかけた。
「おい、まだ生きてるんだろう?機会が有ればまた殺り合おう。それまで俺以外に殺されるなよ?」
そして俺は走り出した。さあさあ、久しぶりの再開と行こうか?
所持品:ベレッタM92F(残弾5) 自分の右手
現在地:研究所へ続く道
状況:上半身裸 右手切断 左腕半切断(回復中)
>293
携帯を使っている人の傍に居ると、話を盗み聞きするようでなんとなく居心地が悪い。
手持ち無沙汰に周囲を見渡したが、街灯が破壊された田舎の夜道は、自分の足元さえ覚束なかった。
東の稜線から月がゆっくりと昇り始めている。
……何かしら?さっきから不気味な羽音が聞こえるのだけれど。
こんなに暗いのに、鳥にはちゃんと見えるものなのかしら。
携帯は鈴木さんからだったようだ。
>「す、す、スナイパーは取り押さえたっぽいスよ、急ぎましょう」
「え?待っ…」
狙撃手は一人とは限らない…と忠告する暇も無かった。
突然横合いから現れたゾンビに、赤木さんが掴み掛かられてしまったからだ。
赤木さんも全力で振りほどこうとしているようだが、いかんせん体勢が悪すぎる。
こうなるとスナイパーがどうとか言っている場合では無くなった。急いで用水路から抜け出す。
「赤木さん、動かないで!」
いいざま、横合いからゾンビの首に突きを放つ。
不自然な体勢で、しかもモップの柄では威力も半減だが、それでもゾンビの手を緩める事は出来たようだ。
赤木さんがゾンビを突き飛ばすと、アスファルトの上にそれはあっけなく倒れた。
彼が路上の自転車を起こした。そして殆ど叩きつけるようにしてゾンビへ向かって自転車を倒す。
ゴキッ、と嫌な音がして、自転車の下敷きになったゾンビの両足が変な方向へ曲がった。
流石の化け物も、これではしばらく身動きが取れないだろう。
「怪我は無い?」
這いずろうと足掻くゾンビとの距離に気をつけながら、肩で息をしている赤木さんに声をかけた。
>296
上り始めた赤い月のおかげで、なんとか転ばずに歩いていけそうだ。
だが、視線を感じて何気なく空を見上げた私は、浮かび上がる影に息を呑んだ。
いつの間にか周囲の電線の上には感染体の烏が居た。それも一羽や二羽ではない。
まるでヒッチコックの『鳥』だ。
「こういう事は、映画の中だけに留めていただきたいわ……」
思わず呟いた。一羽二羽ならともかく、相手が多すぎる。
山田さんがとんとんと背を叩くと、軽く合図してきた。
『さっさと逃げましょう』のハンドサインに頷く。
赤木さんにも目配せをし、相手を刺激しないようじりじりと後退を始める。
そしてある程度距離をとった後、一目散に駆け出した。
烏に群がられたゾンビの断末魔と、追いかけてくる羽音を振り払うように研究所へと走る。
>294
蛇のような威嚇音を耳にし、天井を見上げる。
・・・・・あらかじめ資料でその姿を見ておいたのは正解だった。でなければ、口から悲鳴と吐しゃ物を撒き散らして
いたことだろう。やはり予習は人生に必須なのだ。
「リッカーね。可愛そうに、こんな姿になるために生まれてきたわけではないでしょうに」
「しっ、下がってください先生。音をたてなければ、視覚のないこいつに私達の位置を判断することはできません」
緊張と嫌悪、僅かな恐怖で震えながら、先生を後ろに庇って少しずつ後退する。
もう、こんなに人のいるフロアにまでB.O.Wが浸出してきている。
悲鳴が立て続けに起こる。他の人達も、この通路の天井を這う異形に気が付いたのだ。
最も近くにいた悲鳴の主が、伸びてきたリッカーの舌に腹部を貫かれ、冗談みたいに血を吐き出す。
「先生、今です! こちらへ」
「・・・・・ええ」
顔をしかめる先生に肩を貸し、できる限りの速度でその場を離れる。
まずい・・・・・恐怖は伝染する。ウイルスもまた然りだ。
最初の犠牲者がゾンビとなって起き上がるまで、約一時間ほど。一刻も早く対処しないと、ネズミ算式に増える一方だ。
このままでは、このテナントフロアまでもが死人の餌箱になってしまう。
「彼に・・・・彼に会わなければ・・・・・」
「先生、一体どこで待ち合わせを?」
「本来なら、展望台で会う予定だったのだけれど、こうなっては彼も上にはいないでしょう。弱者を見過ごせない彼の
こと。必ずこの近くにいるはずです」
私は舌打ちをする。こんな騒ぎに首を突っ込む善意の第三者など、到底信じられるものではない。
ましてや相手は殺し屋、それが弱者を放っておけない? 先生のお言葉とはいえ、さすがの私も耳を疑ってしまう。
「その、彼の名は?」
「本名はわかりません。ただ、短く、シャファンと。闇の世界でこの名を知らぬ者はいないと」
「シャファン! シャファン! どこにいるの!? クライアントが忠告に来てあげたわよ!」
彼の名を聞いてすぐに、私は目一杯の音量でその名を叫ぶ。
先生が彼に会ったのは、もう20年以上も昔のことらしい。姿を見てそうとわかるはずがない。
こちらから、呼びかけるしかないんだ。
私は、周囲の奇異の視線に少々顔を赤らめながら、シャファンと叫び続けた。
名前:キリカ・ジャンビーヤ
性別:女
年齢:17歳
容姿:アラブ系の褐色の肌を持つ理知的な容貌の少女、クリーム色のスーツ姿、黒い髪は丁寧に切り揃えられている。
所持品:ハンドバッグ(ハンカチ、ウェットティッシュ、ソーイングセット、メモ用紙、筆記用具、IDカード、香水、口紅、財布)、携帯電話、ハーブケース
(グリーンハーブx3、ブルーハーブx3、レッドハーブx3、調合したハーブ赤x緑x青x3)、ペンダント
現在地・状況:スペンサービル4F通路、リッカーから逃れてシャファンの名を叫ぶ。
状態:健康、先生と一緒
>289
静々と、口元に穏やかな笑みを貼り付けたまま、グリムローズはその部屋に足を踏み入れた。
クリッペンが狂気的な手つき端末を操作している。
プシューーー・・・・・
並べられたカプセルの蓋が開き、中の冷気が部屋の床を白く濁す。
すぐ傍のカプセルから、いち早くタイラントが起き上がる。
「これはまた物騒な物を用意されたものですわね。目を覚ますぞ、と仰られて、私がそのまま見ていると思いますか?」
言いながらも、緑の淑女は動かない。
指一本すら動かさない。
スカートの中から飛び出す無数の蔦の動きを、扇を弄びながら見ているだけだ。
緑の蔦が、次々と、何重にもカプセルに巻きついていく。
数台のカプセルを、蓋が開ききる前に押さえ込んだのだ。そのままグイグイと締め付け、完全に動きを封じる。
「お馬鹿さん、もったいぶらずに披露してしまえば良かったのに」
呆然と部屋の奥で立ち尽くすクリッペンを横目に、目を覚まして間もないタイラントに近寄っていく。
まだ、完全には覚醒していない。肩膝をついた巨漢のコート姿の首に、ゆっくりと腕を回す。
まるで、彼女自身も、この部屋に張り巡らされた緑の蔦のようだ。そう思わせる仕草であった。
その場で、その光景を見た者――といっても不幸なクリッペン一人だけだが――は、彼女の行為に目を丸くしただろう。
なんの躊躇いもなく、タイラントと唇を重ねたのだ。
沈黙の帳が落ちる。
一秒、二秒、たっぷり数秒をかけて、グリムローズは優雅に背を反らして顔を離す。
「・・・・・ふう」
絶叫が起こった。
タイラントの体から例の緑の蔦が皮膚を突き破って飛び出し、内側からコートを切り裂いていく。
元から生気の乏しかった目がどんよりと濁り、意思の光りを奪い去る。
頭部では、巨大な、一輪の毒々しい花が、その肉厚の花びらを揺らめかせていた。
「いかがです? 私の僕第一号の仕上がりは? ここは無難にグリーンタイラントとでも名づけましょうか」
扇で口元を隠し、グリムローズは笑った。
声をあげて、まるで年端も行かぬ少女のように。
現在地・状況:クリッペンルーム内、カプセルに蔦を絡め、タイラントをグリーンタイラントにする。
状態:健康、スカートの中から無数の蔦、そのままカプセルに巻きついている。
>253
「あら」
先頭に立って階段を下りようとした矢先、後から桃華に抱き付かれる様にして彼女のショールが顕となった上半身に巻きつけられる。
別に自分はこのままでも構わないのだが、桃華にとってはそうも行かなかったのだろうか。此処は彼女の素直な好意として受け取っておこう。
男性陣に向って何か言い終わった桃華とはっと目が合う。桃華は慌てて目を逸らしてしまった。
「別に怒ってなんかいないわよ。有難うね」
そっと手を伸ばし、桃華を此方に振り向かせると彼女のさらりとした前髪を掻き上げ、顕となった額に優しく口付ける。
これが自分なりの感謝の示し方なのだが、額から唇を離すと桃華はギクシャクと歩いて松田の傍に行ってしまった。
「ふふふ…可愛い反応ね」
そんな反応を示した桃華を見て、ミリアはふっと頬を緩めたが、直ぐに下の階へ降り始めた。
自分は敵地に潜入しての諜報を専門としているので、戦闘能力は流石に実行部隊の隊員には劣る。
先程のハンター三体の襲撃をやり過ごせたのは運が良い。彼等はあまり訓練されずに放たれたのだろう。
本来なら、ハンターは複数揃った時点でタイラント級並みに厄介な相手だ。狼の群れの様に統率された動きで獲物を狩る。
(まあ、運が良いのはいいことだわ。でも、其の先も運が付いてきてくれるかしら?)
少しだけ振り返り、桃華と松田、そして川崎を見る。川崎は兎に角として、問題なのは桃華と松田だ。
桃華は火を見るよりも明らかに戦力外。松田はSPとしてか、それなりの戦力だった。
松田は傷を負うまでは重要な戦力だったが、今では戦力外の桃華よりも性質が悪い。むしろ戦力害といった方が適切だろう。
リッカーに傷を負わされたと言うことは、ウィルスに感染しているかもしれない。そうなれば何れ牙を剥くだろう。
そして、松田自身化物の仲間入りをするのは望まないことだろう。恐らく、彼ならば自分を犠牲にしてまでも桃華を生かそうとするに違いない。
(これは中々判断が難しい所ねぇ…)
P226を片手で構えながら、慎重に40階の扉を開いて中に入り、周囲に油断無く銃口を巡らせて警戒する。
危険が無い事を素人でも分かり易いハンドシグナル(ただの手招き)で背中にぴったりとくっ付く様に付いてきた桃華に知らせる。
桃華はおっかなびっくりしながら40階の扉を潜り、廊下に出る。彼女に続いて二人も来る。
この階はどうやらセレブ御用達のフィットネスクラブのようだ。ガラス張りの向こうに色々なトレーニング機材が見える。
此処にならば応急処置をする為の救急箱ぐらいはあるだろう。取り敢えず、この階で一旦休憩を取ろう。
「先ずは松田さんの応急処置と休憩を兼ねましょうか。それから行動再開。道程は長いわよ」
フィットネスクラブなのだから、休憩室か管理室ぐらいはあるだろう。其処には救急箱ぐらいはある筈だ。
壁に貼ってあったこの階の地図を見てから歩き出す。
ウェイトトレーニング用の機材が置いてあるガラス張りの部屋の前を通り、角を曲がってとある部屋の中に入る。
この部屋はこの階の管理室のようだ。普段はフィットネスアドバイザーなどがいるのだろうが、今は誰も居ない。
非常灯とP226のフラッシュライトのみが頼りだ。銃口を巡らすが、幸い、部屋の中に危険は無さそうだ。
「さて、問題の救急箱は何処かしら……」
危険が無い事を確認すると、フラッシュライトの明かりを頼りに棚等を物色する。
調べ始めてから数分と経たない内にお目当ての物を見つける事ができた。其れを手に、松田の元へ行く。
「さ、服を脱いで傷を見せて頂戴」
松田に傍にあった椅子に座る様に顎でしゃくり、救急箱の蓋を開けて包帯を、バックからソーイングセットを取り出す。
名前:ミリア・ウォルスクラ・伊勢崎
年齢:24歳
性別:女
服装:白いチャイナドレス、アームロング、オーバーニーソックス
持ち物:ショルダーバック[催涙ガス・ペン、ライター(起爆装置)、煙草(C4爆薬)、ソーイングセット、睡眠ハンカチ、
手帳、財布、化粧ポーチ(超小型カードリーダー、鍵開けキット)、光ディスク]
腕時計(各種計測機器内蔵)、ピアス型通信機、ネックレス(ワイヤーカッター)
装備:レッグホルスター[357SIGカートリッジ仕様P226(9発)+LAM&サイレンサー、ナイフガン(22口径、5発)]
マグポーチ[357SIGカートリッジ20連弾倉×4]
現在地:40階フィットネスクラブ管理室
状況:松田の応急手当
その威容の姿は、暗闇に閉ざされた地下牢獄では無く、今は異形の群れに飲み込まれた地上に在った。
サナトリウム地下二階。其処は反デュラン勢力によって等訓市から持ち帰った、偶然其処で産まれた強力なB.O.Wの保管庫であった。
今は其の場所にそれらのB.O.Wの姿は無い。空の頑丈な檻があるばかりだ。
彼等は反デュラン勢力によって別の施設に移されていた。恐らく、其処で更なる研究が行われるか、スペンサービル襲撃に投入されているのだろう。
彼も別の施設に移される筈だったが、其れは行われる事は無かった。というのも、他のB.O.Wはある程度の制御する事に成功したのだが、
彼ばかりはそうもいかず、制御の利かない状態での移送は無理と判断された。
ある程度彼を抵抗する事が出来ない状態にまで弱らせ、其の上で彼を厳重な警戒の元で運び出す心算であった。
そして彼だけは地下室二階にある、周囲を分厚い鉄板で覆われた隠し部屋にて保管され、対B.O.Wガス弾に使用されるウィルスを注入され、
四肢に強力な電流が流れる杭を打ち込まれていた。流石の彼もそれらの拘束の御蔭で弱り果てていた。
ようやく彼を運び出せる状態にまで弱らせることに成功したが、その矢先でこうしてバイオハザードが発生してしまい、それどころではなくなってしまった。
彼は偶然訪れた地下室の停電に乗じて電流が流れる鎖を引き千切り、重傷を負いながらも体当たりで隠し部屋の扉を突破、その後は地上へと続く
エレベーターを利用し、今はこうして此処にいるという訳だ。
今の彼は酷い有様だ。右半身が潰れている。というのも、これは自分の身体の脆さに構う事無く扉に体当たりをした結果だ。
他にも身体の至る所に重傷を負っており、対B.O.Wウィルスの効果が切れるまでは極端に回復能力が低下している。
しかし、それ以前に彼は牢獄に囚われている間ろくな栄養補給もままならなかったので、今の彼はゾンビ以上に酷い飢餓状態にあった。
彼は手始めに失った体力の回復を図る事にした。真っ先に目に入るのは、亡者と化した村の人々。
味は不味いだろうが、この際味がどうのこうのと言っている訳にはいかない。
「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!」
地獄の底から響く咆哮を上げ、緩慢な動作のゾンビに襲い掛かり、大顎でその頭を噛み砕き、新鮮とは言い難い血肉や骨を貪る。
それが食べ終われば次の獲物を襲い、同様にして食べ尽くす。弱っているとはいえ、流石にゾンビを仕留められない程にまで戦闘能力が低下している訳ではない。
暫くの間、底知れぬ空腹を満たし終わるまではそうやってゾンビを貪ることにした。
現在地・状況:サナトリウム近くで手当たり次第にゾンビを襲い、貪り喰らう。
状態:空腹、右半身に損傷有り
>304
デザートの烏龍茶アイスを頬張りながら中華飯店から出たシャファンの耳に、誰とも知れない少女の叫び声が聞こえてきた。
「なぁ〜によ〜。人のこと犬みたいに大声で呼んじゃって」
四階フロアは、一言で言うと混乱していた。どうやら上の怪物が姿を現したらしい。
逃げる群衆の波を器用にかわしながら遡り、声の方に向かう。
途中、騒ぎの原因であろう、まだ僅かに息がある女性を貪っている先程のズル剥け≠見かけたが、アイスを口に
運ぶ手を止めず、足も止めずに通り過ぎる。
「お姉さんがアタシのクライアント? 人ごみの中で自分が雇った殺し屋大声で呼ぶなんて、頭だいじょ〜ぶ?」
気配を殺して、声の主である褐色の肌の少女の背後に立ち、声をかける。
肩を貸している杖をついた老婦人は何だろうか?
(・・・・・なんだか、辛気臭いバアサンね)
シャファンは少女の言葉を聞き流しながら、考えを巡らせる。
実のところ、デュラン一味殺害の依頼は、複数のクライアントから同時に受けたものだ。
反デュラン派、傘上層部、反傘勢力、各国政府、なんとか教団、その他盛り沢山。
よほど生きていられては困る連中なのだろう。依頼人の数も報酬の額も、今までで最高のものだった。
そして、難易度も最高だ。
(あ、そ〜か。このバアサン・・・・・)
その中で、最も変わった文面の依頼がシャファンの脳裏に浮かび上がる。
なんだかよくわからないが、二十何年前のあの出来事を覚えていますか? だの、貴方に助けていただいただの、身に
覚えのない思い出話が延々と書かれていたやつだ。
(ったく、二十年前だなんて、こちとら種もねぇよ。先代のクソジジイは、違うな。確か生ゴミ処理機にかけて豚の餌にして
やったんだっけ。今思い出しても・・・・ああ、違う違う・・・・・二十年前・・・・先々代のシャファンか)
最も若くしてシャファンの名を受け継いだ、歴代最高と言われている男だ。
曰く、世界を一度救った。曰く、世界を二度救った。曰く、世界を三度救った。
(アホか・・・・・人殺しに救える世界なんぞ、ロクなもんじゃねえ。いや、ロクでもないから救えるのか? どっちにしろ
眉唾臭えな・・・・・最年少記録はアタシが塗り替えてやったし・・・・)
「お二人さん、ここで立ち話もなんだし、そこの喫茶店にでもいきましょうか?」
階下に見えるテナントを指差し、少女の手を引っ張る。
「ああ、お婆ちゃんが言ってたのは先々代のシャファンのことだと思うわ。今は生死不明の行方知れずよ。
今のシャファンはアタシ。だから、二人ともアタシのことそう呼んでよね」
あのギリスという女を頭に、ターゲットはどれも一筋縄でいく奴らではないのだろう。
情報を得るに越したことはない。
所持品:ワイヤーを仕込んだブレスレット(残り少ない)、半袖ジャージにスパッツ姿
現在地・状況:スペンサービル3階、挨拶もそこそこに喫茶店へ二人を引っ張る。
状態:胸に三条の浅い傷
>254
>「嫌。……冗談よ。よろしく川崎さん」
(怒ってるな・・・さっきの発言が不味かったのか・・・・別の理由か・・・)
>「俺も異存は無いよ。あと、悪いが俺はあまり当てにしないでくれ」
>「出来れば、一息つけそうなところで手当てもしたいんだが」
>265
>「言われずともそうさせて頂くわ。貴方のような種無しに務まるとは思えないし」
(何とでも言え・・・・)
>「では、次の階辺りで手当てと休憩を兼ねましょうか。
桃華ちゃんのようにこういう修羅場に慣れていない人は、神経を磨り減らせてしまうしね…」
(適切な判断だな・・・・)
>「ちゃんと避けなさいよ!」
(背中蹴らなくても良いだろ?)
>「…やるわね」
(このまま見物させてもらうかな・・・・)
>「貴方も物好きね。でも、代償は高くつくわよ」
(確かに物好きだな・・・・)
>「惜しいわね。ここは私の間合いよ」
(上段蹴りか・・・あの間合いには入らないでおこう・・・)
>「貴方も逝ってらっしゃい」
(あ〜怖い怖い。)
>「さて、これで御終いね。さっさと下に行きましょう?」
>268
>「な、何やってるの怪我なんかして!で、…だ、大丈夫なの?」
>「……そう簡単に死にゃしませんよ。頼むから揺さぶらないでください。」
(微笑ましい光景だな〜)
>「まあ、凄腕の連れが2人も増えた事ですし、役立たず達は高見の見物と洒落込みましょうか」
(松田さん、アンタも十分戦力になるだろ?)
>「はい、すみませんが宜しくお願いします」
(礼儀正しくてとても良い子だな・・・・)
>「きゃあああぁぁぁああ?!」
ミリアの姿を見た桃華が突然、悲鳴を上げた。
>「何をなさってるんですか!化け物にサービスしたって全然意味がありませんわ!!」
(確かに意味無いだろうな・・・)
>「何か文句でも?第一、お姉様に見とれて遅れを取ってたら、末代までの笑いものですわよ!」
指を突きつけられ、松田と共に失笑する・・・(面白い子だな・・・)
>「つ、次行ってみましょうか〜」
(頑張れよ〜)
>295
>「ウィーー‐‐‐ン……」 (一体なんだ?)
突然の警告音と共に何処かで重い鉄の扉が開く音が聞こえた
銃でカメラを破壊すると辺りを見回した。
>297
シュッ!っという音と共に俺の頭が鷲掴みにされた
「うぐっぁあぁぁ・・・」(大丈夫だ、これ位なら聞こえてない・・・・)
痛いが、脱出しないとな・・・
銃を構え大まかな見当を付けて乱射した・・・微かに開いた手から抜け出ると上から拉げ使い物にならなくなったガスマスクが落ちてきた。
そのまま急ぎ足でミリア達に合流し、40階に入った。
>「先ずは松田さんの応急処置と休憩を兼ねましょうか。それから行動再開。道程は長いわよ」
(それが良いな・・・・)
>「さて、問題の救急箱は何処かしら……」
(さてライト類は在るかな?)
探すと1分も掛からずマグライトが見つかった・・・(いや、床に転がっていたのだが・・・・)
>「さ、服を脱いで傷を見せて頂戴」
ソーイングセットを出している横でマグライトで傷口を照らし出した。
名前:川崎 裕次郎
年齢: 24
性別: 男
持ち物:>FN BLOWNING-HIPOWER Mk.V(13+1)予備マガジン2本 、SIG P229(3発)×2予備マガジン4つ 、マグライト
S&WM649(5発、お守りとしてこっそり持参。)
Chris Reeve ProjectU
タクティカルベスト、煙草、ライター、十字架のネックレス(妹の形見)、謎のIDカード 、無線機とインカム。
眼鏡装着、ガスマスク+タンカースタイルのショルダーホルスター装備、左右にレッグホルスター装備。
状況、マグライトで傷口を照らす。
現在地:スペンサービル40階フィットネスクラブ管理室
>305 >309
「プロに後ろから近寄るのは感心しません。うっかり殺されても文句は言えませんよ」
赤い顔をして戻ってきたお嬢に声をかけるが、聞こえているのかどうかも怪しい。
全くミリアとやらは、さっきのストリップといい、今回といいサービスし過ぎだ。
まあそれが悪いとは少しも思わないが。
俺は目の保養にもなったし、お嬢も役に立てたと嬉しそうだ。
川崎は途中急に姿が見えなくなったが、すぐに戻ってきた。何かと一戦交えたらしく、手に壊れたガスマスクを持っていた。
予想外に若かった事に内心で驚くが、それを言い出したら俺もミリアも同じだろう。
そのミリアは今はお嬢を手招きしている。扉を潜るお嬢はおっかなびっくりなものの、足取りに迷いが無い。
『今後の展開によっては捨石や置きざりにされるかもしれない』等という考えは、おそらく微塵も持って居ないのだろうな。
無邪気なもんだと内心でため息をつくが、この子犬のような信頼っぷりが、案外身を救うのかもしれない。
>「さ、服を脱いで傷を見せて頂戴」
フィットネスクラブの管理室らしき場所で、椅子に腰掛け黙って服を脱ぐ。 川崎が横合いからライトで傷口を照らす。
「ライトは俺が持つよ。悪いがお嬢の面倒を頼んでもいいか?」
治療と聞いて心配そうに此方を伺っていたお嬢が、明らかにムッとしている。だが、川崎に宥められ別室へと移動した。
ここは奴に任せておこう。お嬢には聞かれたくない話もある。
リッカーによる爪痕は浅いが、問題は貫通した下腹部の弾傷だ。
「こっちはホールで下手糞にやられた。もしこれがゾンビを貫通したものなら、俺はもうその時点からアウトだな」
ミリアのピクリと眉が動いた。
値踏みしているような視線を向けられ、思わず苦笑する。
はたして感染してからの時間を逆算しているのか、はたまた多少なりともB.O.Wに関する知識を持っている事に関してか。
「お前さん『地獄都市から生還せよ!』読んでないのか?……冗談だよ、そう睨まないでくれ。
知り合いのジャーナリストが第一次生物災害からの生還者だった…って!もちっと優しくしてくれ。俺は繊細なんだ」
的確だが遠慮の無い手際に抗議の声を上げる。
「『感染』のことはお嬢には黙っててくれ。俺はホールで流れ弾に当たっただけだ。
それから、ヤバくなったら俺は置いていけ。……自分の死に場所くらい自分で決める」
救急箱を閉め、立ち上がりかけたミリアの背にそう声をかけた。
「お姉さま、松田の傷の具合はどうですか?」
おずおずと戻ってきたお嬢がミリアに声を掛けている。
何を話したのかは分からないが、駆け寄ってくる表情は明るい。
「見てみて、懐中電灯を手に入れたの!あとね、引き出しからお菓子もたくさん見つけたの!
……ちょっと泥棒みたいだけど、こんな非常事態だし許してもらえるわよね?で、松田はどれが良い?」
「要りません。……あ、いや……そうですね……じゃあその飴をもらいましょうか」
落ちたかけた肩が、慌てて付け加えた言葉に元に戻る。
「鉄分入りの飴だって!今の松田にぴったりよね?」
…空元気だ。まあ無理も無いか。
ある意味嫌がらせと紙一重の厚意をありがたく受けながら、一番甘く無さそうなものを選んで口に含んだ。
「悪かったな。……ああ、お前さんもひとつ食べるか?」
労いの言葉と共に、そろそろ出発しようと言いに来た川崎にマグライトを返す。
軽い冗談だったのだが、今のお嬢には通じなかったようだ。
「気が付かなくてごめんなさい、良かったらどうぞ」
奴に持たせようと、にこにこと手の平一杯のお菓子を差し出している。
現在地:状況:40階フィットネスクラブ管理室。応急手当終了
状態:脇腹弾傷、浅い爪痕、感染の疑い