さゆりと話しませんか？2

ライダーマンは、じとじとした布団の湿り気で目が覚めた。もう限界らしい。
かといって日干しする気にもなれない。
そういえば太陽の光をしばらく浴びていないが
今日は晴れているのだろうか、それとも雨…？
外部からの騒音や陽光を遮るために窓に打ち付けてある厚手の板を
ぼんやり眺めながら考えた。
油でべとべとするだらしなく伸びた髪を、汚れて黒ずんだヘアゴムで結わえる。
これがライダーマンのインターネットスタイルだ。
無精ひげの生えたアゴを撫でながら愛機の電源を入れると、
フィーンという冷却ファンの音がし、
カリカリカリっとハードディスクが小気味良い回転音を鳴らす。
ポータルサイトは2ch。早速、昨日建てたスレッドのレス数を見る。
「氏ね」「ﾊｧ?」「逝ってよし」…様々なレスがライダーマンを罵倒する。
それを見て性的興奮を覚えたライダーマンは、矢も楯もたまらず髪を掻きむしる。
ぼろぼろぼろと大量のフケがキーボードにこぼれ落ちる。
ライダーマンはそれのひとつまみを口に含む。…香ばしい。
半ばよだれを垂らしつつもレスのレスを付け始める。