バイオハザード:LEVEL7

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394桂木 桜子 ◆jFC.LOgoJM
あっという間に銃が視界から消えた。
左手を大きく振りかぶった姿にはっと我に返る。止めようと思ったが、身体が全く言う事を聞かなかった。
>「おおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉぉおぉ!!!!!」
辺りに響くほどの殴打音に思わず肩を竦める。回る視界に悩まされながらも、今度はどうにか立ち上がった。
「やめて重田さん、私が悪いの。私が頼んだのよ………ロバートさんは、約束を守ってくれただけなの…」
あれ程の怪我を負って動ける筈が無い。なのに血塊を吐きながらも、重田さんの動く方の腕は庇うように私の前に伸ばされていた。
>「この人を殺したいのなら…俺を殺してからにして下さいよ?俺は……誓ったんだ。絶対に…うぐっ!」
ズキリと胸が痛んだ。………どうして、と思う。どうしてこの人は此処まで無茶をするのだろうと。
再び血を吐いた重田さんの身体に腕を回した。
「もう喋っちゃ駄目よ!―――どうして此処に居るの…こんな無茶をして……貴方本当に……」
私は口を噤んだ。視界の隅に、軽く頭を振りながら此方に歩み寄ってくるロバートさんの姿が見えた。
ふと、『無理なお願い』を引き受けてもらった時のことが頭を過ぎる。冗談だとばかり思っていたが、もしあの捨て台詞が本気だったら……。
「Please do not inflict an injury on him! 」
思わず叫んでいた。
「Your guess was right.He isapersonimportant for me.Even if you do not kill me, I die soon. But he must not kill !!.…Please……」
頭が朦朧としていて、あまり長いセンテンスを話す事が出来ない。
だが、ロバートさんには通じたようだ。面白そうに目を細めたのが、視界の悪い私でも判った。
>「その前に俺が死ぬだろうが・・・せっかくのジョークを台無しにしやがって・・・・・」
私はズルズルと足元に座り込んだ。――――ジョーク?ジョークですって?!こんな時に……こんな場所で?!
随分と真に迫った『ジョーク』だった事だ。…もう目を開けている気力すら無い。
頭の上で彼らが何か話しているようだが、私の耳にはヘッドホン越しのように聞こえた。
>「……ワク…ンは…………効果がある?場合………ては……あの女…殺さず……む」
ロバートさんの言葉に、内心首を傾げた。雑賀さんは、ワクチンをあの女性に使わなかったのかしら、と。
気休め程度だとばかり思っていたけれど、多少は効果はあるのかもしれない。
今すぐコンクリートの上に倒れ込みたい誘惑に駆られながらも、私は伊達さんの言葉を待った。

所持品:マッチ、救急品袋、日本刀、ショルダーバック(中身不明)
現在地:状況:デパート屋上。ワクチンの説明を待つ。
状態:打撲、眩暈、強い倦怠感、微熱、四肢と首に内出血、左手首擦過傷(治療済)、感染。