381 :
名無しになりきれ:
>『いいか、よく聞いてくれ!この排泄物の塊の注意を引いてくれ!その間に一斉射で倒す!』
>「うるせぇ!耳が潰れるだろうがこのボケ!音量を低くしろ!」
ふいに聞き覚えのある声が辺りに響いた。
「ロバートさん?!」
驚く間も無く、軽々と抱き上げられて駐車場を移動する。
>「・・・・お前が死んだら、重田が悲しむぜ。ここはプロに任せて一般人らしく逃げ回ってろ」
再会できた嬉しさと触手から逃れた安堵で胸が一杯で、子供のようにただ頷く事しか出来なかった。
>264
重田さんは酷い有様だった。ロバートさんなりの励ましも、聞こえたかどうかすら疑わしい。
……私のせいだ。
「重田さん……起きて。こんなところで寝ちゃ駄目よ?」
声の震えを押し殺して、そっと呼びかける。僅かに反応が返ってきた。まだ望みはある。
手当てをしようとして、ふと自分の左手首から出血している事に気づき愕然とする。
触手にあれほど強く引っ張られたのだから、当然といえば当然だろうが……。
緊張が解けた為か、怪我に気づいた途端、身体の彼方此方が痛み出した。だが自分にかまけている場合ではない。
「誰か!お願い手を貸して!!」
無駄だと思いながらも声を張り上げ、自分の手首はハンカチを硬く巻きつける。
私の血から感染させてしまうのはごめんだった。
「私は…無事よ。重田さんが守ってくれたお陰ね。ロバートさんも今、傘社のヘリと一緒にアレと応戦しているの」
意識を保たせるために声を掛け続けながら、私は手指を殺菌する。
そして口の異物を取り除き、気道を確保して彼の止血を始めた。
衣服を緩めて、邪魔なアーマー類や鉄帽も取り去る。慌てないよう手順どおり行うと、程なくして出血は収まった。
救急キットを使った手当てが終わると、私は手近な車の窓を何台か壊して、厚手のコート2枚とショルダーバックを失敬した。
中には雑誌や未開封のペットボトルも有った。雑誌や木刀等を添え木代わりに、骨折個所や背骨を固定する。
所持品:マッチ、救急品袋、日本刀 、ショルダーバック(中身不明)ミネラルウォーター
現在地:状況:デパート屋上。>264の応急手当開始。
状 態:打撲。四肢、首に内出血。左手首から出血。