【一心不乱の】オリキャラウォーズ【大戦争を!!!】
>703
>「ハアアアアアア・・・!」
>カイザーの身体の周りの聖闘気が激しく光り出す。
>その中でもカイザーの右手に握られている剣の輝きは凄まじく、周りの大気までもを動かさんとしているような波動を感じる
「む!」
体力を消耗していたようなので大技で来るとは予想していたが、
剣の輝きとカイザーの闘気に驚く。
「ならば、こちらも!!」
走りながら呪文を呟く。すると、剣に纏うように風が発生する。
カマイタチである。
>斬り裂け!・・・ブレンテル流、闘気の剣!オーラ・スマッシャー!!
「幾重に捌かれろ!!疾風剣!!」
>カイザーとツィーブ、二人の身体がクロスする
ズバッ!!
剣で身が斬られた音。そして、地を濡らす鮮血。ツィーヴはまだかろうじて立っている。
「くっ…風を纏わねば死んでいたな…」
軽装の鎧は真っ二つに切り裂かれ、体には深い傷が一文字に入っている。
(あいつは…どうだ?)
>705
>「あの友軍兵士に対する正当な扱いを保障しろ。さもなくば貴様ごと吹き飛んでやる」
「ははは、怖いですね。まあ、我々の管轄になるかはわかりませんからね。
…冗談ですよ。拷問なんていったことは僕の…いや、私の意義に反しますから。」
>「そっちの要求は無線の使い方だな?その程度なら問題ない」
鈴木中尉に無線の使い方を教わる。意外と簡単なので機械を良く知らないシャルルでも扱えそうだ。
「なるほどね…もういいですよ。ありがとうございます。」
囲んでいる兵士の輪が割れる。
「また、近々戦場で会うことになるでしょうね。まあ、ゾンビに気をつけてくださいよ。」
ちょうど後ろの方から重装歩兵隊と軽装歩兵隊も来たようだ。
指示を出して基地に向かわせて占拠する。
その間、無線で共和国の兵士に投降を呼びかけてみる。
>709
>軽装の鎧は真っ二つに切り裂かれ、体には深い傷が一文字に入っている。
(あいつは…どうだ?)
ツィーブが見た先、そこには・・・全ての力を使い切り、右手に剣を握り締めつつ うつ伏せに倒れていたカイザーの姿があった・・・
カイザーの身体から放たれていた聖闘気は完全に消え去り、装備していた鎧は全て綺麗に砕け散っていた。
激突の瞬間 相手の必殺技を危険と見てとっさに体を捻じったのが倖いしたのだろう、鎧が最後の力で相手の攻撃を幾分か吸収したのだ。
本体であるカイザーは目立った切り傷などは見当たらなかった。
だが鎧への衝撃によるアバラ部分へのダメージが大きい、おそらく肋骨の数本はヒビが入っているだろう。
カイザーは動かない・・・いや、動けないのであろう、既に闘気も体力も限界まで来ていたのだ。もはや指を動かすのも辛いだろう。
(・・・くっ、目が霞んできやがった・・・このままじゃ・・・)
カイザーが意識を失おうとしたその時だった、カイザーの右手に握られていた聖なる剣が突然 輝き始める
その輝きは、先程の戦闘のような相手を威圧する光ではなく、優しく包み込むようなまばゆい光だった。
そして、その光がカイザーの身体の中へと入りこむ。それによって負傷していた肋骨のダメージが癒えてゆき、体力も少しだけ回復する。
(聖なる剣よ、俺に力を送り込んでくれるのか・・・?ここで倒れてはいけないと導いてくれるのか・・・?
でも、これぐらいの少量の力だけでは奴には・・・・・・そうか、分かったよ聖なる剣。・・・お前が俺に伝えたい事が)
決意を決めたようにカイザーは立ち上がる。
「俺はここで死ぬ訳にはいかない。俺を卑怯者と罵りたくば好きにしろ
・・・ホーリーフラッシュ!!」
突然、カイザーの身体から激しい光が放たれて それが辺りを包む。
カイザーは目晦ましの光を放ったのだ。
「ツィーブ、今度はお互いベストな状態で戦おう。
お前は、体力を消耗している俺に遠慮して全力を出していなかったみたいだからな。・・・それじゃ、またな」
・・・辺りを包んでいた光が消えた時、既にカイザーはその場にいなかった。
戦場から1kmほど離れた森の中にカイザーは居た。
「あの場は助かったが、相変わらず体力も闘気もほぼカラだ。
・・・仕方ない、ここで少し休むか」
地面に直径5メートルほどに古代の文字を使った複雑な魔方陣を描く、ゾンビが入って来れないように聖なる結界を作り出しているのだ。
ちなみに、これは書くのに手間がかかるため戦闘中に書いてる時間は無い。
更に この魔方陣は創作者の自分が結界内に入っている時にしか効果が出ない上、生物は普通に入って来れる。
カイザーは横になって身体を休める為に眠りについた、数時間ほどの休憩で回復は完了するだろう。
(ヴァラシャンクス)
川を泳いで下る事数十分。川の中でしかも闇夜とあって、敵に気付かれる心配は無かった。
先行させた両生類型獣人の部下達とは違い、ヴァラシャンクスと共に後から本陣より出撃した部下達は皆トカゲ型獣人であったが、
トカゲの獣人とあって皆尻尾を魚の尾ひれのように水中で振ることが出来、波を立てること無く十数人の遊撃騎士隊員が川の中を進む。
「…ミジェロか?」
遊撃騎士隊員達の先頭を泳いでいたヴァラシャンクスが泳ぐのを止め、前方から音も無く水中の中を近づいてくる物体に問いかけた。
「……皆ヴァラシャンクス様の到着を待っていたところです」
水中の中からぷかり、とイモリ型獣人のミジェロの頭が現れた。
「すまない。ミジェロ…さぞかし水の中での待機は辛かったと思う」
ヴァラシャンクスは遊撃騎士隊の副隊長を務めるこのイモリの獣人に労いの言葉を掛けるが、ミジェロはすっと水中から手を出してその言葉を遮った。
「隊長…それよりも早くに我々は攻撃を仕掛けたいのですが」
既にミジェロの目にはギラギラとした闘志が宿っており、水中から飛び出して部隊の先陣を務める用意は出来ていた。
「ふふふ…そういきり立つな。水中で遊撃騎士隊の陣形を整えた後、各員は光学迷彩術式を発動。幅数m程の間隔を空けて上陸し、連携して
敵側面に攻撃を仕掛ける。何時も以上の連携が必要だ。各員の連携を密にしろ」
「了解…」
一通りの命令を副隊長に伝えると、直ぐに遊撃騎士隊は行動を開始し始めた。
ミジェロ以外の両生類型獣人は直ぐに水中で陣形を整えると、ぷかりと一斉に頭を出し、陣形を整えたトカゲ型獣人の騎士隊員達の横に並んだ。
「さすがだな。この連携の早さには何時も鳥肌が…いや、鱗が立つ思いだ」
被っていた兜の装甲ヴァイザーを降ろし、自身も陣形の先頭にまで泳いで行く…準備は整った。
「では…帝國獣人騎士団『アスタル』指揮下、遊撃騎士隊…敵は我々に柔らかく、無防備な側面を差し出している。我々は奴らのその自己犠牲的な好意に存分に甘えようと思う」
尾に力を溜め、何時でも泳げ出せる用意をする。
「…全員。私に続け」
今までもよりも遥かに早い速度で泳ぎだす。まるで魚雷のようである。遊撃騎士の全員は水中に白い航跡を引きながら川辺を目指して突き進む。
「光学迷彩術式…発動」
それぞれが上陸すると、個々に闇夜に溶け込んでいく…今回は夜間とあって、黒い夜間迷彩塗装が施された鎧を着込み、隠密性を高めていたが、更に
周りの光の屈折率を変えることで周りの景色に溶け込む事が出来る『光学迷彩術式』を発動させることで恐ろしい程の隠密性を獲得する事が出来るのである。
幅数m程の間隔をもって帯状に遊撃騎士達は散開し、獲物へ向かって音も無く忍び寄っていく。
敵はゾンビやその他の真正面から攻撃を加える友軍に気をとられており、此方には全然気が付いていない。むしろ、周りの景色を一体化している遊撃騎士達を
捕捉するには、高性能の電子探索機器か優れた感覚が必要である。一般人に過ぎない共和国兵に、彼らの吐息すら感じることは出来ないだろう。
哀れな共和国兵達は悲鳴を上げる暇も無く、否、自分達が殺された事に気付く暇さえ与えられはしなかった。
姿と音も無く忍び寄った、爬虫類の血を引く獣人の騎士達によって、それぞれが携行していた武器で虫けらの如く…否、藁の様に殺されていった。
姿の見えない遊撃騎士達によって次々に共和国兵達をは屠られていく。
>709
「それならば貴様は周りの部下共々ここで戦死となるぞ?」
そう言って睨みつける。だが向こうは冗談と言い、彼等の扱いは保障するらしい。
「まあいい、とりあえず今は戦略的転進を行う」
握っていた手榴弾を雑嚢にしまい、軍刀を腰に掛け小銃を担ぐ。
そして並んでいる兵士の間を通り抜け、武器庫裏の操車場へ向かう。
先ほどのものと同型の車両がまだ2台ほど残っていたはずだ。
>700
>「お前は自分の状態が分かって物を言っているのか?これ以上俺の『ストーム・インフェルノ』を喰らえばバラバラになるぞ!」
>その声には先程の狂気は無く、父親が娘を厳しく叱り付けるような優しさが含まれていた。
「次は……喰らわなければ済む話なのだ!!」
どうやらルシカはインゼクトの技に彼女なりの対抗策を見い出したつもりらしい
そしてその時のインゼクトの優しさは、彼女には余裕とも感じられたようだ
全身をいよいよ激しく燃え上がらせ、必殺の一撃を放つべく突進して行く
「なんなのだその父親づら、笑わせるのだ!!貴様のその余裕がどこまで続くか見物なのだ!!」
>「悪いが俺は我侭させないように子供を育てるって言うモットーがあってな…貧ぬー娘の我侭は聞けん…」
>背中の翼をたたみ、ルシカに向き直る。その顔には、我侭を言う娘を諭す父親の微笑が浮かんでいるように見えた。
(この下等人型節足動物、まさか本気で……!?)
先程とは打って変わって穏やかな様子のインゼクトに向かい、渾身の力で腕を突き出すルシカ
「超必殺ドラゴンメラメラコークスクリュートリプ……ちっ!」
だがその途中で彼女は動きを止めた しばしインゼクトの様子を窺うように凝視する
それから、おもむろに一人で騒ぎだした
「だからなんなのだ貴様は!?笑みなど浮かべて戦う気がないのか!?
さてはさっきの頭突きのあまりの威力にただでさえ甲殻比率の多い脳味噌をやられたか!!」
怒ったと言うよりむしろ不貞腐れたように顔をふくらませ、ルシカは罵倒の言葉を浴びせる
「貴様如きと戦ってもしょーがない、このルシカに恐れをなしたのならばこの場は見逃してやるのだ!!」
そう言うと退屈そうに両手を頭の後ろで組み、インゼクトに背中を向けてしまった
「ほらほらほら、ルシカがうっかりよそ見なんてしちゃってる内にどこへなりと失せ消えるがいいのだ!!
とっとと行かないと背中からブレスで丸焦げにしてやるったらやるのだ!!!」
インゼクトに見せてはいないその拗ねた子供のような顔には、ほのかに照れくさそうな表情が混じっていた
>706
「ちぃっ!」
炎が当たる瞬間、戦闘機から何かが射出されるのが微かに見えた。
こんな時にミサイルを出す訳もない。何らかの脱出装置が機能したと考えるのが適当だろう。
「あの位置には…川か?」
戦闘機を撃墜した場所から落下地点を予測する。
「ジャカ」
「呼んだ?」
ミジクモが名を呼ぶとすぐに、黒装束の男が現れた。
「あそこの川まで…追いつくか?」
「トップスピードでなら余裕だけど…直線なら敵部隊を横切る必要があるから厳しいね」
「そうか…仕方ないか。諜報の方はどうだ?」
「それがさぁ…」
黒装束の上からも分かるほど落胆の色を見せる。
「ガード厳しくてなかなか深いとこまで分かりづらいんだよね…」
それを聞いても、ミジクモは特に表情を硬化させない。
「わかった。下がれ」
それを聞くと、ジャカは再びどこかに消えていった。
「こっちの被害はまだ不明だが…」
天幕が一つは壊されたし、負傷者も0であるはずがない。死者もいるかもしれない。
他方、あちらはせいぜい戦闘機一機。あとは消耗品のミサイルぐらい。
「負傷者は報告!天幕の予備はあるか!?」
特に被害を考えてもいられない。とりあえずは体勢を立て直さなくては。
>713
>「ほらほらほら、ルシカがうっかりよそ見なんてしちゃってる内にどこへなりと失せ消えるがいいのだ!!
>とっとと行かないと背中からブレスで丸焦げにしてやるったらやるのだ!!!」
>インゼクトに見せてはいないその拗ねた子供のような顔には、ほのかに照れくさそうな表情が混じっていた
「ふっ…お前って本当に餓鬼だな?この仕事が終ったら俺の家に遊びに来いよ?仕事とプライベートは別だからな…」
子供っぽいルシカの反応に思わず笑みがこぼれる。
周りが死体で埋め尽くされていなければ、昆虫人の青年と半竜の少女の微笑ましい光景であった。
「また子供が産まれてな。まだ名前を決めていないんだ…良かったら、名付け親になってくれないか?」
そっぽを向いているルシカに構わず語りかけるインゼクト。
「新に生まれたのは男の子四人に女の子二人だ。精々今度俺の家に遊びに来るまでに考えておけよ?
何時までも可愛いわが子を名無しにしておくわけにはいかないからな…」
言い終わると、インゼクトは背中の翼を広げ、ニ、三回試しに羽ばたいてみた。
「それじゃ。俺は先行させた部下の後を追わなきゃならん。こんな詰まらない戦いで死ぬお前だとは思わんが…」
アーマード・クローを取り外し
「元気でな?」
跳躍してルシカの前に降り立つと、その頭を優しく撫でた。
ルシカの頭尾を優しく撫でているインゼクトの手は、我が子を慈しむ父親のぬくもりに溢れた大きく無骨な手だった。
インゼクトはルシカの頭を優しく撫で終えると、そのまま先行した部下達の後を追って敵の戦列の中に消えていった…
「・・・っ!」
少時間の休憩を完了して、カイザーは目を覚ました
「変な夢を見た気がしたけど・・・良く寝たな」
身体を伸ばして次の戦いへの準備をする
(まさかあそこまで気の力を消耗するとは思っていなかったな・・・
次からは感情に流されてはいけない。ここは戦場だ、無駄な行動は死に繋がる)
カイザーは立ちあがって寝ていた間の戦域の気の動きの動きや変化を確かめる
(これは・・・やはり共和国が押されぎみか、・・・マズイな、このままだと帝國の奴等に負けてしまうぞ。
俺は後方の部隊の救援に向かった方が得策だろうな)
寝る前に作った魔方陣の結界を抜け出そうとするが・・・足を止める
(・・・何で俺はこんなに急いでいるんだ・・・命令が絶対だからか?
いや、元の世界に帰る方法など探せばいくらでも見つかるはずだ・・・あの共和国になんて義理も何も無いのに・・・
くそっ!・・・それに、罪のない人を殺めるのはもう沢山だ・・・)
この世界に来てから心の奥でずっと悩んでいた事が、遂に心の表に出てきてしまったのだ。
(俺が頑張ったところでどうせ戦況は変わりやしない。ならば、幾分か安全なこの場所で待機していた方がいいんじゃないか・・・?)
カイザーは結界内で立ち止まっていた。異世界での不慣れな環境での疲労がカイザーを弱気にさせているのだった
>711
川辺をしばらく歩いていくと、味方の隊らしき集団が視界に入ってきた。
ジャックはその場に伏せ、暗視ゴーグルを取り出す。
「警備基地の連中か」
ゴーグルを掛けてすぐに、彼は味方歩兵隊の異常を感じ取る。
立ち位置が川から近い順に、兵士が次々と倒れていく。
しかしジャックからは敵の姿が見えない。
歩兵隊にも敵を確認出来ないらしく、異変に気付いた数人が倒れた仲間に駆け寄るが
彼らもまた、小銃に手を掛ける間も無くその場に崩れ落ちた。
「……光学迷彩?」
脇に置いていた拳銃へ手をやり、敵の気配を窺う。
野戦演習はまずまずの成果であった。
近衛騎士団は最高の魔力付与の重装鎧と重装備を装備し、帝國内では最も優れた騎士団の一つとして数えられている。
その装備に匹敵するかのように、近衛騎士団を構成している騎士達も幼少の頃から特殊な訓練を施され、その肉体にも様々な強化魔術を施されている。
騎士個々の能力は高く、身体能力は獣人に、魔力はエルフに匹敵する。しかし、流石に初めて経験する野戦に皆戸惑いを隠せないようだ。
野戦では連携が必要となってくるが、近衛騎士団は城内や市街地での限られた空間での戦闘を得意とする。
無論開けた土地での集団戦闘は未経験である。
それでも、普段からの騎士各員の連携の高さからか、今回の演習相手になってくれた野戦専門にしている騎士団を相手に少ない人数で善戦した。
「この調子でいけば、前線でも活躍出来るか…」
ゼアハルトは部下達の仕事振りに素直な感想を漏らした。
「しかし、それ以前に我々が前線に立つことはないだろう」
まず近衛騎士団が前線に立つということは、余程戦況が切迫していない限りありえない。というかそのような状況下に陥れば勝敗の結果は目に見えている。
近衛騎士団に所属する騎士たちは、兵舎と私用の時にしかその黒い重装鎧を脱ぐ事は出来ない。
近衛騎士達は城内や城下町でも黒い重装鎧とフルフェイス兜を着用することが義務付けられており、素顔を人前に極力晒してはならないことになっている。
その人前に素顔を晒してはならない理由は定かではないが、近衛騎士団を創設した当時の王妃にその理由があるらしい。
近衛騎士団創設の理由…それは当時の王妃が自分の気に入った美男子を集めた事から端を発していると言われる。
その王妃は美男子が好きで、国中から美男子をかき集めては自分の夜の相手を務めさせたと言う。しかし、公に自分の性欲を相手する男を集めたとなれば
自分の夫である皇帝に気付かれてしまう。そこで王妃は、皇帝に自分や皇帝の身辺警護をする為だけの騎士団を創立する許可を求めた。
無論それはお気に入りの美男子達を自分の近くに置くための口実である。身辺警護よりも王妃は若い男を侍らせることを強く望んでいた。
当時の皇帝は、妻である美しい王妃に心底ほれており、王妃の望みを片っ端から叶えていたと言う。
直ぐに近衛騎士団は創設され、国中からは王妃の望むような美男子達が集められた。しかし集めた男が美男子ばかりとなれば流石に皇帝に怪しまれるだろう。
そこで王妃は近衛騎士達に、自分の相手と私用以外の時は兜を取ってはならぬことを義務付けた。そうすれば自分が集めた近衛騎士達が美男子とは気付かれない。
王妃の欲望から創設された近衛騎士団。創設からかなりの時間が経つが、近衛騎士団には未だに当時の入団規定があった。
入団を許可される騎士は、それ相応の容姿が求められる事であり、年齢は十代〜二十代でなければなかった。
更に、当時の王妃は穢れの無い者を好んだという…つまり、性経験の無い美男子でなければならないのであった。
周囲を警戒しながら車を走らせる。
この車両は米軍のジープとかいう車両に似ている。
先ほど敵兵が無線をいじっていたが、何をしているのか。
積んでいる車載無線をあの無線の周波数を合わせた。
「降伏勧告か……」
急いでそれに割り込んで通信を始める。
「生存部隊応答せよ!こちら国境基地部隊!我が隊壊滅せり!
されども敵戦力は弱小なり!至急再集結を開始せよ!集結地点は……」
周りを見回し手近な目標を探すとちょうどいいものが見つかった。
「集結地点は基地西方の廃村!以上、通信終わり」
敵に渡っている唯一の無線は現在降伏勧告を送信中だった。
それならば受信されないはずだ。
>718の続き
無論その入団規定は今も守り続けられているが、今では近衛騎士団は純粋な特務を担当する騎士団となっている為、その規定とはあまり関係がなくなっている。
というか皆幼少の頃に集められ、特殊な訓練と強化魔術を施されてきた者達であるから、その規定の一つの『穢れなき者』を自然と守っている形となるのであった。
それに当時は王妃の相手をすることは義務付けられていたが、今ではそのようなことは無い。帝國近衛騎士団『黒翼の騎士団』は純粋な戦闘集団となったのであった。
しかし一つだけ近衛騎士団の騎士達には悩みがあった。近衛騎士達は自分達の任務に誇りを感じていたが、彼らの特性上、避けては通れない事態が発生するのであった。
近衛騎士団の騎士たちは異常と言っていいほど女性と接する機会がないのである。それはもう異常すぎる程である。
皆幼少の頃に近衛騎士となるべく、とある訓練施設で少年期の多くを過ごす。この時点で外界とは隔絶され、会う人間も限られてくる。
ようやく近衛騎士過程の訓練を終え、近衛騎士として騎士団へ編入されても、彼らの女性との出会いの悪さは変る事は無かった。
広大な城内の警備をも近衛騎士団は担当している。ちなみに城内の警備には他の騎士団の女性騎士も担当し、彼女らは彼ら近衛騎士達と一緒に警備任務に就くこともあるが…
近衛騎士達は常に黒い重装鎧にフルフェイス兜を身に付けており、素顔は勿論分からない。近衛騎士達にしてみれば折角の好男子の素顔を晒す事ができないのである。
しかも近衛騎士達は幼少の頃から特殊な環境で育てられてきたので、近衛騎士団以外の人間と話をすることが苦手なのである。
姿を晒せる事無く、自分を表現する術も持たず、彼等近衛騎士達は「詰まらない男」として見られているのである。
他にも城内にはメイドなどもいるが、無論彼等近衛騎士達はそれらの女性との付き合い方も知らない。
ちなみに近衛騎士達は皆若く、十代後半から二十代前半の若者ばかりであるが、騎士団の大半は十代後半の若者、というよりもあどけなさの残る少年達によって構成されている。
女性に興味が一番湧く年頃に、女性との接し方を知らない近衛騎士達…魅力的な年上の騎士の御姉さんに可愛いメイドの女の子が沢山いる環境にいるにも関わらず、何も出来ない
のは辛いだろう。その中で何とかして恋人が出来ようものならば、仲間から尊敬の眼差しで見られるのである。
とまぁ、そういった困難な状況下で近衛騎士達は任務に励んでいるのである。
ゼアハルトは兵舎に部下達と共に戻ると、演習の汗を流し、執務室に篭った。
>701
>腐肉の巨人は崩れつつあった。倒れ込もうとした瞬間に、強い祈りを受けたのだった
「よおくやったな!!さすがは俺の生徒達だぜ!!」
「先生!!」「先公っ!!」「教官!」
いつの間にか師弟関係になっていた元教師と神官達は互いの健闘を称えあっている
だがその時、ゾンビ達が声を揃え邪悪な笑いを上げ始めた
突然現れた黒い力が祈りの力と攻めぎ合う中声が響く
>「はっはっは、未熟な聖職者の諸君! 私はネクロマンサー。ゾンビ達の主です。
>今日のところは私の負けと致しましょう。貴方方の指揮官に功績を誇られるがよろしい」
「な、なんだ、この邪悪な気配は!?」「まだ親玉が残っていたと言うのか!?」
腐肉の巨人を通してネクロマンサーの気配を感じとった神官達は、その強大な暗黒の魔力に恐れをなした
>「ただし……生き残ることができた方だけが、功績を誇りなさい。はっはっは。心配なさることはありません。
>貴方方が未熟な聖職者でないのならば、神が守ってくださることでしょう!」
だがその言葉が終わると同時に先ほど現れた黒い力は消え、残った腐肉の巨人は塵となった
「は、ははは、やったみたいだな?」「えばって出て来たわりには口ほどにも無い奴じゃったわい!!」
危機が去ったと思った神官達は皆で喜びの声をあげ、教師だった男が爽やかにまとめようとする
「よおし、みんなであの夕日に向かって走るんだ!!」
「も、もうへとへとで走れないですよ!」「…てゆうかもう沈んでます」「やだなあ先生、あははははは」
その場に和やかな空気が流れたその時…
>消失したかに見えた黒い力が突如、神官達の足元から間欠泉のように噴き出したのだった。
「う、うわあああああ!!」「こ、これが奴の力だと!?」「駄目だ、耐えきれないっ!!」
>先ほどの祈りとのぶつかり合いで力が削がれてはいるが、それでもまだまだ生物を殺傷するだけの威力を
>保っている。神に背いた邪悪な力が、神に仕える者達に向かって真下から遅い掛かった。
完全に虚を突いた黒い力の襲撃に算を乱した神官達は、とっさに自分を守る防御膜を張るのが精一杯だった
だがネクロマンサーの凶悪な魔力に押され、それすらも崩れ去り全員が犠牲になるのは時間の問題だろう
ついでに組体操で体力を使い果たして逃げる事すらままならなかった
「だが我々はよくやったさ…」「ああ、あの巨人を倒したんだからな」「一緒に神の国へと召されようか…!」
彼らは既に諦めの表情を浮かべ、このまま仲間達と共に最期の時を迎えようとしている
だが一人だけ、まだ諦めていない男がいた 教師だった男は黒い力に体を侵食されながらも、神官達に檄を飛ばす
「馬鹿言うんじゃねえ!周りを見てみろ!!」
戦場にはまだ、腐肉の巨人の攻撃や撒き散らされた毒液によって傷付いた傭兵達が倒れている
中には早急に手を施さなければ命が無い者もいるだろう
「お前達は助けの必要な仲間を置いてこのまま楽になっちまおうってのか!?
それだけじゃねえ!!あっちには今も戦ってる連中だっているだろうが!!
お前達の仕事はまだまだ終っちゃいないんだよ!!!」
男の言葉は多少神官達を勇気付けたが、彼らにはもうそれ以上の気力は残っていない
「駄目だ駄目だ駄目だ!!お前達みんな気合いが全然足りねえ!! 全員、この場で腕立て伏せ1000回だ!!!」
彼は竹刀を振り回すと、嫌がる神官達に無理矢理腕立て伏せをさせ始めた へばる者は容赦なく叩く
もはや体力も気力も尽きた神官達だったが、死力を振り絞って運動を続けるしかなかった
彼らは強く祈った 助かりたいと、いろんな意味で…
その祈りがいつしか限界を越えた力を呼び寄せたのだろうか、神官達の体から再び光の力が放たれる
その光が黒い力をなんとか押さえている様を見て、元教師は満足げに呟いた
「どうだ、見たか…こいつらだって未熟ななりに、やりゃあ出来るってこった…
へへっ…それに聖職者ってのは、何も神に仕える奴らだけじゃないんだぜ……」
邪悪な力に体の精気を吸い尽された男の体は塵へと変わってゆく だがその最期の表情は、なにかをやり遂げた漢の顔だった
光と黒い力とが互いに打ち消し合って収まった時、神官達は初めて自分達が助かった事に気付く
だがそこにあの男の姿はなかった
「先生えええええ!!」「先公うううう!!」「師匠おおおおおっ!!」「導師いいいいい!!」
神官達は思い思いに彼の事を叫び始めた 沈んでしまった夕日に向かって
そうすれば、どこかへ消えた彼らの教師に声が届くような気がした
>715
>「新に生まれたのは男の子四人に女の子二人だ。精々今度俺の家に遊びに来るまでに考えておけよ?
>何時までも可愛いわが子を名無しにしておくわけにはいかないからな…」
ルシカは答えない いや、答えられなかった
思いもかけないこのほのぼのとした雰囲気に毒気を抜かれ、なんと言ったらいいのかわからなかったのだ
>「それじゃ。俺は先行させた部下の後を追わなきゃならん。こんな詰まらない戦いで死ぬお前だとは思わんが…」
>「元気でな?」
「……ふん、お前こそ戦の最中に子煩悩な事を考えて命取りにならぬよう、せいぜい気をつけるがいいのだ!」
インゼクトが立ち去る気配を見せたので、これが最後とばかりに憎まれ口を叩こうとするルシカだったが…
「竜族の諺に曰く……こ、こら!なにをするのだっ!?」
>跳躍してルシカの前に降り立つと、その頭を優しく撫でた。
「やめるのだ!うあっ、うかつに撫でると逆鱗に触れるぞ!…ああもうっ、子供じゃないのだ!!」
許容限界をはるかに越える照れくささにすぐにでも抵抗を試みようと考えたルシカだったが、
赤面のあまり振り向く事が出来ず固まってしまう 今の顔を他人に見られるなど恥辱の極みだ
結果、彼女の抵抗は手足と、ついでにしっぽや翼を軽くばたつかせる程度にとどまった
>インゼクトはルシカの頭を優しく撫で終えると、そのまま先行した部下達の後を追って敵の戦列の中に消えて行った…
「まったく、最後まで人を子供扱いして行くとは無礼な下等人型たわけ昆虫なのだ!
だが参ったぞ………ルシカはネーミングセンスには自信が無いのだ…」
などと一人でぶつぶつ言っていたが、すぐに状況を思い出し我に返る
「おっと、そんな場合ではないのだ!ここは戦場!! それでもってルシカはまだまだまだまだ戦い足りないのだ!!
……おいそこのお前達、ルシカのためにひと働きするのだ! さもなくばひどい目にあわせるのだ!!」
ルシカはその辺りにいた手空きの部隊の魔術師にいくらか回復魔法をかけさせると、戦いの指揮をとるべく前線へと出て行った
>721-722
> 「だが我々はよくやったさ…」「ああ、あの巨人を倒したんだからな」「一緒に神の国へと召されようか…!」
「ふむ……所詮はその程度の信仰心でしたか。やれやれ。この世界にも、まともな聖職者など存在しないようですな」
あまりにも呆気なく斃れようとしている神官達に、他のゾンビを通して様子を見ているネクロマンサーは、
興醒めしたような溜息をついた。かつて戦った教皇直属の聖堂騎士団はこの程度では斃れなかったというのに、
なぜこの神官達はこの程度で斃れるのだろうか。ネクロマンサーが神官達が死に行く様を眺めているのは、
最早呪いを送った者の義務という、ただそれだけだった。野戦病院前に佇むネクロマンサーは、つまらなそうに欠伸をした。
これほどまでに自分を退屈させた者達だ。もし生き残りが出るようなら、次こそは全滅させて罪を償わせねばなるまい。
> 「お前達は助けの必要な仲間を置いてこのまま楽になっちまおうってのか!?
> それだけじゃねえ!!あっちには今も戦ってる連中だっているだろうが!!
> お前達の仕事はまだまだ終っちゃいないんだよ!!!」
「……はて? どうにも神官には見えませんが……しかし、この状況下でまだ強固な意志を保っているとは、
なかなかどうして大したものですな」
だが、どうでもよさそうに様子を眺めていたネクロマンサーの態度が、元教師の男の言葉を聞いた瞬間に変わった。
欠伸交じりだったネクロマンサーは、元教師の言葉を聞いた途端に姿勢を正し、その様子を注視した。
ネクロマンサーは死者に微塵の敬意も抱かない男だが、敬意を払うに足りると認めた生者には敬意を払う男だった。
> 「どうだ、見たか…こいつらだって未熟ななりに、やりゃあ出来るってこった…
> へへっ…それに聖職者ってのは、何も神に仕える奴らだけじゃないんだぜ……」
「ふむ………なるほど。確かにそのようですな。全面的に貴方の主張を認めましょう。確かに彼らは
未熟ではあってもこうして生き残りました。確かに貴方は神に仕えているように見えませんが、聖職者です」
ゾンビを通して神官達を見ていたネクロマンサーは、誇りを見せて死んでいった元教師に数秒間の黙祷を捧げた。
もし生き残りがいるようならば、もう一度死の力を送ることまで考えていたネクロマンサーだったが、
どうやらそのつもりはもうないらしい。
「ただ今より、我々不死騎士団は狂竜傭兵団に対する攻撃を終了致します。
これはよいものを見せて頂いたことに対する、私からのささやかなお礼ですよ」
神官達の近くに転がっていた共和国軍兵士の死体をゾンビ化させると、
ネクロマンサーはそれの口を通して狂竜傭兵団に通達した。
こうしてネクロマンサーによる狂竜傭兵団への攻撃は終了した。
戦う理由を持たない、いや持てないカイザーは結界内から動かない
(そうだ・・・ここにいれば俺は安全なんだよ・・・
それに、この世界に俺を本当に必要としている人なんていないさ・・・)
「貴方が弱気になっているなんて初めて見ましたよカイザーさん」
急に背後から声を掛けられて驚いたカイザーはハッと後ろを振り向く
その先には・・・頭から角を生やした白い聖馬、ユニコーンが四本足で立っていた
「ば、馬鹿な!ユニコーン、なんでこの世界にお前がいるんだ!?」
カイザーの問いに、優しく微笑みながらユニコーンは答える
「ふふ、僕はいつも幻獣界から呼び出されて貴方の世界へ行くのです。
ここが貴方にとっては遠く離れた別世界でも、僕にとっては近くの隣町に行くぐらいの感覚なんですよ。
あ、ちなみに僕は世界を自由に行き来できますけど、カイザーさんは一緒に連れていけません。
世界を越える時に貴方の身体が世界の壁に耐え切れなくてバラバラになってしまうでしょうから」
当然のようにそう言い返したユニコーンであるが、納得のいかない表情をしたカイザーが問いを続ける
「いや、そういう事じゃなくて、どんな理由でこの世界に来たんだ?」
少し沈黙した後、ユニコーンは口を開く
「・・・貴方の心が敗けていたからですよ。」
「何!?」
カイザーは声を張り上げたがユニコーンはそれを気にせずに話を続ける
「だってそうでしょう?貴方は聖騎士なんですよ、その聖騎士である貴方が何でこんな所でジッとしているんですか?
貴方はここで悩んでいるだけで満足でしょうけど、その間にも戦争によって人々は死んでいきます!
何の為に貴方は聖騎士という職業になったのですか?・・・貴方が諦めてしまったら、世界は絶望に包まれてしまいます
だからカイザーさん、今戦わなくていつ戦うんですか!?ブレンテル流の聖騎士は逃げる事が役目なのですか!?だったら貴方は・・・」
「・・・もういいよユニコーン」
カイザーは、ユニコーンの話を止めて真剣な表情で続けて言った
「お前の言う通りだ。俺はこんな所で立ち止まっている場合じゃなかった・・・苦しんでいる人はこの世界にもいたのだからな
世界が違くて少し戸惑っていた。それで俺の弱い心が表に出てきてしまったようだ・・・心配かけてすまなかった。
帝國がこの戦況で優位に立っている?・・・逆転の楽しみが増えただけさ、一騎当千ってものを見せてやるよ
お前はさっき『世界が絶望に包まれる』って言ったよな?・・・・・・こんなセリフを聞いた時に俺が言うセリフは分かってるよな?」
「は・・・はい!」
自信を回復させたカイザーの声を聞いたユニコーンは明るい表情をを浮かべながら返事をする。
そしてカイザーとユニコーンは声を合わせてこう言った
「「どんな絶望も、俺が輝きに変えてやるさ」」・・・と
「・・・さてと、ここまで来てくれたんだから協力してくれるよな」
カイザーの問いにユニコーンは答える
「当然です、僕はその為にこの世界まで来たんですから」
「ありがとう・・・よし、それじゃ行くぜユニコーン!!」
カイザーは聖馬ユニコーンにまたがり戦場へと舞い戻ってゆく。その姿は聖騎士と呼ぶに相応しい出で立ちであった
>710
(ちっ…最初から本気を出せばよかったな…)
いまさらながら、自分の行動を悔やむ。血が止まらない。
体が動かずに立っているのも辛い。
>カイザーは動かない・・・いや、動けないのであろう、
それはカイザーも同じなようだ。気力で腕を動かし、剣を地面に突き刺しながらカイザーに近づく。
だが、
>「俺はここで死ぬ訳にはいかない。俺を卑怯者と罵りたくば好きにしろ
>・・・ホーリーフラッシュ!!」
>突然、カイザーの身体から激しい光が放たれて それが辺りを包む。
>カイザーは目晦ましの光を放ったのだ。
「うっ!?…くそ、やられたな。」
まともに眩い光を見てしまい、物が見えなくなる。
>「ツィーブ、今度はお互いベストな状態で戦おう。
>お前は、体力を消耗している俺に遠慮して全力を出していなかったみたいだからな。・・・それじゃ、またな」
>・・・辺りを包んでいた光が消えた時、既にカイザーはその場にいなかった。
「…望む所だ。必ず。戦おうな。」
光が消えた後、カイザーが居た場所に呟く。
(さて…友軍も…敵軍も居ない…か。)
そのまま地面に倒れこんでしまう。出血が酷い。
>719
「共和国の皆さん、悪いことは言いません。投降してください。…と、
これでいいもんなんでしょうか?ぜんっぜん反応とか分かんないですがね…」
腕組みをして悩むシャルル。そんなシャルルにコルネムが言う。
「まあ、ええでしょう。…ところで、そろそろ最後通告でしょうかな?」
『フェリペ』の軍はあらかた揃っている。
彼らはこのまま共和国軍の後ろを突き、友軍と挟み撃ちにし、敵を打ち負かすつもりだ。
「そうですね。では…おや?」
ガタンと音がして振り返ると若い兵が無線機を落としていた。
全員が険しい顔で犯人を睨む。と、無線機から声が聞こえてきた。
>「生存部隊応答せよ!こちら国境基地部隊!我が隊壊滅せり!
>されども敵戦力は弱小なり!至急再集結を開始せよ!集結地点は……
>集結地点は基地西方の廃村!以上、通信終わり」
「ははあ、あの人。ですか?頑張っていますね。」
「しかしこうなれば、もはや」
「「情けは無用。」」
鈴木中尉の呼びかけを聞き、気が変わる。
軽装歩兵隊、歩兵隊、重装歩兵隊を素早くならべ、共和国軍に向け前進。
「我々もなめられたもんです…やってしまいますよ!皆さん!!全員、突撃ィイイ!!」
『フェリペ』が共和国軍に突撃、挟撃作戦を展開する。
>704
>「ん?………これはこれは、お美しいお嬢さん方。静寂であるべき医療の場を騒がせてしまったことを詫びましょう」
>門が開く音を聞いたネクロマンサーは、病院の関係者が駆けつけてきたのだろうと思って振り向き、軽く会釈をした。
一見紳士風に見えるこの男性に対してイザベラが抱いた第一印象は、『嫌な男』であった。
ネクロマンサーから漂う陰鬱な魔術を使役する者の魔力を、医者でありながら高位の法術師であるイザベラは感じ取っていたのだ。
「いいえ。侘びる必要などありません。貴方が何者かは知りませんが、貴方のように穢れた力を使役する者はこの場に相応しくありません。
即刻立ち去っていただいた方が此方としては助かります」
無論、命を重んじる職業に就いているイザベラはこの仕事に対して誇りを持っていたし、命を救うことに今までの青春の日々を捧げてきたのだ。
だからネクロマンサーのように、自分の対極に位置するような人間は嫌いだった。死者の肉体を使役し、死者に更なる苦痛を与え、戦いに赴かせる…
ようやく安らかな眠りについた死者に対する冒涜。イザベラはそれが一番嫌いだった。
その場にいる全員が、イザベラの態度や言動から、イザベラがネクロマンサーを嫌悪しているのがはっきりと見て取れた。
>ネクロマンサーが指を鳴らすと、ドラゴンゾンビがゾンビで出来た袋をゆっくりと下ろし、袋を構成していたゾンビ達が
>さっと分解され、負傷者達が地面に横たえられる。
イザベラはその一連の様子を見ると、部下に目配せをした。
直ぐにその場でドラゴンゾンビによって運ばれてきた負傷者たちは、イザベラと共に病院内からやってきた看護兵と回復法術師によって応急処置が施され、
控えていた陣地防衛担当の男性兵の担架によって運ばれていった。
「あの負傷者の方々をここまで運んで頂いたことには素直に感謝します…先程の非礼をお詫びさせて頂きます」
そういって一礼したが、直ぐに顔を上げると、先程と同じように嫌悪の表情を浮かべていた。
「しかし、何度も言うようですが…」
>「ああ、そうそう。私はある程度の医学知識がありますし、魔術も使えます。何か手伝えることがあったらお手伝いしますよ。
ネクロマンサーは此方の話を聞いてはおらず、淡々と話し続けていた。
「あ…」
口を開きかけるが、
>そう、たとえば簡単な外科手術くらいならばできますし、死体の防腐処理などもできますから、ご遠慮なくどうぞ」
直ぐにネクロマンサーの話で出鼻を挫かれる。イザベラはこの男を追い返すことは不可能だと思い、
「…分かりました。では貴方に手伝って貰いましょうか……」
素直にネクロマンサーの、決して彼の好意からきているとは思えない申し出を許可した。
「それでは此方へ…貴方にはこれから運ばれてくるであろう重傷者の応急手当てをお願いします」
踵を返して病院の方へと戻り、ネクロマンサーを院内へと案内する。
「緊急治療室は一階のロビーを右に曲がった所を道なりに行けば直ぐに着きます…というか、一番騒がしいところが治療室となっていますから…」
どうやらそのようだ。既に前線から運ばれてきた負傷者達の苦痛にのた打ち回る声や、彼らに手当てを施す看護兵や回復法術師の忙しく働く
喧騒が、扉を入った直ぐのところにあるロビーにまで響いていた。
「それと一応言っておきますが…」
ネクロマンサーを案内していたイザベラが、ネクロマンサーを振り返った。
「死体安置室は地下にありますが…勿論、彼らに手を出したらどうなるか分かりますよね?」
イザベラの顔はいつもと変らず美しかったが、その黒曜石の瞳にははっきりとした脅しの色がうかんでいた。
「その時は帝國野戦病院『戦乙女』…総勢300余人が相手になります」
にこっと最後に微笑んだ。それは限りなく穏やかな微笑であったが、はっきりとした脅迫のメッセージが込められていた。
>727
(おやおや……初対面から嫌われてしまいましたね。
しかし、美人に睨まれるというのは何とも背徳的な快感が沸き起こってくるものですな)
嫌悪感も露わなイザベラの表情を見て、ネクロマンサーは苦笑を浮かべた。予想通りといえば
予想通りだが、どうにも帝國には心にゆとりのない者が多いようだった。対して、ネクロマンサーは
ゆとりばかりで中身がまるでないような男だったので、人のことは言えないが。
> 「それでは此方へ…貴方にはこれから運ばれてくるであろう重傷者の応急手当てをお願いします」
> 「緊急治療室は一階のロビーを右に曲がった所を道なりに行けば直ぐに着きます…というか、一番騒がしいところが治療室となっていますから…」
「ええ。わかりました。少なくとも、私が担当する患者の生命だけは保証しましょう」
偉そうなことを言いながら、周囲から向けられる非友好的な視線にもめげずにネクロマンサーは悠然と後をついていく。
「ふむ、ロビーの……ああ、まるで戦場のような状態になっている所に行けばいいのですね?
なるほど、わかりやすいご案内をしてくださってありがとうございます。ふむ、右に曲がって、それから……」
イザベラの案内に返事をしつつも、実は壁にかかっている案内板を眺めているネクロマンサー。
どうやら、イザベラの神経をとことんまで逆撫でしてみるつもりらしかった。よほど退屈しているのだろう。
> 「死体安置室は地下にありますが…勿論、彼らに手を出したらどうなるか分かりますよね?」
> 「その時は帝國野戦病院『戦乙女』…総勢300余人が相手になります」
「ははは。敵でもない美しいお嬢さん方と刃を交えるつもりなど、毛頭ありません」
イザベラの脅迫など馬耳東風といった面持ちで余所見をしているネクロマンサー。ここで死者に手を出せるかどうかなど、
言われる前からわかっている。今更言われるまでもなかった。
「おや?」
運び込まれてきた兵士が息を引き取るのを目にした。どうやら運び込まれてきた時には手遅れだったらしい
その兵士は、ネクロマンサーが助けてここに連れてきた内の一人だった。その横では、応急手当を行っていた
看護婦が沈痛な面持ちで死者を眺めている。無念さを噛み締めているのだろうか。本来ならばネクロマンサーには
関係のないことだったが、死者とは多少の縁がある。ちょっとした手品くらいならばしてもいいかもしれない。
「どれ、少し見せて御覧なさい……手遅れになる前に早くしなさい!」
一瞬躊躇した看護婦を押しのけると、ネクロマンサーは死体に手を翳して禍々しい呪文を詠唱し始めた。
呪文の気配を察して制止しようとした看護婦を視線で圧倒し、そのまま詠唱を続ける。
「………留まれ、留まれ……」
ネクロマンサーの呪文は、死者の肉体に魂を引き止める呪文だった。泣き叫ぶ魂を黒いオーラが肉体に押し戻していく。
「時に精神は肉体を超越します。死した肉体とはいえ、魂が戻れば多少の間は心臓も動きますよ。
ですから、今の内に手当てを再開なさい。今なら、まだ間に合うかもしれません」
言って、イザベラの眼前に立ってイザベラを見下ろし、からかうような視線を向けながら言った。
「力に綺麗も穢いもありません。あるのは、どう使うか。ただそれだけですよ。貴方の言う穢れた力は、
こうして一人の命を救いました。何かご不満がおありですかな?」
ネクロマンサーはこれを言いたいがために死者を救ったのかもしれない。外見通り根に持つタイプなのだろうか。
軍隊気質・効率主義の徹底された前線基地内にあって、
執務室の仰々しいテーブルは周囲の風景とまるで相容れない異様な存在だった。
脚付きの白いプラスチック衝立に囲まれて、基地総司令官ワレスタイン中将は
そのテーブルを隅から隅まで磨き続ける。
デズモンドが入室した時、中将は丁度机を拭き終え、汚れた雑巾を洗うために
席を立とうとするところだった。
「中将、戦況が思わしくない。陸・空部隊の再編成を」
「そろそろ君の来る頃だと思っていたよ、大佐」
老将は顔を上げ、デズモンドを見遣った。そして雑巾をシンクに放り込み、
「第六歩兵中隊が全滅、第八十一戦闘機小隊隊長が墜落。
対竜車両『チャイム』は自爆、残る傭兵隊も何時まで持つか」
「スズキ中尉から通信が。
警備基地北西の廃村に、生存した歩兵隊に集結せよ、と」
「元帥直属のVIPだ、彼は……。救出部隊を編成する。
第十歩兵中隊から二個小隊、ヘリで回せ」
「了解」
デズモンドは指示を受け、部屋を後にした。
(>729続き)
デズモンドと入れ替わりに、年老いた小男が執務室へ入っていった。
150cm程の身長に骨張った手足だが、赤銅色の肌と、無数の深い皺が刻まれた
厳つい顔付きが、肉体のかつての逞しさを物語る。
彼が共和国軍にとって大統領以上の最重要人物、
兵器技術者「オールド・スクラッチ」の最長老「ニック」である事に
デズモンドは一目で気付いた。
(現地視察とはご苦労な事だ)
「オールド・スクラッチ」―共和国学会の元老院。
ドワーフの科学者数名によって構成されたプロジェクト・チーム。
彼らは例外無く、公式資料においては「死亡」が確認された科学者たち。
本国のとある鉱山、その地下深くに建造された極秘施設が彼らの住居だ。
「スクラッチ」たちは間違い無く死人だが、クローン技術、ニューロAIによる人格再構成、
コールドスリープ、あるいは一種のネクロマンシーが彼らを蘇生させたと言われている。
彼らの本体は地下施設に保管された巨大な人工神経系であり、
その意思決定は「モニター」と呼ばれる有機アンドロイドを通じて行われていた。
幾度もの生と死が、元来科学者万有であった彼らの狂気を増幅させていた。
かつて科学の父と言われた彼らは、今や太古の悪魔―「オールド・スクラッチ」
と呼ばれ、畏怖されている。
「スクラッチ」の凶気の発明、共和国軍の切り札。
(>730続き。これが最後です)
「戦況は思わしくない様だな。君のお抱えの空軍大佐が、渋い顔をしとったよ」
ドワーフの老人が言う。
「戦線が延び延びも良い所なもので。無理矢理にでもあと一万人、
最低一万人は補充しますよ。機甲師団の多脚戦車が、戦果上々でしてね」
「例え負けたとしても、気に病む事は無い。
『プレゲトーン』『ステュクス』は完成した」
「レールガンですか?」
本土決戦へ備え、共和国軍は最終防衛ラインを二門の砲台の射程距離内に置いた。
万が一<北方回廊>を突破された際には、諸々の対竜兵器と、
この超大型電磁砲台で帝國軍を迎撃する予定であった。
「新兵器のお世話にならない様、精々踏み止まってみせましょう」
「健闘を祈るよ」
ニックは、まるでデスマスクみたく気の無い笑みを浮かべる。
願わくば、さっさと戦争を終わらせてこの狂人を抹殺したい、
ワレンスタイン中将はふと思う。この男に頼るくらいなら、まるで期待していなかった
あの異界からの助っ人にでも、すがろうかと考える。
おそらくは役場だったと思われるコンクリートの建物に身を隠す。
ここまで乗ってきた車両にも草木等で簡易擬装を施した。
しばらくすると村内に共和国の軍服を来た兵士が何人も集まってきた。
だが、そろいも揃ってどこかしらに負傷を負っている。
集まったのは38人ほど。かき集めても武装は小銃29丁に拳銃32丁。
それと武器庫から持ってきた手榴弾が24個ほど。
とりあえず比較的軽傷の歩兵に小銃を配り、戦闘部隊を組織した。
残った兵士には拳銃を配り、重傷者は役場内で衛生兵に治療させる。
「いいか?確かに敵軍は頭数が多い。だが戦争とは頭数だけが強さではない。
十分に遮蔽物はあるんだ。これを生かして奴らを殲滅する」
役場内で見つけた地図を使いこの役場を中心とした部隊配置を説明する。
そもそも本気で敵殲滅は狙ってはいない。友軍到着までの時間稼ぎだ。
>726
遠くから大勢の足音が響いてくる。
「敵部隊が追ってきた様だな・・・絶対に声を出すな。
敵兵は確実に殺せ。狙ったら逃がすな」
その命令だけを言い渡すと全ての部隊が展開を開始した。
戦場を疾風のように駆け抜けるユニコーンは前を向いたまま自分の背中に乗っているカイザーに話し掛ける
「カイザーさん、敵陣の深くに突貫するのはいい事だと思いますけど
何か作戦でもあるんですか?無暗に突っ込むのは命取りですよ」
その問いかけにカイザーは悩む事無く返事をした
「作戦なんて無い、俺が敵陣深くに行けば帝國の兵士も俺に気を取られるはずだから それを信じるだけさ」
ユニコーンは呆れていた、カイザーという男はいつもこうなのである。
大した作戦も考えずに敵陣へ突っ込むという、いつもの冷静な性格からは考えられないぐらい単純な考えだ
だが、こういう意味の分からない自信を持った時のカイザーは強い。その勇姿はいつも味方に希望を抱かせるのだ
(こんな選択の余地の無い理不尽な戦いも きっと乗り越えてくれますよね、だから・・・信じてますよ、カイザーさん)
「・・・来るぞ!」
カイザーが声を発したとほぼ同時に帝國軍の兵士たちが、カイザーの周りを囲むように走ってきた。
その数はおよそ二十人。全員が殺意と剣を持ちながらカイザーとユニコーンへ飛びかかってくる
「どこの誰だか知らないが・・・相手が悪かったな!」
カイザーが拳を天に振り上げると、飛びかかってきた敵全員が見えない何かに吹き飛ばされて地面に叩きつけられる。
「今、俺が何をしたのか貴様達には分からないだろう。それでは俺に勝つ事は出来ない」
カイザーは騎乗したまま気絶している敵兵達に話し掛ける。
だが背後から気絶しなかった一人の敵兵がカイザーの首目掛けて剣で斬りかかってくる。カイザーは動かない…気付いていないのだろうか?
しかし敵兵はカイザーに触れる事無く後方へ吹き飛ばされて気絶する。ユニコーンのバックキックが炸裂したのだ
「カイザーさん。僕にまで出番をくれるなんて相変わらず余裕がありますね」
「さあ、俺が後ろの敵兵に気が付かなかっただけかもしれないぜ」
相変わらず嘘も下手ですね・・・と思いながらユニコーンは続けて話をする
「それにしても、さっきの攻撃・・・アレは一瞬だけの闘気の開放による気の波動の圧力ですよね」
「ああ、良く分かったな。敵は空中に浮いていたから少しバランスを崩してやれば楽に倒せると思ったからさ」
簡単そうにそんな事を話しているが、それはかなりの難技である。
しかも背後の敵を一人だけ残して全員気絶させるなど、かなり気の扱いが上手くないと出来ないだろう。
感心する間もなく、敵軍の本陣目掛けてユニコーンは再び走り出した。
良スレage
735 :
名無しになりきれ:05/02/08 19:04:09
>>1に謝罪を
皆さんようこそいらっしゃいました。
ここは国内某所にある私立天道学園。
町一ツ分の敷地面積を誇る、幼稚園から小中高、大学まで一貫の超巨大学園都市です。
この学園では、他の学校では決して味わえないスリルや冒険、およそ“平穏”以外の全てに満ち溢れた学園生活を約束されます。
定番の学園七不思議から巨大図書迷宮、地下の大洞窟、異世界へ通じる魔の森、様々な怪異が跳梁跋扈する暗黒街など、好奇心と冒険心を刺激するスポットには事欠きません。
私はこの学園に古くから棲む精霊です。
皆さんにはこの学園の生徒や教師などの人物を演じて、
冒険と怪奇に満ちた学園生活を謳歌していただければ幸いです。
細かい設定やらルールは、追って書き込みます。
誤爆乙
737 :
名無しになりきれ:05/02/08 19:51:39
>736
誤爆ではない。
738 :
名無しになりきれ:05/02/08 20:28:51
誤爆記念age
>733
「はて…こんな所までただ一騎で突き進んでくるとは…。
相当自分の腕に自信を持っているのか…あるいはただの命知らずのバカか」
両方なのかも知れないな、と思いながら、
兵士をなぎ倒しこちらに向かってくる騎士風の男をミジクモは凝視していた。
共和国には居そうにもない、帝國風の出で立ち。しかしよく見ると帝國とも似つかぬ形容をしている。
「更にこの強さ…となると召喚されてきた者か」
召喚者とすれば、相手の手の内は全く読めない。ミジクモが全く知らない攻撃をしてくる可能性も。
「さっきのあの攻撃…」
全く触れることなく襲いかかる兵を一網打尽に突っ伏させる。
ここからはよく見えなかったが、魔法のように見えて明らかに違う。
だが正体を考えたくても、そんな悠長な時間はない。今はとりあえず奴を止めなければ。
こちらに近づいてくるにつれ、男が乗っている馬が、馬ではないことに気づく。
「…あの馬…一角獣か?」
どこから連れてきたかに興味はあるが、ユニコーンであろうと特に動じてもいられない。
「だがここには…近づけさせんよ」
カイザーを打ち倒さんと出ようとする兵を制し、伏兵に目で合図する。
本陣守備兵のうち、長槍を持つ者を集め、本陣の四方に潜ませておいた。
本陣に攻めようとする手負いの部隊を殲滅するためで、たった一騎に使うつもりではなかったのだが。
「そろそろいいか…かかれ!」
十分引きつけたと見たミジクモの号令に合わせ、木の脇から、茂みから、草むらから、兵が飛び出す。
数は数十人。全員槍を携え、カイザーの前後左右から突撃を仕掛ける。
「さて…リーチの差に、どう対応する?」
>694の続き
「おい、旦那。あそこが俺達の陣地だ…着地をするから、舌を噛むなよ?」
シュッレトルティーが高度を下げると、その後に続いて飛行していたジャイロとオゼロを抱き抱えていた傭兵達もそれに従った。
直ぐに地面が近くなり、先にパンボリックを地面に降ろしてからシュッレトルティーも彼の横に降り立った。
「さて、と…あんた等の身柄は俺達飛蝗(ヒオウ)強襲団が暫くの間預かるが、その後は俺達の雇い主である帝國に引き渡す」
シュッレトルティーがパンボリックを庸兵団の天幕内へと案内する。
後から遅れてジャイロとオゼロを運んでいた傭兵達も、二人を引き連れて天幕内へと入ってきた。
「まぁ、俺達があんた等の身柄を預かっている間は拷問なんかしねぇよ…あんた等は俺達の客人だ。出来る限りのおもてなしはさせてもらうぜ?」
そう言ってシュッレトルティーは天幕内に置かれていたテーブルの周りに並べられていた丸椅子に三人が座るように促し、自身は天幕の奥へと消えていった。
暫くして、シュッレトルティーはお盆にお茶と菓子を載せて戻ってきた。
「まぁ…大したもてなしは出来ないが、茶でも飲んでくれや…でも、それは俺達の故郷の極上品だぜ?人間も好んで飲むからなぁ…」
テーブルの上に盆を置き、カップにお茶を注いで三人の前に並べる。
「それとそのクッキーは俺の嫁さんが作ったモンだ。多分人間であるあんた等にとって不味いものではないはずだ」
シュッレトルティーも丸椅子に座り、自分の妻が作ったクッキーを一枚つまみ、口に放り込んだ。
「それと…茶で満足出来ないのなら…」
ぼりぼりとクッキーを噛み砕きながら、シュッレトルティーはテーブルの下に屈み込むと、一つの箱を取り出した。
「こいつも飲むといい。俺の実家特性の酒だ」
箱の中から取り出したのが、琥珀色の液体が入った一升瓶であった。一升瓶に貼り付けられたラベルには『虫コロリン』と太い筆で書かれていた。
「こいつは俺の実家の酒の中でも一番度が強い奴だ…一口飲めば一発で昇天しかねないぜ?」
嬉々として顔でパンボリックに話しかける。
「タバコもあるがどうだ?こいつは昆虫人用のタバコだが、人間も美味い美味いって吸っている奴だ。よければ一服どうだい?」
懐に手を突っ込み、更にパンボリックにタバコまで進める。
>739
カイザーとユニコーンは敵本部隊を見つけ、一気に突撃を開始した
>「そろそろいいか…かかれ!」
十分引きつけたと見たミジクモの号令に合わせ、木の脇から、茂みから、草むらから、兵が飛び出す。
だが、焦ったのが災いしたのであろう。隠れていた敵兵に気付かずに罠にはめられてしまったようだ
「くそっ、伏兵か!ユニコーン、ここで迎え撃つぞ!!」
「はい、分かりました」
>数は数十人。全員槍を携え、カイザーの前後左右から突撃を仕掛ける。
「さて…リーチの差に、どう対応する?」
四方八方から迫り来る槍の雨に、カイザーは一瞬だけ戸惑ったが、すぐに状況を見定めてユニコーンに指示を出す
「くっ!・・・跳べ、ユニコーン!!」
カイザーの声に反応して、ユニコーンは槍の届かない遥か上空まで跳びあがった
だが、敵兵は下で槍を構えてカイザー達が槍の届く距離まで落ちてくるのを待っている。
カイザーはとっさに左手に力を集める。それによって左手は淡い光を放つ
「・・・ブレンテル流、弾丸の技!聖闘気圧縮弾!!」
カイザーの左拳から作り出された直径10cmほどの光り輝く弾丸が、下の敵兵目掛けて次々と撃ち出される。
それとほぼ同時にユニコーンの額の角が輝き始める
「ブルルゥゥゥゥゥゥゥゥゥウ!!」
突然ユニコーンが獣の砲声をあげたかと思うと、
スパークが走った熱気を感じさせるような電撃を角の先端から敵兵に向けて放つ。
その攻撃が終了した後、ユニコーンは地面への着地を開始した
>740
警備基地から主戦場の平原を越え、天幕が並ぶ帝国陣地近くに到着した。
ざっと見渡した限り帝国本陣が被ったダメージは無に等しい。
何度か共和国による爆撃が行われた筈だが、恐らくは魔術によって阻まれたのだろう。
…まさに『魔力』。偵察・攻撃・防御は言うに及ばず、およそ全ての戦争活動に絡んでは
脆弱な帝国の幹を包み込む強固な鎧。
これほどまでに生命を加護し、慈愛を与える「世界の力」―――エレメントが、ガリーナだけは拒絶した。
>「タバコもあるがどうだ?こいつは昆虫人用のタバコだが、人間も美味い美味いって吸っている奴だ。よければ一服どうだい?」
>懐に手を突っ込み、更にパンボリックにタバコまで進める。
「ああいや、煙草は遠慮させていただこう…ここは空気までが清く強いな。戦場から幾ばくも離れていない筈だが、君達の命がそうさせるか」
3人が通された傭兵団の天幕には、猛々しくも邪気を感じさせない昆虫人達の姿がある。
彼らが戦う動機には、彼らが稼ぐ金には、彼らが葬る命には、穢れのない秩序があった。
獰猛で美しくてどうしようもない程に純粋な世界の秩序の、その内側に生きる住人。しかしその美しさは、
(……ただヒトの気が薄すぎる。この国では彼女は永く生きられん)
―――その美しさは、パンボリックの理想と到底相容れない存在であった。
「私の名前はジャイ! ジャイロではなくジャイ・ニバーナ・ブーン!
了解していただけたか、シュットレルティー副団長!?」
「シュッレトルティーさんね」
ばつが悪そうに椅子に腰掛ける。想像と余りにかけ離れた己の身の処遇に、ジャイは気が気でなかった。
隣にしか聞こえない声でオゼロに愚痴てみる。
「…ったくどうなってんだ。茶が出る、菓子が出る、その次は酒に煙草だ?
武器と通信機器を没収してるからってナメ過ぎだろ!」
「きっとナメてるわけじゃないよ。そもそも武器を取り上げたから安心ってジャイ、銃は初めから効いてない。
素直に好意と受け取っていいと思うけどなー」
そう言ってオゼロがお茶に手を伸ばす。ジャイは何か言おうとしたが、苦言を呈する気力も起きない。
「寛大な処遇に感謝する、シュッレトルティー殿。我々は一切の抵抗をしないと誓おう。
ああ、あらかじめ断っておくが妨害信号を発する車両、チャイムを『私は』量産に成功していない。
間違いなく今日の一両だけだ。他の帝国部隊に会う機会あれば伝えてくれてもいい……ほんの礼だ」
ひとまずの身の安全を確保したパンボリックにとって、憂いは敵側にではなく身内にあった。
本国にいた時分、パンボリックはチャイムとスタンプの量産要請を頑なに拒んでいる。
彼が国にいない今、しきりに兵器のデータを欲していたあの中将が勝手に私邸を荒らしていないとも限らない。
さらに不味いことには、屋敷にガリーナを残してきてしまった。
この際副産物の竜兵器など幾らでもくれてやる。ただ、彼女の身が案じられた。
(ガリーナを戦場に駆り出すような真似をすれば…ワレスタイン、命は無いぞ?)
知らず、食いしばった歯が軋む。
「……パンボリック、口元に…」
「む」
めっさクッキーの粉が付いている。
その晩パンボリックは3回クッキーをおかわりした。
>742
>「ああいや、煙草は遠慮させていただこう…ここは空気までが清く強いな。戦場から幾ばくも離れていない筈だが、君達の命がそうさせるか」
パンボリックのその問いに、シュッレトルティーは首を横に振る。
「いんや…全ては精霊の御蔭さ」
シュッレトルティーは手にした一升瓶の封を開けながら、触覚を僅かに揺らした。
「俺達昆虫人は精霊の加護の中で生きている。生まれたときからその命は精霊と共にあり、死ぬ時も共にある…」
ぐいっと一升瓶を煽り、口を離すと、ことりと一升瓶を静かにテーブルの上に置いた。
「俺達昆虫人は精霊と共にある…俺達がそう、まだ本当に昆虫だった頃から俺達は精霊と共にあった……精霊は天然自然を愛する。というか、
彼らは天然自然の中でしか生きられない。恐らく、俺があんた等共和国の町に行っても、精霊の声は聞く事は出来ないだろう。聞こえたとしても
驚くほど弱弱しいものに違いない。精霊はコンクリートと鉄で出来た世界では生きられないんだ……」
シュッレトルティーは懐から取り出したタバコに火をつけると、大きくタバコの煙を吸い、パンボリック等に吹きかからないように天幕の天井に向けて
静かに、ゆっくりと吐き出した。
「俺達昆虫人は生まれたときから精霊の声を聞いて育つ…種族によって違うが、俺達バッタの昆虫人は風の精霊の声を他種族に比べて良く聞く事が出来る。
…昆虫人は精霊と共にあることを強く望む種族だ。だから精霊の声を聞く事が出来ない近代的な都市に住む昆虫人は少ない」
再度タバコを咥え直し、肺一杯に度の強い昆虫人のタバコの煙を吸い込む。
「精霊は言ってみれば俺達の神様だ…いや、神様なんてものじゃない。父であり、母であり、子供であり、親友であり、恋人であり、戦友でもある…」
最後は呟くように、タバコの煙と共に言葉を吐き出した。
「つまり、俺達昆虫人は自然の中で生きることを好む一族なのさ。自然に優しい虫人間…それが俺達昆虫人だ」
>「私の名前はジャイ! ジャイロではなくジャイ・ニバーナ・ブーン!了解していただけたか、シュットレルティー副団長!?」
「おっとそいつはすまんかった…ま、取り敢えず座れや兄ちゃん。酒でも飲んでくれ」
ジャイロを軽くあしらい、ジャイロの目の前に新たに取り出したカップを置くと、酒を並々と注いだ。
「アンタはまだ所帯は持っていないんだろ?精々独身を楽しまなきゃ駄目だぜ?ま、俺みたいにいい嫁さんを捕まえれば独身以上に楽しい人生が待っているがな?」
>「…ったくどうなってんだ。茶が出る、菓子が出る、その次は酒に煙草だ?武器と通信機器を没収してるからってナメ過ぎだろ!」
「…それと聞こえているぜ?兄ちゃんよ?俺達は耳が良いし、何よりも精霊が教えてくれるんだ」
シュッレトルティーは悪戯っぽく笑うと、咥えていたタバコをテーブルの上に置いてあった灰皿で揉み消した。
「それと俺達は」
>「きっとナメてるわけじゃないよ。そもそも武器を取り上げたから安心ってジャイ、銃は初めから効いてない。素直に好意と受け取っていいと思うけどなー」
「そこの兄ちゃんの言う通り、俺達は好意からやっているんだ。俺達昆虫人は客人には最高のおもてなしをする事を喜びとしている」
再度懐に手を突っ込み、二本目のタバコに火をつける。
>「寛大な処遇に感謝する、シュッレトルティー殿。我々は一切の抵抗をしないと誓おう。
>ああ、あらかじめ断っておくが妨害信号を発する車両、チャイムを『私は』量産に成功していない。
>間違いなく今日の一両だけだ。他の帝国部隊に会う機会あれば伝えてくれてもいい……ほんの礼だ」
「何…そんな話を俺になんか聞かせないでくれ。礼をしたいって言うのなら…」
片手でパンボリックを制す。」
>「む」
>めっさクッキーの粉が付いている。
「俺の嫁さんの特製クッキーの感想を聞かせて貰いたいね。もしくはあんた等の身内の話でも聞かせてくれ」
三本目のタバコに火をつけながらシュッレトルティーは言った。
「俺ばっか話していても仕方が無い。どうせだったら……」
>(ガリーナを〜
「そのガリーナっていうお嬢さんのことでも話してくれないかい?…おっと、そんな怖い顔をするなよ。俺がアンタの心の中を覗いたんじゃない。
かなり悪戯好きの精霊が俺に教えてくれたのさ…ま、別に話したくなければいいさ。ただそんな渋い顔して俺の嫁さんが作ったクッキーを
喰っているんじゃ、口に合わないんじゃないかと思っちまう。俺を安心させてくれるのなら、出来る限りの範囲で話してくれないかい?」
三本目のタバコをろくに吸わず、灰皿に押し付けて火を消す。
「同じ子供を持つ親としてはどうにも見捨てて置けないんでね。よかったら力になるぜ?」
どうやらシュッレトルティーはそのガリーナとやらをパンボリックの娘かなんかと勘違いしているようだ。しかし、彼の目は子を思う親の目そのものであった。
745 :
ヤムチャ ◆A3eelL4BkE :05/02/09 17:34:58
俺の目論見を教えてやるぜ
ここが上手く行った時を見計らって荒らして混乱させる。
どうだ?凄いだろ?
>732
しばらく降伏勧告をしてみるが、効果は無い。
「しぶとい…諦めませんか。武人ですねぇ。コルネム殿、ここは任せてよいですか?」
「やっと出番ですのう。任せていただこう!」
シャルルはそのまま共和国の残存兵を撃破に向かう。
残ったのはコルネムと重装歩兵60人程度。
「さて、諸君行くぞい。インスパイアァァァ!!」
バトルアックスを振り上げ、地面に振り下ろす。
と、轟音を立てて雷が近くの家屋に落ち、家屋が倒壊する。
雷が落ちたと同時に重装歩兵達が村に入って行った。
お前ら、ママゴト遊びに何マジなっちゃってんの?
元々俺が敷いてやったレールに乗っかってんだろ、
十分良い夢見れたんじゃね?
>728
>「力に綺麗も穢いもありません。あるのは、どう使うか。ただそれだけですよ。貴方の言う穢れた力は、
>こうして一人の命を救いました。何かご不満がおありですかな?」
イザベラは何かネクロマンサーに言おうとしたが、言葉半ばで諦め、力無い溜息をついた。
「ええ…不満などありません。私としては患者の命さえ救ってくださるのならば結構です……」
イザベラは、降参、とでも言いたげな様子である。どうやらネクロマンサーにいいようにあしらわれてしまったようだ。
「取り敢えず、貴方には此処の負傷者達の手当てを担当してもらいます。何かあったら…」
さながら戦場の様相を醸し出していた治療室で、他の看護兵や回復法術師と共に負傷者の間を忙しく歩き回る少女をイザベラは呼んだ。
「此方はメリィ・バージィ野戦看護少尉です。何か用があればこの娘に申し付けてください…私はこれから地下病棟の回診に行かなくてはならないので…」
そう言ってイザベラはネクロマンサーに一礼すると、その場をメリィに任せて自分は治療室を後にした。
「…えー、先程イザベラ婦長が仰ったように、私が<一応>ここの責任者です。何か御用があれば何なりとお申し付けください…」
ぺこりと行儀良くお辞儀をする。メリィは小柄で、背丈はネクロマンサーの胸までもなく、亜麻色の髪をゆったりとした一本の三つ編みにしていた。
尉官ではあるが、見た目はどう見てもあどけない十代半ばの少女である。身に纏った白衣が、負傷者を治療する際の返り血で赤に染まっているのが酷く似合わなかった。
「あの…一応言っておきますが、私はこう見えても21歳ですから…成人していますよ?」
ネクロマンサーの視線を感じ取ったのか、メリィは少し恥かしそうに呟いた。
「えーと…取り敢えず、戦傷でのた打ち回っている患者さんが大勢いますので、治療…しましょうか?」
そして何処からか取り出した白衣を、ぼふっとネクロマンサーの胸に押し付けた。
一方、地下病棟へと続く階段を下っていたイザベラは…
「…はぁ。全く、あんな<年下>の子供に上手い様にあしらわれるなんて……私も歳かしら?」
と意味深な言葉を呟いていた。
>746
しばらくして敵部隊が村へ入ってきた。
敵の人数は100人未満30人以上、どちらにせよこちらより多い。
しかし敵の装備は主に刀剣類と西洋甲冑と思われる。
こちらには銃がある。よって距離さえ詰めなければこちらが有利だ。
一番向こう、つまり敵に近いほうにいる兵士が手で合図を出した。
それは確実に敵兵を撃てる状態になったことを意味する。
「全軍攻撃開始!奴らを殲滅するぞ!」
号令と共に敵兵へと大量の銃弾や手榴弾が飛び始める。
少なくとも最前列の兵士は射殺できたはずだ。
>748
> 「ええ…不満などありません。私としては患者の命さえ救ってくださるのならば結構です……」
> イザベラは、降参、とでも言いたげな様子である。どうやらネクロマンサーにいいようにあしらわれてしまったようだ。
「ふむ、賢明なご判断ですな。亀の甲より年の功という言葉は、あながち間違いでもないようで」
ネクロマンサーは愉快そうに笑った。無駄を無駄と悟ることができる頭のよい相手と話すのはとにかく楽しいのだ。
> 「此方はメリィ・バージィ野戦看護少尉です。何か用があればこの娘に申し付けてください…私はこれから地下病棟の回診に行かなくてはならないので…」
「ええ、わかりました。それでは、互いに救える命を救うとしましょうか。
喩え焼け石といえども、水をかければ多少は冷えますからな。はっはっは」
イザベラの背中に向かって、ネクロマンサーは心の底から愉快そうな笑みを向けた。とにかく、他者をからかうのが好きなのだ。
その発言のせいで周囲の看護婦達から白い目で見られているが、ネクロマンサーはまるで気にしない。
その程度のことを気にするような神経の持ち主ならば、そもそもネクロマンシーのような外法に手を染めたりはしない。
> 「…えー、先程イザベラ婦長が仰ったように、私が<一応>ここの責任者です。何か御用があれば何なりとお申し付けください…」
「ん? どこからか声が……」
突然呼びかけられるが、咄嗟に反応できないネクロマンサー。声は正面からするのだが、相手の姿が見えない。
「ふむ………? ああ、そこにいらしたのですか」
きょろきょろと周囲を見るが、誰もそれらしい看護婦はいなかった。そこで視線を下に移してみると、そこにはどう見ても
子供にしか見えない小柄な看護婦がおり、ネクロマンサーを見上げていた。メリィというのは、この少女のことだった。
> 「あの…一応言っておきますが、私はこう見えても21歳ですから…成人していますよ?」
「ふむ? 急にどうされましたか。しかし、21歳でしたか。20歳という予想は少し甘かったようですな。
やれやれ、眼力が鈍ってしまったようです。ああ、いえいえ。こちらの話ですよ」
ネクロマンサーは観察をすることで年齢を推測していただけで別に子供扱いした覚えはないのだが、
メリィは何か誤解してしまったようだった。そして、ネクロマンサーは特に誤解を解こうともしない。
> そして何処からか取り出した白衣を、ぼふっとネクロマンサーの胸に押し付けた。
「………? 一体どこからお出しに?……まぁいいのですがな」
手品か何かのように唐突に出現した白衣に怪訝そうな表情を浮かべながら白衣を受け取り、ネクロマンサーは
漆黒のローブの上から羽織った。非常にアンバランスな格好だったが、ネクロマンサーはそのようなことなど気にしない。
「ええと、取り敢えず痛みに泣き喚く輩には麻薬でも投与して黙らせ……冗談ですよ。取り敢えず、貴方方には
治癒魔法が必要な患者を全てお願いしますよ。私は医術と薬物で何とかできる患者を担当させて頂きますのでね。
ああ、そうそう。心臓が停まった患者がいましたら、私が魂を肉体に引き戻して差し上げますよ。それが専門ですからな」
ネクロマンサーは冗談交じりの指示をメリィに出すと、そのまま足早に緊急治療室へと歩いていった。
イザベラの案内と案内板の双方を理解しているので、病院の構造はだいたいわかっているのだった。
「それにしても……あのイザベラさんは一体お幾つなのでしょうな。エルフというのはどうにも若作りで
歳がわかりません。今の私などよりも遥かに年長であることは確かですが……まぁ、どうでもいいことですな」
負傷者達の呻き声が響いてくる緊急治療室の扉を開きながら、ネクロマンサーは場違いな苦笑を浮かべた。
>741
>カイザーの声に反応して、ユニコーンは槍の届かない遥か上空まで跳びあがった
「ちっ…やはり一角獣は面倒だな…」
禄な助走もせずあそこまで高くに飛び上がられると、こちらも対応に困る。
「それこそペガサスでも持って来んとなぁ?」
勿論ペガサスなどいない。探すにも骨が折れる。自嘲気味な雰囲気がにじみ出ていた。
>カイザーの左拳から作り出された直径10cmほどの光り輝く弾丸が、下の敵兵目掛けて次々と撃ち出される。
「成程、気の一種か…さてどうするか」
弾丸があたりバタバタと倒される兵にも動じず、ミジクモは攻撃を眺めていた。
闘気などの気の類は、明確な防ぐ手だてがないため喰らいやすい。
打たせないようにするのが一番なのだが。
>突然ユニコーンが獣の砲声をあげたかと思うと、スパークが走った熱気を感じさせるような電撃を角の先端から敵兵に向け放つ。
「で、こちらは雷撃を、と。これは一筋縄じゃいかんな…」
やはりユニコーンは厄介だ。将を射んとすれば先ず馬を射れという言葉通り、
まずはユニコーンを倒す必要があるかもしれない。
>その攻撃が終了した後、ユニコーンは地面を着地を開始した。
「今だ!魔道士隊!用意!」
脇に控えさせていた魔法使いの一団が一斉に詠唱を始める。
高く飛び上がったなら、必ず着地する。そして、その着地の際の僅かなる隙を狙っていた。
「お前達!自分の身は自分で守れよ!」
カイザーとユニコーンに倒されすっかりのびてしまっている長槍隊に呼びかける。
「放て!」
十数人の手から炎が放射される。一人一人の威力は決して高くないが、
人数に比例して威力を増した炎は、狂いなくカイザー達の着地点に向かっていた。
(ヴァラシャンクス)
敵側面への奇襲は思いのほか効果的であった。
此方の姿を捕捉することが出来ない敵兵は、遊撃騎士達の一振りの攻撃でぼろ雑巾のように屠られていく。
無論、共和国の使う赤外線センサーやその他の電子機器では此方の姿を捕捉することは出来ない。
捕捉するにはそれなりの鋭い感覚がなければ到底不可能であろう。恐らく、共和国にはそういった超人的な感覚を備えた兵は少ないと思われるが…
暫く戦闘が続き、大体の敵兵を掃討する。
>717
舌を出して辺りの様子を窺うと、先程の撃墜された航空機のパイロットが近くの草むらに伏せているのが<匂い>で分かった。
「パイロットか…後で何かしらされると面倒だな」
姿の消えたまま、ヴァラシャンクスはそのパイロットに忍び寄る。
(悪いが…捕虜にさせていただく)
パイロットの背後に忍び寄り、尻尾を伏せていたパイロット目掛けて振り下ろす。
本気でやれば、ヴァラシャンクスの尻尾の一撃は共和国の装甲車両の装甲を軽く凹ますが、力はかなり加減してあるので気絶で済むだろう。
753 :
名無しになりきれ:05/02/10 04:16:22
根暗:「私の奥義……決してお安くはございませんよ?」
颶風:「チェックメイト」
鈴木中尉:「大日本帝国万歳!」
ミジクモ:「構わん、殺せ」
カイザー:「どんな絶望も、必ず俺が輝きに変えてやるさ」
帝都近衛騎士団団長・ゼアハルト :「我ら黒翼の重装騎士団を抜かぬ限り、皇帝には指一本触れることは出来ぬ」
ルシカ:「貴様は強いのか?なら勝負なのだ!!! 」
インゼクト: 「俺達は故郷の奥さん達を食わせる為に傭兵やってんだ。だから死に急ぎなさんな? 」
決め台詞を抜粋してみた。これでから声優を決めてみてくれ。
>744
素直に驚かされたということもあるが、やはりガリーナの名を聞いて表情が固まった。
グラスには先ほど勧められた酒が注がれている。乾杯して僅かばかり喉に流し込むと、やっと重い口を開いた。
「ガリーナは…………私が飼っている竜だ。共和国ではかなり珍しいことだがね」
相手に敵意が無いことは分かっている。
それでも、出来ることならガリーナ・アウリチカのことを話したくはなかった。
彼女は全ての竜の仇敵であり、同時に全てのエレメントと敵対する存在だからだ。
自然と歩調を合わせて生きている昆虫人に、彼女の在り方を何と説明できるだろう?
いつか再び、彼らが敵になる日が来る。
そう確信したパンボリックに、シュッレトルティーへ全てを打ち明ける心積もりは無い。
「私は学生だった時分、数多くの生物を見て回った。人間を超越した生命に憧れてね。
本国にはいない魔獣や聖獣の姿を求め、帝國との国境に近い山麓まで足を伸ばした事もある。
もっともその時の竜探しは、谷に住む土着の竜狩り族と衝突して失敗に終わったが」
ちなみにジャイは、その竜狩りの少数民族の部族長と掛け合って無理矢理に引き取った子である。
「数多の生物の中でも特に竜の神々しさは別格に感じた。
堂々とした体躯と神秘的な霊感を併せ持ち、その心は慈愛をも理解し得る。
資料用のフィルムで河流に棲むドラゴンを見たとき、水と一体化したようなその姿を見て衝撃を受けた。
―――そう、副団長殿が敬われる精霊をこの目で目撃したような、そんな気がしたのだ」
尊い物でも掬い上げるように、パンボリックはポツポツリと語る。
「しかし共和国の希少動物園で見たガリーナは穢れていた。
どこで見付けて来たかは知らないが、科学者連中が檻の中で飼い殺していたのだ。
痩せ衰えた体、光を呑み込み輝きを発しない瞳、全ての生命を嘲笑うくぐもった声……
そんなガリーナの姿が……姿…す、がた、が………」
そこまで喋ると俯いてしまい、もう正面を見上げられなくなった。
高貴な生き物である竜の、彼女の醜さが、
「おもいだすだけであたまがおかしくなりそうだ」
美しすぎて。思い出すだけで何かが壊れる。
あの時パンボリックは決めたのだ。彼女を決して助けまいと。
今から先どんなに技術が進歩しても、絶対にガリーナを治療・浄化させたりしないと誓った。
歪んだ彼女を、その美しさを永遠に生かそうと、心に決めた。
「その為だったら何でもする。ガリーナがあのまま生きられるのならば、私は全てを投げ打ってもいい」
全てを敵に回しても。言いながら姿勢を正す。出された酒は。空になっていた
「それで私はガリーナを引き取り、彼女が生きていける土地を見つけるまでの間、自分のもとで飼育することにした。
…この菓子は副団長の奥方がお作りになったものでしたな。とても良い味だ。すっかり気に入りました。
退屈な話につき合わせてしまって申し訳無い。しかし要は私もあなた方と同じ考えの人間だということです。
帰るべき場所を見定め、精霊の声に従い、愛しい者と添い遂げる!……自然に生きるということなのでしょうがね」
まるで脈絡の無い話を急にまくし立てて、にこりと微笑む。もう隣に座る二人の事など目に入っていないようだ。
756 :
名無しになりきれ:05/02/10 06:20:23
臭!!! なにこの馴れ合い!!!
>751
>十数人の手から炎が放射される。一人一人の威力は決して高くないが、
人数に比例して威力を増した炎は、狂いなくカイザー達の着地点に向かっていた。
地面に落下を開始しているユニコーンは敵の魔法攻撃に気付いたが、空中では思うように動けない
「ど・・・どうするのですかカイザーさん!?いくら僕でもあの魔法は防げませんよ!」
敵の隙の無い攻撃を見て、ユニコーンは思わずカイザーに指示を仰いだ
(くっ・・・どうする!?ここから動く事が出来ればダメージを抑える事が出来るのだが・・・まてよ!)
「ユニコーン!俺から吹き飛ばされるなよ!!・・・それから、少しでもダメージが減ったら俺を恨むなよ!」
カイザーは反対方向に体を振り向かせ、空を向いて左手に力を入れる。
すると左手から光が放たれ、カイザーは技を唱えた
「ブレンテル流、弾丸の技!聖闘気圧縮弾!!」
カイザーの左手から何も無い青空へ撃ち出される十数発の光の弾丸、だが それがカイザーの本当の狙いではない。
次の瞬間 ユニコーンの角が一人の魔術師の身体を貫いていた、カイザーの技の反動でここまで飛ばされたのだ。
だが、ユニコーンも無傷では済まなかった。反動で吹き飛んだ時に正面の炎をモロに喰らってしまったのだ。
敵全員の攻撃を喰わなかっただけ幾分かマシであるが、それでも結構なダメージがあるようだ。
ユニコーンは首を払って角に突き刺さっていた敵を地面に振り落とす。
「ゼェゼェ・・・カイザーさん、もっとマシな防御方法は無かったんですか!?」
カイザーは少し悪かったと思ったが、表情には出さずこう言った
「いや、あれが最善の策だったんだよ。・・・それに先程の俺のセリフを思い出せ。」
ユニコーンはハッと思い出した。そういえばこの男は自分にこう言ったのだった
「・・・『少しでもダメージが減ったら俺を恨むなよ』ですね・・・
確かに魔法を全て直撃されるよりは良かったから感謝はしますけど・・・僕、そろそろダメージ限界です
もう一度攻撃を喰らったらダメージを回復させるために幻獣界に戻らないといけない事になってしまいます。注意してください」
「ああ、分かったぜ。これ以上お前に負担を掛ける訳にはいかないようだな。」
そう言った直後、カイザーは左手の指をピッと下に向けた。
すると、さっき空へ飛んでいった光の弾丸が次々と敵の魔術師に降りかかる
(さて、次は弓矢部隊あたりでも出てくるかな?
・・・だったら戦いやすいから願ったり叶ったりなんだけどな)
カイザーは次の敵部隊の予測までするほどに落ち着いている、ようやくこの世界に慣れてきて冷静な判断力が復活してきたようである。
500ゲトー