トマト好きな吸血鬼だが、何か？

>43
俺とトマトの出会いは…何年前になるのか…。相当古いな…。
確かあの日、俺は大雨と雷雨の中、ある一つの洋館にお邪魔した…。
そこの主が、これまた綺麗な婦人でな…。その頃、魔力も力も弱かったこの俺を快く迎えてくれた…。
それまで人間を拒絶していた俺は…ふと気付いた。

人間は全てが腐ってはいなかった…と。

中に入り、俺は食事を勧められた。寒さに震えていた俺の眼に止まったのは、温かいスープでもない…。
鮮やかな色に満ち溢れたサラダの姿であった…。
俺の眠気を一瞬で覚まさせた、そいつに恋をしてしまったのだ。