フハッ!すなわち水木しげるです。

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102水木しげる
>>98
ま、ぬりかべに対して鬼太郎はひどいね、わははっ。
だがね、鬼太郎ちうのはもともと正義の味方でも何でもないんですよ。
後半になってから正義のヒーローを気取らせてみたがね。
人間社会の基準から言えば、むしろ悪モンですわ。
人間から見て彼らの悪いとこは、人間に取っては高い価値のあるものを
顧みないちう点です。倫理観がそうだし、その最たるものがカネでしょ。
これに鬼太郎は与しないです。与するのはねずみ男。

水木さん、このスレで少し前に「悪」についてお話しました。
悪ちうもんは、もともと共同体の理屈から外れて自由に行動するモンをさしてたわけ
です。ヨーロッパ中世における悪魔・魔女狩りなんちうのは、キリスト教の教義体系
から外れるモン全てを排除せんとする一大運動だったですよ。西欧における小っさな
神様たちはかたっぱしから悪魔扱いされ、頃されていったんです。
(このへんは人文書院からええ本がいっぱい出てますから、興味のある方は参考にし
て下さい)
西洋ほどではないが、明治以降日本でも国家神道が民間信仰を弾圧するいう歴史が
あって、それにともない妖怪たちも酷い目にあいました。
戦後になり、自由になったかとおもいきや、鬼太郎をはじめとする妖怪族は、人間社会
の理屈によってさらに排除されていく。
妖怪たちは外れモン、すなわちここでいう「悪」やったわけです。
彼らはマイノリティーの神の一種なんですが、人間社会から外れて「悪」とされとる。
水木さんは、こういう小さな神サンたちが人間社会でいかに生き、そして人の理屈に
飲み込まれんで生きていくか、いうことを想像して「鬼太郎」を描いたです。
貸本時代の餓死寸前の水木さんと重ね合わせながらね。
話を戻せば、鬼太郎に人間社会の倫理は、良いことも、悪いことも含めて通用せんの
です、ふはっ。