鳴海さん愛してる 第八話

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796鳴海昌平 ◆NaruDyL/a.
暑いね。皆々様、お元気ぃ?
探偵さんだよ。ちょっと、お久しぶりかな。
かねてより懸案だった、此所の場所の進退についてなんだけれど。
此所だけでお仕舞いにしようと思っているんだ。
ヤタガラスから「帝都防衛の拠点で平和惚けした会話を重ねるのもどうかと」
とかさぁ。苦情が来てね……。

「探偵社に於ける情報収集の措置について」────……。

なぁんて、大上段に権威を振り翳されると俺も弱いの。雇われ探偵だからさ。
でもさ、雷堂君、そしてゴウト。所長の俺が謹慎を言い渡されても、お前達は違う。
此所でできれば、お客人と歓談してくれ。
俺が居なくなって、もうおさらばさらばさ、になるのであればこの場で終幕としよう。
しかし、俺が居なくともお前達はやっていけるから。また、新しく異界開きをするのもいいだろう。
ヤタちゃんもこの場所だけは目を瞑るって言うから、此所では俺も出来るだけ発言していくつもり。
お客人も、雷堂君もゴウトも、もうちょっとだけ俺と付き合ってねぇん!
といってもこの猛暑でしょ。大正二十年の帝都は厳しい季節だよ。
氷を購っても購ってもすぐに溶けちまうし…、俺も正直、ばて気味でさぁ。
あんまり期待に添えないかもしれない。そうだとしたらば、御免よ。

……待ってればそのうち「俺」も来るかも知れないしな。
……それこそ異世界のナルミ所長とか。
……もともと此所は「ナルミ」さんの場所だったんだ、それこそ元の鞘、なんじゃないの。

まあそれはともかく、この場所は「此所で一旦お開き」というわけで。
でも各自個々の場所に移動するなら、それは勿論オッケーだから。
雷堂君、ゴウト。それから…ライドウ。お前もね。
お客人の皆様におきましても、何卒、宜しく、宜しくぅ。