私はラクス・クラインです

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***惑星オーディン***
新無憂宮(ノイエ・サンスーシー)の執務室にて、
ラインハルトは首席秘書官ヒルダを見やった。

ラインハルト「伯爵令嬢(フロイライン)マリーンドルフ、予の暗殺計画が失敗した今、
        敵が次にどんな手を打ってくるか、あなたはどうお考えかな?」
ヒルダ「私は思うのです。もし反世界軍やDショッカーが、
    銀河系制圧の最大の障壁である陛下を排除するために、
    テロを使嗾するとすれば、次の手段は暗殺ではなく、
    要人を誘拐することではないかと」
ラインハルト「すると、その対象は誰かな?」
ヒルダ「お二人が考えられます」
ラインハルト「一人は無論私だな。あとの一人は誰だ?」
ヒルダ「陛下の姉君、グリューネワルト大公妃です」

 ヒルダが言いきると同時に、ラインハルトの顔から余裕の色がはじけとび、
奔騰する激情がそれにとってかわった。その変化はあまりに直截で急激だったので、
数秒の時間が何者かの手で強引に削り取られたような錯覚すら覚えるほどだった。

ラインハルト「もし姉上に危害を加えるようなことがあったら、その時は
        Dショッカーにしろ反世界にしろ、痛覚を持って生まれてきた事を
        後悔させてやるぞ! 人間としてこれ以上考えられないほど
        残酷に皆殺しにしてやるぞ!!」

 若い美貌の皇帝は、蒼氷色(アイス・ブルー)の瞳を窓外に向け、
苛烈なまでに表情を引き締めて、自らの思念の軌跡を追っていた。