ttp://p2.chbox.jp/read.php?url=http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/otoge/1251205568/all 思考派が低く陰気な笑いの旋律を奏でた。総大主教(グランド・ビショップ)と称される
宗政一致の地球教統治者の笑いは、アズラエルをぞっと総毛ただせる。
「歴史の流れとは加速するもの。ことにディバイン・ショッカーと反世界の両陣営において、
権力と武力の強大化が進んでおる。それに間もなく、新たな民衆のうねりが加わろう。
全宇宙に潜んでいた地球回帰の精神運動が具体化して現れる。
その組織化と資金調達は汝らブルーコスモスの者どもに任せておったはずだが、
手抜かりはあるまいな?」
「もちろんでございます」
「われらの偉大なる先達は、そのためにこそ各地に忠実なる者を送り込んで富を蓄積せしめた。
兵力によってディバイン・ショッカーや反世界に抗することはできぬ。
地球至上主義者たちがその特殊な地位を生かした政治力と経済力によって世俗面を支配し……
戦火を交えずして全宇宙は地球の支配下に入る。実現に数世紀を要する遠大な計画であった。
わが代にいたってようやく先達の叡智が実を結ぶか……」
そこで思考の調子が一変し、鋭く呼ぶ。
「アズラエル」
「は……!?」
「裏切るなよ」
「こ、これは思いもかけぬことをおっしゃいます」
「汝には才幹も覇気もある……故に悪い誘惑に駆られぬよう、忠告したまでのこと。
かのナポレオン、それにヒトラーがなぜにあのような末路を辿ったのか、充分に承知しておろう」
「私が軍事産業連合の理事となれましたのは、猊下のご支持があってのこと。
私は亡恩の徒ではございません」
「ならよい。その殊勝さが、汝自身を守るであろう」
……定期通信を終え、部屋を出たアズラエルは、大理石のテラスにたたずんで星空を見上げた。
「さて、誰が勝ち残るますかね。ディバイン・ショッカーか、反世界か、地球教か……それとも私か……」