おまえら、断末魔の叫びって聞いたことあるか?
一生耳からはなれんぞ。
95年1月17日阪神大震災
神戸市東灘区で早朝、電柱が一本残らず、倒れ、
めちゃくちゃになった瓦礫の中から
「たすけてください!だれかいませんか!」
言う声がきこえる。女性の人の声。
助けようとするけど、誰も手も出せない。
「すぐに救助くるから、がんばってください!」
としかいえない。
でも来るわけない。電柱が倒れ、家も、道路に倒れこむように倒壊。
夕方ごろ、ついに火が回ってくる。
「消防まだなん!」
みんな、さすがに不安になってくる。
助けをもとめてたひとも、だんだんヒステリックになってくる。
「お願い!!はよだして!!お願い!!」
でも、もうどうしようもない。
みんな、やるせないような顔になる。
耳をふさぐものもいたかもしれない。
やがて、火はその助けをもとめる女性の声が聞こえてきたあたりまで
やってくる。
「ひぎゃああああああ、いやあああいやああ」
そういう声が聞こえたような気がする。
炎の、パチパチ言う音が大きすぎたから空耳かもしれない。
いや、聞こえてたけど空耳にしてしまったのかもしれない。
なんにせよ、夜になってそのあたりに近寄れないほど
炎は広がり、その女性は亡くなった。