>>312-323 http://ruku.qp.tc/dat2ch/0502/05/1045149228.html ***国立国会図書館・一般書庫***
アニタ「相変わらず本の山だらけの広いところだよねー」
ねねね「さっ、急いでセンセを捜して! ここのどっかにいる筈だから」
マギー「……えっ? 私たち…三人だけでですか?」
ねねね「しょーがないでしょ! ミシェールは今センセの埼玉の実家の方で
ジュニアと仲良くやってんだから。文句言う前にとっとと捜す!」
アニタ「(やや不服そうに)はぁ〜い」
露骨に不満そうな表情を浮かべながらも
ともかく言われたとおりに読子を捜し始めるアニタ。
他の二人も必死になって読子の姿を捜し求める。
ねねね「おーい! センセーどこだー! 居たら返事しろー!」
読子「は〜い、読子ちゃんで〜す」
ねねね「――居たかっ!!」
http://ruku.qp.tc/dat2ch/0411/19/1090488082.html 奥のほうから、可愛らしいがどこか緊張感に欠けている声が聞こえた。
その声は紛れもなく、よく聞き慣れた読子・リードマンの声である。
案の定、彼女は本の山に埋もれていた。読子の腕を三人で掴んで
引っ張り起こす。
アニタ「やれやれ、またか……」
読子「ふぅ〜助かりました。動けなくなっちゃって困ってたんです」
アニタ「困ってたんです、じゃないよ! ホントにもう!」
読子「す…すみません……」
ねねね「ほらっ、ボケッと突っ立ってないで早くここから逃げるわよ!」
読子「……逃げる?? あのー先生、何かあったんですか?」
ねねね「詳しい話は後でするが、アンタを追って昨日私のマンションに
英国情報部を名乗る人間が来たのよ!」
読子「英国情報部?」
ねねね「なんかよく分かんないんだけど、大英図書館の時みたいに
面倒なことになると厄介だから早く避難して!」
http://www.amedio.co.jp/products/Qmode/index.html ???「――いや、まだ全員その場に居てもらおう」
ねねね「……ア、アンタは!?」
“美少年キラー”の異名をとり、MI6きっての切れ者との評も高い、
ジャック・バンコラン少佐――先日、ねねねのマンションに
読子を訪ねてきた人物である。
読子「あ、あなたは確か……」
ねねね「アンタ、あたしたちをつけて来たの!?」
バンコラン「失敬だな。神保町のビルにも君のマンションにも居ないとすると、
自然と消去法だけでここへとたどり着く。尾行などするまでもない話だ」
傍にいるアニタとマギーも、すかさず武器である紙を取り出して身構える。
バンコラン「よせっ! お前たちと事を構えるつもりなど最初からない!
私はICPOからの要請で彼女を保護しに来たんだ」
アニタ「本当か!?」
読子「アニタさん、マギーさん、ここは退いてください。
この人は敵じゃないと思います……たぶんですけど……」
ねねね「たぶんって……センセ、この人のこと知ってるの?」
バンコラン「私が若い頃に、当時MI6の工作員であった彼女の父親には
大変世話になったことがある」
アニタ「な〜んだ、そうだったんだ」
バンコラン「大英図書館の残党が君を狙っている。
今すぐに私と一緒にここを出るんだ!」
読子「えっ! で…でも本が!!」
バンコラン「そんなものは全部置いていけ! 気の毒だが
大好きな本に囲まれて過ごす日々もしばらくはお預けだ」
???「困りますねバンコラン少佐、彼女を勝手に連れて行かれては……」
読子「ジョーカーさん!?」
読子「今日は本当にお客さんの多い日ですね〜」
ねねね「――んなこと言ってる場合かっ!!」
ジョーカー「ええ、また会えて私も嬉しいですよ、読子」
ショー・カーペンター、またの呼び名を通称:ジョーカー。
元大英図書館特殊工作部の責任者であり、貧民層からのしあがり、
若くして英国の影の支配者ジェントルメン直属の部下として、
英国海軍やMI6の責任者と肩を並べるまでに上り詰めた男である。
ジェントルメン復活計画による英国の世界支配を企てたが
かっての仲間であった読子や、アニタら紙使い三姉妹の活躍によって阻止され、
それを最後に表舞台からは姿を消したはずであったが―――
ねねね「あんた、ジュニアにジェントルメンの人格の一部を注入されて、
廃人になったんじゃなかったの!?」
ジョーカー「お久しぶりです菫川先生。それが不思議なものでしてね、
こうして今も私はぴんぴんしているんですよ」
バンコラン「ジョーカー……ジェントルメンの寵愛をいいことに
大英図書館を私物化し、女王陛下の名誉に泥を塗った野心家め!」
ジョーカー「これはこれは…言ってくれますね、バンコラン少佐。
ですがその言葉、そっくりそのまま貴方にお返しします。
この私こそが英国を最も心から愛しているのです。そうですね――
貴方にはあのマリネラの豚まん国王の腰巾着のほうがお似合いですよ」