>276-277 アントニア
かわされた!
闇神官が後ろに下がる事によって開いた空間を、さらに踏み込む事によって埋める。
睨みつけてくる相手の目を、こちらも負けじと睨み返した。
踏み込みながらの連撃も、あっさり避けられ、逆に剣を取る腕を捉まれる。
>「暗黒神官相手に接近戦を挑むか。勇気と蛮勇を間違えてはいけないな」
「なっ・・・・」
言い返そうとするが、声にならない。
掴まれた辺りから、妙に重たい感覚が広がる。
大抵の呪文は、かけられた側が気を張っていれば防げる物だ。
しかし、今回は相手が悪すぎた。
思うように動かない体を抱え、それでも意識だけははっきりしている今の状態は、
あまりにも不利だ。
悠々と、闇神官が短剣を取り出すのを為すすべも無く見守り・・・・。
アレクのホーリーライトのおかげか、相手の短剣は、
胸の前に構えたまま固まったように動かない左腕、
構えられたままの盾に当たって逸れる。
助かった、と思うまもなく、腹にキツイのを一発もらった。
「グウッ」
突き飛ばされ、受身を取る事も出来ずに倒れこむ。
>279 アレク
誰かが駆け寄ってくる足音が聞こえる。
アレクの聖句を唱える声が聞こえ、今までの痺れが嘘のように消えていくのを感じた。
>「アーディル!!」
「悪いな」
アレクの呼びかけに、ことさら軽い調子で答える。
礼を言ったりするのは後回しだ。まずはここを切り抜けないとな。
>280 アントニア
>「アニア、アーレン、ルビィ。狼使いは生け捕りにするぞ。いい素材になる」
そうは、させるか!
闇神官は、もう一人の闇神官・・・・何故か今回は味方をしている男に向かい、魔力弾を打つ。
その数、3発。
何処と無く、禍々しい気配を感じさせる術だな。
>282 アーシエ(GM)
>アーシエは呪文を唱えるポーズに入った。淡い紫色のオーラが彼女の身体全身から立ち込めてくる。
俺の背後で何か、とんでもない量の魔力が動いた。
仲間達の誰とも違う質の、今まで感じた事の無いような類の。
おそらく姫さんの物だろうが・・・・。
>285
ダデダドンドコドーン!
バランス・・・・はさて置き。
キャラハン出張所を拝見させていただきました。
長期欠席をしてしまい、申し訳有りません。
小まめにレスを入れさせていただきますので、物語の最後までよろしくお願い致します。
>283 GM
いえいえ、お気になさらず。
不在になるであろう事を先に断っておりましたので、動かしていただいてかえって助かりました。
月は太陽を食らい尽くし、月の影に沈んだ太陽は不気味な青い炎を掲げる。
死神のごとく、たたずむヌースに迷いも、怯えもなく。ただ、あの日の絶望のままに。
>>280 アントニア
「ヌース、漸く来たか」
仮初めたる義兄の声。ローブのフードを取り払う。一つ頷くだけの挨拶。
敵も暗黒魔術の使い手。こちらの魔術の内容は把握できているだろう。
「命が惜しくないのか、ヌース。妹も、貴様には――生きて欲しいと、そう思っていただろうに」
「これは、これは、いまさらながらに、気づかいになって頂けるとは?
帝国の走狗に掛けて頂く情けなど。賞金首には無いはずだとは、
これでも、私は元処刑者ですから、知っているつもりではありますが、ねぇ。」
そう、無表情に言い返した。覚悟はとうにできている。
「世界が闇で満たされることなどないのだ、ヌース。光がなくば、闇は出来ないのだよ」
無謀な義弟の覚悟を受けるように、義兄は言って、術を結んだ。
「ええ、だからこそ。私はあの月が欲しかった……」
呟くヌース。叶わなかったサレイアの思い。その絶望の影に私の命は隠れてしまったのか。
>>272 アレク
神聖魔法による一瞬の輝き。義兄の詠唱が中断される。
「闇がなければ光の意味を知れぬのですよ。なら、光など闇を侵食するだけの悪でしかない。
光は善と誰が決めました?それこそ、無用な押しつけというのですよ、ねぇ。」
正義、善行、信仰、それを押しつけるだけならば、それはワガママな偽善にすぎない。
そう言い放ってから、義兄を直視する。その視線の先に、一人の少女の姿が目に入った。
帝国魔術研究所、唯一の成功例。その力を利用しようとする義兄の目。
「……兄上、いい目をしていらっしゃる。ええ、その目こそが貴方の本性なのですよ!
幼き少女でも、力があるならば。あの偽善者の為に使うとおっしゃるのですか、
アナタも骨の髄まで狗に成り下がったしまわれたようです、ねぇ。」
自分がまだ帝国に使えていた頃に、そのあり方を問うた魔術研究所。
それを止められなかった自分と過去を憎むも、着々と彼の舞台は整いつつあった。
>>282 アーシエ
「宿題・・・でしたね・・・ヌースさん・・・」
はっきりと通る王女の声が響き渡る。それをヌースは背中で聞く。
「・・・私は政治のことはよく分かりませんが・・・世界を闇に返すというあなたの考えには賛同できません」
それが、彼女の出した答え。予想通り、王女の答えなど、始めから決まりきっていた。それが妙に微笑ましかった。
「もう引き返せないのですか? ヌースさん? あなたのことを想っていた女性(ひと)はこんな結末を望んでいないはず・・・。 」
「……全く、ねぇ。王女様?兄上共々、ここに来てそんなに私に生きて欲しいのですか?
後に続く絶望を抱えてまで。目の前の人間を殺せないと言うなら、それは偽善というのです。
なら、私はどうして人を殺してきたのでしょうか?私が処刑されるか、私が処刑しきるか。
それが摂理と言うものです。それでもアナタがアナタでいたことを、嬉しくは思いますが、ねぇ?
……でも、引き返せませんね。アナタが王女であるように。私もまた処刑者なのですから。」
一片の迷いのないヌースの答え。世界か、自身。どちらかがこの闇に召されるのだ。
その覚悟があるからこそ、ヌースはこの場に立っている。例え自身が土に帰ろうと。
>>282 アントニア
「食らえ!」
義兄が放った怨霊の魔弾。それをローブに掛けた闇で食らい尽くす。魔力に糸目はつける必要性はない。
元より、サレイアを失ったあの日、この目に宿ったのは絶望という名の無限に近い魔力なのだ。
「……ところで、主賓がこの舞台には、もう一人ほど足りないと思いませんか?」
そう、ヌースはおかしなことを言い放って、術印を結んで空に叫んだ。
「さあ、いい加減。遠見というのも飽きたでしょう!お越し頂けませんか。偽善の王子様!」
この闇の大禁呪は、皆既日食が及ぶ範囲に働く。ならば例えそれが、帝都の宮殿であろうとも。
そうして、ヌースは帝都のサーライトを闇に引きずり、ここへと招き入れんと試みた。
*無限が続くと言う限定大解除ですね。インフレすぎますか、ねぇ?
*さてはて、後は、サーライト王子に出来ることなら、お越し願いたいものですが。
*ちなみに断っておきますが、私はどちらの味方でもありませんので、あしからず。
その時、サーライトは昼寝をしていた。
太陽が欠けてゆく・・・。
「日蝕か・・・?」
サーライトは独りごちた。
「こんな季節に珍しいな・・・」
サーライトはうたた寝を続ける。
すると、心の中で、呼ぶ声が聞こえる。
「さあ、いい加減。遠見というのも飽きたでしょう!
お越し頂けませんか。偽善の王子様!」
(さて、この声どこかで聞いた覚えがある・・・)
サーライトは思い出そうとした。
すると、サーライトの寝室に異変が起きた。
次元の扉が開く!
サーライトはその空間にぽっかり開いた穴に吸い込まれていった!
そして、届いた先には、雪で覆われた大地が広がっていた。
「ここは・・・?!」
見慣れた顔が見える。ルビィやアントニアやレルシェだ。
そして、それに相対する形で、その声の主である、ヌースがいた。
*こんな所でいいですか? ヌースさん?
「あ サーちゃんだ。どうしてこんな所に居るの?」
ルビィはサーライトの姿を見て、目を輝かせました。
しかし、ヌースの殺気立った様子を見て気付いたのです。
「サーちゃんをこんな所に連れ出したのは、あなたのせいね!」
その声は怒気に溢れていました。
「許さない! サーちゃんを苦しめる奴はみんな死んじゃえばいいんだ!」
その時、イデが発動しました。
・・・というのは嘘ですが、ルビィの杖から、灼熱の炎がヌース目掛けて発せられました。
ヌースだけではなく、アーシエ一行にも直撃です!
>264 アーレン
ファズエロの獰猛な牙は相手の喉元に命中した。その拍子でたまらず相手は倒れふす。
後はこのまま――
>269 アニア
その時。声と共に神聖魔法が飛ぶ。逆回りのように男の傷口が塞がっていく。
慌ててそちらに目を向けると、法衣を着た若い女性が立っていた。
治癒の呪文を慌てて飛ばしたのだろう。あの人がいる限り、
際限なく回復されていくに違いない。なら――
レオーノは狼に思念で命令を飛ばした。
倒れている男を攻撃し続けろ! 魔法を発動させるためには複雑な動作と詠唱をする
必要がある。不自然な姿勢では魔法は使えないのだ。
上からファズエロに押さえ付けさせておけば、とりあえず一人の動きを封じる事が出来る。
それに、向こうの神官の目も釘付けに出来る。
>280 アントニア
黒ローブの男の言葉に背筋が凍った。そんなことを考えていたのか。この連中が何者かは知らないが、
自分を必要としている? 素材? 捕まればどんな事になるか。簡単に想像がついた。
そしてそれはいい想像ではない。この戦闘、なんとしても勝たねば。
>282 アーシエ
アーシエの体から、何かが溢れてくるのを感じる。何をしようとしているのか?
何となく、全てを終わらせてしまいそうな予感が漂う。馬鹿なことを考えているのかもしれない。
自分さえいなくなればとか、自己犠牲とか、いかにも彼女の考えそうな事だ。
犠牲の精神なんて物をレオーノは否定する。みんなで幸せになれないのなら、そんなものに意味はないのだ。
勝手に考え、勝手に傷ついていく、全く馬鹿じゃないか。
そこまで考えて自分も同じだと気が付いた。
自らが召喚士であることを、勝手に悪いほうに考えて、一人で落ち込んでいる。それとどこが違うのだろうか?
自分も、馬鹿か。そこに気が付いて、ちょっと気が楽になった。
>290-291 ヌース、サーライト
戦場を闇へと変えた男が、空を見上げ絶叫する。その言葉に答えるかのごとく、
一層の闇が生まれ、次元の穴が開く。穴の収縮が収まった先には……
一人の男がいた。豪奢な衣装に身を包んだ男は、この場の雰囲気に全くそぐわなかった。
>292
少女の杖が輝く。それが何かの呪文の前触れだと気付いた時には既に遅く、
火球が放たれていた。冗談じゃない、あんなものが直撃したら死んでしまう!
慌てて身を伏せたその行動は正しかったかどうか。
炎に焼かれることはなかったが、その熱がこちらにまで漂う。
意識を保っていられるか正直厳しい。しかしここで気絶してしまえば、ファズエロも
送還されてしまう。そうなれば、押さえ込んでいる男も回復し、こちらの勝ち目はない。
負けるわけには行かなかった。
>283
元々こんなキャラですからご心配なく。少年は時として残酷になれるのですよ。
っていうか、ぶっちゃけ生きるか死ぬかですから、他人に構ってはいられませんよね。
ガープスで特徴でも取ってない限り特に気にしたりは……雑談失礼。
ゲームバランスの範囲は……まあ、なんとかなるでしょう。
自分は常人の範囲で頑張るまでです。無理だったら無理だったで、それまでってことで。
296 :
以上、自作自演でした。:04/02/25 18:58
皆さん生きてますか?…ageときますね。
保守
いつまでもこの状態が続くようなら、乗っ取っちゃいますよ?
とか言ってみたり。頑張ってくださいよマジで。
>289 ヌース
>「闇がなければ光の意味を知れぬのですよ。なら、光など闇を侵食するだけの悪でしかない。
> 光は善と誰が決めました?それこそ、無用な押しつけというのですよ、ねぇ。」
「雌鶏が先か、卵が先かといったところだな。我らの勃興は光と共にあった。
闇は邪魔なものでしかない。闇は目に付かない片隅にあればよいのだ。私も、お前も」
> アナタも骨の髄まで狗に成り下がったしまわれたようです、ねぇ。」
「力あるものならば私はなんでも利用しよう。帝国の為ならば、私は喜んでサーライトの走狗になろう。
貴様は言ったな、光は善ではないと。そう、闇もまた悪ではない。
私はこの秩序を守る為ならば、どんな非道でもして見せようではないか!」
下らない言い争いはここまでだ。この勢いは止められない。もとより生かしておくつもりなどない。
サレイアの夫としてのヌースはあの時死んだのだ。今いるのは、背教者ヌース。
呪弾の連撃はあっさりと止められた。やはり接近して戦うしかない!
しかしヌースは疾駆する私には目もくれず、
見慣れぬ術印を組むと空に向けて叫んだ。
>「さあ、いい加減。遠見というのも飽きたでしょう!お越し頂けませんか。偽善の王子様!」
なん……だと!?
辺りを包む闇より一段と深い昏が生まれる。
それは段々と広がり、次元の扉を生み出した。召喚術。
この状況でヌースが求める相手とは一人しかいないだろう。
帝国の皇子、サーライト。あまりにも場違いな男は戸惑いを隠せぬ表情で辺りを見渡していた。
ちょうど私とヌースの中間点に。
勢いを殺せず、私はサーライトに衝突してしまう。王子は何が起こったかわからぬまま、
私の体当たりをくらい目を回した。
「なんの……つもりだ、ヌース!」
怒気を孕んだ声で睨み付ける。体勢を整え、王子をローブの背に隠しながら。
>292>296
ヌースがいた辺りを強烈な火精が通り過ぎる。ルビィの仕業だ。
中心になったのはヌースだが、辺りにいた冒険者も巻き込まれてしまっている。
生きてはいられないほどの威力……流石だ、この少女は。
だがやりすぎだ。これでは肝心の王女までが丸焼きになってしまう。
先ほど王女の体から発せられた光、それが身を守る類の法術であることを
願うばかりだ。
>298
別にいいんじゃないでしょうかねえ。私もGMのNPCを勝手に乗っ取ったわけですし。
あなたも他のNPCなりPCを動かしてみては?ここ最近音沙汰のない人は、
確実にいるわけですし。
勝手な事を言っております。でもまあ、後ちょっとですし、頑張りましょ。
ここにいる皆で、ね。
保守
303 :
アーシエ ◆WxMeOa04G6 :04/03/01 08:38
ルビィの炎は、レオーノら一行を襲った!
しかし、それと同時に、アーシエの魔法が発動した。
炎は紫色のバリアに阻まれて、打ち消された。
「魔法障壁!(マジック・バリア)」
アーシエはそう唱えたのだった。
ガクッと膝をつくアーシエ。それだけ、ルビィの魔力は恐るべきものだった。
「もう観念する時が来たようですね」
そうアーディルに言い、アーシエは寂しく笑った。
*GMとして考えていた裏設定とかあるのですが、ばらしちゃいましょうかね。
レオーノさん、ルビィさん、アントニアさん、書き込みありがとうございました。
まあ、様子を見て決めます。
>296-298さんのようにまだ観客さんがいらっしゃるようですので、ラストまで持っていきたいです。
すまん、ちょっと個人的な事情で来られなかった。
>290-291>300 ヌース サーライト アントニア
闇神官の絶叫に答えるように、空間に奇妙な裂け目が出来た。
そして、そこから一人の男が転がり出てきた。
この殺伐とした場には、まったくそぐわない格好をしている。
・・・・追っ手の方の神官が庇った処を見ると、どうやら帝国側のエライさん、
姫さんに追捕をかけた張本人、ってわけだろうな。
>292 ルビィ >303 アーシエ
>「許さない! サーちゃんを苦しめる奴はみんな死んじゃえばいいんだ!」
少女の叫びと共に、杖の先から炎の塊が飛び出して来る。
直撃コースだ! 真っ直ぐにこっちに向かって飛んでくる。
だが、俺には何にも出来ない。・・・・魔道、魔力と言った物には縁が無くてな。
万事、窮すか! 俺がそう諦めかけた時、だ。
>「魔法障壁!(マジック・バリア)」
姫さんの声と共に、向かってきた火球が弾け飛ぶ。
防ぎきったのはいいが、それでもだいぶ消耗したらしい。
姫さんが膝を付いて、薄く微笑むのが見えた。
>「もう観念する時が来たようですね」
「バカな事言うな! 諦めたら、そこでしまいだろうが!」
さっき自分自身諦めかけた事は棚に上げて、姫さんに声をかけた。
強がりでしかない事は、自分でもわかっている。
「生きてさえいれば、まだどうとでもなる!」
俺は、剣を構える。姫さんを背中に庇うように。
>>300>>291
「なんの……つもりだ、ヌース!」
義兄が叫ぶ。さあ、舞台は整った。サーライトは招請に応じた。
「これは傑作です、ねぇ。兄上。どうです、忠誠を誓った君主に体当たりを食らわす気分は。
……いやいや、お久しぶりです、ねぇ。偽善の王子様!」
これで、私の命の灯火が尽きる前に、為すべき事を成せる。そう思った時だった。
>>292>>303
魔導研究所、唯一の成功例ルビィ。その身体には炎の精霊イフリートが宿るという。
そして、ヌースを、その炎が焼き付くさんと前へ出る。虚をつかれた。
そう、その身に余る魔力を子供の無邪気さが発動させればどう言ったことになるかを。
ここで……私は終われない。終わるわけにはいかないのだ。
「魔法障壁!(マジック・バリア)」
王女の唱えた魔法が、ヌースまでも包んで、その炎を防ぎきる。
「……まさか、ハン=トルアの魔法がここまでのモノとは、思いもよりませんでした、ねぇ。
しかし、相変わらず。アナタは甘すぎる。この私まで守ってしまうとは。ええ。」
そういうと、目の前の王子にヌースは振りかえる。笑いながら。
「ところで、サーライト殿下。こうしてお会いするのは、久し振りです。
ここへ来ていただいたのは他でもない。私は、前々よりある疑問を抱えていました。
それをアーシエ王女も含めて、皆さまに解いて頂きたいと存じる次第です。
それはそうと、良い兵器をお作りになった。これでは、私も油断してしまいますよ。
しかし、戦争というモノはなぜいつも当事者がいないところで始まり終わるのでしょう、ねぇ。」
戦火とは、兵器にされた人が一握りの権力者の為に闘うものではない。
それも、こんな幼子が。その自身の能力を呪う為にあるのではない。
「ならば、当事者同士が肩を並べ。その昏い欲のままに闘って頂きたいと、ねぇ!
私は、そのお手伝いをさせて頂いているだけですよ?」
太陽を包む青白き炎に不適に微笑む。かつて、使えた君主と義兄を見透かすように。
「問いましょう、アナタ方がこれから行う非道も、それでも正義であるというのですか?
そんな秩序や正義は偽善でしかないとわかっていらっしゃるのですか?」
>>304
「もう観念する時が来たようですね」
後ろで、王女の冷め切った呟きをかき消す少年の声がする。
「バカな事言うな! 諦めたら、そこでしまいだろうが!」
生きてさえいれば、まだどうとでもなる!」
ヌースは、その様をクスリと楽しむように笑って、また振り返らずに叫んだ。
「……少年。その甘くて大バカな王女さまを、護ってあげてください。
頼みますよ、ねぇ。その方はあまりにも脆すぎる。それにまだ死なれたら困るのですよ」
ヌースは大鎌を構えて、跳ねた。そして、少女の前に降りて問う。
「……お嬢さん、それほどまでに。この偽善者が好きですか?
アナタという呪われた存在を生み出したん、この偽善者を……」
ヌースの目には、後悔が写る。この計画を止められていれば。
こんな兵器として使われるのが目に見えた、哀れな存在を作らせなかったのに。
「……私の罪をお許し願いたい。そして、アナタには私と同じ苦しみを味わわせてしまうかも知れない。
大事な人を失うというのは、それだけで、引き返しようもないぐらいに、辛いですから、ねぇ」
悔悟、懺悔。消し切れぬ罪と罰。この幼子はそんなことを知らなくて良いのに。
知らせなければならないのか。我が最後の罪はこの小さな少女にゆだねることなのか。
一瞬、死神になろうと決めた心が揺らいだ。目から大粒の涙がこぼれた。
「……やはり、どうあれ。私とアナタ達では袂を分かつしかなかった、と言うことです。
なぜ、こんな幼子にまで、あなた方の昏い欲望を植え付けるのです!
そしてそれが、肥大し腐りきった王国の成れの果てというなら。
やはり、私が処刑せねばならないようです、ねぇ!偽善の王子様も兄上も」
そうして、ヌースはその手に取った大鎌を掲げ、振りかえる。
「王女様、見ておきなさい。こうなってしまわぬと誓えますか?
先にある戦火というモノがいかに無意味かを知りなさい。
大事な人を失う辛さが、いつか人を死神に変えてしまうと。ゆめゆめ忘れないよう。
それでも、王になると誓えるなら、誓いなさい。そして、このくだらない繰り返しを断ってみせなさい。
それでも繰り返しを断てないと言うなら、私が黄泉からでも殺して差し上げますから、ねぇ!」
>285
オレァ クサムヲ ムッコロス!!
>289 ヌース
>月は太陽を食らい尽くし、月の影に沈んだ太陽は不気味な青い炎を掲げる。
この男。まさに死の使者。これほど邪悪な魔力を全開にして!
私は今更ながら脅えた。秘めたる己の力を開放させる勇気を封じられてしまいそうなほどに。
寿命と引き換えに得る、高位の魔力、神聖魔法の奇跡。
あの日、両親を失ったときと同じに、私はその力をあまりの「恐怖」を感じるがゆえに
……使うことは出来ないのか?
二人の暗黒魔術の使い手が対峙する。
>「世界が闇で満たされることなどないのだ、ヌース。光がなくば、闇は出来ないのだよ」
>「闇がなければ光の意味を知れぬのですよ。なら、光など闇を侵食するだけの悪でしかない。
>光は善と誰が決めました?」
私は、私は「光」を信じる。そしてその希望に向かって生きる。
だが、この二人の男たちの語る「光」にも「闇」にも、私の思い描く「輝き」はないように思えた。
>290
>世界を闇に返すというあなたの考えには賛同できません
王女様の言葉が胸に重く響いた。
世界。そんなに大きなものを背負って私たちは戦うことになってしまったというのか。
闇に帰した世界など私は望まない!妹と平和な光に満ちた世界で暮らすのだ。
生きる!…戦い、戦い抜いて、生き残らねば。
>お越し頂けませんか。偽善の王子様!
何を、誰を呼んだというのだ?!
これ以上……この戦いに導かれるべき何者かが現れるというのか……。
絶望。
私の心を凍るような風が吹き荒れた。
>291-292
突如出現した人間がいた。あれが、帝国の皇子か。
事態が悪い方向へ転がり落ちていく。
>「許さない! サーちゃんを苦しめる奴はみんな死んじゃえばいいんだ!」
灼熱の炎は死の使者めがけ飛んでゆく。その勢いは凄まじく、私たち全員を巻き込む。
>303
>「魔法障壁!(マジック・バリア)」
アーシエ様の詠唱が聞こえた。紫色の霧状の雲が私たちを炎から完全に守ってくれた。
>「もう観念する時が来たようですね」
貴女が、貴女が最初にあきらめてしまうのですか?
そんなことは許されないと、全て背負った上でそういうのですか?
そのとき、アーディルが叫んだ。
>304 アーディル
>「バカな事言うな! 諦めたら、そこでしまいだろうが!」
>「生きてさえいれば、まだどうとでもなる!」
「そうです!戦いましょう、生きるために……」
私も、アーシエ様を守るように体勢を立て直した。
心は、生への執着というにはあまりに真っ直ぐな想いと、凍るような絶望と、震える恐怖で混乱していたが。
生きるという希望が、その祈りが、きっと、神に届くと、私は信じることにした。
>306
悲痛な思いで立ち上がった私たちだったが、実力の差はあまりに無慈悲に思えた。
>その方はあまりにも脆すぎる。それにまだ死なれたら困るのですよ
私たちは、この男に生かされているに過ぎないのか……。
こいつは、私たちを全滅させるだけの力を持ちながらそうしないだけなのか。
私の眠れる力よ、今こそ、今こそ目覚めよ!
私は内なる自分に祈った。
そのとき、眼前では……
死神が、はその手に取った大鎌を掲げ、「処刑」を!
>295
自分は常人の限界をほんのり超えて、生き残れるよう努力します。
ほんのりが行き過ぎて、ああ、やり過ぎたなと思ったときはそれに見合う最期を遂げたいと思います。
>296-297
保守ありがとう!生きています。キャラも中の人も。
>298
マジで頑張ります。でも、乗っ取り希望ならどうぞアレクを乗っ取ってみてください。
私が放り出すというわけではなくて。途中で誰かが動かしてもかまわないと思うのです。
たとえば、誰かのピンチをかばう、とか。
毎日来られませんので、とっさのときに動かしてくれる方がいらっしゃれば嬉しいです。
基本は、妹と暮らすために戦い、生きて帰る。
でも、とっさに王女様をかばって逝ってしまうということも、純真な少年ならあるのではないかと。
>301
ラストバトルがんばっていきましょう!私も乗っ取り推奨派です。
>302
保守ありがとう!
ここって、書き込みがないとうっかり圧縮で落ちちゃうんじゃないかと心配なので助かります。
>303 GM
裏設定?!き、気になります。もし差し支えなければ公開していただけませんか?
レルシェの頭には疑念があった。
こうしている間にも、アントニオとヌースは戦っている。
アーシエを守っている少年たちも、
「バカな事言うな! 諦めたら、そこでしまいだろうが!」
「そうです!戦いましょう、生きるために……」
と言って、王女を励ましている。
しかしだ。ハン=トルアの一国の存亡がかかっているのに、この護衛団では役不足すぎるのではないだろうか?
レルシェははたと考えた。
ひょっとして、この連中は捨て駒なのではないか?
――本当の「アーシエ」姫は別にいて、我々は囮を追跡していたのではないか?
レルシェは魔道研究所で聞いたことがある。
人体複製の秘術を。
帝国の魔道のレベルでは、人の複製を創ることはできても、その肉体に人格や記憶を入れ込むことはできなかった。
しかし、ハン=トルアの魔道の水準ならば、ひょっとすると、肉体という器に心を入れることができるのでは?
それはそのコピーされた本人の性格であったり、記憶であったりすることもできるかもしれない・・・。
もしそうだとすると、我々ここにいる全員はハン=トルアの連中にまんまと騙されたというわけだ。
サーライトもヌースの魔法の力でここに呼ばれてしまった。
この場に役者は揃ってしまっている。
愛するキリコも敵としてここにいる。
レルシェは迷った。この疑惑をアントニオに口にしていいものかと。
念のため保守。
そろそろ言っていいかな?
こ の ス レ に は 今 、 私 し か 居 な い ッ ! !
今更参加するワケにもいかないしなぁ orz
>>313
*おや、ネズミが一匹迷い込んできましたか。
*現にこうして、私はおりますが、ねぇ?
*とりあえず、待機しております。物語も佳境ですし。
*足切りされなかったのも何かの運命です。完結させたいです、ねぇ。
*さて、まあ。一つだけ補足のほどを。
*改行規制に阻まれて、最後の一行を削りましたが、
*いささか、説明不足だと思いまして、ねぇ。
*私は、最後の言の後、後ろを振り向いて、
*兄君と王子に向けて走っております故。よろしくのほどを。では。
イター!
頑張れ。超頑張れ。
*アレクは応戦しつつ、必死に眠れる力に呼びかけています。
*というわけで、私も待機中です。一人じゃ戦闘できないので。
「私の魔法をはじき返すなんて小癪ね!」
ルビィはもう一度、呪文を唱え始めました。
そして、また、灼熱の炎がルビィの杖からアーシエ一行とヌース目掛けてとんだのです。
「サーちゃんを苦しめる奴はみんな死んじゃえ!」
ルビィの目は復讐の炎で燃えていました。
*今度はアーシエの魔法も効かないでしょう。
*さて、アーシエ一行とヌースの皆さんどうしますか???
そのルビィの魔法を一身に受けたのが、アーシエだった。彼女は一行の前に飛び出したのだ。
炎を浴び、アーシエは音も無くその場に倒れた。黒こげになるはずが、アーシエは衣類も含めて無傷だった。
「アーシエ!!!」キリコが駆け寄った。アーシエの身体は淡く紫色に光っていた。彼女は静かに目を閉じていた。
「お前を守るはずが、何でお前が盾になるんだよ!!!」キリコの叫びは悲痛だった。
キリコはアーシエを抱きかかえた。それを知ってか、アーシエはゆっくりと目を開いた。
アントニオもヌースも戦っていなかった。ルビィもアーシエの方を注視していた。皆、アーシエとキリコを注目していた。
「これで良かったのです・・・」アーシエは静かに言った。それは弱弱しいものの、はっきりした口調だった。
「私のために、愛する人同士が戦い合う姿をもう見ていられなかったのです・・・」
アーシエは首をわずかながらもたげた。その視線の先にはレルシェがいた。
「レルシェさんと言うのですか。あなたの心の中を見せてもらいましたよ」
そう言ったアーシエはにっこりと微笑んだ。それは何かにはたと気付いて苦笑いしているような笑みだった。
「おかしいと思っていたのですよ、私も。メルヌさんもクレアさんも表面では私を敬っていながら、関心は別な所にあったのですから・・・。
私自身もぼんやりとした幼少の頃の記憶に疑いを持っていたのです・・・。
しかし、レルシェさん、あなたのお陰で謎も解けました。すべては仕組まれていたのですね。所詮、私は人形でしかなかった・・・」
「何を言ってるんだ! 俺たちはあんたを守るためにここまで命を張ってきたんだ! それは今も以前も変わらないんだ!」
アーディルやレオーノ、アレクもいつしかアーシエを囲んでいた。それを黙って、遠目でチェットとフェイが見守っていた。
>317
復讐の紅蓮の炎の瞳。少女の瞳は無邪気に狂っている。
私にはどうすることもできない。
このまま、焼き尽くされて終わるのか?
>318
>ルビィの魔法を一身に受けたのが、アーシエだった。彼女は一行の前に飛び出したのだ。
アーシエ、様?
私たちを、かばって……護衛は私たちだというのに。
我々が未熟なばかりに、こんなことに。
敵が強さから王女を守れない自分が歯痒く、くやしかった。
「どうして…私たちが…私たちが守らねばならないのに…」
>「これで良かったのです・・・」
王女は全て覚悟の上だったと、そういうのか。
>レルシェさん、あなたのお陰で謎も解けました。すべては仕組まれていたのですね。
>所詮、私は人形でしかなかった・・・
人形。
そんな。彼女は王女ではなかったと。
偽者。傀儡。身代わり。
だから、それが事実だとして、なんだというんだ。
私たちの仕事は、いや、使命は、「彼女」を守ること。ただ、それだけ。
>俺たちはあんたを守るためにここまで命を張ってきたんだ!
>それは今も以前も変わらないんだ!
>アーディルやレオーノ、アレクもいつしかアーシエを囲んでいた。
「アーシエ様」
私は、背中から、そっと彼女を抱きしめ支えた。今にも崩れ落ちそうに思えたから。
彼女はそんな弱い人間ではないだろう。それでも、戦いの最中でも。
何故だか、彼女がひどくさみしげにうつったから……。
人
(0w0)ノ ウェイ!
>318
少女の二度目の炎は王女の身体を焼いた。魔法による加護により
火傷一つも負ってはいなかった。
その後、アーシエの口から語られる衝撃の真実。
なんと、彼女はハン=トルアの皇女ではなく、身代わりの偽者だったというのだ!
確かにそれならレオーノたちに依頼を受けさせたのも納得がいく。
わざわざ駆け出しに仕事を任せたのはそのためだろう。
そもそも帝国の首都に王女が身を隠していたという噂自身もハン=トルアで
流したのではないか。全ての疑問が氷解した。
……だからなんだ? そんなことを今さら言われても。
やることは今さら変わりないのだ。「彼女自身を守り、セルタークに連れて行く」
本物も偽者も変わりはない。この状況をどうするのか。
ある妙案が浮かび、レオーノはしゃべりかけた。レルシェと呼ばれた少女に向けて。
「そういうことなんだ。さて、どうする? この娘は本物の王女じゃない。
ボクらが戦う意味はないと思うけど? ボクらを殺すのは簡単だろう。でも、ただじゃ死なない。
怪我をするよりは、良いと思わないか?」
弓を掲げる。これで引いてくれればいうことはないけど、問題が二つ。
アーシエの心理状態と鎌を持った黒ローブの男。
どうしようもなさそうだ。
>318 アーシエ
きみが何者であろうと、きみはきみとして今まで生きて来たんだ。
偽者とか本物とか、関係ないと思わない? ボクはアーシエ、きみと出会えてよかったよ。
まあ、そんなわけで助かる為に話を合わせてくれないかな。
忘れてるかも知れないけど、きみは本物かも知れないし、
帝国側も「どちらでもいい」と思ってるのかも知れないからね。
……ほら、心を読めることって便利じゃない。口に出さなくても考えが伝わるんだから、さ。
一方でファズエロは主人の命令どおりに、眼前の青年の体に爪を食い込ませ、
肉を噛み千切り、その身体をしっかりと押さえつけていた。
血が吹き出した瞬間にその血が逆回しに体内に戻されていく。ちぎった身体の一部が
すぐに再生する。それを繰り返していた。
>292>317 ルビィ
赤毛のハーフエルフはその杖から灼熱の炎を噴出させる。
すさまじい熱量が一行を襲う。一度目は魔力の障壁に防がれたが、
二度目の炎はアーシエの身体を焼いた。
子供とは思えない魔力、おそらくそれは何かのアイテムによって増幅されているのだろう。
一番怪しいのは右手に掲げている大きな杖。そう考えたレオーノは、
忠実なる友人の狼に向けて新たな命令を下した。
「彼女の杖を奪え」
召喚士とモンスターは心で繋がっている。言葉に出さなくても、
その思考は理解できる。
>318
皆がキリコと王女に注目していた。そっとファズエロは青年から離れる。
そのまま気配を消し、ゆっくりと少女に近寄り――
>321 レオーノ
大仰なしぐさでレオーノが弓を構える。それを合図として、
ファズエロは跳躍した。紅い少女の元へと。
体躯に似合わぬ長大な杖、目標を見誤るはずもなかった。
事態が好転したんだか急転直下したんだか。
召還士の面目を果たす為にも、二面作戦を展開しました。
ルビィの杖は制御装置になっているらしいですが、
そんなことはレオーノが知るはずもないですしね。
それと、描写を間違えておりました。ルビィの杖は「小ぶりな杖」でした。
となると、奪取が難しくなりますね……
手首を噛み千切ったり、なんてことはしたくないのですが……うーん。
まあ、その辺はルビィ役の方にお任せします。
ルビィは目をパチパチしていました。
自分の攻撃を一人の少女が受け、そして横たわっている・・・。
(わたしの攻撃をまともに食らったら、ひとたまりもないはずなのに・・・)
「それよりも、サーちゃんはどうしたのかしら?」
ルビィは我に返り、サーライトの無事な姿を見て安堵しました。
―――とその時でした。ルビィは持っていた杖を奪われたのです!
「あっ、その杖は・・・」
ルビィは奪い返そうとしましたが、ファズエロと呼ばれる幻獣は銜えてガルルルと唸っています!
(Y)
┏━━┓
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ピュ.ー 彡゚ ヮ゚ )ミ <ぴょぴょぴょ〜♪ぴょこぴょ♥ぴょこLOVE♥注意報ぴょ♪とうぜんCDは買ったぴょね?買わなきゃ淫乱してあげないぴょ♥
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レズはきもちいいぴょ♪ ぴょ!!!>1さんぴよこのオナニー見ちゃダメぴょ >1さんははんせいしてほしいぴょ・・・・はんせいしたぴょね?
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うぇ
「アレクさん、こんな私のために、一緒に泣いてくれるのですね」
アーシエは後ろを振り向くとにこりと笑った。それは儚いユリの花のような笑顔だった。
「もう私の命は長くありません。そこのルビィとかいうお嬢さんに魔力の面で負けてしまいましたからね・・・」
「アレクさん、クレアさんと末永くお幸せに・・・。うっ、グハッ!」
アーシエは血を吐いた。アーシエの白い上着が鮮血で真っ赤に染まった。
「もう喋るな! この場にいる誰もがあんたの命を先決にと思っているんだから!」
キリコはアーシエに話し続けていた。もう駄目とは分かっていても・・・アーシエに生き続けて欲しい――そういう思いからだった。しかし、アーシエは喋ることを辞めなかった。
「レオーノさん、もう無駄な抵抗はやめてください。私の望みは犠牲者は私だけでいいということ。
そこのルビィさんはあなたの手に負える相手ではないのです。だから、この場で命を粗末にすることだけはやめて! あなたの肉親があなたを待っていることでしょう・・・」
アーシエはレオーノの方を向き、必死で懇願した。しかし、その言葉も途切れ途切れになり、アーシエはアレクとキリコに抱かかえられながら、静かに目を閉じたのだった。
ようやく様子が分かったサーライトが寝間着姿で、徐に口を開いた。
「アントニア、アーレン、アニア、ルビィそしてレルシェ、撤退だ。退くぞ」
そして、ヌースの方を向くと柔らかな口調で言った。
「もう戦いは終わった。それとも我が精鋭とまだ戦うかね?」
サーライトは憐れむような眼差しをヌースの方へ向けた。
「もう君も十分なんじゃないかね。それとも敵と思って、我が命をまだ奪いに来るかね?」
サーライトは無防備だった。彼は自分への憎しみを一人で受け止めようとしている様子だった。
>329
>こんな私のために、一緒に泣いてくれるのですね
ああ……。言われて、私は頬を伝う自らの涙に気付いた。
白い儚げな微笑。神よ、この方を連れていってしまうというのですか。
命の脆さは両親を目の前で失ったあのときに痛いほど実感していたが、今、また……。
こんなにも簡単に人は命を終わらせてしまう。
>「アレクさん、クレアさんと末永くお幸せに・・・。うっ、グハッ!」
「……アーシエさ、ま……。」
私の声はかすれていた。神が彼女に与えた最期はあまりに残酷過ぎる。
>アーシエの白い上着が鮮血で真っ赤に染まった。
彼女の身体から血の気が失せ、少しずつあたたかみも消えていく。
命の灯火が細くなるのが私の腕に伝わってくる。
>私の望みは犠牲者は私だけでいいということ
>アーシエはアレクとキリコに抱かかえられながら、静かに目を閉じたのだった。
私は生き残った。仲間たちも。彼女の尊い犠牲の上に。
だが、私たちは負けた。
己の弱さを噛みしめるしかなかった。
レオーノもアーシエ様の言葉に従い、抵抗をやめるだろう。
これ以上の戦いに意味があるとは思えない。
私は、封印した自らの秘めた力を覚醒させられなかったことを悔やんだ。
両親を失ったあの日も。
力を持っていても、使いこなせなければ危険なだけ。
そのため、封印を施された。
私は普通に平和に暮らし、力など永遠に必要としない生活を送るはずだった。
なのに。それなのに!
私は二度も、力があれば大切な人を目の前で殺されずに……いや、こんな後悔は意味が無いのだ。
私は無力だったのだから。それが変えることの出来ないたった1つの事実なのだ。
そして、この戦いは?
まだ、死神のような男と突如姿を現した王子とその部下たちはこの場にいる。
王子は部下へ撤退の命令を出した。
しかし、死神はまだ不気味に存在している。
保守
>>317>>318
再び放たれる少女の炎。それを文字通り命懸けで止めた王女。
「私自身もぼんやりとした幼少の頃の記憶に疑いを持っていたのです・・・。
しかし、レルシェさん、あなたのお陰で謎も解けました。すべては仕組まれていたのですね。所詮、私は人形でしかなかった・・・」
そう呟く王女に不必要な同情を覚えていた。まるで姿を隠そうとする月のようであり。
己の心の中にいつまでも生き続けるであろう。サレイアのようであり。
そうして、ヌースはしばらくは立ちつくしているほか無かった。
>>329
「アントニア、アーレン、アニア、ルビィそしてレルシェ、撤退だ。退くぞ」
王子は撤退の命を下し、憐れむような眼差しでヌースを見つめていた。
「もう君も十分なんじゃないかね。それとも敵と思って、我が命をまだ奪いに来るかね?」
そうすると、ヌースは静かに王子とその一行の前に立ちはだかり、不気味な笑みを浮かべた。
「……ええ、興が削がれましたから、ねぇ。偽善の王子、そして兄君。
この別れは今生のモノ。それでも、あなた達を見逃して差し上げるほか無くなりました。
感謝するならばそのお嬢さんになさい。私はお嬢さんの希望まで、摘みとれませんから、ねぇ。」
そういって、ヌースはルビィを見つめる。自身が止められなかった罪故に。
「お嬢さん。本当にこの偽善者が好きなようですね?いえいえ、もう手出しはしませんよ。
好きであるなら、守り通して見せなさい。アナタにはその力とてありましょうから、ねぇ。
この偽善者は、ああ見えて脆いですから、サーライトをよろしく頼みましたよ……」
そう言って、ヌースはルビィに微笑んだ。まるで、娘を見る親の表情のように。
「さて、別れの前に偽善の王子、これが旧知の仲として最後にできる忠告です。
そのお嬢さんを、たとえ、国が滅びようと。決して離さぬことの無きように。
もし、裏切ろうと言うならば、アナタはこの少女の炎で焼かれることになるでしょうから、ねぇ?
それがアナタに科せられた罪なのかも知れません。ええ、処刑はこれで終わりにしましょうか。
……さあ、王子。退くといいでしょう。そしてサヨウナラです。永遠に、ねぇ。」
そうして、ヌースは踵を返し、今にも息を引き取りそうな、王女の方に歩みを進めた。
「さて、王女様?ここで終わりになさるのはあまりにも無責任すぎますが、ねぇ。
……アナタの自己犠牲には、私はほとほとウンザリしているんですよ。
自身を捨て、それで残されたモノはどうなります。それがわからぬとは言わせませんよ、ねぇ!
ええ、それでも。アナタの言を借りるならば、この場で犠牲になるのは私一人で良い。
元より、この仮初めの夜と共に尽きる命。それは私が選んだ道。後悔などありますまい。」
それは、まるでサレイアに語るように。置いて行かれたことの辛さを叫ぶように。
「まさか、ハン=トルアが、偽善者以上の禁忌に手を染めようとは思いもしませんでしたが、ねぇ。
ええ、アナタにも生きて頂きます。殺す処刑があるのならば、活かす処刑もあって良い。」
そうして、王女の前に立ち。その懐から出した骨の短刀を、王女の心臓に突き立てた。
周囲のどよめきを背に、ヌースは術を唱え続けながら、後ろに言い放つ。
「この方を生かしたいと願うならば。手出し無用に願います。闇が人を殺すと、誰が決めました?
サレイアが一番得意としていたのは暗黒魔術の中でも、治癒魔術なのですよ。」
そして、その教えを受けたヌースにとってもそれは同義。短刀を引き抜き、手術を終える。
「さあ、これで、夜が明ければ。王女様は目を覚ますでしょう。
少年。王女様に伝えてください。この禁忌に汚れた闇を統べる物が居るならば、
それは、サーライトでも、もしかして居るであろう、アナタの現し身でもない。
目の前にいる、アーシエ。アナタであると。そうして、本物になってしまいなさい。
その優しさを、もっと自身に向けるように。私が与えた命。無駄にはされたくないですし、ねぇ。」
そうして、ヌースは立ち上がり。一行の元から去ろうとする。止める声に言葉を返す。
「……私は、サレイアの元に参ります。それでは。王女様をよろしく頼みます。」
処刑者は静かに舞台を降りる。闇という名の暗幕を開いて。
月が太陽を空に放つ。仮初めの夜が終わりを告げる。ヌースは一人でそれを見つめていた。
(……サレイア、私は幸せでしたよ。心残りは、王女様とお嬢さんですが、ねぇ。
これ以上は贅沢と言うもの。私は常々月が欲しいと願っていましたが、
それがこういった形で叶うとは。しかし、まさか、太陽をも空に放つとは思いませんでした。
あの二人は月と太陽。願わくば、空に放たれた、安らぎの月と苛烈なる太陽に、幸多かれと。
さて、疲れました、ねぇ。……サレイア、私はアナタの元に逝けますか……)
そうして、月が太陽の光を空に放つと共に、静かに処刑者ヌースはこの世を去った。
絶望を憂いた瞳は、希望に満ちて。静かに新たな時代の幕が開く。
*さて、遅ればせましたが。これが私の最後のレスとなります。
*私は、先に舞台を降りさせて頂きますが。結末を見届けさせて頂きますよ。
*早々に散る予定だった私が話の終盤まで生き残ってしまうとは。思いもよりませんでしたが、ねぇ。
*ただ、私の遅いレスで、多大なる迷惑をかけてしまったことも否めません。
*今一度、ここまで、この私につき合ってくださった全ての皆さまに謝辞を。
*では。物語の結末の頃にでも。現れましょうか、ねぇ?それでは、皆さま。しばしのお別れです。