Seven Days War

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1Cicada
七年間に渡る土の中での生き埋め生活も過去の話し、
ようやく味わうシャバの空気。いいねぇ。

ところはそうは問屋が卸さない。
宣告されたんだよ。


「お前の命はあと七日」


酷いぜおっかさん。
2Cicada:03/08/05 17:26
そもそもだ。
そういうのは本人…でなく本蝉に
告知していいもんなのか?
悪意はなかったにしてもなぁ。

悪いのは人間社会だ。
あの世界は情報が氾濫しすぎてるぞ。

指さして笑いながら言うなよそこの小学生。
3Cicada:03/08/05 17:26
だが、そんなことをいまさら世間に抗議しても
もはやどうにもならない所まで来ているわけで。

わかってるさ。これが俺の寿命なんだろ?
でもちょっと厳しいな。

世界一周リレーやるには俺が1ダースいなきゃならないのか……
4  ノ ̄  -・=-  -・=- :::) :03/08/05 17:27
ジャイアンツ愛
5Cicada:03/08/05 17:27
…飛行機とやらに潜り込むことに成功すれば
地球の裏側にもいけるかも知れんな。

「空輸」。いい響きだねぇ。
俺の存在価値を高めてくれる良い言葉だ。
6Cicada:03/08/05 17:29
しかしまぁ現実を見ろ、と。
結局はこうなるわけだな。

世知辛い。世知辛すぎる。
自身の運命を呪わずにはいられない。

延命処置はできないのか?
命を延ばすことのできる薬品はないのか?
厚労省の認可が下りないからダメなのか?

そうか。俺には人権がないんだ……。
7Cicada:03/08/05 17:31
とりあえず空を飛んでみたりなんかしちゃったりして。




…この感触だ!
舞っておる! 舞っておるぞ!


ささやかな優越感じゃな。
8Cicada:03/08/05 17:33
そして爆弾投下。
俺のアンモニウム爆弾が周囲に展開する。

これでお前もスカトロ経験者だ。
それも昆虫スカトロのな……

今のところ俺の優位は代わらない。
……今のところはな。
9Cicada:03/08/05 17:34
そして無事に木に着陸。
華麗なアクロバットにすっかり御満悦。

そりゃ歓喜と勝利の雄叫びもあげるさ。
狂おしいほどに狂うのさ。
…で?
>1は留蔵
12レビル将軍:03/08/05 17:39
ジオンめ、一週間戦争で何億人死んだと思っているのだ。
13Cicada:03/08/05 18:21
で、我にかえる。

…いかんな。残りわずかなこの時間をこんな
スカトロプレイに費やすわけにはいかない。

もちろんターゲットを変更していけばそこそこ
楽しめるのであろうが……。
14Cicada:03/08/05 18:22
とりあえず小学生はもういい。
興味本位で俺達を捕獲するな。
こっちは命かかってんだぞ。いやマジで。
15Cicada:03/08/05 18:22
それでなくても彼らにはウンザリする。
俺たちをみるや否や、素っ頓狂な声をあげ
近づいてくる。顔には満面の笑み。

不気味といったらありゃしない。
マジで怖いぜ。
お前らは蝉さらいか?
16Cicada:03/08/05 18:22
俺に触るなよ。
初対面だぞ?

挨拶もせず、許可も得ずにいきなりソフトタッチと
きたもんだ。身体の節々が痛いんだよ。

とりあえず死の宣告は受け入れてやるから
そっとしておいてくれって感じ。これが本音。
17Cicada:03/08/05 18:23
彼らに捕獲された他の仲間達の中には、心ある者達の
手によって無事逃がされた者もいるという。

それ以外の者は…心ない者達によって文字通り飼い殺し。
飼われる上に殺される。

直接的に殺されることもあれば間接的に殺されることも
あるとかないとかウンタラカンタラ。

いやはや、怖いねぇ……。
18Cicada:03/08/05 18:24
結論。

捕まったら殺される。
捕まったら殺される。
捕まったら殺される。
捕まったら殺される。
捕まったら殺される。
19Cicada:03/08/05 18:25
……そう、捕まったら殺されるんだ。
かなりの高確率で。



そりゃ、必死になるさ。
必死にならざるを得ない。
20Cicada:03/08/05 18:25
生きるのに必死なんだ。
そう遠くない日に、確実に死ぬことが
わかっているだけに尚更な。

また生きられるってのに無用に捕まってたまるか。
俺には自殺願望などない。
21Cicada:03/08/05 18:26
で、生きることを選択したわけで。
これから余生の過ごし方を模索するわけだが…。

しかし、もう余生かよ、あっという間だったな……。
というか土の中にいる時間が長すぎたな。

後悔先に立たず。こればっかりはしょうがない。
与えられたリミットは一週間。
せいぜい有意義に過ごさなければ……
22Cicada:03/08/05 18:26
ん? なにをすれば有意義になるんだ?
そこがよくわからない。
なんか思い出を作ればいいのか?

実際の所、適当にフラフラしてたらあっという間に
一週間、それではララバイ現世。

ってな感じになるのがオチってもんだ。
理想を追い求めるのは簡単だが、実現するのは楽じゃない。
そもそも何が理想なのかも分かっていない状態だしな。
23Cicada:03/08/05 18:27
考えても考えてもわからんな。
ま、所詮俺の頭じゃこの程度だろう。

ただ一つ、確実にいえることがある。
それは自分が「生きているということを感じる」ことだ。
24Cicada:03/08/05 18:27
簡単なようでこれがなかなか難しい。
生を実感することによって死を現実のものとする。

おお、なんか我ながらカッコいいぞ。
25Cicada:03/08/05 18:28
つまり普通に生きよう、と。
それでいいじゃないか。

この世に生を受けてきたことを存分に噛みしめ
宙を舞い、小学生に放尿プレイをし、夏を演出する。

特別なことはする必要がない。
変になんかやると捕まって羽を毟られるのが関の山だ。
26Cicada:03/08/05 18:29
でも、せめて二週間くらいあったらなぁ。
それなりの予定も立てられるってのに。

無念ではないが残念だ。
27Cicada:03/08/05 18:29
で、こんなときに限って夕立ときたもんですよ。
これじゃ、お空を飛べないじゃない!

全くついてない蝉生だ。
つか、これから一週間毎日雨だった日にゃあ……

しかし俺に何ができる?
できることといえば快晴を祈ることくらいしか…。
28Cicada:03/08/05 18:30
テルテル坊主の奴も可哀想に。
なんも悪いことしていないってのに吊るされてやがる。

奴の首には紐が巻きつけられている。
実に残酷。おそらく首の骨はもう折れていることだろう。

…生贄か。
縁起でもない。

だが、明日の天気の犠牲となっているテルテル坊主の奴を
見て俺は他人事とは思えん所がこわい。
29Cicada:03/08/05 18:31



    「俺もいつか吊るされてしまうのか?」

30Cicada:03/08/05 18:31
明日は晴れますように!

って祈りの代償としてでも嫌なのに、そこら辺の
好奇心旺盛な人間の子供達の玩具として吊るされる
可能性の方が高そうな気がするのがまったくけしからん。

緊縛は嫌だ…………
31Cicada:03/08/05 18:41
雷鳴が轟いている。
なんてこったい。
ショバ一日目でこれかよ。

明日の快晴を祈るより雷に撃たれないように
祈った方が良さそうだ。

俺の命はこの木に委ねられている……
七日間の命か、一日だけの命か。

さて、どっちだ?
32以上、自作自演でした。:03/08/05 18:57
オナニーしてんじゃねーよ留蔵
33キャプテンサワダ:03/08/05 20:42
 
34Cicada:03/08/05 23:03
…降り注ぐ雨音だけが聞こえる。
雷が消えた。…救われたぞ。助かったぞ。

これで少なくとも雷に撃たれて死亡などという
不名誉な事態は避けることができたわけで、いやぁ
よかったよかった。

あとは動物等に捕まらないように注意するだけだ。
特に人間……まぁ、夜なので過度の心配はいらないと思うが。
35Cicada:03/08/05 23:03
油断は禁物。
気の緩みは死を招く。

日も暮れているとはいえ、人間達の姿が完全に消えた
わけではない。現にこの時間になっても人間どもの姿を
見かける。

我々にとっての安息の地というのはもはや
存在しないのだろうか?
36Cicada:03/08/05 23:04
生きて辱めを受けず。
生きるか死ぬか。二つに一つ。

シャバ一日目からサバイバル気分ですわ。
それもリミットつきの。

もう嫌こんな蝉生。
37Cicada:03/08/05 23:04
……なんてことも言ってられない。
恨むなら親を恨め、と。

だが、俺は親の顔を知らない。
名も顔も知らない親のことをどうやったら
恨むことができる?
38キャプテンサワダ:03/08/06 00:42



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43Cicada:03/08/06 18:02
生ぬるい空気の中に時折吹く
涼しげな風がなんとも心地良い。

夏を感じる。
今年は梅雨明けというのが遅かったようだ。
すでに8月。気温はここ数日の間に一気に
上昇したらしい。

それはともかく……
前日までの雨が嘘のように消えた。
……晴れてよかった。
44Cicada:03/08/06 18:02
周囲を散策する。

この辺りには人間社会の最たる部分。
草木や緑林の姿はなく、人工的な建物が
至る所に立ち並んでいる。

そしてそれを包み込んでいる空気は薄汚れている。

空気が悪い。
自然の息吹が感じられない。
なんということだ。
45Cicada:03/08/06 18:03
さらに周囲を散策途中、仲間に遭遇。

が、その仲間にはすでに死の現実が
近づいている最中であった。

数人の人間の子供たちに蹂躙されていく
仲間の姿がそこにはあった。
46Cicada:03/08/06 18:03
手足をもがれ、腹を裂かれ、羽を毟られていく。
彼はまさに、「虫の息」。

助けたい。助けたのは山々なのだが、今俺が
出て行った所で一体何ができる?

人間に勝てるわけがない。
放尿攻撃などたかが知れている。
逆に人間の放尿攻撃を喰らって絶命するかも知れない。

結果、人間の暇潰しの時間が少し増え、虫の息を
する者がもう一匹増えるだけだ。
47Cicada:03/08/06 18:03
無駄だ。
もう奴は助からない。

そう思った俺はその場を撤収。

……すまん。
俺は浦島太郎にはなれそうもない…
48Cicada:03/08/06 23:12
骸ももはや朽果てた。

一週間というその距離、どこまで
踏みとどまらせることができる?

生き延びられた。ああ、今日も生き延びられた。
弱肉強食食物連鎖。受難に満ちた日はまだまだ続く。

ああ最上川。天上天下唯我独尊。
49Cicada:03/08/06 23:13
しかしなんとまあ、人間の多いことか。
もっと人間のいない地方で生まれたかった。

こう、なんというか田舎の地方都市みたいな所で
駅前はそれなりに賑わっているが少し歩けば畑と林の
オンパレード。ベジタリアン大喜び。

都会暮らしは煙が目に染み過ぎる。
公害は嫌だ。郊外がいい。

かといって自力で長距離移動は何気にデンジャラス。
戻れない進めない。八方塞だ。
50Cicada:03/08/06 23:13
原爆記念日か…
死んだ人間を弔ってもらえるなんて
羨ましいやらなんとやら……。

こっちは血塗れの松竹梅だ。
ブラッディ松竹梅。
51Cicada:03/08/06 23:13
梅は鳥や土竜などメインデッシュ。
食物連鎖の一因を担っているという点で俺たちは
ささやかながらに貢献している。
正直食われるのは癪だが、自然の摂理だ。
それなり諦めもつこう。
52Cicada:03/08/06 23:14
竹は生きたまま生体解剖…という名の実験台。
いくら人間界で理系離れが進んでいるからといって
この仕打ちはあんまりじゃないですか、いやどうしたって
あんまりじゃないですか?

生きたまま体の隅々を興味本位で調べられ、傷物にされ…。
麻酔なんてしゃれたオプションなぞ皆無。せめて手の
消毒くらいしてくれよと思ったり思わなかったり。

そして最後はポイ捨てときたもんですよ。
53Cicada:03/08/06 23:14
そして見世物小屋の松コース。
内臓を抜かれ、杭で腹を一刺し。
標本という名の死体晒し。

これは見せしめとしては最強だ。
もちろんその前にはあんなことやこんなことなど
もう盛り沢山。

で、見られるわけですよ。
紳士淑女達に。

舐めまわすような目付きで。
捏ね繰りまわすような目付きで。
54Cicada:03/08/06 23:15
そして商取引。
売られるわけですよ。
蝉身売買。ああ怖い。

俺の死体には価値がある。
だが、そんなことに喜んでなどいられない。

俺が死んだ所で鎮魂歌など流れはしない。
ましてや記念式典など開かれるはずがあろうか?
いや、ない。

これが人間と蝉の「差」という奴なのか……
55しかばね ◆XI07YcMpS6 :03/08/07 15:36

56Cicada:03/08/07 23:21
ジリジリジリジリ……

真夏の太陽が容赦なく俺を照りつける。
灼熱と呼ぶほどではないが、それなりに暑い。

だが、これが夏なのだ。
暑い空気。
それを身体全体で感じ、俺の羽根が震える。

そうだ。
確かに俺はここに存在している。
57Cicada:03/08/07 23:21
今日も仲間が骸になっている。
雀に食い散からされた死骸。

はたして奴の蝉生は幸福だったのだろうか?

……いいや、考えるのはやめよう。
それは死ぬ間際の奴本蝉だけが
知っていることなのだから。
58Cicada:03/08/07 23:22
今日も今日とて鳴きまくる。
いわゆる今風の言葉でいうと「ガールハント」、
つまりナンパである。

なぜナンパをするか?
それは交尾をするためだ。

そう、まぐわいしたいのだ。シッポリとな。
59Cicada:03/08/07 23:22
交尾したいのにはもちろん理由がある。
種の本能…というべきだろうか。

「子孫を残す」

もしかしたら、これは俺が生まれてきた理由の
一つなのかもしれない。
いや、確実にそうだな。

まぁこれは、俺たち蝉に限らずすべての生物に
共通して言えることだろう。
60Cicada:03/08/07 23:23
蝉として生を受け、七年間の雌伏の時を過ごし、
無事成虫になったからには、新たなる生命を
生み出す資格が与えられる。

それは俺一匹ではできないことだ。
雌蝉がいなくては雌蝉と交尾をしなくては
新しい生命は誕生できない。



雄蝉+雌蝉=新しい生命
61Cicada:03/08/07 23:24
本能が種の保存、交尾を求めている。
これは別にやましいことでもなんでもない。

性欲ではないんだ。
種の繁栄のため、そう、崇高な理念の下に
基づいて行われる聖なる儀式なんだ。

だから別に恥ずかしがることなど何もない。

エロ蝉、好色蝉、セクハラ蝉、和田蝉。
その呼称にはすべてにおいて否定しよう。
62Cicada:03/08/07 23:24
だが、なんの断りもなくいきなり雌蝉に
襲いかかり、交尾をするのは危険だ。

それこそ「ケダモノ!」と罵られる。
第一、十中八九逃げられる。
63Cicada:03/08/07 23:24
仮に、限りなく強姦に近い交尾がもしうまく
いったとしても、その雌蝉がすでに手付き済み
だった場合も考えられる。そうなったら大変だ。

コンクリートに埋められる心配はないだろうが、
土の中に埋められる心配は大いにある。

幼虫時ならまだしも、この状態での生き埋めは
かなりきつい。

美人局に引っかかった奴の中には住居を
土竜の胃袋に引っ越した者もいるらしい。
64Cicada:03/08/07 23:25
……つまり、狙うなら処女を狙え、と。

………………。





(・∀・)!
65Cicada:03/08/07 23:25
まあそんな冗談はさておくとして、やはり
一番確実なのは地道に鳴き声で雌蝉の気を惹き、
彼女から交尾の同意を得ることだ。

どうせすぐ死ぬんだからいいじゃないかという
考えよりも、限りある命の中で確実に種の保存を
達成できる方法を選ぶ。

俺って堅実派。
66Cicada:03/08/07 23:25
雌蝉をナンパする方法、それは鳴くことだ。

この華麗なる美声を駆使して雌蝉をひきつけ、
交尾に持ち込む。

まあぶっちゃけ言うと俺達の鳴き声は雌蝉に対しての
「交尾させてくれ(交尾させてください)」
の必死の叫びでありメッセージであり嘆願なわけだ。

人間でもいるだろう?

「三万でどうかな?」

アレみたいなものだ。

尤も、人間にとっては性欲、俺らにとっては
種の保存。理念は違うがな。
67Cicada:03/08/07 23:26
で、鳴いてみたりする。
68Cicada:03/08/07 23:26
…………。
現実は得てしてうまくいものだ。


俺「かぁーのじょー! 俺と交尾しない?」

雌蝉「キモい! キモい! あなたキモい!」



やはりここでもイケ蝉の天下は変わらない。
深刻な嫁不足に陥っているのはどういうわけだ?
69Cicada:03/08/07 23:27
俺「お願いです。交尾させてください」

雌蝉「キモい! キモい! あなたキモい!」



……卑屈になっても駄目みたいだ。
別に下心なんかないっていうのに…
70Cicada:03/08/07 23:27
しかし何故だろう?
俺が鳴くと寄ってくるのは雌蝉ではなく
人間、それも年端もいかない子供たちばかりだ。


雌蝉寄ってくる → ナンパ成功 → 交尾交渉 → 交尾 → 御満悦

人間の子供寄ってくる → 身の危険 → 拷問ごっこ → 俺の一生は俺の一生は俺の一生は……
71Cicada:03/08/08 23:48
雨、太陽、雨、太陽、雨。

こう頻繁に天気を変えられては安心して外を
飛び回るわけにも行かない。参ったものだ。

それにしても……シャバに出て四日目だというのに、
なんなんだこの体たらくは。

まったく成果が上がっていない。
このままでは本当に何のために生まれてきたのか
わからなくなってしまう。
72Cicada:03/08/08 23:48
とはいっても……どうしようもないわけで。
雄蝉は居れども雌蝉は居らず。

最近は結婚しない若者が増えているのか?
交尾くらいするだろうに。

やはり雄雌の比率が極端なのだろうか、この地では。
73Cicada:03/08/08 23:49
んなことを考えている間に夜になってしまった。

闇夜の中、生い茂る葉すらも影としてに取り込む
巨大な大木の懐にその身を隠し、今日もひたすら汁をすする。

やっぱり木の汁はいいねぇ。
俺は生まれてからずっとベジタリアン。

…雑草は好かんが。
74Cicada:03/08/08 23:49
蚊の奴が飛んでいやがる。
呑気なもんだ。

通りすがりの人間の血を吸ってすっかり
御満悦らしい。

確かに人間の多いこの地では蚊の奴は
食事には困らないだろう。

……まったく羨ましい。
怨み辛み妬み嫉み僻み……

せいぜい煙に巻かれて死ぬがいいさ。
平手打ちで圧死でもかまわん。
75Cicada:03/08/08 23:51
というか他虫の死を願っている場合
ではなかったな。

自分の死の方が早そうなのが何ともいえず
複雑な気分であったりそうでなかったり。
nanka naketekuruna.
gangareyo..Semi
77Cicada:03/08/09 01:54
深夜の真夏。
さすがにこの時間になると外気も相当低くなってくる。
冷えた空気、冷たい風が熱気でしなだれた俺の羽根を
存分に覚ましてくれる。

……いささか風が強いな。

まぁ、この程度の風なら俺が飛行する上では
何の支障もない。台風でも来れば話は別だが…
78Cicada:03/08/09 01:54
仲間から深夜のセッションに誘われた。
しかし、断わることにする。

確かに深夜のライブは魅力的だ。
それもオールナイトと来れば尚更だ。
うまくいけば、ライブを楽しみにくるオーディエンスの
雌蝉達の出待ちを受けキャーキャーと悲鳴をあげられ、
あわよくば交尾にまで持ち込めるかもしれない。

……やっぱり参加すればよかったかな?
79Cicada:03/08/09 01:54
くそう……





後悔先に立たず。
これでまた交尾のチャンスを逃した。




なんで断わったんだろう?
80Cicada:03/08/09 01:55
…どうも自分は焦っているような気がしてならない。

自分の余命が尽きるのが近いということを無意識の
内に感じているから?

まさか。そんなことはわかりきっていることだ。
…そう、わかりきっていることなんだ。
81Cicada:03/08/09 01:55
焦ってもいいことは何もない。
焦りは余裕を無くし、失敗を生むだけだ。

…落ち着くんだ俺。
交尾のチャンスはまだある。

夏は開放的な季節。
一夏のアバンチュールを求めて
ということもきっとある…筈だ。多分。

時を待とう。
待ちすぎない程度に。
82Cicada:03/08/09 01:57
風の音色が俺の心をくすぐっていく。


  静けさや 岩にしみいる 蝉の声


うーん、松尾芭蕉はいい仕事をしたな。
人間界の中で俺らのことを俳句として詠ってくれた
彼に俺は敬意を表したいと思う。

やっぱ昔の人間はわかっているな。
83Cicada:03/08/09 01:57
最近の人間の歌は俺達のことなんかまったく
構っちゃくれない。

こんなに風流で情緒豊かだってのに。
この鳴き声、この羽音、季節感を存分に表現する
のにいい素材がそろっていると言うのに。

まったくフ・ザ・ケ・チ・マ・ウ・ゼ。
84Cicada:03/08/09 01:58
噂ではどこぞの人間が「カブトムシ」なんて
いう歌を歌ったとかいないとか。

それだけじゃあない。
海外ではカブトムシの名前をかんした楽団が
いるそうじゃないか。

……なんだこの扱いの違いは?
待遇格差もここまでくると酷いもんだな。
85Cicada:03/08/09 01:58
昆虫といやぁカブトムシか? クワガタか?
この俺達の存在は無視ですかマスコミの皆さん?

もっとメディアに取り上げてくれよ。
この俺の鳴き声を聞いたら夏の始まりなんだ。

俺は夏の生字引みたいなものなんだぜ?
86Cicada:03/08/09 01:58
…と、夏らしくつい熱くなってしまったが、
あまり認知されすぎるのも考え物だな。

有名になりすぎることによるデメリット。

それこそ人間に捕らえられ、殺される
可能性が高くなるだけだ。

周りを見てみるがいい。
87Cicada:03/08/09 02:01
繰り返される道路工事やマンション建設。
生まれて間もない俺の後輩たちは成虫に
なることもできずに何百匹何千匹と殺されている。

成虫になっても人間達の魔手が絶えることは無い。
興味本位で殺され、解剖され、晒され、剥製にされる。
88Cicada:03/08/09 02:01
俺達は常に死と隣りあわせなんだ。

この地球を破壊しようとする人間がいる限り、
今後もそれが変わることはないだろう。

だが、そんな世の中でも俺たちは生き抜いて
いかなければならない。

この短い命が続いている限り。
89Cicada:03/08/09 14:37
まったくついていない。

俺がシャバに出てから、何故か不安定な
天気が続いている。

太陽が昇っているかと思えば突然の夕立。
薄暗い空、汚れた雲が空一面に広がっている。

……もしかして俺は雨蝉なのか?
90Cicada:03/08/09 14:38
もし、もし俺がこの世からいなくなった後、
まるで狙っていたかのように天候が回復
し始めたら…俺は雨蝉ということになる。

残念ながら俺はそれを知ることができない。
…まぁ、せめて俺が生きているうちに拝みたいものだな。

澄み切った青い空を。
燦々と照りつける太陽の光を。
91Cicada:03/08/09 14:38
それにしても…この風はかなり堪えるな。

台風が近づいているのか?
まったくこんな時に限って……。
飛ばされないように木にしがみつくので精一杯だ。

おまけにこの豪雨。
雨水が容赦なく気に降り注ぐ。

この状況で離陸したら確実に事故るな…。

おそらく、俺の身体は強風に吹き飛ばされ、
人間が造った壁や地面に叩きつけられるに違いない。
92Cicada:03/08/09 14:39
奴らの造った壁や地面はとても固い。

俺なんかひとたまりもないだろう。
体中が粉砕されるのが容易に想像できる。

飛ばされたら死ぬ…かも。

……いや、まだ死ぬわけにはいかない。
そうだ、交尾もせずに死んでたまるか。
93Cicada:03/08/09 14:39
飛ばされてたまるか!
飛ばされてたまるか!
飛ばされてたまるか!
94しかばね ◆XI07YcMpS6 :03/08/09 18:27
95Cicada:03/08/09 20:53
風と雨が俺の体力をかなり奪っていった…

改めて感じる。
自然の厳しさ、怖さという奴を。

こんなこと、土の中でぬくぬくと
過ごしていた時には決して味わうことが
できなかった。

ま、あの時は自然よりも人間の所業の
方に恐怖の矛先を向けていたからなぁ…。
96Cicada:03/08/09 20:53
自然はあまりにも大きく、強大で、
それでいて容赦がない。

この「気を抜いたら自然に飲み込まれる」状況。

自然の中で生きることは難しい。
そして厳しい。

たかが交尾目的の蝉生だってのに……
97Cicada:03/08/09 20:53
依然として風は強いが雨は止んだみたいだ。

ともかくこれで吹き飛ばされる心配は
なくなったので一安心。

この時間帯は暑からず寒からず。
なんとも言えない。
不満があるとすれば、日光がないことくらいか?

人工的な光は身体に悪いぜよ。
外灯にたむろう奴らの気が知れん。
98Cicada:03/08/09 23:44
仲間の吉沼(仮)に会う。

奴は…清々しく、憎たらしいほど
の笑顔を見せている。

だが、奴がそんな顔をしている理由は
聞いたら納得。

俺の顔を見るなり開口一番、

「オレさぁ…昨日、キめたぜ」
99Cicada:03/08/09 23:44
…………。マジかよ。
…そうか。こいつは昨日の夜、
とうとう交尾をしたのか。


……。

先を越された。少し複雑な気分だ。

いや、別に悔しくはない。
悔しくなんかないんだ……
100Cicada:03/08/09 23:45
ブルーになっていた俺だが、ふとあることに気づく。

「おい…お前…大丈夫か? 顔色が悪いぞ?」

吉沼(仮)の土色の顔はやつれているように見えた。

「大丈夫さ」

吉沼(仮)は力なく笑う。
心なしか、俺はその笑顔に陰りを見た気がした。
101Cicada:03/08/09 23:45
……ああ、そうだ。俺達の目的は交尾をして
種の保存をすること。そして、吉沼(仮)は
その役目を立派に果たしたというわけだ。

だが、無事交尾を成し遂げた蝉を待ち受けるのは……死……




自らの死期を早めた吉沼(仮)は、その日の夜、
静かに息を引き取っていった。
102Cicada:03/08/09 23:45
交尾をしなくても成虫としての寿命は七日間。
だが、交尾をすることによって死が早まる。

種の保存行為である交尾。
でも、それをしたら力尽き死んでしまう。

…俺達は何のために生きているんだ?
ただ死ぬためにか?
新しい命の創造することへの代償?

……わからない。
103Cicada:03/08/09 23:46
そりゃあ交尾はしたいさ。
もちろんエロ目的ではなく種の保存の為にな。

でも、交尾をして自分の死期を早めるのも
なんか釈然としない。

…できれば、もう少しシャバの空気を吸っていたい。
今はそう思っている。


…なんか言い訳っぽいだな。
交尾もできないくせに我ながらよく言うよ。
104Cicada:03/08/09 23:47
まあ交尾をするにしろしないにしろ、
俺らを待ち受けているのは確実な
「死」なんだよなぁ。

……俺は何のために生きているんだろう?
俺の存在意義って一体なんなんだ?



自問自答。
されど答えは出ず。
105Cicada:03/08/10 01:31
近くで大規模な狩りが行われた。
「狩り」。俺達にとって恐怖の「虫さらい」のことだ。

虫さらい達はその多くが人間の子供達だ。
今回の虫さらいグループは4〜5名。

すでに被害者は数十匹にものぼっている。

…くそっ、だから土曜の夜には注意しろと
あれほど言ったのに…!
106Cicada:03/08/10 01:31
彼らは俺達の住処へ土足で上がりこみ、
有無を言わさず仲間をさらっていった。

さらわれた仲間達の行方?
……それは俺にもわからない。だが、彼らが
ここに帰ってくることはもうないかも知れない。

仲間たちは人間に捕まるや否や、籠の
ような物に入れられてしまった。

おそらく、生きているうちにあの籠のような物
から外に出ることはもうできないだろう。

残念だが、俺にはどうすることもできない。
107Cicada:03/08/10 01:32
「助けてくれ!」

「頼む! ここから出してくれ! お願いだ!」



仲間達の泣き声が空しく響く。
俺はそれを黙って聞くことしかできなかった。
108Cicada:03/08/10 01:32
ちょっと安心するといつもこうだ。
人間達はすぐ俺達の楽園を破壊しにやってくる。

…ここももう安全な場所ではないのかも知れない。
俺達が安心して暮らすことのできる場所は
あるのだろうか?
109Cicada:03/08/10 01:32
俺の寿命もあと二日だ。
もう二日…いや、まだ二日も残っている。

人間に捕まって終わる一生なんて真っ平だ。
俺の蝉生だ。俺の限られた一生をそんなことで
無駄にしたくはない……。
110Cicada:03/08/10 17:25
昨日までの風雨が嘘のようだ。
すばらしい。

爽やかな日曜。
イッツァビューティフルディ!

イェイ!イェイ!イェェイ……
111Cicada:03/08/10 17:26
歓喜の雄叫びをあげるほど俺は機嫌が良い。
突き刺すような太陽。どこまでも広がる青い空。

おお、見てみろ。入道雲まで出ているじゃあないか。
これぞ夏。日本の夏。サマー。

土の中で生活していた時には経験できなかった外界の感触。
何もかもが新鮮に見える。感無量。

やはりシャバに出てきてよかった。
112Cicada:03/08/10 17:26
今日は雌蝉に対して手当たり次第に声を掛けることにする。
下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるって奴だ。

正直、交尾をして死ぬのは複雑な気分だが、それも
一日の違いだけだ。あまり深く考えるのはよそう。

俺は俺が成虫としてやらなければならないことをするだけだ。
113Cicada:03/08/10 17:27
一晩経ったせいか、何かがふっ切れたみたいだ。

どうせ泣いても笑っても俺の命はあと二日だ。
何を今更躊躇うことがある?



残り僅かな時間を存分に生きたいだけさ。
114Cicada:03/08/10 17:27
よーし、やるぜ!

目指せ交尾!
115Cicada:03/08/10 17:27
…と、思っていたのだが…………





……………世の中は甘くない。
ああ、もう嫌だ。こんな蝉生。
116Cicada:03/08/10 17:28
下手な鉄砲は…下手な鉄砲のままだった。
とんだ不良品だぜ。

…いや、俺の腕が悪いってことか?
……。
117Cicada:03/08/10 17:29
俺「君の瞳に乾杯……」

雌蝉「キモい! キモい! あなたキモい!」



……ハンフリー・ボガートは嫌いなのか?
そうなのか?
118Cicada:03/08/10 17:29
俺「『誠意』をもって君と交尾がしたい」

雌蝉「キモい! キモい! あなたキモい!」



……俺のアレがビッグサンダーマウンテンじゃないからか?
そうなのか?
119Cicada:03/08/10 17:29
俺「ファッキンライト! テンキュー!」

雌蝉「キモい! キモい! あなたキモい!」



……俺がカート・コバーンの生まれ変わりじゃないからか?
そうなのか?
120Cicada:03/08/10 17:29
俺「僕は死にましぇん! あなたが好きだから…!」

雌蝉「キモい! キモい! あなたキモい!」



……俺もそう思う。
121Cicada:03/08/10 17:30
まったくなんということだ!
こんなにやってもダメだなんて!


………やばすぎるぞ俺。
俺にはナンパの才能がないのが?
…と、いうよりも俺からはフェロモンが出ていない?

一族は俺の代で終わり?
122Cicada:03/08/10 17:31
このまま死んだら独身貴族を楽しみすぎて
婚期を逃したみたいで笑えんぞ。マジで。


「蝉 島耕作」みたいになるのが夢だったのに…
123しかばね ◆XI07YcMpS6 :03/08/11 00:23

このスレ、セミが死んだらその後はどうするんだ?
125セミのぬけがら:03/08/11 13:18
 
126Cicada:03/08/11 17:48
…穏やかな天気だ。
七日前、シャバに出てきた時と何一つ
変わってないように見える。


…自分でも不思議なほどに落ち着いている。
何故だろうな? 俺にも分からない。
127Cicada:03/08/11 17:49
このまま交尾できずに寿命がきちまうみたいだな。
…残念だがそれも仕方がない。

ま、考えようによっては気楽かも知れない。

残された遺族に残す財産も遺産を相続する奴もいない。
気ままな独身貴族を謳歌したおかげで
一族による骨肉の争いとも無縁だしな。
128Cicada:03/08/11 17:49
ともかく俺の一族は俺の代で終焉だ。
配偶者もいない。子供もいない。

ま、一応それなりに努力もしたんだが、
どうやらその努力は実らなかったみたいだ。
それもいいだろう。

俺が死んだ所で、何も影響はない。
そして何も変わることはない。

世の中はいつも通りに動きつづけるだけだ。
129Cicada:03/08/11 17:49
…さて、と。
とりあえず御近所に挨拶でもしておくか。

こういうことは前もって言っておかないと
都会の片隅で独り暮しの老人が孤独死する
みたいになっちまうからな。
故蝉になってから変に噂されるのもなんか嫌だしな。
130Cicada:03/08/11 17:50
木の汁をたっぷり詰め込んだ菓子折りを
手土産に御近所周り。

御近所付き合いは大切に。
人間が来たときとかすぐ知らせてくれたりもするからな。
131Cicada:03/08/11 17:50
沈む夕日。
この太陽を拝むのもこれで最後だ。

あばよ太陽。
お前は俺が死んだことにも気づかず、明日になれば
また元気にその姿をさらけ出すんだろうな。

…俺よりもずっと長生きなんだな。
お前の命の果てはいつ訪れる?
132Cicada:03/08/12 23:01
……隣の木に抜け殻が。
誰かが成虫になったのか?

…そうだな。
シャバからオサラバする俺みたいな奴もいれば、
新しくシャバに飛び出していく奴もいるだろうな。

きっと嬉しくて周りを飛び回っているんだろうな。
外の世界は何もかもが新鮮に映っていることだろう。
133Cicada:03/08/12 23:01
無理もない。
ずっと土の中だったからな……




……同種として健闘を祈ってるぜ。
「よい交尾」を。
134Cicada:03/08/12 23:01
すっかり日も暮れたな。
この闇夜とももうすぐオサラバか。

しかし、自分で言うのもなんだが、なんとも
奇妙な一生だったな。
土の中での七年、土の外での七日…。

そして土の外で結局、交尾もできずに
死んでいく哀れな蝉生ってわけだ。

正直なところ、後悔がまったくないといったら嘘になる。

でも、俺はそれでもいいと思っている。
後悔のない蝉生なんてあるわけがない。
135Cicada:03/08/12 23:02
この世への未練? そんなものはもうない。
俺は自分の蝉生に満足している。

蝉という種が誕生して何百年、何千年という長い間、
多くの仲間達が生まれ、そして死んでいった。

俺もその中の一匹になるだけだ。
136Cicada:03/08/12 23:02
人間は俺らを指さしていう。

「儚い命だ」と。

…儚い、か。確かにそうかもな。

だが、その儚い命、短い時間の中で
俺は懸命に生き、生きることの喜び、
生きることの楽しみ、生きることの悲しみ
を味わった。
137Cicada:03/08/12 23:03
それは、とても貴重で価値ある
体験だったと思っている。

怒り?

…俺の中にはそんなものなどない。

なにを怒ることがある?
己の生命の短さをか?

…それが俺の定めだったんだよ。
そう、生まれた時からの定めさ。
138Cicada:03/08/12 23:03
俺は土の中で七年間過ごしてきた。
そして外に出て七日間過ごした。

七年。
言葉にすれば容易いがそれはとても長い期間だった。

確かに外の七日間という時間だけを見れば短い。
だが、それまでの期間は欠伸をするだけでは
物足りないくらいに長い。

思えば、土の中で養分を摂取するだけの蝉生も
なかなかのものだったな。

そして意味のあることだった。
139Cicada:03/08/12 23:03
すぐそこに死を感じているからだろうか、
俺には「充分に生きた」という実感がある。

七年と七日の蝉生。それも悪くない。

まあ80年90年も生きる人間などには永遠に
わからないかも知れないだろうがね。
140Cicada:03/08/12 23:03
人間に捕まって殺される死。
交尾をして力尽きた末の死。
スズメバチや土竜などに食い殺される死。
自然の災害などに取り込まれる死。

どれも死ぬことに変わりはない。
だが、上でいう死とは大きな違いが一つだけある。
141Cicada:03/08/12 23:04
今、俺は自分がどこで死ぬか選べるってことだ。

それはとても幸福なことだと思っているよ。
142Cicada:03/08/12 23:04
…もう、いいだろう。
143Cicada:03/08/12 23:23
………………。

………俺も蝉だ。
この時がくることは覚悟していた。

そう、覚悟はしていた…。



だが……
144Cicada:03/08/12 23:23
……やはり怖い。

死ぬのが怖い…、消えてなくなるのが怖い…
145Cicada:03/08/12 23:24
…………。

…我ながら情けないな。
この期に及んで怖気づくなんて…。
146Cicada:03/08/12 23:27
…落ち着こう。
何もかも考えるのをやめよう。

そうだ、考えなきゃいいんだ。
考えなければ怖くなんかない…


…時間が流れるのを静かに待つことだけに専念しよう……
147Cicada:03/08/12 23:51
…時間がたったせいだろうか、
少し気分を和らげることができだ。

なんだかんだ言ってても実際に死を
受け入れるのには勇気がいる。

口では偉そうなことを言いながら、俺にはまだ
その本当の覚悟とやらがなかったのかもしれない。
148Cicada:03/08/12 23:52
…でも、もうその覚悟も必要ない。

だってしょうがないだろう?
準備中の看板を無視してズケズケと店内に
入ってこられちゃな……。
149Cicada:03/08/12 23:55
…………。

ロスタイム終了、これでゲームセット、か。



俺は…、土に還る…………
150Cicada:03/08/12 23:57
……………………
151Cicada:03/08/13 00:00
152セミのしかばね ◆XI07YcMpS6 :03/08/13 15:15
 
>152
禿藁た
154山崎 渉:03/08/15 13:57
    (⌒V⌒)
   │ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  ⊂|    |つ
   (_)(_)                      山崎パン
155以上、自作自演でした。:03/08/24 19:32
age
156以上、自作自演でした。:03/09/05 08:20
ほしゅ
3日間だけ、黄泉がえって本懐を遂げてください
元気?
夏は終わり
    季節は巡る
そして最後のレスは俺が付けるのだった
161以上、自作自演でした。:03/10/07 06:58
ソウハイカンザキ
駄スレあげんなよ・・・
uo
そして最後のレスは俺が付けるのだった