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平成15年9月12日                    水島オールスターズがPS2に殴り込み

 昨日、「水島新司オールスターズVSプロ野球」という、身の毛もよだつようなサブタイトルと
共に、『激闘プロ野球』が発売されました。

 『シェンムー』以来、SEGAは間違ったチャレンジ精神をふんだんに持つようになってしまった
のではないのかという気にもなりますが、チャレンジ精神はいいことだと大企業病に悩むSONYの
社長さんもおっしゃっていたので、きっと大丈夫です。
 単に水島先生をくっつければ売れるとかそういう大企業病まっしぐらな考えではないはずです。

 さて、水島先生といえば、やはりその作品のおもしろさは「超選手不在の野球」を確立したことにあります。
 今まで梶原先生を中心とする「なんだかとてつもなく凄い選手が超時空でバットとボールの演舞をして
いらっしゃる!」ような野球漫画が氾濫している中で、糞ボールしか打てなかったり、代打専門であったり、
球場内ではもちろん球場外でも相手の心理を巧みに操ることでストッパーをつとめあげたりと、実際に
居てもおかしくないような選手が主人公の野球漫画というのは、画期的でした。
 特に、試合中は顔が見えないキャッチャーが準主人公というのは、今までになかった要素です。

 西武の潮崎投手は『ドカベン』里中のさとるボールでシンカーを覚えたそうですし、コミックスの文庫版
でも香川・桑田・清原・松井・イチロー・大久保・古田などなど、そうそうたるメンバーが「ドカベンで野球を
知った」「山田太郎を通して野球を学んだ」と、ドカベンが現実のプロ野球に与えた影響ははかりしれません。
 日本ハムのヒルマン監督も、来日早々に球団フロントから『ドカベンプロ野球編』を全巻持たされたそうで、
いい迷惑……じゃなくて日本に来た外国人選手・監督がどんな扱いされるか身に染みてわか……じゃなくて
日本の野球を知るのに重宝しているようです。
 水島先生自身、別冊宝島の『ドカベンPERFECT BOOK』の中で「本当の野球を、そして野球本来の
楽しさを伝えたいという水島氏の熱意とメッセージが込められた物語」を作る作家として紹介されており、
間違いなく日本の野球漫画を変えた、偉大なる作家だと言えるでしょう。

 そんな水島先生の作品群が、遂にPS2のリアルな画像で登場。
 ファンならワクワクしないわけがありませんよね!
 というわけで、偽ちゆの近所にある古本屋兼ゲームショップ兼中古CDショップ兼携帯ショップ兼
駄菓子屋というお店に、開店と共に突撃して買ってきました。

 ワクワクしながらスイッチオン。

 ……NPBのロゴ場面が異様に長く表示されて一瞬PS2が固まったのかと思わされるのはバグですか
それとも何らかのメッセージですか。

 いきなり嫌な気分になりましたがきっと「実名選手使いたかったらNPBのロゴを20秒表示するのが
義務だ!」とかコナミに言われたにちがいありません。コナミが全部悪い。
 気にしないことにしてオープニングムービー。

 …岩鬼がドラゴンズのユニフォーム着てるのは偽ちゆの見間違い?

 そんなことを気にする暇もなくタイトル画面。

 「げきとうぷろやきゅう〜」

 このタイトルを読み上げているご老人の声は……もしかして……。
 ファンなら感涙モノの演出のハズですが、なぜか偽ちゆは敬老の日を前にして泣きたくなりました
 モードはオープン戦、ペナント、ホームラン競争、オリジナル選手作成、チーム編成、選手名鑑の
6つ(システム除く)。
 とりあえず早速オープン戦モードでオールセ対オールパの疑似オールスターゲームを行うことに
します。
 水島オールスターズが勢揃いのオールスターゲームをプレイできるなんて偽ちゆ幸せ!

 スタメン発表。

オールセ        オールパ
1.今岡         1.松井
2.赤星         2.谷
3.福留         3.小笠原
4.金本         4.カブレラ
5.ラミレス       5.ローズ
6.桧山         6.城島
7.アリアス       7.井口
8.矢野         8.大道
9.藤本         9.坪井
P.井川         P.松坂

 なんでやねん。

 どうもこのゲーム、ちょっとだけSEGAのスタッフがへたれだったのか、SEGAのスタッフが
すこし常識人過ぎたのかはわかりませんが、チームのスターティングオーダーは本来の
チームそのままを使っており、そこにベンチ要員として存在する「水島キャラ」をプレイヤー
自身がスタメンととっかえひっかえして使えという事のようです。
 つまり水島先生の意向をちっともそのまま反映して居らずこんなの水島プロ野球じゃない!
金返せ! SEGAのバカ!
 しかもパラメータ表示もちょっとアレで、走攻守のパラメータがグラフ表示になっています。
 どういう事なのかわかりづらいと思いますのでちゃんと説明しますと、まずキャラクターには
一定の容器が与えられます。その中に、例えば「球速」とか「守備力」などの色が付けられた
水をうまく分配する感じと言えばいいでしょうか。

 つまり、オールAの選手はこのゲームにおいて存在しません。

 また、全ての選手にある能力の器は同じもので、簡単に言うと山田太郎の器(能力限界値)と
広沢の器は全く同じと言うことになります。
 その中でどのように水(能力)を分配していくかということになるわけですが……いくら水島先生が
超選手の居ない野球漫画を書いてきたからって、殿馬より田中一徳の方が守備が上手いとか
そういうのはどうかと思うのですが。
 あとT・ウッズのパワーにはどの水島キャラもかないません。

 しかし、それを補ってあまりあるのが「秘打」「秘投」の存在。
 特に岩鬼の「悪球打ち」などは凶悪で、ボールゾーンにミートカーソルをあわせるだけで
ボールゾーンの限界にあわせたにもかかわらずストライクゾーンの1/4を占める大きさになります。
 これの何が凶悪かと言いますと、つまり相手投手がコーナーやストライクギリギリを突いて
きたらそれにあわせず何も考えずにボールゾーンへミートカーソルをあわせてタイミング
あわせて振るだけでホームランになります。
 今まで謎とされていた「アウトローのワンバウンドを投げられたら岩鬼はどうするんだ」
ということにも答えが出ました。岩鬼はバックスクリーンにぶちこめます。

 その代わりストライクゾーンではミートカーソルがボール1個分くらいしかないのですが、
はっきりいってそんなものただの飾りです。
 とにかく相手投手がコーナー突いてきたらそれがたとえストライクでもホームランになります。
 ど真ん中に投げ続けないと行けないのはわかりましたが、最初バグかと思いました。
 他にも殿馬の当たればヒットこと「G線上のアリア」なども凶悪ですが、SPゲージという
秘打ゲージがあり、一回使うとしばらく使えなくなるのでまだ大丈夫です。
 と言っても、1回に使えば5回くらいにはもう回復しているので、スリルある試合というか
超大味野球水島野球が楽しめます。

 また、水原勇気のドリームボールに至っては、ホームベース手前で打者の身長くらいにまで
ボールが跳ね上がったあと、ストライクゾーンを通過します。
 しかし、普通なら打てませんが、所詮ストレートなので待ってれば打てます。
 というかたった今カブレラにライトスタンドへぶちこまれました。ガッデム。

 しかし、こうした「秘打」「秘投」のおかげで、「唯一嘘をつかずに」「真面目に野球をやらせた」
ため秘打を持たない山田やあぶさんが水島オールスターズの中で最弱という驚くべき結果が
出てくるわけですが気にしてはいけません。

 ですが、こうしたことは些細な問題です。
 このゲームの最大の問題点は、ゲームの進行・展開の遅さです。

 選手一人一人の顔写真を使ったり、モーションをそっくりにしたり、水島キャラだけカートゥーン
になっていたりと、非常に演出面では凝っているのですが、それがそのまま容量の重さに繋がり、
ローディングの長さはもちろん、試合中の守備画面におけるもっさりとした動きを実現して
くれやがります。
 どのくらいもっさりかというと、ファミスタ’92くらいもっさりしています。
 しかもファミスタのようにボールはちんたら飛んで来ませんしファインプレイをしてくれやがらない
ので、操作にちょっとだけ慣れた今でも、ゲッツーをとるのが至難の業です。
 また、選手の演出に凝りすぎるあまり、打席に入ってから選手が実際の時間くらい間を
とる動作をしてくれ、1イニング終わらせるのにノーヒットで10分と、現実の野球並に
時間がかかります。
 もちろんそうした「より現実らしい」演出はスキップできませんので、一試合終わらせるのに
2時間くらいかかりそうです(「そうです」というのは、毎回一通りイベント見たり秘打や秘投を見たら試合をやめちゃってるからなのですが)。
 スタートボタンを押すと出てくるメニューに「試合を終わる」があるのは、スタッフが「これは
ヤバイ」と思った結果なのでしょうか。

 加えて、このゲームにはオリジナル選手作成モードがあり、「俺の作った選手で山田や岩鬼や里中を
シメ倒せる!」と一部の心黒い人たちの間でそのモードの存在が話題となっていたのですが、
最初の設定ではどんなにがんばっても球速120キロがせいぜいで、逆に山田や岩鬼にシメ倒されます。
 では逆に水島オールスターどもをシメられるほど強くするにはどうすればいいかというと、試合を
こなしていくしかありません。
 しかし、その試合はテンポが悪くストレスが溜まりっぱなしのブツ。水島オールスターズを
シメ倒す前にこっちの心が折れます。
 これはきっと、「ゲーム化してもいいけど俺の選手が糞味噌になるような真似だけはしてくれるなよ!」
と水島先生が王監督ばりにキレた結果だと思います。
 これがきっと三方一両損というものでしょう。

 さて。

 「あのキャラが居ない!」「このキャラが居ない!」と不満がある人もいらっしゃるでしょうが、
(個人的には『新・野球狂の詩』のナインや『ドカベン』の明訓ナインが微妙に居ないのが凄く気になります)
瓢箪がいたり、不吉が居たりと水島先生本人ですら(レギュラーキャラなのに)忘れていそうな
キャラが出演していると言う点で、偽ちゆとしては試合をしなくても結構満足なこのゲーム。
 欲を言わせて貰えば、ペナントモードで水島先生の手を離れて自由自在に発言しまくる
水島キャラが見たかったです。
 特に、サチ子の恋人は誰なのかとか、結局あいつは雲竜なのかとか、魔球イナズマはどう
なったとか、珠美のアメリカに行った恋人はどうなったとか、秘打「オートマチック」とか、
伊良部は阪神でも「だロッテ」「いっちマリーンズ」と言ってるのかとか、鈴木健はヤクルトでも
中にシメられっぱなしなのか、などここ2年でふくれにふくれあがった疑問はすでに爆破寸前。
 そういうことをふくめて、続編にとっても期待したいです。

 あと、続編では変化球と外国人選手を存在しないことにして下さい。
 水島野球にそんなもの不要です。


 ネットアイドル偽ちゆは、『激闘プロ野球 水島新司オールスターズVSプロ野球』を応援しています。