ウピエルVSファントム
前スレ>75
http://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1024844742/75 ツヴァイとの闘いで、吸血鬼再生能力を無効化する銀の弾丸によって心臓は傷付いていた。
再生の効かない心臓の傷は、鼓動を打つごとに少しずつ、少しずつ広がり、ついに崩壊に達する。
ドライと闘う以前に。
俺は、死んでいたのだ。
今はただ、死者がその執念だけで彷徨っているだけだ。
闘争への執念が、常軌を逸する執念が、死者の肉体の脅威的な活動を支えていた。
だが、それも限界に達した。
想像を絶する能力の解放に、遂に心臓に最後が訪れた。
心臓が、破裂した。
崩れる。限界を超えた酷使に、肉体が灰と化し崩壊して行く。
音速に達した肉体がドライへと到達するまでの極僅かな時間に、全身が灰となり拡散して行く。
銃剣を咥える顎から力が抜けそうになる。
音速の跳躍も、非道くノロマに感じられる。
このまま、このまま、後わずかで良い。
崩壊せずに保ってくれ・・・俺の肉体よ、俺の闘志よ・・・!
だが、しかし肉体は無情に崩壊して行く。
目が霞む。感覚が消えて行く。意識が遠のく。
目前にドライの喉元が迫り、ドライの構えたナイフが目に入る。
避ける余裕などは無い。僅かに身体をひねり、肩で受ける。
瞬間、意識が途切れ─――――――――――――――――最後の姿勢制御に失敗した。
空気抵抗による急激な減速。
ドライの喉を浅く抉り、力の抜けた顎から銃剣が跳ぶ。
俺の肉体は、ドライを巻き込むように吹き飛び、壁へと衝突した。