吸血大殲 第31章 夜を往くモノ――Night Walker
上海魔獣境〜スプリガンvs樟賈寶
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俺の掌打は腹部に突き刺さった。
と同時に、俺はサイコブローを叩き込む。
今ごろ、精神波を物理的な破壊力に換え、奴の体を駆け巡ってるんだろう。
言うなれば内家の発剄みたいなもんだ。
奴の顔が苦痛に歪む。これでやったか、そう思った。
が、それは奴の更なる闘争本能を目覚めさせちまったみてぇだ。
眼には憤怒が、体からは闘鬼が漲ってきやがった。
そして襲い掛かる破壊の暴風雨。
それはそう表現するしか他にねぇってくらいすさまじい攻撃だった。
それを俺は捌き、交わし、相殺し続けた。
だが、視界外からの一撃を喰らい、体の平衡を一時失った。
そこに飛び込む黒鉄の顎。
咄嗟に身を跳ばすことで直撃こそ避けられたものの、
風圧で壁まで吹き飛ばされた。口内に鉄の味が広がる。
俺は頭を振って混濁しかけた意識を取り戻すと、
スーツを再び展開させようと意識をこめた。
――が、うんともすんとも言いやしねぇ。
見ると、胸の部分が綺麗さっぱり引きちぎられ、
肉も軽く抉られている。・・・・・・・なんて野郎だ。あの野郎、スーツ切り裂きやがった・・・・・・
だが、こいつはモノに頼っちゃいけねぇって言う天の導きなのかもしれねぇ。
なら、やってやろうじゃねぇか。
俺はスーツの上着を脱ぎ捨てる。
その途端、俺の肌が周囲の風の動きを、気の流れを察知し始める。
これか・・・・・・・この感触なのか、朧が俺に言ってたのは。
今なら分かる。これなら・・・・・・いける!
「俺にスーツを脱がさせるとはね・・・・・・・いいぜ、見せてやるよ。
スプリガンの真の力って奴をな!」