ウピエルvsファントム達
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「―――あっ!」
首筋に感じる熱い感触。
そして、体内からあらゆるモノが引き摺り出される感覚――
覚醒しかかっていたエレンの意識が再び遠くなる。
いや、正確には違う。
意識のみを残して、それ以外のあらゆるモノが吸い上げられる感覚。
確かに自分はココに居るはずなのに、自分の肉体が知覚出来ない。
触覚を含めて、傷の痛みごと、肉体に関するあらゆる感覚が消えていった。
エレンの首筋に食らい付いた玲二が喉を鳴らす度、
それに合せるかのように、エレンの傷が徐々に塞がっていく。
同時に、ぐったりのしていた四肢が引きつけを起こしたかのように震え出し
一切力の篭っていないはずの筋肉が信じられぬほど盛り上げる。
そしてエレンの唇から、鋭く尖った犬歯が、僅かに顔を覗かせた。
「………あ…………………っが………………はぁ……ぅ…!!」
エレンの口から、声にならない叫び声があがる。
如何しようもないほどの鼓動の中で、もがき、息を荒げる……
視界は既に幻想の海に沈み、脳裏に悪夢を刻みつける。
現実感を失った痛みに涙を流し、肉体に刻まれた傷痕を覆い隠すように雫を零す。
そして………何者かの小さな足音を聞いたと感じた瞬間、
エレンの意識は、闇の中へと沈んでいった―――――――――――