ウピエルvsファントム達
27章 >466 玲二
「……っ………ぁ…」
声にならない叫びが少女の口から零れた。
肉体を通り越し、脳まで融かしそうなほどの快感。
そんなエレンに覆い被さったまま、玲二は人間離れした腕力で少女を押さえつけると、
その服を剥ぎ、皮を裂き、肉を抉った。
あらゆる刺激が快感へと変換され、少女へと襲い掛かる。
しかし、肉体への刺激が強くなればなるほど、快感が深くなればなるほど、
エレンの精神は、肉体からズレてゆく。
それは意識しての行動ではない。
刺激を受けた亀が甲羅に身体を引き込むような、反射的な崩御行動。
嘗て彼女がアインと呼ばれていた頃、本能的に身につけた生存術。
精神から切り離された肉体は、与えられた外界からの刺激に対して従順に反応する。
肉体をまさぐられる手にあわせて、少女の口から嬌声が上がる。
そんな行為がどれだけ続いたのだろうか?
不意に、少女の肉体が今までと異なる音を捕らえた。
ポキンという何処か小気味良いその音を聴いた瞬間、脳内麻薬の防護壁さえ貫く激痛が、
少女に襲い掛かった。
「がっっっ!!」
少女の口から苦痛の悲鳴がもれる。
ポキンポキンと、さほど間を置かず再び音が、今度は連続して届いた。
同時に激痛も。
『その激痛が、ズレた少女の肉体と精神を矯正していく』
そんなエレンが最初に目にした光景は、自らの右手。
しかしその人差し指と小指、そして親指は本来有り得ない方向を向き
ドス黒く腫れ上がっていた。