吸血大殲28章『仄き鮮血の舞踏』

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133ウピエル ◆Upielb0Y
ウピエルVSファントム
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「何処向いて待っていやがる」
 
ドライの背後から呼びかける。炎の中から悠々と登場。
片腕は無く、肉体は所々が裂け、端正な顔の半分を裂傷と火傷が覆っている。
だが、その顔に浮かぶのは嗤い。凶暴極まる狂気の笑み。
その笑顔で、振り向いたドライに呼びかける。
 
「よぅ、待たせちまったみたいだなァ・・・ホントは一曲やりたい所だが、生憎と片腕なんでね。
 演奏は無理だが、まァ勘弁してくれ」
 
おどけた様に、嘲笑を込めて語りかける。
スクリーミング・バンシー――ギターと一体化したAUG突撃銃――は既に弾切れ、役には立たない。
 
「さて・・・ツヴァイはまだ死んではいないが・・・まぁ、時間の問題だ。死ぬか吸血鬼になるか、のどっちかだがなァ」
 
右腕一本で構えた、ギター銃剣の先端をドライへと向ける。
 
「で、もう一人は何処だ?まさか、もうくたばったか?
 残り時間も僅かだし、まとめて相手にしようと思ったんだが・・・」
 
アインの方は隠れている気配も無い。
仕方が無い。最早、残された時間は本当に僅かなのだ。待っている暇も何も無い。
 
「貴様だけでも、相手にしてやる」
 
解き放たれた矢のような速度で、ドライへと銃剣を突き込む!