吸血大殲27夜 ――Lunatic Dance――
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ファントム・ドライの気配は完全に消えた。
理屈で言うと、ホールからその存在は消失したことになる。
しかし、
(動けない……)
事態は相も変わらず不利だった。一歩でも動いたら、この魔法は解けてしまう。
即ち、ホールという空間に己の存在を表すことになる。
それほどまでに二人の少女は鋭い五感を持っているのだ。
だが、動かなければ奴等を殺れない。逃げられない。
しかし、動いたら見つかる。殺される。
(さて、どうしたものか……)
幸いにも、アインの気配もかき消えている。
本当にこのホールにはいないのでないか? そう思うほどだ。
二人の少女が、黙々と探索を続けている。いつかは、ここも見つかるだろう。
でも、その「いつか」までは時間を稼げる……。
(オイオイ、随分と気弱になったもんだねぇ……ファントム・ドライさんよ?)
真紅のライダースーツを更に紅く染める液体。
あたしは、腹の銃創から溢れる紅い花を眺めながら、静寂の一時を過ごした。