吸血大殲27夜 ――Lunatic Dance――
ファントム達の戦い
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玲二の首筋に穿たれた、二つの小さな傷痕.
―――吸血痕
躙り寄る玲二に対して、エレンはただ呆然とその姿を見守っている。
玲二が望むのであれば、この命はいつでも差し出す覚悟は出来ていた。
しかし……しかし……喉に刺さった小骨のように、僅かな不安が
まとわりついたまま離れない。
これは、本当に玲二なのか?
しかし、その両腕がエレンを捕らえ、その吐息が首筋に感じられるようになっても尚、
エレンは身動き一つしなかった。
「この世界が、無限の地獄じゃないとしたら、それは貴方が生きているからよ」
玲二の頭に両腕を回し、その腕にその身体を抱く。
抱しめながら、右手に握った拳銃の銃口を自らの眉間に押し当てる。
「でも、貴方が居ない世界に、私は生き残りたくない」