吸血大殲27夜 ――Lunatic Dance――

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463吾妻玲二 ◆REIJI2xI
ウピエルVSファントム
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   ――――― ドクン ―――――
 
 止まっていた心臓が動き出す。
 
   ――――― ゴボッ ―――――
 
 肺腑を満たしていた血液が口から吐き出され、床の上で全身が痙攣するように跳ねる。
 いつのまにか体中の傷が癒え始めていた。 胸の刺傷、体中の銃創、手榴弾による傷。
 表面こそ未だ無残な傷口を呈してはいたが、もはやそれは致命傷と言える物では無い。
 
 唐突に目が見開かれる。 その瞳は赤く、不気味に光を放つ―――――。
 
 酷く、喉が渇いていた……。 血だ、血が足りない……。
 戦いで失われた血、ウピエルに奪われた血。 血をよこせ! 俺の血を返せ!!
 獲物は近くにいる、鼻腔をくすぐる人間の雌の匂い。
 吸血衝動の赴くまま身を起こし、獲物を探す。
 
  ――――― エレン!! ―――――
 
 その姿を確認して、戦慄と共にもう一つの意識が目を醒ました。
 自分の意志では制御できない衝動を、必死で押さえ込もうとする。
 
「……クル…ナ…… ニ…ゲ…… エ…レ…ン…………」
 
 懸命に数少ない言葉を紡ぐ……。
 しかし一歩、また一歩とエレンへ向う歩みを止める事はできなかった。