吸血大殲27夜 ――Lunatic Dance――
ウピエルVSファントム
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首筋に刺さる奴の牙、
抗う力も無く、残された命が奪われてゆく。
ウピエルの言葉が耳に届く。 このままおぞましい吸血鬼と化すのか?
エレンを、キャルを、吸血鬼となった自分が襲う様を想像して戦慄する。
そんな…… そんな事だけは……。
エレンを守りたかった。 死ぬ時はキャルに殺されてやりたかった。
だが、今となってはもう…………。
断末魔の痙攣とも硬直ともつかない動きで、ウピエルの背後に回された左腕。
必死で抗う無駄な抵抗にも見える、奴の背中に押し当てられた掌の中。
そこにはピンの抜かれた、最期の手榴弾が握られていた。
エレン…… キャル…… すまない …………。
直後、唐突に意識が途切れた。