吸血大殲27夜 ――Lunatic Dance――

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ウピエル(&ツァーレンシュヴェスタン)VSファントム
 
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大型のバイクで特攻するアインを見た二人の感想は同じだった。
 
(馬鹿な事を―――)
 
こちらは鈍重な戦車でも戦艦でもない。
いくらスピードがのっていても、バイクなど目をつぶっていてもかわせる。
あの傷では、アクセルを操作しながらの曲撃ちも不可能な話だ。
 
……だが、その瞬間。もう一人のファントムが動いた。
 
   ほんのわずかなタイムラグ。
 
     どちらを先に攻撃すべきか?
 
        どちらの危険度が高いか?
 
身につけてまもない吸血鬼の本能でなく、
今まで受けてきた訓練が判断を下した時には……
 
フュンフの、金色の髪は自らの血で赤く染まっていた。
ドライの放った45口径の弾丸は、込められた殺意を忠実に反映する。
額の傷痕は小さかったが、後頭部からは冗談の様に大量の血と脳漿が吹き出る。
 
それでも少女は倒れない。
吸血鬼の身体は、それほどの生命力を持つのだ。
 
―――しかし。
 
棒立ちになったフュンフの身体を、BMWのライトが照らし出す。
 
二人のファントムが奏でる死の協奏曲がホールに響き渡った。