吸血大殲27夜 ――Lunatic Dance――

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疾走する死神。身体がどんどん冷たくなっていく。
足の出血は止まった。痛みも、殆ど感じない。しかし、腹の方は――――
(……やばいぜ、こりゃ)
45口径の弾幕を張りながら、心の中で呻く。

次の瞬間、

(……来た来たァッ!)

跳躍。そのまま観客席の中へと紛れ込む。一寸遅く、降り注ぐ銃弾の嵐。

「――――ハッ、バレバレなんだよ」

ツァーレンシュベスタンのお二人さん、あんた等本当にサイスの秘蔵っ子かい?

奴等、きっとサイスの教えなんて忘れてやがる。
サイスが得意とした暗殺術をまったく用いない。
むしろ、サイスが絶対教えないような奇襲を仕掛けやがる。

――――ツァーレンシュベスタンは、暗殺者では無くなったのだ。

オーケー。
じゃあ、思い出せてやるよ。あんた等がサイスに教わってきてことをな。
暗殺者の怖さ。ファントムに――――常識は通用しない。

AKの銃声が鳴りやむ。同時、ホールは完全な静寂に包まれた。
アインの気配も、ドライの気配も、無い。僅かに、遠くから銃声とモヤシの怒声が聞こえるだけ。

ホールは、二人の少女の世界になった。