吸血大殲27夜 ――Lunatic Dance――

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―――身体は冷たく芯から冷気が吹き荒れてくる。血は流れ落ち、身体中が酸素を欲しがっていた―――

(アイン……いつの間に外へ!?)
そして、外へ逃げられたのになぜ戻ってきた!?
ましてや、特攻など……どう考えても、あの“ファントム・アイン”が取るべき行動では無い。

アインは死ぬ気だ――――
窮地に陥ったあたしを救うために、
玲二を泣かせないために、
ファントム・アインは自分の命を省みずに特攻を……。

「――――ふざけるな!」

気付いたら、あたしは駆けていた。もう、何がなんだか分からない。
だが、一つだけ分かることがある。

――――このままアインにぶら下がってられるかよ!――――

あぁ、そうさ。身体中が冷え切っている。
血が足りない。凍えるように寒いよ。だけどな……これは冷却剤だ。
あたしの心から溢れ出た“怒り”を、“猛り”を、冷ますための冷却剤!

もっとだ!――もっと冷やせ! このままじゃ、あたしは――あたしは!!
この猛りヲ――怒りヲ……! 抑えきれないじゃないか! どうする――冷却剤だけじゃ駄目だ! 

……クククククク――そうか、逃がすか。そうだね。さしずめ『放熱』って所かい?
――良いぜ。この怒りも、猛りも――全部解き放って、身体から追い出してやるよ!

一発の銃声が、あたしの感情に続くかのように鳴り響く。
自分の身体では抑えきれなくなったそれを詰め込んだ一発の銃弾が、解き放たれたのだ。