吸血大殲27夜 ――Lunatic Dance――

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21エレン ◆Elen1cxc
ウピエル&ツァーレンシュベスタンvsファントム達
前スレ >522
現スレ >15
 
 大きく息を吸い、そして吐く。
 その一動作で、自らの体の状態を確認するエレン。
 吸い込んだ呼吸はスムーズで、どうやら鼻血は出ていないようだ。
 同様に、吐いた息からも血の臭いはせず、内臓まで達している深い傷は無いらしい。
 ならば、まだ戦闘続行は可能であると、自ら判断を下す。
 
 見れば、キャルはフィーアの屍目掛けて駆けてゆく。
 目当ては、彼女が持っていたAKか。そう読んだエレンは、痛む体を無理矢理動かすと
所持していた予備弾倉を外し、床の上をキャル目掛けて思い切り滑らせる。
 
「それは……まかせるわね……私は……」
 
 エレンは、満身創痍の体を引き摺り舞台を抜け、裏口へと回ろうとする。
 既に、残った二人の吸血鬼達は、エレンを驚異とは認識していない。
 当然であろう。事実、現状エレンの戦闘能力は皆無に等しい。
 そして目指す裏口には、玲二との逃走のために用意したバイクが有る。
 
 そこまで辿り着ければ。
 
 一歩、また一歩と歩を進める度、焼けるような激痛がエレンを襲う。
 その一歩一歩が、思考を一片一片真っ白に染めていく。
 
 今、自分が何のために歩いているのか。
 既にそれは、エレンにとっても曖昧なものになっていた。