吸血大殲27夜 ――Lunatic Dance――

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ウピエル(&ツァーレンシュヴェスタン)VSファントム
 
>93
 
……フュンフとノインは自分達以外の気配を全く感じなかった。
ドライの呼吸音は、自分達の心臓の鼓動よりも小さな音なのだろうか?
 
ツァーレンシュヴェスタンの生き残り二人―――と言うには語弊があるが―――は、
ほんの少しだけ目を合わせた。
それだけでお互いの意志を通じあわせる。
 
ノインが射撃を開始する。
セミオートで、流れるような美しい射撃姿勢。
 
ホールにあった窓は一瞬にして全て撃ち抜かれていた。
夜の冷気が吹き抜けていく。
血の臭いと室内にこもった熱気が、すばやく新鮮な空気と入れ替わっていく。
 
この新しい空気の中ならば、血臭を嗅ぎ分けるのは容易い。
それがもっとも濃いところに……獲物は居る。
 
その後は巣穴にこもった狐を狩るような、楽な作業だ。
狐の牙では、血に飢えた狼の喉を咬み切る事などできよう筈もない。