ウピエル(&ツァーレンシュヴェスタン)VSファントム
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ウピエルの継嗣と化したツァーレンシュヴェスタンは
「継嗣であるから」だけの理由でウピエルに従っているのではない。
そこにあるのは単純な力の差。
彼に逆らえばどのような目にあわされるか、この短い間に理解させられていた。
そして、彼女たちは命令で動く事だけを精神に刷り込まれていた。
いわば命令者が変わっただけに過ぎないのだ。
牽制の為だけに弾丸をばらまく。
断続的ではあるが、相手の動きに対応できるようにお互いがお互いをカバーして射撃。
今はそれだけでいい。
吸血鬼と化したその身には多少の弾丸を受けても関係ない。
実際、アインの方へ向かったフェンフとノインは数発の弾丸を受けた。
友情以上のもので結ばれている二人は、自分の傷よりも相手の肌を傷つけられた事に怒りを憶えたが
それでもウピエルの命には逆らわない。
遮蔽に隠れる事もそこそこに牽制射撃を続ける。
そうすれば、主の寵愛を受ける事ができる。
先程味わった、脳髄が溶けるような快楽を再び味わう事ができるのだ。
首筋の傷の疼きが、少女たちをつなぐ首輪と化していた。