吸血大殲 第26章 殲鬼達の慟哭 夜魔達の哄笑

このエントリーをはてなブックマークに追加
ウピエル(&ツァーレンシュヴェスタン)VSファントム
 
>300
アハトは、自分の喉から流れる血潮を美しいと思った。
認めたくはないが、自らを切り裂いたアインの姿をも。
 
なりたてとはいえ、吸血鬼はこの程度では死なない。
喉からせりあがる血流は、食前に口を湿す程度の意味しか持たない。
 
この傷は目の前の女の血で癒そう。
ライフルを捨て、アインの手を締め上げる。
骨を砕くほどの握力は、彼女が得た能力の一部に過ぎないのだ。
この体勢から相手を殺す方法は二桁に達する。
 
……それが彼女の最後の思考となった。
 
聖なる金属の弾丸に引き裂かれた少女だったものは、
今度こそ永遠の眠りについた。
 
                            (アハト死亡)