吸血大殲 第26章 殲鬼達の慟哭 夜魔達の哄笑

このエントリーをはてなブックマークに追加
ウピエル(&ツァーレンシュヴェスタン)VSファントム
 
>299
一方、アハトとフィーアのコンビはしなやかな獣のように飛び跳ねていた。
誰にも頼らない。人に頼っていては生き残れない。
―――ウピエルに頼る事すらも、自らの弱さを示すことだ。
 
アハトの喉を切り裂くナイフを見ても、フィーアにさしたる感慨は浮かばなかった。
そんなものよりは、獲物を逃がさない方が重要な事に違いない。
 
アインは捨て置いてドライの方へと向かい、低い地点を狙って銃弾を浴びせる。
急所を狙わないのはウピエルへの畏怖のせいだろうか?
それとも、彼女の中に芽生えた吸血鬼としての嗜虐心のせいだろうか?
 
あえて、ドライと同じように遮蔽は取らない。
ドライが振り向いて銃を向ける時間で、遮蔽確保と射撃をしてお釣りが来るだろう。
 
獲物を追うフィーアの顔に浮かぶ笑みは……彼女の「主」に酷似していた。