吸血大殲 25章『Memory Of MoonBlood』

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9やつれた人影
>6>7 『意思、果つる者の躯』
 
 風が流れる、微かな通路を背に――知性の欠片もない、窪んだ瞳が二人を見た。 
 死肉をまとう、人間の果てが。 
 呪力と魔力で仮初めの命を宿した不死者たちが、その人影を見つめる。 
 
 いる。
 失われたパーツを持ったヤツが。 
 この身にはもはや消えた、命を灯すヤツが。 
  
 吼えた。 
 腐り果てた喉で。 
 悲鳴とも絶叫とも知れない音が狭い地下道に響く。 
 
 その声を合図に、化け物どもは生者に殺到した。 
 折れて骨の出た手を、頬が削げて剥き出しになる歯を、伸ばし、開き、迫る。 
 少女へ少年へ、歪な死が躍りかかった。