吸血大殲 25章『Memory Of MoonBlood』
>6>7 『意思、果つる者の躯』
風が流れる、微かな通路を背に――知性の欠片もない、窪んだ瞳が二人を見た。
死肉をまとう、人間の果てが。
呪力と魔力で仮初めの命を宿した不死者たちが、その人影を見つめる。
いる。
失われたパーツを持ったヤツが。
この身にはもはや消えた、命を灯すヤツが。
吼えた。
腐り果てた喉で。
悲鳴とも絶叫とも知れない音が狭い地下道に響く。
その声を合図に、化け物どもは生者に殺到した。
折れて骨の出た手を、頬が削げて剥き出しになる歯を、伸ばし、開き、迫る。
少女へ少年へ、歪な死が躍りかかった。