吸血大殲 25章『Memory Of MoonBlood』
ウピエル(&ツァーレンシュヴェスタン)VSファントム
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ウピエルの合図と共に、カラシニコフAK-74小銃を手にした少女達が躍り込む。
一糸乱れぬ挙動は一流のダンサーのようにも見える。
いずれも可憐と表すべき顔立ちではあったが、その目は獲物を追う喜びに輝いていた。
―――赤く、紅く、緋く、そして朱く。
かつて”ツァーレンシュヴェスタン”と呼ばれた少女達は、既にウピエルの継嗣と化していた。
完璧に見えるチームワークの裏にあるものは
「自分が最初に、そして一秒でも長くウピエルの傍にいたい」という欲望に過ぎない。
その為には仲間を撃つ事など何でもないが、ウピエルの怒りを買っては元も子もない。
そんな、危うい砂の城のようなチームワークではあったが、
吸血鬼化した身体と、骨の髄まで染み込んだ暗殺者としての教育は
彼女たちを芸術品とも言える暗殺兵器に変えていた。
ウピエルの無言の指示により、少女達は二手に分かれる。
フェンフ、ノインと呼ばれる二人はアインの方へ。
アハト、フィーアという名の二人はドライの方へ。
”ファントム”であろうとも、この囲みの前には
鉄の檻を牙で破ろうとする獅子に等しいだろう。
4つの銃口が吐き出す輝きがステージを照らし、
5.45mmの弾丸達がハーモニーを奏でた。