吸血大殲 25章『Memory Of MoonBlood』
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『――――――――るんだキャル!!』
脳裏に響く声。思い出の中で生きてきた彼と、同じ声だ。
だが、ここは無視。
玲二と会いたい。会って話をしたい。
だけど距離がありすぎる。そして、その間を挟むものが……
(化物か――!? ファントム三人を相手にしてなんで嗤えるんだよ!?)
―――相手は虚無だ。奴とは殺り合うな。
心の中の誰かがそう囁いた。一時撤退をしろ、と受け取れた。
思案の時間も感じさせずに、賛成。即時撤退行動に移る。
AUGライフルのマガジンが空となったとき、既に男は視界から消えていた。
――――チャンスだ――――
瞬時、座席の縫い目を駆ける。目指すは手前の入場席。
弾の尽きたAUGライフルを投げ捨てながら、全速力で駆けた。
――奴の狙いがアインに絞られた……この一瞬は大きいよ。玲二も逃げろ……!!―――
もちろん、玲二がそれだけはけして選ばないことは知っている。
だから、あたしもアインに支援の手は向けなかった。
(あんたには玲二がいるんだろう? だったら、あたしの手は必要無いだろ)
だから、彼女と馴れ合う気も無かった。
だから、彼女を撃った―――のかもしれない。