吸血大殲 25章『Memory Of MoonBlood』

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344ウピエル ◆Upielb0Y
ウピエルVSファントム
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吸血鬼は考える。
3人の獲物を同時に相手取るのは実にスリリングだ。
全員がアサルトライフル系の武装を持っているのも良い条件だ。
当たり所によっては、充分に俺を殺しうる武装だからだ、と。

「♪Keep your distance walk away don't take his bait
 ♪Don't you stray, don't fade away !」

歌を続けながら、アインとツヴァイの方へ。
アインの援護はツヴァイとピッタリ息が合っていた。見た所、アインの方がやたらと他人に合わせるのが上手なのだろう。
これは中々にどうして、意外な強敵かもしれない。そう思った所でアインの援護が途絶える。
俺の放った三人目への弾丸を気にしている。三人目の正体を突き止めるつもりらしい。
無駄なことだ。俺にとっては、この場に居合わせるのが何者であろうと、全員が俺の獲物。
正体など気にする必要すらないのだから。

「♪Watch your step he's out to get you come what may
 ♪Don't you stray, from the narrow way !」

ツヴァイの単独射撃と第三者からの射撃を跳躍して回避。
ツヴァイからの射撃は、サブマシンガンとアサルトライフルを両手に持っての射撃だ。
射線にブレのある掃射だが、やはりタイミング、射角共に、回避を極力封じるような撃ち方をしている。
意識してかどうか、これは天性のガンマンの才能だろう。
そして、第三者からの射撃。
気配だけを頼りにした盲撃ちだったこちらの射撃に、一瞬狼狽する気配があった。
確認しに行ったアインへと牽制してからの反撃だ。
こちらは技術面では荒削りな要素を感じさせるが、狙点選択、タイミングの点から
ツヴァイをも上回るのでは無いかという才能すら感じさせる。
ちらりと視線を流して確認する・・・女だ。これにはいささか驚いた。
しかも、どう言う偶然からか、ツヴァイの射撃との見事なコンビネーションが形成されている。
ひょっとすると、コイツが3人目のファントム、ドライだろうか?
どちらにせよ、流石に弾丸の隙間を縫うように歩く、等という余裕を持った回避は出来そうにない。

「♪I'm running and hiding in my dreams you're always there
 ♪You're the Phantom of the Opera you're the devil you're just out to scare !」

ひとっとびで10m以上の高さへと飛びあがる。
空中からツヴァイを見下ろすと、ニヤリ、と嗤う。

「♪…Torture me back at your lair 」

歌詞の終りを口ずさむと同時に、発砲。
ツヴァイへ、ではなく、第三者の方へと走ったアインに向けて。