吸血大殲 25章『Memory Of MoonBlood』
>15>20 『意思、果つる者の躯』
ふと、音がした。
布ずれの音、それが一つ、二つ、三つ。
ゆったりとしたローブをまとう男が三人、二人の前に姿を現す。
その姿は何処か僧侶を連想させたが、胸に刻まれたシンボルはいずれの宗派とも違っていた。
「この地に踏み入れるとは、何処まで不遜か」
一人の男が口を開く。
訛りはきつかったが、それでも英語には違いなかった。
「この地は聖地が代償に、我らが守るべき所」
手に見慣れぬ錫杖を掲げる。
その両脇で、二人の男が二人の知らぬ言葉を朗々と唱いだした。
「如何なる者とて、容赦はせぬ。特に――――――」
血走り、黄色く濁る瞳が少女を射抜く。
「邪教の手下など、許せるものではない!」
二人の男が手をかざす。
その掌からは炎が生まれ、辺りを赤く染めた。
瘴気を孕みながらふくれあがる炎は柱のように伸び、少女へと向かって走る。